説明

積層型インダクタ及び積層型インダクタのインダクタンス調整方法

【課題】種類の異なる導体パターンを用いることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整すること。
【解決手段】積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の両側面に形成された一対の外部電極12,14とを備える。積層体は、導体部16A〜16Hを有する。導体部16A〜16F,16Hは、同一形状で且つ互いに並列接続されるように各一端が電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続された一対のコイル161,162、・・・によってそれぞれ構成されている。導体部16Gは、1つのコイル1613によって構成されている。外部電極12、導体部16A〜16H及び外部電極14は、この順に直列接続されている。そのため、導体部10Gのインダクタンスは、他の導体部16A〜16F,16Hの合成インダクタンスよりも大きなものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型インダクタ及び積層型インダクタのインダクタンス調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の要望に応じて、同じサイズで且つインダクタンスが異なる積層型インダクタが求められている。そこで、インダクタの品質を示すQ値を確保しつつインダクタンスを調整するため、従来から、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された第1及び第2の導体部とを備え、第1の導体部は、コイルループの始端側部分を構成する5個の始端側導体パターンの各一端が第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続されて構成され、第2の導体部は、コイルループの終端側部分を構成する5個の終端側導体パターンの各一端が第2の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続されて構成され、始端側導体パターン及び終端側導体パターンのうち少なくとも1つの導体パターンにおけるコイル径が他の導体パターンにおけるコイル径と異なる積層型インダクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−273954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された積層型インダクタでは、コイル径を変化させることでインダクタンスを調整しているため、第1の導体部を構成する導体パターン又は第2の導体部を構成する導体パターンとは異なる種類の導体パターンを絶縁層上に形成する必要があった。そのため、用意すべき導体パターンの形状のバリエーションが増加してしまい、製造工程が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は、種類の異なる導体パターンを用いることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能な積層型インダクタ及び積層型インダクタのインダクタンス調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなる第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有しており、少なくとも二つの第1の導体パターンは、同一形状であり且つ積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、第2の導体パターンは、一端が第2の外部電極に電気的に接続されると共に他端が少なくとも二つの第1の導体パターンを介して第1の外部電極に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、複数の導体部は、m個(mは3以上の自然数)の第1の導体パターンからなる第1の導体部と、n個(nは2以上且つmより小さい自然数)の第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有しており、m個の第1の導体パターンは、同一形状であり且つ積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、n個の第2の導体パターンは、同一形状であり且つ積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が第2の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され且つm個の第1の導体パターンを介して第1の外部電極に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
上記の本発明に係る積層型インダクタでは、複数の第1の導体パターンが互いに並列接続され、2重以上の多重巻きコイルが構成されている。そのため、直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られている。また、上記の本発明に係る積層型インダクタでは、第1の導体部を構成する第1の導体パターンの数と第2の導体部を構成する第2の導体パターンの数とが異なっている。そのため、第1の導体パターンが並列接続された数と第2の導体パターンが並列接続された数とが異なることとなるので、第1の導体パターンがそれぞれ同一形状で且つ第2の導体パターンがそれぞれ同一形状であっても、第1の導体部の合成インダクタンスと第2の導体部の合成インダクタンスとが異なるものとなる。その結果、第1の導体パターン及び第2の導体パターンと種類の異なる導体パターンを用いることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能となる。
【0009】
一方、本発明に係る積層型インダクタのインダクタンス調整方法は、積層型インダクタのインダクタンス調整方法であって、積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなり且つ複数の導体部の総数よりも1つ少ない数以下の第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなり且つ少なくとも1つの第2の導体部とを有しており、少なくとも二つの第1の導体パターンを、同一形状とし且つ積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を第1の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し、第2の導体パターンを、一端を第2の外部電極に電気的に接続すると共に他端を少なくとも二つの第1の導体パターンを介して第1の外部電極に電気的に接続し、第1の導体部と第2の導体部との数を調整することにより、インダクタンスを所望の値に設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る積層型インダクタのインダクタンス調整方法は、積層型インダクタのインダクタンス調整方法であって、積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、積層体に複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に第1の外部電極と第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、複数の導体部は、m個(mは3以上の自然数)の第1の導体パターンからなり且つ複数の導体部の総数よりも1つ少ない数以下の第1の導体部と、n個(nは2以上且つmより小さい自然数)の第2の導体パターンからなり且つ少なくとも1つの第2の導体部とを有しており、m個の第1の導体パターンを、同一形状とし且つ積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を第1の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し、n個の第2の導体パターンを、同一形状とし且つ積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を第2の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し且つm個の第1の導体パターンを介して第1の外部電極に電気的に接続し、第1の導体部と第2の導体部との数を調整することにより、インダクタンスを所望の値に設定することを特徴とする。
【0011】
上記の本発明に係る積層型インダクタのインダクタンス調整方法では、複数の第1の導体パターンを互いに並列接続して、2重以上の多重巻きコイルが構成している。そのため、直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られている。また、本発明に係る積層型インダクタのインダクタンス調整方法では、第1の導体部と第2の導体部との数を調整することで、インダクタンスを所望の値に設定している。ここで、第1の導体部を構成する第1の導体パターンの数と第2の導体部を構成する第2の導体パターンの数とが異なっているので、第1の導体パターンがそれぞれ同一形状であり且つ第2の導体パターンがそれぞれ同一形状であっても、第1の導体部における合成インダクタンスと第2の導体部における合成インダクタンスとが異なるものとなっている。その結果、第1の導体パターン及び第2の導体パターンと種類の異なる導体パターンを用いることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能となる。
【0012】
また、上記の積層型インダクタのインダクタンス調整方法において、第1の導体部を構成する第1の導体パターンの数と第2の導体部を構成する第2の導体パターンの数との差の大きさに応じて、複数の絶縁層の積層数を増減することが好ましい。このとき、積層体を構成する絶縁層の総積層数が一定となるように調整することで、インダクタンスを調整しつつ積層型インダクタの大きさを統一することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、種類の異なる導体パターンを用いることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能な積層型インダクタ及び積層型インダクタのインダクタンス調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1及び第2実施形態に係る積層型インダクタの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る積層型インダクタが備える積層体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る積層型インダクタの回路構成を説明するための図である。
【図4】第2実施形態に係る積層型インダクタが備える積層体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る積層型インダクタの回路構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る積層型インダクタL1の構成について説明する。図1は、第1及び第2実施形態に係る積層型インダクタの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る積層型インダクタが備える積層体の構成を説明するための分解斜視図である。
【0017】
積層型インダクタL1は、図1に示されるように、略直方体形状の積層体10と、積層体10の長手方向の両側面にそれぞれ形成された一対の外部電極12,14とを備える。なお、積層体10の底面は、積層型インダクタL1が外部基板(図示せず)に実装されたときに、当該外部基板に対向する面である。
【0018】
積層体10は、図2に示されるように、複数(第1実施形態では20層)の非磁性体層A1〜A20が積層されることで構成される。非磁性体層A1〜A20は、電気絶縁性を有する絶縁体として機能する。実際の積層型インダクタL1では、非磁性体層A1〜A20の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0019】
非磁性体層A4の表面には、略C字状の導体パターンB1及び導出部B1aが形成されている。導体パターンB1の一端には、導出部B1aが一体的に形成されている。導体パターンB1の導出部B1aは、非磁性体層A4の縁に引き出され、その端部が非磁性体層A4の端面に露出している。このため、導体パターンB1は、導出部B1aを介して外部電極12と電気的に接続される。導体パターンB1の他端は、非磁性体層A4を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C1と電気的に接続されている。このため、導体パターンB1は、積層された状態で、スルーホール電極C1を介して、対応する後述の導体パターンB2の他端と電気的に接続される。
【0020】
非磁性体層A5の表面には、略C字状の導体パターンB2及び導出部B2aが形成されている。導体パターンB2及び導出部B2aが形成された非磁性体層A5は、導体パターンB1及び導出部B1aが形成された非磁性体層A4と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Aを構成する。すなわち、導体パターンB1と導体パターンB2とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB2及び導出部B2aの形状は、導体パターンB1及び導出部B1aの形状と同一とされている。導体パターンB2の一端には、導出部B2aが一体的に形成されている。導体パターンB2の導出部B2aは、非磁性体層A5の縁に引き出され、その端部が非磁性体層A5の端面に露出している。このため、導体パターンB2は、導出部B2aを介して外部電極12と電気的に接続される。導体パターンB2の他端は、非磁性体層A5を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C2と電気的に接続されている。このため、導体パターンB2は、積層された状態で、スルーホール電極C2を介して、対応する後述の導体パターンB3の一端と電気的に接続される。
【0021】
非磁性体層A6の表面には、略L字状の導体パターンB3が形成されている。導体パターンB3の一端は、非磁性体層A6を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C3と電気的に接続されている。導体パターンB3の他端は、非磁性体層A6を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C4と電気的に接続されている。このため、導体パターンB3は、積層された状態で、スルーホール電極C3,C4を介して、対応する後述の導体パターンB4の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0022】
非磁性体層A7の表面には、略L字状の導体パターンB4が形成されている。導体パターンB4が形成された非磁性体層A7は、導体パターンB3が形成された非磁性体層A6と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Bを構成する。すなわち、導体パターンB3と導体パターンB4とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB4の形状は、導体パターンB3の形状と同一とされている。導体パターンB4の一端には、積層された状態でスルーホール電極C3と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB4の他端は、非磁性体層A7を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C5と電気的に接続されている。このため、導体パターンB4は、積層された状態で、スルーホール電極C5を介して、対応する後述の導体パターンB5の一端と電気的に接続される。
【0023】
非磁性体層A8の表面には、略L字状の導体パターンB5が形成されている。導体パターンB5の一端は、非磁性体層A8を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C6と電気的に接続されている。導体パターンB5の他端は、非磁性体層A8を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C7と電気的に接続されている。このため、導体パターンB5は、積層された状態で、スルーホール電極C6,C7を介して、対応する後述の導体パターンB6の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0024】
非磁性体層A9の表面には、略L字状の導体パターンB6が形成されている。導体パターンB6が形成された非磁性体層A9は、導体パターンB3が形成された非磁性体層A8と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Cを構成する。すなわち、導体パターンB5と導体パターンB6とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB6の形状は、導体パターンB5の形状と同一とされている。導体パターンB6の一端には、積層された状態でスルーホール電極C6と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB6の他端は、非磁性体層A9を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C8と電気的に接続されている。このため、導体パターンB6は、積層された状態で、スルーホール電極C8を介して、対応する後述の導体パターンB7の一端と電気的に接続される。
【0025】
非磁性体層A10の表面には、略L字状の導体パターンB7が形成されている。導体パターンB7の一端は、非磁性体層A10を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C9と電気的に接続されている。導体パターンB7の他端は、非磁性体層A10を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C10と電気的に接続されている。このため、導体パターンB7は、積層された状態で、スルーホール電極C9,C10を介して、対応する後述の導体パターンB8の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0026】
非磁性体層A11の表面には、略L字状の導体パターンB8が形成されている。導体パターンB8が形成された非磁性体層A11は、導体パターンB7が形成された非磁性体層A10と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Dを構成する。すなわち、導体パターンB7と導体パターンB8とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB8の形状は、導体パターンB7の形状と同一とされている。導体パターンB8の一端には、積層された状態でスルーホール電極C9と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB8の他端は、非磁性体層A11を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C11と電気的に接続されている。このため、導体パターンB8は、積層された状態で、スルーホール電極C11を介して、対応する後述の導体パターンB9の一端と電気的に接続される。
【0027】
非磁性体層A12の表面には、略L字状の導体パターンB9が形成されている。導体パターンB9の一端は、非磁性体層A12を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C12と電気的に接続されている。導体パターンB9の他端は、非磁性体層A12を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C13と電気的に接続されている。このため、導体パターンB9は、積層された状態で、スルーホール電極C12,C13を介して、対応する後述の導体パターンB10の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0028】
非磁性体層A13の表面には、略L字状の導体パターンB10が形成されている。導体パターンB10が形成された非磁性体層A13は、導体パターンB9が形成された非磁性体層A12と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Eを構成する。すなわち、導体パターンB9と導体パターンB10とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB10の形状は、導体パターンB9の形状と同一とされている。導体パターンB10の一端には、積層された状態でスルーホール電極C12と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB10の他端は、非磁性体層A13を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C14と電気的に接続されている。このため、導体パターンB10は、積層された状態で、スルーホール電極C14を介して、対応する後述の導体パターンB11の一端と電気的に接続される。
【0029】
非磁性体層A14の表面には、略L字状の導体パターンB11が形成されている。導体パターンB11の一端は、非磁性体層A14を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C15と電気的に接続されている。導体パターンB11の他端は、非磁性体層A14を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C16と電気的に接続されている。このため、導体パターンB11は、積層された状態で、スルーホール電極C14,C15を介して、対応する後述の導体パターンB12の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0030】
非磁性体層A15の表面には、略L字状の導体パターンB12が形成されている。導体パターンB12が形成された非磁性体層A15は、導体パターンB11が形成された非磁性体層A14と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Fを構成する。すなわち、導体パターンB11と導体パターンB12とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB12の形状は、導体パターンB11の形状と同一とされている。導体パターンB12の一端には、積層された状態でスルーホール電極C15と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB12の他端は、非磁性体層A15を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C17と電気的に接続されている。このため、導体パターンB12は、積層された状態で、スルーホール電極C17を介して、対応する後述の導体パターンB13の一端と電気的に接続される。
【0031】
非磁性体層A16の表面には、略L字状の導体パターンB13が形成されている。導体パターンB13が形成された非磁性体層A16は、積層体10の一部となる積層部10Gを構成する。導体パターンB13の一端には、積層された状態でスルーホール電極C17と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB13の他端は、非磁性体層A16を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C18と電気的に接続されている。このため、導体パターンB13は、積層された状態で、スルーホール電極C18を介して、対応する後述の導体パターンB14の一端と電気的に接続される。
【0032】
非磁性体層A17の表面には、略C字状の導体パターンB14及び導出部B14aが形成されている。導体パターンB14の一端は、非磁性体層A17を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C19と電気的に接続されている。このため、導体パターンB14は、積層された状態で、スルーホール電極C19を介して、対応する後述の導体パターンB15の他端と電気的に接続される。導体パターンB14の他端には、導出部B14aが一体的に形成されている。導体パターンB14の導出部B14aは、非磁性体層A17の縁に引き出され、その端部が非磁性体層A17の端面に露出している。このため、導体パターンB14は、導出部B14aを介して外部電極14と電気的に接続される。
【0033】
非磁性体層A18の表面には、略C字状の導体パターンB15及び導出部B15aが形成されている。導体パターンB15及び導出部B15aが形成された非磁性体層A18は、導体パターンB14及び導出部B14aが形成された非磁性体層A17と共に積層されることで、積層体10の一部となる積層部10Hを構成する。すなわち、導体パターンB14と導体パターンB15とは、積層体10の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB15及び導出部B15aの形状は、導体パターンB14及び導出部B14aの形状と同一とされている。導体パターンB15の一端には、積層された状態でスルーホール電極C19と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB15の他端には、導出部B15aが一体的に形成されている。導体パターンB15の導出部B15aは、非磁性体層A18の縁に引き出され、その端部が非磁性体層A18の端面に露出している。このため、導体パターンB15は、導出部B15aを介して外部電極14と電気的に接続される。
【0034】
次に、図3を参照して、積層型インダクタL1の回路構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る積層型インダクタの回路構成を説明するための図である。
【0035】
図3に示されるように、積層体10内に配設された導体パターンB1〜B15は、積層型インダクタL1においてそれぞれコイル161〜1615を構成している。コイル161とコイル162とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル163とコイル164とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル165とコイル166とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル167とコイル168とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル169とコイル1610とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル1611とコイル1612とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。コイル1614とコイル1615とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、並列接続されている。以下、並列接続されたコイル161と162とをまとめて導体部16Aと称し、並列接続されたコイル163と164とをまとめて導体部16Bと称し、並列接続されたコイル165と166とをまとめて導体部16Cと称し、並列接続されたコイル167と168とをまとめて導体部16Dと称し、並列接続されたコイル169と1610とをまとめて導体部16Eと称し、並列接続されたコイル1611と1612とをまとめて導体部16Fと称し、コイル1613を導体部16Gと称し、並列接続されたコイル1614と1615とをまとめて導体部16Hと称する。外部電極12、導体部16A〜16H及び外部電極14は、この順に直列接続されている。すなわち、導体部16Gを構成する導体パターンB13は、導体部16A〜16Fを介して外部電極12に電気的に接続され、導体部16Hを介して外部電極14に電気的に接続されている。
【0036】
続いて、上述した構成の積層型インダクタL1の製造方法について説明する。
【0037】
まず、非磁性体層A1〜A20の前駆体である非磁性体グリーンシートを複数用意する。非磁性体グリーンシートは、フェライト(例えば、Cu−Zn系フェライト)を原料としたスラリーをドクターブレード法によりフィルム上に塗布することで形成される。非磁性体グリーンシートの厚みは、例えば70μmである。
【0038】
続いて、非磁性体層A4〜A17となる各非磁性体グリーンシートの所定の位置、すなわちスルーホール電極C1〜C19が形成される予定の位置に、レーザー加工等によってスルーホールをそれぞれ形成する。そして、導体パターンB1〜B15、導出部B1a,B2a,B14a,B15a及びスルーホール電極C1〜C19の前駆体である導電性ペーストを、非磁性体層A4〜A18となる各非磁性体グリーンシートのそれぞれの所定の位置に、メタルマスク等にて印刷する。導電性ペーストの主成分としては、銀又はニッケルが挙げられる。
【0039】
続いて、非磁性体層A1〜A20となる各非磁性体グリーンシートを図2に示される順序に従って積層し、積層方向に圧力を加えて各非磁性体グリーンシートの間に隙間が生じないように圧着する。そして、この圧着した非磁性体グリーンシートをチップ単位に切断した後に、所定温度(例えば、840℃〜900℃程度)にて焼成を行い、積層体10を形成する。このように焼成されることで、各非磁性体グリーンシートが非磁性体層A1〜A20となり、導電性ペーストが導体パターンB1〜B15、導出部B1a,B2a,B14a,B15a及びスルーホール電極C1〜C19となる。積層体10は、例えば、焼成後における長手方向の長さが3.2mm、幅が2.5mm、高さが1.3mmとなるようにする。各導体パターンB1〜B15及び導出部B1a,B2a,B14a,B15aは、例えば、焼成後における幅が250μm、厚みが35μmとなるようにする。
【0040】
続いて、この積層体10に外部電極12,14を形成する。これにより、積層型インダクタL1が形成されることとなる。外部電極12,14は、積層体10の長手方向の両端面にそれぞれ銀、ニッケル又は銅を主成分とする電極ペースト塗布して、所定温度(例えば、680℃〜900℃程度)で焼き付けを行い、さらに電気めっきを施すことにより形成される。この電気めっきとしては、Cu、Ni及びSn等を用いることができる。
【0041】
以上のように、第1実施形態においては、コイル161,162、コイル163,164、コイル165,166、コイル167,168、コイル169,1610、コイル1611,1612及びコイル1614,1615がそれぞれ並列接続され、2重巻きされた導体部16A〜16F,16Hを構成している。ここで、並列接続されたコイルの合成直流抵抗Rは、各コイルの直流抵抗をRiとしたときに下記式(1)にて表される。そのため、積層型インダクタL1全体として直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られることとなる。
【数1】

【0042】
また、第1実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンが2つで、導体部16Gに含まれる導体パターンの数が1つとなっている。ここで、並列接続されたコイルの合成インダクタンスLは、各コイルのインダクタンスをLiとしたときに下記式(2)にて表される。そのため、導体部16G(コイル1613)のインダクタンスは、他の導体部16A〜16F,16Hの合成インダクタンスよりも大きなものとなっている。その結果、導体部16Gにおいても他の導体部16A〜16F,16Hと同様に同一形状の2つの導体パターンが並列接続されている場合と比較して、積層型インダクタL1全体としてのインダクタンスが大きくなるように調整されることとなる。従って、種類の異なる導体パターンを用いてコイルの内径を変化させることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能となる。
【数2】

【0043】
また、第1実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数がそれぞれ2つで、導体部16Gを構成する導体パターンの数が1つであり、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数と導体部16Gを構成する導体パターンの数との大きさが1となっている。そして、この差の大きさに応じて、導体パターンの形成されていない非磁性体層A1〜A3,A19,A20を用いて、積層体10を構成する絶縁層の総積層数が一定(第1実施形態においては20層)となるように調整している。その結果、積層型インダクタL1のインダクタンスを調整しつつ積層型インダクタL1の大きさを所定の大きさとすることが可能となる。
【0044】
また、第1実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hをそれぞれ構成する2つの導体パターンがそれぞれ同一形状となっているだけでなく、導体パターンB3,B4,B7,B8,B11,B12が同一形状で、導体パターンB5,B6,B9,B10,B13が同一形状であると共に、導体パターンB3,B4,B7,B8,B11,B12と導体パターンB5,B6,B9,B10,B13とが点対称となっている。そのため、導体パターンB3〜B13を形成するためのメタルマスクを共通化することができるので、コストを低減することが可能となる。
【0045】
また、第1実施形態においては、導体部16Gを構成する導体パターンB13の両端ではなく他端にのみ対応するスルーホール電極C18が非磁性体層A16に形成されているので、非磁性体層A17に形成されている導体パターンB14との短絡が防止されている。
【0046】
(第2実施形態)
続いて、図1及び図4を参照して、第2実施形態に係る積層型インダクタL2の構成について説明する。図4は、第2実施形態に係る積層型インダクタが備える積層体の構成を説明するための分解斜視図である。以下では、第1実施形態に係る積層型インダクタL1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0047】
積層型インダクタL2は、図1に示されるように、略直方体形状の積層体20と、積層体20の長手方向の両側面にそれぞれ形成された一対の外部電極12,14とを備える。積層体20は、図4に示されるように、複数(第2実施形態では20層)の非磁性体層A1,A4〜A15,A17〜A23が積層されることで構成される。
【0048】
非磁性体層A21の表面には、略L字状の導体パターンB21が形成されている。導体パターンB21は、積層された状態で、スルーホール電極C17を介して、対応する導体パターンB12の他端と電気的に接続されている。導体パターンB21の一端は、非磁性体層A21を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C21と電気的に接続されている。導体パターンB21の他端は、非磁性体層A21を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C22と電気的に接続されている。このため、導体パターンB21は、積層された状態で、スルーホール電極C21,C22を介して、対応する後述の導体パターンB22の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0049】
非磁性体層A22の表面には、略L字状の導体パターンB22が形成されている。導体パターンB22の一端は、非磁性体層A22を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C23と電気的に接続されている。導体パターンB22の他端は、非磁性体層A22を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C24と電気的に接続されている。このため、導体パターンB22は、積層された状態で、スルーホール電極C23,C24を介して、対応する後述の導体パターンB23の一端及び他端とそれぞれ電気的に接続される。
【0050】
非磁性体層A23の表面には、略L字状の導体パターンB23が形成されている。導体パターンB23が形成された非磁性体層A23は、導体パターンB21が形成された非磁性体層A21及び導体パターンB22が形成された非磁性体層A22と共に積層されることで、積層体20の一部となる積層部20Gを構成する。すなわち、導体パターンB21〜B23は、積層体20の積層方向に連続するように配置されている。導体パターンB23の形状は、導体パターンB21,B22の形状と同一とされている。導体パターンB23の一端には、積層された状態でスルーホール電極C23と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンB23の他端は、非磁性体層A23を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C25と電気的に接続されている。このため、導体パターンB23は、積層された状態で、スルーホール電極C25を介して、対応する導体パターンB14の一端と電気的に接続される。
【0051】
次に、図5を参照して、積層型インダクタL2の回路構成を説明する。図5は、第2実施形態に係る積層型インダクタの回路構成を説明するための図である。
【0052】
図5に示されるように、積層体20内に配設された導体パターンB1〜B12,B14,15,B21〜B23は、積層型インダクタL1においてそれぞれコイル161〜1612,1614,1615,2621〜2623を構成している。コイル2621とコイル2622とコイル2623とは、各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続されて、並列接続されている。以下、並列接続されたコイル2621とコイル2622とコイル2623とをまとめて導体部26Gと称する。外部電極12、導体部16A〜16F、導体部26G、導体部16H及び外部電極14は、この順に直列接続されている。すなわち、導体部26Gを構成する導体パターンB21〜B23は、導体部16A〜16Fを介して外部電極12に電気的に接続され、導体部16Hを介して外部電極14に電気的に接続されている。
【0053】
以上のように、第2実施形態においては、コイル161,162、コイル163,164、コイル165,166、コイル167,168、コイル169,1610、コイル1611,1612及びコイル1614,1615がそれぞれ並列接続され、2重巻きされた導体部16A〜16F,16Hを構成している。ここで、並列接続されたコイルの合成直流抵抗Rは、各コイルの直流抵抗をRiとしたときに上記式(1)にて表される。そのため、積層型インダクタL1全体として直流抵抗が低減され、Q値の確保が図られることとなる。
【0054】
また、第2実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンが2つで、導体部26Gに含まれる導体パターンの数が3つとなっている。ここで、並列接続されたコイルの合成インダクタンスLは、各コイルのインダクタンスをLiとしたときに上記式(2)にて表される。そのため、導体部26G(コイル2621〜2623)の合成インダクタンスは、他の導体部16A〜16F,16Hの合成インダクタンスよりも小さなものとなっている。その結果、導体部16Gにおいても他の導体部16A〜16F,16Hと同様に同一形状の2つの導体パターンが並列接続されている場合と比較して、積層型インダクタL2全体としてのインダクタンスが小さくなるように調整されることとなる。従って、種類の異なる導体パターンを用いてコイルの内径を変化させることなく、Q値を確保しつつインダクタンスを調整することが可能となる。
【0055】
また、第2実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数がそれぞれ2つで、導体部26Gを構成する導体パターンの数が3つであり、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数と導体部26Gを構成する導体パターンの数との大きさが−1となっている。そして、この差の大きさに応じて、導体パターンの形成されていない非磁性体層A1,A19,A20を用いて、積層体20を構成する絶縁層の総積層数が一定(第2実施形態においては20層)となるように調整している。その結果、積層型インダクタL2のインダクタンスを調整しつつ積層型インダクタL2の大きさを所定の大きさとすることが可能となる。
【0056】
また、第2実施形態においては、導体部16A〜16F,16Hをそれぞれ構成する2つの導体パターンがそれぞれ同一形状で、導体部26Gを構成する3つの導体パターンがそれぞれ同一形状となっているだけでなく、導体パターンB3,B4,B7,B8,B11,B12が同一形状で、導体パターンB5,B6,B9,B10,B21,B22,B23が同一形状であると共に、導体パターンB3,B4,B7,B8,B11,B12と導体パターンB5,B6,B9,B10,B21,B22,B23とが点対称となっている。そのため、導体パターンB3〜B12,B21〜B23を形成するためのメタルマスクを共通化することができるので、コストを低減することが可能となる。
【0057】
また、第2実施形態においては、導体部16Gを構成する導体パターンB21,B22のどちらか一方の端部のみでなく両端に対応するスルーホール電極C21〜C24が非磁性体層A21,A22にそれぞれ形成されているので、導体パターンB21〜B23にそれぞれ対応する3つのコイル2621〜2623の並列接続が実現されている。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態では、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンがそれぞれ2つであり、積層部10Gを構成する導体パターンが1つであったが、これに限られない。具体的には、導体部16A〜16F,16Hを3つ以上の導体パターンによって構成し、それらの各一端を互いに電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続してもよい。このとき、導体部16Gは、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数よりも少ない数の導体パターンによって構成され、それらの各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続されたものであればよい。
【0059】
また、第2実施形態では、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンがそれぞれ2つであり、導体部26Gを構成する導体パターンが3つであったが、これに限られない。具体的には、導体部26Gを4つ以上の導体パターンによって構成し、それらの各一端を互いに電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続してもよい。このとき、導体部26Gは、2つ以上で且つ導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数よりも少ない数の導体パターンによって構成され、それらの各一端が互いに電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続されたものであればよい。
【0060】
また、第1及び第2実施形態では、導体部16A〜16F,16Hを構成する導体パターンの数とは異なる数の導体パターンによって構成される導体部がそれぞれ導体部16G,26Gの1つだけであったが、これに限られない。すなわち、積層体10,20が、導体部の総数よりも1つ少ない数以下の導体部(以下、第1導体部という)と、第1導体部を構成する導体パターンの数とは異なる数の導体パターンによって構成される少なくとも1つの導体部(以下、第2導体部という)とを有するように、第1導体部と第2導体部との数を調整してもよい。このとき、互いに点対称となる導体パターン(例えば、導体パターンB3等と導体パターンB5等)の数が等しくなるように、第1導体部及び第2導体部にそれぞれ含まれる導体パターンの数を調整すると、積層体10,20の積層方向と交差する方向においてバランスを保つことができるようになるので好ましい。なお、積層体10,20が有する第2積層部は、1つ又は2つであるとより好ましい。
【符号の説明】
【0061】
10,20…積層体、12,14…外部電極、161〜1615,2621〜2623…コイル、16A〜16H,26G…導体部、A1〜A23…非磁性体層、B1〜B18,B21〜B23…導体パターン、B1a,B2a,B14a,B15a…導出部、C1〜C19,C21〜C25…スルーホール電極、L1,L2…積層型インダクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層された積層体と、
前記積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、
前記積層体に前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に前記第1の外部電極と前記第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、
前記複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなる第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有しており、
前記少なくとも二つの第1の導体パターンは、同一形状であり且つ前記積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が前記第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、
前記第2の導体パターンは、一端が前記第2の外部電極に電気的に接続されると共に他端が前記少なくとも二つの第1の導体パターンを介して前記第1の外部電極に電気的に接続されており、
前記少なくとも二つの第1の導体パターン及び前記第2の導体パターンの少なくとも一方に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極の何れか一方への導出部が形成されていることを特徴とする積層型インダクタ。
【請求項2】
複数の絶縁層が積層された積層体と、
前記積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、
前記積層体に前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に前記第1の外部電極と前記第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、
前記複数の導体部は、m個(mは3以上の自然数)の第1の導体パターンからなる第1の導体部と、n個(nは2以上且つmより小さい自然数)の第2の導体パターンからなる第2の導体部とを有しており、
前記m個の第1の導体パターンは、同一形状であり且つ前記積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が前記第1の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され、
前記n個の第2の導体パターンは、同一形状であり且つ前記積層方向に連続するように配置され、並列接続されるように各一端が前記第2の外部電極に電気的に接続されると共に各他端が互いに電気的に接続され且つ前記m個の第1の導体パターンを介して前記第1の外部電極に電気的に接続されており、
前記m個の第1の導体パターン及び前記n個の第2の導体パターンの少なくとも一方に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極の何れか一方への導出部が形成されていることを特徴とする積層型インダクタ。
【請求項3】
積層型インダクタのインダクタンス調整方法であって、
前記積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、前記積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、前記積層体に前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に前記第1の外部電極と前記第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、
前記複数の導体部は、少なくとも二つの第1の導体パターンからなり且つ前記複数の導体部の総数よりも1つ少ない数以下の第1の導体部と、一つの第2の導体パターンからなり且つ少なくとも1つの第2の導体部とを有しており、
前記少なくとも二つの第1の導体パターン及び前記第2の導体パターンの少なくとも一方に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極の何れか一方への導出部が形成されており、
前記少なくとも二つの第1の導体パターンを、同一形状とし且つ前記積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を前記第1の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し、
前記第2の導体パターンを、一端を前記第2の外部電極に電気的に接続すると共に他端を前記少なくとも二つの第1の導体パターンを介して前記第1の外部電極に電気的に接続し、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との数を調整することにより、インダクタンスを所望の値に設定することを特徴とする積層型インダクタのインダクタンス調整方法。
【請求項4】
積層型インダクタのインダクタンス調整方法であって、
前記積層型インダクタは、複数の絶縁層が積層された積層体と、前記積層体の外表面に配置された第1及び第2の外部電極と、前記積層体に前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って配置されると共に前記第1の外部電極と前記第2の外部電極との間に直列接続された複数の導体部とを備え、
前記複数の導体部は、m個(mは3以上の自然数)の第1の導体パターンからなり且つ前記複数の導体部の総数よりも1つ少ない数以下の第1の導体部と、n個(nは2以上且つmより小さい自然数)の第2の導体パターンからなり且つ少なくとも1つの第2の導体部とを有しており、
前記m個の第1の導体パターン及び前記n個の第2の導体パターンの少なくとも一方に、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極の何れか一方への導出部が形成されており、
前記m個の第1の導体パターンを、同一形状とし且つ前記積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を前記第1の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し、
前記n個の第2の導体パターンを、同一形状とし且つ前記積層方向に連続するように配置し、並列接続するように各一端を前記第2の外部電極に電気的に接続すると共に各他端を互いに電気的に接続し且つ前記m個の第1の導体パターンを介して前記第1の外部電極に電気的に接続し、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との数を調整することにより、インダクタンスを所望の値に設定することを特徴とする積層型インダクタのインダクタンス調整方法。
【請求項5】
前記第1の導体部を構成する前記第1の導体パターンの数と前記第2の導体部を構成する前記第2の導体パターンの数との差の大きさに応じて、前記複数の絶縁層の積層数を増減することを特徴とする請求項4に記載された積層型インダクタのインダクタンス調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−165017(P2012−165017A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102348(P2012−102348)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2006−226846(P2006−226846)の分割
【原出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】