説明

積層体用ゴムシートおよび積層体

【課題】優れた接着強度を有し、かつ寸法安定に優れ、また、生産性に優れ、封止性に優れ、耐熱性に優れる積層体用ゴムシートおよびこの積層体用ゴムシートとプリプレグとの積層体を提供する。
【解決手段】積層体用ゴムシートは、プリプレグと積層されるゴムシートであって、上記ゴムシートは、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が配合され、未架橋時のムーニー粘度(ML1+4125℃)が50〜100であり、上記プリプレグに接する接着面の反対側となる非接着面側から少なくとも電子線照射により架橋されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層体用ゴムシートおよびこの積層体用ゴムシートとプリプレグとの積層体に関し、特に電解コンデンサの封止材、液体や気体を封入する精密製品の封止材などとして有用な積層体用ゴムシートおよび積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサは、通常、ケースと、このケース内に収容されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子に含浸した電解液と、ケースの開口部を封止し、電解液の蒸発揮散を防止する封止材と、コンデンサ素子から引出され、上記封止材を貫通するリードとで構成されている。この封止材として、紙基材にフェノール樹脂を含浸した適数枚のプリプレグと、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ターポリマーなどの加硫ゴムシートとを積層した積層体が従来使用されている。この封止材用積層体には、プリプレグとゴムシートとが強固に接着し一体化していることと、耐熱性を有し、高温下でも特性の低下が小さいことが必要とされている。
このような封止材用積層体として、ゴム100重量部に対して1〜50重量部の多価アルコールを含むゴムシートと、合成樹脂を含有する樹脂含有シートとの積層体が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、ゴム貼積層板として、ムーニー粘度(ML1+4100℃)60〜110のエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム100重量部に対して、1分半減期が130℃〜160℃の有機過酸化物1〜8重量部および含水珪酸10〜80重量部含有するものからなるムーニー粘度(ML1+4100℃)85〜160、且つキュラストメータ加硫速度指数(t△80130℃)が15〜30分である未加硫ゴムシートとフェノール樹脂含浸プリプレグと重ね合わせて被加工体を形成し、上記被加工体を加熱加圧して一体成形されるゴム貼積層板が知られている。ここで、ムーニー粘度およびキュラストメーター加硫速度指数は、未加硫ゴム物理試験方法(JISK6300−1、およびJISK6300−2)に規定されている。ムーニー粘度(ML1+4100℃)は、100℃、大ローター(Large roter)を使用して余熱1分、更に4分ローター回転後のムーニー粘度を表示している。キュラストメーター加硫速度指数は(t△80130℃)は、130℃での加硫において、トルクの最低値MLと最高値MHの差MEとして10%ME、90%MEのそれぞれの到達時間tc(10)、tc(90)を取り、更にtc(90)−tc(10)=tc(△80)で表される(特許文献2)。
【0004】
一方、建築、土木用防水シ−トやトラック用タ−ポリンなど各種防水シ−ト等に利用されるシ−ト状の高分子組成物に対し、電子線の透過がシ−ト厚さの30〜70%となるような加速電圧下で片面から電子線を照射して得られる電子線架橋層と未架橋層とを合わせ持つシ−トが開示されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1記載の電解コンデンサ用封止材は、ゴムシートに多価アルコールを含んでいるので、ゴムシート製造から樹脂含有シートとの積層化までの経過時間により、この多価アルコールがゴムシート表面に滲み出し、樹脂含有シートとの積層時には所望の接着力を有しない、または接着力が不安定になる場合がある。また、樹脂含有シートとの接着に寄与する因子が多価アルコールのみであることから、強固な接着力が得にくい。樹脂含有シートとの接着に未加硫ゴムシートを用いた場合は、ゴムの加硫反応と樹脂含有シートの硬化反応による相互の化学反応により、また未加硫時のゴムと未硬化時の樹脂含有シートとの投錨効果による物理反応により強固な接着力を得られるが、積層化時に行なう加熱、加圧によりゴム寸法の変化が大きくなり、所望の寸法精度を有する製品が得にくいという問題がある。
特許文献2記載のゴム貼積層板は、高粘度材料を扱うために混練りシーティング等の加工が困難であるという問題がある。
特許文献3記載のシ−トは、プリプレグと積層する際に接着力が乏しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−140343号公報
【特許文献2】特許第3993785号公報
【特許文献3】特開平5−295136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、優れた接着強度を有し、かつ寸法安定に優れ、また、生産性に優れ、封止性に優れる積層体用ゴムシートおよびこの積層体用ゴムシートとプリプレグとの積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層体用ゴムシートは、プリプレグに積層される積層体用ゴムシートであって、上記ゴムシートは、未架橋時のムーニー粘度(ML1+4125℃)が50〜100であり、上記プリプレグに接する接着面の反対側となる非接着面側からの少なくとも電子線照射により該非接着面側が架橋されていることを特徴とする。
また、ゴムシートは、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が配合されていることを特徴とする。
特に、上記分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする。ここで、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを表す。また、上記非接着面側が架橋され、上記接着面側が未架橋であることを特徴とする。
本発明の積層体はプリプレグと上記積層体用ゴムシートとの積層体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体用ゴムシートは、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物、特に多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが配合され、未架橋時のムーニー粘度(ML1+4125℃)が50〜100であり、プリプレグに接する接着面の反対側となる非接着面側が少なくとも電子線照射により架橋されているので、接着面に残存する重合性不飽和2重結合による架橋が生じることでプリプレグと相互に強固に接着し、未架橋時のゴムのムーニー粘度を調整することにより、寸法安定性に優れた積層体を形成できる。このようにして得られる積層体は耐熱性および封止性に優れるので電解コンデンサ用などのパッキンなどに用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用できるゴムは、電子線照射により架橋できるゴムが使用できる。例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが例示される。これらの中で、安価で耐熱性に優れるエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴムが等のエチレン−プロピレン系ゴムが好ましい。ゴムは単独または混合ゴムとして使用できる。
【0010】
上記ゴムには、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が配合される。重合性不飽和2重結合は、2個以上、特に3個以上有することが好ましい。そのような化合物としては、多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。これらの中で、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが接着性を向上させるため好ましい。多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリアリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記ゴムに配合できる架橋剤は有機過酸化物が好ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、2,4ジクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が例示できる。
【0012】
本発明で使用できるゴムには、その他のゴム添加剤を配合することができる。例えば、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、老化防止剤、補強剤または充填剤、加工助剤または滑剤、着色剤等が挙げられる。
加硫助剤としては金属酸化物類などが、老化防止剤としては酸化防止剤や紫外線吸収剤などが、補強剤または充填剤としてはカーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミナ、リトポン、スチレン樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、再生ゴムなどが、加工助剤または滑剤としてはステアリン酸、ステアリン酸金属石鹸、ワックス類などがそれぞれ挙げられる。
【0013】
電子線照射により架橋できるゴム層における各成分の割合は、原料ゴム100重量部に対して、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物を0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部配合できる。0.5重量部より少ないと接着性が十分でなくなり、20重量部をこえると接着性が飽和状態に達しそれ以上の効果が得られなくなり、またブルームなどが生じやすくなる。
また、有機過酸化物は1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部配合できる。
有機過酸化物の割合が20重量部をこえると硬化が生じて実用に適さない。また、1重量部未満では架橋が十分でなくなる。
本発明で使用できるゴムには、原料ゴム100重量部に対して、さらに補強剤と充填剤を20〜250重量部、好ましくは30〜150重量部配合できる。補強剤と充填剤が250重量部をこえると原料ゴム生地が硬くなりシーティング加工が困難になる。また、20重量部未満であるとゴムの補強効果が低く要求特性が得られない。
【0014】
本発明で使用できるゴム組成物は、未架橋時のムーニー粘度(ML1+4125℃)が50〜100で、好ましくは60〜90である。ムーニー粘度がこの範囲であると、シーティング加工安定性やプリプレグとの積層体としたときの寸法安定性を維持できる。すなわち、後述するゴムの面的寸法変化率を25%以下にすることができる。ムーニー粘度が50未満であるとゴムの面的寸法変化率が大きくなり、100をこえるとシーティング加工性が困難になる。
ムーニー粘度はJIS K 6300−1の方法で測定できる。
【0015】
ゴムに配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー等のゴム練り機を用いて行なうことができる。
また、ゴムシートの厚みは用途に応じて適宜設定することができる。コンデンサ用パッキンとして使用する場合、通常、0.1〜5mm程度が好ましい。
【0016】
上記ゴム層に対する電子線照射条件としては、加速電圧が100〜3000kV、好ましくは150〜750kV、照射線量が10〜1000kGy、好ましくは10kGyをこえ、600kGy以下である。加速電圧が100kV未満では架橋層の厚みが薄く、また照射線量が10kGy未満では架橋密度が小さくなり、ゴムの寸法変化が大きくなる。加速電圧が3000kVをこえると架橋層の厚みが厚く、また照射線量が1000kGyをこえると架橋密度が高くなり過ぎるため、プリプレグとの接着力が低下する。
【0017】
ゴムシートへの電子線照射は、プリプレグの非接着面側から行なう方法、プリプレグの接着面側から行なう方法、プリプレグの非接着面側および接着面側の両側から行なう方法を採用できる。
これらの電子線照射の中で好ましい方法は非接着面側から行なう方法である。非接着面側から照射することにより、非接着面側を架橋して、接着面側を未架橋とすることができる。
また、接着面側からも電子線照射する場合は、照射線量を10kGy以下とすることが好ましい。10kGyより大きくなると架橋密度が高くなりプリプレグとの接着力が低下する。
電子線照射条件である加速電圧および照射線量を、ゴムシートの厚み、密度等に応じて調整することにより、非接着面側の架橋密度が高くなる傾斜材料としてのゴムシートが得られる。
【0018】
本発明の積層体用ゴムシートは、以下の方法で評価できる。
(1)接着性
積層体のゴムシートとプリプレグとの界面の接着状態を確認する。ゴムシートの接着面側の架橋密度が高くなり過ぎると、ゴムシートとプリプレグとの接着強度が劣り、剥離時にゴムシートとプリプレグとの界面で剥離する。ゴムシートの接着面側の架橋密度が適切な範囲にある場合、ゴムシートとプリプレグとを剥離しようとしてもゴムシート層の破壊現象が生じる。
例えば、プリプレグとしてレゾール型フェノール樹脂含浸紙を用いて、プレス面圧100kg/cm2、温度170℃、加圧時間1時間の条件で積層接着を行ない厚さ2.5mmの積層体(ゴム層の厚さ1mm、樹脂層の厚さ1.5mm)を得た。この積層体を25mm幅に切断して積層体小片の端部をめくり、JISK6256に準じて、その界面で180度剥離試験を行ない、長さ150mm剥離させたときの接着面の破壊状況を観察し、ゴムシートの破壊または破断現象が生じたときゴムの破断率を90%以上とし、この場合、ゴムシートの接着面の架橋密度が適切な範囲にある。
(2)積層接着時の寸法変化
上記条件で作製した積層体の非接着面側の架橋が十分でない場合、ゴムシートとプリプレグとの加熱加圧接着後のゴムシートの寸法変化が大きくなる。正方形ゴムシート寸法を用いて測定した場合、積層後のゴムシートの面的寸法変化率が、積層前のゴムシート寸法に対して25%以下、好ましくは20%以下の変化率であれば、非接着面の架橋密度とゴムのムーニー粘度が適切である。
面的寸法変化率は以下の式で表される。

面的寸法変化率(%)=((L2−L1)/L1)×100

ここで、L1は積層接着前の正方形ゴムシートの一辺の長さであり、L2は積層接着後の同正方形ゴムシートの一辺の平均長さである。
【0019】
本発明の積層体用ゴムシートは、プリプレグと積層することにより、電解コンデンサの封止材、液体や気体を封入する精密製品の封止材製造用として使用できる。また、積層体は、ニッケル−水素電池のパッキング、キャパシタ用パッキング等に使用できる。
本発明の積層体用ゴムシートは、接着面側が未架橋または半架橋状態であるので、プリプレグと積層接着時にゴムシートの架橋と接着反応が同時に起こる。さらに非接着面側が架橋されているのでゴムシートの寸法変化が少なく寸法安定性に優れる。このため、プリプレグとの積層体は、高度のシール性を備え、この優れたシール性が長期間低下しないので、コンデンサや精密製品の信頼性を向上させ、また小型化することができる。
【0020】
本発明において、プリプレグとは、未硬化樹脂単体のシート、未硬化樹脂を基材に含浸させたシートをいう。基材としては、例えば、紙、ガラス布、ガラス不織布、ポリエステルシート、ポリエステル不織布、芳香族ポリアミド紙(デュポン社商品名、ノーメックス)、またはこれらの組み合わせ等を使用できる。未硬化樹脂としては、未硬化の熱硬化性樹脂が好ましく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド変性エポキシ樹脂、アラルキルエーテル樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂などを挙げることができる。特にエポキシ樹脂およびレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
【0021】
積層接着させるプリプレグの厚さは、0.05〜5.0mmが好ましく、具体的な例としては、レゾール型フェノール樹脂含浸紙において0.2〜0.4mm程度のものを好適に使用でき、このような厚さのプリプレグを複数枚重ねて使用できる。
【0022】
プリプレグと積層体用ゴムシートとの積層は、積層体用ゴムシートの上記接着面とプリプレグ層とを接着させて行なう。積層体用ゴムシートの未架橋または半架橋状態にある接着面側のゴムとプリプレグ層の未硬化反応性基とが相互に反応することにより接着強度が向上する。
【0023】
プリプレグと積層体用ゴムシートとの積層方法は、プリプレグと積層体用ゴムシートとを重ね合わせて、アルマイト板やジュラルミンなどの離型金属板やクッション板などの積層用治具を用いてセットアップし、熱プレスの熱盤間に挿入し積層接着プレスを行なう方法が好ましい。積層接着プレスの条件としては、積層体の一体性を損なわない適宜の条件、例えばプレス面圧30〜150kg/cm2程度、温度100〜200℃程度、加圧時間30分〜6時間程度の条件で行なうことができる。
【0024】
本発明の積層体の厚さは0.5〜5mmが好ましい。
本発明の積層体は、電解コンデンサの封止材、液体や気体を封入する精密製品の封止材、種々のパッキン類、絶縁シート、保護シートなどに利用することができる。
【実施例】
【0025】
実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例3
ゴムとしてエチレン−プロピレン系ゴム(JSR(株)社製、商品名EP65、表1においてEPDMとして表す)を、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)社製、商品名NKエステル A−TMPT)を、配合剤としてカーボンブラック(東海カーボン(株)社製、商品名シースト116)、クレー(Burgess pigment社製、商品名バーゲス#30)、有機過酸化物(日油(株)製、商品名パーヘキサ25B−40)を準備して、表1に示す配合で混練した後カレンダーロールでシート状に成形して、厚さ1mmの未架橋ゴムシートを得た。
この未架橋ゴムシートを、表1に示す条件で電子線照射を行ない積層体用ゴムシートを得た。
【0026】
上記積層体用ゴムシートの接着面とプリプレグ(レゾール型フェノール樹脂含浸紙)とを重ね合わせて、プレス面圧100kg/cm2、温度170℃、加圧時間1時間の条件で積層接着を行ない厚さ2.5mmの積層体を得た。
得られた積層体を25mm幅に切断し、JISK6256に準じて180°剥離試験を行なった。剥離試験はゴムシートとプリプレグとの界面で行ない、接着面の状態を観察した。ゴムシートとプリプレグとが層間剥離する場合を×、ゴムシート層の剥離または破断が生じる場合を○として評価した。
また、ゴムの寸法変化の確認として、一辺150mmの正方形ゴムシート寸法を用いて、積層接着前のゴムシート寸法に対する積層接着後のゴムシート寸法の変化率を測定した。変化率が20%以下の場合を○、20%をこえる場合を×として評価した。
結果を表1に併せて示す。
【0027】
【表1】

表1に示すように、各実施例の積層体は優れた接着強度および20%以下の寸法変化率を示した。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の積層体用ゴムシートを用いた積層体は、接着強度に優れているので、封止性に優れる。そのため、電解コンデンサの封止材、液体や気体を封入する精密製品の封止材用部品として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグに積層される積層体用ゴムシートであって、
前記ゴムシートは、未架橋時のムーニー粘度(ML1+4125℃)が50〜100であり、前記プリプレグに接する接着面の反対側となる非接着面側からの少なくとも電子線照射により該非接着面側が架橋されていることを特徴とする積層体用ゴムシート。
【請求項2】
前記ゴムシートは、分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が配合されていることを特徴とする請求項1記載の積層体用ゴムシート。
【請求項3】
前記分子内に重合性不飽和2重結合を複数個有する化合物が多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項2記載の積層体用ゴムシート。
【請求項4】
前記非接着面側が架橋され、前記接着面側が未架橋であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の積層体用ゴムシート。
【請求項5】
プリプレグとゴムシートとの積層体であって、
前記ゴムシートが請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の積層体用ゴムシートであることを特徴とする積層体。


【公開番号】特開2010−214600(P2010−214600A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60529(P2009−60529)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(591005006)クレハエラストマー株式会社 (37)
【出願人】(591045703)利昌工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】