説明

移植型心臓補助装置

【課題】低侵襲性で設置し得るような、患者の血液循環を補助する心臓外ポンピング装置を提供すること。
【解決手段】心臓外ポンピング装置(10)は、侵襲性が最小な外科的処置によって患者の鼠径部に、あるいはその付近に経皮的に移植され、バッテリ(44)によって電力供給を受けるポンプ(32)と、身体外的にバッテリを充電するための手段とを備え、ポンプは経皮的吻合接続を介して流体が流れるように患者の大腿動脈(26)に結合した流入導管(50)を通して血液を吸引し、また経皮的吻合接続を介して患者の大動脈弓から生ずる末梢血管に流体が流れるように結合する流出導管(52)を通して血液を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に心臓を補助する装置に関するもので、特に心臓外ポンプ装置、及び侵襲性がきわめて低い処置を用いて患者の血液循環を補助する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年間、鬱血性心不全(CHF)は心臓血管医学においてもっとも重要な公衆衛生学的問題として台頭してきた。Gilum, R.F., Epidemiology of Heart Failure, U.S., 126 Am. Heart J. 10412 (1993) に報告されているように、毎年、新しく400,000件のCHFが米国で診断されている。米国でほぼ500万人、世界で2000万人近くの人々がこの疾患に罹っていると言われている。CHFで入院している患者数はここ15年間で3倍以上にふくれあがっている。残念なことに、年間で約250,000の患者が心疾患によって死亡している。Framingham Heart Studyによれば、鬱血性心不全の患者の5年死亡率は男性で約75%、女性で約62%である(Ho, K.K.L., Anderson, K.M.,
Kannel, W.B., et al. Survival After the Onset of Congestive Heart Failure in
Framingham Heart Study Subject, 88 Circulation 107 (1993) )。この疾患は、年齢65歳以上の患者にとっては、もっとも一般的な退院の診断を意味する。ほとんどの心臓血管系疾患の発病率は過去10乃至20年間にわたって減少してきたが、鬱血性心不全の発病率及び罹患率は急激に増加した。この数は、急性心筋梗塞症(心発病)で通常死ぬであろう患者が生き残り、また母集団が年を取るにつれて増加するであろう。
【0003】
CHFは、それ自体が労作性呼吸困難(呼吸が困難又は苦しい)及び疲労によって主に発病する。CHFの原因及び治療を説明する上で3つのパラダイムが使われる。最初に、そのような状態をポンプ機能の変化と循環動態の異常について見る。他のモデルでは、そのことを主に心筋細胞の性能の変化、あるいは萎縮した心臓の細胞における遺伝子発現の変化について説明する。その最も広い意味では、CHFは適当な血流を維持する上で、また身体の多くの機能を正常に保つ上で必要な速度で血液を身体に送り出すことを心臓ができなくなることとして定義される。
【0004】
CHFに対処するために、数多くのタイプの心臓補助装置が開発されてきた。心臓または循環補助装置は、そのポンプ機能を高めることによって、あるいはそのポンプ機能を取り戻すために一定期間休止させることによって、不全となった心臓を補助する。鬱血性心不全が慢性または急性のものであることから、異なるカテゴリの心臓補助装置が存在する。心臓移植以外に、少なくとも2つのタイプの慢性心臓補助装置が開発されてきた。一つのタイプは、心臓と大動脈とを接続する完全又は部分的人工装具を用いるもので、一例として一般にLVAD(左心室補助装置)と呼ばれるものがあげられる。ここではLVAD2の一例が図1に示されている。LVADは、血液を直接左心室6の頂端から吸い込んで該血液を大動脈弁を迂回して大動脈弓8へ送るポンプ及び付属のバルブ4からなる。この用途では、左心室は機能するのを停止し、収縮または拡張しない。左心室は、LVAD2が左心室に取って代わることによって、左心房の拡張に効果あるものとなる。したがって、心室は低圧の部屋となる。意図することは左心室にとって代わることであるから、LVADは心拍数で血液をくみ出すことによって動作する。LVADによって、酸素化された血液循環は患者の器官の需要を満たすのに十分なかたちで確立される。
【0005】
別のタイプの慢性心臓補助装置は、Molulder の米国特許第5,267,940号に示されている。Moulder は、大動脈を通る血液の循環を補助するために近位の下行大動脈に移植されたポンプについて記述している。
【0006】
急性CHFに対処するために、2つのタイプの心臓補助装置が使われてきた。一つは、本質的に逆拍動性(counterpulsatory)で、その例として大動脈内バルーン装置(IABP)があげられる。IABPによって、等容性収縮の間にバルーンがつぶれ、心臓が血液をポンピングしなければならないことに対抗する圧力を減少させ、それによって心収縮期の間、心臓にかかる負荷を減少させる。次にバルーンが膨張し、動脈系の中に血液を全方向的に押し進める。第1のタイプの別の例は、Robinson らの米国特許第4,240,409号に示されるような一つ以上の折り畳み式チェンバを用いるもので、心収縮期の間、血液は受動的にチェンバの中に流れ込む。つぎにチェンバがつぶされて、血液が強制的に大動脈に戻る。これの装置は心臓の室を模倣したものであり、ポンピング動作を実行するための膨張可能な袋に頼るもので、外部空気圧駆動装置を必要とする。
【0007】
第2のタイプの急性補助装置は、Biomedicus遠心ポンプ等の体外ポンプを利用するもので、それによって心臓手術の間、患者に血液を直接流す。一例として、Nelsonの米国特許第4,968,293号 に記述された心臓補助装置は、血流に拍動性を与えるために患者の筋肉に取り付けられた遠心ポンプを用いる。Nelsonの装置は下行大動脈の部分を迂回するために使われる。
【0008】
Bregmanらの米国特許第4,080,958号に示される別の装置は、心臓損傷の間に血液潅流を補助するために膨張可能かつ折り畳み式の袋を利用し、拍動を与えることによって従来の人工心肺装置を補うように意図されている。Bregman に開示された主な実施態様では、バルーンの制御は、冠状動脈に対して十分な血液潅流が確保されるように血大動脈根で十分な圧力が心拡張期の間維持されるにように行われる。別の実施態様では、大動脈の出口から下大静脈へ低い抵抗力が与えられることで心収縮期の間大動脈圧が減少し、それによって左心室に対する血液力学的負荷が減少する。
【0009】
Thomaの米国特許第4,034,742号に示されるような他の装置は、運動可能なポンピング・ダイアグラムを含む機械的ポンピング・チェンバとの相互作用及び連携に依存している。これらの装置は、主に心臓に近位なところに適用され、かつ患者の胸郭に埋め込まれるので侵襲性の大手術を必要とする。
【0010】
多くのCHF装置は手術中に短時間使用される。例えば、Arnoldの米国特許第4,995,857号 は、心臓手術を行うために心臓を不全又は停止させている場合に、本質的に心拍数で血液をポンピングするための術中装置を開示している。Arnoldの装置は一時的に患者の心臓及び肺と置き換わり、血液を心拍数、一般に5乃至6リットル/分でポンピングする。心臓及び肺をバイパスする全ての装置と同様に、酸素発生装置が必要となる。もちろん、従来の人工心肺装置等、酸素発生装置を備える装置はいずれも患者の歩行を可能とするものではない。
【0011】
初期のIABP装置によって、ポリウレタン製バルーンは血管カテーテルに取り付けられ、大腿部の動脈に挿入され、さらに左鎖骨下動脈に対して少し遠位にある。バルーン・カテーテルは、心拡張期の間、バルーンにヘリウム又は二酸化炭素を注入して膨らませるポンプ・コンソールに接続された。等容性収縮期の間、すなわち大動脈弁が閉じ、かつ左心室が収縮を続けている短い時間の間、バルーンを作動させるために使用される気体を急激に抜くことによってバルーンをしぼませた。このことによって、大動脈弁が開いたときに大動脈根での圧力が減少した。それとは反対に、心拡張期の間、バルーンがふくらみ、拡張期圧を上昇させ、身体の下部(バルーンの一方の側)に向けて遠位方向に沿って大動脈へ、また近位方向に沿って心臓へ血液が押し出されて、冠状動脈(他方の側)に入る。
【0012】
そのような逆拍動装置の主な利点は、大動脈内容積及び圧力を低下させる心収縮期性収縮であり、後負荷及び心筋酸素消費の両方を減らすことであった。換言すれば、バルーンが膨らんでいる時、大動脈内の圧力が人工的に高くなるので、冠動脈に対する血液潅流がよりいっそう良好とする付加的な利益がもたらされる。バルーンがしぼむ時、大動脈弁が開く直前は、大動脈の圧力及び容積が減少し、心臓の負担となっている血液動態をいくらか和らげる。これらの生理学的反応は、患者の心臓拍出量及び冠状動脈循環を改善し、一時的に血液動態を改善した。一般に、IABPによる逆拍動は、心臓拍出量を約15%まで増大させ、これによって患者の血液動態ステータスをしばしば十分に安定化され、さもなければ急激に低下する。心臓によるいっそう効率的なポンピング能力の証拠があり、患者が血液動態ステータスの改善されたクラスに移った場合、低下をモニタしている間ゆっくりと離すことで、逆拍動が中断される。
【0013】
1979年まで、カテーテルの挿入は外科的に、一般に大腿骨動脈を切開することによって行われてた。そのときから、経皮的なIABPカテーテルの開発によってより速い、そして多分より安全な挿入が可能となるととともに、より迅速な治療の確立と臨床への応用が拡大した。しかし、バルーンの膨張及び収縮は体外で用いられなければならないほどかなり大きい空気ポンプを必要とするので、患者は運動や通常の日常生活を送ることに対して制限が加わる。したがって、IABP装置は数日から数週間という短期間の使用に制限される。
【0014】
上記したように、種々の心室補助ポンピング機構が設計されてきた。一般にLVADに対応付けられたものとして弁があり、該弁は単一方向性の血流を保証するための注入口導管及び排出口導管で使用される。心臓に近接させることで、単一方向性の流れは心臓への不注意な逆流を避ける必要があった。そのような弁の使用は、LVAD装置のトロンボゲン形成の可能性も最小にした。
【0015】
一般に、古いLVADに対応されたポンプは、プッシャー・プレートあるいはダイアフラグム・スタイルの大きい拍動流ポンプ、例えば Baxtor NovacorまたはTCIによって製造されたものであった。ポンプを胸腔及び(または)腹腔に埋め込むことから、侵襲的な大手術が必要とされた。ポンプの駆動は、機能をモニタ及び再プログラムするポータブル型外部コンソールによって経皮的な経路を通して一般に行われた。
【0016】
あるいは、回転ポンプ、例えば遠心ポンプまたはアキシアル・ポンプが心臓補助装置で使われていた。遠心ポンプでは、事実上同一平面上で血液の出入りが行われる。それとは対照的に、アキシアル・ポンプではロータの回転軸に沿って血液が誘導される。アルキメデスねじポンプによって引き起こされることは、アキシアル・ポンプの一つのデザインがほぼ鉛筆消しゴムの大きさまで小型化されるが、他のデザインは大きい。寸法が小さいにも係わらず、アキシアル・ポンプは古いLAVDで使用されるものに接近する流れを作るほど十分に強力であると思われる。しかし、たとえ小型化されたポンプであっても、ポンプは一般に大動脈弁を経由して、あるいは心臓の頂端を経由して左心室に導入され、さらにその機能は経皮経路を通って身体のコンソール外側からその機能を制御しなければならない。
【0017】
既に言及したこれらの心臓補助システムの全ては、2つの目的のうちの一つ、あるいは両方に対して役割を果たす。すなわち、これらの目的は、(1)患者の機能するが発病している心臓のパフォーマンスを、最小の、NYHACクラスIVから、事実上正常である1または0として分類されるまで、改善すること、あるいは(2)患者の心臓がCHFを罹患している場合に器官の要求を満たすように患者に対して酸素化された血液循環を補うことである。そのような系では、極端なポンピング、及び大量のエネルギー、容積、及び熱放散が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,267,940号
【特許文献2】米国特許第4,240,409号
【特許文献3】米国特許第4,968,293号
【特許文献4】米国特許第4,080,958号
【特許文献5】米国特許第4,034,742号
【特許文献6】米国特許第4,995,857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
これらの心臓補助装置の多くが共通していくつかの一般的な特徴を有する。すなわち、(1)装置は本質的に心臓である。すなわち、心臓の中、あるいは隣接して置かれるか、あるいは心臓に関連した主な血管の一つ(大動脈)の中に置かれる。(2)乳頭上循環系で自然に見い出される拍動性の血流を増やすことで、逆流を戻すための弁が必要となる。(3)装置は外部コンソールから駆動され、しばしば患者の心電図によってトリガーされる。さらに、(4)対応するコネクタ及び付属品を持つ血液ポンプの寸法は、被移植者の解剖学的及び生理学的範囲内において一般に扱いにくい。これらの特徴の一つまたはそれ以上を持つことで、従来の心臓補助装置はその有効性及び(または)実用性に限界がある。侵襲的な大手術を避ける心臓補助装置を用いること、また患者の運動を著しく妨げる周辺機器の使用をさけることが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、ポンプ機能の変化及び循環血液動態の異常によって生ずるCHFの様相を扱い、且つ、従来の心臓補助装置の限界を克服することにある。患者の器官の一つ以上に対してバイパスとして機能することではなく、本発明は患者の血液循環を補助する心臓外ポンピング装置からなっており、患者の心臓または主要な血管に結合したコンポーネントは一切有していない。したがって、性質という観点からは心臓とは異なるものである。侵襲性が最小限の手順によって適用される能力を備えているので、本発明はCHFを罹患している患者の状態を著しく改善し、たとえCHFが継続していても患者の気分をかなり良好なものとする。本発明の補助的であるが、重要な利益としては、心臓にかかるポンピング負荷を減少させ、それによって使用中に心臓が快復するのを潜在的に可能とさせる方法で、本発明が適用されることである。本発明によれば、大きなポンプ、弁、酸素発生装置は必要とされず、心臓の大手術を伴う胸部侵襲の必要性がない。実際、本発明の重要な利点は、単純ではあるけれども、CHFを罹患している患者の状態を著しく改善することである。
【0021】
本発明の心臓外装置は、好ましくは、患者の心臓のものよりも著しく低い心拍数、すなわち流速で、患者に血液を送るように構成された回転ポンプを有することである。同様に、他のタイプのポンプも効果的である。血液をポンピングすることによって、ポンプから排出される血液に対して動的及び潜在的エネルギーを付与し、ある範囲まで血液に再び活力を与える。重要なことは、本発明のポンピング装置におけるポンプは、好ましくは、心拍数でポンピングするために設計された従来のポンプと比較した場合に、相対的に低いエネルギー入力を必要とするものである。ポンプは、歩行しようとする患者の能力、実用性、あるいは必要性に応じて移植してもよいし、移植しなくてもよい。
【0022】
また、本発明は、血液をポンプから第1の末梢血管へ血液を送るために、ポンプと流体が流れるように結合した流入導管と、血液をポンプから第2の末梢血管へ送るために、ポンプと流体が流れるように結合した流出導管とを有する。血管との流入及び流出導管の接続は、侵襲的な大手術を行うほどには深くなく経皮的に行われる。換言すれば、ほんのわずかだけ真皮下である。このことは、侵襲性が最小の手順で接続を行うことを可能とする。好ましくは、接続の、問題となっている血管又は接続の位置にもとづいて、血管に対する接続は皮膚直下、あるいは筋肉の第1の層の下である。
【0023】
心臓外システムの一実施態様では、ポンプは連続流動及び(または)拍動ポンプであり、該ポンプは移植可能で、また2本の末梢動脈、例えば流入側の大腿部動脈と流出側の腋窩動脈とを接続するために使用され、他の末梢血管も考えられるが、他の動脈及び(または)静脈、同様に任意の単数の、及び(または)累積的な組み合わせが含まれる。別の実施態様では回転ポンプを用いる。この回転ポンプは、同時に同時拍動(copulsating)または逆拍動(counerpulsating)様式で、あるいはいくらかフェーズからはずれたそれらの中間で制御可能である。一つの用途では、本発明は心臓、心臓が心臓収縮期の間、大動脈根端で圧力が減少するのを経験するように適用されるので、心臓に負担がかかる血液動態が減少し、心臓の回復が可能となる。
【0024】
本発明の装置全体が移植されるところは、侵襲性の大手術の必要性無しに移植されるところで、皮下、好ましくは胸郭外であると考えられる。例えば、ポンプは鼠径部領域に移植されてもよく、大腿部またはそれに近位の腸骨動脈に接着した流入導管と、肩に近位の腋窩動脈に接着した流出導管とを持つ。ポンプから腋窩動脈の皮膚の下に流出導管を通すことで、該流出導管を適用されると考えられる。移植された場合、ポンプは好ましくは移植可能なバッテリによって動力を供給され、該バッテリはRE誘導装置または定期的に取り替えることによって外側から充填してもよい。
【0025】
また、本発明は患者の血液循環を補助し、患者の心臓に任意のコンポーネントを接続することなく患者の心臓にかかるポンピングの負荷を潜在的に減少させる方法を含む。本発明の方法は、流入導管及び流出導管が取り付けられ、かつ平均的な副心性(subcardiac)である容積測定率で血液をポンピングする構成となったポンプを移植するステップと、患者の第1の末梢血管からポンプへの血液が流れ込むことを可能とするために、流入導管の遠位端を侵襲性が最小の外科的処置によって第1の末梢血管に接続するステップと、皮下に流入導管を移植するステップと、ポンプから患者の第2の末梢血管に血液を流れていくことを可能とするために、流出導管の遠位端を侵襲性が最小の外科的処置によって第2の末梢血管に接続するステップと、患者の循環系に血液を貫流させるためにポンプを操作するステップとを有する。一つの特定の用途では、ポンプは同時制御が可能であり、ポンプを操作するステップは、等容性収縮期の間、ポンプからの血液の排出を開始させるステップと、大動脈弁が心収縮期の後に閉じるとき、血液の排出を中止するステップとを有する。患者及び本発明の特定の様式にもとづいて、この特定の方法は循環を補助するとともに心臓に対する後負荷を減少させる。例えば、一実施態様では、第1及び第2の血管は、それぞれ大腿部動脈及び腋窩動脈である。
【0026】
本発明を適用するための別の方法では、ポンプは移植されず、流入及び流出導管は、各導管の遠位端を血管に接続するための容易に取り外し可能なコネクタ、例えばカニューレを用いて第1及び第2の血管に経皮的に接続される。
【0027】
本発明の重要な利点は、体外装置の必要性なしに、あるいは血管を部分的に遮るバルーンまたは同様の手段を必要とすることなしに、IABPの利点を利用することである。したがって、本発明は単純で長期間の使用を提供する。
【0028】
本発明のこれらの特徴及び利点、さらに他の特徴及び利点は、以下、図面を参照しながら説明されるが、例証することを目的とするものであって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】左心室補助装置としられるとして知られる心臓補助装置の模式図であって、左心室の頂端から大動脈弓までのバイパスが示されている。
【図2】本発明の第1の実施態様の模式図であって、患者の循環系に適用された状態を示す。
【図3】本発明の第2の実施態様の模式図であって、患者の循環系に適用された状態を示す。
【図4】患者に移植された図2の第1の実施態様の変形例を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施態様の模式図であって、患者の循環系に適用された状態を示す。
【図6】本発明の第4の実施態様の模式図であって、患者の循環系に適用された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、この明細書に添付された図面にもどり、本発明の実施態様のより詳細な説明を以下にする。しかし、いくつかの実施態様がここで認識された全ての利点を持つ一方で、他の実施態様も利点の全てではなくそのいくつかのみを実現するものと思われる。
【0031】
本発明は、本質的に心臓外である心臓補助装置を提供する。換言すれば、本発明は血液潅流を補助し、心臓及び大動脈に直接相互作用する必要がない。したがって、本発明を用いるために侵襲性の大手術を必要とするようなことはない。ある種の状況下では、本発明は心収縮期の間、動脈根端の圧力を減少させることで心臓にかかる血液動態の負担も減らす。
【0032】
図2を参照すると、本発明の第1の実施態様10は、患者12に適用されたところが示されており、この患者12は病んだ心臓14と大動脈16とを持ち、そこから右鎖骨下動脈18、右頸動脈20、左頸動脈22、及び腋窩動脈24を含む左腕頭末梢血管が延びている。下行大動脈から延びているのは、別の組の末梢血管、左及び右大腿動脈26、28である。
【0033】
第1の実施態様10は、可撓性の導管を接続するための入口34及び出口36を持つポンプ32を有する。ポンプ32は好ましくは回転ポンプで、軸タイプまたは遠心タイプであるが、市販のものでもカスタマイズしたものであっても他のタイプのポンプを使用することも可能である。いずれかの場合も、ポンプは侵襲的な大手術を必要とすることなく、皮下に移植されるほど十分に小さいものとすべきであり、また好ましくは胸郭外的に、例えば患者の鼠径部に移植されるべきある。本発明は心臓外装置であることから、弁を必要としない。ポンプ及び(または)流入導管を通したいかなる不注意な逆流であっても患者を傷つけることはないであろう。
【0034】
選択されたスタイルに関係なく、本発明のポンプ32は、それよりも上の流量でも効果的ではあるが、心臓の容積流量を下回る、即ち、平均的な健康な心臓の流量の約50%未満で、血液をポンピングする寸法に形成されている。したがって、本発明のポンプ32は、所望の用途及び(または)心臓補助の必要性の度合いに応じて、0.1乃至3リットル/分の容積流量でどこでも血液を排出する寸法及び構成となっている。例えば、鬱血性心不全が進行している患者に対して、2.5乃至3リットル/分の平均流量を持つポンプを用いることが好ましいかもしれない。別の患者では、特に心不全の度合いが最小である患者では、0.5リットル/分以下の平均流量を持つポンプを用いることが好ましいかもしれない。
【0035】
一実施態様では、選択されたポンプは連続流動ポンプであり、循環系の血液潅流は連続的である。別の実施態様では、選択されたポンプは同期的作動、すなわち同時拍動または逆拍動様式のいずれかで、拍動モードで始動されてもよい。
【0036】
同時拍動動作では、一般に心収縮期で血液を排出して作動を開始し、例えば大動脈弁が開く前か、あるいは大動脈弁が開いている時に、等容性収縮期の間に、ポンプ32が始動させられると考えられる。ポンプは、心収縮期後に大動脈弁が閉じられている時は静的であり、例えば、大動脈弁が閉じている時は作動を停止する。
【0037】
逆拍動作動では、ポンプ32は一般に心拡張期の間作動し、例えば等容性収縮期の前またはその間に作動を停止すると考えられる。そのような用途は冠状動脈血液潅流を高めることを可能とする。この用途では、ポンプは大動脈弁が開いた後の心収縮期の残りの間、心臓がポンピングしなけらばならないことに対する負担を減らすために静的であると考えられる。開いている大動脈弁は、開口及び開閉の時期を含むもので、血液はその間を流れる。
【0038】
同時拍動及び逆拍動という呼び方は、一般的な識別名であって、ポンプが作動し、かつ作動が中止される患者の心臓の周期の特定点に限定されるものではないことを認識しておくべきである。どちらかと言うと、それは一般に、少なくとも部分的に、心収縮期と心拡張期との間でポンプが作動しているポンプ始動に言及するように意図されている。例えば、患者の所定の要求または所望の結果に応じて、ここで説明した真の同時拍動または逆拍動作動からはずれて起動されるかもしれないが、いまだ同期的であると考える。等容性収縮期の前後で、あるは等容性膨張の前後で開始するためにポンプがシフト作動されるかもしれない。
【0039】
さらに、拍動ポンプは、患者の心臓と非同期的に拍動するように作動してもよい。一般に、患者の心臓が不規則に鼓動している場合、ポンプを同期的に拍動させることが望まれ、心臓外ポンピング装置による血液潅流がよりいっそう規則的であり、器官に対して酸素を供給する上でよりいっそう効果的である。患者の心拍が規則的ではあるが弱い場合、心臓外ポンプの同期的拍動が好ましいかもしれない。
【0040】
ポンプ32は、電気モータ40によって駆動され、好ましくはプログラム可能なコントローラ42によって制御される。このコントローラ42は、望ましい場合、拍動様式でポンプを作動させることができ、またポンプの速度を制御することができる。同期制御では、患者の心臓は、好ましくはコントローラ42によってフィードバックされるEKGによりモニタされる。コントローラ42は好ましくは外部手段の使用によってプログラムされる。このことは、例えば一般に移植可能なペースメーカ及び細動除去器で使用されるRF遠方計測回路を用いて達成することもできる。コントローラは、圧力または患者のEKG等のパラメータをモニタする周囲のセンサからのフィードバックにもとづいて、ポンプの同期または同期的拍動の調整及び(または)速度の自動的調整を可能とするように、自動調整されてもよい。必要に応じて逆方向ポンプの利用も意図され、コントローラはモータまたはポンプのインペラのいずれかの方角を反転させることができる。そのようなポンプは、2本の抹消血管間の血行の方向を反転させるオプションを持つことが望まれる場合に使用してもよい。
【0041】
モータ40及びコントローラ42への電力は、電磁気学的にバッテリにカップリングして電荷を誘導する外部誘導源(不図示)、例えばRF誘導コイルによって好ましくは再充電可能なバッテリ44によって供給される。ポンプは、感知可能な生命に係わる効果を伴うことなく、再充電の間一時的に停止させることができる。なぜなら、装置は心臓と置き換わるよりはむしろ心臓を補うだけである。
【0042】
コントローラ42及びバッテリ44が好ましくは事前にポンプ32に組み付けられ、それとともに移植される場合、ポンプ32及びモータ40は一つの場所に移植され、またコントローラ42及びバッテリ44は別の場所に移植されるように意図されている。一つの別の実施態様では、ポンプ32は経皮的な動力伝達装置を通して外部から駆動してもよい。さらに別の実施態様では、ポンプ、モータ、及びコントローラを移植して体外のバッテリによって電力供給を受けるようにしてもよい。後者の場合、バッテリは患者の側面に取り付けて、完全に歩行運動を可能とさせる。
【0043】
ポンプ32の入口34は、好ましくは可撓性の流入導管50と可撓性の流出導管52とに接続して血流を一つの末梢血管からもう一つの末梢血管へ送る。流入及び流出導管50、52は、例えばDacron, HemashieldまたはGortex材料から形成されるが、別の材料も適するかもしれない。ある場合では、流入及び(または)流出導管は既に商業的にポンプに取り付けられて提供することも可能である。ポンプ32及び導管50、52の移植を望む場合、導管の内径を25mm未満にすることが好ましい。しかし、直径がわずかに大きくても効果的であると思われる。
【0044】
本発明の好ましい用途では、第1の実施態様は動脈−動脈様式で適用される。例えば、図2に示すように大腿部-腋窩のバイパスとして適用される。腋窩-大腿部バイパスが上記した実施態様を用いることで同じく効果的であることは当業者に容易に理解されるであろう。実際、本発明は患者の末梢血管のいずれかに適用可能であることを当業者は理解すべきである。
【0045】
流入導管50は、ポンプ32の入口34と接続する第1の近位端50と、第1の末梢血管、右大腿動脈または任意の別の末梢動脈でもよいが、好ましくは患者12の左大腿動脈26と接続する第2の遠位端58とを有する。一つの用途では、流入導管50と第1の血管との接続は端面と側面との吻合を介するが、流入導管が第2の端部で別の血管(不図示)に接続された導管の中間ストリーム(mid-stream)が側面と側面との吻合接続に使われるかもしれない。
【0046】
同様に、流出導管52は、ポンプ32の出口36と接続する第1の近位端62と、患者12の第2の末梢血管、右腋窩の動脈、または任意の別の末梢動脈でもよいが、好ましくは左腋窩動脈24と接続する第2の遠位端64とを有する。一つの用途では、流出導管52と第2の血管との間の接続は、端面−側面間の吻合を介するが、流出導管が第2の端部でさらに別の血管(不図示)に接続された導管の中間ストリームが側面と側面との吻合接続に使われるかもしれない。好ましくは、流出導管は、図2に示されるように、大動脈及び心臓に向かって近位方向にポンプから出た所定の血流が得られる角度で第2の血管に取り付けられる。
【0047】
末梢血管に対する本発明の適用が皮下、すなわち侵襲的な大手術を避けるように皮膚または第1の筋肉層の真下で深さが浅い部分で達成されることが好ましい。また、本発明は患者の胸部窩洞を侵害する必要を避けるために胸郭外的に適用されることが好ましい。
【0048】
望まれる場合、本発明の心臓外装置10を患者12に移植してもよい。この場合、ポンプ32は、経皮的に、例えばポンプ32に近位の大腿動脈26に接続した流入導管50によって、例えば鼠径部の領域に移植されてもよい。流出導管は、例えば左腋窩動脈24を経皮的に通る。別の配置では、ポンプ32及び関連するドライブ及びコントローラは一時的に患者の外皮に留められ、流入及び流出導管50、52が経皮的に接続される。いずれの場合も、患者は係留ライン(tethered line)の制限無しに歩行することが可能である。
【0049】
吻合接続が切望されない場合、特定のコネクタを使用して導管50、52を末梢血管に接続することが意図されている。図3を参照すると、本発明の第2の実施態様が示されており、流入導管50及び導出導管52は、各々が3つの開口管継手を持つ第1及び第2のコネクタ68、70に接続されている。好ましい実施態様では、コネクタ68、70は血管内、略ティ(T)形状の管継手72と、遠位端76、及び流入及び流出導管50、52と血管との接続を可能とする角形分岐部78を有する。管継手72の近位及び遠位端74、76は、管継手が位置決めされる血管への接続を可能とする。管継手72の分岐部78の角度は、血管を通る流れの角度から90度以下であってもよい。別の実施態様では、コネクタ68、70は末梢血管の外側を包囲かつ接続するスリーブ(不図示)であり、該スリーブの内側には、血管に対するポートが形成され、それによって導管50、52がコネクタ68、70にそれぞれ接続されている場合に導管50,52からの血流を許す。別の構成を有する別のタイプのコネクタは、吻合接続または血管への導管の接続を許す必要性を避けるように意図される。血管への接続は、カニューレを介して行うことが意図され、該カニューレは導管の流入及び流出導管に沿って移植される。
【0050】
別々のコネクタの利点は、慢性CHF患者に対するそれらの潜在的適用である。コネクタは、1回以上装置の除去及び(または)交換を必要とする場合に、本発明の装置の導管と血管との間の吻合接続の必要性を取り除く。コネクタは、後で本発明の装置を患者に素早く接続するために分岐部に設けられた末端キャップによって、第1及び第2の血管に半永久的に適用することができる。この点に関して、毎回、吻合手順を介して血管に導管を再び接続したり外したりする必要なく、患者は本発明の利益を定期的に経験するかもしれない。本発明を実行することが望まれるたびに、末端キャップを取り外し、導管を素早くコネクタに取り付ける。
【0051】
コネクタ70の好ましい実施態様では、図3に示すように、分岐部78は管継手72の軸から90度未満で際だった鋭角で配向し、流出導管52を通り血管(例えば、左腋窩24)に流れる血液の大部分は心臓14から遠位方向に流れるよりはむしろ、近位方向に流れる。別の実施態様では、同一の結果を達成するために、角形分岐部を必要とすることなく、管継手72の近位端74は遠位端76の径よりも大きな径を有する。
【0052】
コネクタの有無にかかわらず、大動脈に向かう近位方向の血流によって下行大動脈に同時に流れることも可能で、動脈根端の圧力の減少をもたらすであろう。したがって、本発明は、患者の心臓に対する後負荷が減少するように適用することが可能で、血液循環を補助する一方で、もし完全にCHF回復がなされていなければ少なくとも部分的な回復を可能とする。同時の流れは、拍動ポンプの動作フェーズと流出導管が接続する第2の血管の選択とに依存する。
【0053】
本発明が動脈-動脈 バイパスを作るために適用される一方で、本発明の本質、すなわち器官の要求に合致する循環の補助を与えることで、静脈−動脈バイパスもまた使用しておよい。例えば、図4を参照すると、本発明の一実施態様10は、流入導管50が末梢血管、例えば左大腿動脈80に接続されるようにして、患者12に適用される本発明の一実施態様を患者12に適用してもよい。この配置では、流出導管50は末梢動脈、例えば左腋窩動脈24の一つに接続する動脈−静脈の装置が同様に意図される。流入は静脈に接続し、出力は動脈に接続するそれらの静脈−動脈の例の場合、ポンプ32は酸素が不十分な血液が動脈内で受け入れ難いレベルまで増えないように、十分に小さい流れに合わせてサイズを定められるべきである。末梢静脈への接続は、末梢動脈に接続させるために上記した方法の一つ以上によることを認識しなければならない。また、本発明を静脈−静脈バイパスとして適用でき、流入及び流出は別の末梢静脈に接続されることを認識しなければならない。さらに、別の実施態様は2つの別々のポンプと導管配置とを有するもので、一つは静脈−静脈バイパスに適用され、他方は動脈−動脈バイパスに適用される。
【0054】
本発明の部分的外部適用は、患者の心不全が急性である場合、すなわち長く続くとは予期されない場合、あるいは心不全の早い段階にある場合(患者はNew York Heart
Association Classification (NYHAC) の機能分類でIIまたはIII)に熟考される。図5を参照すると、本発明の第3の実施態様110は、ポンプ132とその関連したモータ及びコントローラとが体外で使用される2本の末梢血管間をバイアスする患者112に対して経皮的に与えられる。ポンプ132は、2本の末梢血管を接続するために対応付けられた流入導管150と流出導管152とを持つ。流入導管150は、第1の端部156と第2の端部158とを有し、該第2の端部はカニューレ180によって第1の末梢血管(例えば大腿動脈126)に接続されている。カニューレ180は、流入導管150の第2の端部158に密閉可能なかたちで接続した第1の端部182を有する。また、カニューレ180は、外科的開口部186を通して皮膚または筋肉の第1の層を突き抜けるために、また血管源(例えば、大腿動脈126)を突き抜けるために、第2の端部を有する。
【0055】
同様に、流出導管152は第1の端部162と第2の端部164とを有し、第2の端部は、カニューレ180によって第2の末梢血管(例えば、左腋窩動脈124)に接続されている。流入カニューレのように、流出カニューレ180流出導管152の第2の端部164と密閉可能なかたちで接続した第1の端部182を有する。また、流出カニューレ180は外科的開口部190を通して皮膚または筋肉の第1の層を突き抜けるために、また第2の血管(例えば、左大腿動派124)を突き抜けるために、第2の端部184を有する。経皮的に適用することで、本発明はいかなる態様を移植する必要もなく、あるいは血管に対して吻合接続させる必要もなく、一時的に適用してもよい。
【0056】
第3の実施態様の別の変形例は、各々の場合の時間が短く、特定のコネクタを使用することなく患者を定期的に処置することが求められる。この変形例で、流入及び流出導管の第2の端部は、より永久的に対応する血管に、例えば吻合接続によって接続する。ここで、血管接続に対して近位である各導管の部分は、外方向に露出された第1の端部を囲む着脱自在のキャップによって経皮的に移植されている(またはその妨害する端部)。血流を補助するために循環パイパスを設けることが求められる場合、露出し、かつ経皮的に配置された導管の各々に置かれた着脱自在のキャップを取り除き、ポンプ(または1本の流入及び(または)流出導管が取り付けられたポンプ)を露出された経皮導管の間に挿入する。この点に関して、毎回、血管に対して導管を再び接続したり解除したりする必要なく、患者が定期的に本発明の利益を経験することが可能である。
【0057】
本発明の別の実施態様は、複数の流入及び流出導管を含む。例えば、図6を参照すると、本発明の第4の実施態様は、複数の流入導管250A、250B及び複数の流出導管252A、252Bと流体で連通するポンプを有する。導管の各々の対は、流入端で流れを収束させ、流出端で流れを分散させる略V字形コンバージェンス298で収束する。各導管は、別の末梢血管に結合してもよいが、離れた位置で同一の血管に対して2つの接続を持つことが可能である。一つの配置では、4つの導管全てが抹消動脈に接続される。代わりに、一つ以上の導管を血管に接続させることができる。図6に示す用途では、流入導管250Aは左大腿動脈226に接続し、一方、入力導管250Bは左大腿静脈278に接続する。流出導管252Aは左腋窩動脈に接続し、一方、流出導管252Bは左頸動脈222に接続する。注目すべきことは、任意の、あるいは全ての導管が血管に接続することは、上記したように、吻合接合を介して、あるいは特定のコネクタを介する。さらに、図6の実施態様は、患者の状態にもっとも適する末梢血管の任意の組み合わせに適用される。例えば、一つの流動導管及び2つの流動導管またはその反対を持つことが望ましい。最後に、2つを越える数の導管を流入及び流出側に使用してもよく、流入導管の数は流出導管の数と等しくする必要はない。
【0058】
上記記述は本発明の独創的な特徴を種々の実施態様によって説明したが、装置または方法の形態及び詳細の変形例を、当業者は本発明の精神から逸脱することなく提供することが可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0059】
10 心臓外ポンピング装置
26 大腿動脈
32 ポンプ
44 バッテリ
50 流入導管
52 流出導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓が動いている際に患者の体内にわたっての血液循環を補助するためのポンピングシステム(10)であって、
このポンピングシステム(10)が、血液を送るためのポンプ(32)と、このポンプ内へと血液を導入し得るものとされた流入導管(50)と、前記ポンプから血液を導出し得るものとされた流出導管(52)と、を具備し、
前記ポンプ(32)は、通常動作時における平均流量が、患者の心臓の平均的出力流量よりも実質的に低いものとされ、
前記流入導管(50)が、25ミリメートル以下の内径を有し
前記流出導管(52)が、25ミリメートル以下の内径を有し、
前記流入導管(50)および前記流出導管(52)の少なくとも一方が、患者の末梢動脈内へと挿入され得るものとされ、
前記ポンピングシステム(10)が、このポンピングシステム内において酸素発生装置が設けられていないという前提条件下において、なおかつ、このポンピングシステム内においてバルーンが一切存在していないという前提条件下において、患者の体内にわたっての血液循環を補助することができることを特徴とするポンピングシステム。
【請求項2】
請求項1記載のポンピングシステムにおいて、
前記ポンプ(32)と前記流入導管(50)と前記流出導管(52)とが、低侵襲的な外科手術によって移植し得るようなサイズとされていることを特徴とするポンピングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−148901(P2010−148901A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37404(P2010−37404)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【分割の表示】特願2004−372152(P2004−372152)の分割
【原出願日】平成10年10月9日(1998.10.9)
【出願人】(501356215)ソーラテック コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】