説明

移載装置

【課題】物品の進行方向に対する姿勢を変えることなくコンベアライン等から物品の排出や搬入を行うことができる移載装置を開発することを課題とする。
【解決手段】移載装置1は、ローラコンベアを基礎とするコンベアラインの移載装置として使用されるものであり、物品搬送部2と昇降部3とによって構成される。物品搬送部2は、4条の主付勢路と1条の補助付勢路5dを備える。主付勢路5a〜5cは、いずれも副コンベアライン86側に向かってベルト37を走行し、補助付勢路5dのベルト37は、逆に主コンベアライン側に向かって走行する。物品87は、主付勢路5a〜5c側からの力に引きずられ、全体として副コンベアライン86側に向かって移動するが、補助付勢路5dのベルト37は、他のベルト37とは逆方向に走行するから、移動過程で回転し、姿勢を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアラインに配置されてコンベアラインから物品を搬出あるいは搬入する移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品の組み立てラインや、物品の配送場では、物品の搬送にコンベアラインが利用されることが多い。たとえば、配送場では多数のコンベアラインが縦横に設置されていて、コンベアラインが交錯する位置に移載装置が配置されている。そして移載装置を作動させることによって物品を元のコンベアラインから搬出して他のコンベアラインに乗り移らせ、物品を所望の場所に搬送する。
【0003】
ここで移載装置は、一般に物品搬送部と昇降部とを有するものであり、通常時は、コンベアライン上の物品の搬送の邪魔にならないように物品搬送部の頂面を縦送コンベアラインの搬送面よりも下側に収納している。そしてセンサ等によってコンベアラインを流れる物品の行き先を判別し、所定の物品である場合は、ストッパーによって物品を移載装置上に停止させる。次に昇降部を作動させて物品搬送部を縦送コンベアラインの搬送面よりも上側に隆起させ、物品をすくい上げる。そして物品搬送部を動作させて物品を他のコンベアに送り出す。
移載装置の具体的な構成は、特許文献1,2に開示されている。
【特許文献1】特開平6−312832号公報
【特許文献2】特開2000−1688948号公報
【0004】
特許文献1,2に開示された移載装置では、ベルトを利用した物品搬送部が採用されている。すなわち特許文献1に開示された移載装置では、2本のベルトが平行に懸架され、この二本のベルトによって物品がすくい上げられる。そして2本のベルトは同方向に走行し、物品を主たるコンベアラインから直角方向に排出する。
特許文献2についても同様であり、5本のベルトが平行に懸架され、5本のベルトは同方向に走行し、物品を主たるコンベアラインから直角方向に排出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に開示された移載装置では、ベルトによって物品をすくい上げ、そのままの姿勢で物品をコンベアラインから直角方向に移動させる。
そのため従来技術の移載装置によって排出された物品は、先頭となる面が変わる。
例えば物品が立法体であり、上下面の他に反時計回りに4つの面A,B,C,Dを持つ場合を想定する。仮にA面を先頭面とし、C面を背面とし、B,D面を側面としてコンベアラインを搬送されており、この物品が移載装置によって垂直方向に延びる支線に排出されると、側面たるB面又はC面を先頭として支線に排出されることとなる。そしてその後、物品は、先に側面であったB面又はD面を先頭面として支線側のコンベアラインを搬送されてゆく。
【0006】
ここで、大規模な配送センターの様に、物品を配達先ごとに細かく仕分けする様な場合には、複数のコンベアラインが交錯し、各分岐点に移載装置が設置されている。一方、物品の側面等に配送先を示すバーコード等が設けられている。
そしてコンベアラインに設けられたバーコードリーダによって物品の行き先を検知し、この信号に応じて移載装置を機能させて物品を支線側に排出させたり、移載装置が停止した状態を維持して物品をそのまま直進させる。
【0007】
ところが従来技術では、前記した様に移載装置によって排出された物品は、先頭となる面が変わる。そのためバーコード等が付された面が移動し、バーコード等の読み取りが困難となる場合がある。
そこで本発明は、物品の進行方向に対する姿勢を変えることなくコンベアライン等から物品の排出や搬入を行うことができる移載装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、物品を載置して移動させる物品搬送部を備え、当該物品搬送部は、載置された物品と接して物品を一方の方向に付勢する付勢路が複数列設けられたものであり、前記付勢路には、物品が一定の方向に移動する様に機能する主付勢路と、物品が主付勢路とは逆の方向に移動する様に機能するか或いは主付勢路よりも物品を移動させる速度が遅い補助付勢路があり、前記主付勢路と補助付勢路とを同時に機能することが可能であることを特徴とする移載装置である。
【0009】
本発明の移載装置では、付勢路が複数列設けられている。そして付勢路には、物品が一定の方向に移動する様に機能する主付勢路と、物品が主付勢路とは逆の方向に移動する様に機能するか或いは主付勢路よりも物品を移動させる速度が遅い補助付勢路(停止しているものも含む)がある。そのため移載装置の物品搬送部に物品を乗せて主付勢路と補助付勢路を動作させると、両者の走行方向の相違や速度の相違によって物品を回転させる力が生じる。そのため移載装置に載置された物品は、姿勢(向き)を変えて支線等に排出される。支線側から本線側に物品を搬入させる場合も同様であり、物品は姿勢(向き)を変えて導入される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、全ての主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とが相違することを特徴とする請求項1に記載の移載装置である。
【0011】
本発明の移載装置では、主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とが不均衡である。そのため移載装置上に載置された物品は、姿勢を変更しつつ、いずれかの方向に進む。すなわち仮に主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とが同一であるならば、物品はその場で回転することとなる。例えば主付勢路と補助付勢路の走行方向が逆であるが、主付勢路と補助付勢路の条数が同一であり、且つベルト等の幅や材質も同一であり、さらに走行速度も同一であるならば、移載装置の物品搬送部に載置された物品は、その場で回転するだけである。
これに対して本発明の移載装置では、全ての主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とが相違するので、いずれか一方の付勢路からより強く力を受け、物品は、いずれか一方の付勢路に引っ張られてその方向に移動する。すなわち物品は回転しつつ一方の方向に進む。
【0012】
なお全ての主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とに差を設ける方策としては、請求項3に記載の発明の様に主付勢路の数と補助付勢路の数を相違させる方策が考えられる。
【0013】
他の方策としては、主付勢路の物品の底に対する接触面積と補助付勢路の接触面積とを変えて物品と接触する面積に変化を設けたり、主付勢路を構成する部材の材質と、補助付勢路を構成する部材の材質を異ならせて摩擦係数に差を持たせる方策が考えられる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、主付勢路と補助付勢路はいずれも群状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移載装置である。
【0015】
本発明の移載装置では、主付勢路と補助付勢路はいずれも群状に配置されているから、載置された物品にモーメントを与えやすい。そのため本発明の移載装置では、載置された物品が円滑に回転し、姿勢変更する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、移載装置はローラコンベアラインに設置されるものであり、付勢路はローラコンベアのローラ間から出入り可能な幅であり、前記物品搬送部を昇降させる昇降部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の移載装置である。
【0017】
本発明の移載装置では、昇降部を備え、昇降部によって物品搬送部を昇降させることができる。また付勢路はローラコンベアのローラ間から出入り可能な幅であるから、物品搬送部を昇降させることによって付勢路がローラコンベアから出入りする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、付勢路は物品を付勢するベルトを有し、ベルトはいずれも共通の動力原によって駆動され、主付勢路と補助付勢路はベルトの走行経路が相違することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の移載装置である。
【0019】
本発明の移載装置では、付勢路がベルトを備え、ベルト上に物品が載置される。そしてベルトの走行によって物品が付勢される。
本発明の移載装置では、各付勢路を構成するベルトはいずれも共通の動力原によって駆動されているから、部品点数が少ない。また本発明では、補助付勢路はベルトの走行経路を主付勢路と異ならせることによって走行方向を異ならせている。そのため本発明の移載装置は、さらに部品点数が少なく構造が簡単である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の移載装置は、物品を排出したり搬入する際に物品の姿勢変更を行うことができる効果がある。そのため物品の進行方向に対する姿勢を一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の移載装置の斜視図である。図2は、本発明の実施形態の移載装置をコンベアユニットに配備した状態の正面図である。図3は本発明の実施形態の移載装置をコンベアユニットに配備した状態の左側面図である。図4は、本発明の実施形態の移載装置の平面図である。
【0022】
図において、1は、本発明の実施形態の移載装置を示す。本発明の移載装置1は、ローラコンベアを基礎とするコンベアラインの移載装置として使用されるものであり、大きく分けて物品搬送部2と昇降部3とによって構成される。
【0023】
順次説明すると、物品搬送部2は、4条の付勢路5a〜5dと二枚の昇降板8,9を持つ。4条の付勢路5a〜5dの内、3条の付勢路5a〜5cは、主付勢路として機能し、残る付勢路5dは補助付勢路として機能する。
物品搬送部2は、最も外側の位置に昇降板8,9があり、昇降板8,9に挟まれた領域に主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dが配されている。そして昇降板8,9及び中間部の付勢路5a〜5dの間に後記するシャフト23,25が挿通されて結束されている。
主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dの配置は、群状であり、ひとかたまりになった状態で配置されている。すなわち主付勢路5a〜5cは並んで配置されており、この間に補助付勢路5dは無い。
【0024】
図5は、図1に示す移載装置の主付勢路の斜視図である。図6は、図1に示す移載装置の補助付勢路の斜視図である。図7は、図1に示す移載装置の板部材同士の接続構造を示す分解斜視図である。
各付勢路5a〜5dはいずれも1枚の板状部材7を持ち、当該部分に、図5、図6の様に各8個のプーリ10〜17が片持ち状に支持されている。
板状部材7は、いずれも同一の形であり、略帯状をしている。そして板状部材7の下部中央に突出部20が設けられている。また当該突出部20には円弧状の切り欠き21が設けられている。
【0025】
板状部材7には、前記した様に8個のプーリ10〜17が片持ち支持されている。これらのプーリ10〜17は、いずれも空転自在である。プーリ10〜17の配置は、図5,図6の通りであり、上面側に6個のプーリ10〜15が一列に設けられている。そして残る二つのプーリ17,18は、板状部材7の突出部20近傍に設けられている。
なお、図5の斜視図は、主付勢路5a,5b,5cを示すものとしたが、主付勢路5a,5bと主付勢路5cとでは、板状部材7に対してプーリを取り付ける側が反対側になる。そのため主付勢路5cの各プーリは、図5に示す板状部材7に対して、紙面の向こう側に取り付けられる。
【0026】
板状部材7には、図1、図7の様に、シャフト23,25が挿通され、4組の板状部材は外側の昇降板8,9に挟まれた状態で結束されて一体化されている。なお本実施形態では、板状部材7の向きは図1,4の様にいずれもプーリ取付側を内側に向けて配置されている。
前記したシャフト23,25には管体19が挿通されており、管体19によって板状部材7間の距離が維持されている。なお管体19の長さを変更することによって板状部材7同士の間隔を変更することが可能であり、移載装置1を設置するコンベアに応じて付勢路5a〜5dの間隔を調節することができる。
【0027】
また、シャフト23,25の、補助付勢路5dの板状部材7と昇降板8の間には、管体18が配置されている。すなわち、管体18は、シャフト23,又は25に挿通されており、一端には補助付勢路5dの板状部材7が当接しており、他端には昇降板8が当接して両板間の間隔を所定距離に保っている。シャフト23,25の、主付勢路5aの板状部材7と昇降板9の間にも、管体18と同様の管体22が配置されている。そして、シャフト23,25の両端にはネジ部が設けてあり、このネジ部にナット24を螺合させることにより、昇降板8,9の間に、所定間隔を置いて主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dとが固定される。
【0028】
そして板状部材7の切り欠き21に搬送用モータ内蔵ローラ26が挿通されている。
図8は、搬送用モータ内蔵ローラの断面図である。
本実施形態で採用する搬送用モータ内蔵ローラ26について説明すると、搬送用モータ内蔵ローラ26は、例えば図8のように円筒体28中に、モータ30と遊星歯車列からなる減速機31が内蔵されたものである。
【0029】
搬送用モータ内蔵ローラ26では、円筒体28(ローラ本体)から突出した固定軸33,34はいずれも全く回転しない。そしてモータ30を回転すると、モータ30の回転力は、減速機31を経てローラ本体28に伝達される。その結果モータ30を回転すると、外側の円筒体28が減速されて回転する。
【0030】
そして、板状部材7に設けられたプーリ10〜17と、搬送用モータ内蔵ローラ26のローラ本体28間には、ベルト37が懸架されている。本実施形態では、ベルト37に歯付きベルトを採用している。歯付きベルトを採用した理由は、引っ張り強度が高く、且つ可撓性に富むためであるが、歯付きベルトに代わって平ベルトを使用してもよい。
【0031】
ここでベルト37の懸架経路は、主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dとの間で相違する。
すなわち主付勢路5a〜5cにおけるベルト37の懸架経路は、図5の通りであり、ベルト37は、駆動原たる搬送用モータ内蔵ローラ26の上部側と接して各従動プーリに懸架されている。これに対して補助付勢路5dでは、図6の様に駆動原たる搬送用モータ内蔵ローラ26の下部側と接して各従動プーリに懸架されている。
そのため主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dでは、プーリ35の走行方向が反対となる。
【0032】
たとえば図5の様に駆動源たる搬送用モータ内蔵ローラ26が半時計回りに回転すると、主付勢路5a〜5Cのベルト37は、プーリ10,11,12,13,14,15の順に走行する。すなわち図面の矢印の様に図面右から左に向かって走行する。
これに対して補助付勢路5dでは、ベルト37は図面の矢印の様に図面右から左に向かって走行する。すなわち主付勢路5a〜5cの駆動原と補助付勢路5dは、共に共通の動力源たる搬送用モータ内蔵ローラ26によって駆動されるから、駆動原は同一方向に回転するが、ベルト37の懸架経路が相違するため、補助付勢路5dのベルト37は、プーリ15,14,13,12,11,10の順に走行する。すなわち図面の矢印の様に図面左から右に向かって走行する。
【0033】
なお本実施形態では、前記した様に板状部材7に8個のプーリ10〜17が取り付けられ、この内の6個のプーリ10〜15が上部の位置に一列に設けられており、6個のプーリ10〜15の内、プーリ10,11,13,14,15については、プーリ10〜15の上部側がベルト37と係合するが、中間部のプーリ12については、プーリ12の下側にベルト37を懸架している。この理由は、ベルト37に適度の張力を与えるためである。したがって他の張力付与手段があるならば上部側の全てのプーリ10〜17の上部にベルト37を懸架してもよい。
また本実施形態では、8個のプーリ10〜17を上部の位置に一列に設け、その内の一つのプーリ12についてのみプーリ12の下側にベルト37を懸架したが、より多くのプーリを上部に並べる場合には、2個以上のプーリの下部にベルト37を係合させてもよい。
【0034】
また張力を与えるべく、下側にベルト37を係合させるプーリの位置にはばらつきがあることが望ましい。
たとえば付勢路5a〜5dの内、付勢路5aは、プーリ11の下にベルト37を係合し、隣接する付勢路5bはプーリ12の下にベルト37を係合するというように、上部側にベルト37が現れない部位を揃えないことが推奨される。
【0035】
次に昇降部3について説明する。
図9は、本発明の昇降用器具の端部の斜視図である。図10は、本発明の昇降用器具の断面図である。
昇降部3は、二本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41によって構成されている。
【0036】
昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、公知のモータ内蔵ローラと同様に円筒体50内に、モータ51と減速機52が内蔵され、モータ51の回転を減速して円筒体50に伝達するものである。昇降用モータ内蔵ローラ40,41についても、円筒体50から突出した固定軸55,56はいずれも全く回転しない。そしてモータ51を回転すると、モータ51の回転力は、減速機52を経て円筒体50に伝達される。その結果モータ51を回転すると、外側の円筒体50が減速されて回転する。
昇降用モータ内蔵ローラ40,41では、標準的な減速比の減速機が採用されている。また昇降用モータ内蔵ローラ40,41では、昇降部3を安定させる為に内部に抵抗部材が設けられている。またさらに昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、蓋部材70,71の形状が特殊である。
【0037】
すなわち円筒体50は、両端が開口した部材であり、その両端は、蓋部材70,71によって封鎖されている。なお蓋部材70,71と、固定軸55,56との間には軸受け72,73が介在されており、蓋部材70,71は、円筒体50と共に回転し、固定軸55,56は回転しない。
【0038】
蓋部材70,71の形状は特異であり、図9に示した様な偏心構造を持っている。すなわち蓋部材70,71は、円筒体50と嵌合する部位と、円筒体50から突出する部位があり、突出する部位には固定軸55,56の穴に対して偏心した中心を持つ、円形突起(偏心部)75が設けられている。
【0039】
そして円形突起75に、ベアリングを介してリング76が回転可能に装着されている。リング76には、図1,9の様に、連接部77が設けられている。
【0040】
前記した昇降用モータ内蔵ローラ40,41の固定軸55,56は、図示しないベースに取り付けられている。またリング76の連接部77は、前記した物品搬送部2の昇降板8,9に接続されている。
二本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、同期的に回転する。
【0041】
本実施形態の移載装置1は、図2、3,4に示す様に、縦送りのコンベアユニット83の内部に配置されて使用される。コンベアユニット83は、図4の二点鎖線で示すように、単一のフレームにモータ内蔵ローラを含む多数のローラが配置されたものである。そして、コンベアユニット83は、4か所にローラ間の距離が広く設定された部分があり、当該部分に移載装置1のプーリの列が配置される。
【0042】
次に、主コンベアラインから支流の副コンベアライン側に物品を送りだす場合を例に本実施例の移載装置1の作用を説明する。
図11〜図14は、主コンベアラインと副コンベアラインとの分岐点から物品を排出する際の移載装置の一連の動作を示す説明図である。
【0043】
主コンベアラインは、図11〜図14の様に上流側コンベアユニット84、コンベアユニット83及び下流側コンベアユニット85の順にローラコンベアのユニットが並べられたラインである。主コンベアラインにおいては、物品87は、上流側コンベアユニット84、コンベアユニット83及び下流側コンベアユニット85の順に搬送される。
そして主コンベアラインに対して垂直方向に副コンベアライン86が接続されている。より具体的には、コンベアユニット83の側面部に副コンベアライン86が接続されている。
【0044】
そして移載装置1は、前記した様に分岐部のコンベアユニット83に設けられている。コンベアユニット83の姿勢は、主付勢路5a〜5cが下流側コンベアユニット85側にあり、補助付勢路5dが上流側コンベアユニット84にある様な姿勢である。
そして下流側に配された主付勢路5a〜5cは、ベルト37を排出側(すなわち、副コンベアライン86側)に向かって走行し、補助付勢路5dではこれとは逆方向にベルト37を走行させる。
【0045】
移載装置1は、通常時は昇降用モータ内蔵ローラ40,41の円形突起(偏心部)75が下の位置となって停止している。
したがって移載装置1の物品搬送部2は、降下した状態にあり、物品搬送部2のプーリ10〜15およびベルト37は、コンベアユニット83のローラの間に沈んでいる。そのため、主コンベアラインによって運ばれる物品は、物品搬送部2と当たることなく、下流に円滑に搬送される。
【0046】
そしてコンベアユニット83上に特定の物品が搬送されて来たことを、図示しないセンサが検知すると、当該物品87を移載装置1の真上の位置で停止させる。次に昇降用モータ内蔵ローラ40,41を一方の方向に約180°回転させて、蓋部材70,71の偏心部75が昇降用モータ内蔵ローラ40,41の中心の真上になる位置で昇降用モータ内蔵ローラ40,41を停止する。
なお昇降用モータ内蔵ローラ40には、図示しない近接センサが設けてあり、ローラ本体たる円筒体50の回転角度が一定の位置になったことを近接センサが検知し、昇降用モータ内蔵ローラ40,41が停止する。
昇降用モータ内蔵ローラ40,41が約180°回転し、蓋部材70,71の偏心部75が昇降用モータ内蔵ローラ40,41の中心の真上になる位置となって昇降用モータ内蔵ローラ40,41を停止すると、移載装置1の物品搬送部2は上昇し、ベルト37の背面が、コンベアユニット83のローラの最上部よりも上に突出する。
【0047】
そして物品87は、移載装置1の物品搬送部2によって下からすくい上げられ、コンベアユニット83のローラから離れる。
次に搬送用モータ内蔵ローラ26を回転する。すると、搬送用モータ内蔵ローラ26に懸架されたベルト37が走行し、物品は移動してコンベアユニット83から搬出される。
【0048】
ここで本実施形態の移載装置1では、主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dでベルト37の走行方向が逆であるから、物品は主コンベアラインから副コンベアライン86に搬送される際に姿勢変更する。
すなわち物品搬送部2が上昇し、各主付勢路5a〜5cに物品87が載置された直後は、図11の様であり、物品87は、主コンベアラインを走行している際の姿勢を保っている。
具体的に説明すると、例示の物品87は立法体であり、4つの面A,B,C,Dを持つ。本実施形態では、A面を先頭面とし、C面を背面とし、B,D面を側面として物品が主コンベアラインを搬送されている。従って物品87を移載装置1の真上の位置で停止させ、物品搬送部2が上昇し、各付勢路5a〜5dに物品87が載置された直後は、物品87の姿勢は、図11の様にA面を下流側コンベアユニット85側に向けた状態である。
【0049】
次に搬送用モータ内蔵ローラ26を回転すると、図11の矢印の様に各付勢路のベルトが走行する。
すなわち下流側に配された主付勢路5a〜5cは、いずれも副コンベアライン86側に向かってベルト37を走行し、上流側に配された補助付勢路5dのベルト37は、逆に主コンベアライン側に向かって走行する。
【0050】
ここで副コンベアライン86側に向かってベルト37を走行させる主付勢路5a〜5cは3条であり、主コンベアライン側に向かってベルト37を走行させる補助付勢路5dは1条であって、全ての主付勢路5a〜5cの物品87に対する付勢力の合計は、全ての補助付勢路5dの物品に対する付勢力の合計よりも大きい。そのため物品は、主付勢路5a〜5c側からの力に引きずられ、全体として副コンベアライン86側に向かって移動する。
しかしながら、最も上流側に配された補助付勢路5dのベルト37は、他のベルト37とは逆方向に走行するから、物品87は、補助付勢路5dのベルト37によってモーメントを受け回転される。特に本実施形態では、補助付勢路5dは、物品の中心に対して最も外側の位置にあるから、そのベルト37は、物品87の中心から遠い位置で接する。そのため物品87は補助付勢路5dから効率良く回転力を受ける。
【0051】
そのため物品87は、図12、図13の様に、全体として副コンベアライン86側に向かって移動するが、その移動過程で回転し、姿勢を変更する。そして遂にはA面が副コンベアライン86の搬送方向に沿い、副コンベアライン86に移載される。
その後、物品87は、A面を先頭として副コンベアライン86を搬送される。
【0052】
物品87を移動してコンベアライン83から搬出し終えると、昇降用モータ内蔵ローラ40,41をさらに同一方向に回転する。そして最初の様に、昇降用モータ内蔵ローラ40,41の円形突起(偏心部)75が下の位置となる位置で停止する。その結果、物品搬送部2が降下して、コンベアライン83の中に沈む。
【0053】
以上説明した実施形態では、主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dの走行方向を変えるための方策として、駆動用の搬送用モータ内蔵ローラ26とベルト37の係合位置を変えた例を示したが、例えば図15,16に示すように、搬送用モータ内蔵ローラ26からプーリ12にベルトで動力を伝達し、この時に主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dの一方を通常の懸架方式とし、他方をいわゆるX掛けとすることによっても同様の効果が期待できる。また歯車によって動力を伝達してもよい。
【0054】
また主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dとを別々のモータで駆動してもよい。
また上記した実施形態では、主付勢路5a〜5cの主要部品としてベルトを採用し、ベルト上に物品を載置する構成を採用したが、ベルトに代わってコロを利用してもよい。
【0055】
上記した実施形態では、主付勢路5a〜5cを3条とし、補助付勢路5dを1条としたが、主付勢路及び補助付勢路の数は任意である。
【0056】
上記した実施形態では、主付勢路5a〜5cと補助付勢路5dとを逆方向に走行させたが、一方の付勢路を停止させたり、速度を緩めたりすることによっても物品87を回転させることができる。要するに物品87の部位に速度差を生じる様に主付勢路と補助付勢路とを動作させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態の移載装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の移載装置をコンベアユニットに配備した状態の正面図である。
【図3】本発明の実施形態の移載装置をコンベアユニットに配備した状態の左側面図である。
【図4】本発明の実施形態の移載装置の平面図である。
【図5】図1に示す移載装置の主付勢路の斜視図である。
【図6】図1に示す移載装置の補助付勢路の斜視図である。
【図7】図1に示す移載装置の板部材同士の接続構造を示す分解斜視図である。
【図8】搬送用モータ内蔵ローラの断面図である。
【図9】本発明の昇降用モータ内蔵ローラの端部の斜視図である。
【図10】本発明の昇降用モータ内蔵ローラの断面図である。
【図11】主コンベアラインと副コンベアラインとの分岐点から物品を排出する際の移載装置の一連の動作の一つを示す説明図である。
【図12】主コンベアラインと副コンベアラインとの分岐点から物品を排出する際の移載装置の動作を示す説明図であり、図11に続く状態を示す。
【図13】主コンベアラインと副コンベアラインとの分岐点から物品を排出する際の移載装置の動作を示す説明図であり、図12に続く状態を示す。
【図14】主コンベアラインと副コンベアラインとの分岐点から物品を排出する際の移載装置の動作を示す説明図であり、図13に続く状態を示す。
【図15】主付勢路の、プーリと搬送用モータ内蔵ローラのベルトの懸架の仕方を示す正面図である。
【図16】補助付勢路の、プーリと搬送用モータ内蔵ローラのベルトの懸架の仕方を示す正面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 移載装置
2 物品搬送部
5a〜5c 主付勢路
5d 補助付勢路
10〜17 プーリ
26 搬送用モータ内蔵ローラ
37 ベルト
83 コンベアユニット
84 上流側コンベアユニット
85 下流側コンベアユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置して移動させる物品搬送部を備え、当該物品搬送部は、載置された物品と接して物品を一方の方向に付勢する付勢路が複数列設けられたものであり、前記付勢路には、物品が一定の方向に移動する様に機能する主付勢路と、物品が主付勢路とは逆の方向に移動する様に機能するか或いは主付勢路よりも物品を移動させる速度が遅い補助付勢路があり、前記主付勢路と補助付勢路とを同時に機能することが可能であることを特徴とする移載装置。
【請求項2】
全ての主付勢路の物品に対する付勢力の合計と、全ての補助付勢路の物品に対する付勢力の合計とが相違することを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
主付勢路の数と補助付勢路の数が相違することを特徴とする請求項1又は2に記載の移載装置。
【請求項4】
主付勢路と補助付勢路はいずれも群状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移載装置。
【請求項5】
移載装置はローラコンベアラインに設置されるものであり、付勢路はローラコンベアのローラ間から出入り可能な幅であり、前記物品搬送部を昇降させる昇降部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の移載装置。
【請求項6】
付勢路は物品を付勢するベルトを有し、ベルトはいずれも共通の動力原によって駆動され、主付勢路と補助付勢路はベルトの走行経路が相違することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−67514(P2009−67514A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236352(P2007−236352)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】