説明

移動通信方法、移動通信システム、プログラム、交換局及び特定無線基地局

【課題】セル選択処理や位置登録処理の繰り返しを回避することによって、移動局UEのバッテリー節約を可能にする。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、移動局UEが、パイロット信号に基づいて位置登録要求を送信する工程Aと、ネットワーク装置RNC、MSC/SGSNが、受信した位置登録要求に応じて、移動局UEの特定無線基地局NodeB03に対するアクセスが許可されているか否かについて判定する工程Bと、かかるアクセスが許可されていないと判定された場合、ネットワーク装置RNC、MSC/SGSNが、位置登録処理を拒否する工程Cと、位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、ネットワーク装置RNC、MSC/SGSNが、特定無線基地局NodeB03におけるパイロット信号の送信電力を低減するように決定する工程Dとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、移動通信システム、プログラム、交換局及び特定無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3GPP(3rd Generation Partnership Projects)により、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access:CDMA)技術に基づいた「W-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式の移動通信システム、或いは、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)と呼ばれる移動通信システムが提案されて、仕様化されている。
【0003】
ここで、図11乃至図12を参照して、W-CDMA方式の移動通信システムについて説明する。
【0004】
図11に示すように、W-CDMA方式の移動通信システムは、移動局UE(User Equipment)と、無線基地局NodeBと、無線制御局RNC(Radio Network Controller)と、交換局MSC/SGSN(Mobile Switching Center/Serving GPRS Support Node)とによって、セルラ方式の移動通信システムを構成している。かかるセルラ方式の制御単位は、「セル(Cell)」と呼ばれるエリアである。
【0005】
なお、かかる移動通信システムでは、交換局MSC/SGSNが複数存在し互いに接続されているのが普通であるが、図11の例では、簡略化のため、1つの交換局MSC/SGSNのみが示されているものとする。
【0006】
また、かかる移動通信システムでは、交換局とは別に、ホームメモリと呼ばれる加入者情報を記憶する装置が配備されるのが普通であるが、図11の例では、簡略化のため、ホームメモリの機能は、交換局MSC/SGSNに含まれるものとする。
【0007】
さらに、近年、屋外等の広範なエリアにカバーするための無線基地局(公衆無線基地局)とは別に、屋内等の狭小なエリアをカバーするための無線基地局(フェムト無線基地局)の導入が進んでいる。
【0008】
図11に示すように、公衆無線基地局(無線基地局NodeB02、NodeB)02配下のセルを「マクロセル(01、02)」と呼び、フェムト無線基地局(無線基地局NodeB03)配下のセルを「フェムトセル(03)」と呼ぶ。
【0009】
具体的には、一般家庭や小規模オフィス等にフェムト無線基地局を配置し、無線制御局RNCとの接続に安価な家庭用IP回線を適用することで、特定移動局UE用のプライベートなエリア(単一或いは複数のフェムトセルにより形成されるエリア)を形成し、かかるエリア内では、当該特定移動局UEに対して、当該フェムトセルにおける課金体系を適用したり、当該フェムトセル限定の付加機能を提供したりする「ユーザ限定サービス」の検討が行われている。
【0010】
W-CDMA方式の移動通信システムにおいて、電源は入っているが通信を行っていない、すなわち、ユーザの端末操作による発信動作や呼び出しによる着信に備えて待機している「待ち受け状態」の移動局UEは、無線基地局NodeBによってCPICH(Common Pilot Channel)を介してセル毎に送出されるパイロット信号の受信電力を測定し、最適なパイロット信号(すなわち、最適なパイロット信号に対応するセル)を自律的に選択するように構成されている。かかる選択アルゴリズムについては、説明を省略する。
【0011】
最適なパイロット信号(すなわち、最適なパイロット信号に対応するセル)を選択した移動局UEは、当該セルにおいて待ち受けを行うように構成されている。この際、移動局UEは、当該セルに対して位置登録処理を行うように構成されている。
【0012】
図12を参照して、従来技術における位置登録処理の動作について説明する。
【0013】
ステップS5001において、移動局UEは、選択したフェムトセル03の報知情報に含まれているセルの位置番号と、当該移動局UEにおいて記憶されているセルの位置番号とを比較する。
【0014】
両者が一致していれば、移動局UEは、本動作を終了して、当該フェムトセル03における待ち受けを継続する。
【0015】
一方、両者が不一致であれば、移動局UEは、ステップS5002及びS5003において、無線制御局RNCに対して、「RRC Connection Requestメッセージ」を送信することによって、当該無線制御局RNCとの間で無線回線を設定した上で、ステップS5004において、交換局MSC/SGSNに対して、選択したフェムトセル03を含む位置登録エリア(ページングエリア)に対する位置登録処理を要求するための「Routing Area Update Requestメッセージ(位置登録要求)」を送信する。
【0016】
ステップS5005において、移動局UEについての認証処理が行われた後、ステップS5006において、交換局MSC/SGSNが、アクセスリストを参照して、当該移動局UEのフェムトセル03(フェムト無線基地局NodeB03)に対するアクセスが許可されているか否かについて判定する。
【0017】
図12の例では、移動局UEのフェムトセル03(フェムト無線基地局NodeB03)に対するアクセスが許可されているものとして、ステップ5007において、交換局MSC/SGSNが、移動局UEに対して、「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を送信する。
【0018】
ステップS5008において、交換局MSC/SGSNが、無線制御局RNCに対して、「IU Release Commandメッセージ」を送信し、ステップS5009において、当該無線制御局RNCと移動局UEとの間の無線回線が解放される。
【0019】
上述のように位置登録処理を拒否された移動局UEは、上述の待ち受け状態に入ることができず、所定の時間経過後に、再び、CPICHを介してセル毎に送出されるパイロット信号の受信電力を測定し、最適なパイロット信号に対応するセルとして、同一のフェムトセル03を再び選択すれば、図12の動作を繰り返すことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来の移動通信システムでは、フェムトセル03において待ち受け状態に入ることができない移動局UEは、当該フェムトセル03近傍にて通信サービスを享受できないという問題点があった。
【0021】
また、従来の移動通信システムでは、セル選択処理や位置登録処理が繰り返されることによる移動局UEのバッテリー浪費も懸念されるという問題点があった。
【0022】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、フェムトセル03において待ち受け状態に入ることができない移動局UEに対しても、フェムトセル03以外での通信サービスを提供することを可能にしつつ、セル選択処理や位置登録処理の繰り返しを回避することによって、移動局UEのバッテリー節約を可能にして利便性を高めることができる移動通信方法、移動通信システム、プログラム、交換局及び特定無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の特徴は、移動局が、受信したパイロット信号に基づいて、特定無線基地局配下のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための位置登録要求を送信する工程Aと、ネットワーク装置が、前記移動局から受信した前記位置登録要求に応じて、該移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されているか否かについて判定する工程Bと、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、前記ネットワーク装置が、前記位置登録処理を拒否する工程Cと、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、前記ネットワーク装置が、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するように決定する工程Dとを有することを要旨とする。
【0024】
本発明の第1の特徴において、前記ネットワーク装置は、前記位置登録処理の拒否回数を累積しており、所定期間、前記位置登録処理が拒否されない場合、累積している該位置登録処理の拒否回数をクリアしてもよい。
【0025】
本発明の第1の特徴において、前記工程Dにおいて、前記ネットワーク装置は、前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されている特定移動局の通信状況に応じて、該特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定してもよい。
【0026】
本発明の第1の特徴において、前記ネットワーク装置は、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合であっても、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えている場合には、前記位置登録処理を拒否しなくてもよい。
【0027】
本発明の第1の特徴において、前記工程Cにおいて、前記ネットワーク装置は、前記位置登録処理の拒否回数に応じて、該位置登録処理を拒否することを通知するための位置登録拒否応答に含める要因を変更してもよい。
【0028】
本発明の第1の特徴において、前記工程Dにおいて、前記ネットワーク装置は、前記特定無線基地局配下のセルにおける他セルのオーバレイ状況に応じて、該特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定してもよい。
【0029】
本発明の第1の特徴において、前記ネットワーク装置は、所定期間経過後に、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を初期値に戻すこと決定してもよい。
【0030】
本発明の第2の特徴は、移動局が、受信したパイロット信号に基づいて、特定無線基地局配下のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための位置登録要求を送信するように構成されている移動通信システムであって、前記移動局から受信した前記位置登録要求に応じて、該移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されているか否かについて判定するように構成されているアクセス判定部と、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、前記位置登録処理を拒否するように構成されている位置登録処理部と、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するように決定するように構成されている変更判定部とを具備することを要旨とする。
【0031】
本発明の第2の特徴において、前記位置登録処理の拒否回数を累積しており、所定期間、前記位置登録処理が拒否されない場合、累積している該位置登録処理の拒否回数をクリアするように構成されている記憶部を具備してもよい。
【0032】
本発明の第2の特徴において、前記変更判定部は、前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されている特定移動局の通信状況に応じて、該特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0033】
本発明の第2の特徴において、前記位置登録処理部は、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合であっても、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えている場合には、前記位置登録処理を拒否しないように構成されていてもよい。
【0034】
本発明の第2の特徴において、前記位置登録処理部は、前記位置登録処理の拒否回数に応じて、該位置登録処理を拒否することを通知するための位置登録拒否応答に含める要因を変更するように構成されていてもよい。
【0035】
本発明の第2の特徴において、前記変更判定部は、前記特定無線基地局配下のセルにおける他セルのオーバレイ状況に応じて、該特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0036】
本発明の第2の特徴において、前記変更判定部は、所定期間経過後に、前記無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を初期値に戻すことを決定するように構成されていてもよい。
【0037】
本発明の第3の特徴は、コンピュータを、本発明の第2の特徴を有する移動通信システムとして動作させるプログラムであることを特徴とする。
【0038】
本発明の第4の特徴は、移動局が、受信したパイロット信号に基づいて、特定無線基地局配下のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための位置登録要求を送信するように構成されている移動通信システムで用いられる交換局であって、前記移動局から受信した前記位置登録要求に応じて、該移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されているか否かについて判定するように構成されているアクセス判定部と、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、前記位置登録処理を拒否するように構成されている位置登録処理部と、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するように決定するように構成されている変更判定部とを具備することを要旨とする。
【0039】
本発明の第5の特徴は、移動局が、受信したパイロット信号に基づいて、特定無線基地局配下のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための位置登録要求を送信するように構成されている移動通信システムで用いられる特定無線基地局であって、前記移動局から受信した前記位置登録要求に応じて、該移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されているか否かについて判定するように構成されているアクセス判定部と、前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、前記位置登録処理を拒否するように構成されている位置登録処理部と、前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するように決定するように構成されている変更判定部とを具備することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る交換局の機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線制御局の機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける位置登録処理時の動作を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る交換局による累積判定処理時の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る交換局による累積カウンタクリア処理時の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る無線制御局によるCPICHパワーリダクション判定処理時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおけるCPICHパワー復帰処理時の動作を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施形態に係る無線制御局によるCPICHパワー復帰判定処理時の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の変更例1に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図10】図10は、本発明の変更例2に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図11】図11は、一般的なW-CDMA方式の移動通信システムの全体構成図である。
【図12】図12は、一般的なW-CDMA方式の移動通信システムにおける位置登録処理時の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。なお、図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムの構成は、上述した図11に示す構成と同様である。
【0042】
ここで、無線基地局NodeB01、NodeB02は、通信事業者等によって設置されるものであり、屋内空間におけるマクロセル01、02をカバーする公衆無線基地局であるものとする。
【0043】
また、フェムト無線基地局NodeB03は、一般ユーザや通信事業者等によって一般家庭や小規模オフィス等に設置されるものであり、主に屋内空間におけるフェムトセル03をカバーする超小型無線基地局であるものとする。
【0044】
なお、フェムト無線基地局NodeB03と無線制御局RNC01とは、例えば、安価な家庭向けのIP回線を介して接続されるように構成されていてもよい。
【0045】
また、フェムト無線基地局NodeB03は、当該フェムト無線基地局NodeB03にアクセス可能な特定移動局UEに対して、「ユーザ限定サービス」を提供するように構成されていてもよい。
【0046】
ここで、「ユーザ限定サービス」としては、上述したように、フェムトセル03において、マクロセルにおける課金体系とは異なる課金体系を提供することや、フェムトセル03における限定の付加機能を提供することが想定される。
【0047】
また、本実施形態に係る移動通信システムは、オープン状態(Open)又はクローズド状態(Closed)のいずれかに設定可能な無線基地局NodeB配下のセルに対する移動局UEの位置登録処理の可否を判断するように構成されている。
【0048】
また、かかる移動通信システムにおいても、交換局MSC/SGSNとは別に、ホームメモリと呼ばれる加入者情報を記憶する装置を配備するのが普通であるが、本実施形態でも、同じく簡略化のため、ホームメモリの機能は、交換局MSC/SGSNに含まれるものとする。
【0049】
図1に示すように、本実施形態に係る交換局MSC/SGSNは、位置登録処理部11と、アクセス判定部12と、累積カウンタ情報記憶部13と、累積判定部14とを具備している。
【0050】
位置登録処理部11は、移動局UEから送信された「Routing Area Update Requestメッセージ(位置登録要求)」によって指定されている無線基地局NodeB配下のセルを含む位置登録エリアに対する当該移動局UEの位置登録処理を行うように構成されている。
【0051】
ここで、移動局UEは、各セルからCPICHを介して受信したパイロット信号の受信電力を測定し、受信電力が最も良いパイロット信号に対応するセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための「Routing Area Update Requestメッセージ(位置登録要求)」を送信するように構成されている。
【0052】
アクセス判定部12は、移動局UEから受信した「Routing Area Update Requestメッセージ(位置登録要求)」によってフェムト無線基地局NodeB03(特定無線基地局)配下のフェムトセル03が指定されている場合、移動局UEのフェムト無線基地局NodeB03に対するアクセスが許可されているか否かについて、すなわち、移動局UEのフェムト無線基地局NodeB03配下のフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理の可否について判定するように構成されている。
【0053】
ここで、アクセス判定部12によって、移動局UEのフェムト無線基地局03に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、位置登録処理部11は、移動局UEのフェムト無線基地局NodeB03配下のフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理を拒否するように構成されている。
【0054】
具体的には、位置登録処理部11は、移動局UEのフェムト無線基地局NodeB03配下のフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理を拒否すると判定した場合、その旨を示す「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を、無線制御局RNCに送信するように構成されている。
【0055】
また、アクセス判定部12によって、移動局UEの特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合であっても、位置登録処理部11は、上述の位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えている場合には、かかる位置登録処理を拒否しないように構成されていてもよい。
【0056】
また、位置登録処理部11は、上述の位置登録処理の拒否回数に応じて、該位置登録処理を拒否することを通知するための「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」に含める要因(Cause)を変更するように構成されていてもよい。
【0057】
例えば、後述する「累積カウンタ」が所定回数を超えるまでは、かかる要因(Cause)として、ネットワーク輻輳等の一時的な理由で拒否していることを示し、後述する「累積カウンタ」が所定回数を超えた後は、かかる要因(Cause)として、当該位置登録処理が許容されていないという理由で拒否していることを示してもよい。
【0058】
なお、移動局UEは、前者の要因(Cause)を含む「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を受信した場合、一定時間後に、同一のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を繰り返すように構成されており、後者の要因(Cause)を含む「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を受信した場合、同一のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を繰り返すことなく、別のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように構成されていてもよい。
【0059】
累積カウンタ情報記憶部13は、「移動局識別子」と「累積カウンタ」と「クリアタイマ」とを関連付ける累積カウンタ情報を記憶するように構成されている (図4及び図5参照)。
【0060】
ここで、「累積カウンタ」は、「移動局識別子」によって識別される移動局UEの特定無線基地局配下のセル(例えば、フェムトセル03)を含む位置登録エリアに対する位置登録処理の拒否回数を示す。
【0061】
「クリアタイマ」は、上述の位置登録処理が拒否されない場合に、「累積カウンタ(累積している位置登録処理の拒否回数)」をクリアするまでの時間である所定期間を示す。
【0062】
なお、累積カウンタ情報記憶部13は、「クリアタイマ」に設定されている所定期間、「移動局識別子」によって識別される移動局UEの特定無線基地局配下のセル(例えば、フェムトセル03)を含む位置登録エリアに対する位置登録処理が拒否されない場合、「累積カウンタ」に累積されている当該位置登録処理の拒否回数をクリアするように構成されている。
【0063】
累積判定部14は、図4を用いて後述する累積判定処理を行うように構成されている。
【0064】
かかる累積判定処理の結果が「Yes」の場合(例えば、上述の位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合や、上述の特定無線基地局に対するアクセスが許可されている特定移動局が通信中である場合等)、位置登録処理部11は、その旨を示す情報を、「IU Release Commandメッセージ(無線回線解放指示)」に含めて、無線制御局RNCに送信するように構成されている。
【0065】
一方、かかる累積判定処理の結果が「No」の場合、位置登録処理部11は、通常の「IU Release Commandメッセージ(無線回線解放指示)」を、無線制御局RNCに送信するように構成されている。
【0066】
図2に示すように、本実施形態に係る無線制御局RNCは、無線回線制御部21と、セルCPICHパワー情報記憶部22と、変更判定部23と、変更指示部24とを具備している。
【0067】
無線回線制御部21は、移動局UEとの間で、無線回線(例えば、RRCコネクション)を設定したり解放したりするように構成されている。
【0068】
セルCPICHパワー情報記憶部22は、「セル識別子」と「CPICHパワー」と「初期値」と「下限値」と「ステップ幅」と「復帰タイマ」とを関連付けるセルCPICHパワー情報を記憶するように構成されている。
【0069】
「CPICHパワー」は、「セル識別子」によって識別されるセルにおけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力の現在値を示し、「初期値」は、「セル識別子」によって識別されるセルにおけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力の初期値を示し、「下限値」は、「セル識別子」によって識別されるセルにおけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力の下限値を示す。
【0070】
「ステップ幅」は、上述のパイロット信号の送信電力の低減幅を示し、「復帰タイマ」は、上述のパイロット信号の送信電力が初期値に戻すまでの期間である所定期間を示す。
【0071】
変更判定部23は、受信した「IU Release Commandメッセージ(無線回線解放指示)」から、上述の累積判定処理の結果が「Yes」であることを検知した場合、図6を用いて後述するCPICHパワーリダクション処理を行うように構成されている。
【0072】
変更判定部23は、CPICHパワーリダクション処理の結果に応じて、上述の特定無線基地局(例えば、フェムト無線基地局03)におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定するように構成されている。
【0073】
具体的には、変更判定部23は、CPICHパワーリダクション処理の結果が「Yes」の場合、上述の特定無線基地局(例えば、フェムト無線基地局03)におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を低減するように決定するように構成されている。
【0074】
例えば、変更判定部23は、特定無線基地局(例えば、フェムト無線基地局03)配下のセル(例えば、フェムトセル03)における他セルのオーバレイ状況に応じて、かかる特定無線基地局におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を低減するか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0075】
なお、変更判定部23は、所定期間経過後に、上述のパイロット信号の送信電力を初期値に戻すことを決定するように構成されていてもよい。
【0076】
変更指示部24は、変更判定部23によって、上述の特定無線基地局(例えば、フェムト無線基地局03)におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を低減するように決定された場合、その旨を、「Cell Reconfiguration Requestメッセージ」等を用いて、かかる特定無線基地局に指示するように構成されている。
【0077】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図3乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0078】
第1に、図3乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局UEのフェムト無線基地局03配下のフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理が拒否される場合の動作について説明する。
【0079】
図3に示すように、ステップS1001において、移動局UEは、受信電力が最も良いパイロット信号に対応するセルの報知情報に含まれているセル(フェムトセル03)の位置番号(フェムトセル03が属するページングエリアの識別子)と、当該移動局UEにおいて記憶されているセル(マクロセル01)の位置番号(セル01が属するページングエリアの識別子)とを比較する。
【0080】
両者が一致していれば、移動局UEは、本動作を終了して、現在位置登録処理を行っている(待ち受けを行っている)マクロセル01において待ち受けを継続する。
【0081】
一方、両者が不一致であれば、移動局UEは、ステップS1002及びS1003において、無線制御局RNC01に対して、「RRC Connection Requestメッセージ」を送信することによって、当該無線制御局RNC01との間で無線回線を設定した上で、ステップS1004において、交換局MSC/SGSNに対して、フェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理を要求するための「Routing Area Update Requestメッセージ(位置登録要求)」を送信する。
【0082】
ステップS1005において、移動局UEについての認証処理が行われた後、ステップS1006において、交換局MSC/SGSNは、移動局UEのフェムトセル03に対するアクセスが許可されているか否かについて判定する。
【0083】
本実施形態では、移動局UEのフェムトセル03に対するアクセスが許可されていないため、ステップS1007において、交換局MSC/SGSNは、累積判定処理を行う。以下、図4を参照して、かかる累積判定処理について説明する。
【0084】
図4に示すように、ステップS101において、交換局MSC/SGSNの累積判定部14は、累積カウンタ情報記憶部13から、当該移動局UEの「移動局識別子(図4の例では、#1)」に対応する「累積カウンタ」を取得する。
【0085】
この際、累積カウンタ情報記憶部13は、「累積カウンタ」を1つインクリメントしてから、累積判定部14に送信する(図4の例では、「累積カウンタ」を「4」から「5」へインクリメントしている)。
【0086】
ステップS102において、累積判定部14は、取得した「累積カウンタ」が「所定閾値」以上であるか否かについて、すなわち、当該移動局UEのフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理の拒否回数が所定回数以上であるか否かについて判定する。
【0087】
ここで、かかる「所定閾値(所定回数)」は、予めシステムデータ等として定義されていればよく、累積カウンタ情報と同様に、物理的には、メモリやハードディスク等に保存されていればよい。
【0088】
「累積カウンタ」が「所定閾値」以上であると判定された場合、本動作は、ステップS103に進み、「累積カウンタ」が「所定閾値」以上でないと判定された場合、累積判定部14は、累積判定処理の結果を「No」とする。
【0089】
ステップS103において、累積判定部14は、上述の特定無線基地局に対するアクセスが許可されている特定移動局(ホーム移動局)が通信中であるか否かについて判定する。
【0090】
かかる特定移動局(ホーム移動局)が通信中であると判定された場合、累積判定部14は、累積判定処理の結果を「No」とし、かかる特定移動局(ホーム移動局)が通信中でないと判定された場合、累積判定部14は、累積判定処理の結果を「Yes」とする。
【0091】
ここで、図5を参照して、上述の「累積カウンタ」クリアするための累積カウンタクリア処理について説明する。なお、かかる累積カウンタクリア処理は、例えば、1秒ごとに開始され、全ての移動局UEに対して繰り返し行われる。
【0092】
図5に示すように、ステップS201において、累積カウンタ情報記憶部13は、該当する移動局UEの「移動局識別子」に対応する「クリアタイマ」のカウントを減らす。
【0093】
ステップS202において、「クリアタイマ」が満了していなければ、すなわち、「クリアタイマ」が「0」となっていなければ、累積カウンタ情報記憶部13は、当該移動局UEに対する累積カウンタクリア処理を終了し、次の移動局UEに対する累積カウンタクリア処理を開始する。
【0094】
一方、ステップS202において、「クリアタイマ」が満了している場合、すなわち、「クリアタイマ」が「0」となっている場合、ステップS203において、累積カウンタ情報記憶部13は、当該移動局UEの「累積カウンタ」をクリアし、「クリアタイマ」を「未設定状態」に遷移させた後、当該移動局UEに対する累積カウンタクリア処理を終了し、次の移動局UEに対する累積カウンタクリア処理を開始する。
【0095】
図3に戻り、累積判定処理の結果が「No」である場合、交換局MSC/SGSNは、ステップS1008Aにおいて、移動局UEに対して、「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を送信し、ステップS1009Aにおいて、フェムト無線基地局03に対して、「IU Release Commandメッセージ」を送信し、ステップS1010Aにおいて、無線制御局RNCと移動局UEとの間で確立されていた無線回線を開放する。
【0096】
一方、累積判定処理の結果が「Yes」である場合、交換局MSC/SGSNは、ステップS1008Bにおいて、移動局UEに対して、「Routing Area Update Rejectメッセージ(位置登録拒否応答)」を送信し、ステップS1009Bにおいて、フェムト無線基地局03に対して、累積判定処理の結果が「Yes」であることを通知する「IU Release Commandメッセージ」を送信し、ステップS1010Bにおいて、無線制御局RNCと移動局UEとの間で確立されていた無線回線を開放する。
【0097】
その後、ステップS1011において、無線制御局RNCの変更判定部23は、ステップS1009Bの「IU Release Commandメッセージ」に応じて、CPICHパワーリダクション判定処理を行う。以下、図6を参照して、かかるCPICHパワーリダクション判定処理について説明する。
【0098】
図6に示すように、ステップS301において、無線制御局RNCの変更判定部23は、セルCPICHパワー情報記憶部22から、フェムトセル03の「セル識別子(図6の例では、#1)」に対応する「CPICHパワー(図6の例では、10dBm)」と「下限値(図6の例では、−6dBm)」と「ステップ幅(図6の例では、2dMb)」とを取得する。
【0099】
ここで、変更判定部23は、当該「セル識別子」に対応する「復帰タイマ」を再設定する(図6の例では、15秒から初期値の180秒に再設定している)。
【0100】
なお、かかる「復帰タイマ」が「未設定」であれば、変更判定部23は、かかる「復帰タイマ」を、初期値(例えば、180秒)に設定する。
【0101】
ステップS302において、変更判定部23は、取得した「CPICHパワー」から「ステップ幅」を減算した値が「下限値」以上であるか否かについて判定する。
【0102】
「下限値」以上であると判定された場合、本動作は、ステップS303に進み、「下限値」以上でないと判定された場合、変更判定部23は、CPICHパワーリダクション判定処理の結果を「No」とする。
【0103】
ステップS303において、変更判定部23は、当該フェムトセル03に対してオーバレイされている異周波数セルが存在するか否かについて判定する。
【0104】
かかるセルが存在すると判定された場合、変更判定部23は、移動局UEを、かかる異周波数セルへ誘導することで、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を下げなくても、当該移動局UEに対して通信サービスを提供できる可能性があると判断し、CPICHパワーリダクション判定処理の結果を「No」とする。
【0105】
かかる場合、変更判定部23は、無線回線の解放時に、かかる異周波数で待ち受けを行うように、移動局UEに指定するように構成されていてもよい。なお、かかる異周波数セルの有無は、無線制御局RNCの局データ等に予め保持しておけばよい。
【0106】
一方、かかるセルが存在しないと判定された場合、変更判定部23は、CPICHパワーリダクション判定処理の結果を「Yes」とする。
【0107】
かかる場合、変更判定部23は、フェムト無線基地局03からの「Cell Reconfiguration Responseメッセージ(セル再構成応答)」を受信した時に、セルCPICHパワー情報記憶部22における「CPICHパワー」を更新する。
【0108】
再び、図3に戻り、CPICHパワーリダクション判定処理の結果が「No」である場合、ステップS1012Aにおいて、フェムト無線基地局03が、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を変更することなく、本動作は終了する。
【0109】
一方、CPICHパワーリダクション判定処理の結果が「Yes」である場合、無線制御局RNCは、ステップ1012Bにおいて、フェムト無線基地局03に対して、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を、上述の「ステップ幅」だけ低減することを指示する「Cell Reconfiguration Requestメッセージ(セル再構成要求)」を送信する。
【0110】
フェムト無線基地局03は、ステップS1013Bにおいて、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を、上述の「ステップ幅」だけ低減した後、ステップS1014Bにおいて、無線制御局RNCに対して、「Cell Reconfiguration Responseメッセージ(セル再構成応答)」を送信する。
【0111】
第2に、図7及び図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、フェムト無線基地局03配下のフェムトセル03におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を復帰させる動作について説明する。
【0112】
図7に示すように、ステップS2001において、無線制御局RNCが、フェムト無線基地局03配下のフェムトセル03におけるCPICHを介したパイロット信号の送信電力を復帰させるか否かについて判定するためのCPICHパワー復帰判定処理を行う。
【0113】
以下、図8を参照して、かかるCPICHパワー復帰判定処理について説明する。なお、かかるCPICHパワー復帰判定処理は、例えば、1秒ごとに開始され、全てのセルに対して繰り返し行われる。
【0114】
図8に示すように、ステップ401において、CPICHパワー情報記憶部22は、該当するセルの「セル識別子」に対応する「復帰タイマ」のカウントを減らす。
【0115】
ステップS402において、「復帰タイマ」が満了していなければ、すなわち、「復帰タイマ」が「0」となっていなければ、CPICHパワー情報記憶部22は、当該セルに対するCPICHパワー復帰判定処理の結果を「No」とし、次のセルに対するCPICHパワー復帰判定処理を開始する。
【0116】
一方、ステップS402において、「復帰タイマ」が満了している場合、すなわち、「復帰タイマ」が「0」となっている場合、CPICHパワー情報記憶部22は、当該セルに対するCPICHパワー復帰判定処理の結果を「Yes」とし、次のセルに対するCPICHパワー復帰判定処理を開始する。
【0117】
ここで、変更判定部23は、CPICHパワー復帰判定処理の結果が「Yes」となり、当該セルにおけるCPICHIを介したパイロット信号の送信電力が初期値に戻されたことを示す「Cell Reconfiguration Responseメッセージ(セル再構成応答)」を、フェムトセル03から受信した時に、セルCPICHパワー情報記憶部22において、当該フェムトセル03の「CPICHパワー」を「初期値」に設定すると共に、当該フェムトセル03の「復帰タイマ」を「未設定状態」に遷移させる。
【0118】
図7に戻り、CPICHパワー復帰判定処理の結果が「No」である場合、ステップS2002Aにおいて、フェムト無線基地局03が、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を初期値に戻すことなく、本動作は終了する。
【0119】
一方、CPICHパワー復帰判定処理の結果が「Yes」である場合、無線制御局RNCは、ステップ2002Bにおいて、無線制御局RNCが、フェムト無線基地局03に対して、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を「初期値」に戻すことを指示する「Cell Reconfiguration Requestメッセージ(セル再構成要求)」を送信する。
【0120】
フェムト無線基地局03は、ステップS2003Bにおいて、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を「初期値」に戻した後、ステップS2お04Bにおいて、無線制御局RNCに対して、「Cell Reconfiguration Responseメッセージ(セル再構成応答)」を送信する。
【0121】
なお、図7及び図8の例では、セルCPICHパワー情報記憶部22が、「初期値」と「下限値」と「ステップ幅」と「復帰タイマ」とを、個別に数値で保持するように構成されているが、典型的な数値の集合に対して「タイプ番号」を割り振り、各「セル識別子」に対して「タイプ番号」を関連付けて保持するように構成されていてもよい。かかるタイプ番号や集合は、移動通信システムの動作中に、遠隔で変更可能であってもよい。
【0122】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル03において待ち受け状態となることができない移動局UEに対して、フェムトセル03以外での通信サービスを提供可能にし、サービス性を向上させることができる。
【0123】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、セル選択処理や位置登録処理の繰り返しを回避しつつ、移動局UEのバッテリーの節約を可能にして、利便性を高めることができる。
【0124】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、所定期間経過後に、移動局UEのフェムトセル03を含む位置登録エリアに対する位置登録処理の拒否回数をクリアするように構成されているため、フェムトセル03において待ち受け状態となることができない当該移動局UEへの通信サービスの提供と、フェムトセル03のカバレッジとのトレードオフ関係を、容易かつ柔軟に制御することができる。
【0125】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル03において特定移動局(ホーム移動局)が通信中である場合には、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を低減させないことで、特定移動局のフェムトセル03での通信品質を確保することができる。
【0126】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル03において待ち受け状態になることができない移動局UEによって当該フェムトセル03を含む位置登録エリアに対して位置登録処理が無限に繰り返されることに起因するバッテリー浪費も回避することができる。
【0127】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、セルCPICHパワー情報記憶部22における「初期値」や「下限幅」や「ステップ幅」等を適切に設定することによって、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力の低減を適切に制御することができる。
【0128】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル03において待ち受け状態になることができない移動局UEを、フェムトセル03にオーバレイする異周波数セルへ誘導できる場合には、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を低減させないことで、フェムトセル03のカバレッジを無駄に損なう懸念を回避することができる。
【0129】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル03において待ち受け状態となることができない移動局UEが近傍に在圏しない場合には、フェムトセル03のカバレッジを広い状態に戻すことができる。
【0130】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、遠隔操作で、フェムトセル03におけるパイロット信号の送信電力を元に戻すことができるので、フェムトセル03のカバレッジを迅速かつ効率的に変更することができる。
【0131】
(変更例1)
上述の実施形態では、W-CDMA方式の移動通信システムを例に挙げて説明されているが、本発明は、かかる移動通信システムに限定されるものではなく、例えば、図9に示すよう、LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムにも適用可能である。
【0132】
かかる場合、上述の無線基地局NodeBの機能及び無線制御局RNCの機能は、無線基地局eNBに搭載されることになる。
【0133】
例えば、上述の実施形態において無線制御局RNCに設けられていた変更判定部23が、本変更例では、無線基地局eNBに具備されていてもよい。
【0134】
また、本変更例では、上述の実施形態において交換局MSC/SGSNに設けられていたアクセス判定部12が、本変更例では、無線基地局eNB又は集約装置HNB-GWに具備されていてもよい。
【0135】
(変更例2)
以下、本発明の変更例2に係る移動通信システムについて、図10を参照して説明する。ここで、本発明の変更例2に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0136】
例えば、上述の実施形態において無線制御局RNCに設けられていた変更判定部23が、本変更例では、無線基地局NodeBに具備されていてもよい。
【0137】
また、本変更例では、上述の実施形態において交換局MSC/SGSNに設けられていたアクセス判定部12が、本変更例では、無線基地局NodeB、集約装置HNB-GW又は交換局MSC/SGSNに具備されていてもよい。
【0138】
なお、上述の移動局UEや無線基地局(フェムト無線基地局)NodeB(eNB)や交換機MSC/SGSN(MME)や無線制御局RNCや集約装置HNB-GWの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0139】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0140】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UEや無線基地局NodeB(eNB)や交換機MSC/SGSN(MME)や無線制御局RNCや集約装置HNB-GW内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UEや無線基地局eNBや交換機MMEや無線制御局RNCや集約装置HNB-GW内に設けられていてもよい。
【0141】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が、受信したパイロット信号に基づいて、特定無線基地局配下のセルを含む位置登録エリアに対する位置登録処理を行うように要求するための位置登録要求を送信する工程Aと、
ネットワーク装置が、前記移動局から受信した前記位置登録要求に応じて、該移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されているか否かについて判定する工程Bと、
前記移動局の前記特定無線基地局に対するアクセスが許可されていないと判定された場合、前記ネットワーク装置が、前記位置登録処理を拒否する工程Cと、
前記位置登録処理の拒否回数が所定回数を超えた場合に、前記ネットワーク装置が、前記特定無線基地局における前記パイロット信号の送信電力を低減するように決定する工程Dとを有することを特徴とする移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−172269(P2011−172269A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102498(P2011−102498)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2010−505957(P2010−505957)の分割
【原出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】