説明

移植機

【課題】苗継ぎ等のために植付部に対して、左右スライドする苗載せ台を一方側端で停止させる端寄せモードへの切換えを、スムーズに行うことができる移植機を提供する。
【解決手段】苗載せ台14から苗を掻きとって圃場に植付ける植付部16、及び苗載せ台を植付部に対して左右往復移動させる横送り機構を有する植付作業機7と、植付作業機への動力を断続させる植付クラッチと、植付作業機の昇降及び植付クラッチの断続を操作する作業機操作具と、横送り機構を介して植付部に対する苗載せ台の左右動を制御する制御部11とを備え、該制御部が苗載せ台を左右の一方側端で停止させる端寄せモードを有する移植機において、作業機操作具の操作に優先して植付作業機の昇降を停止させる昇降停止操作具を備え、該昇降停止操作具の操作に基づく植付作業機の昇降高さ固定に起因して、端寄せモードへの切換えを行うように制御部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
苗載せ台を左右の一方側端で停止させる端寄せモードを有する移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗載せ台、該苗載せ台から苗を掻きとって圃場に植付ける植付部及び苗載せ台を植付部に対して左右往復移動させる横送り機構を有する植付作業機と、植付作業機への動力を断続させる植付クラッチと、植付作業機の昇降及び植付クラッチの断続を操作する作業機操作具と、横送り機構を介して植付部に対する苗載せ台の左右動を制御する制御部とを備え、該制御部が苗載せ台を左右の一方側端で停止させる端寄せモードを有し、端寄せモードへの切換えによって苗継ぎ等を円滑に行うことが可能な特許文献1に示す移植機が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献の移植機は、端寄せモードへの切換えを行うにあたり、警報の報知を停止させる警報停止スイッチの入操作等の特別な操作が行われることを条件としているため、端寄せモードへの切換えを円滑に行うことが難しい場合があり、良好な操作性を確保するという観点から課題がある。
本発明は上記課題を解決し、苗継ぎ等のために植付部に対して左右スライドする苗載せ台を一方側端で停止させる端寄せモードへの切換えをスムーズに行うことができる移植機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明の移植機は、第1に、苗載せ台14、該苗載せ台14から苗を掻きとって圃場に植付ける植付部16及び苗載せ台14を植付部16に対して左右往復移動させる横送り機構を有する植付作業機7と、植付作業機7への動力を断続させる植付クラッチと、植付作業機7の昇降及び植付クラッチの断続を操作する作業機操作具22と、横送り機構を介して植付部16に対する苗載せ台14の左右動を制御する制御部11とを備え、該制御部11が苗載せ台14を左右の一方側端で停止させる端寄せモードを有する移植機において、作業機操作具22の操作に優先して植付作業機7の昇降を停止させる昇降停止操作具24を備え、該昇降停止操作具24の操作に基づく植付作業機7の昇降高さ固定に起因して端寄せモードへの切換えを行うように制御部11を構成したことを特徴としている。
【0006】
第2に、昇降停止操作具24の操作に基づく植付作業機7の昇降高さ固定時における植付クラッチの接続操作によって端寄せモードへの切換えを行うように制御部11を構成したことを特徴としている。
【0007】
第3に、植付クラッチの切断操作によって端寄せモードが終了するように制御部11を構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明の移植機によれば、端寄せモードへの切換えを行うにあたり、苗継ぎ又はメンテナンス時に通常行う操作である植付作業機の昇降高さ固定を端寄せモード移行の条件としているため、警報の報知を停止させる警報停止スイッチの入操作等の特別な操作が行われることを条件として端寄せモードへの移行を行う場合と比較して、スムーズに端寄せモードへの移行を行うことが可能になる他、上記特別な操作も不要になるため、操作性も向上するという効果がある。
【0009】
また、昇降停止操作具による植付作業機の昇降高さ固定時における植付クラッチの接続操作によって端寄せモードへの切換えを行うとともに、植付クラッチの切断操作によって端寄せモードが終了するように制御部を構成することにより、昇降停止操作具による植付作業機の昇降高さ固定時にオペレータが行う植付クラッチの断続操作によって端寄せモードへの移行及び端寄せモードの終了を円滑に行うことが可能になり、操作性がさらに向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の移植機を適用した乗用田植機の側面図である。
【図2】運転席前部の拡大背面図である。
【図3】本乗用田植機に搭載された油圧装置の油圧回路図である。
【図4】制御部のブロック図である。
【図5】制御部のメインフロー図である。
【図6】制御部が行う作業機操作制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。
【図7】制御部が行う端寄せモード切替制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。
【図8】制御部が行う端寄せ停止制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。
【図9】端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態を示すフロー図である。
【図10】端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の移植機を適用した乗用田植機の側面図である。本乗用田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される走行機体3と、走行機体3に設けられた運転席4と、走行機体3の後部にリンク機構6を介して昇降自在に連結されて油圧シリンダである昇降シリンダ5の伸縮によって昇降駆動される植付作業機7とを備えている。
【0012】
上記運転席4におけるオペレータが着座する座席10の下方には、圧油の供給・排出により油圧シリンダ5を伸縮させて植付作業機7を昇降作動させる電磁制御弁ユニット8と、植付作業機の高さを検出するリフト角ポテンショ(昇降高さ検出手段)9と、マイコン等から構成されて電磁制御弁ユニット8を介した植付作業機7の昇降制御等を行う制御部11とを備えている。
【0013】
上記植付作業機7は、走行機体の進行方向である前後方向の軸回りに回動自在(以下、ローリング自在)にリンク機構6に支持された左右方向の角材状の横フレーム12と、横フレーム12から上方に突設された上下方向の左右一対の縦フレーム13等とによりフレーム部を構成している。リンク機構6に対して上記フレーム部をローリング自在に支持することにより、圃場において左右傾斜がある場合でも、植付作業機7の水平姿勢を保持することが可能になる。
【0014】
該植付作業機7では、上記フレーム部に横送り機構(図示しない)を介して左右スライド移動自在に苗載せ台14を支持するとともに、横フレーム12から後方に向かって植付部16を一体的に延設している。苗載せ台14は、横フレーム12側から前方に向かって上方に急傾斜してなり、背面側に苗を載置する載置面14aが形成されている。植付部16は、苗載せ台14の下方に左右並列配置されて複数設けられ、それぞれの前端側が植付ブラケット17によって横フレーム12に支持固定されている。また、苗載せ台14には、載置面14aに載置される苗であるマット苗を植付部16側である苗載せ面14aの下端側に下方搬送する縦送り機構(図示しない)が設置されている。
【0015】
上記構造では、載置面14a上で縦送り機構によって下端部まで送られた苗は、横送り機構によって左右の一方側端から他方側端まで苗載せ台14がスライド移動する過程で、順次掻き取られて圃場に植付けられる。その後、苗載せ台14が上記他方側端まで達すると、再び縦送り機構が作動して、新たな苗が載置面14aの下端部に供給される。新たに載置面14aの下端部に送られた上記苗は、横送り機構によって上記他方側端から上記一方側端に苗載せ台14が左右スライドする過程で、順次掻き取られて圃場に植付けられる。
【0016】
すなわち、横送り機構は苗載せ台14を植付部16に対して左右往復スライド移動させるように構成されており、該苗載せ台14がストロークエンドである左右の各端部にスライド移動した際には、載置面14aの下端側一列分の苗が植付部16によって全て掻き取られた状態になる。これに対応して、縦送り機構は、左右スライド過程で、苗載せ台14が左右の各ストロークエンドに達した際に作動して載置面14aの下端部に新たな苗を供給するように構成されている。このため、苗載せ台14にマット苗を供給する際には、苗載せ台14が左右のストロークエンドに位置していることが望ましく、このような理由から、本乗用田植機では、苗載せ台14を左右何れかのストロークエンドで停止させる「端寄せモード」を有している。
【0017】
なお、横フレーム12側に吊下げ支持されて苗載せ台14の下方に左右並列配置された前後方向の複数のフロート18を圃場面に接地させることにより、植付部16の対地高さ、すなわち、植付部16の植付け深さの設定を行う。
【0018】
ちなみに、複数のフロート18の内の1つは感知フロート18になる。この感知フロート18は、植付作業機7の昇降高さが低く土中に埋没した際には、前上りな姿勢になる一方で、植付作業機7の昇降高さが高く圃場面から離間した際には、前下りな姿勢になる他、植付作業機7の昇降高さが植付作業機を行うにあたって最適な高さである「植付高さ」になっている際には圃場面に沿って水平な姿勢になる。この感知フロート18の姿勢をフロート姿勢検知手段であるフロート姿勢検知ポテンショ20(図4参照)によって検出することにより、上述の制御部11は、植付作業機7を植付高さに自動的に昇降作動させる「自動昇降制御」を行うことが可能になる。
【0019】
次に、図1及び2に基づき、運転席4について詳述する。
図2は、運転席前部の拡大背面図である。運転席4には、上述の座席10と、座席10の前方に配置されて操向操作を行うステアリングハンドル19と、ステアリングハンドル19の左右の一方側側方(図示する例では左側方)に前後揺動可能に支持されて車体の前後進操作を行う前後進レバー21と、ステアリングハンドルの左右の他方側側方(図示する例では右側方)に上下揺動可能に支持されて植付作業機7の昇降操作等を行う作業機操作レバー(作業機操作具)22と、が設けられている。
【0020】
また、ステアリングハンドル19の作業機操作レバー22側側方の操作面には、押ボタン式の作業機準備スイッチ23が設けられるとともに、ステアリングハンドル19と前後進レバー21との間の操作面には、感度調節ダイヤル(昇降停止操作具)24が設置されている。
【0021】
オペレータは、感度調節ダイヤル24のダイヤル操作によって、上述の感知フロート18の姿勢変更に対する植付作業機7の昇降高さ調整の応答感度を変更する感度調整を行う他、作業機準備スイッチ23の入操作によって、植付作業が可能な状態に上記制御部11が切換えられる。ちなみに、上記感度調整は、制御部11から電磁制御弁ユニット8に出力する電気的なデューティ比を変更する等によって行う。
【0022】
次に、図2及び3に基づき、上述の電磁制御弁ユニット8等からなる油圧装置26の構成について説明する。
図3は、本乗用田植機に搭載された油圧装置の油圧回路図である。図示された油圧装置26は、油圧式無段階変速機であるHST27と、ステアリングハンドル19の操作に応じて走行機体3を油圧により操向作動させる油圧式のステアリングユニット28と、上述の電磁制御弁ユニット8等とを備えている。
【0023】
上記HST27は、エンジン29の動力がベルト伝動される入力軸31と、入力軸31によって駆動される可変式の油圧ポンプ32と、該油圧ポンプ32によって圧送される圧油によって作動する油圧モータ33と、該油圧モータ33の動力によって駆動される出力軸34とを備え、油圧ポンプ32により圧送される単位時間当たりの圧油量を無段階に変更することにより、入力軸31の動力に対して出力軸34の動力を無段階で変速するように構成されている。
【0024】
上記電磁制御弁ユニット8は、エンジン動力によって駆動される油圧ポンプ36によって油圧タンク37から圧送されてくる圧油を上述の昇降シリンダ5に縮小室5aの供給する流路を開閉するソレノイドバルブである上昇バルブ38と、上記縮小室5aから油圧タンク37に圧油を排出する流路を開閉するソレノイドバルブである下降バルブ39と、を備えている。また、昇降シリンダ5の伸張室5bは油圧タンク37と直結されている。
【0025】
本乗用田植機では、上昇バルブ38を閉状態として縮小室5aへの圧油供給を遮断するとともに下降バルブ39を開状態として縮小室5aからの圧油排出を行う「下降制御」を実行した場合には、植付作業機7の自重等により昇降シリンダ5が伸張作動して植付作業機7が下降する一方で、上昇バルブ38を開状態として縮小室5aへの圧油供給を行うとともに下降バルブ39を閉状態として縮小室5aからの圧油排出を遮断する「上昇制御」を実行した場合には、昇降シリンダ5が縮小作動して植付作業機7が上昇する他、上昇バルブ38及び下降バルブ39を共に閉作動させることにより昇降シリンダ5に対する圧油の供給・排出を遮断する「停止制御」を行った場合には、昇降シリンダ5の伸縮停止に伴い植付作業機7の昇降が停止される。
【0026】
また、図2に示す感度調節ダイヤル24を一方側端から他方側端に向かって(図示する例では反時計回りに)回動操作することにより、感知フロート18の姿勢変更に対する植付作業機7の昇降高さ調整の応答速度が次第に速くなるが、上記応答速度が最大となった状態から、さらに上記他方側端である「固定位置」に感度調節ダイヤルを回動操作した場合には、作業機操作レバー22による植付作業機7の昇降操作に優先して、上述の停止制御を行い、植付作業機7の昇降を停止させる「油圧固定制御」が実行される。
【0027】
次に、図4乃至10に基づき、制御部の構成について詳述する。
図4は、制御部のブロック図である。制御部11の入力側には、上述のリフト角ポテンショ9、フロート姿勢検知ポテンショ20、作業機操作レバー22、作業機準備スイッチ23及び感度調節ダイヤル24の他、苗載せ台14が左右何れかのストロークエンドに達したことを検出する端寄せ検出手段である端寄せスイッチ40と、クラッチ操作カムポテンショ41と、が接続されている。
【0028】
クラッチ操作カムポテンショ41は、クラッチ操作カム(図示しない)の断続操作を検出するポテンショメータであり、該クラッチ操作カムによってエンジン動力の植付作業機6への動力伝動を断続させる植付クラッチ(図示しない)の断続操作が行われる。ちなみに、このクラッチ操作カムによって、植付作業機6に動力が伝動されることにより、上記植付部16、横送り機構及び縦送り機構が上述のように駆動される。
【0029】
一方、制御部11の出力側には、上述の電磁制御弁ユニット8、さらに詳しくは上昇バルブ38及び下降バルブ39とが接続されている他、上記クラッチ操作カムを断続作動させるクラッチ操作カムモータ42が接続されている。このクラッチ操作カムモータ42によって、制御部11は、植付クラッチを接続作動させる「植付クラッチ入り制御」及び植付クラッチを切断作動させる「植付クラッチ切り制御」を行うことが可能になる他、横送り機構を介して植付部16に対する苗載せ台14の左右スライド移動を制御することができる。
【0030】
図5は、制御部のメインフロー図である。制御部11は、ステップS1から処理を開始する。ステップS1では、後述する作業機操作制御のサブルーチンを実行し、ステップS2に進む。ステップS2では、後述する端寄せモード切替制御のサブルーチンを実行し、ステップS3に進む。ステップS3では、後述する端寄せ停止制御のサブルーチンを実行し、ステップS1に処理を戻す。
【0031】
なお、上述の感度調節ダイヤル24が固定位置に回動操作されて上述の油圧固定制御が実行されている際には、制御部11から電磁制御弁ユニット8への制御信号の出力が停止され、ステップS1のサブルーチンが実行されていも、植付作業機7の昇降駆動が行われず、植付作業機7の昇降高さが固定された状態になる。このようにして、作業機操作レバー22の操作に優先して植付作業機7の昇降を停止させる油圧固定制御を行う。
【0032】
一方、感度調節ダイヤル24が固定位置以外に位置している場合には、制御部11による電磁制御弁ユニット8への制御信号の出力が可能になり、ステップS1のサブルーチンの処理が実行されることによって、植付作業機7が昇降作動可能な状態になる。
【0033】
図6は、制御部が行う作業機操作制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。同図に示されるように、制御部11は、作業機操作制御のサブルーチンが開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、端寄せモードの開始・終了によってON・OFFされる端寄せ制御フラグのON・OFFをチェックし、端寄せモードが実行されていないOFF状態であればステップS12に進み、端寄せモードが実行されているON状態であれば該サブルーチン処理を終了させて図5に示すメインルーチンに処理を戻す。すなわち、このステップS11の処理によって、端寄せモードが実行されている場合には、作業機操作制御のサブルーチン処理が実質的に行われず、図5に示すメインルーチンに処理が戻される。
【0034】
ステップS12では、作業機操作レバー22の操作検出を行い、下方揺動操作が検出されなかった場合には、ステップS13に処理を進める。ステップS13でも、作業機操作レバー22の操作検出を行い、上方揺動操作が検出された場合には、ステップS14に処理を進める。ステップS14では、リフト角ポテンショ9の検出結果及び電磁制御弁ユニット8への制御信号の出力状態等に基づいて植付作業機7が上昇作動しているか否かのチェックを行い、上昇作動していなければステップS15に進み、上昇作動していれば該サブルーチン処理を終了させ、図5のメインフローに処理を戻す。
【0035】
ステップS15では、自動昇降制御及び植付クラッチ切り制御が実行された「自動昇降状態」であるか否かを検出し、自動昇降状態でない場合には、ステップS16に進む。ステップS16では、自動昇降制御及び植付クラッチ入り制御が実行された「植付クラッチ入り状態」であるか否かを検出し、植付クラッチ入り状態であれば、ステップS17に進む。ステップS17では、自動昇降制御の実行を続行する一方で、植付クラッチ入り制御の実行を停止させるとともに、植付クラッチ切り制御を実行し、植付クラッチ入り状態から自動昇降状態への切換えを行い、該サブルーチンを終了させ、図5のメインフローに処理を戻す。
【0036】
すなわち、植付部16による植付作業中である植付クラッチ入り状態時に行う作業機操作レバー22の上方揺動操作が植付クラッチの切断操作になる。
【0037】
ステップS15において、自動昇降状態である場合には、ステップS18に処理を進める。ステップS18では、リフト角ポテンショ9を介して、植付作業機7の下降作動が停止しているか否かの検出を行い、下降作動が停止していれば、植付作業機7が既に植付高さに下降されている状態であるため、ステップS19に進み、上述の上昇制御を実行し、該サブルーチンを終了せ、処理を図5に示すメインフローに戻す。一方、ステップ18において、植付作業機7の下降動作が停止していない状態であれば、植付作業機7が植付高さに向かって下降作動している最中であるため、ステップS20に進み、上述の停止制御を行い、植付作業機7の昇降を停止させ、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。ステップS16において、植付クラッチ入り状態でない場合には、ステップS19に進む。
【0038】
ステップS12において、作業機操作レバー22の下方揺動操作が検出された場合には、ステップS21に処理を進める。ステップS21では、作業機準備スイッチ23の入切検出を行い、入操作されたON状態であれば、ステップS22に進む。ステップS22では、上述した手段と同様の手段により、植付作業機7が上昇作動しているか否かのチェックを行い、上昇作動していなければステップS23に進む。
【0039】
ステップS23では、上述の自動昇降状態であるか否かを検出し、自動昇降状態でない場合には、ステップS24に進む。ステップS24では、リフト角ポテンショ9の検出結果に基づいて、植付作業機7の昇降作動が停止しているか否かのチェックを行い、停止していればステップS25に進み、停止していなければ該サブルーチンを終了させ、処理を図5に示すメインフローに戻す。ステップS25では、自動昇降制御及び植付クラッチ切り制御を実行し、自動昇降状態への切換を行い、該サブルーチンを終了させ、を図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0040】
ステップS23において、自動昇降状態である場合には、ステップS26に進む。ステップS26では、リフト角ポテンショ9を介して、植付作業機7の下降作動が停止しているか否かの検出を行い、下降作動が停止している場合にはステップS27に進み、下降作動中である場合にはステップS28に進む。
【0041】
ステップS27では、植付作業機7が植付高さに位置している状態であるため、自動昇降制御及び植付クラッチ入り制御を直ちに実行し、植付クラッチ入り状態への切換を行い、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。ステップS28では、植付作業機7がまだ植付高さに達していない状態であるため、「植付クラッチ入待ち状態」にセットし、該サブルーチンを終了させ、を図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0042】
ステップS21において、作業機準備スイッチ23が切操作されたOFF状態であれば、ステップS29に進む。ステップS29では、リフト角ポテンショ9の検出結果及び電磁制御弁ユニット8への制御信号の出力状態等に基づいて植付作業機7が上昇作動しているか否かのチェックを行い、上昇作動していればステップS30に進み、上昇作動していなければステップS31に進む。
【0043】
ステップS30では、停止制御を実行して植付作業機7の上昇を停止させ、該サブルーチンを終了させて図5に示すメインフローに処理を戻す。ステップS31では、自動昇降状態であるか否かを検出し、自動昇降状態でなければステップS32に進み、自動昇降状態であれば該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。ステップS32では、自動昇降制御及び植付クラッチ切り制御を実行し、自動昇降状態への切換を行い、該サブルーチンを終了させ、を図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0044】
ステップS22において、植付作業機7の上昇作動が検出された場合には、ステップS30に処理を進める。
【0045】
ステップS13において、作業機操作レバー22の上方揺動操作が検出されなかった場合には、ステップS33に進む。ステップS33では、前回以前における作業機操作制御のサブルーチンの実行時に、ステップS28において植付クラッチ入待ち状態がセットされているか否かをチェックし、セットされていればステップS34に進み、セットされていなければ該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0046】
ステップS34では、植付作業機7の下降作動が停止したか否かの検出を行い、下降作動が停止している場合には、ステップS35に進み、まだ下降中である場合には、該サブルーチンを終了させ、を図5に示すメインフローに処理を戻す。ステップS35では、植付作業機7が植付高さに位置している状態であるため、自動昇降制御及び植付クラッチ入り制御を実行し、植付クラッチ入り状態への切換を行うことにより植付作業を開始し、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0047】
以上、植付作業機を行うために植付クラッチ入り状態に切換えられるパターンは2通りあり、何れのパターンでも、作業機準備スイッチ23のON状態時における作業機操作レバー22の下方揺動操作が条件となっている。一方のパターンであるステップS26→ステップS27の処理では、植付作業機7が既に植付高さまで下降しているため、直ちに植付クラッチ入り状態への切換が行われ、植付作業が開始される。これに対して、もう一方のパターンであるステップS26→ステップS28の処理では、植付作業機7が植付高さに下降するまで、次回以降の作業機操作制御のサブルーチンでは、ステップS34の分岐により、ステップS35の処理が実行されず、植付作業機7が植付高さに下降して停止した状態になって初めてステップS35の処理が行われ、植付クラッチ入り状態への切換が行われ、植付作業機が開始される。
【0048】
すなわち、作業機準備スイッチ23の入切によって、植付部16による植付作業機を行うことが可能な状態と、不可能な状態との切換操作を行う。また、作業機操作レバー22の下方揺動によって、植付クラッチの接続操作と、植付作業機7の下降操作である自動昇降制御の実行操作と、植付作業機7の上昇作動停止操作とを行う一方で、作業機操作レバー22の上方揺動によって、植付クラッチの切断操作と、植付作業機7の上昇操作と、植付作業機7の下降作動停止操作とを行う。
【0049】
図7は、制御部が行う端寄せモード切替制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。同図に示されるように、制御部11は、端寄せモード切替制御のサブルーチンが開始されると、ステップS41に進む。ステップS41では、固定位置に感度調節ダイヤル24を回動操作することにより実行される油圧固定制御が行われているか否かをチェックし、油圧固定制御が行われていない場合には、ステップS42に進み、行われている場合にはステップS43に進む。
【0050】
ステップS42では、端寄せモードの未実行を示すOFFに端寄せ制御フラグがセットされ、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理が戻す。一方、ステップS43では、植付クラッチの接続操作である作業機操作レバー22の下方揺動操作の検出を行い、植付クラッチの接続操作が検出されない場合には、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理が戻し、検出された場合にはステップS44に進む。
【0051】
ステップS44では、クラッチ操作カムポテンショ41を介して植付クラッチの断続検出を行い、植付クラッチが接続状態の場合には、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す一方で、植付クラッチが切断状態の場合には、ステップS45に処理を進める。ステップS45では、端寄せモードの実行中を示すONに端寄せ制御フラグをセットし、ステップS46に進む。ステップS46では、クラッチ操作カムモータ42を介して植付クラッチを接続作動させ、苗載せ台14を左右何れかの端部までスライド移動させて停止させる端寄せモードを実行し、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0052】
上記構成の端寄せモード切替制御のサブルーチンによれば、感度調節ダイヤル24による植付作業機7の昇降高さ固定操作に起因して、端寄せモードへの切換えが行われ、さらに詳しくは、植付作業機7の昇降高さ固定時における作業機操作レバー22による植付クラッチの接続操作によって端寄せモードへの切換が行われる。
【0053】
図8は、制御部が行う端寄せ停止制御のサブルーチンに関する処理フロー図である。同図に示されるように、制御部11は、端寄せ停止制御のサブルーチンが開始されると、ステップS61に進む。ステップS61では、端寄せ制御フラグのON・OFFをチェックし、端寄せ制御フラグがOFFであれば、端寄せモードが未実行であるため、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す一方で、端寄せ制御フラグがONであれば、ステップS62に進む。
【0054】
ステップS62では、エンジン動力の植付作業機7への伝動を切断する植付クラッチの切断操作となる作業機操作レバー22の上方揺動操作の検出を行い、植付クラッチの切断操作が検出されなかった場合には、ステップS63に進む。ステップS63では、今回の該サブルーチン実行時における端寄せスイッチ40のON・OFFのチェックを行い、ON状態であれば、苗載せ台14が左右何れかのストロークエンドに達した状態であるため、ステップS64に進み、OFF状態であれば、端寄せモード実行されてもまだ苗載せ台14が左右何れかのストロークエンドに達していない状態であると考えられるため、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0055】
ステップS64では、前回の該サブルーチン実行時における端寄せスイッチ40のON・OFFのチェックを行い、ON状態であれば、前回以前の該サブルーチンを実行している段階で、既に、苗載せ台14が左右何れかのストロークエンドに達していた状態であり、端寄せモードの実行による苗載せ台14の左右スライドによって左右何れかのストロークエンドに達した状態ではないことが予想されるため、端寄せモードの実行を続行するため、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0056】
ステップS64において、前回の該サブルーチン実行時における端寄せスイッチ40のOFF状態が識別された場合には、ステップS65に進む。ステップS65では、今回の該サブルーチン実行において、端寄せスイッチ50がONからOFFに切換わり、苗載せ台14が端寄せモードの実行による植付作業機7の左右スライドによって左右何れかのストロークエンドに達した状態であると考えられるため、クラッチ操作カムモータ42を介して植付クラッチを切断作動させ、苗載せ台14の左右スライド移動を停止させ、その後、端寄せモードの終了を示すために端寄せ制御フラグをOFFにセットし、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す。
【0057】
ステップS62において、作業機操作レバー22による植付クラッチの切断操作が検出された場合には、ステップS65に進む。
【0058】
上記構成の端寄せ停止制御のサブルーチンによれば、作業機操作レバー22による植付クラッチの切断操作が行われた場合、又は、植付作業機7が端寄せモードの実行による苗載せ台14の左右スライドによって左右何れかのストロークエンドに達した場合に、端寄せモードが終了される。
【0059】
次に、図9に基づき、端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態ついて、図7に示す例と異なる箇所を説明する。
図9は、端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態を示すフロー図である。同図に示されるように、ステップS41において、油圧固定制御が行われている場合には、ステップS45に進み、端寄せモードの実行中を示すONに端寄せ制御フラグをセットし、ステップS43に進む。また、ステップS44において、植付クラッチが切断状態の場合には、ステップS46に進む。
【0060】
すなわち、上述の端寄せモード切替制御のサブルーチンによれば、油圧固定制御の実行によって直ちに端寄せ制御フラグがONにセットされる。
【0061】
次に、図10に基づき、端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態ついて、図7に示す例と異なる箇所を説明する。
図10は、端寄せモード切替制御のサブルーチンの別実施形態を示すフロー図である。同図に示されるように、制御部11は、端寄せモード切替制御のサブルーチンが開始されると、ステップS47に進む。ステップS47では、作業機準備スイッチ23の入切検出を行い、入操作されたON状態であれば、ステップS42に進む一方で、切操作されたOFF状態であれば、ステップS48に進む。すなわち、作業機準備スイッチ23がONされて植付部16による植付作業機が可能な状態では、端寄せモードに移行しないように制御部11を構成している。
【0062】
ステップS48では、リフト角ポテンショ9を介して植付作業機7の昇降高さが所定高さ以上になっているか否かの検出を行い、所定高さ以上になっていなければステップS42に進み、所定高さ以上になっていればステップS41に進む。
【0063】
ステップS41において、油圧固定制御が行われていない場合には、ステップS49に進む。ステップS49では、端寄せフラグのON・OFFをチェックし、OFF状態であれば、該サブルーチンを終了させ、図5に示すメインフローに処理を戻す一方で、ON状態であれば、ステップS50に進む。
【0064】
ステップS50では、クラッチ操作カムポテンショ41を介して植付クラッチの断続判断を行い、植付クラッチが接続状態の場合には、ステップS51に処理を進める一方で、植付クラッチが切断状態の場合には、ステップS42に処理を進める。ステップS51では、クラッチ操作カムモータ42を介して植付クラッチを切断作動させ、ステップS42に処理を進める。
【0065】
すなわち、該サブルーチンにおいては、端寄せ制御フラグをOFFにするあたり、ステップS47→ステップS42と進む処理及びステップS48→ステップS42と進む処理では、植付クラッチが接続状態で、植付作業機7にエンジン動力が伝動されている場合は、そのままの状態で、端寄せ制御フラグがOFFされる一方で、ステップS49を介してステップS42に進む処理では、必ず植付クラッチが切断され、植付作業機7への動力伝動が切断されて端寄せ制御フラグがOFFされる。
【符号の説明】
【0066】
7 植付作業機
11 制御部
14 苗載せ台
16 植付部
22 作業機操作レバー(作業機操作具)
24 感度調節ダイヤル(昇降停止操作具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載せ台(14)、該苗載せ台(14)から苗を掻きとって圃場に植付ける植付部(16)及び苗載せ台(14)を植付部(16)に対して左右往復移動させる横送り機構を有する植付作業機(7)と、植付作業機(7)への動力を断続させる植付クラッチと、植付作業機(7)の昇降及び植付クラッチの断続を操作する作業機操作具(22)と、横送り機構を介して植付部(16)に対する苗載せ台(14)の左右動を制御する制御部(11)とを備え、該制御部(11)が苗載せ台(14)を左右の一方側端で停止させる端寄せモードを有する移植機において、作業機操作具(22)の操作に優先して植付作業機(7)の昇降を停止させる昇降停止操作具(24)を備え、該昇降停止操作具(24)の操作に基づく植付作業機(7)の昇降高さ固定に起因して端寄せモードへの切換えを行うように制御部(11)を構成した移植機。
【請求項2】
昇降停止操作具(24)の操作に基づく植付作業機(7)の昇降高さ固定時における植付クラッチの接続操作によって端寄せモードへの切換えを行うように制御部(11)を構成した請求項1の移植機。
【請求項3】
植付クラッチの切断操作によって端寄せモードが終了するように制御部(11)を構成した請求項2の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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