説明

積み重ね可能な広口化粧瓶

非円形の容器本体(4)とキャップ閉鎖部(14)とを備える化粧品用の広口瓶(2)が提供される。容器本体(4)が、底パネル(8)によって画定された閉鎖端部(6)と口部(12)によって画定された開放端部とを特徴としている。外面にある底パネル(8)には、三日月形の対称的に配設された突き出た脚部(66)が設けられている。キャップ閉鎖部(14)は、口部(12)のまわりに係合可能な、容器本体(4)上に支持される取付け具(16)を含んでいる。蓋(18)は取付け具(16)に蝶番連結され、ドーム状の上面を有する屋根パネル(20)によって画定される。上面は、屋根パネル(20)の両縁部に沿って互いに対称的に形成された1対の三日月形の窪み部(24、26)を含んでいる。三日月形の窪み部(24、26)は、広口瓶を充分に安定した状態で積み重ねることを可能にする。ドーム状の(湾曲した)屋根パネル(20)は、力を(積み重ねられた瓶から)キャップ閉鎖部(14)に沿ってより均等に分配する。これによって広口瓶の壁厚を縮小することができ、プラスチックの重量を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム状の蓋を有する、上下に積み重ね可能に構造化された広口瓶に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、「広口瓶」という用語は高さの低い広口の容器を指す。化粧品産業においては、広口瓶は、コールドクリーム用およびワセリン用に選択されるパッケージングである。実際、VASELINEまたはVASELINOSという商標で販売されているワセリン用広口瓶が、広口瓶の主要な化粧品である。これらのパッケージは、割合として高さが低いことから、販売業者は、店内の棚スペースを効果的に利用するために、広口瓶を上下に積み重ねる必要がある。積み重ねが可能であるということは、これらのパッケージを製造者から小売店に移送する際に望ましい特徴でもある。
【0003】
環境に対する懸念や経済的側面から、軽量パッケージの製作が必要となってくる。望ましくは、パッケージングから過剰なプラスチックが除去されるべきである。通常、広口瓶はスペースを節約するために積み重ね可能でなければならない。積み重ねるために広口瓶の壁を充分頑丈にするように、一定量のプラスチックが必要とされる。
【0004】
本発明者は、湾曲された(ドーム状の)キャップが力をより均等に分配することを見出している。下向きの力はあまり発生しない。したがって、平らなキャップの付いた広口瓶に対して通常必要となる壁よりも薄い壁で、広口瓶が構築されることが可能である。当然ながら、湾曲した表面で問題となるのは、その上で物体が容易に安定して留まらないということである。湾曲していると安定性の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6412634号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国特許第6412634号明細書(Telescaら)は、ウェットペーパータオル用の押し上げ式ドーム状蓋の引き抜き容器を開示している。ウェットペーパータオルの引き抜き用穴孔の内側周囲には、ドーム状の蓋と一致するドーム状のプラットフォームが存在する。蓋と引き抜き用穴孔とのぴったりとした嵌りを保証するための専用のプラグシールについて記載されている。本発明の焦点は、第1の広口瓶の上に第2の同様の広口瓶が安定して位置決めされることを可能にする曲線上面を有する蓋を備えた広口瓶を提供することである。本発明による特定の実施形態の第2の目的は、曲線を備えた広口瓶に対して適切な密閉システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
化粧品用広口瓶であって:
(i)底パネルによって画定された閉鎖端部と口部によって画定された開放端部とを有する非円形の容器本体において、外面上の底パネルには、対称的に配設された三日月形の突き出た脚部が設けられている、非円形の容器本体と、
(ii)キャップ閉鎖部を備え、該閉鎖部が
(a)口部のまわりに係合可能な、容器本体上に支持される取付け部と、
(b)取付け部に蝶番連結され、ドーム状の上面を有する屋根パネルによって画定された蓋を備え、ドーム状の上面は、屋根パネルの両縁に沿って形成された、互いに対称をなす1対の三日月形の窪み部を備える、化粧品用広口瓶が提供される。
【0008】
図面を考慮することによって、本発明のさらなる特徴および利点がより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による広口瓶の平面斜視図である。
【図2】図1の広口瓶の上面図である。
【図3】積み重ねられた広口瓶を示す図である。
【図4】蓋が開放位置に移動されている、図1と類似の立面図である。
【図5A】屋根パネル上の三日月形の窪み部の深さの変化と形状とを示す、図2の線5A−5Aによる部分断面図である。
【図5B】窪み部の末端セクション付近の深さを示す、図5Aの線5B−5Bによる部分断面図である。
【図5C】窪み部の中央セクションのまわりの深さを示す、図5Aの線5C−5Cによる部分断面図である。
【図6】図1の線6−6による断面図である。
【図7】図6に示された輪郭破線における一部区域の断面図である。
【図8】底パネルを示す、広口瓶の傾斜立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者は、1対の三日月形の窪み部(湾曲した溝)を使用することによって滑りを防止できることを見出している。窪み部は、積み重ねられた広口瓶が他方の広口瓶の屋根パネルから滑り落ちることを防止するだけでなく、横向きの落下も防止する。本発明の三日月形状は、キャップ閉鎖部上の両方向の不安定さが最小限に抑えられることが可能となることを保証する。
【0011】
図1は本発明の広口瓶2を示している。このパッケージは、底パネル8によって画定された閉鎖端部6と口部12によって画定された開放端部とを有する非円形の容器本体4を含んでいる。
【0012】
容器本体の開放端部10を覆うようにキャップ閉鎖部14が配置されている。
【0013】
図1は、キャップ閉鎖部の完全に閉鎖された位置を示している。図4は開放位置を示している。キャップ閉鎖部は、口部12のまわりに係合可能な、容器本体上に支持される取付け部16を含んでいる。取付け具には蓋18が蝶番連結されている。蓋は、ドーム状の上面を有する屋根パネル20によって画定される。
【0014】
図2は、上面を、屋根パネルの両縁に沿って形成された、互いに対称をなす1対の三日月形の窪み部24、26を含むものとして示している。図3は、積み重ねの配置において、広口瓶2が広口瓶3(キャップ閉鎖部のない状態で示されている)の基部としての役割を果たしているところを示している。
【0015】
図5Aは、三日月形の窪み部24に的を絞った蓋の部分断面図を示している。窪み部は、末端セクション30、32を両側に配する中央セクション28を含んでいる。中央セクション28は丸みを帯びた、中点でほぼ平坦な床部を有している。中央セクション28には末端セクション30、32よりも深い溝が屋根パネル内に付けられている。図5Cは中央セクションを最も良く表わしている。これらのセクションは形状も異なる。末端セクション30、32はV字形の床部を有している。図5Bは端末セクションを最も良く表わしている。
【0016】
図4は屋根パネル20の内面48を最も良く示している。屋根パネルは下向きに突き出た覆い部34に縁取られている。この覆い部は前方部分36と、後方部分38と、対向した両側部分40、42とによって画定される。両側部分は前方部分と後方部分を架橋している。前方部分と後方部分は凹型に形成された低い縁部44を有している。
【0017】
屋根パネルの内面48からシールプラグ46が下向きに突き出ている。シールプラグは、覆い部の前方部分、後方部分、および両側部分の内側にあり、断続なくそれらと並置されている。さらに、シールプラグは前方セクション50、後方セクション52、および両側セクション54、46を有している。前方セクションと後方セクションは凸形に形成された低い縁部58を有している。
【0018】
口部12を蓋シール60が取り囲み、これが蓋18に向かって上方に突き出ている。図7で最も良く示されているように、蓋シール60の周囲に沿って、外方に突き出たシールビーズ62が存在する。シールビーズは、凹型に形成された低い縁部44に沿って覆い部の前方部分36の内部に対合するように着座している。広口瓶は、閉鎖蓋位置ではシールプラグが蓋シールの内側にそれと対合するように着座することを特徴とする。
【0019】
取付け部16上、シールビーズの下には支持畝部64が見受けられる。支持畝部は、覆い部の前方部分と後方部分の凹型に形成された低い縁部と対合するように係合する凸型の湾曲部を有している。
【0020】
図8は、容器本体の底パネル8が、外方かつ下方に凹形に形成されていることを示している。この構造は、広口瓶2の上に積み重ねられた際にこの広口瓶2の三日月形の窪み部24と係合するように形状化された並置された1セットの脚部66を、底パネルの外側周囲に沿って作り出している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品用広口瓶(12)であって、
(i)底パネル(8)によって画定された閉鎖端部(6)と口部(12)によって画定された開放端部とを有する非円形の容器本体(4)において、外面上の底パネル(8)には、対称的に配設された三日月形の突き出た脚部が設けられている、非円形の容器本体(4)と、
(ii)キャップ閉鎖部(14)を備え、該閉鎖部が
(a)口部(12)の周りに係合可能な、容器本体(4)上に支持される取付け部(16)と、
(b)取付け部(16)に蝶番連結され、ドーム状の上面を有する屋根パネル(20)によって画定された蓋(18)を備え、上面が、屋根パネル(20)の両縁に沿って形成された、互いに対称をなす1対の三日月形の窪み部(24、26)を備える、広口瓶(12)。
【請求項2】
三日月形の窪み部(24、26)が、末端セクション(30、32)を両側に配する中央セクション(28)を備え、中央セクション(28)は、末端セクション(30、32)よりも屋根パネル(20)内に深い溝が付けられている、請求項1に記載の広口瓶。
【請求項3】
末端セクション(30、32)がV字形状の床部を有する、請求項2に記載の広口瓶。
【請求項4】
屋根パネル(20)が下向きに突き出た覆い部(34)によって縁取られ、覆い部(34)が前方部分(36)と、後方部分(38)と、前方部分(36)および後方部分(38)を架橋する対向した両側部分(40、42)とを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の広口瓶。
【請求項5】
前方部分(36)と後方部分(38)が、凹型に形成された低い縁部(44)を有する、請求項4に記載の広口瓶。
【請求項6】
屋根パネル(48)の内面から下方に突き出たシールプラグ(46)をさらに備え、シールプラグ(46)が、覆い部の前方部分(36)、後方部分(38)、および両側部分(40、42)の内側に存在し、断続なくそれらと並置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の広口瓶。
【請求項7】
シールプラグ(46)が前方セクション(50)と、後方セクション(52)と、前方セクション(50)および後方セクション(52)を架橋する対向した両側セクション(54、56)とを有し、前方セクション(50)と後方セクション(52)が、凹型に形成された低い縁部(58)を有する、請求項6に記載の広口瓶。
【請求項8】
蓋シール(60)が口部(12)を取り囲み、上方に蓋(18)の方へと突き出る、請求項6または7に記載の広口瓶。
【請求項9】
シールプラグ(46)が、閉鎖位置では蓋シール(60)の内側に対合するように着座している、請求項8に記載の広口瓶。
【請求項10】
周囲に沿った蓋シール(60)が、その周囲に沿って外方に突き出たシールビーズ(62)を有し、シールビーズ(62)が、凹型に形成されたその低い縁部(44)に沿って覆い部(36)の前方部分の内側に対合するように着座している、請求項8または9に記載の広口瓶。
【請求項11】
取付け部(16)上でシールビーズ(62)の下に支持畝部(64)をさらに備え、支持畝部(64)が、覆い部の前方部分(36)と後方部分(38)の凹型に形成された低い縁部と対合するように係合する凸型の湾曲部を有する、請求項10に記載の広口瓶。
【請求項12】
容器の底パネル(8)が外方かつ下方に凹型に形成され、それによって、外側周囲に沿って別の広口瓶の三日月形の窪み部(24、26)と係合して上下に積み重ねられるように形状化された1セットの並置された脚部(66)を作り出している、請求項1から11のいずれか一項に記載の広口瓶。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−514820(P2011−514820A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549090(P2010−549090)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052143
【国際公開番号】WO2009/109480
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】