説明

積層体

【課題】紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する意匠性に優れた積層体を得る。
【解決手段】紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する積層体であって、
基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層されたことを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光発光を示す積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線を照射することにより発光する蛍光顔料等の蛍光体等を含む成形品が知られている。このような蛍光体は、紫外線照射時と非照射時で異なる色相を示すため、様々な分野で高意匠性材料として用いられている。例えば、陶磁器タイル上に、蛍光顔料を含む着色層(蛍光発光層)を積層した蛍光発光タイル(例えば、特許文献1)等が知られている。しかしながら、上記のように基材上に蛍光体を積層するのみでは、紫外線照射した場合、均一な輝度での蛍光発光しか有することができず、単調な意匠となるおそれがある。このような積層体において、蛍光発光層の輝度を変化させるには、蛍光発光層の蛍光顔料濃度や、蛍光発光層の厚さを設定したり、紫外線を部分的に照射したり、様々な工夫が必要であった。
【0003】
これに対して、基材表面に異なる色相の蛍光顔料を複数使用し、種々の形態、模様で蛍光発光層を施した積層体(例えば、特許文献2、特許文献3)等が知られている。しかしながら、このような積層体の場合、複数の蛍光発光層を種々の形態、模様で積層する必要があり、工程が煩雑となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−160082号公報
【特許文献2】特開平3−122363号公報
【特許文献3】特開平3−290380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する意匠性に優れた積層体を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、
紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する積層体であって、基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層された積層体に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明積層体は、下記の特徴を有するものである。
【0007】
1.紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する積層体であって、
基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層され
該下地層(A)が、紫外線反射率が高い部分(p)と、当該(p)よりも紫外線反射率が低い部分(q)が混在するものであり、
該(p)が、高反射材料により形成されるものであり、
該(q)が、低反射材料により形成されるものであり、
該(p)の紫外線反射率は10%以上であり、該(p)と該(q)との紫外線反射率の差が、少なくとも1%以上であることを特徴とする積層体。
2.上記高反射材料が、樹脂及び紫外線反射率の高い粉体としてアルミナを含むものであることを特徴とする1.に記載の積層体。
3.上記低反射材料が、樹脂及び紫外線反射率の低い粉体を含み、
上記紫外線反射率の低い粉体が、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、珪藻土から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
4.上記低反射材料が、樹脂及び紫外線吸収剤を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の積層体。
5.上記高反射材料と低反射材料が、紫外線反射率の異なる樹脂を含み、
上記低反射材料の樹脂が、樹脂中にフェニル基、ベンゾフェノン基、ベンゾトリアゾール基、トリアジン基から選ばれる紫外線吸収基を含むことを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の積層体。
6.1.に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、低反射材料を積層し、次いで、高反射材料を部分的に塗付し下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
7.1.に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、高反射材料を積層し、次いで、低反射材料を部分的に塗付し下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
8.1.に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、低反射材料と高反射材料を同時に吹付する、または高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を塗付し、下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
9.1.に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、蛍光材料を含む分散媒中に、高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を塗付し、下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)を積層することにより、紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈することができるものである。本発明の積層体は、通常(可視光照射時)は単色であっても、紫外線照射時には多様な蛍光発光を呈することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明は、紫外線を照射することにより多様な蛍光発光を呈する積層体であり、基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層された積層体である。本発明における多様な蛍光発光とは、下地層(A)の上に、1種類の蛍光発光層を均一に積層した場合であっても、少なくとも2つ以上の発光輝度の異なる蛍光発光を有することをいう。
【0011】
少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)(以下、「下地層(A)」ともいう)について説明する。
本発明の下地層(A)は、紫外線反射率の異なる部分を有する層を基材上に積層したものであれば平滑な層であっても、凹凸を有する層であっても特に限定されない。具体的には、紫外線反射率が高い部分(p)と、当該(p)よりも紫外線反射率が低い部分(q)が混在するものである。(q)は、少なくとも1種必要であるが、2種以上設けてもよい。
(p)の紫外線反射率は、10%以上(好ましくは15%)以上とすることが望ましい。また、(p)と(q)との紫外線反射率の差は、少なくとも1%以上(好ましくは5%以上)とすることが望ましい。なお、本発明の紫外線反射率は、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計によって測定した値である。
【0012】
(p)と(q)の紫外線反射率が異なるように設定する方法としては、例えば、
(1)紫外線反射率の異なる粉粒体を用いる方法
(2)紫外線反射率の異なる樹脂を用いる方法
(3)紫外線吸収剤を用いる方法
(4)下地層の厚みを変える方法
等が挙げられる。本発明では、(1)〜(4)の方法を組み合わせることも可能である。
【0013】
上記(1)において使用可能な粉粒体としては、例えば、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、リン酸亜鉛、雲母、寒水石、タルク、珪藻土、白土、カオリン、クレー、陶土、バライト粉、珪砂、珪石粉、ホワイトカーボン、金属粉、有機樹脂粉体等が挙げられる。具体的には、(p)において紫外線反射率が高い粉粒体を用い、(q)において紫外線反射率が低い粉粒体を用いればよい。紫外線反射率が高い粉粒体としては、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、この中でもアルミナ、硫酸バリウム、等が好ましく、とりわけアルミナが好適である。本発明では、複数の粉粒体を組み合わせて、(p)、(q)を形成しても良い。
【0014】
また、上記(1)では、紫外線反射率が最も高い粉粒体と最も低い粉粒体との紫外線反射率の差が1%以上(好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上)とすることが望ましい。具体的に、紫外線反射率が高い粉粒体としてアルミナを使用する場合は、紫外線反射率が低い粉粒体として酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、珪藻土等を使用することが好ましい。
なお、上記(1)における粉粒体の紫外線反射率は、予め紫外線を反射しないように黒色に塗装されたアルミ板上に、アクリル樹脂に各粉粒体を混合した組成物(隠蔽率95%)を、塗付(乾燥膜厚:約100μm)、乾燥させたものを試料とし、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計によって測定した値である。また、隠蔽率は、JIS K 5600−4−1:1999の方法B(隠蔽率試験紙)に従い、Y/Yを百分率で算出した値である。
【0015】
上記(2)において使用可能な樹脂としては、また、有機材料としては無機質材料、有機質材料のどちらでもよく、例えば、無機質材料としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材、等が挙げられる。有機質材料としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂等の水分散型、水可溶型、NAD型、溶剤可溶型、無溶剤型、等の樹脂が挙げられる。
【0016】
具体的には、(p)において紫外線反射率が高い樹脂を用い、(q)において紫外線反射率が低い樹脂を用いればよい。上記(2)では、紫外線反射率が最も高い樹脂と最も低い樹脂との紫外線反射率の差が1%以上(好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上)とすることが望ましい。このような紫外線反射率の差は、例えば、樹脂中の紫外線吸収基の比率を変えること等により、設けることができる。紫外線吸収基としては、例えば、フェニル基、ベンゾフェノン基、ベンゾトリアゾール基、トリアジン基等が挙げられる。
【0017】
上記(2)の具体例としては、(p)において、樹脂中のスチレン比率が小さな樹脂を使用し、(q)において、樹脂中のスチレン比率が大きな樹脂を使用する組み合わせを挙げることができる。この場合、樹脂中のスチレン比率は10重量%以上(好ましくは35重量%以上)異なることが望ましい。
なお、(2)における紫外線反射率は、予め紫外線を反射しないように黒色に塗装されたアルミ板上に、各樹脂にアルミナを混合した組成物(隠蔽率95%)を、塗付(乾燥膜厚:約100μm)、乾燥させたものを試料とし、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計によって測定した値である。
【0018】
上記(3)は、紫外線吸収剤の存否、あるいは濃度の差異により、紫外線反射率を変えるものである。上記(3)で使用可能な紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。このうち、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0019】
具体的には、(p)において紫外線吸収剤を配合せず、(q)において紫外線吸収剤を配合すればよい。また、(p)における紫外線吸収剤の濃度を低くし、(q)における紫外線吸収剤の濃度を高く設定してもよい。上記(3)では、紫外線吸収剤の濃度が低い部分と高い部分との紫外線反射率の差が2%以上(好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上)とすることが望ましい。また、(3)では、紫外線吸収剤の濃度が0.01重量%以上(好ましくは0.05重量%以上)異なるように設定することが望ましい。なお、(3)での紫外線反射率は、予め紫外線を反射しないように黒色に塗装されたアルミ板上に、各樹脂にアルミナ、紫外線吸収剤を混合した組成物(隠蔽率95%)を、塗付(乾燥膜厚:約100μm)し、乾燥させたものを試料とし、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計によって測定した値である。
【0020】
上記(4)は、紫外線反射率が高い材料では、厚みが大きいほど紫外線反射率も高くなる傾向があることや、紫外線反射率が低い材料では、厚みが大きいほど紫外線反射率も低くなる傾向があることを利用するものである。紫外線反射率が高い材料としては、例えば上記(1)〜(3)において(p)を形成する材料が使用できる。下地層の厚みは、通常5μm〜500μm(好ましくは、10μm〜250μm)の範囲内で設定すればよい。
【0021】
本発明では、上記(1)〜(4)の他に、紫外線反射率が高い粉粒体、紫外線反射率が高い樹脂等の濃度を変える方法等によって、(p)、(q)を設けることもできる。
【0022】
また、上記の方法で紫外線反射率が高い部分(p)と、当該(p)よりも紫外線反射率が低い部分(q)を設ける場合、紫外線反射率が高い部分(p)が紫外線反射率が低い部分(q)よりも隆起するように設定すると、陰影が鮮明となり、奥行き感のある多彩な蛍光発光を呈することができる。紫外線反射率が高い部分(p)が隆起するように設定する方法としては、例えば、凹凸を有する下地層において、その凸部が(p)、凹部が(q)となるように設定する方法、下地層を形成する際に(p)の厚みを(q)の厚みよりも大きくする方法等が挙げられる。
【0023】
本発明の蛍光材料を含む蛍光発光層(B)について説明する。蛍光発光層(B)とは透光性を有する材料(以下、「透光性材料」という。)に蛍光発光を示す顔料、染料等(以下、「蛍光材料」という。)を含むものである。
透光性材料としては、透光性を有するものであれば、無機質材料、有機質材料のどちらでもよい。例えば、無機質材料としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材等があげられる。また、有機質材料としては、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、セルロールアセトブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なお、「透光性」とは、可視光透過性に優れ、透明性を有することである。
【0024】
蛍光材料としては、紫外線照射下において蛍光発光を示すものであれば限定されず、公知の蛍光染料や蛍光顔料等を使用することができる。本発明では、可視光下において蛍光発光を示さないものが好ましく、このような蛍光体の中でも、蛍光発光持続性、耐候性にも優れる無機蛍光顔料が特に好ましい。
【0025】
蛍光発光層は、上記透光性材料と上記蛍光材料を含む材料(以下「蛍光発光層材料」という。)を、フィルム状または板状等に成形したものである。 その厚みは、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05mm〜5mmであり、その隠蔽率(%)は、通常70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。なお、蛍光発光層の隠蔽率は、色彩色差計を用いて測定し、算出した値である。このような、蛍光発光層材料は、透光性材料(固形分)100重量部に対して、蛍光材料を0.5〜50重量部、さらには1〜30重量部添加することが好ましい。0.5重量部より少ない場合、蛍光発光層の輝度が低くなり視認性に劣るおそれがある。また、50重量部より多く添加しても輝度の向上が確認できず、多様な蛍光発光が得られにくくなるおそれがある。
【0026】
上記下地層材料、または蛍光発光層材料には、本発明の効果を阻害しない程度であれば、例えば、顔料、骨材、可塑剤、難燃剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、吸着剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよく、このような成分を常法で均一に混合することができる。
【0027】
本発明において、適用可能な基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の形状としては、特に限定されないが、凹凸基材であれば蛍光発光の多様性が高まる。また、これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、パテ、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、既に壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0028】
本発明の積層体構造は、基材上に、紫外線反射率が高い部分(p)と、当該(p)よりも紫外線反射率が低い部分(q)が混在し、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)、及び蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層されていれば、その製造方法については特に限定されるものではない。例えば、下地層(A)は、「下地層材料」、具体的には、紫外線反射率の高い部分(p)を形成する材料「高反射材料」と紫外線反射率の低い部分(q)を形成する材料「低反射材料」を使用し、以下の方法で作製することができる。
【0029】
(I)基材全面に、低反射材料を積層し、次いで、高反射材料を部分的に積層し下地層(A)を形成後、さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層する方法、
(II)基材全面に、高反射材料を積層し、次いで、低反射材料を部分的に積層し下地層(A)を形成後、さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層する方法、
(III)基材全面に、高反射材料と低反射材料を同時に積層し下地層(A)を形成後、さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層する方法、
(IV)基材全面に、高反射材料、低反射材料、及び蛍光発光材料を含む層を同時に形成する方法、
等により製造できる。
【0030】
上記(I)(II)では、高反射材料と低反射材料を段階的に積層することよって任意にパターンを形成することが可能となる。特に、(I)では、高反射材料が低反射材料よりも隆起した下地層を形成することができるため好ましい。
また、基材が凹凸を有する場合、(I)(II)の方法を用いて、基材の凹部、凸部を塗り分けることもできる。特に、基材凸部に高反射材料、凹部に低反射材料を塗ることによって高反射材料が低反射材料よりも隆起した下地層を形成することができる。
【0031】
また、上記(III)では、例えば、高反射材料と低反射材料を同時に吹付する方法、高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を積層する方法により形成することができる。特に、カプセル化またはゲル化させた高反射材料粒子と低反射材料粒子において、高反射材料粒子の粒子径が低反射性材料粒子の粒子径よりも大きくする等の手段により、高反射材料が低反射材料よりも隆起した下地層を形成することができる。
【0032】
上記(IV)では、例えば、蛍光材料を含む分散媒中に、高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を塗付する方法により形成することができる。この場合、上記(III)同様、高反射材料粒子の粒子径を低反射性材料粒子の粒子径よりも大きくすることが好ましい。
【0033】
上記(I)〜(IV)において、下地層材料、または蛍光発光層材料を積層する際には、予め成形した各層を接着剤で張り合わせたり、成形前の材料をスプレー、ローラー、こて、レシプロ、コーター、流し込み等の手段を用いて積層することができる。また下地層材料、または蛍光発光層材料を乾燥させる際には、通常、常温で行えばよいが加熱することも可能である。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0035】
<蛍光発光層材料>
・蛍光発光層材料1
アクリル樹脂エマルション100重量部(固形分)、緑色無機蛍光顔料7重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)4重量部を常法にて混合し、蛍光発光層材料1を作製した。
蛍光発光層材料1に関して、隠蔽率試験紙の上に塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥させた試験体を用い、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計(「CR−300」:ミノルタ株式会社製)を用いて測定し隠蔽率(%)を算出したところ、蛍光発光層材料1の隠蔽率は6.1%であった。
【0036】
<下地層材料の製造>
・下地層材料1
樹脂エマルション1を100重量部(固形分)、アルミナ500重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)5重量部を常法にて混合し、下地層材料1を作製した。
・下地層材料2〜8
表1に示す配合に基づき、下地層材料1と同様の方法で、下地層材料2〜8を作製した。
【0037】
なお、下地層材料の原料としては以下のものを使用した。
・樹脂エマルション1:アクリル/スチレン=100/0、紫外線反射率83.6%
・樹脂エマルション2:アクリル/スチレン=55/45、紫外線反射率77.7%
・樹脂エマルション3:アクリル/スチレン=70/30、紫外線反射率81.5%
・アルミナ:平均粒子径1.0μm、紫外線反射率83.6%
・酸化チタン:平均粒子径0.2μm、紫外線反射率6.5%
・重質炭酸カルシウム:平均粒子径2.0μm、紫外線反射率45.1%
・着色顔料:カーボンブラック(平均粒子径0.02μm)
・紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
なお、樹脂エマルション1〜3の紫外線反射率は、各エマルションにアルミナを混合した組成物(隠蔽率95%)を、また、アルミナ、酸化チタン、重質炭酸カルシウムの紫外線反射率は、樹脂エマルション1に各粉粒体を混合した組成物(隠蔽率95%)を、予め紫外線を反射しないように黒色に塗装されたアルミ板上に塗付(乾燥膜厚:約100μm)、乾燥させたものを試料とし、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計によって測定した値である。
【0038】
・下地層材料9
溶剤可溶形アクリル樹脂11重量部(固形分)、酸化チタン8重量部、粘性調整剤1重量部、及びミネラルスピリット10重量部を常法により均一に混合してエナメル組成物1を製造した。
次いで、ポリビニルアルコール4重量部、アクリル樹脂エマルション3重量部、及び水50重量部を均一に混合して得た水系分散媒に、上記エナメル組成物1を徐々に滴下しながら混合し、さらに架橋剤1重量部を混合した。
以上の方法により、酸化チタンを含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子が、水系分散媒に分散した状態の下地層材料(9−a)を得た。
酸化チタンに替えてアルミナを48重量部使用した以外は、上記方法に従い、アルミナを含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子(エナメル組成物2)が、水系分散媒に分散した状態の下地層材料(9−b)を得た。
以上の方法で得られた下地層材料(9−a)と下地層材料(9−b)を1:1の重量比率で混合することにより、酸化チタンを含む白色エナメル粒子と、アルミナを含む白色エナメル粒子が混在した下地層材料9を得た。
【0039】
・下地層材料10
ポリビニルアルコール4重量部、アクリル樹脂エマルション3重量部、及び水50重量部を均一に混合して得た水系分散媒に、下地層材料9のエナメル組成物2を徐々に滴下しながら混合し、さらに架橋剤3重量部を混合した。
以上の方法により、アルミナを含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子が水分散媒に分散した状態の下地層材料(10−a)を得た。
以上の方法で得られた下地層材料(10−a)と、下地層材料(9−a)を、1:1の重量比率で混合することにより、酸化チタンを含む白色エナメル粒子と、アルミナを含む白色エナメル粒子が混在した下地層材料10を得た。
【0040】
<下地層材料の評価>
・評価1
アルミニウム板(40mm×40mm×0.6mm)上にウレタン樹脂100重量部(固形分)に対してカーボンブラック20重量部混合した組成物を塗付乾燥膜厚が約80μmとなるように塗付、硬化させたものを基材とした。基材上に、下地層材料1〜8、下地層材料9のエナメル組成物1、2を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付、乾燥させた試験体を用い、波長領域365nmでの反射率(%)を分光光度計(「UV−3100」:株式会社島津製作所製)で測定した。結果を表2に示した。
【0041】
・評価2
評価1で作製した下地層材料1〜8、(9−a)、(9−b)を用いた試験体上に、蛍光発光層材料1を乾燥膜厚が約80μmとなるように塗付、乾燥させて積層し、積層体を得た。各積層体に関して、3cmの距離に6W紫外線ランプを設置し、色彩輝度計(株式会社トプコン製、BM−5A)を用いて暗室で紫外線を照射したときの輝度を測定した。結果は表2に示した。
【0042】
<積層体>
(実施例1)
基材(アルミニウム板(40mm×40mm×0.6mm))上に、下地層材料1(「高反射材料」)を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付、乾燥させ、次いで、下地層材料2(「低反射材料」)を、刷毛を用いて斑点状に塗付、乾燥させ、下地層を形成した。さらに、下地層の上に、蛍光発光層材料1を乾燥膜厚が約80μmとなるように塗付、乾燥させて蛍光発光層を積層し、積層体1を得た。
得られた積層体1に関して、40W室内蛍光灯照明下において目視評価したところ、発光積層体1はほぼ均一な白色に視認された。また、積層体1と3cmの距離に6W紫外線ランプを設置し、紫外線を照射したところ、下地層材料1上と下地層材料2上で輝度の強弱が生じ、多彩的な発光模様が認められ、下地層材料2の塗装部分で周囲より輝度が低く、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の基材上に、下地層材料2(「低反射材料」)を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付、乾燥させ、次いで、下地層材料1(「高反射材料」)を、刷毛を用いて部分的に塗付、乾燥させ、下地層を形成した以外は、試験例1と同様の方法で、積層体2を得た。
得られた積層体2について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体2はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、下地層材料1上と下地層材料2上で輝度の強弱が生じ、多彩的な発光模様が認められ、下地層材料1の塗装部分で周囲より発光輝度が高くなり、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0044】
(実施例3)
実施例1の下地層材料2の代わりに下地層材料3(「低反射材料」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体3を得た。
得られた積層体3について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体3はほぼ均一な白色に視認され、紫外線ランプ照明下では、下地層材料3の塗装部分で周囲より輝度が低く、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0045】
(実施例4)
実施例1の下地層材料2の代わりに下地層材料4(「低反射材料」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体4を得た。
得られた積層体4について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体4はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、下地層材料4の塗装部分で周囲より輝度が低く、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0046】
(実施例5)
実施例1の下地層材料1の代わりに下地層材料5(「高反射材料」)を、下地層材料2の代わりに下地層材料6(「低反射材料」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体5を得た。
得られた積層体5について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体5はほぼ均一な灰色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、下地層材料6の塗装部分で周囲より輝度が低く、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0047】
(実施例6)
実施例1の下地層材料2の代わりに下地層材料7(「低反射材料」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体6を得た。
得られた積層体6について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体6はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、下地層材料7塗装部分の輝度がやや低く、部分的に輝度の異なる発光模様が認められた。
【0048】
(実施例7)
実施例1の下地層材料2の代わりに下地層材料8(「低反射材料」)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体7を得た。
得られた積層体7について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体7はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では部分的に輝度の異なる発光模様が認められたが、下地層材料1上と下地層材料8上の輝度の差が小さく、やや模様を識別しにくかった。
【0049】
(実施例8)
実施例1と同様の基材上に、下地層材料1を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付、乾燥させた後、下地層材料2を、刷毛を用いて任意に部分的に塗付し、乾燥させ、さらに下地層材料3を任意に部分的に塗付し、乾燥させた。次いで、蛍光発光層材料1を乾燥膜厚が約80μmとなるように塗付、乾燥させて積層し、積層体8を得た。
得られた積層体8について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体8は、ほぼ均一な白色に視認され、紫外線ランプ照明下では、下地層材料1、下地層材料2、下地層材料3の部分がそれぞれ異なる輝度に発光し、複雑な発光模様が認められた。
【0050】
(実施例9)
303×303mmの表面凹凸仕上げの陶器質タイル基材に下地層材料2(「低反射材料」)を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付して乾燥させた後、下地層材料1(「高反射材料」)を塗工し、塗料が乾燥する前にゴムベラを用いて基材表面をすり切って基材凹部にのみ下地層材料1が残るように塗付し、乾燥させた。次に、蛍光発光層材料1を、乾燥膜厚が約80μmとなるように均一に塗付して乾燥させ、積層体9を得た。
得られた積層体9について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体9はほぼ均一な白色に視認され、紫外線ランプ照明下では、凹部で彫りが深い部分ほど輝度が高く、多彩感ある発光模様が認められた。
【0051】
(実施例10)
下地層材料9を、実施例1と同様の基材に対し、塗付け量300g/mでスプレー塗装した後、蛍光発光層材料1を、乾燥膜厚が約80μmとなるように均一に塗付して乾燥させ、積層体10を得た。
得られた積層体10について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体10はほぼ均一な白色に視認され、紫外線ランプ照明下では、ランダムに塗装された下地層材料(9−a)(「低反射材料」)と下地層材料(9−b)(「高反射材料」)の塗装部分間で輝度が異なり、複雑な発光模様が認められた。
【0052】
(実施例11)
実施例9と同様の基材に、下地層材料2(「低反射材料」)を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付して乾燥させた後、ウレタン製短毛ローラーを用いて下地層材料1(「高反射材料」)を凸部にのみ塗装し、乾燥させた。次に、蛍光発光層材料1を、乾燥膜厚が約80μmとなるように均一に塗付して乾燥させ、積層体11を得た。
得られた積層体11について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体11はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、凸部で輝度が高く、実際の凹凸よりも大きく隆起して視認され、凹凸感が強調された多彩的な発光模様が認められた。
【0053】
(実施例12)
実施例9と同様の基材に、下地層材料1(「高反射材料」)を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗付して乾燥させた後、下地層材料2(「低反射材料」)を塗工し、塗料が乾燥する前にゴムベラを用いて基材表面をすり切って基材凹部にのみ下地層材料2が残るように塗付し、乾燥させた。次に、蛍光発光層材料1を、乾燥膜厚が約80μmとなるように均一に塗付して乾燥させ、積層体12を得た。
得られた積層体12について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体12はほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、凸部で輝度が高く、実際の凹凸よりも大きく隆起して視認され、凹凸感が強調された多彩的な発光模様が認められた。
【0054】
(実施例13)
下地層材料10を、実施例1と同様の基材に対し、塗付け量300g/mでスプレー塗装した後、蛍光発光層材料1を乾燥膜厚が約80μmとなるように均一に塗付して乾燥させ、積層体13を得た。
得られた積層体13について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体13では、アルミナを含有した白色エナメル粒子(エナメル組成物2)で塗装された部分が、酸化チタンを含有した白色エナメル粒子(エナメル組成物1)で塗装された部分よりも約70μm厚く、ごくわずかな凹凸が認められたが、全体としてほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、エナメル組成物2塗装部で輝度が高く、実際の凹凸よりも大きく隆起して視認され、凹凸感が強調された発光模様が認められた。
【0055】
(実施例14)
ポリビニルアルコール4重量部、アクリル樹脂エマルション3重量部、緑色無機蛍光顔料14重量部、分散剤8重量部、及び水50重量部を均一に混合して得た水系分散媒に、下地層材料9作製時に用いたエナメル組成物1を徐々に滴下しながら混合し、さらに架橋剤1重量部を混合した。
以上の方法により、酸化チタンを含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子が緑色無機蛍光顔料を含む水分系散媒に分散した状態の塗料(塗料組成物11−a)を得た。
次いで、ポリビニルアルコール4重量部、アクリル樹脂エマルション3重量部、緑色無機蛍光顔料14重量部、分散剤8重量部、及び水50重量部を均一に混合して得た水系分散媒に、下地層材料9作製時に用いたエナメル組成物2を徐々に滴下しながら混合し、さらに架橋剤3重量部を混合した。
以上の方法により、アルミナを含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子が緑色無機蛍光顔料を含む水分系散媒に分散した状態の塗料(塗料組成物11−b)を得た。
以上の方法で得られた塗料組成物11−a塗料組成物11−bを、1:1の重量比率で混合することにより、酸化チタンを含む白色エナメル粒子と、アルミナを含む白色エナメル粒子が混在した材料11を得た。
材料11を、実施例1と同様の基材に対し、塗付け量300g/mでスプレー塗装して乾燥させ、積層体14を得た。
得られた積層体14について、実施例1と同様に室内蛍光灯照明下で目視評価を行ったところ、積層体14では、アルミナを含有した白色エナメル粒子(エナメル組成物2)で塗装された部分が、酸化チタンを含有した白色エナメル粒子(エナメル組成物1)で塗装された部分よりも約70μm厚く、ごくわずかな凹凸が認められたが、全体としてほぼ均一な白色に視認された。また、紫外線ランプ照明下では、エナメル組成物2塗装部で輝度が高く、実際の凹凸よりも大きく隆起して視認され、凹凸感が強調された発光模様が認められた。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射によって多様な蛍光発光を呈する積層体であって、
基材上に、少なくとも2つ以上の紫外線反射率の異なる部分を有する下地層(A)が設けられ、該下地層(A)の上に蛍光材料を含む蛍光発光層(B)が積層され
該下地層(A)が、紫外線反射率が高い部分(p)と、当該(p)よりも紫外線反射率が低い部分(q)が混在するものであり、
該(p)が、高反射材料により形成されるものであり、
該(q)が、低反射材料により形成されるものであり、
該(p)の紫外線反射率は10%以上であり、該(p)と該(q)との紫外線反射率の差が、少なくとも1%以上であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
上記高反射材料が、樹脂及び紫外線反射率の高い粉体としてアルミナを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
上記低反射材料が、樹脂及び紫外線反射率の低い粉体を含み、
上記紫外線反射率の低い粉体が、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、珪藻土から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
上記低反射材料が、樹脂及び紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
上記高反射材料と低反射材料が、紫外線反射率の異なる樹脂を含み、
上記低反射材料の樹脂が、樹脂中にフェニル基、ベンゾフェノン基、ベンゾトリアゾール基、トリアジン基から選ばれる紫外線吸収基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
請求項1に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、低反射材料を積層し、次いで、高反射材料を部分的に塗付し下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、高反射材料を積層し、次いで、低反射材料を部分的に塗付し下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、低反射材料と高反射材料を同時に吹付する、または高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を塗付し、下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の積層体の製造方法であって、
基材全面に、蛍光材料を含む分散媒中に、高反射材料と低反射材料をそれぞれカプセル化またはゲル化させた粒子を複数分散させた組成物を塗付し、下地層(A)を形成後、
さらに下地層(A)の上に、蛍光発光層(B)を積層することを特徴とする積層体の製造方法。



【公開番号】特開2013−56556(P2013−56556A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277524(P2012−277524)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−142968(P2008−142968)の分割
【原出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】