移動通信方法及び無線基地局
【課題】移動局UEの測位精度の改善を図る。
【解決手段】本発明に係る無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部12と、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部14とを具備する。
【解決手段】本発明に係る無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部12と、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部14とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、無線基地局及び移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の移動通信システムでは、移動局UEが通信を行っているセルを識別する「Cell ID」に基づいて、移動局UEの位置情報を検出することが可能である。
【0003】
また、W-CDMA方式の移動通信システムでは、「Cell ID」に基づいて検出された位置情報に加えて、無線基地局NodeBによって測定された「RTT(Round Trip Time)」を用いることで、移動局UEの測位精度の改善を図ることが可能である。
【0004】
例えば、「Cell ID」及び「伝搬遅延(RTT)」を用いて移動局UEの測位を行う方法として「伝搬遅延測位方式」が知られている。具体的には、「伝搬遅延測位方式」は、図12に示すように、セルの中心点を移動局UEの推定位置とする「Cell ID測位方式」に比べ、「伝搬遅延測位方式」では、移動局UEの在圏セルの中心線及び伝搬遅延から算出される円の交点を、移動局UEの推定位置とする方式であるため、測位精度を改善することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS25.305 V8.1.0、「Stage 2 functional specification of User Equipment (UE) positioning in UTRAN 4.3.1 Cell ID Based Method」
【非特許文献2】3GPP TS36.213 V8.4.0、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Physical layer procedures」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、3GPPで規定されているLTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムでは、RTTが規定されていないため、「Cell ID」に基づいた測位しかできず、W-CDMA方式の移動通信システムで提供される位置情報と比べて測位精度が劣化するという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、移動局UEが、LTE方式の移動通信システムにおいて通信を行っている場合においても、現状のCell IDに基づいて検出された位置情報に対して、移動局UEの測位精度の改善を図ることができる移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、該移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信する工程と、前記移動局が、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号の受信に応じて、前記無線基地局に対して、前記ランダムアクセス割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを送信する工程と、前記無線基地局が、前記ランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、無線基地局であって、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部と、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、移動通信方法であって、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、前記移動局が、前記タイミングオフセット情報又は前記送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、前記無線基地局が、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、無線基地局であって、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部と、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、下り信号を送信する工程Aと、前記移動局が、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、前記移動局が、前記無線基地局に対して、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知する工程Cと、前記無線基地局が、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、無線基地局であって、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、所定の下り信号を送信するように構成されている送信部と、前記移動局から、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を受信するように構成されている受信部と、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0014】
本発明の第7の特徴は、移動局であって、無線基地局との間の上りリンクが確立されている状態で、下り信号を受信するように構成されている受信部と、前記受信部によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている調整部と、前記無線基地局に対して、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知するように構成されている送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、移動局UEが、LTE方式の移動通信システムにおいて通信を行っている場合においても、現状のCell IDに基づいて検出された位置情報に対して、移動局UEの測位精度の改善を図ることができる移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局が上り信号の送信タイミングを調整する方法について説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る移動局が調整情報を送信する方法について説明するための図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】従来の伝搬遅延測位方式について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0018】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、本実施形態に係る移動通信システムでは、図1に示すように、移動局UEが、PRACHを介して、無線基地局eNBに対して、ランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble、以下、RAプリアンブル)を送信し、無線基地局eNBが、RAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、ランダムアクセスレスポンス(Random Access Response、以下、RAレスポンス)を送信するように構成されている。
【0019】
図2に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、下りデータ再開処理部12と、上り信号受信部13と、伝搬遅延算出部14とを具備している。
【0020】
測位トリガ検出部11は、移動局UEの測位を開始するためトリガである測位トリガを検出するように構成されている。例えば、測位トリガ検出部11は、測位トリガとして、警察等からの通信傍受指示や移動局UEのユーザからの測位要求等を検出するように構成されている。
【0021】
下りデータ再開処理部12は、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測位トリガ検出部11によって測定トリガが検出された場合に、移動局UEに対して送信すべき下りデータ信号が発生していない場合であっても、下りデータ再開処理(DL data resuming)を行うように構成されている。
【0022】
具体的には、下りデータ再開処理部12は、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測位トリガ検出部11によって測定トリガが検出された場合に、移動局UEに対して、PDCCH(Physical Downlink Control Channel、物理下り制御チャネル)を介して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号(Random Access Preamble Assignment、以下、RAプリアンブル割当信号)を送信し、移動局UEによって送信されたRAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、RAレスポンスを介して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信するように構成されている。
【0023】
ここで、タイミングオフセット情報(NTA)は、「非特許文献2」の4.2.3章等に規定されているパラメータである。
【0024】
上り信号受信部13は、移動局UEによって送信された上り信号を受信するように構成されている。
【0025】
具体的には、上り信号受信部13は、移動局UEによってPUSCH(Physical Uplink Shared Channel、物理上り共有チャネル)を介して送信された上りデータ信号を受信し、移動局UEによってPUCCH(Physical Uplink Control Channel、物理上り制御チャネル)を介して送信された上り制御信号を受信するように構成されている。
【0026】
また、上り信号受信部13は、移動局UEによってPRACHを介して送信されたRAプリアンブルを受信するように構成されている。
【0027】
伝搬遅延算出部14は、移動局UEによって送信されたRAプリアンブルの受信タイミングに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延(RAプリアンブルにおける伝搬遅延)を算出するように構成されていてもよい。
【0028】
或いは、伝搬遅延算出部14は、移動局UEによって送信された上り信号の送信タイミング及び受信タイミングに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延(上り信号における伝搬遅延)を算出するように構成されていてもよい。
【0029】
ここで、伝搬遅延算出部14は、RAレスポンスによって移動局UEに対して通知されたタイミングオフセット情報(NTA)又は送信タイミング調整情報(TA)の少なくとも一方を考慮して、かかる上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている。
【0030】
測位部10は、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0031】
図3に示すように、移動局UEは、RAプリアンブル割当信号受信部21と、RAプリアンブル送信部22と、RAレスポンス受信部23と、送信タイミング調整情報受信部24Aと、上り信号送信部24とを具備している。
【0032】
RAプリアンブル割当信号受信部21は、無線基地局eNBによってPDCCHを介して送信されたRAプリアンブル割当信号を受信するように構成されている。
【0033】
RAプリアンブル送信部22は、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、無線基地局eNBに対して、PRACHを介して、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルを送信するように構成されている。
【0034】
例えば、RAプリアンブル送信部22は、RAプリアンブル割当信号によって割り当てられたPRACHを用いて、RAプリアンブルを送信するように構成されていてもよい。
【0035】
RAレスポンス受信部23は、無線基地局eNBによってPDCCHを介して送信されたRAレスポンスを受信するように構成されている。
【0036】
上り信号送信部24は、RAレスポンス受信部23によって受信されたRAレスポンスに含まれるタイミングオフセット情報(NTA)や、送信タイミング調整情報受信部24Aによって受信された送信タイミング調整情報(TA)に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている。
【0037】
例えば、図4(a)に示すように、上り信号送信部24は、現在の上り信号の送信タイミングを、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0038】
また、図4(b)に示すように、上り信号送信部24は、下り信号の受信タイミングからタイミングオフセット情報(NTA)分だけ遡った基準タイミング(Reference Timing)から、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0039】
ここで、基準タイミングは、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングを、「NTA」に対応する時間だけずらしたタイミングであり、「NTA」は、「非特許文献2」の4.2.3章等に規定されているパラメータであり、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報である。なお、「NTA」は、無線基地局eNBによって送信されるRAレスポンスに含まれていてもよい。
【0040】
或いは、図4(c)に示すように、上り信号送信部24は、前回受信した送信タイミング調整情報(TA)による調整前の上り信号の送信タイミングを、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0041】
その後、上り信号送信部24は、調整された送信タイミングで、PUSCHを介して上りデータ信号を送信し、PUCCHを介して、上り制御信号を送信するように構成されている。
【0042】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
以下、図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0043】
図5に示すように、無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、ステップS101において、測位トリガを検出すると、ステップS102において、移動局UEに対して、PDCCHを介して、RAプリアンブル割当信号を送信する。
【0044】
ステップS103において、移動局UEは、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、かかるRAプリアンブル割当信号によって割り当てられたPRACHを介して、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブルを送信する。
【0045】
ステップS104において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルの受信タイミングを用いて、上りリンクにおける伝搬遅延(RAプリアンブルにおける伝搬遅延)を算出し、かかる上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0046】
ここで、上り信号用フレームの先頭からRAプリアンブルの受信タイミングまでの時間差を上りリンクにおける伝搬遅延としてもよい。また、移動局UEが通信しているセルの位置情報及び伝搬遅延で算出できる測定精度を、移動局UEの測位情報としてもよい。
【0047】
ステップS105において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、PDCCHを介して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信する。
【0048】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガが検出された場合には、移動局UEに対して送信すべき下りデータ信号が発生していない場合であっても、下りデータ再開処理を行うことによって、RAプリアンブルの受信タイミングを用いて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出することができ、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0049】
(本発明の第2の実施形態に係る移動通信システム)
図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0050】
図6に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、上り信号受信部13と、伝搬遅延算出部14と、生成部15と、送信部16とを具備している。
【0051】
生成部15は、上り信号受信部13によって受信された移動局UEからの上り信号の受信タイミングを考慮して、移動局UEに通知すべき送信タイミング調整情報(TA)を算出し、かかる送信タイミング調整情報(TA)を含むTA(Timing Adjudtment)コマンドを生成するように構成されている。
【0052】
また、生成部15は、上り信号受信部13によって受信された移動局UEからのRAプリアンブルの受信タイミングを考慮して、移動局UEに通知すべきタイミングオフセット情報(NTA)を算出するように構成されている。
【0053】
送信部16は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、送信タイミング調整情報(TA)を含むTAコマンドを送信するように構成されている。
【0054】
伝搬遅延算出部14は、上りリンクにおける直近の伝搬遅延(TPD,UL-SCH)と、生成部15によって算出されたタイミングオフセット情報(NTA)と、生成部15によって算出された送信タイミング調整情報(TA)とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されている。
【0055】
例えば、移動局UEが、図4(b)に示す方法で、上り信号の送信タイミングを調整している場合、伝搬遅延算出部14は、
【数1】
【0056】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0057】
また、移動局UEが、図4(a)に示す方法で、上り信号の送信タイミングを調整している場合、伝搬遅延算出部14は、
【数2】
【0058】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0059】
ここで、「TA,n」は、TAコマンド送信部16によってn番目に送信された送信タイミング調整情報である。
【0060】
測位部10は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0061】
ここで、移動局UEが通信しているセルの位置情報及び伝搬遅延で算出できる測定精度を、移動局UEの測位情報としてもよい。
【0062】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0063】
図7に示すように、ステップS201において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルに対して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信し、PUSCH若しくはPUCCHに対して、TAコマンドを送信した後、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、送信タイミング調整情報(TA)を含むTAコマンドを送信する。
【0064】
ステップS202において、移動局UEは、受信したRAレスポンスに含まれるタイミングオフセット情報(NTA)又は受信したTAコマンドに含まれる送信タイミング調整情報(TA)の少なくとも一方を用いて、上り信号の送信タイミングを調整する。
【0065】
ステップS203において、移動局UEは、調整後の上り信号の送信タイミングで、無線基地局eNBに対して、上り信号を送信する。
【0066】
ステップS204において、無線基地局eNBは、上りリンクにおける直近の伝搬遅延(TPD,UL-SCH)と、送信部16によって送信されたタイミングオフセット情報(NTA)と、送信部16によって送信された送信タイミング調整情報(TA)とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出する。
【0067】
その後、無線基地局eNBは、測位トリガを検出した場合に、算出した上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0068】
本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、上りリンクの伝搬遅延を算出するように構成されているため、測定トリガが検出された場合には、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0069】
(本発明の第3の実施形態に係る移動通信システム)
図8乃至図11を参照して、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0070】
図8に示すように、移動局UEは、上り信号送信部24と、下り信号受信部25と、調整情報送信部26とを具備している。
【0071】
下り信号受信部25は、無線基地局eNBとの間の上りリンクが確立されている状態で、無線基地局eNBによって送信された下り信号を受信するように構成されている。
【0072】
上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号(例えば、TAコマンド)が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている。
【0073】
例えば、上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号としてTAコマンドが受信された場合には、現在の上り信号の送信タイミングを、TAコマンドで指定された送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0074】
また、上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号としてTAコマンド以外の下り信号が受信された場合には、上り信号の送信タイミングと下り信号の受信タイミングとの時間差が一定になるように、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されていてもよい。
【0075】
調整情報送信部26は、無線基地局eNBに対して、上り信号送信部24が上り信号の送信タイミングを調整した時間量を示す調整情報Δを通知するように構成されている。
【0076】
ここで、調整情報Δは、移動局UEにおいて、下り信号受信部25によって受信された下り信号の受信タイミングと、上り信号送信部24によって送信される上り信号の送信タイミングとの間の時間差であってもよい。
【0077】
例えば、図9に示すように、無線基地局eNBが、タイミングT1で、所定の下り信号を送信した場合、タイミングT1から伝搬遅延PDDLだけ遅延したタイミングT10で、移動局UEの下り信号受信部25は、かかる所定の下り信号を受信する。
【0078】
その後、移動局UEの調整情報送信部26は、タイミングT10から、所定数(例えば、6個)のサブフレームに対応する時間及び調整情報Δに対応する時間が経過した後に、すなわち、タイミングT11で、無線基地局eNBに対して、調整情報Δを送信する。
【0079】
無線基地局eNBは、タイミングT11から伝搬遅延PDULだけ遅れたタイミングT2で、かかる調整情報Δを受信する。
【0080】
図10に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、伝搬遅延算出部14と、調整情報受信部17と、下り信号送信部18とを具備している。
【0081】
下り信号送信部18は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信するように構成されている。
【0082】
例えば、下り信号送信部18は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、PDSCHを介して、下りデータ信号を送信し、PDCCHを介して、下り制御信号を送信するように構成されている。
【0083】
なお、下り信号送信部18は、移動局UEに対して、上述の調整情報Δを通知するように指示する所定の下り信号を送信するように構成されている。例えば、下り信号送信部18は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、かかる所定の下り信号を送信するように構成されていてもよい。
【0084】
調整情報受信部17は、移動局UEによってPUSCH又はPUCCHを介して送信された調整情報Δを受信するように構成されている。
【0085】
伝搬遅延算出部14は、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている。
【0086】
例えば、図9に示すように、無線基地局eNBにおける所定の下り信号の送信タイミングをT1とし、無線基地局eNBにおける上り信号の受信タイミングをT2とすると、伝搬遅延算出部14は、「TPD=(T2−T1−T6サブフレーム−Δ)/2」によって、伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0087】
ここで、「T6サブフレーム」は、移動局UEがTAコマンドを受信してから、かかるTAコマンドで通知された送信タイミング調整情報(TA)を上り信号の送信タイミングに反映するまでの所定時間である。
【0088】
測位部10は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0089】
次に、図11を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0090】
図11に示すように、ステップS301において、無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、所定の下り信号(例えば、TAコマンド)を送信する。
【0091】
ステップS302において、移動局UEは、所定の下り信号の受信に応じて、上り信号の送信タイミングを調整する。
【0092】
ステップS303において、移動局UEは、調整後の上り信号の送信タイミングで、無線基地局eNBに対して、調整情報Δを送信する。
【0093】
ステップS304において、無線基地局eNBは、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出し、測位トリガを検出した場合に、算出した上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0094】
本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されている状態で、移動局UEから通知された調整情報Δ等を用いて、上りリンクの伝搬遅延を算出するように構成されているため、測定トリガが検出された場合には、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0095】
(変更例1)
本変更例1に係る移動通信システムでは、上述の第1乃至第3の実施形態に係る移動通信システムに係る無線基地局eNBに設けられていた測位部10が、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に設けられていてもよい。
【0096】
すなわち、本変更例1に係る移動通信システムでは、無線基地局eNBの伝播遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝播遅延は、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に通知され、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に設けられている測位部10が、通知された上りリンクにおける伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0097】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0098】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信する工程と、移動局UEが、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルを送信する工程と、無線基地局eNBが、RAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0099】
本実施形態の第1の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0100】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部12と、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0101】
本実施形態の第3の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEに対して、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、移動局UEが、タイミングオフセット情報又は送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、無線基地局eNBが、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延とタイミングオフセット情報と送信タイミング調整情報とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを要旨とする。
【0102】
本実施形態の第3の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、送信タイミング調整情報をTAとすると、工程Cにおいて、無線基地局eNBは、
【数3】
【0103】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出してもよい。
【0104】
本実施形態の第3の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された送信タイミング調整情報をTA,nとすると、工程Cにおいて、無線基地局eNBは、
【数4】
【0105】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出してもよい。
【0106】
本実施形態の第3の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0107】
本実施形態の第4の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEに対して、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部16と、上りリンクにおける直近の伝搬遅延とタイミングオフセット情報と送信タイミング調整情報とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0108】
本実施形態の第4の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、送信タイミング調整情報をTAとすると、伝搬遅延算出部14は、
【数5】
【0109】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていてもよい。
【0110】
本実施形態の第4の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、伝搬遅延算出部14は、
【数6】
【0111】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていてもよい。
【0112】
本実施形態の第5の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信する工程Aと、移動局UEが、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを通知する工程Cと、無線基地局eNBが、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを要旨とする。
【0113】
本実施形態の第5の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0114】
本実施形態の第6の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信するように構成されている下り信号送信部18と、移動局UEから、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを受信するように構成されている調整情報受信部17と、下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0115】
本実施形態の第7の特徴は、移動局UEであって、無線基地局eNBとの間の上りリンクが確立されている状態で、無線基地局eNBによって送信された下り信号を受信するように構成されている下り信号受信部25と、下り信号受信部25によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている上り信号送信部24と、無線基地局eNBに対して、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを通知するように構成されている調整情報送信部26とを具備することを要旨とする。
【0116】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0117】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0118】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0119】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0120】
eNB…無線基地局
10…測位部
11…測位トリガ検出部
12…下りデータ再開処理部
13…上り信号受信部
14…伝搬遅延算出部
15…生成部
16…送信部
17…調整情報受信部
UE…移動局
21…RAプリアンブル割当信号受信部
22…RAプリアンブル送信部
23…RAレスポンス受信部
24…上り信号送信部
24A…送信タイミング調整情報受信部
25…下り信号受信部
26…調整情報送信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法、無線基地局及び移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の移動通信システムでは、移動局UEが通信を行っているセルを識別する「Cell ID」に基づいて、移動局UEの位置情報を検出することが可能である。
【0003】
また、W-CDMA方式の移動通信システムでは、「Cell ID」に基づいて検出された位置情報に加えて、無線基地局NodeBによって測定された「RTT(Round Trip Time)」を用いることで、移動局UEの測位精度の改善を図ることが可能である。
【0004】
例えば、「Cell ID」及び「伝搬遅延(RTT)」を用いて移動局UEの測位を行う方法として「伝搬遅延測位方式」が知られている。具体的には、「伝搬遅延測位方式」は、図12に示すように、セルの中心点を移動局UEの推定位置とする「Cell ID測位方式」に比べ、「伝搬遅延測位方式」では、移動局UEの在圏セルの中心線及び伝搬遅延から算出される円の交点を、移動局UEの推定位置とする方式であるため、測位精度を改善することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS25.305 V8.1.0、「Stage 2 functional specification of User Equipment (UE) positioning in UTRAN 4.3.1 Cell ID Based Method」
【非特許文献2】3GPP TS36.213 V8.4.0、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Physical layer procedures」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、3GPPで規定されているLTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムでは、RTTが規定されていないため、「Cell ID」に基づいた測位しかできず、W-CDMA方式の移動通信システムで提供される位置情報と比べて測位精度が劣化するという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、移動局UEが、LTE方式の移動通信システムにおいて通信を行っている場合においても、現状のCell IDに基づいて検出された位置情報に対して、移動局UEの測位精度の改善を図ることができる移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、該移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信する工程と、前記移動局が、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号の受信に応じて、前記無線基地局に対して、前記ランダムアクセス割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを送信する工程と、前記無線基地局が、前記ランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、無線基地局であって、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部と、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、移動通信方法であって、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、前記移動局が、前記タイミングオフセット情報又は前記送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、前記無線基地局が、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、無線基地局であって、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部と、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局が、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、下り信号を送信する工程Aと、前記移動局が、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、前記移動局が、前記無線基地局に対して、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知する工程Cと、前記無線基地局が、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、無線基地局であって、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、所定の下り信号を送信するように構成されている送信部と、前記移動局から、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を受信するように構成されている受信部と、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを要旨とする。
【0014】
本発明の第7の特徴は、移動局であって、無線基地局との間の上りリンクが確立されている状態で、下り信号を受信するように構成されている受信部と、前記受信部によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている調整部と、前記無線基地局に対して、該移動局における前記下り信号の受信タイミングと前記上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知するように構成されている送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、移動局UEが、LTE方式の移動通信システムにおいて通信を行っている場合においても、現状のCell IDに基づいて検出された位置情報に対して、移動局UEの測位精度の改善を図ることができる移動通信方法、無線基地局及び移動局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局が上り信号の送信タイミングを調整する方法について説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る移動局が調整情報を送信する方法について説明するための図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】従来の伝搬遅延測位方式について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0018】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、本実施形態に係る移動通信システムでは、図1に示すように、移動局UEが、PRACHを介して、無線基地局eNBに対して、ランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble、以下、RAプリアンブル)を送信し、無線基地局eNBが、RAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、ランダムアクセスレスポンス(Random Access Response、以下、RAレスポンス)を送信するように構成されている。
【0019】
図2に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、下りデータ再開処理部12と、上り信号受信部13と、伝搬遅延算出部14とを具備している。
【0020】
測位トリガ検出部11は、移動局UEの測位を開始するためトリガである測位トリガを検出するように構成されている。例えば、測位トリガ検出部11は、測位トリガとして、警察等からの通信傍受指示や移動局UEのユーザからの測位要求等を検出するように構成されている。
【0021】
下りデータ再開処理部12は、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測位トリガ検出部11によって測定トリガが検出された場合に、移動局UEに対して送信すべき下りデータ信号が発生していない場合であっても、下りデータ再開処理(DL data resuming)を行うように構成されている。
【0022】
具体的には、下りデータ再開処理部12は、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測位トリガ検出部11によって測定トリガが検出された場合に、移動局UEに対して、PDCCH(Physical Downlink Control Channel、物理下り制御チャネル)を介して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号(Random Access Preamble Assignment、以下、RAプリアンブル割当信号)を送信し、移動局UEによって送信されたRAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、RAレスポンスを介して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信するように構成されている。
【0023】
ここで、タイミングオフセット情報(NTA)は、「非特許文献2」の4.2.3章等に規定されているパラメータである。
【0024】
上り信号受信部13は、移動局UEによって送信された上り信号を受信するように構成されている。
【0025】
具体的には、上り信号受信部13は、移動局UEによってPUSCH(Physical Uplink Shared Channel、物理上り共有チャネル)を介して送信された上りデータ信号を受信し、移動局UEによってPUCCH(Physical Uplink Control Channel、物理上り制御チャネル)を介して送信された上り制御信号を受信するように構成されている。
【0026】
また、上り信号受信部13は、移動局UEによってPRACHを介して送信されたRAプリアンブルを受信するように構成されている。
【0027】
伝搬遅延算出部14は、移動局UEによって送信されたRAプリアンブルの受信タイミングに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延(RAプリアンブルにおける伝搬遅延)を算出するように構成されていてもよい。
【0028】
或いは、伝搬遅延算出部14は、移動局UEによって送信された上り信号の送信タイミング及び受信タイミングに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延(上り信号における伝搬遅延)を算出するように構成されていてもよい。
【0029】
ここで、伝搬遅延算出部14は、RAレスポンスによって移動局UEに対して通知されたタイミングオフセット情報(NTA)又は送信タイミング調整情報(TA)の少なくとも一方を考慮して、かかる上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている。
【0030】
測位部10は、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0031】
図3に示すように、移動局UEは、RAプリアンブル割当信号受信部21と、RAプリアンブル送信部22と、RAレスポンス受信部23と、送信タイミング調整情報受信部24Aと、上り信号送信部24とを具備している。
【0032】
RAプリアンブル割当信号受信部21は、無線基地局eNBによってPDCCHを介して送信されたRAプリアンブル割当信号を受信するように構成されている。
【0033】
RAプリアンブル送信部22は、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、無線基地局eNBに対して、PRACHを介して、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルを送信するように構成されている。
【0034】
例えば、RAプリアンブル送信部22は、RAプリアンブル割当信号によって割り当てられたPRACHを用いて、RAプリアンブルを送信するように構成されていてもよい。
【0035】
RAレスポンス受信部23は、無線基地局eNBによってPDCCHを介して送信されたRAレスポンスを受信するように構成されている。
【0036】
上り信号送信部24は、RAレスポンス受信部23によって受信されたRAレスポンスに含まれるタイミングオフセット情報(NTA)や、送信タイミング調整情報受信部24Aによって受信された送信タイミング調整情報(TA)に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている。
【0037】
例えば、図4(a)に示すように、上り信号送信部24は、現在の上り信号の送信タイミングを、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0038】
また、図4(b)に示すように、上り信号送信部24は、下り信号の受信タイミングからタイミングオフセット情報(NTA)分だけ遡った基準タイミング(Reference Timing)から、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0039】
ここで、基準タイミングは、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングを、「NTA」に対応する時間だけずらしたタイミングであり、「NTA」は、「非特許文献2」の4.2.3章等に規定されているパラメータであり、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報である。なお、「NTA」は、無線基地局eNBによって送信されるRAレスポンスに含まれていてもよい。
【0040】
或いは、図4(c)に示すように、上り信号送信部24は、前回受信した送信タイミング調整情報(TA)による調整前の上り信号の送信タイミングを、送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0041】
その後、上り信号送信部24は、調整された送信タイミングで、PUSCHを介して上りデータ信号を送信し、PUCCHを介して、上り制御信号を送信するように構成されている。
【0042】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
以下、図5を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0043】
図5に示すように、無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、ステップS101において、測位トリガを検出すると、ステップS102において、移動局UEに対して、PDCCHを介して、RAプリアンブル割当信号を送信する。
【0044】
ステップS103において、移動局UEは、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、かかるRAプリアンブル割当信号によって割り当てられたPRACHを介して、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブルを送信する。
【0045】
ステップS104において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルの受信タイミングを用いて、上りリンクにおける伝搬遅延(RAプリアンブルにおける伝搬遅延)を算出し、かかる上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0046】
ここで、上り信号用フレームの先頭からRAプリアンブルの受信タイミングまでの時間差を上りリンクにおける伝搬遅延としてもよい。また、移動局UEが通信しているセルの位置情報及び伝搬遅延で算出できる測定精度を、移動局UEの測位情報としてもよい。
【0047】
ステップS105において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルの受信に応じて、移動局UEに対して、PDCCHを介して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信する。
【0048】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガが検出された場合には、移動局UEに対して送信すべき下りデータ信号が発生していない場合であっても、下りデータ再開処理を行うことによって、RAプリアンブルの受信タイミングを用いて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出することができ、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0049】
(本発明の第2の実施形態に係る移動通信システム)
図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0050】
図6に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、上り信号受信部13と、伝搬遅延算出部14と、生成部15と、送信部16とを具備している。
【0051】
生成部15は、上り信号受信部13によって受信された移動局UEからの上り信号の受信タイミングを考慮して、移動局UEに通知すべき送信タイミング調整情報(TA)を算出し、かかる送信タイミング調整情報(TA)を含むTA(Timing Adjudtment)コマンドを生成するように構成されている。
【0052】
また、生成部15は、上り信号受信部13によって受信された移動局UEからのRAプリアンブルの受信タイミングを考慮して、移動局UEに通知すべきタイミングオフセット情報(NTA)を算出するように構成されている。
【0053】
送信部16は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、送信タイミング調整情報(TA)を含むTAコマンドを送信するように構成されている。
【0054】
伝搬遅延算出部14は、上りリンクにおける直近の伝搬遅延(TPD,UL-SCH)と、生成部15によって算出されたタイミングオフセット情報(NTA)と、生成部15によって算出された送信タイミング調整情報(TA)とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されている。
【0055】
例えば、移動局UEが、図4(b)に示す方法で、上り信号の送信タイミングを調整している場合、伝搬遅延算出部14は、
【数1】
【0056】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0057】
また、移動局UEが、図4(a)に示す方法で、上り信号の送信タイミングを調整している場合、伝搬遅延算出部14は、
【数2】
【0058】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0059】
ここで、「TA,n」は、TAコマンド送信部16によってn番目に送信された送信タイミング調整情報である。
【0060】
測位部10は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0061】
ここで、移動局UEが通信しているセルの位置情報及び伝搬遅延で算出できる測定精度を、移動局UEの測位情報としてもよい。
【0062】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0063】
図7に示すように、ステップS201において、無線基地局eNBは、RAプリアンブルに対して、タイミングオフセット情報(NTA)を含むRAレスポンスを送信し、PUSCH若しくはPUCCHに対して、TAコマンドを送信した後、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、送信タイミング調整情報(TA)を含むTAコマンドを送信する。
【0064】
ステップS202において、移動局UEは、受信したRAレスポンスに含まれるタイミングオフセット情報(NTA)又は受信したTAコマンドに含まれる送信タイミング調整情報(TA)の少なくとも一方を用いて、上り信号の送信タイミングを調整する。
【0065】
ステップS203において、移動局UEは、調整後の上り信号の送信タイミングで、無線基地局eNBに対して、上り信号を送信する。
【0066】
ステップS204において、無線基地局eNBは、上りリンクにおける直近の伝搬遅延(TPD,UL-SCH)と、送信部16によって送信されたタイミングオフセット情報(NTA)と、送信部16によって送信された送信タイミング調整情報(TA)とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延(TPD)を算出する。
【0067】
その後、無線基地局eNBは、測位トリガを検出した場合に、算出した上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0068】
本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、所定のタイミングで(例えば、定期的に、若しくは、移動局UEと無線基地局eNBとの間のタイミングのずれが所定条件を満たす場合に)、上りリンクの伝搬遅延を算出するように構成されているため、測定トリガが検出された場合には、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0069】
(本発明の第3の実施形態に係る移動通信システム)
図8乃至図11を参照して、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0070】
図8に示すように、移動局UEは、上り信号送信部24と、下り信号受信部25と、調整情報送信部26とを具備している。
【0071】
下り信号受信部25は、無線基地局eNBとの間の上りリンクが確立されている状態で、無線基地局eNBによって送信された下り信号を受信するように構成されている。
【0072】
上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号(例えば、TAコマンド)が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている。
【0073】
例えば、上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号としてTAコマンドが受信された場合には、現在の上り信号の送信タイミングを、TAコマンドで指定された送信タイミング調整情報(TA)に対応する時間だけずらしたタイミングを、次回以降の上り信号を送信するタイミング(調整後の上り信号の送信タイミング)とするように構成されていてもよい。
【0074】
また、上り信号送信部24は、下り信号受信部25によって所定の下り信号としてTAコマンド以外の下り信号が受信された場合には、上り信号の送信タイミングと下り信号の受信タイミングとの時間差が一定になるように、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されていてもよい。
【0075】
調整情報送信部26は、無線基地局eNBに対して、上り信号送信部24が上り信号の送信タイミングを調整した時間量を示す調整情報Δを通知するように構成されている。
【0076】
ここで、調整情報Δは、移動局UEにおいて、下り信号受信部25によって受信された下り信号の受信タイミングと、上り信号送信部24によって送信される上り信号の送信タイミングとの間の時間差であってもよい。
【0077】
例えば、図9に示すように、無線基地局eNBが、タイミングT1で、所定の下り信号を送信した場合、タイミングT1から伝搬遅延PDDLだけ遅延したタイミングT10で、移動局UEの下り信号受信部25は、かかる所定の下り信号を受信する。
【0078】
その後、移動局UEの調整情報送信部26は、タイミングT10から、所定数(例えば、6個)のサブフレームに対応する時間及び調整情報Δに対応する時間が経過した後に、すなわち、タイミングT11で、無線基地局eNBに対して、調整情報Δを送信する。
【0079】
無線基地局eNBは、タイミングT11から伝搬遅延PDULだけ遅れたタイミングT2で、かかる調整情報Δを受信する。
【0080】
図10に示すように、無線基地局eNBは、測位部10と、測位トリガ検出部11と、伝搬遅延算出部14と、調整情報受信部17と、下り信号送信部18とを具備している。
【0081】
下り信号送信部18は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信するように構成されている。
【0082】
例えば、下り信号送信部18は、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、PDSCHを介して、下りデータ信号を送信し、PDCCHを介して、下り制御信号を送信するように構成されている。
【0083】
なお、下り信号送信部18は、移動局UEに対して、上述の調整情報Δを通知するように指示する所定の下り信号を送信するように構成されている。例えば、下り信号送信部18は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、かかる所定の下り信号を送信するように構成されていてもよい。
【0084】
調整情報受信部17は、移動局UEによってPUSCH又はPUCCHを介して送信された調整情報Δを受信するように構成されている。
【0085】
伝搬遅延算出部14は、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている。
【0086】
例えば、図9に示すように、無線基地局eNBにおける所定の下り信号の送信タイミングをT1とし、無線基地局eNBにおける上り信号の受信タイミングをT2とすると、伝搬遅延算出部14は、「TPD=(T2−T1−T6サブフレーム−Δ)/2」によって、伝搬遅延(TPD)を算出するように構成されていてもよい。
【0087】
ここで、「T6サブフレーム」は、移動局UEがTAコマンドを受信してから、かかるTAコマンドで通知された送信タイミング調整情報(TA)を上り信号の送信タイミングに反映するまでの所定時間である。
【0088】
測位部10は、測位トリガ検出部11によって測位トリガが検出された場合に、伝搬遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0089】
次に、図11を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0090】
図11に示すように、ステップS301において、無線基地局eNBは、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、所定の下り信号(例えば、TAコマンド)を送信する。
【0091】
ステップS302において、移動局UEは、所定の下り信号の受信に応じて、上り信号の送信タイミングを調整する。
【0092】
ステップS303において、移動局UEは、調整後の上り信号の送信タイミングで、無線基地局eNBに対して、調整情報Δを送信する。
【0093】
ステップS304において、無線基地局eNBは、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出し、測位トリガを検出した場合に、算出した上りリンクにおける伝搬遅延を用いて、移動局UEの測位を行う。
【0094】
本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されている状態で、移動局UEから通知された調整情報Δ等を用いて、上りリンクの伝搬遅延を算出するように構成されているため、測定トリガが検出された場合には、かかる伝播遅延を用いて、移動局UEの測位精度を改善することができる。
【0095】
(変更例1)
本変更例1に係る移動通信システムでは、上述の第1乃至第3の実施形態に係る移動通信システムに係る無線基地局eNBに設けられていた測位部10が、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に設けられていてもよい。
【0096】
すなわち、本変更例1に係る移動通信システムでは、無線基地局eNBの伝播遅延算出部14によって算出された上りリンクにおける伝播遅延は、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に通知され、無線基地局eNBの上位ノード(例えば、位置情報サーバ等)に設けられている測位部10が、通知された上りリンクにおける伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行うように構成されている。
【0097】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0098】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信する工程と、移動局UEが、RAプリアンブル割当信号の受信に応じて、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルを送信する工程と、無線基地局eNBが、RAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0099】
本実施形態の第1の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0100】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEとの間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局UEに対して、RAプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部12と、RAプリアンブル割当信号で割り当てられたRAプリアンブルの受信に応じて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0101】
本実施形態の第3の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEに対して、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、移動局UEが、タイミングオフセット情報又は送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、無線基地局eNBが、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延とタイミングオフセット情報と送信タイミング調整情報とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを要旨とする。
【0102】
本実施形態の第3の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、送信タイミング調整情報をTAとすると、工程Cにおいて、無線基地局eNBは、
【数3】
【0103】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出してもよい。
【0104】
本実施形態の第3の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された送信タイミング調整情報をTA,nとすると、工程Cにおいて、無線基地局eNBは、
【数4】
【0105】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出してもよい。
【0106】
本実施形態の第3の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0107】
本実施形態の第4の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEに対して、移動局UEにおける送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部16と、上りリンクにおける直近の伝搬遅延とタイミングオフセット情報と送信タイミング調整情報とに基づいて、上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0108】
本実施形態の第4の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、送信タイミング調整情報をTAとすると、伝搬遅延算出部14は、
【数5】
【0109】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていてもよい。
【0110】
本実施形態の第4の特徴において、上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、伝搬遅延算出部14は、
【数6】
【0111】
によって、上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていてもよい。
【0112】
本実施形態の第5の特徴は、移動通信方法であって、無線基地局eNBが、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信する工程Aと、移動局UEが、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、移動局UEが、無線基地局eNBに対して、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを通知する工程Cと、無線基地局eNBが、所定の下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを要旨とする。
【0113】
本実施形態の第5の特徴において、無線基地局eNBが、上位ノード(位置情報サーバE-SMLC)に対して、算出した伝播遅延を通知する工程と、上位ノードが、通知された伝播遅延を用いて、移動局UEの測位を行う工程とを更に有してもよい。
【0114】
本実施形態の第6の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEとの間の上りリンクが確立されている状態で、移動局UEに対して、下り信号を送信するように構成されている下り信号送信部18と、移動局UEから、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを受信するように構成されている調整情報受信部17と、下り信号の送信タイミングと上り信号の受信タイミングと調整情報Δとに基づいて、上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部14とを具備することを要旨とする。
【0115】
本実施形態の第7の特徴は、移動局UEであって、無線基地局eNBとの間の上りリンクが確立されている状態で、無線基地局eNBによって送信された下り信号を受信するように構成されている下り信号受信部25と、下り信号受信部25によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている上り信号送信部24と、無線基地局eNBに対して、移動局UEにおける下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報Δを通知するように構成されている調整情報送信部26とを具備することを要旨とする。
【0116】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0117】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0118】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0119】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0120】
eNB…無線基地局
10…測位部
11…測位トリガ検出部
12…下りデータ再開処理部
13…上り信号受信部
14…伝搬遅延算出部
15…生成部
16…送信部
17…調整情報受信部
UE…移動局
21…RAプリアンブル割当信号受信部
22…RAプリアンブル送信部
23…RAレスポンス受信部
24…上り信号送信部
24A…送信タイミング調整情報受信部
25…下り信号受信部
26…調整情報送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局が、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、該移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信する工程と、
前記移動局が、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号の受信に応じて、前記無線基地局に対して、該ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを送信する工程と、
前記無線基地局が、前記ランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部と、
前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、該移動局に対して、送信タイミング調整情報を含むランダムアクセスレスポンスを送信するように構成されている送信部と、
前記移動局によって送信された上り信号の送信タイミング及び受信タイミングに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
無線基地局が、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、
前記移動局が、前記タイミングオフセット情報又は前記送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、
前記無線基地局が、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項4】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、前記送信タイミング調整情報をTAとすると、前記工程Cにおいて、前記無線基地局は、
【数1A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信方法。
【請求項5】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、前記工程Cにおいて、前記無線基地局は、
【数2A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信方法。
【請求項6】
該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部と、
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項7】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、前記送信タイミング調整情報をTAとすると、前記伝搬遅延算出部は、
【数3A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、前記伝搬遅延算出部は、
【数4A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項9】
無線基地局が、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、下り信号を送信する工程Aと、
前記移動局が、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、
前記移動局が、前記無線基地局に対して、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知する工程Cと、
前記無線基地局が、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項10】
移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、所定の下り信号を送信するように構成されている送信部と、
前記移動局から、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を受信するように構成されている受信部と、
前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項11】
無線基地局との間の上りリンクが確立されている状態で、下り信号を受信するように構成されている受信部と、
前記送信タイミング調整情報に基づいて、前記受信部によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている調整部と、
前記無線基地局に対して、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知するように構成されている送信部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項12】
前記無線基地局が、上位ノードに対して、算出した前記伝播遅延を通知する工程と、
前記上位ノードが、通知された前記伝播遅延を用いて、前記移動局の測位を行う工程とを更に有することを特徴とする請求項1、3又は9に記載の移動通信方法。
【請求項1】
無線基地局が、移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、該移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信する工程と、
前記移動局が、前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号の受信に応じて、前記無線基地局に対して、該ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを送信する工程と、
前記無線基地局が、前記ランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
移動局との間の上りリンクにおいて同期が確立されていない状態で、測定トリガを検出した場合に、移動局に対して、ランダムアクセスプリアンブル割当信号を送信するように構成されている下りデータ再開処理部と、
前記ランダムアクセスプリアンブル割当信号で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルの受信に応じて、該移動局に対して、送信タイミング調整情報を含むランダムアクセスレスポンスを送信するように構成されている送信部と、
前記移動局によって送信された上り信号の送信タイミング及び受信タイミングに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝播遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
無線基地局が、該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信する工程Aと、
前記移動局が、前記タイミングオフセット情報又は前記送信タイミング調整情報に基づいて、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、
前記無線基地局が、前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出する工程Cとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項4】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、前記送信タイミング調整情報をTAとすると、前記工程Cにおいて、前記無線基地局は、
【数1A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信方法。
【請求項5】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、前記工程Cにおいて、前記無線基地局は、
【数2A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信方法。
【請求項6】
該移動局に対して、該移動局における送信用無線フレームと受信用無線フレームとの間のタイミングオフセット情報を通知した後、所定のタイミングで、送信タイミング調整情報を送信するように構成されている送信部と、
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延と前記タイミングオフセット情報と前記送信タイミング調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項7】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、前記送信タイミング調整情報をTAとすると、前記伝搬遅延算出部は、
【数3A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記上りリンクにおける直近の伝搬遅延をTPD,UL-SCHとし、前記タイミングオフセット情報をNTAとし、n番目に送信された前記送信タイミング調整情報をTA,nとすると、前記伝搬遅延算出部は、
【数4A】
によって、前記上りリンクにおける最新の伝搬遅延TPDを算出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項9】
無線基地局が、移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、下り信号を送信する工程Aと、
前記移動局が、所定の下り信号を受信した場合に、上り信号の送信タイミングを調整する工程Bと、
前記移動局が、前記無線基地局に対して、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知する工程Cと、
前記無線基地局が、前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出する工程Dとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項10】
移動局との間の上りリンクが確立されている状態で、該移動局に対して、所定の下り信号を送信するように構成されている送信部と、
前記移動局から、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を受信するように構成されている受信部と、
前記所定の下り信号の送信タイミングと前記上り信号の受信タイミングと前記調整情報とに基づいて、前記上りリンクにおける伝搬遅延を算出するように構成されている伝搬遅延算出部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項11】
無線基地局との間の上りリンクが確立されている状態で、下り信号を受信するように構成されている受信部と、
前記送信タイミング調整情報に基づいて、前記受信部によって所定の下り信号が受信された場合に、上り信号の送信タイミングを調整するように構成されている調整部と、
前記無線基地局に対して、該移動局における下り信号の受信タイミングと上り信号の送信タイミングとの間の時間差を示す調整情報を通知するように構成されている送信部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項12】
前記無線基地局が、上位ノードに対して、算出した前記伝播遅延を通知する工程と、
前記上位ノードが、通知された前記伝播遅延を用いて、前記移動局の測位を行う工程とを更に有することを特徴とする請求項1、3又は9に記載の移動通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−237184(P2010−237184A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110120(P2009−110120)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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