説明

移植用器具

【課題】簡易な構成で、容易、迅速かつ確実に、医療用シートを移植することができる移植用器具を提供すること。
【解決手段】移植用器具1は、シリンジ2、ヘッド3、シリンジ2とヘッド3とを連結する連結部4、ヘッド3の内部に液体を導入する液体導入ライン5を備えている。ヘッド3は、先端側壁部31、基端側壁部32、これらの間に配置された側壁33を有する中空の部材で構成されている。ヘッド3の内部と外筒21の内部とは、縮径部22の開口221を介して連通している。先端側壁部31は、その中央部に、複数の小孔341が形成された保持部34を有し、この保持部34の先端側の表面は、医療用シートを保持する保持面342を構成する。各小孔341は、医療用シートの保持面342への吸着と、液体導入ライン5よりヘッド3の内部に導入された液体の吐出の双方に共用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心不全に対する治療法として、βブロッカーやACE−inhibitorによる内科治療が行われ、重症化した心不全(重症心不全)には、補助人工心臓や心臓移植などの置換型治療が行われる。
【0003】
しかし、重症心不全に対する置換型治療は、慢性的なドナー不足、継続的な免疫制御、合併症の発症など解決すべき課題が多く、多くの重症心不全患者に対する普遍的な治療法とは言い難い状況である。
【0004】
そのような中、最近、重症心不全治療の解決策として新しい再生型治療法の展開が不可欠と考えられている。
【0005】
例えば、重症心筋梗塞等においては、心筋細胞が機能不全に陥り、さらに線維芽細胞の増殖、間質の繊維化が進行し、心不全を呈するようになる。心不全の進行に伴い、心筋細胞は傷害され、apoptosisに陥るが、心筋細胞は殆ど細胞分裂をおこさないため、心筋細胞数は減少し、心機能の低下もさらに進む。
【0006】
このような重症心不全患者に対する心機能回復戦略として、細胞移植法が有用とされ、既に自己骨格筋芽細胞による臨床応用が欧米で開始されている。
【0007】
しかし、実際に細胞移植法により臨床的に心機能を十分に向上させるためには、直接心筋内注入による方法では、移植細胞の70〜80%が失われ、その効果を十分に発揮できない点や、不整脈等の副作用の問題、大量かつ安全な細胞源の確保などの問題点の解決が不可欠である。また、細胞注入局所へ炎症を惹起するとともに局所的な細胞移植しか行えず、例えば、拡張型心筋症のように心臓全体の心機能が低下した場合に限界がある。
【0008】
近年、これらの問題に対し、組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いた3次元組織構造物としての細胞シートと、その製造方法が提供された(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このような細胞シートを目的とする患部(移植部位)に移植するには、例えば、細胞シートの端部をピンセット等で摘んで、細胞シートを包装容器から取り出し、患部まで移送し、その患部に移植(貼付)するといった一連の操作が必要となるが、細胞シートは、絶対的な物理的強度が低く、皺、破れ、破損などが生じ易いことから、この一連の操作には細心の注意を払わなければならない。
【0010】
細胞シートの強度を補うため、親水性PVDF膜、ニトロセルロース膜を用いた支持体やヒトフィブリノゲン等を足場とした支持体が知られ、さらに培養細胞シートを対象とした移動治具や運搬投与器具が提供されており、前述の温度応答性培養皿に対応した支持体として、Cell Shifter(セルシード製、細胞シート支持体)が市販されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0011】
前記特許文献3には、細胞シートを目的とする患部に移植する際に用いる運搬投与器具が記載されている。
【0012】
この特許文献3の運搬投与器具により、細胞シートを患部に移植する際は、まず、運搬投与器具により、細胞シートを保持し、患部まで移送し、その患部に貼り付ける。そして、次に、細胞シートを患部に確実に固定するため、フィブリン溶液(フィブリンを含む液体)を細胞シートに吹き付け、接着する。患部に貼り付けられた細胞シートは、その貼付部位から流れ落ちたり、ずれたりする場合があり、そのため、迅速に前記固定操作(フィブリン溶液の吹き付け操作)を行なうことが好ましい。
【0013】
しかしながら、前記特許文献3の運搬投与器具を用いる場合は、その運搬投与器具とは別の装置(噴射装置)で、フィブリン溶液を細胞シートに吹き付けるので、そのフィブリン溶液を吹き付ける際、貼り付けられた細胞シートに対して、噴射装置の位置合せを行なう必要があり、その作業に手間と時間を要する。すなわち、細胞シートを患部に移植する操作に、手間がかかるとともに、長時間を要するという欠点があり、また、フィブリン溶液を細胞シートに吹き付ける前に、その細胞シートが貼付部位から流れ落ちたり、ずれてしまうこともある。また、特許文献3の運搬投与器具は、その構成が複雑である。
【0014】
【特許文献1】特表2007−528755号公報
【特許文献2】特開2005−176812号公報
【特許文献3】特開2008−173333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、簡易な構成で、容易、迅速かつ確実に、医療用シートを移植(貼付)することができる移植用器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 先端部に開口を有するシリンジ外筒と、前記シリンジ外筒内に摺動可能に挿入されたガスケットと、前記ガスケットをシリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備えるシリンジと、
医療用シートを保持し、複数の小孔が形成された保持面を先端側に有し、前記開口を介して前記シリンジ外筒の内部に連通する中空のヘッドと、
前記シリンジの先端部と前記ヘッドの基端部とを連結する連結部と、
前記ヘッドの内部に液体を導入する液体導入ラインとを備え、
前記医療用シートを前記保持面に接触させた状態で、前記押し子を基端方向に移動させることにより、前記医療用シートが前記保持面に吸着され、
前記液体導入ラインにより前記ヘッドの内部に導入された液体が、前記保持面の小孔から吐出するよう構成されていることを特徴とする移植用器具。
【0017】
(2) 前記連結部において、前記シリンジに対して前記ヘッドが変位可能である上記(1)に記載の移植用器具。
【0018】
(3) 前記ヘッドは、少なくとも2方向に変位可能である上記(2)に記載の移植用器具。
【0019】
(4) 前記ヘッドは、前記シリンジに対し、前記保持面の法線と前記シリンジの軸とが平行である基本姿勢を採り得、該基本姿勢から変位可能である上記(2)または(3)に記載の移植用器具。
【0020】
(5) 前記連結部は、前記ヘッドと前記シリンジとの一方に固定され、表面に球面を有する球面体と、他方に固定され、前記球面体を回動可能に支持する支持部とを有する上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の移植用器具。
【0021】
(6) 前記支持部は、互いに対向するように前記保持面の法線に沿って並設された1対の板体を有し、
前記各板体には、それぞれ、前記球面体の直径よりも小さい直径の孔が形成されており、該各孔に前記球面体が挿入される上記(5)に記載の移植用器具。
【0022】
(7) 前記連結部により、前記シリンジに対して前記ヘッドが着脱自在に連結されるよう構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の移植用器具。
【0023】
(8) 前記保持面を構成する部材は、多孔体、メッシュ、織布および不織布のうちのいずれかで構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の移植用器具。
【0024】
(9) 前記保持面における前記小孔の目開きは、0.25〜600μmであり、前記小孔は、均一の大きさをなし、均一に配置されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の移植用器具。
【0025】
(10) 前記液体導入ラインは、チューブと、前記液体を注入する液体注入器具が接続されるコネクタとを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の移植用器具。
【0026】
(11) 前記液体導入ライン上に、前記ヘッドの方向への前記液体の流れを可能にし、その逆方向の前記液体の流れを阻止する逆流阻止手段を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の移植用器具。
【0027】
(12) 前記液体は、フィブリンを含むものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の移植用器具。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ヘッドの保持面に形成されている複数の小孔が、医療用シートの保持面への吸着(保持)と、液体導入ラインよりヘッドの内部に導入された液体(例えば、フィブリン溶液等)の吐出の双方に共用されるので、移植用器具により、医療用シートを目的とする患部(移植部位)に貼り付けた後、医療用シートに対する移植用器具の位置合せを行なう必要がなく、そのままの位置で、フィブリン溶液を吐出して、医療用シートに吹き付けることができる。
【0029】
これにより、容易、迅速かつ確実に、医療用シートを患部に移植(貼付)することができる。
また、本発明の移植用器具は、構成が簡易であり、操作性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の移植用器具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の移植用器具の実施形態を示す側面図、図2および図3は、それぞれ、図1に示す移植用器具の縦断面図、図4は、図1に示す移植用器具の保持部の正面図、縦断面図および背面図、図5は、図1に示す移植用器具のシリンジの正面図、縦断面図および背面図である。
【0032】
なお、以下では、図1〜図3中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」、上側を「上」、下側を「下」とし、図4の縦断面図および図5の縦断面図中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0033】
また、図1〜図3、図4の縦断面図および図5の縦断面図では、押し子、ガスケット、チューブおよびコネクタ等については、側面図が示されている。また、医療用シートは、図1のみに示されている。
【0034】
これらの図に示す移植用器具1は、例えば、ヒトや動物等の生体、すなわち、生体の目的とする患部(移植部位)に、医療用シート6を移植(貼付)する際に用いる器具(装置)である。この移植用器具1は、シリンジ2と、中空のヘッド3と、シリンジ2の先端部とヘッド3の基端部とを連結する連結部4と、ヘッド3の内部に液体を導入する液体導入ライン5とを備えている。
【0035】
本実施形態では、連結部4において、シリンジ2に対してヘッド3が変位可能に構成されており、また、連結部4により、シリンジ2に対してヘッド3が着脱自在に連結されるよう構成されている。
【0036】
なお、連結部4において、シリンジ2に対してヘッド3が変位不能に構成されていてもよい。また、連結部4により、シリンジ2に対してヘッド3が着脱不能に連結されていてもよい。例えば、シリンジ2の後述する外筒21、ヘッド3の所定部位および連結部4が、一体的に形成されていてもよい。
【0037】
医療用シート6は、例えば、ヒトや動物等の疾病、傷病の治療等に用いられるものであり、生体の所定部(例えば、患部等)を補填するための各種の材料(補填材料)、細胞等で構成される。この医療用シート6は、通常は、可撓性(柔軟性)を有しているが、これに限らず、例えば、硬質なものであってもよい。
【0038】
なお、医療用シート6の1例である3次元組織構造体で構成された細胞シートの具体例としては、例えば、特表2007−528755号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0039】
シリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内に摺動可能に挿入されたガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)25とを備えている。ガスケット24は、押し子25の先端部に固着(固定)されている。
【0040】
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、その先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した縮径部(口部)22が一体的に突出形成されている。縮径部22の先端には、開口(先端開口)221が形成されている。なお、縮径部22を省略し、外筒21の先端側底部に、直接、開口(先端開口)を形成してもよい。
【0041】
外筒21の後端外周には、フランジ(図示せず)が一体的に形成されているのが好ましく、また、外筒21の外周面には、目盛り(図示せず)が付されているのが好ましい。
【0042】
なお、外筒21の胴部の形状は、図示の構成では、円筒状をなしているが、これに限らず、例えば、多角筒状をなしていてもよい。
【0043】
外筒21の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン(MBS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂)等の高分子材料や、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等の金属材料等が挙げられる。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0044】
外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周部には、複数のリング状の突部(図示せず)が全周にわたって形成されているのが好ましく、これらの突部が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、気密性(液密性)をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0045】
ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とエチレン−プロピレン共重合体の混合物等の高分子材料等が挙げられる。
【0046】
押し子25は、棒状をなしており、その先端部には、ガスケット24の基端側が固着されている。これらガスケット24と押し子25とは、例えば、接着、融着等により固着することができる。なお、ガスケット24と押し子25は、前記固着に限らず、例えば、螺合、凹凸嵌合等により連結された構成、一体成形された構成等であってもよい。
【0047】
また、押し子25の後端側には、円盤状のフランジ26が形成されている。
また、押し子25の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0048】
このシリンジ2は、手動操作の他、例えば、輸液用ポンプ等へのセットアップにより、自動操作も可能である。
【0049】
ヘッド3は、先端側に配置された先端側壁部31と、基端側に配置され、その中央部に開口321が形成された基端側壁部32と、先端側壁部31と基端側壁部32との間に配置された側壁33とを有する中空の部材で構成されている。ヘッド3の内部と、外筒21の内部とは、縮径部22の開口221を介して連通している。
【0050】
このヘッド3の外形形状、すなわち、先端側壁部31および基端側壁部32の外形形状は、それぞれ、正面視で(図1中左側から見たとき)、図示の構成では、円形をなしているが、これに限らず、この他、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形、楕円形等が挙げられる。なお、先端側壁部31の先端側の表面は、平面である。
また、側壁33は、図示の構成では、円筒状(筒状)をなしている。
【0051】
先端側壁部31は、その中央部に、複数(多数)の小孔(貫通孔)341が形成された保持部34を有している。この保持部34の先端側の表面は、医療用シート6を保持する保持面(接触面)342を構成する。そして、各小孔341は、医療用シート6の保持面342への吸着(保持)と、液体導入ライン5よりヘッド3の内部に導入された液体(例えば、フィブリン溶液等)の吐出の双方に共用される。
【0052】
保持部34に複数の小孔341が形成されていることにより、ヘッド3の保持面342に医療用シート6を吸着したときの医療用シート6への物理的負荷を、一点に集中させることなく、均一に分散させることができ、医療用シート6に、皺、破れ、破損等が生じるのを防止することができる。
【0053】
保持部34(保持面342を構成する部材)は、例えば、多孔体、メッシュ(網)、織布および不織布のうちのいずれかで構成されているのが好ましく、特に、多孔体で構成されているのが好ましい。なお、保持部34は、この他、例えば、フィルム等の軟質または硬質の板状体に複数の小孔を形成したもので構成してもよい。
【0054】
保持部34の各部の形状や寸法は、特に限定されないが、保持部34の小孔341(保持面342における小孔341)の目開きは、0.25〜600μm程度であるのが好ましく、1〜600μm程度であるのがより好ましい。また、小孔341は、均一の大きさをなしているのが好ましく、また、均一に配置されているのが好ましい。これにより、ヘッド3の保持面342に医療用シート6を吸着したときの医療用シート6への物理的負荷を、さらに均一に分散させることができ、医療用シート6に、皺、破れ、破損等が生じるのをより確実に防止することができる。
【0055】
なお、前記目開きが、前記上限値より大きいと、他の条件によっては、医療用シート6をヘッド3の保持面342に吸着させたとき、その医療用シート6に損傷が生じ易くなる。
【0056】
また、前記目開きが、前記下限値より小さいと、他の条件によっては、ヘッド3の保持面342への医療用シート6の吸着力が不十分となり、また、重合化した分子量約330000のフィブリンモノマーによる目詰りおよび過剰加圧(陰圧)による保持部34自体にリークが発生することがある。
【0057】
また、保持部34に形成されている小孔341の占める比率(正面視での(図1中左側から見たときの)面積率)、すなわち、目開き率は、0.5〜65%程度であるのが好ましく、0.8〜55%程度であるのがより好ましい。
【0058】
また、保持部34の外形形状は、正面視で(図1中左側から見たとき)、図示の構成では、円形をなしているが、これに限らず、この他、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形、楕円形等が挙げられる。
【0059】
また、小孔341の形状は、図示の構成では、正方形(四角形)をなしているが、これに限らず、この他、例えば、三角形や五角形等の他の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。
【0060】
また、保持部34の外径(直径)は、10〜100mm程度であるのが好ましい。
また、保持部34の厚さは、40〜700μm程度であるのが好ましく、150〜700μm程度であるのがより好ましい。
【0061】
また、保持部34における隣り合う2つの小孔341の間の間隙距離L(図4の保持部34の拡大図参照)は、30〜400μm程度であるのが好ましく、100〜400μm程度であるのがより好ましい。
【0062】
ここで、複数種のヘッド3、特に、保持部34の外径が互いに異なる複数種のヘッド3(例えば、保持部34の外径が、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mm、100mmの10種類)を、それぞれ、1個または複数個、用意しておき、移植する医療用シート6の寸法(例えば、長径等)等の諸条件に応じて、選択して用いるようにするのが好ましい。
【0063】
ヘッド3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂)、メチルメタクリレート・スチレン(MS樹脂)、プロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド(ナイロン)、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1(TPX)、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、有機非線形光学材等の高分子材料等が挙げられる。なお、ヘッド3の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。これにより、医療用シート6の状態の観察を容易に行うことができる。
【0064】
連結部4は、表面に球面を有する球面体41と、球面体41を回動可能に支持する支持部42とを有している。
【0065】
球面体41は、シリンジ2の先端部(シリンジ2側)、すなわち、外筒21の先端側底部および縮径部22に固定されている。本実施形態では、この球面体41は、外筒21の先端側底部および縮径部22に一体的に形成されている。なお、球面体41を外筒21および縮径部22とは別部材で構成し、これらを、例えば、接着、融着等により固着してもよい。
【0066】
また、球面体41は、ほぼ球殻状(球殻体)、すなわち、球殻体からその先端部および基端部を除去したような形状をなしており、シリンジ2の縮径部22の周囲を取り囲むように配置されている。
【0067】
支持部42は、ヘッド3の基端部(ヘッド3側)、すなわち、ヘッド3の基端側壁部32に固定されている。本実施形態では、この支持部42は、ヘッド3の基端側壁部32に一体的に形成されている。なお、支持部42をヘッド3とは別部材で構成し、これらを、例えば、接着、融着等により固着してもよい。
【0068】
また、支持部42は、筒体421と、1対の板体422、423とを有している。筒体421は、ヘッド3の基端側壁部32の開口321の周囲に固定され、基端側に突出している。また、一方の板体422は、ヘッド3の保持面342の法線343に対して垂直になるような姿勢で、筒体421の基端に固定され、他方の板体423は、ヘッド3の保持面342の法線343に対して垂直になるような姿勢で、筒体421の内部(途中)に固定されている。すなわち、1対の板体422、423は、互いに対向し、かつ、互いに平行になるように、ヘッド3の保持面342の法線343に沿って並設されている。
【0069】
なお、ヘッド3の開口321の形状、筒体421、板体422および423の外形形状は、それぞれ、正面視で(図1中左側から見たとき)、図示の構成では、円形をなしているが、これに限定されないことは、言うまでもない。
【0070】
また、板体422および423には、それぞれ、その中央部に、球面体41の直径(外径)よりも小さい直径の円形の孔(貫通孔)424および425が形成されている。この場合、孔424の直径は、球面体41の直径よりも僅かに小さく、孔425の直径よりも大きい。
【0071】
この連結部4を介して、シリンジ2にヘッド3を装着する際、すなわち、連結部4により、シリンジ2の先端部とヘッド3の基端部とを連結する際は、球面体41を、その中心が孔424よりも先端側に位置するように、孔424および425に挿入する。これにより、球面体41は、板体422および423(支持部42)により、すべての方向に回動可能に支持される。この場合、球面体41は、板体422により、基端方向に移動して支持部42から離脱してしまうことが阻止され、板体423により、先端方向に移動して支持部42から離脱してしまうことが阻止される。
【0072】
また、ヘッド3は、シリンジ2に対し、保持面342の法線343とシリンジ2の軸27とが平行である基本姿勢を採ることができるようになっており(図1および図2参照)、この基本姿勢から、シリンジ2に対し、保持面342の法線343がシリンジ2の軸27に対してすべての方向に傾斜し得るように変位することができる(図3参照)。これにより、医療用シート6を移植すべく患部の形状や向き等が、如何なるものであって、その患部に対し、確実にヘッド3が追従することができ、確実に、医療用シート6をその患部に貼り付けることができる。
【0073】
また、ヘッド3が基本姿勢からシリンジ2に対して変位したときの保持面342の法線343のシリンジ2の軸27に対する傾斜角度(法線343と軸27とのなす角)θ(図3参照)は、ヘッド3が最大に変位したときで、40〜70°程度であることが好ましく、45〜60°程度であることがより好ましい。
【0074】
また、支持部42、例えば、板体422と板体423の間には、支持部42と球面体41との間を気密(液密)に封止(シール)する図示しないOリング(シール部材)が設置されているのが好ましい。これにより、より確実に、ヘッド3の保持面342に医療用シート6を吸着することができる。
【0075】
球面体41の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、前述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0076】
また、支持部42構成材料としては、特に限定されないが、例えば、前述したヘッドの構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0077】
なお、ヘッド3が、シリンジ2に対し、すべての方向ではなく、1方向にのみ変位可能に構成されていてもよい。この1方向とは、例えば、図3に示す方向と、その逆の方向とを含む概念である。この場合は、例えば、球面体41が、支持部42により、1方向にのみ回動可能に支持されるように構成する。
【0078】
但し、ヘッド3が、シリンジ2に対し、2以上の方向に変位可能に構成されているのが好ましい。この場合は、例えば、球面体41が、支持部42により、2以上の方向に回動可能に支持されるように構成する。
【0079】
また、球面体41および支持部42が固定される部位は、それぞれ、図示の構成には限定されず、例えば、図示の構成とは、逆に、球面体41がヘッド3側に固定され、支持部42がシリンジ2側に固定されていてもよい。
【0080】
液体導入ライン5は、チューブ7と、液体を注入する図示しないシリンジ等の液体注入器具が接続されるコネクタ8とを有している。
【0081】
チューブ7の先端部(一端側)は、ヘッド3の基端側壁部32に接続されており、チューブ7内の流路(内腔)は、ヘッド3の内部に連通している。そして、チューブ7の基端部(他端側)に、コネクタ8が接続されている。
【0082】
コネクタ8の形状(構成)は、特に限定されないが、例えば、そのコネクタ8に接続されるシリンジの嵌合部の形状等に応じて、スリット形状、スクリューロック形状等を適用することができる。
【0083】
また、液体導入ライン5上、すなわち図示の構成では、チューブ7の途中には、ヘッド3の方向(先端方向)への液体(流体)の流れを可能にし、その逆方向、すなわち、コネクタ8の方向(基端方向)への液体(流体)の流れを阻止する逆流阻止手段として、逆止弁9が設置されている。
【0084】
チューブ7の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、ポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の高分子材料等が挙げられる。
【0085】
また、コネクタ8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン(MBS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂)等の高分子材料や、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等の金属材料等が挙げられる。
【0086】
この液体導入ライン5によりヘッド3の内部に導入する液体としては、特に限定されないが、例えば、フィブリングルー(フィブリン糊)、すなわち、フィブリン溶液(フィブリンを含む液体)等が挙げられる。
【0087】
次に、移植用器具1の使用方法(作用)の一例を説明する。なお、ここでは、医療用シート6が移植される患部は、例えば、心筋梗塞部位であり、移植される医療用シート6は、例えば、心機能の改善を行うための治療用三次元組織構造体(細胞シート)である場合を想定する。
【0088】
まず、術者は、用意されている複数種のヘッド3のうちから、移植する医療用シート6の寸法(例えば、長径等)に最適な寸法の保持部34を有するヘッド3を選択する。
【0089】
選択したヘッド3の支持部42が手前になるように置き、シリンジ2の球面体41を支持部42の孔424および425に挿入する。この際、球面体41の中心が孔424よりも先端側に位置し、球面体41が板体423に当接するまで球面体41を挿入する。
【0090】
次に、医療用シート6上にヘッド3を移動し、保持面342の中心に医療用シート6の中心が位置するように調整し、医療用シート6を保持面342に接触させる。そして、この状態で、シリンジ2の押し子25を基端方向に移動させる。これにより、医療用シート6は、各小孔341を介して吸引され、保持面342に吸着される。このときの吸引圧(外筒21内の圧力)は、大気圧に対して、−7〜−20kPa程度であることが好ましい。この吸引圧は、外筒21に対する押し子25の位置を調整することにより、自在に調整することができる。
【0091】
このようにして、医療用シート6がヘッド3の保持面342に採取され、保持される。
ここで、ヘッド3の保持面342に吸着した医療用シート6を良好な状態のまま保持するために、医療用シート6が所定の水溶液等に浸漬された状態で、その医療用シート6を保持面342に吸着させることが好ましい。
【0092】
これは、保持面342に吸着した医療用シート6の表面は、空気(気体)と接しているが、医療用シート6に水溶液(液体)等が含まれている場合、気体は液体よりも分子密度が小さいため、空気側の分子から引っ張られず、水溶液内側の水分子からのみ引っ張られる表面張力が働くことにより、医療用シート6を水溶液等とともに吸引し、吸着させることで、より優れた保持効果が得られる。
【0093】
次に、外筒21に対する押し子25の位置を維持し、医療用シート6がヘッド3の保持面342に吸着された状態を維持しつつ、その医療用シート6を患部(移植部位)まで移送する。
【0094】
そして、患部に、ヘッド3の保持面342に対面させ、医療用シート6を押し付ける。この際、ヘッド3は、基本姿勢から、シリンジ2に対し、保持面342の法線343がシリンジ2の軸27に対してすべての方向に傾斜し得るように変位することができるので、患部が、例えば、心臓の側面であっても、ヘッド3は、確実に追従することができる。
【0095】
次に、必要に応じて、シリンジ2の押し子25を先端方向に移動させ、各小孔341から空気を吐出し、医療用シート6を保持面342から離脱させ、患部に貼り付ける。なお、医療用シート6が保持面342から容易に離脱する場合は、前記空気を吐出する操作を省略してもよい。
【0096】
次に、必要に応じて、ヘッド3の保持面342を医療用シート6に対面または接触させた状態で、保持部34の各小孔341から医療用シート6にフィブリン溶液を吹き付け(噴霧し)、その医療用シート6を患部に接着(固定)する。
【0097】
医療用シート6にフィブリン溶液を吹き付ける際は、まず、フィブリン溶液が充填されたフィブリン注入用シリンジ(図示せず)を液体導入ライン5のコネクタ8に接続する。
【0098】
次に、ヘッド3の保持面342を医療用シート6に対面または接触させた状態で、フィブリン注入用シリンジの押し子を先端方向に移動させる。これにより、フィブリン注入用シリンジ内のフィブリン溶液は、チューブ7内を先端方向に流れて、ヘッド3の内部に導入される。そして、引き続き、押し子を先端方向に移動させると、ヘッド3の内部に導入されたフィブリン溶液が、保持部34の各小孔341から吐出し、医療用シート6に吹き付けられる。これにより、医療用シート6は、患部に、接着され、迅速かつ確実に固定される。
【0099】
なお、前記医療用シート6にフィブリン溶液を吹き付ける操作においては、フィブリン注入用シリンジ内のフィブリン溶液をヘッド3の内部に導入した後、移植用器具1のシリンジ2の押し子を先端方向に移動させて、ヘッド3内のフィブリン溶液を保持部34の各小孔341から吐出させることもできる。この場合、チューブ7の途中に逆止弁9が設置されているので、フィブリン注入用シリンジ内のフィブリン溶液をヘッド3の内部に導入した後、そのフィブリン注入用シリンジをコネクタ8から取り外してもよい。
【0100】
また、この移植用器具1の効果を確認するために、下記の実験を行なった。
目開きが560μm、隣り合う2つの小孔341の間の間隙距離Lが250μm、厚さが450μm、直径が50mmの多孔体で構成された保持部を有するヘッドを用意し、このヘッドを用いて移植用器具を得た。これを実施例1とする。
【0101】
また、比較対照として、直径が2mmの孔が1つ形成され、厚さが450μm、直径が50mmの保持部を有するヘッドを用意し、このヘッドを用いて移植用器具を得た。これを比較例1とする。
【0102】
実施例1および比較例1について、それぞれ、長径が50mm、厚さが100μmの細胞シートを、−10kPaの吸引圧で吸引し、ヘッドの保持面に吸着させる操作を行なった。
【0103】
実施例1では、細胞シートを、そのシート形状を維持したまま、容易に、ヘッドの保持面に吸着させることができた。
【0104】
これに対し、比較例1では、細胞シートの中央部に破損が生じ、細胞シートをヘッドの保持面に吸着させることはできなかった。
【0105】
絶対的な物理的強度が低い細胞シートに対する吸引・吸着(採取)に係る物理的負荷が、比較例1では、1点に集中したため、細胞シートの破損が生じたが、実施例1では、細胞シート全体に、均一に分散するため、細胞シートは、損傷することなく、容易に、吸引・吸着することが可能であった。
【0106】
これは、閉じ込められた流体の一部に圧力を加えると、その圧力の増加分は、同じ強さで流体のすべての方向に伝わるとするパスカルの原理により説明ができる。
【0107】
以上説明したように、この移植用器具1によれば、ヘッド3の保持面342に形成されている複数の小孔341が、医療用シート6の保持面342への吸着(保持)と、液体導入ライン5よりヘッド3の内部に導入されたフィブリン溶液(液体)の吐出の双方に共用される。これにより、移植用器具1により、医療用シート6を目的とする患部(移植部位)に貼り付けた後、医療用シート6に対する移植用器具1の位置合せを行なう必要がなく、そのままの位置で、フィブリン溶液を吐出して、医療用シート6に吹き付けることができる。
【0108】
また、医療用シート6の採取、保持、患部への移送、患部への貼り付け、患部への接着(固定)等の一連の各操作を、容易、迅速かつ確実に行うことができる。
【0109】
これにより、容易、迅速かつ確実に、医療用シート6を患部に移植(貼付)することができる。
【0110】
また、本発明の移植用器具1は、シリンジ2、ヘッド3、これらを連結する連結部4および液体導入ライン5等で構成されており、特に、シリンジ2とヘッド3との間に介在する部材は、連結部4のみであるので、その構成が簡易であり、操作性も良好である。
【0111】
以上、本発明の移植用器具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の移植用器具の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す移植用器具の縦断面図である。
【図3】図1に示す移植用器具の縦断面図である。
【図4】図1に示す移植用器具の保持部の正面図、縦断面図および背面図である。
【図5】図1に示す移植用器具のシリンジの正面図、縦断面図および背面図である。
【符号の説明】
【0113】
1 移植用器具
2 シリンジ
21 外筒
22 縮径部
221 開口
24 ガスケット
25 押し子
26 フランジ
27 軸
3 ヘッド
31 先端側壁部
32 基端側壁部
321 開口
33 側壁
34 保持部
341 小孔
342 保持面
343 法線
4 連結部
41 球面体
42 支持部
421 筒体
422、423 板体
424、425 孔
5 液体導入ライン
6 医療用シート
7 チューブ
8 コネクタ
9 逆止弁
L 間隙距離
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に開口を有するシリンジ外筒と、前記シリンジ外筒内に摺動可能に挿入されたガスケットと、前記ガスケットをシリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備えるシリンジと、
医療用シートを保持し、複数の小孔が形成された保持面を先端側に有し、前記開口を介して前記シリンジ外筒の内部に連通する中空のヘッドと、
前記シリンジの先端部と前記ヘッドの基端部とを連結する連結部と、
前記ヘッドの内部に液体を導入する液体導入ラインとを備え、
前記医療用シートを前記保持面に接触させた状態で、前記押し子を基端方向に移動させることにより、前記医療用シートが前記保持面に吸着され、
前記液体導入ラインにより前記ヘッドの内部に導入された液体が、前記保持面の小孔から吐出するよう構成されていることを特徴とする移植用器具。
【請求項2】
前記連結部において、前記シリンジに対して前記ヘッドが変位可能である請求項1に記載の移植用器具。
【請求項3】
前記ヘッドは、少なくとも2方向に変位可能である請求項2に記載の移植用器具。
【請求項4】
前記ヘッドは、前記シリンジに対し、前記保持面の法線と前記シリンジの軸とが平行である基本姿勢を採り得、該基本姿勢から変位可能である請求項2または3に記載の移植用器具。
【請求項5】
前記連結部は、前記ヘッドと前記シリンジとの一方に固定され、表面に球面を有する球面体と、他方に固定され、前記球面体を回動可能に支持する支持部とを有する請求項2ないし4のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項6】
前記支持部は、互いに対向するように前記保持面の法線に沿って並設された1対の板体を有し、
前記各板体には、それぞれ、前記球面体の直径よりも小さい直径の孔が形成されており、該各孔に前記球面体が挿入される請求項5に記載の移植用器具。
【請求項7】
前記連結部により、前記シリンジに対して前記ヘッドが着脱自在に連結されるよう構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項8】
前記保持面を構成する部材は、多孔体、メッシュ、織布および不織布のうちのいずれかで構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項9】
前記保持面における前記小孔の目開きは、0.25〜600μmであり、前記小孔は、均一の大きさをなし、均一に配置されている請求項1ないし8のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項10】
前記液体導入ラインは、チューブと、前記液体を注入する液体注入器具が接続されるコネクタとを有する請求項1ないし9のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項11】
前記液体導入ライン上に、前記ヘッドの方向への前記液体の流れを可能にし、その逆方向の前記液体の流れを阻止する逆流阻止手段を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の移植用器具。
【請求項12】
前記液体は、フィブリンを含むものである請求項1ないし11のいずれかに記載の移植用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−82026(P2010−82026A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252043(P2008−252043)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】