説明

移載装置

【課題】省スペース化を図ることができる移載装置を提供することである。
【解決手段】コンベアライン21の分岐部に配置した移載装置1に、主搬送コンベア部と副搬送コンベア部とを設け、主搬送コンベア部と副搬送コンベア部の各々の物品25を支持し且つ搬送する部材14,19を上下方向に往復移動可能な昇降機構を設ける。昇降機構は、一方のコンベア部の部材14と同等に物品25を支持可能である。昇降機構は、主搬送コンベア部と副搬送コンベア部を支持する水平移動部材を有する。水平移動部材上には凹部が設けてあり、水平移動部材を水平移動させて、凹部にいずれかのコンベア部の支持部分を落とし込むことにより、両コンベア部を相対的に上下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアラインに配置され、物品の搬送方向を縦横両方向に設定可能な移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品の組み立てラインや、配送場では、物品の搬送にコンベアラインが利用されることが多い。たとえば、配送場では多数のコンベアラインが縦横に設置されていて、コンベアラインの交差する位置には移載装置が配置されている。そして移載装置を作動させることによって、物品をコンベアラインから別のコンベアラインに移動させ、物品を所望の場所に搬送する。
【0003】
ここで移載装置は、一般に物品搬送部(縦方向と横方向)と昇降部を有するものである。通常時は、コンベアライン上の物品の搬送の邪魔にならないように、移載装置の縦方向又は横方向の搬送に関わらない方の物品搬送部の頂面を縦送コンベアラインの搬送面よりも下側に待避させている。そしてセンサ等によってコンベアライン上を移動する物品の行先を判別し、所定の物品である場合には、ストッパによって物品を移載装置上に停止させ、さらに昇降部を作動させて搬送に関わる方の物品搬送部をコンベアラインの搬送面よりも上側に隆起させて物品をリフトし、該物品搬送部を作動させて物品を他のコンベアに送り出す。このような移載装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−280857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に開示されている移載装置は、上述のように物品の行先に応じて物品搬送部を昇降させることができるが、物品搬送部は物品をコンベアラインに沿って移動させるための駆動機構と、該コンベアラインと交差する方向へ物品を移動させる駆動機構とを備えている。そして、物品の搬送方向に応じて、一方の駆動機構を上昇させ、他方の駆動機構を下降(待避)させ、搬送する駆動機構の上に物品を載置し、搬送を行う。搬送方向を変更する際には、前述の他方の駆動機構を上昇させ、一方の駆動機構を下降(待避)させ、別の駆動機構の上に物品を載置し、搬送を行う。すなわち移載装置には、一方の駆動機構を昇降させる昇降機構と、他方の駆動機構を昇降させる昇降機構とが必要であり、両昇降機構が高さ方向に配置されているため、装置の高さ方向の大型化は避けられなかった。
【0006】
しかし、昨今は搬送経路が複雑化するにつれて、コンベアライン同士が立体交差することが多々あり、その都度、大型化した複数のコンベアライン同士を上下に配置するとなると、膨大な設置空間が必要になる。
そこで本発明は、小型化を図ることができ、特に高さ方向の寸法を小さくすることができる移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、被搬送物を搬送面に載置して被搬送物を一方の方向に搬送可能な主搬送コンベア部と、前記主搬送コンベア部と同一の領域に配され被搬送物を搬送面に載置して前記主搬送コンベア部の搬送方向に対して交差する方向に被搬送物を搬送する副搬送コンベア部と、前記主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部のいずれか一方又は双方を昇降させる昇降手段とを有する移載装置において、切換ローラ部材を有し、当該切換ローラ部材は支持部と空転ローラ部材とモータと出力部材とを有し、空転ローラ部材の内部に前記モータが内蔵され、出力部材は空転ローラ部材の外部にあり、前記モータによって出力部材が回転し、前記空転ローラ部材は支持部に対しても出力部材に対しても相対回転を許容し、前記切換ローラ部材の空転ローラ部材は、主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部の搬送面と略同一の平面を構成可能な位置に配され、前記昇降手段は、切換ローラ部材の出力部材から動力伝導を受けて動作することを特徴とする移載装置である。
【0008】
請求項1の発明の移載装置は、支持部と空転ローラ部材とモータと出力部材とを有する切換ローラ部材を備えており、空転ローラ部材の内部に前記モータが内蔵されており、出力部材は空転ローラ部材の外部にあり、前記モータによって出力部材が回転し、前記空転ローラ部材は支持部に対しても出力部材に対しても相対回転を許容するので、モータが駆動されても、空転ローラ部材には回転動力が伝達されない。その結果、モータの駆動の有無に関わりなく空転ローラ部材は空転可能である。よって、空転ローラ部材上に載置された被搬送物である物品は、このモータが駆動されることによって移動することはない。すなわち、物品を正規の搬送方向に搬送するべく空転ローラは回転することができる。
【0009】
また、前記切換ローラ部材の空転ローラ部材は、主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部の搬送面と略同一の平面を構成可能な位置に配されるので、移動してきた物品が円滑に空転ローラ部材上に載置可能である。
【0010】
さらに、前記昇降手段は、切換ローラ部材の出力部材から動力伝導を受けて動作するので、物品の搬送動作と関わりなく主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部のいずれか一方又は双方を昇降させることができる。
【0011】
以上から、請求項1の発明を実施した移載装置は、空転ローラ部材上に物品を載置可能であり、空転ローラ部材の内部にモータが配置されており、前記モータが出力部材に動力を提供して昇降手段を動作させることができるので、従来の移載装置よりも省スペース化を図ることができる。特に、高さ方向の大きさを小さくすることができるようになる。
【0012】
また、本発明の移載装置を採用することによって、分岐するコンベアラインを容易に構成することができる。
【0013】
ここで搬送面とは、主搬送コンベア部の物品の載置部位、又は副搬送コンベア部の物品の載置部位であって、物品を搬送するときには上昇し、搬送しないときには降下(下方へ待避)する。空転ローラ部材は、所定の高さに固定されていてもよいが、物品を載置しないときは降下(待避)してもよい。
【0014】
請求項2の発明は、切換ローラ部材は、ローラ内にモータが内蔵されていて、当該モータを駆動することによって前記ローラが回転するモータ内蔵ローラを備え、モータ内蔵ローラの外周に空転ローラ部材が相対回転可能に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の移載装置である。
【0015】
請求項2の発明の移載装置では、モータ内蔵ローラの外周に空転ローラ部材が相対回転可能に取り付けられたものであるので、空転ローラ部材は、モータ内蔵ローラが回転駆動されても空転可能である。また、モータ内蔵ローラは、出力部材に動力を提供すると共に、空転ローラ部材は、モータ内蔵ローラによって回転駆動されることなく物品を載置可能である。
【0016】
請求項3の発明は、昇降手段は、水平移動する水平移動部材と、水平移動を昇降移動に変換する変換手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移載装置である。
【0017】
請求項3の発明の移載装置では、昇降手段は、水平移動する水平移動部材と、水平移動を昇降移動に変換する変換手段を有するので、水平移動部材を水平移動させることによって主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部のいずれか一方又は双方を昇降させることができる。変換手段は、カム機構、クランク機構、及び様々なリンク機構等で構成することができる。
【0018】
請求項4の発明は、主搬送コンベア部と副搬送コンベア部は、その一方がローラコンベアであって複数のローラとローラ側フレーム部材を有し、前記ローラ側フレーム部材に複数のローラが略平行に並べられたものであって、各ローラはローラ側フレーム部材に取り付けられており、他の一方は複数の送り部材を有し、前記送り部材は二つの回転部材に線状部材が懸架されたものであり、線状部材を押上げる押上げ部材を有し、前記線状部材の一部又は全部がローラコンベアのローラ同士の間に配されており、前記水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換してローラ側フレーム部材を昇降させるローラ側変換手段と、前記水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換して押上げ部材を昇降させる押上げ部材側変換手段とを有し、水平移動部材の水平移動に応じてローラ側フレーム部材と、押上げ部材とが交互に昇降されることを特徴とする請求項3に記載の移載装置である。
【0019】
請求項4の発明の移載装置は、ローラコンベアは複数のローラとローラ側フレームが一体化されているので、複数のローラがローラ側フレームと一体に移動可能である。また、送り部材は、二つの回転部材に懸架された線状部材を押し上げる押上げ部材を備えているので、線状部材の高さを変更可能(すなわち、昇降可能)である。
【0020】
また、水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換してローラ側フレーム部材を昇降させるローラ側変換手段と、前記水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換して押上げ部材を昇降させる押上げ部材側変換手段とを有しているので、水平移動部材が水平移動すると、ローラコンベアと線状部材は、それぞれ昇降する。
【0021】
さらに、水平移動部材の水平移動に応じてローラ側フレーム部材と、押上げ部材とが交互に昇降されるので、搬送される物品は、ローラコンベアと線状部材の少なくともいずれか一方によって搬送可能な高さで支持される。すなわち、移載装置側から主搬送コンベア23側又は副搬送コンベア24側へ物品を円滑に移動させることができる高さで物品は支持される。
【0022】
また、線状部材の一部又は全部がローラコンベアのローラ同士の間に配されているので、線状部材は、ローラコンベアの間を昇降可能である。換言すると、ローラコンベアは線状部材の間を昇降可能である。よって、物品の搬送方向は、ローラコンベアと線状部材のどちらで支持するかで設定できる。
【0023】
請求項5の発明は、ローラ側フレーム部材と押上げ部材の両方が、一旦上昇した後に一方が降下することを特徴とする請求項4に記載の移載装置である。
【0024】
請求項5の発明の移載装置は、ローラ側フレーム部材と押上げ部材の両方が、一旦上昇した後に一方が降下するので、物品を支持する部材(ローラ側フレーム部材と押上げ部材)が入れ替わる際に、物品の支持高さが低くなることがない。その結果、ローラ側フレーム部材と押上げ部材のいずれで物品を搬送する場合においても、物品をリフトさせる必要がない。すなわち、物品の高さは搬送時の高さに維持されるので、物品をリフトさせるための力が不要である。
【発明の効果】
【0025】
本発明を実施すると、物品の搬送方向を円滑に設定することができる移載装置の省スペース化を図ることができる。特に、本発明の移載装置を備えたコンベアラインの高さ寸法を小さくすることができる。よって、複数のコンベアラインを立体交差させる場合には、個々のコンベアラインの高さを低くすることができるので、その効果はより大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施した移載装置を備えたコンベアラインの部分斜視図である。
【図2】本発明を実施した移載装置の分解斜視図である。
【図3】本発明を実施した移載装置の部分拡大斜視図である。
【図4】図3の移載装置において、副搬送コンベア部が上昇し、主搬送コンベア部が降下した状態の平面図である。
【図5】図4の移載装置において、水平移動部材を移動させ、副搬送コンベア部と主搬送コンベア部3の両方を上昇させた状態の平面図である。
【図6】図4の移載装置において、水平移動部材を移動させ、副搬送コンベア部を降下させ、主搬送コンベア部を上昇させた状態の平面図である。
【図7】切換ローラ部材の断面図である。
【図8】切換ローラ部材に設けた出力部材と、水平移動部材と、ローラ側の外側フレームと押上げ部材側の内側フレームの関係を示す正面図であり、(a)は外側フレームが上昇し、内側フレームが下降している状態を示し、(b)は外側フレームと内側フレームの双方が上昇している状態を示し、(c)は外側フレームが降下し、内側フレームが上昇している状態を示す。
【図9】(a)は、物品を副搬送コンベア部の搬送ローラで支持している状態を示す側面図であり、(b)は、物品を副搬送コンベア部の搬送ローラと主搬送コンベア部のベルトの両方で支持している状態を示す側面図であり、(c)は、物品を主搬送コンベア部のベルトで支持している状態を示す側面図である。
【図10】本発明を実施した図3とは別の移載装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、本発明の移載装置1は、コンベアライン21における搬送経路が交差する部位に配置される。すなわち、直線状に配置された主搬送コンベア22と主搬送コンベア23の間に移載装置1が配置されて主搬送ライン100が構成されており、主搬送コンベア22,23と直交する副搬送コンベア24(副搬送ライン200)が移載装置1に接続される。
【0028】
よって、コンベアライン21は、物品25(被搬送物)を主搬送ライン100(主搬送コンベア22,23)に沿って搬送したり、移載装置1上で搬送方向を変更し、物品25を副搬送ライン200(副搬送コンベア24)に沿って搬送することができる。
【0029】
主搬送コンベア22,23,及び副搬送コンベア24は、複数のローラを備えたローラコンベアであり、複数の従動ローラが駆動ローラから動力伝達されて回転するように構成されている。よって、主搬送コンベア22,23,副搬送コンベア24は、載置した物品25を、各々一方向に搬送することができる。また、主搬送コンベア22,23,及び副搬送コンベア24の物品25の載置高さは一致している。また、この両ラインの各コンベアの搬送面は、後述する移載装置1の搬送面10と略一致している。
【0030】
次に、本発明の移載装置1の構成を説明する。
上述のようにコンベアライン21に配置された移載装置1は、副搬送コンベア部2と主搬送コンベア部3と、昇降機構4とを備えている。以下、順に説明する。
【0031】
図2に示すように、移載装置1の副搬送コンベア部2は、複数の搬送ローラ14と、搬送ローラ14を回転可能に支持するローラ側フレーム部材15とを有している。ローラ側フレーム部材15の下部の4カ所には、それぞれコロ27(図3)が設けられている。すなわち、ローラ側フレーム部材15には、コロ27を回転自在に支持する軸を挿通する軸受が設けてある。コロ27は、ローラ側フレーム部材15の内側に回転可能に設置されている。よって、副搬送コンベア部2は、ローラ側フレーム部材15に、複数の搬送ローラ14と4つのコロ27とが一体化されたユニットとなっている。ローラ側フレーム部材15は、図示しないガイドに沿って上下方向にのみ往復移動が可能である。
【0032】
また、複数の搬送ローラ14のうちの少なくとも一つは駆動ローラであり、その他は従動ローラであって、駆動ローラと従動ローラとがベルトで動力伝達されている。すなわち、搬送ローラ14の上に載った物品25は、搬送ローラ14が回転することによって搬送される。コロ27については後述する。
【0033】
次に、主搬送コンベア部3について説明する。
主搬送コンベア部3は、ベルト駆動ローラ17(回転部材)と、ベルト従動ローラ18(回転部材)と、両ローラに懸架される環状のベルト19(線状部材)と、環状のベルト19を部分的に押し上げるベルト押上げ部材20と、ベルト側フレーム部材35とを備えている。
【0034】
ベルト従動ローラ18とベルト押上げ部材20は、ベルト側フレーム部材35に一体固着されている。また、ベルト側フレーム部材35の下部外側の4箇所には、それぞれコロ36が設置されている。すなわち、ベルト側フレーム部材35には、コロ36を回転自在に支持する軸を挿通する軸受が設けてある。よって、主搬送コンベア部3は、ベルト側フレーム部材35に、ベルト従動ローラ18と、ベルト押上げ部材20と、4つのコロ36が一体化されたユニットを備えている。このユニット内のベルト従動ローラ18とベルト駆動ローラ17は、ベルト19が懸架されて一体に回転可能である。
【0035】
すなわち、ベルト駆動ローラ17はモータ内蔵ローラであって回転可能な外筒32の内部に減速機構を有するモータ26を備えている。よって、モータ26が駆動されると外筒32が回転する。また、ベルト駆動ローラ17はローラ側フレーム部材15の外側に配置されており、移載装置1の筐体40に外筒32が回転できるように固定されている。そして、ベルト19が外筒32に設けたギア33に懸架され、ベルト19を介してベルト従動ローラ18に動力を伝達する。
【0036】
また、環状のベルト19の中には、押上げ部材20が配置されている。この押上げ部材20が上昇すると、押上げ部材20はベルト19の物品25を載置する面の裏面を押圧し、ベルト19を部分的に押し上げるようになっている。このように構成された主搬送コンベア部3のベルト19が、副搬送コンベア部2の搬送ローラ14の間に平行に交互に配置されている。
【0037】
なお、ベルト従動ローラ18を搬送面10の高さよりも下方で固定し、ベルト従動ローラ18の近傍にベルト側フレーム部材35に固定された別の押上げ部材を設け、この別の押上げ部材と前述の押上げ部材20とを上昇させることにより、ベルト19の物品25を載置する部位を搬送面10の高さに配置することもできる。
【0038】
ベルト側フレーム部材35は、ローラ側フレーム部材15よりも一回り小さく、ローラ側フレーム部材15の内側に配置されている。ベルト側フレーム部材35は、図示しないガイドに沿って上下方向にのみ往復移動が可能である。
【0039】
次に昇降機構4について説明する。
移載装置1は、主搬送コンベア部3と副搬送コンベア部2を昇降させる昇降機構4を備えている。昇降機構4は、水平移動部材11,切換ローラ部材5,及びコロ27,36等から構成される。
【0040】
まず、水平移動部材11について説明する。
図4に示すようにローラ側フレーム部材15とベルト側フレーム部材35の間に、2つの水平移動部材11が平行に配置される。これらの水平移動部材11は、図示しないガイドに沿って、長手方向にのみ往復移動が可能である。
【0041】
図8に示すように水平移動部材11は、長尺状の直線部30を備えている。この直線部30の一端には、ラック部31が設けてある。このラック部31は、後述する切換ローラ部材5の出力ギア9(出力部材)と噛み合う。そして正回転又は逆回転する出力ギア9から動力が伝達されることによって、水平移動部材11は水平方向に往復移動する。すなわち、動力が伝達された水平移動部材11は、図示しないガイドに沿って往復移動する。
【0042】
また、水平移動部材11の直線部30には、凹部28,29が設けてある。すなわち凹部28,29は、それぞれ直線部30の両端付近に設けられている。凹部28,29には、前述のローラ側フレーム部材15に設けたコロ27と、ベルト側フレーム部材35に設けたコロ36が嵌る。すなわち、水平方向に停止するローラ側フレーム部材15の4つのコロ27が、2つの凹部28と2つの凹部29に同時に嵌るようにレイアウトされている。よって、後述する切換ローラ部材5の出力ギア9が回転すると、水平移動部材11の直線部30は、4つのコロ27を回転させながら水平移動し、凹部28,29がコロ27の位置に差し掛かると、図6に示すように4つのコロ27を同時に凹部28,29内に落とし込む。その結果、コロ27と一体のローラ側フレーム部材15が降下する。
【0043】
同様に、ベルト側フレーム部材35の4つのコロ36も、後述する切換ローラ部材5の出力ギア9が回転し、水平移動部材11が水平移動すると、同時に凹部28,29内に落とし込まれる。その結果、ベルト側フレーム部材35は降下する。
【0044】
図4〜図6に示すように、近接するコロ27とコロ36の距離は、凹部28又は凹部29の幅よりも離間している。また、図4及び図8(a)に示すように、コロ36が凹部28,29に嵌る際には、コロ27は直線部30上にある。逆に、図6及び図8(c)に示すようにコロ27が凹部28,29に嵌る際には、コロ36は直線部30上にある。すなわち、ローラ側フレーム部材15が降下する際にはベルト側フレーム部材35は上昇しており、ベルト側フレーム部材35が降下する際にはローラ側フレーム部材15が上昇している。そして、図5及び図8(b)に示すように凹部28,29が、近接するコロ27とコロ36の間にくるときには、ローラ側フレーム部材15とベルト側フレーム部材35の両方が上昇している。
【0045】
次に、切換ローラ部材5について説明する。
図4〜図6に示すように切換ローラ部材5は、出力ギア9(出力部材)と、支持部6a,6bと、モータ内蔵ローラ37と、空転ローラ7(空転ローラ部材)とを備えている。図7に示すように出力ギア9は、切換ローラ部材5の両側に設けられており、前述の水平移動部材11のラック部31と噛み合う。
【0046】
モータ内蔵ローラ37は、周知の構成のものを採用することができる。すなわち、モータ内蔵ローラ37の内部にはモータ37a,減速機43が配置される内筒が設けてあり、この内筒に一方の支持部6aが固定されている。支持部6aには、モータ内蔵ローラ37の内部のモータ37aに電力を提供する配線34が設けてある。また、支持部6a,6bは、軸受を介して後述の外筒38の両端を支持している。よって切換ローラ部材5は、支持部6a,6bで移載装置1の所定の位置に固定される。
【0047】
前述のようにモータ内蔵ローラ37には、モータ37a等を内蔵する内筒の外側に軸受を介して回転可能な外筒38が設けられている。また、減速機43には駆動軸41が設けられている。この駆動軸41と外筒38の内壁には動力伝達ギア42が設けられている。よって、モータ37aが駆動されると、動力伝達ギア42を介して回転動力が外筒38に伝達され、外筒38が回転する。この外筒38の両端には、各々出力ギア9が一体に設けられている。すなわち出力ギア9は、外筒38と一体に回転可能である。
【0048】
モータ37aの回転量(回転数)は、図示しない検出装置がモータパルスをカウントすることによって検出される。そしてモータ37aは、予め設定した回転量で停止するように図示しない制御装置で制御される。これにより、出力ギア9と噛み合って進退する水平移動部材11の移動量(移動距離)及び移動方向が適切に設定され、コロ27又はコロ36が直線部30の凹部28,29に嵌った状態でモータ37aと水平移動部材11が停止する。また、リミットスイッチによってモータ37aの回転量を制限し、水平移動部材11の移動量を制御してもよい。
【0049】
また、外筒38の外側には、軸受39を介して空転ローラ7が設けられている。よって、仮にモータ内蔵ローラ37が駆動され、空転ローラ7上に物品25(被搬送物)が載置されると、空転ローラ7は回転せず、外筒38(出力ギア9)のみが回転する。すなわち、モータ内蔵ローラ37の出力部である外筒38が、出力ギア9に動力を提供することができる上に、空転ローラ7上に物品25を載置することができ、その際には、軸受39で空転ローラ7が空転(実際には停止)する。そのため、モータ内蔵ローラ37の駆動が、空転ローラ7上の物品25の搬送に影響を与えることはない。
【0050】
切換ローラ部材5は、搬送ローラ14と平行に配置されており、2つの平行に配置された水平移動部材11のラック部31と、切換ローラ部材5の両端に設けた出力ギア9が噛み合っている。そして切換ローラ部材5は、移載装置1の筐体40に回転可能に支持されている。よって、切換ローラ部材5は、上下方向及び水平方向に移動せず、その場で正転及び逆転の回転運動のみを行う。
【0051】
前述のように切換ローラ部材5は、内部に動力源のモータが配置されたモータ内蔵ローラ37を備えている。モータ内蔵ローラ37の外筒38には出力ギア9が固定されている。よって、モータ内蔵ローラ37が駆動されると、外筒38と一体に出力ギア9が回転する。
【0052】
すなわち、出力ギア9は水平移動部材11を往復移動させるように回転駆動されるので、仮に物品25が外筒38上に載置されると、物品25は、外筒38の正回転及び逆回転の影響を受け、正規の搬送方向へ円滑に移動することができなくなる。しかし、外筒38の外周に、軸受39を介して空転ローラ7を設け、空転ローラ7上に物品25が載置されることにより、物品25は外筒38の回転方向に関わりなく、正規の搬送方向へ円滑に搬送される。
【0053】
なお、空転ローラ部材7の内部にモータ内蔵ローラ37を配置する代わりに、通常のモータを配置し、このモータの駆動軸と出力ギア9とを結合してもよい。すなわち、図示しない検出装置によってモータパルスをカウントしてモータの回転量を検出し、予め設定した回転量で停止するように図示しない制御装置で制御される。これにより、出力ギア9と噛み合って進退する水平移動部材11の移動量が適切に設定され、ローラ側フレーム部材15又はベルト側フレーム部材35が上昇(又は降下)する。この場合においても、空転ローラ部材は内蔵したモータに対して自由回転することができ、円滑に回転して物品を搬送できる。
【0054】
物品25を搬送するための駆動源は、搬送ローラ14のうちのいずれかに設けられた駆動ローラである。すなわち、駆動ローラと複数の従動ローラとがベルトで動力伝達されている。
【0055】
以上のように構成された移載装置1は、物品25を図1に示す主搬送コンベア22から移載装置1を経て主搬送コンベア23側へ搬送したり、主搬送コンベア22から移載装置1を経て副搬送コンベア24側へ搬送することができる。
【0056】
次に、移載装置1の動作について説明する。
図1に示すコンベアライン21上を搬送される物品25が、移載装置1に到達するまでの間に、図示しないセンサによって物品25の搬送先が検出され、その検出結果に基づいて、移載装置1が動作する。
【0057】
仮に物品25の搬送先が、主搬送コンベア23側にある場合(すなわち、主搬送ライン100上を搬送する場合)には、切換ローラ部材5を駆動し、水平移動部材11を図8(c)に示す位置まで移動させて、ローラ側フレーム部材15が降下するようにコロ27を凹部28,29に落とし込み、図9(c)に示すように搬送ローラ14の頂部を搬送面10(物品25の載置高さ)より下方へ待避させる。その際、コロ36は必ず水平移動部材11の直線部30上に配置されるので、ベルト19は搬送面10と同じ高さに配置されて物品25を載置することができる。その結果物品25は、ベルト19によって主搬送コンベア23側へ搬送される。
【0058】
逆に物品25を副搬送コンベア24側へ搬送する場合(すなわち、副搬送ライン200上を搬送する場合)には、切換ローラ部材5を駆動し、水平移動部材11を図8(a)に示す位置まで移動させて、ベルト側フレーム部材35が降下するようにコロ36を凹部28,29に落とし込み、図9(a)に示すようにベルト19の上面を搬送面10の高さよりも下方へ待避させる。その際、コロ27は必ず水平移動部材11の直線部30上に配置されるので、搬送ローラ14の頂部は搬送面10の高さに配置され、この搬送ローラ14上に物品25が載置される。その結果物品25は、搬送ローラ14によって移載装置1上を副搬送コンベア24側へ搬送される。
【0059】
以上説明したように、水平移動部材11を移動させ、直線部30の凹部28,29にどちらかのコロ(27又は36)を落とし込むことにより、搬送面10と同じ高さに搬送ローラ14の頂部又はベルト19の上面を配置し、物品25を載置すると共に、所定の搬送方向に物品25を搬送することができる。
【0060】
なお、搬送ローラ14とベルト19のいずれか一方から他方へ物品25の載置を移行する際に、図9(b)に示すように、一旦、搬送ローラ14の頂部とベルト19の上面の両方を搬送面10と同じ高さに配置して両方で物品25を支持し、その後に搬送に関わらない方を降下(待避)するのが好ましい。すなわち、このようにするのは、物品25を搬送面10よりも下方へ移動させてから、再度搬送面10の高さまでリフトするのは、物品25が当初から搬送面10の高さに支持されている場合よりも余分な力を要するからである。この場合には、全てのコロ27,36が、凹部28,29から外れて直線部30上に配置されるように、切換ローラ部材5のモータ内蔵ローラ37の回転量が制御される。そして、モータ内蔵ローラ37は、物品25が両コンベア部上に載置されるまで停止する。その後に、搬送に関わらない方のコンベア部が降下するようにモータ内蔵ローラ37が駆動され、コロ27又は36が凹部28,29に嵌って停止する。
【0061】
また、空転ローラ部材7は、搬送ローラ14と共に上下移動してもよい。物品25を副搬送コンベア24側へ搬送する際には、搬送ローラ14と空転ローラ部材7の物品25を載置する部位の高さが一致又は略一致していればよい。
【0062】
昇降機構4は、前述の構成の他、種々のリンク機構やカム機構を採用して構成することもできる。すなわち、切換ローラ部材5の出力ギア9と噛み合うラック部31を備えた水平移動部材11と、ローラ側フレーム部材15及びベルト側フレーム部材35とを、ローラ側フレーム部材15が上昇するときにはベルト側フレーム部材35が降下し、ベルト側フレーム部材35が上昇するときにはローラ側フレーム部材15が下降するように、リンク機構やカム機構を構成する。
【0063】
また、本実施の形態では、切換ローラ部材5を、副搬送コンベア24側に設けた例を説明したが、切換ローラ部材5は、主搬送コンベア23側に設けてもよい。すなわち、切換ローラ部材5の出力ギア9と水平移動部材11のラック部31とを適宜の歯車機構で動力伝達することで、移載装置1内における切換ローラ部材5のレイアウトを変更可能である。さらに、移載装置1自体の向きを図1に示す状態から90度変更し、物品25を副搬送コンベア部2(搬送ローラ14)で主搬送コンベア23側に搬送し、主搬送コンベア部3(ベルト19)で副搬送コンベア24側に搬送してもよい。
【0064】
本発明の移載装置は、図10に示すような形態で実施することもできる。図10は、本発明を実施した図3とは別の移載装置の斜視図である。図10に示す移載装置51は、一部の構成のみが図3の移載装置1の構成と相違している。そこで以下では、共通する構成には同じ符号を付して重複する説明は省略し、主に相違する構成について説明する。
【0065】
図10に示す移載装置51では、主搬送コンベア部3のベルト駆動ローラ57(ベルト駆動ローラ17と同様のモータ内蔵ローラ)が、移載装置51の下部の中央に配置されている。そして、ベルト従動ローラ58(図1のベルト従動ローラ18に相当)とベルト従動ローラ60(図1のベルト押上げ部材20に相当)が、ベルト側フレーム部材35に固定され、ベルト駆動ローラ57よりも上方に配置されている。そして、これら3つの平行に配置されたローラに複数のベルト59が懸架されている。環状のベルト59のうち、ベルト駆動ローラ57を経由しないベルト従動ローラ58とベルト従動ローラ60の間の部分で物品25を載置し搬送する。
【0066】
ベルト駆動ローラ57の軸芯57aは、軸受部材54で支持されている。軸受部材54の上部にはフランジ部54aが設けられている。このフランジ部54aには、付勢部材55の下端が固定されている。また、付勢部材55の上端は、移載装置51の筐体40に固定された図示しないフランジ部材に固定されている。この付勢部材55の付勢力が、ベルト駆動ローラ57に作用するベルト59の張力と釣り合っている。よって、ベルト駆動ローラ57は所定の位置で停止している。
【0067】
今、仮にベルト側フレーム部材35が上昇すると、ベルト従動ローラ58,60が上昇し、ベルト駆動ローラ57にはベルト59からさらに強い上向きの力が作用する。その結果、付勢部材55の付勢力に抗してフランジ部54aと一体のベルト駆動ローラ57が上昇する。すなわち、付勢部材55の付勢力に抗する力が作用すると、ベルト駆動ローラ57は上昇することができる。
【0068】
また、ベルト59には適度の張力が作用して物品25を良好に搬送することができる。逆に、ベルト側フレーム部材35が降下すると、ベルト59によるベルト駆動ローラ57に作用する上向きの力が減少し、ベルト駆動ローラ57は付勢部材の付勢力によって降下する。すなわちベルト59には、ベルト側フレーム部材35の上昇時には大きな張力が作用し、ベルト側フレーム部材35の降下時には小さな張力が作用する。よってベルト59が弛む事態は発生しない。
【0069】
図10に示すベルト駆動ローラ57は、ベルト従動ローラ58とベルト従動ローラ60の中央下部に配置されているが、ベルト従動ローラ58側又はベルト従動ローラ60側へ偏って配置することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 移載装置
2 副搬送コンベア部
3 主搬送コンベア部
4 昇降機構(昇降手段)
5 切換ローラ部材
6 支持部
7 空転ローラ(空転ローラ部材)
8 モータ
9 出力ギア(出力部材)
10 搬送面
11 水平移動部材
12 ローラ側変換手段
13 押上げ部材側変換手段
14 搬送ローラ
15 ローラ側フレーム部材
16 送り部材
17 ベルト駆動ローラ(回転部材)
18 ベルト従動ローラ(回転部材)
19 ベルト(線状部材)
20 ベルト押上げ部材(押上げ部材)
21 コンベアライン
22,23 主搬送コンベア
24 副搬送コンベア
25 物品(被搬送物)
27 ローラ側フレーム部材に設けたコロ
28,29 水平移動部材の直線部に設けられた凹部
30 水平移動部材の直線部
31 水平移動部材のラック部
35 ベルト側フレーム部材
36 ベルト側フレーム部材に設けたコロ
37 切換ローラ部材に設けたモータ内蔵ローラ
38 外筒
39 切換ローラ部材に設けた軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送面に載置して被搬送物を一方の方向に搬送可能な主搬送コンベア部と、前記主搬送コンベア部と同一の領域に配され被搬送物を搬送面に載置して前記主搬送コンベア部の搬送方向に対して交差する方向に被搬送物を搬送する副搬送コンベア部と、前記主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部のいずれか一方又は双方を昇降させる昇降手段とを有する移載装置において、切換ローラ部材を有し、当該切換ローラ部材は支持部と空転ローラ部材とモータと出力部材とを有し、空転ローラ部材の内部に前記モータが内蔵され、出力部材は空転ローラ部材の外部にあり、前記モータによって出力部材が回転し、前記空転ローラ部材は支持部に対しても出力部材に対しても相対回転を許容し、前記切換ローラ部材の空転ローラ部材は、主搬送コンベア部又は副搬送コンベア部の搬送面と略同一の平面を構成可能な位置に配され、前記昇降手段は、切換ローラ部材の出力部材から動力伝導を受けて動作することを特徴とする移載装置。
【請求項2】
切換ローラ部材は、ローラ内にモータが内蔵されていて、当該モータを駆動することによって前記ローラが回転するモータ内蔵ローラを備え、モータ内蔵ローラの外周に空転ローラ部材が相対回転可能に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
昇降手段は、水平移動する水平移動部材と、水平移動を昇降移動に変換する変換手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
主搬送コンベア部と副搬送コンベア部は、その一方がローラコンベアであって複数のローラとローラ側フレーム部材を有し、前記ローラ側フレーム部材に複数のローラが略平行に並べられたものであって、各ローラはローラ側フレーム部材に取り付けられており、
他の一方は複数の送り部材を有し、前記送り部材は二つの回転部材に線状部材が懸架されたものであり、線状部材を押上げる押上げ部材を有し、
前記線状部材の一部又は全部がローラコンベアのローラ同士の間に配されており、
前記水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換してローラ側フレーム部材を昇降させるローラ側変換手段と、
前記水平移動部材の水平移動を昇降移動に変換して押上げ部材を昇降させる押上げ部材側変換手段とを有し、
水平移動部材の水平移動に応じてローラ側フレーム部材と、押上げ部材とが交互に昇降されることを特徴とする請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
ローラ側フレーム部材と押上げ部材の両方が、一旦上昇した後に一方が降下することを特徴とする請求項4に記載の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−6166(P2011−6166A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149213(P2009−149213)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】