説明

穀物を精製するための方法及び設備

本発明は、穀粒、特に小麦を精製するための方法及び装置に関する。精製及び加湿された小麦は、もう一度表面を加湿され、脱穀機(20)内で、外側の殻を除去される。引き続き、脱穀された穀粒は、更に研削及び研磨することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を精製するための、特に、例えば小麦のような穀粒の表面近傍の殻もしくは層内の有害物質を低減するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物、例えば小麦又はライ麦は、穀粒表面の汚れ、剥れた殻又は有害物質を除去するために、湿潤状態及び/又は乾燥状態で精製することができる。過去の10年で、十分に乾燥した状態での精製が定着した。こうして、特許文献1には、小麦がタンブリング及びアスピレーションを含めた乾燥状態での精製を受ける方法が記載されている。引き続き、小麦は、加湿され、テンパリングセル内で2〜3時間寝かされる。テンパリングの後、第1の粉砕段階の直前に小麦の脱穀が行なわれる。この場合、脱穀に対して、もう1つの条件調整が先行する。これは、加湿及びテンパリング後の穀粒の脱穀度及び/又は軟化に依存している。
【0003】
小麦粒が果壁から剥れており、粉体が自由である点に限って、小麦粒を研磨することも公知である(特許文献2)。この場合、果壁は、複数の研磨ステップで段階的に除去され、その際、穀粒には、少なくとも1つのステップで水分が供給される。加えて、加湿された穀粒は、小麦粒の表面をゼラチン化する目的で加熱されてもよい。加湿と同時に行なってもよい加熱の後、穀粒は乾燥及び冷却される。特許文献3によれば、加湿及び研磨された小麦は新たに精製される。未だ付着している麩粒子を特にまた皺から除去するため、この精製は湿式精製である。
【0004】
同様に、垂直に配設されたロータを有する穀物研削機が特許文献4により公知であり、これらの研削機の場合、研削すべき穀粒原料は、更に空気を貫流させ、水で加湿することができる。
【0005】
いわゆるPeriTec法の場合、同様に、アリューロン層が含まれる外側のセル層が研削される。小麦は、通常の方法と同様に精製及び加湿されるが、タンブリング機械は省略することができる。研削の前に、もう一度コントロールされて加湿される。これにより、外側の層は、内側の層から剥がされ、この内側の層は、次に種皮の下に至るまで磨かれる。第1のステージで、麩は、剥離的に縦型の研削機内で除去され、第2のステージでは摩擦研磨によって除去される。これにより、テンパリング時間は、加湿後と粉砕前で劇的に低減させることができる。軟化のための水の浸透時間は、約30分だけである。同時に有害物質による負荷も低減される。
【0006】
特許文献5による乾燥した綺麗な小麦粒を処理するための方法の場合、露出した麩の総苞が除去され、その際、粉砕の準備をするためのコンディショニングの前に、穀粒は、外側の殻層が膨張せずにコンディショニングされ、次いで1〜5分以内で穀粒が外側の殻を除去するための複数の摩擦工程と、内側の殻の層を除去及び分離するための研削工程とを受けるように加湿される。
【特許文献1】スイス国特許第640750号明細書
【特許文献2】欧州特許第218012号明細書
【特許文献3】欧州特許第529843号明細書
【特許文献4】欧州特許第742048号明細書
【特許文献5】欧州特許第373274号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基本にある課題は、穀物、特に小麦の精製を更に簡素化することができる穀物を精製するための方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決は、請求項1の特徴によって行なわれる。本発明による方法では、これは、精製、加湿及びテンパリングされた小麦が、次いで表面を加湿され、引き続く直接脱穀されることによって行なわれる。
【0009】
有利な形成は、下位の請求項に開示されている。特に、脱穀にもう1つの研削が、また場合によっては穀粒表面の研磨が続く。
【0010】
粉砕が後に続く場合に粉砕原料の汚染を十分に回避するために、ミル内では、十分に、水平な、特に機械的な移送要素が省略される。
【0011】
本発明による脱穀方法は、デュラム小麦のような軟質小麦に適用可能であり、粉砕すべき穀粒の少ない有害物質含有量が得られる。有害物質を負荷された麩は、集中的な加工部及び利用部に供給することができる。穀粒表面の集中的な研削又はタンブリングは、脱穀に対して選択的に可能である。この措置方法によって、穀粉品質が影響を受け、粉砕が変更を受ける。
【0012】
別の課題は、穀物、特に小麦を精製するための装置を提供することにある。この課題は、請求項7の特徴によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を、以下で1つの実施例で図面を基にして詳細に説明する。
【0014】
精製並びに加湿及びテンパリングされた小麦は、図示されてないテンパリングセルから配量器21に、またこの配量器から磁石23を介して加湿もしくはコンディショニングユニット22に達し、ここで、必要な水分(殻のコンディショニング)が調節される(この例では約2%の水分付与)。加湿ユニットは、1つの加湿スクリュを備えるが、しかしながらまた2つのスクリュも可能である。加湿された小麦は、磁石23を介して案内され、脱穀機20に達し、ここで、小麦は、約4%の脱穀度で脱穀される。脱穀の間、小麦は、空気流によって貫流される。
【0015】
脱穀された小麦は、別の磁石24’を介して縦型の研削機25、例えば砥石研削機に、またこの研削機から磁石24”を介して研磨機26に達する。
【0016】
このようにして精製及び準備された小麦は、貯蔵部27内で中間貯蔵され、配量器28を介して第1の粗挽きで開始する粉砕部に供給される。
【0017】
脱穀機20の不合格品及びアスピレーションで生じる軽量製品は、分離され、独立して粉砕され、ペレットに成形され、そして例えば燃料としての使用に供される。研削及び研磨の際に生じる不合格品も、この方法で処理される。
【0018】
脱穀機20のステータ1は、ハウジング1を備え、このハウジングは、その内部に支承されるロータ3を取り囲み、フレームスタンドに取り付けられ、下に向かって接続する出口ホッパ4によって開放している。この出口ホッパによって、脱穀粉及び殻部分から成る不合格品が導き出される。
【0019】
製品入口から、小麦粒は、供給スクリュ10を介して処理ゾーン6に達する。脱穀の間、小麦粒は、特有の処理圧力を処理ゾーン6内に構成するために、調節可能な滞留装置7に向かって案内される。脱穀された小麦粒は、調節可能な出口開口部8を経て処理ゾーン6を、また流出9を介して脱穀機20を出て行く。
【0020】
処理ゾーン6は、ステータ側が2つのスクリーンケージによって構成されるので、これらのスクリーンケージは、ロータ3を軸方向に完全に包んでいる。ロータ3は、中空軸を有するチル鋳物ロールから構成されている。このロールは、ロールの周囲に一様に互いに間隔を置いて配設され、かつ処理ゾーン6の全長にわたって延在するスリットを含んでいる。
【0021】
スクリーンケージは、個々のスクリーン板から成る。
【0022】
中空軸は、空気を排出するための多数の開口部を備える。空気は、更にロール内のスリットを経て処理ゾーン6に達し、殻部分等を小麦粒から分離するのを助ける。空気は、ベンチレータによって中空軸に圧送される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】方法のフローチャートを示す。
【図2】脱穀機を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 ステータ
2 ハウジング
3 ロータ
4 出口ホッパ
5 製品入口
6 処理ゾーン
7 滞留装置
8 出口開口部
9 流出
10 供給スクリュ
20 脱穀機
21 配量器
22 加湿ユニット
23 磁石
24 磁石
25 研削機
26 研磨機
27 貯蔵部
28 配量器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物、特に小麦を精製するための方法であって、小麦が先ず洗浄及び加湿され、テンパリングされ、引き続き表面が加湿され、次いで表面が処理され、この場合、表面処理が脱穀である方法。
【請求項2】
脱穀後の穀粒の表面が研削されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
研削後の穀粒の表面が更に研磨されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
脱穀の際に生じる麩及び/又は選別の際に生じる軽フラクションが、粉砕され、ペレットに成形されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ペレットが燃料として使用されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
脱穀された穀粒が、引き続き粉砕され、この場合、ミル内の水平な移送要素が回避されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
秤量及び配量要素を包含する穀物を洗浄するための装置において、
製品流方向で秤量要素及び配量要素の後に、加湿ユニット(22)が脱穀機(20)を従えて配設されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
脱穀機(20)が、処理工具を備えている回転可能に支承されたロータと、処理ゾーン(6)を構成しつつこのロータを取り囲む処理工具及びスクリーンケージを含んでいるステータとを包含し、ロータ(3)が、処理ゾーン(6)の領域内で外側のロールによって取り囲まれている中空軸から成ることを特徴とする請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−512194(P2006−512194A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564109(P2004−564109)
【出願日】平成15年1月27日(2003.1.27)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000062
【国際公開番号】WO2004/060564
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591063350)ビユーラー・アクチエンゲゼルシヤフト (3)
【Fターム(参考)】