積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
【課題】実装する基板に対し、内部電極が水平となるように実装した場合にも、垂直となるように実装した場合にも、電界の集中を防止し、マイグレーションの発生を防止することができ、かつ内部電極の配置設計が容易な積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】セラミック素子1の内部に、容量形成部Mを囲むように、一方および他方の外部電極2、3のぞれぞれに接続された、面内方向が内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極7、8と、面内方向が内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極9、10とを形成するようにした。
【解決手段】セラミック素子1の内部に、容量形成部Mを囲むように、一方および他方の外部電極2、3のぞれぞれに接続された、面内方向が内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極7、8と、面内方向が内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極9、10とを形成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電装市場において、ECU(電子制御ユニット)をエンジンルームに設置する等の理由から、高温での使用が保障された電子部品およびその実装方法が求められている。
【0003】
しかしながら、150℃以上での使用に耐える半田が存在しないため、エンジンルーム内に設置される電子部品の実装には、高温での使用に耐える導電性接着剤が用いられている。そして、現在、使用されている導電性接着剤に含有されている導電性粉末の主成分には、Agが用いられることが多い。
【0004】
また、電子部品の外部電極の主成分にも、経時的な酸化を抑制することを考慮して、Agが用いられることがある。特に、導電性粉末の主成分にAgを使用した導電性接着剤を用いて実装する場合には、電子部品の外部電極の主成分をAgにすれば、外部電極と導電性接着剤との接続抵抗を小さくできるという効果もある。
【0005】
しかしながら、電子部品の外部電極の端部と、その外部電極と異なる極性を有する内部電極の端部との間には高い電界強度が発生するため、Agを主成分とする導電性粉末を含有する導電性接着剤を用いて電子部品を基板等に実装した場合、すなわち、Agを主成分とする導電性粉末を含有する導電性接着剤を用いて電子部品の外部電極を基板等の電極パターンに接合した場合、導電性接着剤中のAgが電子部品のセラミック素子を通過して前記内部電極の端部にまで達するマイグレーションが生じ絶縁抵抗が低下するという問題があった。また、電子部品の外部電極がAgを主成分としている場合には、そのAgがマイグレーションの原因になることもあった。そして、これらのマイグレーションにより、セラミック素子にクラックが生じることもあった。
【0006】
これらのマイグレーションへの対策を講じた積層セラミック電子部品として、特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサがある。図11から図13は、この積層セラミックコンデンサを示す。なお、図11は、この積層セラミックコンデンサを側面方向から見た断面図であり、図12は図11におけるA−A'部分を矢印方向に見た断面図であり、図13は図11におけるB−B'部分を矢印方向に見た断面図である。
【0007】
図11から図13に示すように、特許文献1の積層セラミックコンデンサは、セラミック素子101の両端に一対の外部電極102、103が形成されるとともに、セラミック素子101の内部には、外部電極102に接続された複数の内部電極104と、外部電極103に接続された複数の内部電極105とが、セラミック層106を介して交互に配置されている。また、最下層の内部電極104のさらに下には、内部電極104、105よりも長さが短かく、内部電極104、105と平行な位置関係にあり、外部電極103に接続されて容量形成に寄与するとともに、外部電極103の端部と、最下層の内部電極104の端部との間の電界集中を緩和してマイグレーションの発生防止にも寄与する内部電極兼水平ダミー電極107が形成されている。さらに、最上層の内部電極104のさらに上にも、同様に、内部電極兼水平ダミー電極107が形成されている。
【0008】
また、セラミック層6を介して交互に配置された内部電極104、105の側面方向の両側には、内部電極104、105と垂直な位置関係にある、外部電極102に接続された一対の垂直ダミー電極108と、外部電極103に接続された一対の垂直ダミー電極109が形成されている。
【0009】
この特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサは、実装する基板に対し、内部電極104、105が水平となるように実装された場合には、高い電界強度が発生する、外部電極103の端部と最下層の内部電極104の端部との間を内部電極兼水平ダミー電極107が遮るため、マイグレーションの発生を防止することができる。また、この積層セラミックコンデンサが、実装する基板に対し、内部電極104、105が垂直となるように実装された場合には、高い電界強度が発生する、外部電極102の端部と内部電極105の端部との間を垂直ダミー電極108が、外部電極103の端部と内部電極104の端部との間を垂直ダミー電極109が遮るため、マイグレーションの発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−235976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した先行技術にかかる積層セラミックコンデンサには、次のような問題があった。
【0012】
すなわち、電界集中を有効に緩和するためには、積層された内部電極のうちの最下層の内部電極と、さらにこの下に設けられた内部電極兼水平ダミー電極との間、および積層された内部電極のうちの最上層の内部電極と、さらにこの上に設けられた内部電極兼水平ダミー電極との間は、常に異なった極性となるように異なった外部電極に接続しなければならず、内部電極の設計自由度に制約があり、必要な容量値を調整するのが難しかった。たとえば、図11からわかるように、一対の内部電極兼水平ダミー電極107がともに外部電極103に接続されているため、最下層の内部電極104と最上層の内部電極104はともに外部電極102に接続しなければならず、内部電極の設計自由度に制約があり、必要な容量値を調整するのが難しかった。
【0013】
また、内部電極兼水平ダミー電極107の長さが、内部電極104、105の長さと異なっているため、この積層セラミックコンデンサに用いられるセラミックス素子を、表面に所定形状の導電ペーストが塗布された複数のグリーンシートを積層し、その積層体を焼成して形成する場合に、内部電極104、105用のグリーンシートと、内部電極兼水平ダミー電極107用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシートから取り出すことができないという問題もあった。
【0014】
本発明は、上述した先行技術の問題点を解決するためになされたものであり、実装する基板に対し、内部電極が水平となるように実装した場合にも、垂直となるように実装した場合にも、電界の集中を緩和してマイグレーションの発生を防止することができ、かつ必要な容量を得るための内部電極の配置設計が容易な積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで本発明の積層セラミックコンデンサは、一対の端面とその端面を結ぶ側面とを有する略直方体状のセラミック素子の両端面および各端面から延びる側面の一部を覆うようにそれぞれ外部電極が形成されるとともに、セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された複数の内部電極と、他方の外部電極に接続された複数の内部電極とが、交互に、セラミック層を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極と、その重なった内部電極間に存在するセラミック層とで容量形成部が構成された積層セラミックコンデンサにおいて、セラミック素子の内部に、容量形成部の周囲を囲むように配置されるダミー電極として、一方および他方の外部電極のぞれぞれに接続され、その面内方向が内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極と、その面内方向が内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極とを形成し、 また、セラミック素子の側面上に形成された外部電極の先端と、その外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインにその先端が接するか、あるいは当該ラインを遮るように、平行ダミー電極または垂直ダミー電極を配置し、また、容量形成部をセラミック素子のいずれか一方の端面側から見た場合に、内部電極の幅で規定される容量形成部の幅w、内部電極のうちの積層方向の最も下に位置する内部電極と、内部電極のうちの積層方向の最も上に位置する内部電極との距離で規定される容量形成部の高さt、平行ダミー電極の幅b、および垂直ダミー電極の幅cを、
0.20w≦b
0.20t≦c
の関係にし、かつ、平行ダミー電極が容量形成部の幅wの中点を覆うとともに、垂直ダミー電極が容量形成部の高さtの中点を覆うようにした。
【0016】
なお、平行ダミー電極および垂直ダミー電極の寸法は、次の関係にするとさらに効果が大きくなるため、より好ましい。すなわち、 平行ダミー電極および垂直ダミー電極の長さは、外部電極のセラミック素子の側面上に形成された先端と、その外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインを遮るものであることが好ましい。また、容量形成部の幅w、容量形成部の高さt、平行ダミー電極の幅b、および垂直ダミー電極の幅cは、
0.30w≦b
0.30t≦c
の関係にあることが好ましい。
【0017】
また、一方の外部電極に接続された水平ダミー電極と他方の外部電極に接続された水平ダミー電極との間隔は、次の関係にあることが好ましい。すなわち、一方の外部電極に接続された内部電極と他方の端面との間隔、および他方の外部電極に接続された内部電極と一方の端面との間隔をG1とし、互いに対向するように形成された一対の水平ダミー電極の先端の間隔をG2とした場合に、G2=2G1の関係にあることが好ましい。
【0018】
さらに本発明は、積層セラミックコンデンサの製造方法にも向けられる。本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法においては、セラミック素子を、表面に内部電極を形成するための導電ペーストが塗布された内部電極用グリーンシートと、表面に水平ダミー電極を形成するための導電ペーストが塗布された水平ダミー電極用グリーンシートと、表面に導電ペーストが塗布されていない保護層用グリーンシートとを、所望の順番に所望の枚数積層して積層体を形成し、その積層体を焼成して形成するにあたり、内部電極用グリーンシートと水平ダミー電極用グリーンシートとを、同一のマザーグリーンシートあるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明の積層セラミックコンデンサは、上述のとおり、セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された一対の平行ダミー電極と一対の垂直ダミー電極と、他方の外部電極に接続された一対の平行ダミー電極と一対の垂直ダミー電極とを形成し、これらのダミー電極で容量形成部の周囲を囲むようにし、かつ平行ダミー電極および垂直ダミー電極の寸法を所定の値としたため、基板に対し、内部電極が水平となるように実装された場合にも、垂直となるように実装された場合にも、平行ダミー電極または垂直ダミー電極のいずれかで、高い電界強度が発生する外部電極の端部と、その外部電極と異なる極性を有する内部電極との間でマイグレーションが発生するのを防止することができる。
【0020】
また、一対の外部電極の両側から平行ダミー電極が延出されているため、内部電極の配置設計の自由度が高く、最下層の内部電極と最上層の内部電極とを同一の外部電極に接続するようにしても良いし、最下層の内部電極と最上層の内部電極とを異なる外部電極に接続するようにしても良い。この結果、所望の容量を調整するための内部電極の配置設計が非常に容易である。
【0021】
また、一方の外部電極に接続される水平ダミー電極と他方の外部電極に接続される水平ダミー電極との間隔を、上述した好ましい関係にした場合には、水平ダミー電極用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すことができる。すなわち、積層セラミックコンデンサの製造方法の1つとして、大きなマザーグリーンシートに複数枚分のグリーンシートを一括して形成しておき、これを予め各グリーンシートにカットし、あるいは各グリーンシートにカットしながら、グリーンシートを積層する方法があるが、この方法を採用した場合に、カット位置を変えるだけで、水平ダミー用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すことができる。マザーグリーンシートを兼用できることは、積層セラミックコンデンサの生産性向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図1のC−C’部分を示したものである。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図1のD−D’部分を示したものである。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる保護層用のグリーンシートを示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる水平ダミー電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いるグリーンシートを複数含んだマザーグリーンシートを示す側面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサにおけるセラミックグリーンシートの積層方法を示す説明図である。
【図11】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図12】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図11のA−A’部分を示したものである。
【図13】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図11のB−B’部分を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1〜3は、本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す。なお、図1はこの積層セラミックコンデンサを側面方向から見た断面図、図2は図1のC−C'部分の断面図、図3は図1のD−D'部分の断面図である。
【0025】
この積層セラミックコンデンサにおいて、1はセラミック素子であり、チタン酸バリウムを主成分にする誘電体セラミックからなり、長さLを有する直方体状からなる。なお、誘電体セラミックの主成分の種類は任意であり、チタン酸バリウムには限定されない。
【0026】
セラミック素子1の両端には、Agを主成分とする一対の外部電極2、3が形成されている。外部電極2、3は、回り込み長さsをもって、その先端2a、3aがセラミック素子1の側面に回り込んでいる。本実施形態においては、外部電極2、3の回り込み長さsをセラミック素子1の長さLの0.15倍、すなわち、s=0.15Lとした。なお、外部電極2、3の主成分は任意であり、Agには限定されない。また、異なる材料を用いて多層に形成しても良い。
【0027】
セラミック素子1の内部には、Niを主成分とする、外部電極2に接続された複数の内部電極4と、外部電極3に接続された複数の内部電極5とが、交互に、セラミック層6を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極4、5と、その間に存在するセラミック層6とで容量形成部Mを構成している。なお、内部電極4、5の主成分は任意であり、Niには限定されない。
【0028】
本実施形態においては、内部電極4、5の長さxは、セラミック素子1の長さLの0.85倍、すなわちx=0.85Lとした。この結果、内部電極4の先端と外部電極3との間、および内部電極5の先端と外部電極2との間の間隔G1は、セラミック素子1の長さLの0.15倍、すなわち、G1=0.15Lとなる。
【0029】
容量形成部Mは、図3に示すように、外部電極2、3のいずれか一方側から見た場合に、内部電極4、5の幅で規定される幅wと、最下層の内部電極5の下面と、最上層の内部電極4の上面との距離で規定される高さtとを有している。
【0030】
また、セラミック素子1の内部には、容量形成部Mの最下層の内部電極5のさらに下に、外部電極2に接続された水平ダミー電極7と、外部電極3に接続された水平ダミー電極8が形成されている。また、容量形成部Mの最上層の内部電極4のさらに上に、外部電極2に接続された水平ダミー電極7と、外部電極3に接続された水平ダミー電極8が形成されている。水平ダミー電極7、8は、いずれもNiを主成分としている。ただし、水平ダミー電極7、8の主成分は任意であり、Ni には限定されない。
【0031】
水平ダミー電極7、8はいずれも長さa、幅bからなり、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間には、間隔G2が設けられている。なお、本実施形態においては、水平ダミー電極7、8の長さaはセラミック素子1の長さLの0.20倍、すなわちa=0.20Lとし、幅bは容量形成部Mの幅wと同じ、すなわちb=1.00wとした。また、a=0.20Lとしたため、間隔G2=0.60Lとなっている。
【0032】
水平ダミー電極7、8は、基本的には電界の集中を防止し、マイグレーションの発生を防止するためのものであるが、異なる極性を有する内部電極4または5との間、たとえば本実施形態では、外部電極3に接続された最下層の内部電極5と、さらにその下に形成された水平ダミー電極7との間、および外部電極2に接続された最上層の内部電極4と、さらにその上に形成された水平ダミー電極8との間では、容量を形成する機能もはたしている。
【0033】
さらに、セラミック素子1の内部には、容量形成部Mの側面方向の両側に、外部電極2に接続された一対の垂直ダミー電極9と、外部電極3に接続された一対の垂直ダミー電極10とがそれぞれ形成されている。垂直ダミー電極9、10は、いずれもNiを主成分としている。ただし、垂直ダミー電極9、10の主成分は任意であり、Ni には限定されない。
【0034】
垂直ダミー電極9、10はいずれも、長さa、幅cからなり、垂直ダミー電極9と垂直ダミー電極10との間には、間隔G3が設けられている。なお、本実施形態においては、垂直ダミー電極9、10の長さaは水平ダミー電極7、8と同じ長さとし(符号も同じaを使用)、セラミック素子1の長さLの0.20倍、すなわちa=0.20Lとした。この結果、垂直ダミー電極9と10の間隔G3も、水平ダミー電極7と8の間隔G2と同じ0.60Lとなり、間隔G2=間隔G3=0.60Lとなっている。一方、垂直ダミー電極9、10の幅cは、容量形成部Mの高さtと同じ、すなわちc=1.00tとした。
【0035】
本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサにおいては、図1に示すように、最上層の内部電極4の先端4aと、その直近の、外部電極3の先端3aとの間を結ぶラインLinを、水平ダミー電極8が遮っている。同様に、最下層の内部電極5の先端5aと、その直近の、外部電極2の先端2aとの間を結ぶラインLinを、水平ダミー電極7が遮っている。すなわち、内部電極4と外部電極3との間および内部電極5と外部電極2との間の間隔G1=0.15L、外部電極2、3のセラミック素子1の側面への回り込み長さs=0.15L、水平ダミー電極7、8の長さa=2.0Lであるため、ラインLinを水平ダミー電極7または8が遮っている。この結果、ラインLin部分に発生する高い電界強度を、水平ダミー電極7または8によって緩和することができる。なお、後の実験例で明らかにするが、少なくとも水平ダミー電極7、8の先端がラインLinに接していれば、電界強度緩和の効果がある。
【0036】
また、本実施形態においては、図2に示すように、内部電極4の角部4bと、その直近の、外部電極3の先端3aとの間を結ぶラインLinを、垂直ダミー電極10が遮っている。図示しないが、同様に、内部電極5の角部5bと、その直近の、外部電極2の先端2aとの間を結ぶラインLinを、垂直ダミー電極9が遮っている。すなわち、内部電極4と外部電極3との間および内部電極5と外部電極2との間の間隔G1=0.15L、外部電極2、3のセラミック素子1の側面への回り込み長さs=0.15L、垂直ダミー電極9、10の長さa=2.0Lであるため、ラインLinを垂直ダミー電極9または10が遮っている。この結果、ラインLin部分に発生する高い電界強度を、垂直ダミー電極9または10によって緩和することができる。なお、後の実験例で明らかにするが、少なくとも垂直ダミー電極9、10の先端がラインLinに接していれば、電界強度緩和の効果がある。
【0037】
また、本実施形態においては、図3に示すように、水平ダミー電極7(8)の幅bは容量形成部Mの幅wと同じになっており、b=1.00wとなっている。また、水平ダミー電極7(8)が、容量形成部Mの幅wの中点を覆っている。この結果、水平ダミー電極7(8)による電界強度緩和の効果は十分なものになっている。なお、後の実験例で明らかにするが、水平ダミー電極7、8の幅bが容量形成部Mの幅wに対し、少なくとも0.20w≦bの関係にあれば電界強度緩和の効果があり、さらに0.30w≦bの関係にあればより大きな電界強度緩和の効果がある。なお、水平ダミー電極7、8が容量形成部Mの幅wの中点を覆うようにしたのは、水平ダミー電極7、8が所定の幅を備えていたとしても、容量形成部Mからずれた位置に形成されていた場合、最も電界の強い中心部分を遮ることができず、十分に効果を奏することができないからである。
【0038】
同様に、垂直ダミー電極9(10)の幅cは容量形成部Mの高さtと同じになっており、c=1.00tとなっている。また、垂直ダミー電極9(10)が、容量形成部Mの高さtの中点を覆っている。この結果、垂直ダミー電極9(10)による電界強度緩和の効果は十分なものになっている。なお、後の実験例で明らかにするが、垂直ダミー電極9、10の幅cが容量形成部Mの高さtに対し、少なくとも0.20t≦cの関係にあれば電界強度緩和の効果があり、さらに0.30t≦cの関係にあればより大きな電界強度緩和の効果がある。なお、垂直ダミー電極9、10が容量形成部Mの高さtの中点を覆うようにしたのは、垂直ダミー電極9、10が所定の幅を備えていたとしても、容量形成部Mからずれた位置に形成されていた場合、最も電界の強い中心部分を遮ることができず、十分に効果を奏することができないからである。
【0039】
以上のように、本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、容量形成部Mの上下両側に、所定の寸法を備えた二対の水平ダミー電極7、8が形成され、容量形成部Mの左右両側に、同じく所定の寸法を備えた二対の垂直ダミー電極9、10が形成され、合計8枚のダミー電極で容量形成部Mを取り囲んでいる。
【0040】
本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、実装される基板に対し内部電極4、5が水平となるように実装された場合には、水平ダミー電極7、8により、実装される基板に対し内部電極4、5が垂直となるように実装された場合には、垂直ダミー電極9、10により、極性が異なり高い電界強度が発生する、外部電極の端部と内部電極の端部の間の電界強度を緩和することができ、マイグレーションの発生を防止することができる。すなわち、どの側面を用いて実装されても、上記機能を十分に発揮することができる。
【0041】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、一対の外部電極2、3の両側から平行ダミー電極7、8が延出されているため、内部電極4、5の配置設計の自由度が高い。すなわち、図1からわかるように、本実施形態では、最下層の内部電極として外部電極3に接続された内部電極5、最上層の内部電極として外部電極2に接続された内部電極4を配置しているが、最下層および最上層ともに外部電極3に接続された内部電極5としても良いし、あるいは最下層および最上層ともに外部電極2に接続された内部電極4としても良い。内部電極の配置設計の自由度が高いことは、必要な容量を調整する上で非常に有利である。
【0042】
以下に、図4〜7を用いて、本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を示す。なお、図7はこの積層セラミックコンデンサに用いる保護層用のグリーンシートを示す平面図、図5は水平ダミー電極用のグリーンシートを示す平面図、図6、7は内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【0043】
まず、所定のグリーンシートを、所定の枚数、所定の順番で積層して、未焼成セラミック積層体を形成する。
【0044】
最初に、図4に示す、保護層用のグリーンシート21aを、所定の枚数用意し、積層する。グリーンシート21aは、長方形状で、表面には何も形成されていない。グリーンシート21aは、主成分であるセラミック粉末を有機バインダーに分散させたものであり、この後説明するグリーンシート21b、21c、21dと共通の材質が用いられている。
【0045】
次に、最も上に積層された保護層用のグリーンシート21aの上に、図5に示す、水平ダミー電極用のグリーンシート21bを積層する。グリーンシート21bの表面には、水平ダミー電極7、8を形成するための一対の導電ペースト27、28がそれぞれ矩形に塗布されている。
【0046】
次に、水平ダミー電極用のグリーンシート21bの上に、図6に示す、内部電極用のグリーンシート21cを積層する。グリーンシート21cの表面には、内部電極5を形成するための導電ペースト25が矩形に塗布されている。また、グリーンシート21cは、導電ペースト25の周囲に4つの貫通溝が形成され、それらの貫通溝の中に、垂直ダミー電極9を形成するための導電ペースト29、および垂直ダミー電極10を形成するための導電ペースト30が充填されている。なお、グリーンシート21cへの、導電ペースト25の塗布と、貫通溝の形成と、貫通溝への導電ペースト29、30の充填との順番は任意である。たとえば、先にグリーンシート21cへ導電ペースト25を塗布しておき、次に貫通溝を形成し、最後に貫通溝へ導電ペースト29、30を充填しても良い。あるいは、先にグリーンシート21cへ貫通溝を形成しておき、次に貫通溝へ導電ペースト29、30を充填し、最後に導電ペースト25を塗布しても良い。あるいは、先にグリーンシート21cへ貫通溝を形成しておき、その後、導電ペースト25の塗布と、貫通溝への導電ペースト29、30の充填とを同時におこなっても良い。
【0047】
次に、内部電極用のグリーンシート21cの上に、図7に示す、内部電極用のグリーンシート21dを積層する。グリーンシート21dの表面には、内部電極4を形成するための導電ペースト24が矩形に塗布されている。また、グリーンシート21dは、導電ペースト24の周囲に4つの貫通溝が形成され、それらの貫通溝の中に、垂直ダミー電極9を形成するための導電ペースト29、および垂直ダミー電極10を形成するための導電ペースト30が充填されている。
【0048】
次に、内部電極用のグリーンシート21dの上に、図6に示す内部電極用のグリーンシート21cと、図7に示す内部電極用のグリーンシート21dとを、交互に所定の枚数積層し、さらにその上に、図5に示す水平ダミー電極用のグリーンシート21bを積層する。
【0049】
そして、水平ダミー電極用のグリーンシート21bの上に、図4に示す保護層用のグリーンシート21cを、所定の枚数、積層する。
【0050】
以上のように、グリーンシート21a(複数枚)、21b、21c、21d、21c・・・・・21d、21c、21d、21b、21a(複数枚)を順に積層し、未焼成セラミック積層体が形成される。
【0051】
次に、未焼成セラミック積層体に圧力を加え、全体を一体化する。なお、加圧は、グリーンシート21a(複数枚)、21b、21c、21d、21c・・・・・21d、21c、21d、21b、21a(複数枚)を積層する度に、逐次、おこなっても良い。
【0052】
次に、一体化された未焼成セラミック積層体を、所定のプロファイルで焼成する。未焼成セラミック積層体は、焼成されることにより、図1から図3に示すような、内部に、内部電極4、5、水平ダミー電極7、8、垂直ダミー電極9、10を備えたセラミック素子1となる。
【0053】
次に、セラミック素子1の両端面に、外部電極用の導電ペーストを塗布し、焼付けて外部電極2、3を形成することにより、本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサは完成する。
【0054】
(実験例)
本発明の技術的範囲に含まれる実施例として、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さa、水平ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cを変化させて、複数種類の積層セラミックコンデンサを作成した。また、比較例として、水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない積層セラミックコンデンサを作成した。
【0055】
以下、図1から図3を適宜参照しながら説明する。
【0056】
実施例において、セラミック素子1の幅W、高さT、長さLは、W=1.00mm、T=1.00mm、L=2.00mmとした。また、比較例のセラミック素子の大きさも同様とした。
【0057】
また、実施例において、内部電極4、5の長さxは、x=1.70mm=0.85Lとした。この結果、内部電極4の先端とセラミック素子1の一方の端面との間、および内部電極5の先端とセラミック素子1の他方の端面との間の間隔G1は、G1=0.15Lとなった。
【0058】
また、容量形成部Mの幅w、高さtは、w=t=0.60mmとした。比較例の容量形成部Mの幅w、高さtも同様とした。
【0059】
また、実施例において、外部電極5、6の先端5a、6aがセラミック素子1の側面への回り込み長さsは、s=0.30mm=0.15Lとした。比較例の回り込み長さsも同様にした。
【0060】
さらに、実施例において、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さaは、セラミック素子1の長さLとの比において、a=0.15L(外部電極5、6のセラミック素子1の側面への回り込み長さsと同じ場合)、a=0.20L、a=0.25L、a=0.30L、a=0.35L、a=0.40L、a=0.45Lの7種類とした。また、水平ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cは、b=cとし、容量形成部Mの幅w、高さtとの比において、b=0.20w(c=0.20t)、b=0.30w(c=0.30t)、b=0.40w(c=0.40t)、b=0.50w(c=0.50t)、b=0.60w(c=0.60t)、b=0.70w(c=0.70t)、b=0.80w(c=0.80t)、b=0.90w(c=0.90t)、b=1.00w(c=1.00t)の9種類とした。なお、比較例は水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さないため、a=0.00L、b=0.00w(c=0.00t)となる。
【0061】
実施例として、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さaと、水平ダミー電極7、8の幅bと、垂直ダミー電極9、10の幅c(ただしb=c)とを変更した63種類の積層セラミックコンデンサを各200個ずつ作成した。また、比較例として、水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない積層セラミックコンデンサを200個作成した。
【0062】
各実施例および比較例の積層セラミックコンデンサ、それぞれ100個を、Agを主成分とする導電性接着剤を用いてガラスエポキシ基板に形成されたAu電極パターンに実装し、140℃のオーブンで30分間加熱して導電性接着剤を硬化させた。なお、実施例および比較例のいずれにおいても、内部電極4、5が実装する基板に対して水平に実装された個数と、垂直に実装された個数は、ほぼ50%:50%であると推定される。
【0063】
その後、70℃/95R.H/1WVの条件で1000時間放置し、信頼性を評価した。信頼性の評価は、実装された積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗を測定し、108Ω以上の場合を良品、108Ωに満たない場合を不良品として、その良品率をみた。
【0064】
表1に、信頼性試験(1000時間)の結果を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない比較例の積層セラミックコンデンサの良品率は81%であった。ここれに対し、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10を有する実施例の良品率は全て100%であった。
【0067】
このことより、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインに、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10の先端が接しているか(a=0.15Lの場合)、あるいは当該ラインを平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており(a=0.20L、0.25L、0.30L、0.35L、0.40L、0.45Lの場合)、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.20w≦b、0.20t≦cの関係にあれば、平行ダミー電極および垂直ダミー電極を備えない比較例に比べて良品率が改善することがわかった。
【0068】
次に、試験時間を1000時間から2000時間に延ばして信頼性試験をおこなった。
【0069】
上述した1000時間の信頼性試験と同様に、各実施例および比較例の積層セラミックコンデンサ、それぞれ100個を、Agを主成分とする導電性接着剤を用いてガラスエポキシ基板に形成されたAu電極パターンに実装し、140℃のオーブンで30分間加熱して導電性接着剤を硬化させた。
【0070】
その後、70℃/95R.H/1WVの条件で2000時間放置し、信頼性を評価した。(1000時間の信頼性試験と同様に、108Ω以上の場合を良品、108Ωに満たない場合を不良品とした。)
表2に、信頼性試験(2000時間)の結果を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない比較例の積層セラミックコンデンサの良品率は81%であった。
【0073】
外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインに、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10の先端が接している場合、すなわちa=0.15Lの場合は、良品率は85〜99%であった。
【0074】
また、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、容量形成部Mの幅w、高さtとの比較において、0.20w=b、0.20t=cの場合は、良品率は85〜99%であった。
【0075】
これに対し、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインを、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており(a=0.20L、0.25L、0.30L、0.35L、0.40L、0.45Lの場合)、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.30w≦b、0.30t≦cの場合は、良品率は全て100%であった。
【0076】
このことより、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインを、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.30w≦b、0.30t≦cの関係にあれば、長時間の信頼性試験においても不良品が発生することがなく、より好ましいことがわかった。
【0077】
〔第2の実施形態〕
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【0078】
この積層セラミックコンデンサにおいては、内部電極4と外部電極3との間隔、および内部電極5と外部電極2との間隔であるG1と、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間隔であるG2とを、G2=2G1の関係にしたことを特徴としている。その他の構成については、基本的には、第1の実施形態と同様にした。
【0079】
この積層セラミックコンデンサにおいては、水平ダミー電極用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートをカットして、取り出すことができる。
【0080】
すなわち、図9に示すように、マザーグリーンシート200に、G2の間隔を間欠的にあけて導電ペースト300を塗布しておき、内部電極用のグリーンシート21cとグリーンシート21dとを、それぞれG1の導電ペースト非塗布部分を設けて交互に取り出してゆき、水平ダミー電極用のグリーンシート21bが必要な場合には、中央にG2の間隔を有するグリーンシート21bを取り出すことができる。
【0081】
図10に、未焼成セラミック積層体を形成する際の、各グリーンシートの積層位置を示す。なお、最下層および最上層に積層されるべき、保護層用のグリーンシート21aは図示を省略している。また、内部電極用のグリーンシート21cおよび21dは、各3枚を積層する場合を示している、実際の製品においては、必要に応じて増減される。(通常、内部電極は、数十枚から数百枚積層されることが多い。)
以上のように、内部電極4と外部電極3との間隔、および内部電極5と外部電極2との間隔であるG1と、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間隔であるG2とを、G2=2G1の関係に積層セラミックコンデンサを設計しておけば、水平ダミー電極用のグリーンシート21aと、内部電極用のグリーンシート21b、21cとを、同一のマザーグリーンシートから取り切り出すことができる。マザーグリーンシートを兼用できることは、積層セラミックコンデンサの生産性向上に大きく貢献する。
【符号の説明】
【0082】
1:セラミック素子
2、3:外部電極
4、5:内部電極
6:セラミック層
7、8:水平ダミー電極
9、10:垂直ダミー電極
M:容量形成部
21a、21b、21c、21d:セラミックグリーンシート
200:マザーグリーンシート
300:導電ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電装市場において、ECU(電子制御ユニット)をエンジンルームに設置する等の理由から、高温での使用が保障された電子部品およびその実装方法が求められている。
【0003】
しかしながら、150℃以上での使用に耐える半田が存在しないため、エンジンルーム内に設置される電子部品の実装には、高温での使用に耐える導電性接着剤が用いられている。そして、現在、使用されている導電性接着剤に含有されている導電性粉末の主成分には、Agが用いられることが多い。
【0004】
また、電子部品の外部電極の主成分にも、経時的な酸化を抑制することを考慮して、Agが用いられることがある。特に、導電性粉末の主成分にAgを使用した導電性接着剤を用いて実装する場合には、電子部品の外部電極の主成分をAgにすれば、外部電極と導電性接着剤との接続抵抗を小さくできるという効果もある。
【0005】
しかしながら、電子部品の外部電極の端部と、その外部電極と異なる極性を有する内部電極の端部との間には高い電界強度が発生するため、Agを主成分とする導電性粉末を含有する導電性接着剤を用いて電子部品を基板等に実装した場合、すなわち、Agを主成分とする導電性粉末を含有する導電性接着剤を用いて電子部品の外部電極を基板等の電極パターンに接合した場合、導電性接着剤中のAgが電子部品のセラミック素子を通過して前記内部電極の端部にまで達するマイグレーションが生じ絶縁抵抗が低下するという問題があった。また、電子部品の外部電極がAgを主成分としている場合には、そのAgがマイグレーションの原因になることもあった。そして、これらのマイグレーションにより、セラミック素子にクラックが生じることもあった。
【0006】
これらのマイグレーションへの対策を講じた積層セラミック電子部品として、特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサがある。図11から図13は、この積層セラミックコンデンサを示す。なお、図11は、この積層セラミックコンデンサを側面方向から見た断面図であり、図12は図11におけるA−A'部分を矢印方向に見た断面図であり、図13は図11におけるB−B'部分を矢印方向に見た断面図である。
【0007】
図11から図13に示すように、特許文献1の積層セラミックコンデンサは、セラミック素子101の両端に一対の外部電極102、103が形成されるとともに、セラミック素子101の内部には、外部電極102に接続された複数の内部電極104と、外部電極103に接続された複数の内部電極105とが、セラミック層106を介して交互に配置されている。また、最下層の内部電極104のさらに下には、内部電極104、105よりも長さが短かく、内部電極104、105と平行な位置関係にあり、外部電極103に接続されて容量形成に寄与するとともに、外部電極103の端部と、最下層の内部電極104の端部との間の電界集中を緩和してマイグレーションの発生防止にも寄与する内部電極兼水平ダミー電極107が形成されている。さらに、最上層の内部電極104のさらに上にも、同様に、内部電極兼水平ダミー電極107が形成されている。
【0008】
また、セラミック層6を介して交互に配置された内部電極104、105の側面方向の両側には、内部電極104、105と垂直な位置関係にある、外部電極102に接続された一対の垂直ダミー電極108と、外部電極103に接続された一対の垂直ダミー電極109が形成されている。
【0009】
この特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサは、実装する基板に対し、内部電極104、105が水平となるように実装された場合には、高い電界強度が発生する、外部電極103の端部と最下層の内部電極104の端部との間を内部電極兼水平ダミー電極107が遮るため、マイグレーションの発生を防止することができる。また、この積層セラミックコンデンサが、実装する基板に対し、内部電極104、105が垂直となるように実装された場合には、高い電界強度が発生する、外部電極102の端部と内部電極105の端部との間を垂直ダミー電極108が、外部電極103の端部と内部電極104の端部との間を垂直ダミー電極109が遮るため、マイグレーションの発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−235976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した先行技術にかかる積層セラミックコンデンサには、次のような問題があった。
【0012】
すなわち、電界集中を有効に緩和するためには、積層された内部電極のうちの最下層の内部電極と、さらにこの下に設けられた内部電極兼水平ダミー電極との間、および積層された内部電極のうちの最上層の内部電極と、さらにこの上に設けられた内部電極兼水平ダミー電極との間は、常に異なった極性となるように異なった外部電極に接続しなければならず、内部電極の設計自由度に制約があり、必要な容量値を調整するのが難しかった。たとえば、図11からわかるように、一対の内部電極兼水平ダミー電極107がともに外部電極103に接続されているため、最下層の内部電極104と最上層の内部電極104はともに外部電極102に接続しなければならず、内部電極の設計自由度に制約があり、必要な容量値を調整するのが難しかった。
【0013】
また、内部電極兼水平ダミー電極107の長さが、内部電極104、105の長さと異なっているため、この積層セラミックコンデンサに用いられるセラミックス素子を、表面に所定形状の導電ペーストが塗布された複数のグリーンシートを積層し、その積層体を焼成して形成する場合に、内部電極104、105用のグリーンシートと、内部電極兼水平ダミー電極107用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシートから取り出すことができないという問題もあった。
【0014】
本発明は、上述した先行技術の問題点を解決するためになされたものであり、実装する基板に対し、内部電極が水平となるように実装した場合にも、垂直となるように実装した場合にも、電界の集中を緩和してマイグレーションの発生を防止することができ、かつ必要な容量を得るための内部電極の配置設計が容易な積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで本発明の積層セラミックコンデンサは、一対の端面とその端面を結ぶ側面とを有する略直方体状のセラミック素子の両端面および各端面から延びる側面の一部を覆うようにそれぞれ外部電極が形成されるとともに、セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された複数の内部電極と、他方の外部電極に接続された複数の内部電極とが、交互に、セラミック層を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極と、その重なった内部電極間に存在するセラミック層とで容量形成部が構成された積層セラミックコンデンサにおいて、セラミック素子の内部に、容量形成部の周囲を囲むように配置されるダミー電極として、一方および他方の外部電極のぞれぞれに接続され、その面内方向が内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極と、その面内方向が内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極とを形成し、 また、セラミック素子の側面上に形成された外部電極の先端と、その外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインにその先端が接するか、あるいは当該ラインを遮るように、平行ダミー電極または垂直ダミー電極を配置し、また、容量形成部をセラミック素子のいずれか一方の端面側から見た場合に、内部電極の幅で規定される容量形成部の幅w、内部電極のうちの積層方向の最も下に位置する内部電極と、内部電極のうちの積層方向の最も上に位置する内部電極との距離で規定される容量形成部の高さt、平行ダミー電極の幅b、および垂直ダミー電極の幅cを、
0.20w≦b
0.20t≦c
の関係にし、かつ、平行ダミー電極が容量形成部の幅wの中点を覆うとともに、垂直ダミー電極が容量形成部の高さtの中点を覆うようにした。
【0016】
なお、平行ダミー電極および垂直ダミー電極の寸法は、次の関係にするとさらに効果が大きくなるため、より好ましい。すなわち、 平行ダミー電極および垂直ダミー電極の長さは、外部電極のセラミック素子の側面上に形成された先端と、その外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインを遮るものであることが好ましい。また、容量形成部の幅w、容量形成部の高さt、平行ダミー電極の幅b、および垂直ダミー電極の幅cは、
0.30w≦b
0.30t≦c
の関係にあることが好ましい。
【0017】
また、一方の外部電極に接続された水平ダミー電極と他方の外部電極に接続された水平ダミー電極との間隔は、次の関係にあることが好ましい。すなわち、一方の外部電極に接続された内部電極と他方の端面との間隔、および他方の外部電極に接続された内部電極と一方の端面との間隔をG1とし、互いに対向するように形成された一対の水平ダミー電極の先端の間隔をG2とした場合に、G2=2G1の関係にあることが好ましい。
【0018】
さらに本発明は、積層セラミックコンデンサの製造方法にも向けられる。本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法においては、セラミック素子を、表面に内部電極を形成するための導電ペーストが塗布された内部電極用グリーンシートと、表面に水平ダミー電極を形成するための導電ペーストが塗布された水平ダミー電極用グリーンシートと、表面に導電ペーストが塗布されていない保護層用グリーンシートとを、所望の順番に所望の枚数積層して積層体を形成し、その積層体を焼成して形成するにあたり、内部電極用グリーンシートと水平ダミー電極用グリーンシートとを、同一のマザーグリーンシートあるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明の積層セラミックコンデンサは、上述のとおり、セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された一対の平行ダミー電極と一対の垂直ダミー電極と、他方の外部電極に接続された一対の平行ダミー電極と一対の垂直ダミー電極とを形成し、これらのダミー電極で容量形成部の周囲を囲むようにし、かつ平行ダミー電極および垂直ダミー電極の寸法を所定の値としたため、基板に対し、内部電極が水平となるように実装された場合にも、垂直となるように実装された場合にも、平行ダミー電極または垂直ダミー電極のいずれかで、高い電界強度が発生する外部電極の端部と、その外部電極と異なる極性を有する内部電極との間でマイグレーションが発生するのを防止することができる。
【0020】
また、一対の外部電極の両側から平行ダミー電極が延出されているため、内部電極の配置設計の自由度が高く、最下層の内部電極と最上層の内部電極とを同一の外部電極に接続するようにしても良いし、最下層の内部電極と最上層の内部電極とを異なる外部電極に接続するようにしても良い。この結果、所望の容量を調整するための内部電極の配置設計が非常に容易である。
【0021】
また、一方の外部電極に接続される水平ダミー電極と他方の外部電極に接続される水平ダミー電極との間隔を、上述した好ましい関係にした場合には、水平ダミー電極用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すことができる。すなわち、積層セラミックコンデンサの製造方法の1つとして、大きなマザーグリーンシートに複数枚分のグリーンシートを一括して形成しておき、これを予め各グリーンシートにカットし、あるいは各グリーンシートにカットしながら、グリーンシートを積層する方法があるが、この方法を採用した場合に、カット位置を変えるだけで、水平ダミー用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出すことができる。マザーグリーンシートを兼用できることは、積層セラミックコンデンサの生産性向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図1のC−C’部分を示したものである。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図1のD−D’部分を示したものである。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる保護層用のグリーンシートを示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる水平ダミー電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いる内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサに用いるグリーンシートを複数含んだマザーグリーンシートを示す側面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサにおけるセラミックグリーンシートの積層方法を示す説明図である。
【図11】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【図12】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図11のA−A’部分を示したものである。
【図13】従来の積層セラミックコンデンサを示す断面図であり、図11のB−B’部分を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1〜3は、本発明の第1の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す。なお、図1はこの積層セラミックコンデンサを側面方向から見た断面図、図2は図1のC−C'部分の断面図、図3は図1のD−D'部分の断面図である。
【0025】
この積層セラミックコンデンサにおいて、1はセラミック素子であり、チタン酸バリウムを主成分にする誘電体セラミックからなり、長さLを有する直方体状からなる。なお、誘電体セラミックの主成分の種類は任意であり、チタン酸バリウムには限定されない。
【0026】
セラミック素子1の両端には、Agを主成分とする一対の外部電極2、3が形成されている。外部電極2、3は、回り込み長さsをもって、その先端2a、3aがセラミック素子1の側面に回り込んでいる。本実施形態においては、外部電極2、3の回り込み長さsをセラミック素子1の長さLの0.15倍、すなわち、s=0.15Lとした。なお、外部電極2、3の主成分は任意であり、Agには限定されない。また、異なる材料を用いて多層に形成しても良い。
【0027】
セラミック素子1の内部には、Niを主成分とする、外部電極2に接続された複数の内部電極4と、外部電極3に接続された複数の内部電極5とが、交互に、セラミック層6を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極4、5と、その間に存在するセラミック層6とで容量形成部Mを構成している。なお、内部電極4、5の主成分は任意であり、Niには限定されない。
【0028】
本実施形態においては、内部電極4、5の長さxは、セラミック素子1の長さLの0.85倍、すなわちx=0.85Lとした。この結果、内部電極4の先端と外部電極3との間、および内部電極5の先端と外部電極2との間の間隔G1は、セラミック素子1の長さLの0.15倍、すなわち、G1=0.15Lとなる。
【0029】
容量形成部Mは、図3に示すように、外部電極2、3のいずれか一方側から見た場合に、内部電極4、5の幅で規定される幅wと、最下層の内部電極5の下面と、最上層の内部電極4の上面との距離で規定される高さtとを有している。
【0030】
また、セラミック素子1の内部には、容量形成部Mの最下層の内部電極5のさらに下に、外部電極2に接続された水平ダミー電極7と、外部電極3に接続された水平ダミー電極8が形成されている。また、容量形成部Mの最上層の内部電極4のさらに上に、外部電極2に接続された水平ダミー電極7と、外部電極3に接続された水平ダミー電極8が形成されている。水平ダミー電極7、8は、いずれもNiを主成分としている。ただし、水平ダミー電極7、8の主成分は任意であり、Ni には限定されない。
【0031】
水平ダミー電極7、8はいずれも長さa、幅bからなり、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間には、間隔G2が設けられている。なお、本実施形態においては、水平ダミー電極7、8の長さaはセラミック素子1の長さLの0.20倍、すなわちa=0.20Lとし、幅bは容量形成部Mの幅wと同じ、すなわちb=1.00wとした。また、a=0.20Lとしたため、間隔G2=0.60Lとなっている。
【0032】
水平ダミー電極7、8は、基本的には電界の集中を防止し、マイグレーションの発生を防止するためのものであるが、異なる極性を有する内部電極4または5との間、たとえば本実施形態では、外部電極3に接続された最下層の内部電極5と、さらにその下に形成された水平ダミー電極7との間、および外部電極2に接続された最上層の内部電極4と、さらにその上に形成された水平ダミー電極8との間では、容量を形成する機能もはたしている。
【0033】
さらに、セラミック素子1の内部には、容量形成部Mの側面方向の両側に、外部電極2に接続された一対の垂直ダミー電極9と、外部電極3に接続された一対の垂直ダミー電極10とがそれぞれ形成されている。垂直ダミー電極9、10は、いずれもNiを主成分としている。ただし、垂直ダミー電極9、10の主成分は任意であり、Ni には限定されない。
【0034】
垂直ダミー電極9、10はいずれも、長さa、幅cからなり、垂直ダミー電極9と垂直ダミー電極10との間には、間隔G3が設けられている。なお、本実施形態においては、垂直ダミー電極9、10の長さaは水平ダミー電極7、8と同じ長さとし(符号も同じaを使用)、セラミック素子1の長さLの0.20倍、すなわちa=0.20Lとした。この結果、垂直ダミー電極9と10の間隔G3も、水平ダミー電極7と8の間隔G2と同じ0.60Lとなり、間隔G2=間隔G3=0.60Lとなっている。一方、垂直ダミー電極9、10の幅cは、容量形成部Mの高さtと同じ、すなわちc=1.00tとした。
【0035】
本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサにおいては、図1に示すように、最上層の内部電極4の先端4aと、その直近の、外部電極3の先端3aとの間を結ぶラインLinを、水平ダミー電極8が遮っている。同様に、最下層の内部電極5の先端5aと、その直近の、外部電極2の先端2aとの間を結ぶラインLinを、水平ダミー電極7が遮っている。すなわち、内部電極4と外部電極3との間および内部電極5と外部電極2との間の間隔G1=0.15L、外部電極2、3のセラミック素子1の側面への回り込み長さs=0.15L、水平ダミー電極7、8の長さa=2.0Lであるため、ラインLinを水平ダミー電極7または8が遮っている。この結果、ラインLin部分に発生する高い電界強度を、水平ダミー電極7または8によって緩和することができる。なお、後の実験例で明らかにするが、少なくとも水平ダミー電極7、8の先端がラインLinに接していれば、電界強度緩和の効果がある。
【0036】
また、本実施形態においては、図2に示すように、内部電極4の角部4bと、その直近の、外部電極3の先端3aとの間を結ぶラインLinを、垂直ダミー電極10が遮っている。図示しないが、同様に、内部電極5の角部5bと、その直近の、外部電極2の先端2aとの間を結ぶラインLinを、垂直ダミー電極9が遮っている。すなわち、内部電極4と外部電極3との間および内部電極5と外部電極2との間の間隔G1=0.15L、外部電極2、3のセラミック素子1の側面への回り込み長さs=0.15L、垂直ダミー電極9、10の長さa=2.0Lであるため、ラインLinを垂直ダミー電極9または10が遮っている。この結果、ラインLin部分に発生する高い電界強度を、垂直ダミー電極9または10によって緩和することができる。なお、後の実験例で明らかにするが、少なくとも垂直ダミー電極9、10の先端がラインLinに接していれば、電界強度緩和の効果がある。
【0037】
また、本実施形態においては、図3に示すように、水平ダミー電極7(8)の幅bは容量形成部Mの幅wと同じになっており、b=1.00wとなっている。また、水平ダミー電極7(8)が、容量形成部Mの幅wの中点を覆っている。この結果、水平ダミー電極7(8)による電界強度緩和の効果は十分なものになっている。なお、後の実験例で明らかにするが、水平ダミー電極7、8の幅bが容量形成部Mの幅wに対し、少なくとも0.20w≦bの関係にあれば電界強度緩和の効果があり、さらに0.30w≦bの関係にあればより大きな電界強度緩和の効果がある。なお、水平ダミー電極7、8が容量形成部Mの幅wの中点を覆うようにしたのは、水平ダミー電極7、8が所定の幅を備えていたとしても、容量形成部Mからずれた位置に形成されていた場合、最も電界の強い中心部分を遮ることができず、十分に効果を奏することができないからである。
【0038】
同様に、垂直ダミー電極9(10)の幅cは容量形成部Mの高さtと同じになっており、c=1.00tとなっている。また、垂直ダミー電極9(10)が、容量形成部Mの高さtの中点を覆っている。この結果、垂直ダミー電極9(10)による電界強度緩和の効果は十分なものになっている。なお、後の実験例で明らかにするが、垂直ダミー電極9、10の幅cが容量形成部Mの高さtに対し、少なくとも0.20t≦cの関係にあれば電界強度緩和の効果があり、さらに0.30t≦cの関係にあればより大きな電界強度緩和の効果がある。なお、垂直ダミー電極9、10が容量形成部Mの高さtの中点を覆うようにしたのは、垂直ダミー電極9、10が所定の幅を備えていたとしても、容量形成部Mからずれた位置に形成されていた場合、最も電界の強い中心部分を遮ることができず、十分に効果を奏することができないからである。
【0039】
以上のように、本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、容量形成部Mの上下両側に、所定の寸法を備えた二対の水平ダミー電極7、8が形成され、容量形成部Mの左右両側に、同じく所定の寸法を備えた二対の垂直ダミー電極9、10が形成され、合計8枚のダミー電極で容量形成部Mを取り囲んでいる。
【0040】
本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、実装される基板に対し内部電極4、5が水平となるように実装された場合には、水平ダミー電極7、8により、実装される基板に対し内部電極4、5が垂直となるように実装された場合には、垂直ダミー電極9、10により、極性が異なり高い電界強度が発生する、外部電極の端部と内部電極の端部の間の電界強度を緩和することができ、マイグレーションの発生を防止することができる。すなわち、どの側面を用いて実装されても、上記機能を十分に発揮することができる。
【0041】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、一対の外部電極2、3の両側から平行ダミー電極7、8が延出されているため、内部電極4、5の配置設計の自由度が高い。すなわち、図1からわかるように、本実施形態では、最下層の内部電極として外部電極3に接続された内部電極5、最上層の内部電極として外部電極2に接続された内部電極4を配置しているが、最下層および最上層ともに外部電極3に接続された内部電極5としても良いし、あるいは最下層および最上層ともに外部電極2に接続された内部電極4としても良い。内部電極の配置設計の自由度が高いことは、必要な容量を調整する上で非常に有利である。
【0042】
以下に、図4〜7を用いて、本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を示す。なお、図7はこの積層セラミックコンデンサに用いる保護層用のグリーンシートを示す平面図、図5は水平ダミー電極用のグリーンシートを示す平面図、図6、7は内部電極用のグリーンシートを示す平面図である。
【0043】
まず、所定のグリーンシートを、所定の枚数、所定の順番で積層して、未焼成セラミック積層体を形成する。
【0044】
最初に、図4に示す、保護層用のグリーンシート21aを、所定の枚数用意し、積層する。グリーンシート21aは、長方形状で、表面には何も形成されていない。グリーンシート21aは、主成分であるセラミック粉末を有機バインダーに分散させたものであり、この後説明するグリーンシート21b、21c、21dと共通の材質が用いられている。
【0045】
次に、最も上に積層された保護層用のグリーンシート21aの上に、図5に示す、水平ダミー電極用のグリーンシート21bを積層する。グリーンシート21bの表面には、水平ダミー電極7、8を形成するための一対の導電ペースト27、28がそれぞれ矩形に塗布されている。
【0046】
次に、水平ダミー電極用のグリーンシート21bの上に、図6に示す、内部電極用のグリーンシート21cを積層する。グリーンシート21cの表面には、内部電極5を形成するための導電ペースト25が矩形に塗布されている。また、グリーンシート21cは、導電ペースト25の周囲に4つの貫通溝が形成され、それらの貫通溝の中に、垂直ダミー電極9を形成するための導電ペースト29、および垂直ダミー電極10を形成するための導電ペースト30が充填されている。なお、グリーンシート21cへの、導電ペースト25の塗布と、貫通溝の形成と、貫通溝への導電ペースト29、30の充填との順番は任意である。たとえば、先にグリーンシート21cへ導電ペースト25を塗布しておき、次に貫通溝を形成し、最後に貫通溝へ導電ペースト29、30を充填しても良い。あるいは、先にグリーンシート21cへ貫通溝を形成しておき、次に貫通溝へ導電ペースト29、30を充填し、最後に導電ペースト25を塗布しても良い。あるいは、先にグリーンシート21cへ貫通溝を形成しておき、その後、導電ペースト25の塗布と、貫通溝への導電ペースト29、30の充填とを同時におこなっても良い。
【0047】
次に、内部電極用のグリーンシート21cの上に、図7に示す、内部電極用のグリーンシート21dを積層する。グリーンシート21dの表面には、内部電極4を形成するための導電ペースト24が矩形に塗布されている。また、グリーンシート21dは、導電ペースト24の周囲に4つの貫通溝が形成され、それらの貫通溝の中に、垂直ダミー電極9を形成するための導電ペースト29、および垂直ダミー電極10を形成するための導電ペースト30が充填されている。
【0048】
次に、内部電極用のグリーンシート21dの上に、図6に示す内部電極用のグリーンシート21cと、図7に示す内部電極用のグリーンシート21dとを、交互に所定の枚数積層し、さらにその上に、図5に示す水平ダミー電極用のグリーンシート21bを積層する。
【0049】
そして、水平ダミー電極用のグリーンシート21bの上に、図4に示す保護層用のグリーンシート21cを、所定の枚数、積層する。
【0050】
以上のように、グリーンシート21a(複数枚)、21b、21c、21d、21c・・・・・21d、21c、21d、21b、21a(複数枚)を順に積層し、未焼成セラミック積層体が形成される。
【0051】
次に、未焼成セラミック積層体に圧力を加え、全体を一体化する。なお、加圧は、グリーンシート21a(複数枚)、21b、21c、21d、21c・・・・・21d、21c、21d、21b、21a(複数枚)を積層する度に、逐次、おこなっても良い。
【0052】
次に、一体化された未焼成セラミック積層体を、所定のプロファイルで焼成する。未焼成セラミック積層体は、焼成されることにより、図1から図3に示すような、内部に、内部電極4、5、水平ダミー電極7、8、垂直ダミー電極9、10を備えたセラミック素子1となる。
【0053】
次に、セラミック素子1の両端面に、外部電極用の導電ペーストを塗布し、焼付けて外部電極2、3を形成することにより、本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサは完成する。
【0054】
(実験例)
本発明の技術的範囲に含まれる実施例として、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さa、水平ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cを変化させて、複数種類の積層セラミックコンデンサを作成した。また、比較例として、水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない積層セラミックコンデンサを作成した。
【0055】
以下、図1から図3を適宜参照しながら説明する。
【0056】
実施例において、セラミック素子1の幅W、高さT、長さLは、W=1.00mm、T=1.00mm、L=2.00mmとした。また、比較例のセラミック素子の大きさも同様とした。
【0057】
また、実施例において、内部電極4、5の長さxは、x=1.70mm=0.85Lとした。この結果、内部電極4の先端とセラミック素子1の一方の端面との間、および内部電極5の先端とセラミック素子1の他方の端面との間の間隔G1は、G1=0.15Lとなった。
【0058】
また、容量形成部Mの幅w、高さtは、w=t=0.60mmとした。比較例の容量形成部Mの幅w、高さtも同様とした。
【0059】
また、実施例において、外部電極5、6の先端5a、6aがセラミック素子1の側面への回り込み長さsは、s=0.30mm=0.15Lとした。比較例の回り込み長さsも同様にした。
【0060】
さらに、実施例において、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さaは、セラミック素子1の長さLとの比において、a=0.15L(外部電極5、6のセラミック素子1の側面への回り込み長さsと同じ場合)、a=0.20L、a=0.25L、a=0.30L、a=0.35L、a=0.40L、a=0.45Lの7種類とした。また、水平ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cは、b=cとし、容量形成部Mの幅w、高さtとの比において、b=0.20w(c=0.20t)、b=0.30w(c=0.30t)、b=0.40w(c=0.40t)、b=0.50w(c=0.50t)、b=0.60w(c=0.60t)、b=0.70w(c=0.70t)、b=0.80w(c=0.80t)、b=0.90w(c=0.90t)、b=1.00w(c=1.00t)の9種類とした。なお、比較例は水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さないため、a=0.00L、b=0.00w(c=0.00t)となる。
【0061】
実施例として、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10の長さaと、水平ダミー電極7、8の幅bと、垂直ダミー電極9、10の幅c(ただしb=c)とを変更した63種類の積層セラミックコンデンサを各200個ずつ作成した。また、比較例として、水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない積層セラミックコンデンサを200個作成した。
【0062】
各実施例および比較例の積層セラミックコンデンサ、それぞれ100個を、Agを主成分とする導電性接着剤を用いてガラスエポキシ基板に形成されたAu電極パターンに実装し、140℃のオーブンで30分間加熱して導電性接着剤を硬化させた。なお、実施例および比較例のいずれにおいても、内部電極4、5が実装する基板に対して水平に実装された個数と、垂直に実装された個数は、ほぼ50%:50%であると推定される。
【0063】
その後、70℃/95R.H/1WVの条件で1000時間放置し、信頼性を評価した。信頼性の評価は、実装された積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗を測定し、108Ω以上の場合を良品、108Ωに満たない場合を不良品として、その良品率をみた。
【0064】
表1に、信頼性試験(1000時間)の結果を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない比較例の積層セラミックコンデンサの良品率は81%であった。ここれに対し、水平ダミー電極7、8および垂直ダミー電極9、10を有する実施例の良品率は全て100%であった。
【0067】
このことより、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインに、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10の先端が接しているか(a=0.15Lの場合)、あるいは当該ラインを平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており(a=0.20L、0.25L、0.30L、0.35L、0.40L、0.45Lの場合)、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.20w≦b、0.20t≦cの関係にあれば、平行ダミー電極および垂直ダミー電極を備えない比較例に比べて良品率が改善することがわかった。
【0068】
次に、試験時間を1000時間から2000時間に延ばして信頼性試験をおこなった。
【0069】
上述した1000時間の信頼性試験と同様に、各実施例および比較例の積層セラミックコンデンサ、それぞれ100個を、Agを主成分とする導電性接着剤を用いてガラスエポキシ基板に形成されたAu電極パターンに実装し、140℃のオーブンで30分間加熱して導電性接着剤を硬化させた。
【0070】
その後、70℃/95R.H/1WVの条件で2000時間放置し、信頼性を評価した。(1000時間の信頼性試験と同様に、108Ω以上の場合を良品、108Ωに満たない場合を不良品とした。)
表2に、信頼性試験(2000時間)の結果を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
水平ダミー電極および垂直ダミー電極を有さない比較例の積層セラミックコンデンサの良品率は81%であった。
【0073】
外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインに、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10の先端が接している場合、すなわちa=0.15Lの場合は、良品率は85〜99%であった。
【0074】
また、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、容量形成部Mの幅w、高さtとの比較において、0.20w=b、0.20t=cの場合は、良品率は85〜99%であった。
【0075】
これに対し、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインを、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており(a=0.20L、0.25L、0.30L、0.35L、0.40L、0.45Lの場合)、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.30w≦b、0.30t≦cの場合は、良品率は全て100%であった。
【0076】
このことより、外部電極2、3のセラミック素子1の側面に回り込んだ先端2a、3aと、その外部電極2、3と極性が異なる直近の内部電極4、5の最も近い部分とを結ぶラインを、平行ダミー電極7、8または垂直ダミー電極9、10が遮っており、かつ、平行ダミー電極7、8の幅b、垂直ダミー電極9、10の幅cが、0.30w≦b、0.30t≦cの関係にあれば、長時間の信頼性試験においても不良品が発生することがなく、より好ましいことがわかった。
【0077】
〔第2の実施形態〕
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【0078】
この積層セラミックコンデンサにおいては、内部電極4と外部電極3との間隔、および内部電極5と外部電極2との間隔であるG1と、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間隔であるG2とを、G2=2G1の関係にしたことを特徴としている。その他の構成については、基本的には、第1の実施形態と同様にした。
【0079】
この積層セラミックコンデンサにおいては、水平ダミー電極用のグリーンシートと、一方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートと、他方の外部電極に接続される内部電極用のグリーンシートとを、同一のマザーグリーンシート、あるいは同一種類のマザーグリーンシートをカットして、取り出すことができる。
【0080】
すなわち、図9に示すように、マザーグリーンシート200に、G2の間隔を間欠的にあけて導電ペースト300を塗布しておき、内部電極用のグリーンシート21cとグリーンシート21dとを、それぞれG1の導電ペースト非塗布部分を設けて交互に取り出してゆき、水平ダミー電極用のグリーンシート21bが必要な場合には、中央にG2の間隔を有するグリーンシート21bを取り出すことができる。
【0081】
図10に、未焼成セラミック積層体を形成する際の、各グリーンシートの積層位置を示す。なお、最下層および最上層に積層されるべき、保護層用のグリーンシート21aは図示を省略している。また、内部電極用のグリーンシート21cおよび21dは、各3枚を積層する場合を示している、実際の製品においては、必要に応じて増減される。(通常、内部電極は、数十枚から数百枚積層されることが多い。)
以上のように、内部電極4と外部電極3との間隔、および内部電極5と外部電極2との間隔であるG1と、水平ダミー電極7と水平ダミー電極8との間隔であるG2とを、G2=2G1の関係に積層セラミックコンデンサを設計しておけば、水平ダミー電極用のグリーンシート21aと、内部電極用のグリーンシート21b、21cとを、同一のマザーグリーンシートから取り切り出すことができる。マザーグリーンシートを兼用できることは、積層セラミックコンデンサの生産性向上に大きく貢献する。
【符号の説明】
【0082】
1:セラミック素子
2、3:外部電極
4、5:内部電極
6:セラミック層
7、8:水平ダミー電極
9、10:垂直ダミー電極
M:容量形成部
21a、21b、21c、21d:セラミックグリーンシート
200:マザーグリーンシート
300:導電ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端面と当該端面を結ぶ側面とを有する略直方体状のセラミック素子の両端面および各端面から延びる側面の一部を覆うようにそれぞれ外部電極が形成されるとともに、前記セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された複数の内部電極と、他方の外部電極に接続された複数の内部電極とが、交互に、セラミック層を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極と、その重なった内部電極間に存在するセラミック層とで容量形成部が構成されてなる積層セラミックコンデンサにおいて、
前記セラミック素子の内部に、前記容量形成部の周囲を囲むように配置されるダミー電極として、前記一方および他方の外部電極のぞれぞれに接続され、その面内方向が前記内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極と、その面内方向が前記内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極とが形成されており、
前記セラミック素子の側面上に形成された前記外部電極の先端と、当該外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインにその先端が接するか、あるいは当該ラインを遮るように、前記平行ダミー電極または前記垂直ダミー電極が配置され、
前記容量形成部を前記セラミック素子のいずれか一方の端面側から見た前記内部電極の幅で規定される前記容量形成部の幅w、前記内部電極のうちの積層方向の最も下に位置する内部電極と、前記内部電極のうちの積層方向の最も上に位置する内部電極との距離で規定される前記容量形成部の高さt、前記平行ダミー電極の幅b、および前記垂直ダミー電極の幅cが、
0.20w≦b
0.20t≦c
の関係にあり、かつ、前記平行ダミー電極が前記容量形成部の幅wの中点を覆うとともに、前記垂直ダミー電極が前記容量形成部の高さtの中点を覆うことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記セラミック素子の側面上に形成された前記外部電極の先端と、当該外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインを、前記平行ダミー電極または前記垂直ダミー電極が遮っており、
前記容量形成部の幅w、前記容量形成部の高さt、前記平行ダミー電極の幅b、および前記垂直ダミー電極の幅cが、
0.30w≦b
0.30t≦c
の関係にあること、を特徴とする請求項1に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記一方の外部電極に接続された前記内部電極と他方の前記端面との間隔、および前記他方の外部電極に接続された前記内部電極と一方の前記端面との間隔をG1とし、互いに対向するように形成された前記一対の水平ダミー電極の先端の間隔をG2とした場合に、
G2=2G1の関係にあることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
前記セラミック素子が、表面に前記内部電極を形成するための導電ペーストが塗布された内部電極用グリーンシートと、表面に前記水平ダミー電極を形成するための導電ペーストが塗布された水平ダミー電極用グリーンシートと、表面に導電ペーストが塗布されていない保護層用グリーンシートとが、所望の順番に所望の枚数積層されて積層体が形成され、当該積層体が焼成されることにより形成されるものであり、
前記内部電極用グリーンシートと前記水平ダミー電極用グリーンシートとが、同一のマザーグリーンシートあるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出されたものであることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
【請求項1】
一対の端面と当該端面を結ぶ側面とを有する略直方体状のセラミック素子の両端面および各端面から延びる側面の一部を覆うようにそれぞれ外部電極が形成されるとともに、前記セラミック素子の内部に、一方の外部電極に接続された複数の内部電極と、他方の外部電極に接続された複数の内部電極とが、交互に、セラミック層を介して一定面積の重なりをもって積層され、その重なった内部電極と、その重なった内部電極間に存在するセラミック層とで容量形成部が構成されてなる積層セラミックコンデンサにおいて、
前記セラミック素子の内部に、前記容量形成部の周囲を囲むように配置されるダミー電極として、前記一方および他方の外部電極のぞれぞれに接続され、その面内方向が前記内部電極の面内方向と平行な位置関係にある一対の平行ダミー電極と、その面内方向が前記内部電極の面内方向と垂直な位置関係にある一対の垂直ダミー電極とが形成されており、
前記セラミック素子の側面上に形成された前記外部電極の先端と、当該外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインにその先端が接するか、あるいは当該ラインを遮るように、前記平行ダミー電極または前記垂直ダミー電極が配置され、
前記容量形成部を前記セラミック素子のいずれか一方の端面側から見た前記内部電極の幅で規定される前記容量形成部の幅w、前記内部電極のうちの積層方向の最も下に位置する内部電極と、前記内部電極のうちの積層方向の最も上に位置する内部電極との距離で規定される前記容量形成部の高さt、前記平行ダミー電極の幅b、および前記垂直ダミー電極の幅cが、
0.20w≦b
0.20t≦c
の関係にあり、かつ、前記平行ダミー電極が前記容量形成部の幅wの中点を覆うとともに、前記垂直ダミー電極が前記容量形成部の高さtの中点を覆うことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記セラミック素子の側面上に形成された前記外部電極の先端と、当該外部電極と極性が異なる直近の内部電極の最も近い部分とを結ぶラインを、前記平行ダミー電極または前記垂直ダミー電極が遮っており、
前記容量形成部の幅w、前記容量形成部の高さt、前記平行ダミー電極の幅b、および前記垂直ダミー電極の幅cが、
0.30w≦b
0.30t≦c
の関係にあること、を特徴とする請求項1に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記一方の外部電極に接続された前記内部電極と他方の前記端面との間隔、および前記他方の外部電極に接続された前記内部電極と一方の前記端面との間隔をG1とし、互いに対向するように形成された前記一対の水平ダミー電極の先端の間隔をG2とした場合に、
G2=2G1の関係にあることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
前記セラミック素子が、表面に前記内部電極を形成するための導電ペーストが塗布された内部電極用グリーンシートと、表面に前記水平ダミー電極を形成するための導電ペーストが塗布された水平ダミー電極用グリーンシートと、表面に導電ペーストが塗布されていない保護層用グリーンシートとが、所望の順番に所望の枚数積層されて積層体が形成され、当該積層体が焼成されることにより形成されるものであり、
前記内部電極用グリーンシートと前記水平ダミー電極用グリーンシートとが、同一のマザーグリーンシートあるいは同一種類のマザーグリーンシートから取り出されたものであることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−151224(P2011−151224A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11679(P2010−11679)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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