説明

積分流(integralflow)分配システムを有する薬用モジュール

少なくとも二つの薬剤(1、2)を共投与するための注射デバイスのための薬用モジュール(4)が開示され、ここで、主薬剤(1)を含む主送達デバイス(7)が、積分フロー分配器/分配システム(23)を有するカプセル(31)内に含まれる二次薬剤(2)の単回用量を含む薬用モジュール(4)を受け取り、そして両薬剤(1、2)が単回中空針(3)を通して送達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、単回投与インターフェースのみを有するデバイスを使用する分離リザーバから少なくとも二つの薬剤を送達する医療用デバイス及び方法に関する。使用者により開始される単回送達方法は、第二の薬剤の使用者設定不可能な用量、及び第一の薬剤の可変に設定された用量を患者に送達させる。薬剤は、それぞれを独立して(単回薬物化合物)、又は事前混合した(共処方された多重薬物化合物)薬剤を含む二つ又はそれ以上のリザーバ、容器、包装物で利用可能である。本発明は、特に、治療応答が、治療構成の制御及び定義を通して特定対象患者グループに対して最適化できる場合には有利である。より具体的には、本発明は、薬物送達デバイスで使用するために設計された薬用モジュールに関し、 ここで、薬用モジュールは第二の薬剤のカプセルを含む。 一実施態様において、このカプセルは、用量の投与中、第二の薬剤の約80%より大きい排出を確実にするように構成されている。
【背景技術】
【0002】
ある疾病状態は、一つ又はそれ以上の異なった薬剤を用いる処置を必要とする。ある薬物化合物は、最適治療用量を送達するために、互いに特定な関係において送達される必要がある。本明細書では、組合せ治療が望ましいが、それらに限定されるわけではないが、安定性、複合化した治療実績、及び毒性学のなどの理由、のため単回処方においては可能でないかもしれない。
【0003】
例えば、ある場合において、長期間作用型インスリンで、及びプログルカゴン遺伝子の転写産物から誘導されるグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)で糖尿病を処置することが有益であるかもしれない。GLP−1は体内で見いだされ、そして消化管ホルモンのような腸管L−細胞により分泌される。GLP−1は、それ(及びその類似体)を、糖尿病の可能性のある処置として、徹底的な調査の主題となる数種の生理学的特性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
二つ又はそれ以上の活性薬物、又は「薬剤」を同時に送達するとき、多くの潜在的な問題点が存在する。二つ又はそれ以上の活性薬剤は、処方の長期間寿命の保存中、互いに相互作用するかもしれない。従って、活性成分を分離して保存し、そして、それらを送達の観点のみで、例えば、注射、針なし注射、ポンプ、又は吸入を組み合わせることは有利なことである。しかし、二つの薬剤を組み合わせる方法は、信頼性を持って、繰り返し、そして安全に実施するために使用者にとって簡単で、便利であることは必要である。
【0005】
更なる問題は、組合せ治療を構成する各々の活性薬剤の定量性、及び/又は、割合は、各々の使用者にとって、又は治療の異なった段階で変化することが必要となるかもしれないことである。例えば、一つ又はそれ以上の活性薬剤は、「維持」用量まで患者に徐々に導入するために調節期間が必要となり得る。更なる実例は、一つの活性薬剤が非調整可能な固定用量を必要とする場合、一方、他剤は、患者の症状又は肉体的条件に対応して変化することである。この問題は これらの事前混合された処方は、医療専門家又は患者又は使用者により変更できない活性成分の固定比率を有するものなので、多重活性薬剤の事前に混合された処方は適切でないかもしれないことを意味する。
【0006】
更なる問題は、多重薬物化合物の治療が必要となるところで発生する。何故ならば、その一薬剤送達システムをより多く用いることに、又は要求される用量の組合せの必要で正確な計算を行うことに、多くの使用者が対処できないことである。これは、器用さ又は計算上に困難性を有する使用者にとって、特に、真実である。
【0007】
従って、単回注射における二つ又はそれ以上の薬物の送達用のデバイス及び方法、又は使用者にとって実施することが簡単な送達工程を提供するための強い必要性が存在する。具体的な実施態様おいて、本発明は 単回送達方法中、組み合わせのみ、及び/又は、その後、患者に送達する二つ又はそれ以上の活性薬剤用の分離された貯蔵容器を提供することにより上記の問題点を解決する。一つの薬物の用量を設定することは、自動的に、第二の薬剤の用量を固定し、又は決定することになる(即ち、使用者設定不可能)。さらにその上、具体的な実施態様において、一つ又は両方の薬物の量を変化させる機会が与えられる。例えば、一つの流体の量は、注射デバイスの性質を変化させることにより変えることができる(例えば、使用者に変更可能な用量をダイアル設定し、又はデバイスの「固定」用量を変更する)。第二の流体の量は、第二の活性薬剤の異なった体積、及び/又は、濃度を含む各々の変異体を有する包装体を含む様々な第二の薬剤を製造することにより変えることができる。使用者又は医療専門家は、その結果、特別な治療レジームに対する、最も適切な第二包装体若しくはシリーズ、又は異なった包装体のシリーズの組合せを選択するであろう。
【0008】
これら及びその他の利点は、次により詳細に示す発明の記載から明らかになるであろう。
【0009】
本発明により解決されるべき一般的な問題は、薬物の投与が容易になる薬用モジュール、薬物送達システム及び方法を提供することである。
【0010】
具体的な実施態様において、本発明は、単回薬物送達システム内で、多重薬物化合物の複雑な組合せを可能にする。特に、使用者は一つの単回用量設定機構及び単回投与インターフェースを通して、多重薬物化合物を設定し、投与することを可能にする。この単回用量設定器は、個別の薬物化合物の事前に定義された組合せが、一つの薬剤の単回用量が単回投与インターフェースを通して設定され、投与されるとき、送達されるようにデバイスの機構を制御し得る。用語、薬物投与インターフェースは、本開示の文脈において、二つ又はそれ以上の薬剤を、薬物送達システムから排出し、そして患者に投与することを可能にする、いかなるタイプの排出口であってもよい。好ましい実施態様において、単回薬物投与インターフェースは中空の針カニューレを含む。
【0011】
個々の薬物化合物間の治療上の関係を定義することにより、本発明の送達デバイスは、患者/使用者が、多重入力に関連する固有のリスクなしで、多重薬物化合物のデバイスから最適の治療組合せ用量を受け入れることを確実にするのに役立つであろう。ここで、使用者がデバイスを使用する度に、正しい用量組合せを、計算し、設定しなければならない。個々の薬物の組合せは、好ましくは、少なくとも2つの異なった薬剤を含み、ここで、各薬物は、少なくとも一つの薬剤を含む。薬物は流体であってもよく、本明細書で定義する通り、液体又は気体、又は流動できる粉末であってもよく、そしてその形体を変化させようとする力が作用したとき、定常速度で、形体を変化させる粉末であってもよい。あるいは、薬物の一つが、運ばれ、可溶化され、さもなければ別の流体薬物で分散される固体であってもよい。
【0012】
一具体的態様によると、この発明は、単回入力、及び関連する事前に定義された治療上の輪郭は、彼らの処方された用量を、彼らがデバイスを使用する度に計算する必要性を取り除くことになり、単回入力は、かなり容易に、組合せ化合物の設定と投与を可能にするので、器用さ又は計算の困難性を有する使用者に特に有利であるかもしれない。
【0013】
好ましい実施態様において、多重用量内に含まれるインスリンなどの、マスターの、又は主薬物化合物、使用者の選択可能なデバイスは、単回用途で、使用者が交換可能な、二次薬剤の単回用量及び単回投与インターフェースを含むモジュールと一緒に使用できる。主デバイスに連結されるとき、二次化合物は主化合物の投与のため、起動され/送達される。本発明は、具体的に、二つの可能性のある薬剤の組合せとしては、インスリン、インスリン類似体、又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1類似体を記載するが、鎮痛剤、ホルモン、β−アゴニスト、又はコルチコステロイド、若しくは上記薬剤の組合せなどの、他の薬剤又は薬剤の組合せも本発明と共に使用できる。
【0014】
本発明の目的のために、用語「インスリン」は、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体、又はヒトインスリン若しくはヒトインスリン類似体若しくは誘導体を含むそれらの混合物を意味するものとする。インスリン類似体の実例は、限定なしで、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、又はDes(B30)ヒトインスリンである。ヒトインスリン誘導体の実例は、限定なしで、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0015】
本明細書で用いる、用語「GLP−1」は、GLP−1、GLP−1類似体、又はエキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、ペプチド配列:H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2);エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2)を、限定なしで、含むその混合物を意味するものとする。
【0016】
β−アゴニストの実例としては、限定なしで、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バムブテロール、クレンブテロール、インダカテロールがある。
【0017】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。具体的な実施態様において、本発明は、少なくとも約80%、好ましくは、90%以上を単回投与インターフェースを通して薬用モジュールから放出されるように、薬用モジュールから第二の薬剤を効率的に放出し、又は流し出すことを目的とする。ある実例において、患者に投与されなければならない第一の薬剤の最小用量があるかもしれない。そのような状況において、第一回投与量の最小用量が使用者により設定されるとき、全ての第二の薬剤が実質的に放出するために、システムの「フラッシュスルー」性能は、出来るだけ高くあることが重要である。初期の研究は、第二のリザーバの体積を最小化することにより、理論的な「フラッシュスルー」性能が上昇することを示した。例えば、第二のリザーバの体積を40マイクロリットルから、25マイクロリットルへ低下し、そして第一の薬剤の2ユニット用量の投与が、第二の薬剤のフラッシュスルーを約50%から約80%へ上昇させるであろう。
【0018】
好ましくは、第二の薬剤が、主薬剤との混合を最小化して放出される。これは、積分流分配デバイスを有するカプセルで薬用モジュールを設計すること、又は流量分配システムを定義する分離部分のコレクションにより実施できる。用語「フロー分配器」、「フロー分配デバイス」及び「フロー分配システム」は、この分野で相互交換可能に用いられ、そして薬用モジュールからの第二の薬剤の排除を、好ましくは、少なくとも約80%のレベルに上昇させる全てのフロー構成を含むことを意味する。あるケースにおいて、フロー分配システムは単回部材であってもよく、そして、他の実施態様において、それは、薬用モジュール中の種々の構造の使用を定義する、リブ、スパイラル、ネジ溝、又はチャンネルなどの部材のコレクションであってもよい。
【0019】
薬物送達デバイスに取り付け可能な本発明の薬用モジュールの一実施態様は、近位端及び遠位端を有するハウジングを含み、ここで、近位端は薬物送達デバイスに取り付けるように構成されたコネクタを有する。薬用モジュールは薬剤を含むカプセルを含む。カプセルは上部及び底部シール、例えば、誘導シール、セプタム、又は他の孔開け可能シールを含んでもよい。含まれた薬剤は、薬剤の単回用量であってもよい。その上、フロー分配システムは、カプセル内に含まれる。フロー分配システムは、薬剤の停滞流を最小化し、そしてカプセルを通して、及び薬用モジュールからの薬剤のプラグフローを促進し/最大化し得る。
【0020】
セプタムは、好ましくは、フェルールを用いたカプセルに、又は標準多重用量カートリッジ内にゴムセプタムを固定するために、従来から使用されていたものと類似の他のセプタム保持手段に固定される。他の実施態様において、セプタムは機械的摩擦適合及び非機械的結合などの多数の代替手段で固定できる。セプタムは、ゴム、高分子、又は中空針により孔開け可能である、及びカプセル主本体に適切なシールを行うために使用できるその他いかなる素材も含むことができる。好ましくは、カプセルは、ガラスバイアル、又はカプセル内に保存されている薬物を含むことが可能な素材から作られたその他の型のバイアルも含む(他の部材と独立して、又は組み合わせて、又はオーバラップして、など)。
【0021】
フロー分配器は、半径方向、及び/又は、環状、及び/又は、軸状、及び/又は、円周状/渦巻き状の薬物の流れを発生させ、及び逆混合の発生、及び/又は、滞留ゾーンの形成を著しく低下させ又は阻止する、いかなる構造又は構造/機構のコレクションであってもよい。好ましくは、フロー分配器は、二つ又はそれ以上の支持リブ、又は一つ、二つ、又はそれ以上の薬物のフローチャンネルを画成するフローネジ溝を有する円筒形状のピンである。好ましくは、フロー分配器は、一つ又はそれ以上の半径方向の羽根(vane)を含む。フロー分配器の使用は、また、一般に、カプセル、及び/又は、薬用モジュールの製造中、カプセルの充填に関連する効率を大きく改良する。
【0022】
更なる実施態様において、フロー分配器及びバイアルは、一体部材として、例えば、一体成形部材として提供できる。あるいは、フロー分配器及びバイアルは、例えば、フォームフィット、フォースフィット、又は溶接、接着などの素材フィット、又はいかなるそれらの組合せなどの設計原理を活用して、一体部材を提供できる。一体部材は、一つ、二つ、又はそれ以上の薬物のフローチャンネル、好ましくは、一つのフローチャンネルを含む。
【0023】
薬用モジュールは、好ましくは、(二次)薬物の、殺菌され、内蔵型で、シールされたリザーバであるカプセルを含む。カプセルは、また、交換可能である。好ましくは、カプセルは、液体薬剤を含み、最も好ましくはグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)を含む。あるケースにおいて、カプセルは少なくとも二つの薬剤の混合物、例えば、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及びインスリンを含む液体薬剤を含むことは好ましい。
【0024】
別の実施態様は、第一の針がモジュールハウジングの近位端に固定される薬用モジュールを対象にする。第一の針はモジュールハウジングの近位端に位置する保持キャップ内に固定し得る。第二の針はハウジングの遠位端内に固定される。上部及び底部シール又はセプタムを有するカプセルは、第一及び第二の針と流体係合するように構成される。カプセルは第二の薬剤の単回用量を含み得る。薬用モジュールは、カプセルと係合する保持機構を有し得る。より好ましい実施態様において、薬用モジュールが薬物送達デバイスに装着されるとき、第一及び第二の針は上部及び底部シールにそれぞれ孔を開ける。好ましくは、薬用モジュールは、分離した殺菌保護容器において、無菌でシールされる。保持キャップは、好ましくは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに装着されるとき、軸方向で遠位方向に移動するように構成される。
【0025】
薬物送達システムのプライミングが望ましいあるケースにおいて、薬用モジュール内のカプセルは、主リザーバからの薬物をカプセルの周囲を流動させ、そして第二の針から排出させることを可能にするバイパスを含み得る。バイパスは、チャンネル、パイプ、導管、スロット、又は主リザーバからの薬剤を第二の針へ、第二のリザーバ/薬物との連結なしで、運ぶことが可能なその他の経路などのいかなる構成であってもよい。そのようなバイパスの利点は、多重使用薬物送達デバイスをプライミングさせ、そして、また、主及び第二の針を、第二の薬剤のいかなる体積も放出させることなく、プライミングすることを可能にする。この場合、第二のリザーバのシールを、プライミング後、主及び第二の薬剤の両方を注射することを可能とするために、突き刺すことができる。あるいは、バイパスチャンネルは主薬剤のみを注射するために使用してもよい。
【0026】
薬物送達デバイスは、好ましくは、少なくとも一つの薬剤、用量設定器、用量ボタン、及び送達機構を含む薬物の主リザーバを含む。用量ボタンは、主リザーバに機能的に連結できる。用量設定器は、主リザーバに機能的に連結し得る。送達機構は、いかなるタイプであってもよく、例えば、送達機構は、回転可能ピストンロッド、好ましくは、明確な二つのネジ山を有する回転可能ピストンロッドを活用し得る。
【0027】
更に、単回用量設定器を有する薬物送達デバイスの主リザーバ中に含まれる第一の薬剤の用量を初めに設定する工程を含む、一つの薬物の固定用量及び分離リザーバからの主薬物の可変用量を投与する方法が開示される。次に、主リザーバから遠位方向において、第一の薬剤の設定用量を移動させ、そして同時に、積分流分配器を有するシールされたカプセルから第二の薬剤の使用者設定不可能用量(例えば、単回用量)の実質的に全てを強制させる用量ボタンは起動し、ここでカプセルは、単回投与インターフェース、好ましくは中空の注射針を通して、以前に記載した通りの取り外し可能な/使い捨ての薬用モジュール内に含まれている。送達方法の完了時に、第二の薬剤の実質的に全て、並びに、単回投与インターフェースを通して、第一の薬剤の設定用量が放出される。「実質的に全て」は、第二の薬剤の少なくとも約80%がカプセルから放出され、好ましくは、少なくとも約90%がカプセルから放出されることを意味する。一つの配置において、少なくとも約80%が、主薬剤の初めの50マイクロリットル(5ユニット)内に送達される。
【0028】
更なる実施態様において、本発明は、二つ又はそれ以上の薬物を、機能的に、単回投与インターフェースを通じて送達するための薬物送達システムを対象にしている。薬物送達システムは、少なくとも一つの薬剤を含む薬剤の主リザーバを含む。用量ボタンは薬剤の主リザーバに機能的に連結される。単回投与インターフェースは、主リザーバと流体連通するように構成される。薬用モジュールは、フロー分配システムを含むカプセルを含む。フロー分配システムは、一つ、二つ又はそれ以上のフローチャンネルを有し得る。少なくとも一薬剤がカプセル内に含まれる。用量ボタンの単回作動が、主リザーバからの薬物薬剤、及びカプセルからの薬剤の少なくとも一回投与量を、単回薬物投与インターフェースを通して放出させる。薬物送達デバイスは、主リザーバに機能的に連結される単回用量設定器を含むハウジングを含有する。単回投与インターフェースを通じて放出されるカプセルからの薬剤の用量は、使用者設定不可能である。カプセルは少なくとも一つの薬剤の単回用量のみを含んでもよい。
【0029】
薬物送達デバイスの主リザーバは、カプセルと流体連通し得る。本明細書では、用量ボタンの起動は、主リザーバからの薬剤を第二のリザーバ内へ流しこみ、それにより、カプセルからの第二の薬剤を押し込む。
【0030】
尚、別の実施態様において、本発明は第二の薬物化合物の容器が関連した、主、又はマスター薬物送達デバイスに取り付けるように(恒久的に、又は取り外し可能に)設計されたカプセルを含む、針サブアセンブリ(薬用モジュール)内にある注射デバイスを対象にしている。マスターデバイスの起動は、カプセル内に含まれる二次薬物化合物、及びマスター薬物送達デバイス内のリザーバに含まれる主薬物化合物の投与を作動させる。個別のユニット又は混合ユニットとしての化合物の組合せは、一体針を通して本体に送達される。これは、使用者の観点より、標準針を使用する現在利用可能な注射デバイスに、非常に密接に適合する手法で実施でき得る組合せ薬物注射システムを提供する。一可能性のある送達方法は、次の工程を含む:
1.薬用針モジュールを、薬用針の近位端が主化合物と流体連通するよう主注射デバイスの遠位端に取り付けること(例えば、主薬物化合物の3mLのカートリッジを含むカートリッジホルダのネジ山付きハブ)。
2.主化合物の所望用量を投与する準備のために、主注射デバイスをダイアル調整/設定すること。
3.薬用針の遠位端を所望の注射サイトに挿入すること。あるデザインにおいて、薬用針の挿入は、第二化合物の送達を起動することができる。
4.用量ボタンを起動することにより、主化合物を投与すること。これは、また、二次化合物を自動的に投与するのを可能にする。
5.薬用針モジュールを取り外すこと、及び廃棄すること。
【0031】
本発明の薬用モジュールは、適切な互換性インターフェースを有するいかなる薬物送達デバイスを使用するためにも設計できる。しかし、非適合デバイスに対して、非適切な薬用モジュールの装着を阻止する専用の、又はコード化された機構の採用を通して、一つの専用主薬物送達デバイスに対してその使用を限定するような方法でモジュールを設計することは好ましいかもしれない。ある状況においては、薬用モジュールは、一つの薬物送達デバイス(又は、デバイスのグループ)に限定されるが、一方、また、標準薬物投与インターフェースのデバイスへの装着が可能となることを確実にすることは、治療上の、及び安全性の観点から有益であるかもしれない。これは使用者に、モジュールが装着されるとき、組合せ治療を送達することを可能にするであろうが、また、それに限定されないが、主化合物の用量分割又はつぎ足し、のような状況において、標準的な薬物投与インタフェ−スを通して、第二の化合物の用量を二倍にする潜在的なリスクを阻止できる方法で、独立に主化合物の送達を可能にするであろう。
【0032】
本発明の具体的な実施態様の特別の利点は、薬用モジュールが、必要なとき、特に、調節期間が特定薬剤に対して必要であるところでは、用量レジームを調整することが可能となることである。薬用モジュールは、調節を支援するために、特定の順番で、それらに限定されないが、提供された薬用モジュールを使用することを患者に指示するような機構の美観設計、又はグラフ、番号付けなどの、明確な差別化機構を有する多数の調節レベルで提供され得る。あるいは、処方医師は、患者に、多数の「レベル1」調節の薬用モジュールを提供し、そしてその後、これらが完了したとき、医師は次のレベルを処方するであろう。この調節プログラムの重要な利点は、主デバイスが常に一定であることである。
【0033】
本発明の好ましい実施態様において、主薬物送達デバイスは、1回以上使用され、従って、多重使用である。そのようなデバイスは主薬物化合物の交換可能なリザーバを有してもよく、有さなくてもよいが、しかし本発明は、両シナリオに対して同様に適用可能である。既に標準的な薬物送達デバイスを用いて患者に対して1回限りの追加の薬物として処方できる種々の条件に対する一連の異なった薬用モジュールを有することは可能である。患者が以前使用した薬用モジュールを再使用しようと試みるならば、本発明は、患者にこの状況を警告する機構を含むことができる。使用者に警告するそのような手段は、以下のいくつか(又は全て)を含んでもよい:
1.モジュールが使用され、及び取り外されたとき、薬用モジュールの主薬物送達デバイスへの再装着の物理的阻止;
2.使用済み薬物投与インターフェースの患者への挿入の物理的阻止;
(例、単回使用針ガードタイプの配置)
3.薬物投与インターフェースを通した、それを使用したときの、後続液体流の物理的/水圧的阻止;
4.薬物送達デバイスの用量設定器、及び/又は、用量ボタンの物理的ロッキング;
5.可視的警告(例えば、挿入、及び/又は流体流が発生したとき、モジュール上での表示窓内での色の変化、及び/又は、警告文/表示文字(indicia));
6.触覚的フィードバック(次に使用するモジュールハブの外部表面上での触覚的特徴の有無)。
【0034】
この実施態様の更なる機構は、両薬物が一つの注射針及び一つの注射工程を経由して送達される。これは、二つの分別した注射の投与と比較して、使用者工程の減少の観点より、使用者にとって都合のよい利点を提供する。この便利性の利点は、特に、注射が不愉快なものとみなす使用者、又は計算上又は機敏性に問題のある使用者にとって、また、処方治療により改良したコンプライアンスをもたらす。
【0035】
本発明は、また、分離した包装体、例えば、標準的な多重用量ガラスカートリッジ及び単回用量カプセルに保存されている二つの薬物の送達方法に及ぶ。薬物が両者共液体であってもよく、あるいは、薬物の一つ又はそれ以上が粉末、懸濁液、又はスラリであってもよい。一つの実施態様において、薬用モジュールは、それが薬用モジュールを通して注射されるとき、主薬物中に溶解した、又は随伴した粉末薬物で充填できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の様々な態様のこれらの、並びに、その他の利点は、添付の図面を適切に参照して、次の詳細な記載を読むことにより、当業者には明白になるであろう。
【0037】
発明の範囲は請求項の内容で定義される。発明は特定の実施態様に限定されないが、異なった実施態様のエレメントのいかなる組合せも含む。更に、発明は、請求項のいかなる組合せ、及び請求項により開示された特徴のいかなる組合せも含む。
【0038】
典型的な実施態様は、図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】薬用モジュールと共に使用できる一可能性にある薬物送達デバイスを示す。
【図2】二つの孔開け可能な膜を有する第二の薬剤の内蔵リザーバを有する本発明の薬用モジュールの実施態様を示す。
【図3】送達のために装着された二つの孔開け可能な膜を有する第二の薬剤の内蔵リザーバを有する本発明の薬用モジュールの実施態様を示す。
【図4】二つの孔開け可能な膜及びプライミング用バイパスを有する第二の薬剤の内蔵リザーバを有する本発明の薬用モジュールの実施態様を示す。
【図5】環状フロー分配器を有する本発明の薬用モジュール内の内蔵リザーバの分解された実施態様を示す。
【図6】本発明の薬用モジュール内の内蔵リザーバに含まれる環状フロー分配器の一実施態様の拡大図を示す。
【図7】本発明の薬用モジュール内の内蔵リザーバに含まれる環状フロー分配器の一実施態様を用いた薬物フロー経路を示す。
【図8】本発明の薬用モジュール内の内蔵リザーバに含まれる半径方向の羽根を有する環状フロー分配器の別の実施態様の拡大図を示す。
【図9】図8で示す環状フロー分配器を用いた理論的薬物フロー経路を示す。
【図10】本発明の環状フロー分配器の他の可能性のある多くの実施態様の拡大図を示す。
【0040】
開示された薬物送達デバイスの具体的実施態様は、単回出力、又は薬物投与インターフェースを通して、二次薬物化合物(薬剤)の、固定され、事前決定された用量、及び第一の主、又は第一の薬物化合物の投与を可能にする。使用者により主薬剤の用量を設定することは、自動的に、第二の薬剤の固定用量を決定し、それは、好ましくは、積分流分配器/分配システムを有するカプセル中に含まれる単回用量である。好ましい実施態様において、薬物投与インターフェースは、針カニューレ(中空針)である。図1は本発明の薬用モジュール4(図2〜4参照)が装着できる薬物送達デバイス7の一つの例を示す。各薬用モジュールは、好ましくは、内蔵型であり、そして薬物送達デバイス7の遠位端32における取り付け手段と互換性のある取り付け手段8を有するシールされ、そして殺菌された使い捨てモジュールル含む。図示されていないが、薬用モジュールは、保存及び殺菌容器内に含まれ、製造業者により提供されるが、ここで、使用者が殺菌された薬用モジュールに接近できるようにするため、シール又は容器それ自身をはがし、又は裂き開くであろう。ある例において、薬用モジュールの各端部に二つ又はそれ以上のシールを提供することは望ましいことであるかもしれない。
【0041】
ネジ山、スナップロック、スナップフィット、ルアーロック、バイオネット、スナップリング、キースロット、及びそのような連結手段の組合せなどの、恒久的で、取り外し可能な連結手段の全てのタイプを含めて、いかなる公知の手段も使用できる。図2〜4は、薬物送達デバイス7の遠位端32のネジ山9に係合し得るスクリューネジ山として取り付け手段8を示す。図2〜4で示す実施態様は、カプセル31内に完全に含まれる単回用量としての第二の薬剤2の利点を有し、それ故、第二の薬剤と薬用モジュール4の構造、具体的にはハウジング10で使用される素材間での素材の非適合性のリスクを最小化する。これは、また、カプセルを、分離した、独立のサブアセンブリとして製造し、組立てることが可能になる。円筒状のピンの使用は、また、カプセルの充填を大きく支援する(例えば、大口径の開口部に薬物を充填し、円筒状のピンを挿入し、上部シールに適合する)。
【0042】
再循環、及び/又は、投与操作の最終時にカプセル31内に残留しているかもしれない停滞地域により発生する第二の薬剤の残留体積を最小化するために、フロー分配器23は、カプセル31の羽根22のエレメント内に位置する(図5参照)。バイアル、第二の薬剤、及びフロー分配器は、セプタム(又は、同様の孔開け可能タイプのシール)6a及び6bでシールされ、それはフェルール20a及び20bを用いてカプセルに固定するか、又は他の手段(例えば、バイアルの内部直径上の半径方向干渉ビーズ)を通して保持される。好ましくは、フェルールは、ひだ付き可能な素材から、最も好ましくは、アルミニウムのような金属から作られる。好ましくは、フロー分配器23のデザインは、第二の薬剤の少なくとも約80%が、針3の遠位端を通じてカプセル31から放出される。最も好ましくは、少なくとも約90%が放出される。第一の薬剤の主リザーバ11から、カプセル31を通じて、針3の近位端への理想的な移動は、二つの薬物の本質的な混合なしで第二の薬剤2を移動させることになろう。
【0043】
薬用モジュール4の多重使用薬物送達デバイス7への装着は、モジュール4の近位端17に位置する係合針5を多重使用デバイス7のカートリッジ11の遠位端をシールするセプタムに貫通させる。係合針は、カートリッジのセプタムを通して通過するとき、流動連結は、第一の薬剤1と針5の間で作成される。多重使用デバイス7の用量は、その後、用量設定器12(図1参照)を用いて、普通の手法で(例えば、ユニットの適切な数をダイアル設定することにより、又は単回用量又は固定用量のみが可能である場合、デバイスを傾ける)設定される。第二の薬剤を含むシールは、第二のリザーバが針3に対して軸方向に移動するとき(例えば、装着中、又は針ガードの作動、又は同様の挿入起動の元で)、針3及び5により突き刺される。薬物の投与は、その後、デバイス7上の用量ボタン13の起動を経由して薬物を皮下注射することにより達成される。本発明の用量ボタンは、用量設定器で設定された第一の薬剤の用量を、デバイスの遠位端32に向かって遠位的に移動させるいかなる起動機構であってもよい。好ましい実施態様において、用量ボタンは、第一の薬剤の主リザーバにおいてピストンを係合するスピンドルに機能的に連結される。更なる実施態様において、スピンドルは、二つの明確なネジ山を含む回転可能ピストンロッドである。カプセル内に含まれるフロー分配器は、投与中、従って、プラグフローの促進中、二つの薬物間で発生する混合のリスクを最小化するために使用し得る。プラグフローの促進において、二つの薬剤が互いに接触する流れ方向に垂直な断面積を最小化し、又は好ましくは、変化することを阻止することは望ましいかもしれない。最小化することが、又は好ましくは、フローチャンネルの断面積の変化を阻止することは好ましいとはいえ、標準的針配置におけるこの影響は、第二の薬剤の固定体積のためのフローチャンネルの長さを増加させることになろう。これは過剰な、そして薬用モジュールの受け入れられない軸長さを形成することになる。本発明のフロー分配器の使用は、最小断面積の流体経路、及び受け入れ可能な最小の軸方向の包装スペース内に第二の薬剤を保存するに十分な長さを提供し得る。
【0044】
本発明で使用できる薬用モジュール4の実施態様は図2〜4で示される。これらの実施態様において、薬用モジュール4は、第二の薬剤2の固定された単回用量を含む個別の第二のリザーバ又はカプセル31を含む。あるケースにおいて、この第二の薬剤は、薬物送達デバイス7において主薬物化合物と同じ又は異なることもあり得る二つ又はそれ以上の混合物であってもよい。好ましくは、カプセルは恒久的に薬用モジュール内に位置し、そして第二の薬剤の、固定され、事前決定された用量を投与するよう設計されるが、あるケースにおいて、カプセルが空になったとき除去でき、そして新しいカプセルと代替できるように、モジュールを設計することは好ましいかもしれない。
【0045】
図2〜5で示す実施態様において、カプセル31は、第二の薬剤に対して密閉してシールし、そして殺菌されたリザーバを提供する孔開け可能な膜又はセプタム6a及び6bでシールされた端部を有する。主、又は係合針5は、押された位置において、主針5は上部膜6aに孔を開けるようにカプセル31に対して軸方向に移動できる。出口針3は、カプセル31の下部表面上に突出し、そしてカプセルが針3に対して軸方向に動かされるとき、下部膜6bに孔を開ける(例えば、装着中、又は針ガード若しくは同様の挿入トリガの作動の元で)。
【0046】
図1で示すように、多重使用薬物送達デバイスへの薬用モジュールの使用又は取り付け中に、主針5がデバイス7内に含まれるカートリッジ11のセプタムに孔を開ける。この取り付けは、保持キャップ16がカートリッジに対して支え(bear against)、それにより保持機構15a、15bに打勝ち、そして主針をカプセル31の上部膜6aに孔を開けるように、保持キャップ16を事前に決定された軸方向で、遠位方向に動かす。一旦カプセルの上部が保持キャップを支えると、薬用モジュール4内のカプセルを保持する保持機構が打勝ち、そしてカプセルが軸方向の下部に動く。カプセル31の軸運動は、出力針3の近位端をカプセル31の下部膜6bに孔を開ける。
【0047】
薬物の投与中、薬用モジュール内のカプセルに含まれる第二の薬剤の主薬物への拡散を最小化させるため、フロー分配器がカプセル内に含まれる。このフロー分配器は、また、システムからの第二の薬剤の効率的な排出を確実にし、そして、残留体積を大きく最小化させ、そしてカプセルの製造/充填を支援する。フロー分配器の二つの可能性のある実施態様は、円筒状ピンとして図6〜9に示す。初めに、図6及び7を見て、円筒状ピン23はバイアル22内に位置し、そして第二の薬剤が、形状と二つ又はそれ以上の支持リブ24の位置で画成されるフローチャンネル27及び28に充填されるような構成になっている。好ましい実施態様において、ピンは、フローチャンネルの端部がバイアルの内壁に直接接触するように位置する。更なる実施態様において、フローチャンネル及びバイアルは、一体部材として、例えば、一体に成形された部材として提供し得る。あるいは、フロー分配器及びバイアルは共に、フロー分配器がバイアルと一体となった一体部材として製造され、組立てることができる。そのような一体的構造は、例えば、フォームフィット、フォースフィット、又は溶接、接着などの素材フィット、又はそれらのいかなる組合せも活用して実施できる。一体部材は、一つ又はそれ以上の薬物のフローチャンネル、好ましくは、一つのフローチャンネルを含む。フロー分配器(円筒状ピン)は、主、及び第二の薬剤と相溶性のあるいかなる素材からも構築できる。好ましくは、バイアル、及び/又は、フロー分配器は、COC(エチレン及びノルボルネンを基礎とする非晶性ポリマ、また、環状オレフィンコポリマ、エチレンコポリマ、環状オレフィンポリマ、又はエチレン−ノルボルネンコポリマと参照される);LCP(アミド基に結合した線状置換芳香族環を含み、更に、p−ヒドロキシ安息香酸及びその関連するモノマを基礎にした部分的結晶性の芳香族ポリエステル、及び、また、高度に芳香族性のポリエステルを含むアラミド化学構造を有する液晶性ポリマ);PBT(ポリブチレンテレフタレート熱可塑性結晶性ポリマ又はポリエステル);COT(ノルボルネン、又はノルボルネン誘導体の開環重合を基礎とする環状オレフィンポリマ);HDPE(高密度ポリエチレン);及びSMMA(メタクリル酸メチル及びスチレンを基礎にするスチレン−メタクリル酸メチル共重合体)を含むが、それに限定されない、構造的に相溶性のある素材から作ることができる。針で孔開け可能なセプタム、栓、及び/又は、シール、及びカプセル及び主薬物カートリッジの両者で使用されるフロー分配器も、TPE(熱可塑性エラストマ);LSR(液状シリコーンゴム);LDPE(低密度ポリエチレン);及び/又は、いかなる種類の医療グレードの天然又は合成ゴムを用いても製造することができる。
【0048】
フローチャンネルの形状は、支持リブの寸法、幾何学的形状、及び数を変更することにより、29及び30の矢印で示す薬物のプラグフローを推進するために最適化できる。フロー分配器とバイアルの壁の間に形成される環の断面積は、相対的に小さく保つべきである。第二の薬剤を貯蔵するために利用できる体積は、カプセルの内部体積から、フロー分配器の体積を差引いたものに等しいであろう。従って、フロー分配器の体積が、カプセルの内部体積よりわずかに小さい場合、第二の薬剤が占める小さい体積は残る。それ故、カプセル及びフロー分配器のスケールは、小体積の薬物を貯蔵中、大きくすることができる。この更なる利点は、薬物のため利用できる体積は、フロー分配器とそのハウジング間の体積の差異で定義されるので、外部カプセルの幾何学的形状は、薬物の体積で決まらないことである。結果として、第二の薬剤(例えば、50μL)の小体積のため、カプセルは、取扱い、輸送、製造、及び組立に対して受け入れ可能なサイズであり得る。異なったピンの幾何学的形状を用いて、また、カプセルの外部寸法を変更することなく、異なった固定用量の体積を有する様々な範囲の針を製造することは比較的容易であり、それ故、薬用モジュールのサブアセンブリの残余には意味がない。図7で示す通り、フローがバイアル22と円筒状ピン23の間で形成される環に到達するまで、フロー30は、初めは針から半径方向である。
【0049】
好ましくは、流体力学及び熱力学を考慮した流体力学コンピュータシミュレーションは、最適な円筒状ピンのデザインを得るために使用できるであろう。カプセル内の第二の薬剤の逆流を最小化し、又は取り外すことは、システムからの排除パーセントを大きく強化することになろう。カプセル内の逆圧力勾配を取り外し、又は低下させることにより、再循環を避けることができる。これは、環状フローパターンを実施するために、カプセル内の一定の断面積を有することにより達成できる。あるいは、 半径方向の流れ、及び/又は、円周状の流れ(即ち、渦巻き)を用いて流れ方向を変化させることにより、逆圧力勾配を避けることができる。記載した通り、第二の薬剤の体積は、占められた体積/フロー分配器で移動した体積を操作することにより調整することができる。
【0050】
更に、下部セプタムの表面で停滞体積の可能性を取り外すために、そして、半径方向流れ部分と環状流れ部分の間の転移点で渦巻きを生成する可能性を低下させるために、図8及び9は、一つ又はそれ以上の半径方向の羽根25を含む円筒ピン23の別の実施態様を示す。また、半径方向フロー部分に存在するチャンネル27の幅は、第二の薬剤の放出を支援し、そして、下部セプタムに存在する停滞体積を減少させるために、基礎での流れを加速するよう狭められている。更に、また、このような半径方向の特徴は、円筒状のピンが挿入されたときの散らしにより、充填工程中の薬剤の損失を減少し/除くのに役立つであろう(それらは、発生するいかなる上向きの散らしもそらし/含むためのバッフル板のように作動するのに役立つであろう)。図9はコンピュータ計算した流体力学モデルから得られたカプセルを通したフローパターンを示す。図8及び9で示すフロー分配器を用いたコンピュータモデリングにより、カプセル中の第二の薬剤の5%以下の残留体積が、用量送達後、カプセル内に残留し、その結果約95%の排除が達成されることが予測される。図10は、本発明において使用できるフロー分配器の更なるデザインを示す。もちろん、既に述べた通り、フロー分配システムは、同様に、薬用モジュール内の構造部材の組合せを含む。例えば、バイアルの内部表面は、流体フローチャンネルを定義するためネジ溝及びリブで構成され、そして、シールが、流体のフローを軸方向から半径方向に、渦巻き状に、又はその逆にも変化することを支援するように構成することができる。
【0051】
本発明の上記で記載した実施態様のいずれの場合においても、第二の薬剤は、粉末状固体状態であっても、カプセル内に含まれるいかなる流動状態であっても、又は薬物投与インターフェース若しくは円筒状ピンの内側表面にコートされていてもよい。薬物の固体形体の大きい濃度は、低い濃度を有する液体より小さい体積を占める優位性がある。これは、順に、薬用モジュールの欠量を低下させる。更なる利点は、固体形体の第二の薬剤は、液体形体の薬物より、潜在的により直接的シールが可能であることである。デバイスは、投与中、第一の薬剤により溶解された第二の薬剤を有する好ましい実施態様と同様の方法で使用されるであろう
【0052】
図4に戻って、第一の薬剤1を有する出力針3のプライミングを支援するため、カプセル31の部分として、バイパスチャンネル19が組み込まれている本発明の別の実施態様が示される。あるいは、バイパスは、第二の薬剤2なしで、第一の薬剤1を直接投与するために使用することができる。この実施態様の薬用モジュール4は、図1で示す通り、デバイスに取り付けられるとき、主針5がカプセル31のセプタム6aに孔を開ける。しかし、主針がセプタムに孔を開ける前に、使用者はバイパスチャンネル19を活用して、プライミングを開始する、又は主薬剤の投与操作のみ開始する選択肢を有する。これは、保持キャップ16と上部孔開け可能膜6a間のキャビティ33に主薬剤を投与することにより達成される。キャビティ33は、バイパスチャンネル19と流体連通にあるので、主薬剤はカプセル31の周囲を、そして下部キャビティ34内へ、そして出力針3を通して外へ流れる。任意のプライミング操作が完了した後、又は主薬物の直接投与の実施後、薬用モジュールは、完全に、多重使用薬物送達デバイス7に取り付けられ(スクリューネジ溝の場合、回転して)、出力針及び主針をリザーバの下部及び上部膜又はカプセルをそれぞれ孔を開けるようになる。膜6a及び6bに孔を開けることは、第一及び第二の薬剤の間の流体連通を開き、それらを多用途デバイスの投与機構の操作を通して投与させる。これが起こるとき、バイパスチャンネル19は、カプセル31の内容物から分離する。
【0053】
上記の実施態様の薬用モジュール間の連結又は取り付けは、コネクタ、停止部、スプライン、リブ、ネジ溝、及び特定の薬用モジュールが薬物送達デバイスに適合するためのみに取り付け可能であることを確実にするデザイン機構などの追加の機構(図示されていないが)を含んでもよい。そのような追加の機構は、非適切な薬用モジュールを非適合の注射デバイスへ挿入することを阻止するであろう。
【0054】
薬用モジュールの形状は、円筒形本体であってもよく、又は流体リザーバを定義するために、又は第二の薬剤の個別の内蔵型リザーバを含むために、及び一つ又はそれ以上の針カニューレを取り付けるために、好適な他のいかなる幾何学的形状であってもよい。リザーバ又はカプセルは、ガラスから、又は他の薬剤接触に好適な素材から製造できる。一体化した注射針は、皮下注射、又は筋肉内注射に好適ないかなる針カニューレであってもよい。
【0055】
更に、薬用モジュールは、偶発的な針突き刺しを阻止し、そして針恐怖症に病んでいる使用者が経験する心配事を低下させる安全シールドデバイスを導入できる。安全シールドの正確なデザインは、本発明には重要ではないが、好ましいデザインは、第一、及び/又は、第二のリザーバに機能的に連結するものである。そのようなデザインにおいて、安全シールドの起動は、薬物送達システムを開放することができ、そして、あるケースにおいて、第一リザーバから主薬物を投与するために用量ボタンを起動する前に、第二の薬剤を投与させる。それは、また、カプセルに孔を開けるために、使用者の入力/起動として使用できるであろう(それにより、希望すれば、自動のプライミングモード機能を提供する)。
【0056】
好ましくは、薬用モジュールは、自立型で、及び殺菌性を保持するためにシールされた分離デバイスとして製造業者より提供される。モジュールの殺菌シールは、好ましくは、薬用モジュールが使用者により薬物送達デバイスに前進し、又は装着されるとき、例えば、切断により、引き剥がしにより、ピーリングにより、自動的に解放されるよう設計される。注射デバイスの末端にある角度の付いた表面などの特徴、又はモジュール内側の特徴により、シールのこの開放を支持し得る。
【0057】
本発明の薬用モジュールは、多重使用注射デバイス、好ましくは、図1で示したものと類似のペン型多重用量注射デバイスと連携して操作するように設計し得る。注射デバイスは再使用可能な、又は使い捨てデバイスであってもよい。使い捨てデバイスにより、それは、製造業者から得られた、薬物を事前負荷した注射デバイスを意味し、主薬物が放出された後、新しい薬物を再負荷することができない。デバイスは、固定用量の、又は設定可能な用量のデバイスであってもよい。それは、また、多重用量デバイス又は単回使用デバイスであってもよい。
【0058】
一般的な注射デバイスはカートリッジ又は他の薬物リザーバを含む。このカートリッジは一般的には円筒形状であり、そして通常はガラスで作られている。カートリッジは一端をゴム栓で、そして他端をゴムセプタムでシールされる。注射デバイスは多重注射を送達するよう設計される。用量ボタンは、用量設定器により設定された第一の薬剤の用量をデバイスの遠位端に向かって、遠位方向に移動させるいかなる起動機構であってもよい。好ましい実施態様において、用量ボタンは、第一の薬剤の主リザーバにおいてピストンを係合するスピンドルに機能的に連結される。送達機構は、一般的に、使用者の手動作用で動力を供給されるが、しかし、注射機構は、また、スプリング、圧縮ガス又は電気エネルギなどの他の手段でも動力を受けられる。更なる実施態様において、スピンドルは、二つの明確なネジ山を含む回転可能なピストンロッドである。
【0059】
薬用モジュールが薬物の単回用量を含むある実施態様において、モジュールは、リザーバ中の単回用量を患者に投与するため、モジュールは、薬物送達デバイスに装着されなければならない。換言すれば、薬用モジュールは、自立型の注射デバイスとして使用するように構成されていない。これは、モジュールが用量送達機構を含まず、その変わり、それが装着されなければならない薬物送達デバイス内に含まれる用量送達機構に依存するからである。
【0060】
本発明の典型的な実施態様が説明された。しかし、当業者は、変化と修正は請求項で定義される本発明の真の範囲と精神から離れることなくこれらの実施態様に対して実施でき得ることは理解するであろう。
【0061】
参照番号リスト
1.第一の薬剤;
2.第二の薬剤/二次薬剤;
3.針;
4.薬用モジュール;
5.主針/係合針;
6a.上部セプタム/膜/シール;
6b.下部セプタム/膜/シール;
7.薬物送達デバイス;
8.取り付け手段/コネクタ;
9.ネジ山;
10.ハウジング;
11.主リザーバ/カートリッジ;
12.用量設定器;
13.用量ボタン;
15a、15b.保持機構;
16.保持キャップ;
17.モジュールの近位端;
19.バイパスチャンネル;
20a、20b.フェルール(ferule);
22.バイアル;
23.フロー分配器/ピン/環状ピン/円筒状ピン;
24.支持リブ;
25.半径方向の羽根;
27、28.チャンネル;
29、30.薬剤の流れ、矢印;
31.カプセル/第二のリザーバ;
32.デバイスの遠位端;
33.キャビティ;
34.下部キャビティ;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールであって:
a.近位端及び遠位端を有するハウジング(10)であって、ここで、近位端は、薬物送達デバイス(7)に取り付けるように構成されたコネクタ(8)を有する、該ハウジング(10);
b.薬剤(2)を含むカプセル(31);及び
c.カプセル(31)内に含まれるフロー分配システム(23);
を含んでなる、上記薬用モジュール。
【請求項2】
カプセル(31)が上部及び底部シール(6a、6b)を有する、請求項1に記載の薬用モジュール。
【請求項3】
薬物送達デバイスに取り付け可能な請求項2に記載の薬用モジュールであって:
d.ハウジング(10)の近位端に位置する保持キャップ(16)に固定された第一の針(5);及び
e.ハウジング(10)の遠位端内に固定された第二の針(3);
を更に含んでなり、ここで、上部及び底部シール(6a、6b)は、第一及び第二の針(5、3)と流体係合するように構成される、上記薬用モジュール。
【請求項4】
カプセル(31)がバイアル(22)を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項5】
フロー分配システム(23)がピン(23)を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項6】
フロー分配システム(23)が、一つ、二つ又はそれ以上の薬剤フローチャンネル(27、28)を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項7】
フロー分配システム(23)が、薬剤の半径方向の流れ(29、30)を発生するように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項8】
フロー分配システム(23)が、一つ又はそれ以上の半径方向の羽根(25)を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項9】
カプセル(31)が交換可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項10】
カプセル(31)が液体薬剤(2)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項11】
主リザーバ(11)からの薬剤(1)を、バイパス(19)を通して流動し、そして第二の針(3)から排出することを可能にするバイパスを更に含んでなる、請求項3〜10のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項12】
フロー分配システム(23)及びバイアル(22)が、一体部材として備えられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項13】
一体部材が一体成形部材として備えられる、請求項12に記載の薬用モジュール。
【請求項14】
単回投与インターフェースを通して操作可能である二つ又はそれ以上の薬剤を送達する薬物送達システムであって:
a.少なくとも一つの薬物作用物質を含む薬剤(1)の主リザーバ(11);
b.薬剤(1)の主リザーバ(11)に機能的に連結された用量ボタン(13);
c.主リザーバ(11)に流体連通するように構成された単回投与インターフェース(3);及び
d.i.一つ、二つ、又はそれ以上の薬剤フローチャンネル(27、28)を有するカプセル(31)内のフロー分配システム(23):及び
ii.少なくとも一つの薬剤;
を含んでなるカプセル(31)を含む薬用モジュール(4);
を含んでなり、
ここで、用量ボタン(13)の単回作動が、主リザーバ(11)からの薬剤(1)及びカプセル(31)からの薬剤の少なくとも一回投与量を、単回投与インターフェース(3)を通して放出させる;
上記システム。
【請求項15】
カプセル(31)が少なくとも一つの薬剤の単回用量を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
用量ボタン(13)の単回起動が、カプセル(31)からの薬剤の使用者設定不可能用量を放出させる、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
主リザーバ(11)及びカプセル(31)の少なくとも一つが液体薬剤(1、2)を含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項18】
主リザーバ(11)がカプセル(31)と流体連通する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項19】
用量ボタン(13)の作動が、主リザーバ(11)からの薬剤(1)を、カプセル(31)内へ流動させ、そしてそれにより、カプセル(31)からの薬剤を押し出す、請求項18に記載の薬物送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−528641(P2012−528641A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513589(P2012−513589)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057586
【国際公開番号】WO2010/139676
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】