説明

積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム

【課題】生産ロス時間を短縮できると共に、作業性の向上が図れる積層モータコアの搬送システムを提供する。
【解決手段】モータコア搬送システム5は、積層したコア材Wを搬送する搬送台車15と、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル2に設けられ、作業テーブル2の左側又は右側の何れか一方に搬送台車15の搬入口Aを、また、何れか他方に搬送台車15の搬出口Eをそれぞれ有し、搬送台車15を搬入口Aから搬入待機位置B、溶接位置C、搬出待機位置D、搬出口Eの順に案内する搬送台車15の案内搬送路47と、搬送台車15を搬入口Aから搬入待機位置Bへ搬送する搬入装置49と、搬送台車15を搬入待機位置Bから溶接位置C及び搬出待機位置Dへ順次搬送する横送り搬送装置50と、搬送台車15を搬出待機位置Dから搬出口Eへ搬出する搬出装置51とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス金型により打ち抜かれて形成されたモータのコア材を複数枚積層し、この積層したコア材を積層方向へ加圧しながらコア材の外周部の数個所を積層方向へ溶接してモータコアを作製するようにした積層モータコア自動溶接装置に用いられるものであり、積層したコア材を積層モータコア自動溶接装置内へ自動搬入すると共に、装置内で作製されたモータコアを装置外へ自動搬出する積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムに係り、積層したモータのコア材の搬入及び作製したモータコアの搬出に十分な時間が取れると共に、モータコアの生産ロス時間を短縮できて作業性の向上を図れるようにした積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータコアの作製方法として、厚さが0.15mm〜0.5mm位の電磁鋼板で形成した適宜の形状のコア材(例えば、環状のコア材)を複数枚積層し、この積層したコア材を積層方向へ加圧しながらコア材の外周部の数個所を積層方向へ溶接して作製する方法が知られている。
【0003】
従来、積層モータコアを作製する装置としては、例えば、特開2006-81378号公報(特許文献1)に開示された積層鉄心(以下、モータコアと呼ぶ)の製造装置が知られている。
【0004】
即ち、前記モータコアの製造装置は、プレス金型の加工ステーションにおいて打ち抜かれた鉄心片(以下、コア材と呼ぶ)を積層用治具に複数枚積層し、コア材を積層した積層用治具をプレス金型から外部へ取り出し、これをコンベア等により溶接装置に搬送し、ここで積層したコア材の外周部を溶接してモータコアを製造するようにしたものである。
【0005】
また、前記モータコアの製造装置に用いる溶接装置100は、図14に示す如く、コア材Wの内周面を保持又は解除可能にする縮拡径自在な当接部101を有するコア材保持機構102を設けた積層用治具103と、積層用治具103に積層された複数枚のコア材Wを溶接する上下動自在な複数本の溶接トーチ104を備えた溶接部105と、複数枚のコア材Wを積層した積層用治具103を支持載置して前後方向へ進退移動させる進退機構106とから構成されている。
【0006】
尚、図14に於いて、107は固定フレーム、108はコア材Wを載置する積層用治具103の載置板、109は載置板107の下部に設けた積層用治具103の進退フレーム、110は溶接トーチ104を昇降自在に支持するブラケット、111は進退フレーム109の下部に設けた進退機構106の摺動ガイド、112は固定フレーム107に取付ブラケット113を介して水平に設けた進退機構106のガイド取付板、114はガイド取付板112上に設けた進退機構106のガイドレールである。
【0007】
而して、前記溶接装置100を用いて積層した複数枚のコア材Wからモータコアを作製する場合には、先ず、コンベア等により溶接装置100の前側位置にあるコア材着脱部115(図15参照)の近傍位置に搬送されて来た積層用治具116から複数枚のコア材Wを取り外し、この取り外した複数枚のコア材Wを当接部101の外径が縮小した状態のコア材保持機構102を備えた積層用治具103に積層した後、積層したコア材Wをコア材保持機構102の当接部101の外径を拡大して自動整列させると共に、積層用治具103に保持固定する。次に、進退機構106が作動してコア材Wを積層した積層用治具103をコア材着脱部115から溶接部105へ移動させる。その後、複数本の溶接トーチ104が同時に下降すると共に、半径方向の内側へ移動し、複数枚のコア材Wの外周部をTIG溶接する。最後に、進退機構106により積層用治具103が溶接部105からコア材着脱部115に移動すると共に、コア材保持機構102の当接部101の外径が縮小してコア材Wの保持固定状態が解除され、溶接済みのコア材Wを人手により積層用治具103から取り出す。
【0008】
ところで、上述した従来の溶接装置100に於いては、図15に示す如く、コア材Wを積層した積層用治具103を溶接装置100内に搬入するための搬入口と、溶接済みのコア材Wを搭載した積層用治具103を溶接装置100外へ搬出するための搬出口とが同じ位置に形成された格好になっているため、コア材Wを搬入・搬出するための搬送システムが前後スライド方式となっている。
その結果、従来の溶接装置100に於いては、溶接済みのコア材Wを搬出口から搬出した後でなければ、新しいコア材Wを積層した積層用治具103を搬入口から溶接装置100内へ搬入することができず、モータコアの作製時間に大きなロスが生じると云う問題があった。
しかも、従来の溶接装置100に於いては、溶接装置100のコア材着脱部115の位置でコンベア等により搬送されて来た積層用治具116から複数枚のコア材Wを一旦取り外し、取り外したコア材Wをコア材保持機構102を設けた積層用治具103に移しかえなければならないため、余分な工程、作業時間等を必要とし、作業性の点に於いても大きな問題があった。
【0009】
一方、図16に示すように、コア材Wを搬入・搬出する搬送システムに回転テーブル117等を用いた溶接装置もあるが、この回転方式の搬送システムも搬入口と搬出口とが同じ位置に形成された格好になっているため、前後スライド方式の搬送システムと同様の問題が発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006-81378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、積層したモータのコア材を積層モータコア自動溶接装置内へ搬入する際及び作製したモータコアを装置外へ搬出する際に、積層したコア材の搬入及び作製したモータコアの搬出に十分な時間が取れると共に、モータコアの生産ロス時間を短縮できて作業性の向上を図れるようにした積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、プレス金型により打ち抜かれて形成されたモータのコア材を複数枚積層し、この積層したコア材を作業テーブル上で芯出し加圧ユニットにより芯出して整列させると共に、積層方向へ加圧しながらその外周部の数個所を溶接装置により積層方向へ溶接してモータコアを作製するようにした積層モータコア自動溶接装置に用いられるものであり、積層したコア材を積層モータコア自動溶接装置内へ自動搬入すると共に、装置内で作製したモータコアを装置外へ自動搬出する積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムであって、前記モータコア搬送システムは、モータのコア材を複数枚積層した状態で搬送する搬送台車と、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル上面に設けられ、作業テーブルの前部上面の左側位置又は右側位置の何れか一方に搬送台車の搬入口を、また、何れか他方に搬送台車の搬出口をそれぞれ有し、搬送台車を搬入口から搬入口の後方位置にある搬入待機位置、搬入待機位置の右側位置又は左側位置にある溶接位置、溶接位置の右側位置又は左側位置にある搬出待機位置、搬出待機位置の前方位置にある搬出口の順に案内する搬送台車の案内搬送路と、作業テーブルに設けられ、搬送台車を搬入口から搬入待機位置へ搬送する搬入装置と、作業テーブルに設けられ、搬送台車を搬入待機位置から溶接位置及び搬出待機位置へ順次搬送する横送り搬送装置と、作業テーブルに設けられ、搬送台車を搬出待機位置から搬出口へ搬送する搬出装置とから構成したことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、搬送台車が、少なくともモータのコア材が積層される台枠と、台枠の下面側四隅に設けられ、バネにより下方へ突出すべく附勢されたボールキャスターとを備えており、台枠に積層したモータのコア材が加圧されたときに前記ボールキャスターがバネの附勢力に抗して台枠内に押込まれて台枠の底面が作業テーブル上面に面接触状態で密着するように構成され、また、搬送台車の案内搬送路が、作業テーブルの左側部分上面又は右側部分上面の何れか一方に作業テーブルの前後方向に沿って形成され、搬送台車の各ボールキャスターのボールが挿入されて転動すると共に、搬送台車を搬入口から搬入待機位置へ案内する二本の平行な搬入用R溝と、作業テーブルの左側部分上面又は右側部分上面の何れか他方に作業テーブルの前後方向に沿って形成され、搬送台車の各ボールキャスターのボールが挿入されて転動すると共に、搬送台車を搬出待機位置から搬出口へ案内する二本の平行な搬出用R溝と、作業テーブルの後部上面に二本の搬入用R溝及び二本の搬出用R溝にそれぞれ交差する状態で且つ作業テーブルの幅方向に沿って形成され、搬送台車の各ボールキャスターのボールが挿入されて転動すると共に、搬送台車を搬入待機位置から溶接位置及び搬出待機位置の順に案内する二本の平行な横送り搬送用R溝とから構成されており、搬入用R溝の上流側部分が搬入口に、搬出用R溝の下流側部分が搬出口に、搬入用R溝と横送り搬送用R溝の交差部分が搬入待機位置に、横送り搬送用R溝の中間部分が溶接位置に、搬出用R溝と横送り搬送用R溝の交差部分が搬出待機位置にそれぞれ形成されていることに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項3の発明は、作業テーブルの前部上面に、作業テーブル外から案内搬送路の搬入口及び搬出口を通過して作業テーブル外へ至る搬送台車の搬送路を設け、当該搬送路は、作業テーブルの前部上面に搬入口を形成する搬入用R溝の上流側部分及び搬出口を形成する搬出用R溝の下流側部分にそれぞれ交差する状態で形成され、両端部が作業テーブル外へ延びる二本の平行な搬送用R溝から成ることに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項4の発明は、案内搬送路の搬入口で且つ二本の搬入用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車の各ボールキャスターのボールが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車を搬入口に位置決めする位置決め穴を形成し、また、案内搬送路の搬出口で且つ二本の搬出用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車の各ボールキャスターのボールが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車を搬出口に位置決めする位置決め穴を形成したことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項5の発明は、搬送台車の下面側四隅に設けた前後方向のボールキャスターの間隔と左右方向のボールキャスターの間隔を同じに形成し、また、案内搬送路を形成する二本の搬入用R溝の間隔、二本の搬出用R溝の間隔及び二本の横送り搬送用R溝の間隔をそれぞれボールキャスターの間隔と同じ間隔に形成し、更に、案内搬送路の搬入口で且つ二本の搬入用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車を搬入口で旋回させる搬入側環状R溝を設け、また、案内搬送路の搬出口で且つ二本の搬出用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車を搬出口で旋回させる搬出側環状R溝を設けたことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項6の発明は、搬送台車が、台枠の上面に立設され、モータのコア材の外周縁に形成したキー溝に嵌り込んでコア材の周方向の位相が揃うようにする柱状のコアガイドと、台枠の上面に立設され、コア材のティース間に形成されたスリットに挿入されてコア材の周方向の位相が揃うようにする複数本の位置決めピンとをそれぞれ備えていることに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項7の発明は、搬入装置が、作業テーブルの下面側に設けられ、作業テーブルに搬入用R溝に沿って形成したガイド孔から作業テーブル上面へ突出して搬送台車に着脱自在に係止される上下動自在な搬入用係止爪と、作業テーブルの下面側に設けられ、搬入用係止爪を搬入口と搬入待機位置との間で前後方向へ往復移動させる流体圧シリンダとを備え、また、搬出装置が、作業テーブルの下面側に設けられ、作業テーブルに搬出用R溝に沿って形成したガイド孔から作業テーブル上面へ突出して搬送台車に着脱自在に係止される上下動自在な搬出用係止爪と、作業テーブルの下面側に設けられ、搬出用係止爪を搬出待機位置と搬出口との間で前後方向へ往復移動させる流体圧シリンダとを備えていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、モータのコア材を積層した状態で搬送する搬送台車と、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル上面に設けられ、作業テーブルの前部上面の左側位置又は右側位置の何れか一方に搬送台車の搬入口を、また、何れか他方に搬送台車の搬出口をそれぞれ有し、搬送台車を搬入口から搬入口の後方位置にある搬入待機位置、搬入待機位置の右側位置又は左側位置にある溶接位置、溶接位置の右側位置又は左側位置にある搬出待機位置、搬出待機位置の前方位置にある搬出口の順に案内する搬送台車の案内搬送路と、搬送台車を搬入口から搬入待機位置へ搬送する搬入装置と、搬送台車を搬入待機位置から溶接位置及び搬出待機位置へ順次搬送する横送り搬送装置と、搬送台車を搬出待機位置から搬出口へ搬送する搬出装置とを備えており、コア材を積層した搬送台車の搬入口と作製したモータコアを搭載した搬送台車の搬出口とがそれぞれ独立した格好になっていると共に、搬入口と溶接位置との間及び溶接位置と搬出口との間に搬入待機位置及び搬出待機位置をそれぞれ設けているため、モータのコア材の搬入と作製したモータコアの搬出に十分な時間が取れると共に、モータのコア材を積層した搬送台車を積層モータコア自動溶接装置内へ順次送り込んでモータコアを連続的に作製することができ、モータコアの生産ロス時間を短縮できて作業性の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の請求項2〜請求項7に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
【0021】
即ち、本発明の請求項2に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、搬送台車がバネにより下方へ突出すべく附勢されたボールキャスターを備えており、搬送台車に積層したコア材を加圧したときに搬送台車の底面が作業テーブル上面に面接触状態で密着するように構成されているため、コア材を搬送台車ごと積層モータコア自動溶接装置の芯出し加圧ユニットによりプレスすることが可能になり、積層したコア材間の隙間を無くした状態で溶接装置によりコア材を溶接することができ、作製したモータコアの品質が向上することになる。
また、本発明の請求項2に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、モータのコア材を積層した搬送台車をそのままの状態で積層モータコア自動溶接装置内へ搬入してモータコアを作製することができるため、冒頭で述べた従来の溶接装置のように積層したモータのコア材を別の治具に移しかえると云う作業を必要とすることがなく、余分な工程を省略できて作業時間をより短縮することができる。
更に、本発明の請求項2に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、搬送台車の案内搬送路が作業テーブル上面に形成した搬入用R溝、搬出用R溝及び横送り搬送用R溝から成り、各R溝内に搬送台車の各ボールキャスターのボールを挿入して転動させることによって、搬送台車を所定の位置へ案内できる構成としているため、作業テーブル上面にガイドレールを敷設し、コア材を積層した積層用治具を前記ガイドレール上で走行させるようにした従来の溶接装置に用いた搬送システムに比較して構造の簡略化を図ることができる。
【0022】
本発明の請求項3に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、作業テーブルの前部上面に、作業テーブル外から案内搬送路の搬入口及び搬出口を通過して作業テーブル外へ至る二本の平行な搬送用R溝から成る搬送台車の搬送路を設けているため、搬出口で搬送台車上のモータコアを取り出した後、空になった搬送台車を搬入口へ戻すことができるうえ、搬送台車を積層モータコア自動溶接装置内へ搬入せずに積層モータコア自動溶接装置の下流側へ搬送することもでき、至極便利である。
【0023】
本発明の請求項4に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、案内搬送路の搬入口で且つ二本の搬入用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車の各ボールキャスターのボールが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車を搬入口に位置決めする位置決め孔を形成し、また、案内搬送路の搬出口で且つ二本の搬出用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車の各ボールキャスターのボールが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車を搬出口に位置決めする位置決め孔を形成しているため、搬送台車を搬入口及び搬出口に正確に停止させることができ、搬送台車の出し入れを円滑且つスムースに行える。
【0024】
本発明の請求項5に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、搬送台車の下面側四隅に設けた前後方向のボールキャスターの間隔と左右方向のボールキャスターの間隔を同じに形成し、また、案内搬送路を形成する二本の搬入用R溝の間隔、二本の搬出用R溝の間隔及び二本の横送り搬送用R溝の間隔をそれぞれボールキャスターの間隔と同じ間隔に形成し、更に、案内搬送路の搬入口で且つ二本の搬入用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車を搬入口で旋回させる搬入側環状R溝を設け、また、案内搬送路の搬出口で且つ二本の搬出用R溝と二本の搬送用R溝とが交差する個所に、搬送台車を搬出口で旋回させる搬出側環状R溝を設けているため、搬送台車の向きに関係なく搬送台車を搬入用R溝上、搬出用R溝上、横送り搬送用R溝上及び搬送用R溝上でそれぞれ走行させることができるうえ、搬送台車の向きを搬入口及び搬出口で変えることができ、至極便利である。
【0025】
本発明の請求項6に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、搬送台車が、モータのコア材の外周縁に形成したキー溝に嵌り込んでコア材の周方向の位相が揃うようにする柱状のコアガイドと、コア材のティース間に形成されたスリットに挿入されてコア材の周方向の位相が揃うようにする複数本の位置決めピンとをそれぞれ備えているため、各コア材の周方向の位相を正確に揃えた状態で搬送台車上に積層することができ、作製したモータコアの精度及び品質が向上することになる。
【0026】
本発明の請求項7に係る積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システムは、コア材を積層した搬送台車を搬入口から搬入待機位置に搬送する搬入装置と、作製したモータコアを搭載した搬送台車を搬出待機位置から搬出口へ搬送する搬出装置とを、作業テーブルの下面側に設ける構成としているため、搬入装置及び搬出装置が搬送台車の走行に邪魔になると云うことがなく、作業テーブル上面を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るモータコア搬送システムを用いた積層モータコア自動溶接装置の正面図である。
【図2】同じく積層モータコア自動溶接装置の平面図である。
【図3】同じく積層モータコア自動溶接装置の左側面図である。
【図4】同じく積層モータコア自動溶接装置の拡大横断面図である。
【図5】芯出し加圧ユニットの斜視図である。
【図6】芯出し加圧ユニットの正面図である。
【図7】芯出し加圧ユニットの側面図である。
【図8】溶接位置にある状態の搬送台車を示し、(a)は下部中間ブロック、下部加圧治具及びコア材を積載した搬送台車の正面図、(b)は同じく搬送台車の平面図、(c)は同じく搬送台車の側面図である。
【図9】下部中間ブロック、下部加圧治具及びコア材を積載した搬送台車の縦断面図である。
【図10】下部中間ブロック、下部加圧治具及びコア材を積載した搬送台車の一部切欠拡大正面図である。
【図11】搬入装置の縦断面図である。
【図12】横送り搬送装置の側面図である。
【図13】搬出装置の縦断面図である。
【図14】前後スライド方式の搬送システムを用いた従来の溶接装置の概略正面図である。
【図15】前後スライド方式の搬送システムを用いた従来の溶接装置の概略平面図である。
【図16】回転方式の搬送システムを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態に係るモータコア搬送システムを用いた積層モータコア自動溶接装置を示し、当該積層モータコア自動溶接装置は、モータコアの製造ライン上に設置されており、プレス金型(図示省略)により打ち抜かれて形成されたモータのコア材Wを複数枚積層し、この積層したコア材Wを積層方向へ加圧しながらコア材Wの外周部の数個所を積層方向へ溶接してモータコアを作製するものである。
【0029】
即ち、前記積層モータコア自動溶接装置は、キャビネット本体1と、キャビネット本体1に設けた作業テーブル2と、キャビネット本体1内に設けられ、積層したモータのコア材Wを芯出して整列させると共に、積層方向へ加圧する芯出し加圧ユニット3と、キャビネット本体1内に設けられ、芯出し加圧ユニット3により作業テーブル2上で芯出して加圧されたモータのコア材Wを溶接する溶接装置4(この例では、GTA溶接装置)と、作業テーブル2に配設され、積層したモータのコア材Wを搬入すると共に、作製したモータコアを搬出するモータコア搬送システム5等から構成されており、例えば板の厚みが0.35mmの電磁鋼板をプレス金型(図示省略)で打ち抜いて形成したモータの環状のコア材Wを500枚積層した状態でその外周部の数個所を積層方向へ溶接してモータコアを作製するようにしたものである。
【0030】
尚、モータのコア材Wは、図8(b)に示す如く、円環状のコアバックWaと、コアバックWaから半径方向に延び、周方向に間隔をあけて複数配列されたティースWbとから成り、コアバックWaの外周縁には、コア材Wを積層するときに個々のコア材Wの周方向の位相が揃うようにするキー溝Wcが180°間隔ごとに形成され、また、積層したコア材Wを積層方向へ溶接する溶接代Wdが60°間隔ごとに形成されている。
【0031】
前記キャビネット本体1は、図1に示す如く、モータコアの製造ラインの床面に設置されており、その前面側の中間部左右位置には、キャビネット本体1内に連通する入口側開口1a及び出口側開口1bがそれぞれ形成されていると共に、前面側の中央部位置には、開閉可能な左右の扉6が設けられている。
また、キャビネット本体1内には、芯出し加圧ユニット3、溶接装置4、溶接用電源7、溶接用ガスボンベ(図示省略)、油圧ユニット8、集塵機9、水冷機(図示省略)等がそれぞれ収容されている。
尚、図1に於いて、10は操作盤、11圧力流量コントロールパネル、12は手元操作スイッチ、13は支持脚、14はキャスターである。
【0032】
前記作業テーブル2は、厚みが数cmの複数枚の金属板を平面形状が矩形状になるように組み合せることにより形成されており、キャビネット本体1の中間部に水平姿勢で支持固定されている。この作業テーブル2の中央部分には、芯出し加圧ユニット3及び溶接装置4がそれぞれ設けられている。
【0033】
前記芯出し加圧ユニット3は、図5〜図7に示す如く、モータコア搬送システム5を構成する搬送台車15に積層したモータのコア材Wを芯出して整列させると共に、芯出しした複数枚のコア材Wを搬送台車15ごと作業テーブル2上面に押し付けて加圧するものであり、搬送台車15に積層したモータのコア材Wを芯出して整列させる芯出し機構3′と、芯出しした複数枚のコア材Wを搬送台車15ごと作業テーブル2上面に押し付けて加圧する加圧機構3″とから構成されている。
【0034】
即ち、芯出し加圧ユニット3の芯出し機構3′は、図5〜図7に示す如く、作業テーブル2の中央部分に形成したマンドレル突出穴16内の下面側内周縁部に垂設された四本のガイド軸17と、四本のガイド軸17の下端に取り付けた水平なシリンダ取付板18と、ガイド軸17にブッシュ19を介して昇降自在に支持された昇降板20と、昇降板20の上面に固定した支持台21と、支持台21上に設けられ、作業テーブル2のマンドレル突出穴16から作業テーブル2上面へ突出して搬送台車15に積層したモータのコア材Wの内周面を保持可能又は解除可能にする縮拡径自在なマンドレル22(このマンドレル22は常時縮径状態に保持されている)と、支持台21に設けられ、縮径状態のマンドレル22を拡径するマンドレル拡径用油圧シリンダ23と、シリンダ取付板18の下面側に設けられ、昇降板20を昇降動させて支持台21上のマンドレル22を作業テーブル2のマンドレル突出穴16から作業テーブル2上面へ突出させると共に、マンドレル22をマンドレル突出穴16内に引き込むマンドレル昇降用油圧シリンダ24とから構成されている。
【0035】
而して、前記芯出し機構3′は、モータのコア材Wを積層した搬送台車15がマンドレル突出穴16の上方位置(モータのコア材Wの溶接位置C)で停止すると、マンドレル昇降用油圧シリンダ24により昇降板20及び支持台21を介して縮径状態のマンドレル22が上昇し、当該マンドレル22が作業テーブル2のマンドレル突出穴16から作業テーブル2上面へ突出すると共に、搬送台車15に形成したマンドレル挿入穴52aを通過して搬送台車15上のコア材Wの内方へ挿入された後、縮径状態のマンドレル22がマンドレル拡径用油圧シリンダ23により拡径し、積層した各コア材Wの内径及びティースWb間に形成したスリットを揃え、積層したコア材Wを芯出して整列させるように駆動制御されている。
また、芯出し機構3′は、積層したコア材Wの溶接が終了すると、マンドレル拡径用油圧シリンダ23が非作動状態になり、マンドレル22が縮径してマンドレル22によるコア材Wの保持状態を解除すると共に、縮径状態のマンドレル22がマンドレル昇降用油圧シリンダ24により昇降板20及び支持台21を介して下降し、溶接済みのコア材Wから引き抜かれるように駆動制御されている。
【0036】
一方、芯出し加圧ユニット3の加圧機構3″は、図5〜図7に示す如く、作業テーブル2のマンドレル突出穴16の周囲に立設した四本の支柱25と、四本の支柱25の上端に取り付けた支持板26と、支持板26に垂直に設けた加圧用油圧シリンダ27と、加圧用油圧シリンダ27のロッド27aに取り付けたフランジ部材28と、フランジ部材28の四隅に取り付けられ、支持板26にブッシュ29を介して昇降自在に挿通支持された四本の支持軸30と、フランジ部材28の下面に固定した環状の取付板31と、取付板31の下面に取付板31と同心円状に固定した円筒状の上部中間ブロック32と、上部中間ブロック32の下面に上部中間ブロック32と同心円状に固定され、外周縁部にコア材Wの溶接代Wdに合致する銅材製の上部タブ材33を60°間隔ごとに設けた環状の上部加圧治具34と、搬送台車15上に支持載置された円筒状の下部中間ブロック35と、下部中間ブロック35の上面に下部中間ブロックロック35と同心円状に支持載置され、外周縁部にコア材Wの溶接代Wdに合致する銅材製の下部タブ材36を60°間隔ごとに設けた環状の下部加圧治具37とから構成されている。
【0037】
而して、前記加圧機構3″は、モータのコア材Wを積層した搬送台車15がマンドレル突出穴16の上方位置(モータのコア材Wの溶接位置C)で停止して芯出し機構3′により搬送台車15上のコア材Wが芯出して整列されると、加圧用油圧シリンダ27によりフランジ部材28、上部中間ブロック32及び上部加圧治具34が下降し、芯出して整列された積層状態のコア材Wを搬送台車15ごと作業テーブル2上へ押し付け、上部加圧治具34と搬送台車15上に支持載置した下部加圧治具37との間で搬送台車15上に積層されたコア材Wを約10tonの加圧力で加圧するように駆動制御されている。
【0038】
前記溶接装置4は、図5〜図7に示す如く、芯出し加圧ユニット3により芯出し及び整列されて加圧された複数枚のコア材Wの外周部の六つの溶接代Wdをコア材Wの積層方向に同時に溶接するものであり、四本の支柱25に昇降自在に支持された水平な昇降台38と、昇降台38にセットカラー39を介して挿通され、下端部が作業テーブル2にベアリングホルダー40を介して回転自在に支持されると共に、上端部がベアリングホルダー40を介して支持板26に回転自在に支持された二本のネジ軸41と、支持板26の上面に配設され、二本のネジ軸41を正逆回転させて昇降台38を支柱25及びネジ軸41に沿って昇降させるモータ42及びベルト伝動機構43と、支持板26の上面に60°間隔ごとに配設され、上部加圧治具34の六つの上部タブ材33に対向し得る六つのトーチ支持台44と、各トーチ支持台44にコア材Wの半径方向へ進退移動可能に取り付けられ、先端部からシールドガスを流すと共に、タングステン電極棒を挿着した六本のGTA溶接用トーチ45と、溶接状況(タングステン電極棒の消耗やアークの状態等)を確認する監視カメラ46等から構成されている。
【0039】
而して、この溶接装置4は、搬送台車15に積層したコア材Wが芯出し加圧ユニット3により芯出し及び整列されて加圧されると、六本のGTA溶接用トーチ46を上部加圧治具34の六つの上部タブ材33に臨ませ、この状態で上部加圧治具34の各上部タブ材33と各GTA溶接用トーチ45に保持されたタングステン電極棒の先端との間にアークをそれぞれ発生させ、このアークが安定した状態になってから昇降台38がモータ42及びベルト伝動機構43の作動により下降し、六本のGTA溶接用トーチ45を搬送台車15上の下部加圧治具37の六つの下部タブ材36へ向かって移動させて積層した複数枚のコア材Wの六個所の溶接代Wdをコア材Wの積層方向に沿って同時に溶接し、六本のGTA溶接用トーチ45が下部加圧治具37の六つの下部タブ材36の上へ来た時点で通電を停止してアークをストップするように駆動制御されている。
【0040】
前記モータコア搬送システム5は、図4に示す如く、積層したコア材Wを積層モータコア自動溶接装置内へ自動搬入すると共に、装置内で作製したモータコアを装置外へ自動搬出するものであり、モータのコア材Wを複数枚積層した状態で搬送する搬送台車15と、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル2上面に設けられ、作業テーブル2の前部上面の左側位置に搬送台車15の搬入口Aを、また、作業テーブル2の前部上面の右側位置に搬送台車15の搬出口Eをそれぞれ有し、搬送台車15を搬入口Aから搬入口Aの後方位置にある搬入待機位置B、搬入待機位置Bの右側位置にある溶接位置C、溶接位置Cの右側位置にある搬出待機位置D、搬出待機位置Dの前方位置にある搬出口Eの順に案内する搬送台車15の案内搬送路47と、作業テーブル2上面に設けられ、作業テーブル2外から案内搬送路の搬入口A及び搬出口Eを通過して作業テーブル2外へ至る搬送台車15の搬送路48と、作業テーブル2に設けられ、搬送台車15を搬入口Aから搬入待機位置Bへ搬送する搬入装置49と、作業テーブル2に設けられ、搬送台車15を搬入待機位置Bから溶接位置C及び搬出待機位置Dへ順次搬送する横送り搬送装置50と、作業テーブル2に設けられ、搬送台車15を搬出待機位置Dから搬出口Eへ搬送する搬出装置51とから構成されている。
【0041】
具体的には、前記搬送台車15は、図8及び図9に示す如く、、中央部に芯出し加圧ユニット3のマンドレル22が挿入されるコア材Wの内径よりも大きめのマンドレル挿入穴52aが形成され、マンドレル挿入穴52aの周囲に下部中間ブロック35、下部加圧治具37及び積層したモータのコア材Wが支持載置される平面形状凸形の台枠52と、台枠52の上面で且つマンドレル挿入穴52aの内周縁部に180°間隔ごとに立設され、コア材Wの外周縁に形成したキー溝Wcに嵌り込んでコア材Wの周方向の位相が揃うようにするキー53aを設けた一対の柱状のコアガイド53と、台枠52の上面で且つマンドレル挿入穴52aの内周縁部に等角度ごとに立設され、積層したコア材WのティースWb間のスリットに挿入されてコア材Wの周方向の位相が揃うようにする複数本の位置決めピン54と、台枠52の下面側四隅に設けられ、バネ55により下方へ突出すべく附勢された四つのボールキャスター56とを備えており、台枠52に積層したモータのコア材Wが芯出し加圧ユニット3により加圧されたときに、前記ボールキャスター56がバネ55の附勢力に抗して台枠52内に押込まれて台枠52の底面が作業テーブル2上面に面接触状態で密着するように構成されている。
【0042】
また、搬送台車15の各ボールキャスター56は、図10に示す如く、台枠52の四隅下面に形成した下方が開放された収容空間52b内に上下動自在に収容されてキャリー押え板57及びキャリー上部ネジ58により収容空間52bから抜け止めされたキャリー取付台59の下面にボルト(図示省略)により固定されており、キャリー取付台59とキャリー押え板57との間に介設したバネ55(圧縮コイルスプリング)によりボールキャスター56のボール56aが台枠52下面から下方へ突出するように附勢されている。これらのボールキャスター56は、重量のある物体を軽微な力で移動し得る利点があり、ボール56a、ボールベアリング及び保護カバー等から成る。
尚、搬送台車15の下面側四隅に設けた前後方向のボールキャスター56の間隔と左右方向のボールキャスター56の間隔は、それぞれ同じ間隔に形成されている。
【0043】
前記搬送台車15の案内搬送路47は、図4に示す如く、作業テーブル2の左側部分上面に作業テーブル2の前後方向に沿って形成され、搬送台車15の各ボールキャスター56のボール56aが挿入されて転動すると共に、搬送台車15を搬入口Aから搬入待機位置Bへ案内する二本の平行な搬入用R溝47aと、作業テーブル2の右側部分上面に作業テーブル2の前後方向に沿って形成され、搬送台車15の各ボールキャスター56のボールが挿入されて転動すると共に、搬送台車15を搬出待機位置Dから搬出口Eへ案内する二本の平行な搬出用R溝47bと、作業テーブル2の後部上面に二本の搬入用R溝47a及び二本の搬出用R溝47bにそれぞれ交差する状態で且つ作業テーブル2の幅方向に沿って形成され、搬送台車15の各ボールキャスター56のボール56aが挿入されて転動すると共に、搬送台車15を搬入待機位置Bから溶接位置C及び搬出待機位置Dの順に案内する二本の平行な横送り搬送用R溝47cとから構成されており、搬入用R溝47aの上流側部分が搬入口Aに、搬出用R溝47bの下流側部分が搬出口Eに、搬入用R溝47aと横送り搬送用R溝47cの交差部分が搬入待機位置Bに、横送り搬送用R溝48cの中間部分が溶接位置に、搬出用R溝47bと横送り搬送用R溝47cの交差部分が搬出待機位置Dにそれぞれ形成されている。
【0044】
更に、案内搬送路47の搬入口Aで且つ二本の搬入用R溝47aと後述する搬送路48(二本の搬送用R溝48a)とが交差する個所には、搬送台車15の各ボールキャスター56のボール56aが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車15を搬入口Aに位置決めする四つの位置決め孔47dが形成され、また、案内搬送路47の搬出口Eで且つ二本の搬出用R溝47bと搬送路48(二本の搬送用R溝48a)とが交差する個所には、搬送台車15の各ボールキャスター56のボール56aが抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車15を搬出口Eに位置決めする四つの位置決め孔47dを形成されている(図2及び図4参照)。
尚、案内搬送路47を形成する二本の搬入用R溝47aの間隔、二本の搬出用R溝47bの間隔及び二本の横送り搬送用R溝47cの間隔、搬入口Aに形成した位置決め孔47dの間隔、搬出口Eに形成した位置決め孔47dの間隔は、それぞれ搬送台車15のボールキャスター56の間隔と同じ間隔に形成されている。
【0045】
前記搬送台車15の搬送路48は、図2及び図4に示す如く、作業テーブル2の前部上面に搬入口Aを形成する搬入用R溝47aの上流側部分及び搬出口Eを形成する搬出用R溝47bの下流側部分にそれぞれ交差する状態で且つ作業テーブル2の幅方向に沿って形成され、搬送台車15の各ボールキャスター56のボール56aが挿入されて転動すると共に、両端部が作業テーブル2外へ延びる二本の平行な搬送用R溝48aから成り、搬送台車15を作業テーブル2外から搬入口Aに搬入できると共に、当該搬送台車15を搬出口Eから作業テーブル2外へ搬出でき、且つ搬送台車15を搬入口Aと搬出口Eとの間で往復移動させることができるようになっている。この搬送路48を形成する二本の搬送用R溝48aの間隔も、搬送台車15のボールキャスター56の間隔と同じ間隔に形成されている。
【0046】
そして、案内搬送路47の搬入口Aで且つ二本の搬入用R溝47aと二本の搬送用R溝48aとが交差する個所には、搬送台車15を搬入口Aで旋回させる搬入側環状R溝47eが形成され、また、案内搬送路47の搬出口Eで且つ二本の搬出用R溝47bと二本の搬送用R溝48aとが交差する個所には、搬送台車15を搬出口Eで旋回させる搬出側環状R溝47fが形成されている(図2及び図4参照)。
【0047】
前記搬入装置49は、図4及び図11に示す如く、作業テーブル2の左側位置の下面側に搬入用R溝47aに沿って設けられたロッドレスシリンダ60と、ロッドレスシリンダ60の可動部60aに設けた昇降用シリンダ61と、昇降用シリンダ61に支持され、作業テーブル2の裏面に搬入用R溝47aに沿って形成したガイド溝62内に前後方向へ移動自在に挿入されたガイド部材63と、ガイド部材63の上面に立設され、作業テーブル2の二本の搬入用R溝47a間に搬入用R溝47aに沿って形成したガイド孔64から上方へ突出可能になっていると共に、搬送台車15の台枠52のマンドレル挿入孔52aの内周面に係止自在な一対の搬入用係止爪65とから成り、搬送台車15が搬入口Aに位置するときに、昇降用シリンダ61によりガイド部材63を上昇させて一対の搬入用係止爪65をガイド孔64から上方へ突出させ、当該一対の搬入用係止爪65を搬送台車15の台枠52のマンドレル挿入孔52aの内周面に係止させ、この状態でロッドレスシリンダ60の可動部60aを搬入待機位置B側へ移動させることによって、搬入口Aにある搬送台車15を搬入待機位置Bへ搬送することができるようになっている。
【0048】
前記横送り搬送装置50は、図4及び図12に示す如く、作業テーブル2の後部上面に横送り搬送用R溝47cに沿って設けられたロッドレスシリンダ66と、ロッドレスシリンダ66の可動部66aに取り付けられ、溶接位置Cと搬入待機位置B又は溶接位置Cと搬出待機位置Dに対向するアーム部材67と、アーム部材67の左側端部前面側に昇降自在に支持され、搬入待機位置B又は溶接位置Cにある搬送台車15の台枠52の凸形部分に係止可能な一対の左側係止部材68と、アーム部材67の左側端部に設けられ、一対の左側係止部材68を台枠52の凸形部分よりも上方に位置させる非係止位置(図12の実線位置)と一対の左側係止部材68を台枠52の凸形部分に係止させる係止位置(図示省略)とに亘って昇降動させる左側用シリンダ69と、アーム部材67の右側端部前面側に昇降自在に支持され、溶接位置C又は搬出待機位置Dにある搬送台車15の台枠52の凸形部分に係止可能な一対の右側係止部材70と、アーム部材67の右側端部に設けられ、一対の右側係止部材70を台枠52の凸形部分よりも上方に位置させる非係止位置(図12の実線位置)と一対の右側係止部材70を台枠52の凸形部分に係止させる係止位置(図示省略)とに亘って昇降動させる右側用シリンダ71とから構成されている。
【0049】
而して、この横送り搬送装置50は、搬送台車15が搬入待機位置Bに位置するときに、アーム部材67の左側端部に設けた一対の左側係止部材68を搬送台車15の台枠52の凸形部分に係止させ、この状態でロッドレスシリンダ67を作動させてアーム部材67の左側端部を溶接位置C側へ移動させることによって、搬入待機位置Bにある搬送台車15を溶接位置Cへ搬送することができ、また、搬送台車15が溶接位置Cに搬送されたら、台枠52の凸形部分に係止されているアーム部材67の左側端部に設けた一対の左側係止部材68を台枠52の凸形部分から外し、アーム部材67が搬入待機位置Bと溶接位置Cに対向するようにロッドレスシリンダ66により移動させ、アーム部材67の右側端部に設けた一対の右側係止部材71を溶接位置Cにある搬送台車15の台枠52の凸形部分に係止させ、この状態でロッドレスシリンダ66を作動させてアーム部材67の右側端部を搬出待機位置D側へ移動させることによって、溶接位置Cにある搬送台車15を搬出待機位置Dへ搬送することができるようになっている。
【0050】
前記搬出装置51は、図4及び図13に示す如く、搬入装置49と同様構造に構成されており、作業テーブル2の右側位置の下面側に搬出用R溝47bに沿って設けられたロッドレスシリンダ60′と、ロッドレスシリンダ60′の可動部60a′に設けた昇降用シリンダ61′と、昇降用シリンダ61′に支持され、作業テーブル2の裏面に搬出用R溝47bに沿って形成したガイド溝62内に前後方向へ移動自在に挿入されたガイド部材63′と、ガイド部材63′の上面に立設され、作業テーブル2の二本の搬出用R溝47b間に搬出用R溝47bに沿って形成したガイド孔64から上方へ突出可能になっていると共に、搬送台車15の台枠52のマンドレル挿入孔52aの内周面に係止自在な一対の搬出用係止爪65′とから成り、搬送台車15が搬出待機位置Dに位置するときに、昇降用シリンダ61′によりガイド部材63′を上昇させて一対の搬出用係止爪65′をガイド孔64から上方へ突出させ、当該一対の搬出用係止爪35′を搬送台車15の台枠52のマンドレル挿入孔52aの内周面に係止させ、この状態でロッドレスシリンダ60′の可動部60a′を搬出口E側へ移動させることによって、搬出待機位置Dにある搬送台車15を搬出口Eへ搬送することができるようになっている。
【0051】
次に、上述したモータコア搬送システム5を備えた積層モータコア自動溶接装置を用いて積層したモータのコア材Wから製品であるモータコアを作製する場合について説明する。
【0052】
プレス金型の加工ステーションにおいて打ち抜かれたモータのコア材Wは、下部中間ブロック35及び下部加圧治具37を介して搬送台車15上に積層状に支持載置される。このとき、コア材Wは、搬送台車15に設けた一対の柱状のコアガイド53及び複数本の位置きめピン54により周方向の位相が揃うようにして搬送台車15上に積層状に支持載置される。
【0053】
モータのコア材Wを積層した搬送台車15は、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル2の搬送用R溝48aに連続して形成された上流側搬送用R溝48b上を走行し、プレス金型から作業テーブル2の搬入口Aに搬入される。このとき、搬送台車15は、搬入口Aに形成した位置決め孔47dにより搬入口Aの所定の位置に正確に位置きめされた状態で停止する。
【0054】
作業テーブル2の搬入口Aに搬送台車15が搬入されて停止すると、これを位置確認用センサー72が検出すると共に、搬入装置49が作動して一対の搬入用係止爪65及びロッドレスシリンダ60により搬入口Aにある搬送台車15を搬入待機位置Bへ搬送する。
尚、搬入口Aにある搬送台車15が搬入待機位置Bに搬送されると、引き続きプレス金型から送り出されてコア材Wを積層した後続の搬送台車15が作業テーブル2の搬入口Aに搬入されて来る。
【0055】
搬送台車15が搬入待機位置Bに搬入されると、横送り搬送装置50が作動して一対の左側係止部材68及びロッドレスシリンダ66により搬入待機位置Bにある搬送台車15を溶接位置Cへ搬送する。
尚、横送り搬送装置50は、搬送台車15を溶接位置Cへ搬送すると、アーム部材67が搬入待機位置Bと溶接位置Cに対向するようにアーム部材67をロッドレスシリンダ66により搬入待機位置B側へ移動させる。
また、搬送台車15が搬入待機位置Bから溶接位置Cへ搬送されると、搬入口Aにある後続の搬送台車15が搬入装置49により搬入口Aから搬入待機位置Bへ順次搬入される。
【0056】
搬送台車15が溶接位置Cに搬送されると、芯出し加圧ユニット3の芯出し機構3′が作動して搬送台車15に積層されたモータのコア材Wを芯出して整列させた後、引き続き加圧機構3″が作動して芯出して整列された複数枚の積層状のコア材Wを搬送台車15ごと作業テーブル2上面に押し付けて加圧し、コア材W間の隙間をなくしてコア材W同士を密着させる。このとき、搬送台車15は、バネ55により下方へ突出すべく附勢されたボールキャスター56を備え、搬送台車15に積層したコア材Wを加圧したときに搬送台車15の底面が作業テーブル2上面に面接触状態で密着するように構成されているため、コア材Wを搬送台車15ごと芯出し加圧ユニット3によりプレスすることが可能になる。
【0057】
搬送台車15上に積層したコア材Wが芯出し加圧ユニット3により芯出し及び整列されて加圧されたら、溶接装置4が作動して積層したコア材Wの外周部の六つの溶接代Wdを六本のGTA溶接用トーチ45によりコア材Wの積層方向に沿って同時に溶接する。このとき、六本のGTA溶接用トーチ45を用いてコア材Wに形成した六個所の溶接代Wdを同時に溶接しているため、溶接熱がコア材Wに均一に伝わり、寸法精度が±0.05位内に保たれる。また、複数枚のコア材Wを積層方向に加圧して密着させているため、コア材Wは溶接の熱での変形が抑えられることになり、所定の寸法を確保できる。しかも、コア材Wは、コアガイド53及び位置決めピン54により周方向の位相が揃うようにしているため、ティースWbの位置ズレが確実に防止される。
尚、溶接電流、アーク長、シールドガスの供給量、GTA溶接用トーチ45の下降速度、タングステン電極棒の先端形状等の溶接条件は、コア材Wの材質及び板厚等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。
【0058】
搬送台車15上のコア材Wの溶接が終了したら、芯出し加圧ユニット3が溶接済みのコア材Wを加圧した状態で数秒間保持し、熱歪によるコア材Wの変形を最小限にとどめた後、芯出し加圧ユニット3による芯出し及び加圧が解除される。
【0059】
芯出し加圧ユニット3による芯出し及び加圧が解除されると、横送り搬送装置50が作動して一対の右側係止部材71及びロッドレスシリンダ66により溶接位置Cにある搬送台車15を搬出待機位置Dへ搬送すると共に、一対の左側係止部材68により搬入待機位置Bにある後続の搬送台車15を溶接位置Cへ搬送する。
尚、後続の搬送台車15が搬入待機位置Bから溶接位置Cへ搬送されると、搬入口Aに搬送されて来た更に別の後続の搬送台車15が搬入装置49により搬入口Aから搬入待機位置Bへ搬入される。
【0060】
そして、搬送台車15が搬出待機位置Dへ搬送されたら、これを位置確認用センサー72が検出すると共に、搬出装置51が作動して一対の搬出用係止爪65′及びロッドレスシリンダ60′により搬出待機位置Dにある搬送台車15を搬出口Eへ搬送する。
また、溶接位置Cにある後続の搬送台車15のコア材Wが芯出し加圧ユニット3により芯出し及び整列されて加圧された後、溶接装置4により溶接される。
【0061】
搬出口Eに搬送されたモータコアを搭載した搬送台車15は、搬出口Eから積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル2の搬送用R溝48aに連続して形成された下流側搬送用R溝48c上を走行して次の工程へ搬送される。
【0062】
また、溶接位置Cにある後続の搬送台車15上のコア材Wの溶接が終了すると、横送り搬送装置50が作動して一対の右側係止部材70及びロッドレスシリンダ66により溶接位置Cにある後続の搬送台車15を搬出待機位置Dへ搬送すると共に、一対の左側係止部材68により搬入待機位置Bにある更に別の後続の搬送台車15を溶接位置Cへ搬送する。
【0063】
以下同様にして、プレス金型から搬入口Aに順次搬送されて来た搬送台車15は、搬入口Aから搬入待機位置B、溶接位置C、搬出待機位置D、搬出口Eを経て作業テーブル2外へ搬出され、別の工程へ搬送されて行く。
【0064】
尚、上記の実施の形態に於いては、コア材Wを積層した搬送台車15を搬入口A、搬入待機位置B、溶接位置C、搬出待機位置D、搬出口Eの順に搬送し、溶接済みのコア材Wを搭載した搬送台車15を搬出口Eから作業テーブル2外へ搬出するようにしたが、他の実施の形態に於いては、搬出口Eで溶接済みのコア材Wを搬送台車15から取り出し、空になった搬送台車15を搬送用R溝48aにより手動により搬入口Aに戻し、ここで空の搬送台車15にコア材Wを積層してから当該搬送台車15を装置内送り込むようにしても良く、また、搬入口Aに搬入された搬送台車15上のコア材Wに不良品が見つかった場合に、搬送台車15を積層モータコア自動溶接装置内に搬入せず、搬入口Aから搬送用R溝48aを利用して直接搬出口Eに手動により搬送するようにしても良い。
【0065】
更に、上記の実施の形態に於いては、作業テーブル2の前部上面の左側位置に搬送台車15の搬入口Aを、また、作業テーブル2の前部上面の右側位置に搬送台車15の搬出口Eを形成するようにしたが、他の実施の形態に於いては、作業テーブル2の前部上面の右側位置に搬送台車15の搬入口Aを、また、作業テーブル2の前部上面の左側位置に搬送台車15の搬出口Eを形成するようにしても良い。この場合、搬入待機位置Bは搬入口Aの後方位置に、また、搬出待機位置Dは搬出口Eの後方位置に位置することは勿論である。
【0066】
上述した積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム5は、コア材Wを積層した搬送台車15の搬入口Aと作製したモータコアを搭載した搬送台車15の搬出口Eとがそれぞれ独立した格好になっていると共に、搬入口Aと溶接位置Cとの間及び溶接位置Cと搬出口Eとの間に搬入待機位置B及び搬出待機位置Dをそれぞれ設けているため、モータのコア材Wの搬入と作製したモータコアの搬出に十分な時間が取れると共に、モータのコア材Wを積層した搬送台車15を積層モータコア自動溶接装置内へ順次送り込んでモータコアを連続的に作製することができ、モータコアの生産ロス時間を短縮できて作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0067】
2は作業テーブル、3は芯出し加圧ユニット、4は溶接装置、5はモータコア搬送システム、15は搬送台車、47は案内搬送路、47aは搬入用R溝、47bは搬出用R溝、47cは横送り搬送用R溝、47dは位置決め孔、47eは搬入側環状R溝、47fは搬出側環状R溝、48は搬送路、48aは搬送用R溝、49は搬入装置、50は横送り搬送装置、51は搬出装置、52は台枠、53はコアガイド、54は位置決めピン、55はバネ、56はボールキャスター、56aはボール、60は流体圧シリンダ、60′は流体圧シリンダ、65は搬入用係止爪、65′は搬出用係止爪、Aは搬入口、Bは搬入待機位置、Cは溶接位置、Dは搬出待機位置、Eは搬出口、Wはコア材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス金型により打ち抜かれて形成されたモータのコア材(W)を複数枚積層し、この積層したコア材(W)を作業テーブル(2)上で芯出し加圧ユニット(3)により芯出して整列させると共に、積層方向へ加圧しながらその外周部の数個所を溶接装置(4)により積層方向へ溶接してモータコアを作製するようにした積層モータコア自動溶接装置に用いられるものであり、積層したコア材(W)を積層モータコア自動溶接装置内へ自動搬入すると共に、装置内で作製したモータコアを装置外へ自動搬出する積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム(5)であって、前記モータコア搬送システム(5)は、モータのコア材(W)を複数枚積層した状態で搬送する搬送台車(15)と、積層モータコア自動溶接装置の作業テーブル(2)上面に設けられ、作業テーブル(2)の前部上面の左側位置又は右側位置の何れか一方に搬送台車(15)の搬入口(A)を、また、何れか他方に搬送台車(15)の搬出口(E)をそれぞれ有し、搬送台車(15)を搬入口(A)から搬入口(A)の後方位置にある搬入待機位置(B)、搬入待機位置(B)の右側位置又は左側位置にある溶接位置(C)、溶接位置(C)の右側位置又は左側位置にある搬出待機位置(D)、搬出待機位置(D)の前方位置にある搬出口(E)の順に案内する搬送台車(15)の案内搬送路(47)と、作業テーブル(2)に設けられ、搬送台車(15)を搬入口(A)から搬入待機位置(B)へ搬送する搬入装置(49)と、作業テーブル(2)に設けられ、搬送台車(15)を搬入待機位置(B)から溶接位置(C)及び搬出待機位置(D)へ順次搬送する横送り搬送装置(50)と、作業テーブル(2)に設けられ、搬送台車(15)を搬出待機位置(D)から搬出口(E)へ搬送する搬出装置(51)とから構成したことを特徴とする積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項2】
搬送台車(15)は、少なくともモータのコア材(W)が積層される台枠(52)と、台枠(52)の下面側四隅に設けられ、バネ(55)により下方へ突出すべく附勢されたボールキャスター(56)とを備えており、台枠(52)に積層したモータのコア材(W)が加圧されたときに前記ボールキャスター(56)がバネ(55)の附勢力に抗して台枠(52)内に押込まれて台枠(52)の底面が作業テーブル(2)上面に面接触状態で密着するように構成され、また、搬送台車(15)の案内搬送路(47)は、作業テーブル(2)の左側部分上面又は右側部分上面の何れか一方に作業テーブル(2)の前後方向に沿って形成され、搬送台車(15)の各ボールキャスター(56)のボール(56a)が挿入されて転動すると共に、搬送台車(15)を搬入口(A)から搬入待機位置(B)へ案内する二本の平行な搬入用R溝(47a)と、作業テーブル(2)の左側部分上面又は右側部分上面の何れか他方に作業テーブル(2)の前後方向に沿って形成され、搬送台車(15)の各ボールキャスター(56)のボール(56a)が挿入されて転動すると共に、搬送台車(15)を搬出待機位置(D)から搬出口(E)へ案内する二本の平行な搬出用R溝(47b)と、作業テーブル(2)の後部上面に二本の搬入用R溝(47a)及び二本の搬出用R溝(47b)にそれぞれ交差する状態で且つ作業テーブル(2)の幅方向に沿って形成され、搬送台車(15)の各ボールキャスター(56)のボール(56a)が挿入されて転動すると共に、搬送台車(15)を搬入待機位置(B)から溶接位置(C)及び搬出待機位置(D)の順に案内する二本の平行な横送り搬送用R溝(47c)とから構成されており、搬入用R溝(47a)の上流側部分が搬入口(A)に、搬出用R溝(47b)の下流側部分が搬出口(E)に、搬入用R溝(47a)と横送り搬送用R溝(47c)の交差部分が搬入待機位置(B)に、横送り搬送用R溝(47c)の中間部分が溶接位置(C)に、搬出用R溝(47b)と横送り搬送用R溝(47c)の交差部分が搬出待機位置(D)にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項3】
作業テーブル(2)の前部上面に、作業テーブル(2)外から案内搬送路(47)の搬入口(A)及び搬出口(E)を通過して作業テーブル(2)外へ至る搬送台車(15)の搬送路(48)を設け、当該搬送路(48)は、作業テーブル(2)の前部上面に搬入口(A)を形成する搬入用R溝(47a)の上流側部分及び搬出口(E)を形成する搬出用R溝(47b)の下流側部分にそれぞれ交差する状態で形成され、両端部が作業テーブル(2)外へ延びる二本の平行な搬送用R溝(48a)から成ることを特徴とする請求項2に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項4】
案内搬送路(47)の搬入口(A)で且つ二本の搬入用R溝(47a)と二本の搬送用R溝(48a)とが交差する個所に、搬送台車(15)の各ボールキャスター(56)のボール(56a)が抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車(15)を搬入口(A)に位置決めする位置決め孔(47d)を形成し、また、案内搬送路(47)の搬出口(E)で且つ二本の搬出用R溝(47b)と二本の搬送用R溝(48a)とが交差する個所に、搬送台車(15)の各ボールキャスター(56)のボール(56a)が抜き差し自在に嵌り込んで搬送台車(15)を搬出口(E)に位置決めする位置決め孔(47d)を形成したことを特徴とする請求項3に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項5】
搬送台車(15)の下面側四隅に設けた前後方向のボールキャスター(56)の間隔と左右方向のボールキャスター(56)の間隔を同じに形成し、また、案内搬送路(47)を形成する二本の搬入用R溝(47a)の間隔、二本の搬出用R溝(47b)の間隔及び二本の横送り搬送用R溝(47c)の間隔をそれぞれボールキャスター(56)の間隔と同じ間隔に形成し、更に、案内搬送路(47)の搬入口(A)で且つ二本の搬入用R溝(47a)と二本の搬送用R溝(47d)とが交差する個所に、搬送台車(15)を搬入口(A)で旋回させる搬入側環状R溝(47e)を設け、また、案内搬送路(47)の搬出口(E)で且つ二本の搬出用R溝(47b)と二本の搬送用R溝(47d)とが交差する個所に、搬送台車(15)を搬出口(E)で旋回させる搬出側環状R溝(47f)を設けたことを請求項4に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項6】
搬送台車(15)は、台枠(52)の上面に立設され、モータのコア材(W)の外周縁に形成したキー溝(Wc)に嵌り込んでコア材(W)の周方向の位相が揃うようにする柱状のコアガイド(53)と、台枠(52)の上面に立設され、コア材(W)のティース(Wb)間に形成されたスリットに挿入されてコア材(W)の周方向の位相が揃うようにする複数本の位置決めピン(54)とをそれぞれ備えていることを特徴とする請求項2に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。
【請求項7】
搬入装置(49)は、作業テーブル(2)の下面側に設けられ、作業テーブル(2)に搬入用R溝(47a)に沿って形成したガイド孔(64)から作業テーブル(2)上面へ突出して搬送台車(15)に着脱自在に係止される上下動自在な搬入用係止爪(65)と、作業テーブル(2)の下面側に設けられ、搬入用係止爪(65)を搬入口(A)と搬入待機位置(B)との間で前後方向へ往復移動させる流体圧シリンダ(60)とを備え、また、搬出装置(51)は、作業テーブル(2)の下面側に設けられ、作業テーブル(2)に搬出用R溝(47b)に沿って形成したガイド孔(64)から作業テーブル(2)上面へ突出して搬送台車(15)に着脱自在に係止される上下動自在な搬出用係止爪(65′)と、作業テーブル(2)の下面側に設けられ、搬出用係止爪(65′)を搬出待機位置(D)と搬出口(E)との間で前後方向へ往復移動させる流体圧シリンダ(60′)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の積層モータコア自動溶接装置のモータコア搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−218392(P2011−218392A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89120(P2010−89120)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】