説明

移動通信方法

【課題】UdインタフェースにおけるHARQ再送制御を適切に行う。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、移動局UE#1が、移動局UE#2に対して、第3無線リンクを介して、データ信号を送信する工程Aと、移動局UE#2が、無線基地局eNB或いは移動局UE#1に対して、第2無線リンクを介して、データ信号に対する送達確認情報(Ack/Nack)を送信する工程Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7及び図8を参照して、従来のLTE(Long Term Evolution)方式で用いられているHARQ(Hybrid ARQ)の動作について説明する。
【0003】
図7及び図8に示すように、ステップS4001において、無線基地局eNBは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel、物理下りリンク制御チャネル)を介して、移動局UEに対して、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel、物理上りリンク共有チャネル)に係る「UL grant」を送信する。
【0004】
ステップS4002において、移動局UEは、受信した「UL grant」に基づいて、トランスポートブロック(TB)を生成して、PUSCHを介して、無線基地局eNBに対して、かかるトランスポートブロック(データ信号)を送信する。
【0005】
ここで、移動局UEがPDCCHを介して「UL grant」を受信してからトランスポートブロックを生成してPUSCHを介して無線基地局eNBに対して送信するまでの処理遅延は「TUE0」である。
【0006】
ステップS4003において、無線基地局eNBは、PUSCHを介して受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、移動局UEに対して、PHICH(Physical HRAQ Indicator Channel、物理HARQ指示チャネル)を介して、Nackを送信する(又は、PDCCHを介して、再送をスケジューリングする)。
【0007】
ここで、無線基地局eNBが移動局UEからPUSCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、移動局UEに対してPHICHを介してNackを送信する(又は、PDCCHを介して再送をスケジューリングする)までの処理遅延は「TeNB0」である。
【0008】
ステップS4004において、移動局UEは、PHICHを介してNackを受信すると、前回と同じリソースのPUSCHを用いてHARQ再送を行う。
【0009】
なお、無線基地局eNBが、PHICHの代わりに、PDCCHを用いて、HARQ再送を指示した場合、前回と異なるリソースのPUSCHを割り当ててHARQ再送を行うことが可能である。
【0010】
したがって、移動局UEは、PHICH及びPDCCHの両方をモニタし、PDCCHの割り当てがあれば、かかる割り当てに従ってHARQ再送を行い、PDCCHの割り当てが検出されなければ、PHICHに従ったHARQ再送を行う。
【0011】
ここで、移動局UEがPDCCHを介してHARQ再送指示を受信してから(或いは、移動局UEがPHICHを介してNackを受信してから)トランスポートブロックを生成してPUSCHを介して無線基地局eNBに対して再送するまでの処理遅延は「TUE0」である。
【0012】
ステップS4005において、無線基地局eNBは、PUSCHを介して受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、移動局UEに対して、PHICHを介して、Ackを送信する。
【0013】
ここで、無線基地局eNBが移動局UEからPUSCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、移動局UEに対してPHICHを介してAckを送信するまでの処理遅延は「TeNB0」である。
【0014】
なお、LTE方式のUuインタフェースでは、処理遅延「TUE0」及び「TeNB0」と、1TTI(Transmission Time Interval)が1msであることとを考慮して、HARQのRTT(Round Trip Time)は、8msと規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TS36.300
【非特許文献2】3GPP TS36.213
【非特許文献3】3GPP TS36.323
【非特許文献4】3GPP TS36.322
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来のLTE方式の移動通信システムでは、複数の移動局UEが、同一セル(或いは、無線基地局eNB配下のセル)内に位置している場合であっても、データ信号及び制御信号の両方が、無線基地局eNBを介して送受信されるように構成されているため、無線基地局eNBの処理負荷が増大してしまうという問題点があった。
【0017】
かかる問題点を解決するために、複数の移動局UEが、無線基地局eNBとの間で設定されているUuインタフェースにおける無線リンクを介することなく、移動局間インタフェース(以下、Udインタフェース)における無線リンクを介して、データ信号の送受信を行うことを想定することができる。
【0018】
しかしながら、従来のLTE方式の移動通信システムの仕組みでは、UdインタフェースにおけるHARQ再送制御をどのように行うべきかについて考えられていないという問題点があった。
【0019】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、UdインタフェースにおけるHARQ再送制御を適切に行うことができる移動通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の特徴は、第1移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースにおいて第1無線リンクが設定されており、第2移動局と該無線基地局との間の無線基地局インタフェースにおいて第2無線リンクが設定されており、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースにおいて第3無線リンクが設定されている場合の移動通信方法であって、前記第1移動局が、前記第2移動局に対して、前記第3無線リンクを介して、データ信号を送信する工程Aと、前記第2移動局が、前記無線基地局に対して、前記第2無線リンクを介して、前記データ信号に対する送達確認情報を送信する工程Bとを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、UdインタフェースにおけるHARQ再送制御を適切に行うことができる移動通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の変更例2に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【図8】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0024】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、図1に示すように、コアネットワーク(図示せず)と、コアネットワークに接続されている無線基地局eNBとを具備している。なお、本発明は、LTE方式以外のセルラー方式の移動通信システムにも適用可能である。
【0025】
移動局UE#1は、移動局UE#2との間で、無線基地局eNBとの間で設定されているUuインタフェースにおける第1無線リンクを介することなく、移動局UE#2との間で設定されているUdインタフェースにおける第3無線リンクを介して、データ信号を送受信することができるように構成されている。
【0026】
また、移動局UE#1は、無線基地局eNBとの間で、Uuインタフェースにおける第1無線リンクを介して、データ信号及び制御信号を送受信することができるように構成されている。
【0027】
同様に、移動局UE#2は、移動局UE#1との間で、無線基地局eNBとの間で設定されているUuインタフェースにおける第1無線リンクを介することなく、移動局UE#1との間で設定されているUdインタフェースにおける第3無線リンクを介して、データ信号を送受信することができるように構成されている。
【0028】
また、移動局UE#2は、無線基地局eNBとの間で、Uuインタフェースにおける第2無線リンクを介して、データ信号及び制御信号を送受信することができるように構成されている。
【0029】
移動局UE#1の機能及び移動局UE#2の機能は、基本的に同一であるため、以下、代表して移動局UE#1の機能について説明する。図2に示すように、移動局UE#1は、Uuインタフェース11と、送受信部12と、Udインタフェース13とを具備している。
【0030】
Uuインタフェース11は、無線基地局eNBとの間で、Uuインタフェースにおける第1無線リンクを介して、制御信号及びデータ信号の送受信を行うように構成されている。
【0031】
Udインタフェース13は、移動局UE#2との間で、Udインタフェースにおける第3無線リンクを介して、データ信号の送受信を行うように構成されている。
【0032】
送受信部12は、Uu/Udインタフェースを介して送信するデータ信号についてのHARQ再送制御を行うように構成されている。
【0033】
また、送受信部12は、Uu/Udインタフェースを介して送信するデータ信号についてのRLC(Radio Link Control)再送制御を行うように構成されていてもよい。ここで、RLCレイヤ(RLCエンティティ)は、移動局UE#1と移動局UE#2との間で終端するように構成されている。
【0034】
具体的には、HARQ再送制御において、Ack/Nack誤りが生じる可能性があるため、エラーフリーのサービスを提供する場合、RLC-AMを適用して、HARQ残留誤りをカバーする必要がある。
【0035】
すなわち、かかるRLC-AMエンティティは、移動局UE#1と移動局UE#2との間で終端し、無線基地局eNBを介することなくRLC再送制御を行うことができる。
【0036】
そのため、「RLC Status Report」の送受信は、Udインタフェースを介して、移動局UE#1と移動局UE#1との間で直接行われる。
【0037】
図3に示すように、無線基地局eNBは、スケジューリング部21と、送信部22と、受信部23とを具備している。
【0038】
スケジューリング部21は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェース(PUSCH/PDSCH)を介した送信機会、すなわち、「UL grant」及び「DL resource allocation」や、Udインタフェースを介した送信機会(UE#1→UE#2/UE#2→UE#1)を割り当てるように構成されている。
【0039】
送信部22は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェースを介して、PDCCHを用いて、「UL grant」や、「DL resource allocation」や、Udインタフェースを介した送信機会(UE#1→UE#2/UE#2→UE#1)を通知するように構成されている。
【0040】
また、送信部22は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェースを介して、PDSCHを用いて、データ信号(トランスポートブロック)を送信するように構成されている。
【0041】
受信部23は、移動局UE#1及び移動局UE#2から、Uuインタフェースを介して、PUSCHを用いて、データ信号(トランスポートブロック)を受信するように構成されている。
【0042】
また、受信部23は、移動局UE#1及び移動局UE#2から、Udインタフェースを介して受信したデータ信号に対するAck/Nackを受信するように構成されている。
以下、図4を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0043】
図4に示すように、ステップS1001において、無線基地局eNBは、PDCCHを介して、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、UdインタフェースにおけるXCHを介した送信機会(UE#1→UE#2)を割り当てたことを通知する。
【0044】
ステップS1002において、移動局UE#1は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、トランスポートブロックを生成して、XCHを介して、移動局UE#2に対して、かかるトランスポートブロック(データ信号)を送信する。
【0045】
ここで、移動局UE#1がPDCCHを介して割り当て通知を受信してからトランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して送信するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0046】
ステップS1003において、移動局UE#2は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、XCHを介してトランスポートブロックを受信する。そして、移動局UE#2は、受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNBに対して、Uuインタフェースを介して、Nackを送信する。
【0047】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNBに対してUuインタフェースを介してNackを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0048】
ステップS1004において、無線基地局eNBは、移動局UE#2から受信したNackに基づいて、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Nackを送信する。
【0049】
或いは、無線基地局eNBは、移動局UE#2からNackを受信した場合、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、PDCCHを介して、HARQ再送を指示してもよい。
【0050】
ここで、無線基地局eNBが移動局UE#2からNackを受信してから移動局UE#1及び移動局UE#2に対してNackを送信する(又は、PDCCHを介してHARQ再送を指示する)までの処理遅延は「TeNB1」である。
【0051】
ステップ1005において、移動局UE#1は、Nackを受信すると、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送を行う。
【0052】
同様に、移動局UE#2は、Nackを受信すると、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送されたデータ信号を受信する。
【0053】
なお、無線基地局eNBが、PDCCHを用いて、HARQ再送を指示した場合、前回と異なるリソースのXCHを割り当ててHARQ再送を行うことが可能である。
【0054】
移動局UE#1は、PDCCHの割り当てを検出した場合は、かかる割り当てに従ってXCHを介したHARQ再送を行う。
【0055】
一方、移動局UE#1は、PDCCHの割り当てを検出しなかった場合は、無線基地局eNBから受信したNackに従ってXCHを介したHARQ再送を行う。
【0056】
また、移動局UE#2は、PDCCHの割り当てを検出した場合は、かかる割り当てに従ってXCHを介してHARQ再送されたデータ信号を受信する。
【0057】
ここで、移動局UE#1がPDCCHを介してHARQ再送指示を受信してから(或いは、Nackを受信してから)トランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して再送するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0058】
ステップS1006において、移動局UE#2は、XCHを介して受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNBに対して、Uuインタフェースを介して、Ackを送信する。
【0059】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNBに対してUuインタフェースを介してAckを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0060】
ステップS1007において、無線基地局eNBは、移動局UE#2から受信したAckに基づいて、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Ackを送信する。
【0061】
ここで、無線基地局eNBが移動局UE#2からAckを受信してから移動局UE#1及び移動局UE#2に対してAckを送信するまでの処理遅延は「TeNB1」である。
【0062】
なお、UdインタフェースにおけるHARQのRTTは、「TUE1」+「TUE2」+「TeNB1」+データ信号の送信時間となる。
【0063】
ここで、「TUE2」は、「TeNB0」と同程度となり、「TeNB1」は、「TeNB0」よりも短くなるものと想定されるため、UdインタフェースにおけるHARQのRTTは、通常のUuインタフェースにおけるHARQのRTT(8ms)よりも長くなると想定される。
【0064】
しかしながら、本実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、HARQ再送用のリソースを柔軟に割り当てることができる。
【0065】
(変更例1)
以下、図5を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0066】
図5に示すように、ステップS2001において、無線基地局eNBは、PDCCHを介して、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、UdインタフェースにおけるXCHを介した送信機会(UE#1→UE#2)を割り当てたことを通知する。
【0067】
ステップS2002において、移動局UE#1は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、トランスポートブロックを生成して、XCHを介して、移動局UE#2に対して、かかるトランスポートブロック(データ信号)を送信する。
【0068】
ここで、移動局UE#1がPDCCHを介して割り当て通知を受信してからトランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して送信するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0069】
ステップS2003において、移動局UE#2は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、XCHを介してトランスポートブロックを受信する。そして、移動局UE#2は、受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNB及び移動局UE#1に対して、Uuインタフェース及びUdインタフェースを介して、Nackを送信する。
【0070】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNB及び移動局UE#1に対してUuインタフェース及びUdインタフェースを介してNackを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0071】
ステップS2004において、無線基地局eNBは、移動局UE#2から受信したNackに基づいて、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、PDCCHを介して、HARQ再送を指示してもよい。
【0072】
ここで、無線基地局eNBが移動局UE#2からNack受信してから移動局UE#1及び移動局UE#2に対してPDCCHを介してHARQ再送を指示するまでの処理遅延は「TeNB1」である。
【0073】
ステップ2005において、移動局UE#1は、PDCCHの割り当てを検出した場合は、かかる割り当てに従って、前回と異なるリソースのXCHを用いてHARQ再送を行う。
【0074】
一方、移動局UE#1は、無線基地局eNBによるPDCCHの割り当てを検出しなかった場合は、移動局UE#2から受信したNackに従って、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送を行う。
【0075】
ここで、移動局UE#1は、移動局UE#2からNackを受信した後、所定期間が経過しても、PDCCHの割り当てを検出しなかった場合は、移動局UE#2から受信したNackに従って、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送を行ってもよい。
【0076】
かかる所定期間は、無線基地局eNBから予めRRCシグナリングを介して指定されてもよい。
【0077】
同様に、移動局UE#2は、無線基地局eNBによるPDCCHの割り当てを検出した場合は、かかる割り当てに従って、前回と異なるリソースのXCHを用いてHARQ再送されたデータ信号を受信する。
【0078】
一方、移動局UE#2は、無線基地局eNBによるPDCCHの割り当てを検出しなかった場合は、移動局UE#2が送信したNackに従って、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送されたデータ信号を受信する。
【0079】
ここで、移動局UE#1が移動局UE#2からNackを受信してからトランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して再送するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0080】
ステップS2006において、移動局UE#2は、XCHを介して受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNB及び移動局UE#1に対して、Uuインタフェース及びUdインタフェースを介して、Ackを送信する。
【0081】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、無線基地局eNB及び移動局UE#1に対してUuインタフェース及びUdインタフェースを介してAckを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0082】
なお、UdインタフェースにおけるHARQのRTTは、「TUE1」+「TUE2」+「TeNB1」+データ信号の送信時間となる。
【0083】
ここで、「TUE2」は、「TeNB0」と同程度となり、「TeNB1」は、「TeNB0」よりも短くなるものと想定されるため、UdインタフェースにおけるHARQのRTTは、通常のUuインタフェースにおけるHARQのRTT(8ms)よりも長くなると想定される。
【0084】
しかしながら、本変更例1に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、HARQ再送用のリソースを柔軟に割り当てることができると共に、無線基地局eNBから移動局UE#1に対するAck/Nackを通知する必要がなくなる。
【0085】
(変更例2)
以下、図6を参照して、本発明の変更例2に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0086】
図6に示すように、ステップS3001において、無線基地局eNBは、PDCCHを介して、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、UdインタフェースにおけるXCHを介した送信機会(UE#1→UE#2)を割り当てたことを通知する。
【0087】
ステップS3002において、移動局UE#1は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、トランスポートブロックを生成して、XCHを介して、移動局UE#2に対して、かかるトランスポートブロック(データ信号)を送信する。
【0088】
ここで、移動局UE#1がPDCCHを介して割り当て通知を受信してからトランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して送信するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0089】
ステップS3003において、移動局UE#2は、PDCCHを介して受信した割り当て通知に基づいて、XCHを介してトランスポートブロックを受信する。そして、移動局UE#2は、受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、移動局UE#1に対して、Udインタフェースを介して、Nackを送信する。
【0090】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、移動局UE#1に対してUdインタフェースを介してNackを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0091】
ステップS3004において、移動局UE#1は、移動局UE#2から受信したNackに従って、前回と同じリソースのXCHを用いてHARQ再送を行う。
【0092】
かかる場合、移動局UE#2は、無線基地局eNBに対して、Nackを送信しないため、無線基地局eNBは、PDCCHを用いたHARQ再送指示を行わない。
【0093】
ここで、移動局UE#1が移動局UE#2からNackを受信してからトランスポートブロックを生成してXCHを介して移動局UE#2に対して再送するまでの処理遅延は「TUE1」である。
【0094】
ステップS3005において、移動局UE#2は、XCHを介して受信したトランスポートブロックをデコードして誤り判定を行い、移動局UE#1に対して、Udインタフェースを介して、Ackを送信する。
【0095】
ここで、移動局UE#2が移動局UE#1からXCHを介してトランスポートブロックを受信してデコードして誤り判定を行い、移動局UE#1に対してUdインタフェースを介してAckを送信するまでの処理遅延は「TUE2」である。
【0096】
なお、UdインタフェースにおけるHARQのRTTは、「TUE1」+「TUE2」+データ信号の送信時間となる。
【0097】
したがって、本変更例2に係る移動通信システムによれば、「TUE2」が、「TeNB0」と同程度である場合、UdインタフェースにおけるHARQのRTTを、通常のUuインタフェースにおけるHARQのRTT(8ms)と同程度とすることができる。
【0098】
なお、変更例2に係る移動通信システムにおいて、更に、移動局UE#2が、無線基地局eNBに対して、Uuインタフェースを介してAck/Nackを送信するように構成されていてもよい。
【0099】
このようにすることで、無線基地局eNBは、移動局UE#2から受信したAck/Nackに応じて、かかるHARQ再送リソースがXCHを介した送信に用いられているか否かについて把握することができる。
【0100】
無線基地局eNBは、リソースの使用状況を把握することで、空いたリソースを他の通信、例えば、他の移動局UEとの間のUuインタフェースの送受信に用いることができる。
【0101】
また、上述の例において、Ack/Nackに応じてHARQ再送を行う際には、前回送信時と同じリソースを用いることとしていたが、Ack/Nackに応じてHARQ再送を行う場合には、用いるリソースの周波数ホッピングが適用されてもよい。
【0102】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0103】
本実施形態の第1の特徴は、移動局UE#1(第1移動局)と無線基地局eNBとの間のUuインタフェース(無線基地局インタフェース)において第1無線リンクが設定されており、移動局UE#2(第2移動局)と無線基地局eNBとの間のUuインタフェースにおいて第2無線リンクが設定されており、移動局UE#1と移動局UE#2との間のUdインタフェース(移動局間インタフェース)において第3無線リンクが設定されている場合の移動通信方法であって、移動局UE#1が、移動局UE#2に対して、第3無線リンクを介して、データ信号を送信する工程Aと、移動局UE#2が、無線基地局eNB或いは移動局UE#1に対して、第2無線リンクを介して、データ信号に対する送達確認情報(Ack/Nack)を送信する工程Bとを有することを要旨とする。
【0104】
本実施形態の第1の特徴において、かかる移動通信方法は、かかる送達確認情報が、Nack(否定的な送達確認結果)を示す場合、無線基地局eNBが、移動局UE#1に対して、第1無線リンクを介して、PDCCH(物理下りリンク制御チャネル)を用いて、第3無線リンクを介したデータ信号の再送指示信号を送信する工程Cを更に有してもよい。
【0105】
本実施形態の第1の特徴において、上述の再送指示信号は、移動局UE#2に対しても、第2無線リンクを介して送信されてもよい。
【0106】
本実施形態の第1の特徴において、工程Cにおいて、無線基地局eNBは、移動局UE#1に対して、第1無線リンクを介して、上述の再送指示信号の代わりに、移動局UE#2から第2無線リンクを介して受信した送達確認情報を送信してもよい。
【0107】
本実施形態の第1の特徴において、工程Bにおいて、移動局UE#2は、無線基地局eNBと共に、移動局UE#1に対して、第3無線リンクを介して、上述の送達確認情報を送信してもよい。
【0108】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#1が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信した場合には、かかる再送指示信号に基づいてデータ信号を再送する工程と、移動局UE#1が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信しない場合には、無線基地局eNBから受信した送達確認情報に基づいてデータ信号を再送する工程とを有してもよい。
【0109】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#2が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信した場合には、かかる再送指示信号に基づいて再送されたデータ信号を受信する工程と、移動局UE#2が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信しない場合には、無線基地局eNBから受信した送達確認情報に基づいて再送されたデータ信号を受信する工程とを有してもよい。
【0110】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#1が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信した場合には、かかる再送指示信号に基づいてデータ信号を再送する工程と、移動局UE#1が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信しない場合には、移動局UE#2からから受信した送達確認情報に基づいてデータ信号を再送する工程とを有してもよい。
【0111】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#2が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信した場合には、かかる再送指示信号に基づいて再送されたデータ信号を受信する工程と、移動局UE#2が、無線基地局eNBから再送指示信号を受信しない場合には、移動局UE#2によって送信した送達確認情報に基づいて再送された記データ信号を受信する工程とを有してもよい。
【0112】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#1と移動局UE#2との間で、RLCレイヤが終端していてもよい。
【0113】
本実施形態の第1の特徴において、移動局UE#1のRLCレイヤによって、データ信号の再送を行ってもよい。
【0114】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0115】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0116】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等内に設けられていてもよい。
【0117】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0118】
UE#1、UE#2…移動局
11…Uuインタフェース
12…送受信部
13…Unインタフェース
eNB…無線基地局
21…スケジューリング部
22…送信部
23…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースにおいて第1無線リンクが設定されており、第2移動局と該無線基地局との間の無線基地局インタフェースにおいて第2無線リンクが設定されており、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースにおいて第3無線リンクが設定されている場合の移動通信方法であって、
前記第1移動局が、前記第2移動局に対して、前記第3無線リンクを介して、データ信号を送信する工程Aと、
前記第2移動局が、前記無線基地局或いは前記第1移動局に対して、前記第2無線リンクを介して、前記データ信号に対する送達確認情報を送信する工程Bとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記送達確認情報が、否定的な送達確認結果を示す場合、前記無線基地局が、前記第1移動局に対して、前記第1無線リンクを介して、物理下りリンク制御チャネルを用いて、前記第3無線リンクを介した前記データ信号の再送指示信号を送信する工程Cを更に有することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
前記再送指示信号は、前記第2移動局に対しても、前記第2無線リンクを介して送信されることを特徴とする請求項2に記載の移動通信方法。
【請求項4】
前記工程Cにおいて、前記無線基地局は、前記第1移動局に対して、前記第1無線リンクを介して、前記再送指示信号の代わりに、前記第2移動局から前記第2無線リンクを介して受信した前記送達確認情報を送信することを特徴とする請求項2に記載の移動通信方法。
【請求項5】
前記工程Bにおいて、前記第2移動局は、前記無線基地局と共に、前記第1移動局に対して、前記第3無線リンクを介して、前記送達確認情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項6】
前記第1移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信した場合には、該再送指示信号に基づいて前記データ信号を再送する工程と、
前記第1移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信しない場合には、該無線基地局から受信した前記送達確認情報に基づいて前記データ信号を再送する工程とを有することを特徴とする請求項4に記載の移動通信方法。
【請求項7】
前記第2移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信した場合には、該再送指示信号に基づいて再送された前記データ信号を受信する工程と、
前記第2移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信しない場合には、該無線基地局から受信した前記送達確認情報に基づいて再送された前記データ信号を受信する工程とを有することを特徴とする請求項4に記載の移動通信方法。
【請求項8】
前記第1移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信した場合には、該再送指示信号に基づいて前記データ信号を再送する工程と、
前記第1移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信しない場合には、前記第2移動局から受信した前記送達確認情報に基づいて前記データ信号を再送する工程とを有することを特徴とする請求項5に記載の移動通信方法。
【請求項9】
前記第2移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信した場合には、該再送指示信号に基づいて再送された前記データ信号を受信する工程と、
前記第2移動局が、前記無線基地局から前記再送指示信号を受信しない場合には、該第2移動局によって送信した前記送達確認情報に基づいて再送された前記データ信号を受信する工程とを有することを特徴とする請求項5に記載の移動通信方法。
【請求項10】
前記第1移動局と前記第2移動局との間で、前記RLCレイヤが終端することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項11】
前記第1移動局のRLCレイヤによって、前記データ信号の再送を行うことを特徴とする請求項10に記載の移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244367(P2012−244367A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111922(P2011−111922)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】