説明

移動通信方法、移動局及び無線基地局

【課題】CA通信を行っている移動局のハンドオーバ直後のユーザスループットの低下、及び、それに伴うユーザ体感QoSの劣化を低減し、かつ、移動局の電力の浪費を低減する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、無線基地局eNB#2が、「Activation/Deactivation Status」を含む「Handover Command」を、無線基地局eNB#1を介して移動局UEに送信する工程Aと、移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2において通信を開始する際に、「Activation/Deactivation Status」に応じて、CCの各々を、アクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、移動局及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)-Advanced方式では、移動局UEが、無線基地局eNBとの間で、搬送周波数の異なる複数のCC(Component Carrier)を用いてCA(Carrier Aggrigation)通信を行うことができるように構成されている。
【0003】
かかる複数のCCのうち、下りリンク及び上りリンクのそれぞれにおいて、1つのCCが、PCC(Primary CC)として特定され、その他のCCは、SCC(Secondary CC)として扱われる。
【0004】
なお、LTE Release-10方式におけるLTE-Advanced方式では、下りリンク及び上りリンクのそれぞれにおいて、最大で4つのSCCを設定することが可能である。
【0005】
ここで、LTE-Advanced方式では、CA通信で用いられているSCCの各々を、アクティブ(Active)状態或いは非アクティブ(Deactive)状態のどちらかに設定することができる。PCCについては、常にアクティブ状態とすることが規定されている。
【0006】
なお、LTE-Advanced方式では、新規に設定されたSCCは、非アクティブ状態に設定されることが規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP R2-102645
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、LTE-Advanced方式において、CA通信を行っている移動局が、ハンドオーバを行った場合、ハンドオーバ先セルにおいて、設定された全てのSCCが、非アクティブ状態から開始されてしまうと、ハンドオーバ前と比較して、ハンドオーバ後のユーザスループットが低下し、ハンドオーバする度に、ユーザが体感するQoS(Quality of Service)が著しく劣化してしまうという問題点があった。
【0009】
例えば、ハンドオーバ元セルで、SCCが4つ設定されていて、さらにその全てのSCCが、アクティブ状態に設定されており、PCCと合わせて5つのCCを用いてデータの送受信が行われていた状態で、ハンドオーバが発生し、ハンドオーバ先セルでは、設定された全てのSCCが非アクティブ状態で開始してしまうと、ハンドオーバ直後は、PCCのみでしかデータの送受信を行うことができないため、ハンドオーバ前と比較して、ユーザスループットが低下し、ユーザが体感するQoSが劣化してしまっていた。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、CA通信を行っている移動局のハンドオーバ直後のユーザスループットの低下、及び、それに伴うユーザ体感QoSの劣化を低減し、かつ、移動局の電力の浪費を低減することができる移動通信方法、移動局及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、前記第2無線基地局が、状態設定情報を含むハンドオーバ指示信号を、前記第1無線基地局を介して前記移動局に送信する工程Aと、前記移動局が、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記状態設定情報に応じて、前記キャリアの各々をアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定する工程とを有することを要旨とする。
【0012】
本発明の第2の特徴は、第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている場合に、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局であって、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、受信したハンドオーバ指示信号に含まれている状態設定情報に応じて、前記キャリアの各々をアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定するように構成されている設定部を具備することを要旨とする。
【0013】
本発明の第3の特徴は、第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、該第2無線基地局として機能する無線基地局であって、前記キャリアの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについて示す状態設定情報を含むハンドオーバ指示信号を、前記第1無線基地局を介して前記移動局に送信するように構成されている送信部を具備することを要旨とする。
【0014】
本発明の第4の特徴は、第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、前記移動局が、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記キャリアの全てをアクティブ状態に設定する工程を有することを要旨とする。
【0015】
本発明の第5の特徴は、第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている場合に、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局であって、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記キャリアの全てをアクティブ状態に設定するように構成されている設定部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、CA通信を行っている移動局のハンドオーバ直後のユーザスループットの低下、及び、それに伴うユーザ体感QoSの劣化を低減し、かつ、移動局の電力の浪費を低減することができる移動通信方法、移動局及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで行われているCA通信について説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0019】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE-Advanced方式の移動通信システムであって、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局UEは、搬送周波数の異なる複数のCCを用いてCA通信を行うことができるように構成されている。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバするケースを例に挙げて説明する。
【0021】
また、本実施形態に係る移動通信システムでは、図2に示すように、移動局UEは、UL PCC(Uplink Primary Component Carrier)と、UL SCC(Uplink Secondary Component Carrier)#1と、UL SCC#2と、DL PCC(Downlink Primary Component Carrier)と、DL SCC#1と、DL SCC#2とを用いて、CA通信を行うものとする。
【0022】
なお、無線基地局eNB#1の機能及び無線基地局eNB#2の機能は、基本的に同一であるため(すなわち、ハンドオーバ元無線基地局としての動作及びハンドオーバ先無線基地局としての動作は異なるが、ある無線基地局eNBは、その両方の動作をサポートしうるため)、以下、これらを総称して無線基地局eNBとして説明する。図3に示すように、無線基地局eNBは、RRC(Radio Resource Control)レイヤ機能部11と、MAC(Media Access Control)レイヤ機能部12と、ハンドオーバ処理部13とを具備している。
【0023】
RRCレイヤ機能11は、移動局UEとの間で、RRCレイヤにおける処理を行うように構成されている。
【0024】
例えば、RRCレイヤ機能11は、RRCメッセージ(例えば、「RRC Reconfiguration」メッセージ等)を用いて、CA通信に対応している移動局UEに対して、新規にCCの追加や、既存のCCの削除や、PCCの変更を指示することができるように構成されている。
【0025】
ここで、移動局UEが、RRC_Idle状態からRRC_Connected状態に遷移し、LTE(Release8/9)方式の場合と同様に、1つの下りリンクキャリア及び1つの上りリンクキャリアを用いて通信を開始した後に、RRCレイヤ機能11が、RRCメッセージを用いて、2つ目以降の下りリンクキャリア及び上りリンクキャリアの追加を指示するように構成されている。
【0026】
MACレイヤ機能部12は、移動局UEとの間で、MACレイヤにおける処理を行うように構成されている。
【0027】
例えば、MACレイヤ機能部12は、「MAC Control Element(MAC制御要素)」を用いて、CA通信で用いられている各CCの状態(アクティブ状態又は非アクティブ状態)の設定を指示するように構成されている。
【0028】
ここで、MACレイヤ機能部12は、DL SCCの状態の設定のみを指示することができ、DL PCCやUL PCCやUL SCCの状態の設定を指示することができないように構成されていてもよい。
【0029】
すなわち、DL PCCやUL PCCやUL SCCの状態は、常に、アクティブ状態となっていてもよい。
【0030】
なお、LTE-Advanced方式では、DL SCCの状態は、DL SCCが新規に追加された直後は、非アクティブ状態に設定されるように構成されているため、DL SCCにてデータの送受信を行う場合、当該DL SCCが追加された後に、MACレイヤ機能部12が、移動局UEに対して、「MAC Control Element」を用いて、当該DL SCCの状態の設定を、アクティブ状態への変更を指示するように構成されている。
【0031】
ハンドオーバ処理部13は、移動局UEがハンドオーバを行うために必要な処理を行うように構成されている。
【0032】
ここで、無線基地局eNBがハンドオーバ先無線基地局として動作する場合のハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ元無線基地局から「Handover Request」等を受信したり、移動局UE宛の「Handover Command」等を生成したり、ハンドオーバ元無線基地局に対して移動局UE宛の「Handover Command」を含む「Handover Request Ack」等を送信したりするように構成されている。
【0033】
例えば、ハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ先無線基地局で移動局UEとの間でCA通信を行うことを決定した場合に、CA通信のために使用する複数のCCの設定情報を含む「Handover Command」を生成してもよい。
【0034】
この際、ハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ直後にCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについて示す「Activation/Deactivation Status」を決定し、かかる「Activation/Deactivation Status」も含む形で「Handover Command」を生成してもよい。
【0035】
そして、ハンドオーバ処理部13は、生成した「Handover Command」を、ハンドオーバ元無線基地局を介して移動局UEに送信するように構成されていてもよい。
【0036】
具体的には、ハンドオーバ処理部13は、生成した「Handover Command」を「Handover Request Ack」に含めてハンドオーバ元無線基地局に送信し、ハンドオーバ元無線基地局が、当該「Handover Command」を移動局UEに対して送信するように構成されていてもよい。
【0037】
ここで、ハンドオーバ処理部13は、移動局UEとの間で送受信され得るデータ量が多い場合には、より多くのDL SCCをアクティブ状態にするように、「Activation/Deactivation Status」を決定することによって、ハンドオーバ直後の移動局UEのユーザスループットを向上させることができる。
【0038】
一方、ハンドオーバ処理部13は、移動局UEとの間で送受信され得るデータ量が少ない場合には、必要最低限のDL SCCのみをアクティブ状態にするように、「Activation/Deactivation Status」を決定することによって、ハンドオーバ直後の移動局UEの消費電力を低減することができる。
【0039】
具体的には、ハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ元無線基地局から「Handover Request」にて通知される、“「Activation/Deactivation Status」を決定するための補助情報”に基づいて、ハンドオーバ直後にCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについてを示す「Activation/Deactivation Status」を決定するように構成されていてもよい。
【0040】
一方で、無線基地局eNBがハンドオーバ元無線基地局として動作する場合のハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ先無線基地局に対して「Handover Request」等を送信したり、ハンドオーバ先無線基地局から「Handover Request Ack」等を受信したり、移動局UEに対して「Handover Command」等を送信したり、移動局UEから「Measurement Report」等を受信したりするように構成されている。
【0041】
例えば、ハンドオーバ処理部13は、ハンドオーバ元無線基地局で移動局UEとの間でCA通信を行っていた場合に、ハンドオーバ先無線基地局に対して送信する「Handover Request」に、“「Activation/Deactivation Status」を決定するための補助情報”を含めるように構成されていてもよい。
【0042】
具体的には、ハンドオーバ処理部13は、“「Activation/Deactivation Status」を決定するための補助情報”として、ハンドオーバ元無線基地局においてCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を、「Handover Request」に含めてハンドオーバ先無線基地局に対して送信するように構成されていてもよい。
【0043】
例えば、ハンドオーバ元無線基地局においてCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報は、ハンドオーバ元無線基地局においてアクティブ状態(又は、非アクティブ状態)に設定されているDL SCCの数を示す情報であってもよい。
【0044】
また、ハンドオーバ処理部13は、“「Activation/Deactivation Status」を決定するための補助情報”として、ハンドオーバ元無線基地局と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報を、「Handover Request」に含めてハンドオーバ先無線基地局に対して送信するように構成されていてもよい。
【0045】
例えば、ハンドオーバ元無線基地局と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報は、所定期間においてハンドオーバ元無線基地局と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報であってもよいし、ハンドオーバ元無線基地局と移動局UEとの間の平均ユーザスループットを示す情報であってもよい。
【0046】
さらに、ハンドオーバ処理部13は、“「Activation/Deactivation Status」を決定するための補助情報”として、ハンドオーバ先無線基地局において移動局UEのために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を、「Handover Request」に含めてハンドオーバ先無線基地局に対して送信するように構成されていてもよい。
【0047】
図4に示すように、移動局UEは、RRCレイヤ機能部21と、MACレイヤ機能部22と、通信部23とを具備している。
【0048】
RRCレイヤ機能21は、無線基地局eNBとの間で、RRCレイヤにおける処理を行うように構成されている。
【0049】
例えば、移動局UEが、CA通信を行っている場合、RRCレイヤ機能21は、無線基地局eNBのRRCレイヤ機能11からの指示(具体的には、RRCメッセージ)に応じて、新規にCCを追加したり、既存のCCを削除したり、PCCを変更したりすることができるように構成されている。
【0050】
MACレイヤ機能部22は、無線基地局eNBとの間で、MACレイヤにおける処理を行うように構成されている。
【0051】
例えば、移動局UEが、CA通信を行っている場合、MACレイヤ機能22は、無線基地局eNBのMACレイヤ機能12からの指示(具体的には、「MAC Control Element」)に応じて、CA通信で用いられている各CCの状態(アクティブ状態又は非アクティブ状態)を設定するように構成されている。
【0052】
通信部23は、RRCレイヤ機能21及びMACレイヤ機能部22によって設定されたDL CC及びUL CCを用いて、CA通信を行うように構成されている。
【0053】
以下、図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0054】
図5に示すように、ステップS1001において、無線基地局eNB#1配下のセル#1においてCA通信を行っている移動局UEが、無線基地局eNB#1に対して「Measurement Report」を送信する。
【0055】
ステップS1002において、無線基地局eNB#1は、移動局UEの無線基地局eNB#1配下のセル#1から無線基地局eNB#2配下のセル#2へのハンドオーバを行うことを決定すると、無線基地局eNB#2に対して、「Handover Request」を送信する。
【0056】
無線基地局eNB#2は、ステップS1003において、移動局UEとの間でCA通信を行うことを決定した場合に、「Handover Request」に含まれている情報(例えば、無線基地局eNB#1においてCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報や、無線基地局eNB#1と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報や、無線基地局eNB#1において移動局UEのために管理されているバッファリングデータ量を示す情報等)等に基づいて、セル#2においてCA通信のために使用されるCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについて決定し、ステップS1004において、無線基地局eNB#1に対して、かかる決定結果を示す「Activation/Deactivation Status」を含む「Handover Command」を含む「Handover Request Ack」を送信する。
【0057】
ステップ1005において、無線基地局eNB#1は、移動局UEに対して、「Activation/Deactivation Status」を含む「Handover Command」を送信する。
【0058】
ここで、移動局UEは、受信した「Handover Command」に含まれる「Activation/Deactivation Status」に基づいて、「Handover Command」における要求に従って、各CCをアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定し、セル#2におけるCA通信を開始する。
【0059】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEは、ハンドオーバ先の無線基地局によって生成される「Handover Command」に含まれる「Activation/Deactivation Status」に基づいて、ハンドオーバ直後の各CCをアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定することができるので、CA通信を行っている移動局のハンドオーバ直後のユーザスループットの低下、及び、それに伴うユーザ体感QoSの劣化を低減することができ、かつ、移動局UEの電力の浪費を低減することができる。
【0060】
(変更例1)
本発明の変更例1に係る移動通信システムでは、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている移動局UE(MACレイヤ機能22)が、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバし、セル#2においてCA通信を開始する際に、CCの全ての状態をアクティブ状態に設定するように構成されている。
【0061】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0062】
本実施形態の第1の特徴は、無線基地局eNB#1(第1無線基地局)配下のセル#1において通信を行っている移動局UEが、無線基地局eNB#2(第2無線基地局)配下のセル#2にハンドオーバし、無線基地局eNB#2配下のセル#2において搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、無線基地局eNB#2が、「Activation/Deactivation Status(状態設定情報)」を含む「Handover Command(ハンドオーバ指示信号)」を、無線基地局eNB#1を介して移動局UEに送信する工程Aと、移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2において通信を開始する際に、「Activation/Deactivation Status」に応じて、CCの各々を、アクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定する工程とを有することを要旨とする。
【0063】
本実施形態の第1の特徴において、無線基地局eNB#1が、無線基地局eNB#2に対して、無線基地局eNB#1においてCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を含む「Handover Request(ハンドオーバ要求信号)」を送信する工程とを有してもよい。
【0064】
本実施形態の第1の特徴において、無線基地局eNB#1が、無線基地局eNB#2に対して、無線基地局eNB#1と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報を含む「Handover Request」を送信する工程とを有してもよい。
【0065】
本実施形態の第1の特徴において、無線基地局eNB#1が、無線基地局eNB#2に対して、無線基地局eNB#1において移動局UEのために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を含む「Handover Request」を送信する工程とを有してもよい。
【0066】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている場合に、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバし、無線基地局eNB#2配下のセル#2において搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局UEであって、無線基地局eNB#2配下のセル#2において通信を開始する際に、受信した「Handover Command」に含まれている「Activation/Deactivation Status」に応じて、CCの各々を、アクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定するように構成されているMACレイヤ機能部22(設定部)を具備することを要旨とする。
【0067】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバし、無線基地局eNB#2配下のセル#2において搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、無線基地局eNB#2として機能する無線基地局eNBであって、CCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについて示す「Activation/Deactivation Status」を含む「Handover Command」を、無線基地局eNB#1を介して移動局UEに送信するように構成されているハンドオーバ処理部13(送信部)を具備することを要旨とする。
【0068】
本実施形態の第3の特徴において、ハンドオーバ処理部13は、無線基地局eNB#1から、無線基地局eNB#1においてCCの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を含む「Handover Request」を受信するように構成されており、かつ、「Handover Request」に含まれている情報に基づいて、「Activation/Deactivation Status」を決定するように構成されていてもよい。
【0069】
本実施形態の第3の特徴において、ハンドオーバ処理部13は、無線基地局eNB#1から、無線基地局eNB#1と移動局UEとの間で送受信されたデータ量を示す情報を含む「Handover Request」を受信するように構成されており、かつ、「Handover Request」に含まれている情報に基づいて、「Activation/Deactivation Status」を決定するように構成されていてもよい。
【0070】
本実施形態の第3の特徴において、ハンドオーバ処理部13は、無線基地局eNB#1から、無線基地局eNB#1において移動局UEのために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を含む「Handover Request」を受信するように構成されており、かつ、「Handover Request」に含まれている情報に基づいて、「Activation/Deactivation Status」を決定するように構成されていてもよい。
【0071】
本実施形態の第4の特徴は、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバし、無線基地局eNB#2配下のセル#2において搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、移動局UEが、無線基地局eNB#2配下のセル#2において通信を開始する際に、CCの全てをアクティブ状態に設定する工程を有することを要旨とする。
【0072】
本実施形態の第5の特徴は、無線基地局eNB#1配下のセル#1において通信を行っている場合に、無線基地局eNB#2配下のセル#2にハンドオーバし、無線基地局eNB#2配下のセル#2において搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局UEであって、無線基地局eNB#2配下のセル#2において通信を開始する際に、CCの全てをアクティブ状態に設定するように構成されているMACレイヤ機能部22(設定部)を具備することを要旨とする。
【0073】
なお、上述の移動局UEや無線基地局eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0074】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0075】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UEや無線基地局eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UEや無線基地局eNB内に設けられていてもよい。
【0076】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0077】
eNB…無線基地局
UE…移動局
11、21…RRCレイヤ機能部
12、22…MACレイヤ機能部
13…ハンドオーバ処理部
14…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、
前記第2無線基地局が、状態設定情報を含むハンドオーバ指示信号を、前記第1無線基地局を介して前記移動局に送信する工程Aと、
前記移動局が、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記状態設定情報に応じて、前記キャリアの各々をアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記第1無線基地局が、前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局において前記キャリアの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
前記第1無線基地局が、前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局と前記移動局との間で送受信されたデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項4】
前記第1無線基地局が、前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局において前記移動局のために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項5】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている場合に、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局であって、
前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、受信したハンドオーバ指示信号に含まれている状態設定情報に応じて、前記キャリアの各々をアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらかに設定するように構成されている設定部を具備することを特徴とする移動局。
【請求項6】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、該第2無線基地局として機能する無線基地局であって、
前記キャリアの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されるべきかについて示す状態設定情報を含むハンドオーバ指示信号を、前記第1無線基地局を介して前記移動局に送信するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項7】
前記第1無線基地局から、該第1無線基地局において前記キャリアの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を含むハンドオーバ要求信号を受信するように構成されている受信部を具備することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記第1無線基地局から、該第1無線基地局と前記移動局との間で送受信されたデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を受信するように構成されている受信部を具備することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記第1無線基地局から、該第1無線基地局において前記移動局のために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を受信するように構成されている受信部を具備することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項10】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、該第1無線基地局として機能する無線基地局であって、
前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局において前記キャリアの各々がアクティブ状態又は非アクティブ状態のどちらに設定されているかについて示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項11】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、該第1無線基地局として機能する無線基地局であって、
前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局と前記移動局との間で送受信されたデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項12】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動通信システムにおいて、該第1無線基地局として機能する無線基地局であって、
前記第2無線基地局に対して、該第1無線基地局において前記移動局のために管理されているバッファリングデータ量を示す情報を含むハンドオーバ要求信号を送信するように構成されている送信部を具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項13】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている移動局が、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信する移動通信方法であって、
前記移動局が、前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記キャリアの全てをアクティブ状態に設定する工程を有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項14】
第1無線基地局配下のセルにおいて通信を行っている場合に、第2無線基地局配下のセルにハンドオーバし、該第2無線基地局配下のセルにおいて搬送周波数の異なる複数のキャリアを用いて通信することができるように構成されている移動局であって、
前記第2無線基地局配下のセルにおいて通信を開始する際に、前記キャリアの全てをアクティブ状態に設定するように構成されている設定部を具備することを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−238999(P2011−238999A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106009(P2010−106009)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】