説明

積層樹脂成形体

【課題】優れた曲げ加工性と導電性を有する積層樹脂成形体を提供する。
【解決手段】エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂と、導電性物質とを主たる構成成分とする樹脂組成物Bから形成される樹脂層Bの少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂と、導電性物質とを主たる構成成分とする樹脂組成物Aから形成される樹脂層Aを積層してなる積層樹脂成形体を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な曲げ加工性と良好な導電性を備えた成形体に関する。詳しくは、エレクトロニクス分野に用いる各種材料、帯電防止効果を有する包装材や薬品タンクなどのように、曲げ加工性と導電性が共に必要とされる用途に利用することができる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス分野で使用される材料には、曲げ加工性と導電性が共に必要とされることが多く、この種の用途には、導電性を備えた導電性樹脂成形体が利用されている。
また、エレクトロニクス分野に用いる部品等は、静電気により破壊され易いため、これらの部品を包装あるいは搬送する場合には、帯電防止効果(すなわち静電気を逃がす性質)を有する導電性樹脂からなる包装材料が用いられている。
そのほか、可燃性薬品のタンクなど、静電気で発火する可能性のある薬品の容器やタンクには、帯電防止効果の観点から、導電性を備えた導電性樹脂成形体が使用されている。
【0003】
この種の用途に利用される導電性樹脂成形体として、例えば特許文献1や特許文献2などには、樹脂と導電性材料としてのカーボン系材料とを配合してなる樹脂組成物からなる成形体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−5756号公報
【特許文献2】特開平11−71515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来開示されている導電性樹脂材料の多くは、導電性を高めるために導電性材料の配合量を増やすと、溶融流動性すなわち溶融成形性が低下したり、脆くなったりして曲げ加工性を損なうことがあるなど、良好な曲げ加工性と良好な導電性を共に備えることは難しいことであった。
そこで本発明は、優れた導電性と曲げ加工性とを共に有し、好ましくは軽量である、新たな樹脂成形体を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Bと、熱可塑性樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Aとを備えた積層樹脂成形体を提案する。
【0007】
本発明の積層樹脂成形体は、単独でも優れた導電性と曲げ加工性とを共に有している樹脂層Bに、さらに熱可塑性樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Aを積層することにより、さらに優れた導電性と曲げ加工性とを付与することができるようになった。
また、樹脂層Bは、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂をベース樹脂として含有するため、耐油性に優れており、例えば各種薬品タンクの構成部材などに好適である。
一方、樹脂層Aが、熱可塑性樹脂及び導電性物質を含有してなり、特に優れた導電性を備えることにより、本発明の積層樹脂成形体全体に優れた導電性を付与することができる。
さらに、いずれの層においても、導電性物質としてカーボン系材料を用いることにより、軽量の樹脂成形体が得られ、例えばエレクトロニクス分野で用いる包装材の用途にも好適に利用することができる。
よって、本発明が提案する積層樹脂成形体は、例えばエレクトロニクス分野における導電性材料として好適に利用することができるばかりか、例えば帯電防止効果が必要とされる包装材料や、帯電防止効果が望まれる薬品タンクなどのように、良好な曲げ加工性、導電性、さらには耐薬品性が要求される用途全般に好適に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例としての積層樹脂成形体(「本樹脂成形体」と称する)について説明する。但し、本発明が、この本樹脂成形体に限定されるものではない。
【0009】
<本樹脂成形体>
本樹脂成形体は、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Bと、熱可塑性樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Aと、を備えた積層樹脂成形体である。
【0010】
<樹脂層B>
樹脂層Bは、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂と、導電性物質と、を主たる構成成分とする樹脂組成物Bから形成することができる。
【0011】
(エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂)
樹脂層Bの主たる構成成分であるエチレンビニルアルコール共重合体系樹脂としては、エチレンとビニルエステルの共重合体をケン化して得られるものが好ましい。
ビニルエステルとしては、例えば蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。中でも経済的な観点から酢酸ビニルが好ましい。
【0012】
該エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂のエチレン共重合比率(樹脂中にエチレンが占める比率)は25モル%以上50モル%以下であるのが好ましく、特に30モル%以上、48モル%以下、その中でも特に40モル%以上、45モル%以下であるのが好ましい。エチレン共重合比率が25モル%以上であれば、溶融流動性すなわち溶融成形性を良好にすることができて良好な曲げ加工性を得ることができ、50モル%以下であれば、成形体の剛性、耐油性が維持されて好ましい。
【0013】
該エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂のケン化度(ビニルエステル単位とビニルアルコール単位との合計量に対するビニルアルコール単位の割合)は90モル%以上であるのが好ましい。90モル%以上であれば、得られる成形体の機械的強度、剛性、耐油性、耐溶剤性を好ましく維持することができる。かかる観点から、特に95モル%以上、中でも特に97モル%以上であるのがより一層好ましい。
【0014】
該エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂のMFR(メルトフローレート、210℃、2160g荷重)は、5g/10分以上、25g/10分以下の範囲であることが好ましく、特に20g/10分以下であるのが好ましい。5g/10分以上であれば、導電性物質を配合しても樹脂組成物の溶融流動性が確保され、溶融成形性が容易になるので好ましい。25g/10分以下であれば、成形体に必要な機械的強度、剛性を確保できるので好ましい。
【0015】
該エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂は、上記の2成分以外の不飽和単量体を共重合して変性されていてもよい。
かかる共重合可能な不飽和単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、α−オクテン、α−ドデセン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、高級脂肪酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アルキルビニルエーテル、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類又はその4級化物、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N、N’−ブトキシメチルアクリルアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0016】
エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂として市販製品を用いることができる。特に限定されるものではないが、例えばクラレ社製の「エバール(登録商標)」、日本合成化学工業社製の「ソアノール(登録商標)」等が挙げられる。
【0017】
(樹脂層Bの導電性物質)
樹脂層Bに用いることのできる導電性物質としては、例えば天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉、酸性溶液に前述した黒鉛粉を浸漬させた後、加熱して膨張させた膨張黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックやファーネス法等で作られたカーボンブラック、ポリアクリルニトリル(PAN)系、ピッチ系等のカーボン繊維、アーク放電法、レーザ蒸着法、気相成長法等で作られたカーボンナノファイバー、タングステンカーバイト、シリコンカーバイト、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化バナジウムなどの金属炭化物、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化インジウムなどの金属酸化物、窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化ニオブ、窒化バナジウム、窒化ホウ素などの金属窒化物、鉄繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、チタン粉、ニッケル粉、錫紛、タンタル紛、ニオブ粉などの金属粉末が挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、また、これらのうちの2種類以上を組み合わせて併用することもできる。
中でも、軽量化に有利な点で、黒鉛粉、ケッチェンブラック、カーボンブラック、カーボン繊維、又はカーボンナノファイバーなどのカーボン系物質が好ましい。これらは単独で用いることもできるし、また、これらのうちの2種類以上を組み合わせて併用することもできる。
カーボン系物質の中でも、軽量性の観点から、中空シェル構造で空隙率の高い粒子からなるケッチェンブラックは、特に好ましい物質の一つである。
【0018】
樹脂層B中の導電性物質の含有量は、樹脂層Bの全体質量に対して3質量%以上15質量%以下であるのが好ましく、特に4質量%以上、12質量%以下の範囲がさらに好ましい。3質量%以上であれば、本樹脂成形体に十分な導電性を付与できるので好ましい。また15質量%以下であれば、樹脂組成物Bの溶融流動性すなわち成形性が確保できるので好ましい。
【0019】
(他の成分)
樹脂層Bは、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂及び導電性物質の機能を損なわない範囲内で、これら以外の樹脂(「他成分樹脂」という)を含有してもよい。また、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂及び導電性物質の機能を損なわない範囲内で、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、相溶化剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
【0020】
<樹脂層A>
樹脂層Aは、熱可塑性樹脂と、導電性物質と、を主たる構成成分とする樹脂組成物Aから形成することができる。
【0021】
(樹脂層Aの熱可塑性樹脂)
樹脂層Aの主たる構成成分である熱可塑性樹脂としては、特に制限はない。例えば、エチレンを含む単独重合体若しくは共重合体等のポリオレフィン系樹脂、又は、ポリオレフィン系エラストマー、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等のポリスチレン系樹脂若しくはスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等の水素添加されたスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリメチルメタクリレート、共重合アクリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、さらには、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(THV)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂、若しくはそのエラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂を単独で用いることも、また、二種類以上を組み合わせて併用することもできる。
【0022】
上記熱可塑性樹脂の中でも、水蒸気バリアー性と耐酸性とに優れるポリオレフィン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等の水素添加されたスチレン系エラストマー、又はポリオレフィン系エラストマーが特に好ましい。このように、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーなどを用いることにより、優れた水蒸気バリアー性と耐酸性を付与することができ、例えば各種薬品タンクの構成部材などに好適となる。
【0023】
また、酸変性された、ポリオレフィン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等の水素添加されたスチレン系エラストマーも同様の理由で好ましい。
【0024】
なお、酸変性する方法に特に限定されるものではないが、例えば無水マレイン酸モノマーを共重合する方法が挙げられる。
【0025】
(樹脂層Aの導電性物質)
樹脂層Aの主たる構成成分である導電性物質としては、樹脂層Bに用いるものが挙げられるが、中でも、樹脂成形体の軽量化に有利な、黒鉛粉、ケッチェンブラック、カーボンブラック、カーボン繊維、又はカーボンナノファイバーなどのカーボン系材料が好ましく、特に、カーボン繊維、又はカーボンナノファイバーが好ましい。繊維形状のものは、互いに絡まることによりネットワーク構造を形成して、優れた導電性を付与するのに有利である。また2種類以上の導電性物質を併用してもよい。
【0026】
カーボン繊維としては、ポリアクリルニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維が好ましい。
カーボン繊維の繊維径の下限値は1.0μm、好ましくは5.0μm、さらに好ましくは10μm、上限値は30μm、好ましくは25μm、さらに好ましくは20μmの範囲が望ましい。
繊維長の下限値は0.03mm、好ましくは0.05mm、さらに好ましくは0.10mm、上限値は10mm、さらに好ましくは5.0mm、さらに好ましくは3.0mmの範囲がカーボン繊維同士の接点が多くなり、導電パスが形成しやすくなるため導電性に優れ、好ましい。
【0027】
カーボンナノファイバーとしては、アーク放電法、レーザ蒸着法、気相成長法、液相成長法等によって得られる所謂カーボンナノチューブを使用することができる。炭素のチューブ構造が単一チューブであるシングル型、二重チューブであるダブル型、三重以上となっているマルチ型構造を含み、さらに、チューブの少なくとも一方の端が閉じているナノホーン型、底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層されたカップ型等の形状も含まれる。
【0028】
カーボンナノファイバーの径の下限値は0.0007μm、好ましくは0.05μm、さらに好ましくは0.01μmであり、上限値は0.5μm、好ましくは0.2μm、さらに好ましくは0.15μmであることが望ましい。
カーボンナノファイバーの長さの下限値は0.1μm、好ましくは0.15μm、さらに好ましくは0.2μmであり、上限値は30μm、さらに好ましくは10μm、さらに好ましくは5μmであることが望ましい。カーボンナノファイバーの径が0.0007μm以上であり、かつ長さが0.1μm以上であれば、かさ密度が小さく、また飛散しにくく、作業性が良く、衛生的にも好ましい。
カーボンナノファイバーの径が0.5μm以下であり、かつ長さが30μm以下であれば、カーボンナノファイバー同士の接合点が多く、良好な導電性が得られ、かつ抵抗値も低くすることができる。
【0029】
樹脂層A中の導電性物質の含有量は、樹脂層Aの全体質量に対して5質量%以上80質量%以下であるのが好ましい。5質量%以上であれば、樹脂層Aに十分な導電性を付与できるので好ましい。また80質量%以下であれば、樹脂組成物の溶融流動性すなわち成形性が確保できるので好ましい。
かかる観点から、樹脂層A中の導電性物質の含有量は、樹脂層Aの全体質量に対して10質量%以上或いは60質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0030】
(他の成分)
樹脂層Aは、上記熱可塑性樹脂及び導電性物質の機能を損なわない範囲内で、これら以外の樹脂(「他成分樹脂」という)を含有してもよい。また、上記熱可塑性樹脂及び導電性物質の機能を損なわない範囲内で、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、相溶化剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
【0031】
<本樹脂成形体の物性>
本樹脂成形体は、物性的に次のような特徴を有している。
【0032】
(貯蔵弾性率(E’))
本樹脂成形体は、23℃での貯蔵弾性率(E’)、すなわち、動的粘弾性測定法によって振動周波数10Hz、温度23℃で測定される貯蔵弾性率(E’)が、2.0GPa以上3.5GPa以下であるのが好ましい。
貯蔵弾性率が2.0GPa以上であれば、本樹脂成形体をフィルム状とした場合にも必要なハンドリング性を確保できるので好ましい。一方、貯蔵弾性率が3.5GPa以下であれば、本樹脂成形体を折曲げ加工など後加工する際に必要な加工性を確保できるので好ましい。
かかる観点から、本樹脂成形体の23℃での貯蔵弾性率(E’)は、前記範囲の中でも2.5GPa以上、或いは3.0GPa以下であるのがより好ましい。
【0033】
本樹脂成形体において、23℃での貯蔵弾性率(E’)を2.0GPa以上3.5GPa以下に調整するには、例えば、樹脂層Bを構成するエチレンビニルアルコール共重合体系樹脂の種類、前記樹脂に組み合わされる導電性物質の種類や量などによって制御することができる。中でも、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂のエチレン共重合比率を調整することは特に有効である。
【0034】
(体積抵抗率)
本樹脂成形体は、体積抵抗率が1.0×10-2Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率がかかる範囲にあれば、例えばエレクトロニクス分野における導電性材料として、包装材料や各種薬品タンクの構成部材などに好適に利用できるので好ましい。
このような観点から、本樹脂成形体の体積抵抗率は1.0×10-2Ω・cm以上、1.0×101Ω・cm以下であることが特に好ましく、中でも1.0×10-2Ω・cm以上、5.0×100Ω・cm以下であることがさらに好ましい。
本樹脂成形体の体積抵抗率は、導電性材料の種類と量を調製することで、調整することができる。
【0035】
<積層構成>
本樹脂成形体の積層構成としては、例えば、樹脂層A/樹脂層B、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層A、樹脂層B/樹脂層A/樹脂層Bの順に積層することが考えられる。
また、樹脂層A及び樹脂層Bの外側に他の層を備えてもよいし、樹脂層A及び樹脂層Bの各層間に他の層が介在してもよい。例えば、樹脂層A、樹脂層B間に接着層が介在してもよい。
【0036】
<樹脂成形体の形態>
本樹脂成形体の形態は、特に限定されるものではない。例えばフィルム形状、シート形状を好ましい形態として挙げることができる。
【0037】
例えば樹脂層Aと樹脂層Bとからなる積層フィルム構成をとる場合、いずれの樹脂層ともフィルム状なる層であっても、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(フィルムを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。
また、フィルムからなる場合、そのフィルムは未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよい。
【0038】
<厚み>
本樹脂成形体の厚みは、特に限定されるものではないが、10μm〜1000μmであるのが通常は好ましく、実用面における取り扱い性を考慮すると30μm〜500μm程度の範囲内であるのが特に好ましい。
【0039】
<製造方法>
次に、本実施形態に係る積層樹脂成形体の製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
【0040】
本樹脂成形体は、例えば、(1)樹脂層Bを構成する樹脂組成物Bと樹脂層Aを構成する樹脂組成物Aとを共押出して製造することもできるし、また、(2)予め、樹脂組成物A又は樹脂組成物Bをシート状に形成し、該シートに他方の樹脂組成物を製膜するようにして製造することもできるし、また、(3)予め、樹脂組成物Aからなる樹脂層A形成シート及び樹脂組成物Bからなる樹脂層B形成シートを作製し、樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートを積層して製造することもできる。
【0041】
(2)の製造方法としては、例えば、押出ラミネート、サンドラミ等の方法があり、特に限定されるものではない。
押出ラミネートの方法の一例として、溶融した樹脂組成物BをTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールで固化させて樹脂層B形成シートを形成する際に、該シートの少なくとも片面に、樹脂層A形成シートを添えて、冷却ロールとニップロールとの間で、押出された樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートを圧着かつ冷却(すなわち、押出ラミネート)することにより、本樹脂成形体を得ることができる。
【0042】
(3)の製造方法としては、例えば、樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートとの間に接着剤(接着性シートを含む)を介在させる方法、樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートとを接着剤を使用せずに熱融着する方法等の積層方法があるが、特に限定されるものではない。
接着剤を使用する方法の一例としては、樹脂層B形成シートの接着面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、樹脂層A形成シートを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、樹脂層A形成シートを貼り合わせるシートBの表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、樹脂層B形成シートの表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、樹脂層A形成シートを樹脂層B形成シートの接着剤を塗布した面に被覆し、冷却することにより、本樹脂成形体を得ることができる。
【0043】
熱融着する方法の一例としては、樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートを重ね合わせた後、加熱ロール或いはプレス機で加熱加圧処理して、樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートを熱融着させて本樹脂成形体を得ることができる。
上記のようにして得られた本樹脂成形体については、さらに延伸や熱処理を行ってもよい。
【0044】
次に、(2)及び(3)の製造方法における樹脂層A形成シート及び樹脂層B形成シートの製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
【0045】
(樹脂層B形成シートの製造方法)
樹脂層Bの製法としては、特に限定されるものではなく、エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂と導電性物質とを主たる構成成分とする樹脂組成物Bを加熱溶融させてシート状に成形する方法や、樹脂組成物Bからなるコート材をコーティングしてシート状に成形する方法を採用することができる。
ここで、加熱溶融させてシート状に成形する方法としては、例えば、押出成形法やカレンダーロール成形法、インフレーション成形法、圧縮成形法、射出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法などがある。
他方、コート材をコーティングしてシート状に成形する方法としては、材料を溶媒に溶解して流動性を持たせた溶液(ドープ)を、表面が平滑なドラム(キャスティングドラム)やステンレスの平滑ベルト上に流し込んで付着させ、これを加熱する工程に通して溶媒を蒸発させてシート状に成形する方法(溶融流延法)がある。
しかし、樹脂層Bの製法としては、加熱溶融させる成形法が、層の気密性が良くなる点で好ましい。さらに、押出成形法、カレンダー成形法は、薄肉から厚肉まで厚み精度良く成形でき、生産性に優れる点で好ましい。
【0046】
(樹脂層A形成シートの製造方法)
樹脂層Aの製法としては、特に限定されるものではなく、樹脂層Bと同様に成形することができる。
また、導電性物質の含有量が、樹脂組成物Aの全質量に対して20質量%以上となる場合には、樹脂組成物Aを溶媒中に溶解、分散させてなる液状組成物を、支持体の平滑面に塗工した後、乾燥により支持体上に樹脂層Aを形成させる方法が、均一な層を形成することができるので好ましい。
【0047】
上記支持体としては、公知の各種フィルムを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン等のフィルムが挙げられ、必要に応じて、これらのフィルム表面をシリコーン等で離型処理してもよい。中でも、シリコーンで離型処理されたポリプロピレンフィルム及びポリエステルフィルムが、剥離容易性などの点から好ましい。
【0048】
上記支持体の厚みは、5μm〜500μm、好ましくは10μm〜300μmの範囲である。5μm以上であれば、支持体として充分な強度を得ることができ、皺が入り難くなり、500μm以下であれば腰が強くなり過ぎることがなく、作業性が劣ることがない。
【0049】
<用途>
本樹脂成形体は、曲げ加工性と導電性が共に必要とされる用途に使われる各種材料として好適に利用することができる。例えば、エレクトロニクス分野で使用される材料や、帯電防止効果が必要とされる包装材料や、同じく帯電防止効果が求められる薬品容器乃至タンクの構成部材などとして好適に利用することができる。
【0050】
<用語の説明>
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0051】
また、本明細書において「主たる構成成分(以下「主成分」という」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)がその層を構成する組成物の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
【0052】
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。
【0054】
(1)貯蔵弾性率(GPa)
粘弾性スペクトロメータDVA−200(アイティー計測制御社製)を用いて、振動周波数10Hz、昇温速度3℃/分、測定温度−50℃から200℃の範囲で測定し、23℃における数値を貯蔵弾性率(E’)とした。
【0055】
(2)体積抵抗率(Ω・cm)
JIS K−7194に準じて、以下の条件により測定を行った。
・測定装置:LorestaHP(三菱化学社製)
・測定方式:四探針法(ASPタイププローブ)
【0056】
(3)曲げ加工性
JIS P−8115に準じて、以下の条件により耐折回数(往復折曲げ回数)を測定した。
・測定装置:MIT耐折疲労試験機 D型(東洋精機製作所社製)
・荷重: 250g
・折曲げ角度:135度
・折曲げ速度:180回/分
・耐折回数(往復折曲げ回数):試料が破断するまでの往復折り曲げ回数。
【0057】
上記耐折回数を下記評価基準に照らして、曲げ加工性の評価を行った。ただし、記号「○」、および「△」は実用レベル以上である。
【0058】
評価基準:
「◎」:耐折回数が300以上
「○」:耐折回数が100以上
「△」:耐折回数が10以上
「×」:耐折回数が10未満
【0059】
(樹脂層B形成シート(No.1))
エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂A(クラレ社製「エバールE105B」、エチレン共重合比率=44モル%、MFR=13g/10分)のペレットと、カーボン系物質としてカーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラック「EC600JD」、中空シェル構造、空隙率80%、一次粒子径34.0nm、BET比表面積1270m2/g、DBP吸油量495cm3/100g、pH9.0)と、さらにフェノール系酸化防止剤(Irganox1010;チバ・ジャパン社製)とを、92.5:7.0:0.5の質量割合で混合した後、230℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Bを作製した。
得られた樹脂組成物Bを、230℃に加熱された押出機に供給し、この押出機を用いて混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化して樹脂層B形成シート(No.1)を得た。
得られた樹脂層B形成シート(No.1)について、厚みと体積抵抗率の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
(樹脂層B形成シート(No.2))
エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂A、ケッチェンブラック、フェノール系酸化防止剤との混合割合を、質量比で95.5:4.0:0.5とした点を除いて、樹脂層B形成シート(No.1)と同様に作製して樹脂層B形成シート(No.2)を得た。
得られた樹脂層B形成シート(No.2)について、厚みと体積抵抗率の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
(樹脂層B形成シート(No.3))
エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂A、ケッチェンブラック、フェノール系酸化防止剤との混合割合を、質量比で89.5:10.0:0.5とした点を除いて、樹脂層B形成シート(No.1)と同様に作製して樹脂層B形成シート(No.3)を得た。
得られた樹脂層B形成シート(No.3)について、厚みと体積抵抗率の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0062】
(樹脂層A形成シート(No.1))
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY4」)のペレットと、導電性物質としてケッチェンブラック(EC600JD:ライオン社製)と、さらにフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン社製「Irganox1010」)とを、89.5:10.0:0.5の質量割合で混合した後、220℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Aを作製した。
得られた樹脂組成物Aを、220℃に加熱された押出機に供給し、この押出機を用いて混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化して樹脂層A形成シート(No.1)を得た。
得られた樹脂層A形成シート(No.1)について、樹脂層B形成シート(No.1)と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
(樹脂層A形成シート(No.2))
SEBS(タフテックH1041;旭化成社製 比重0.91)とカーボンナノファイバー(気相法炭素繊維、昭和電工社製「VGCF」、比重2、繊維径0.15μm、繊維長10〜20μm)とを64.5:35.5の質量割合で混合した後、固形分濃度が12質量%になるように、それぞれシクロヘキサンに分散させて、分散液を作製した。この分散液を支持体(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム:厚み50μm)上にバーコータ(♯70;小林製作所社製)で塗布し、80℃で乾燥し、支持体−樹脂層の複合体(樹脂層A形成シート(No.2))を得た。
支持体−樹脂層の複合体から樹脂層を剥離し、得られた樹脂層について、樹脂層B形成シート(No.1)と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
(樹脂層A形成シート(No.3))
無水マレイン酸を共重合してなる酸変性SEBS樹脂(タフテックM1943;旭化成ケミカルズ社製 比重0.90、スチレン:エチレン・ブチレン質量割合=20:80、酸価10mg、CHONa/g)と、導電性物質としてカーボン繊維(大阪ガスケミカル社製「ドナカーボ・ミルドSG−249、ピッチ系、繊維径13μm、繊維長0.11mm)とを、55:45の質量割合で混合した後、それぞれシクロヘキサンに分散させて、固形分濃度が8質量%になるように、分散液を作製した。
これらの分散液を、支持体(離型処理されたポリプロピレンフィルム:
厚み50μm)上にバーコータ(♯32;小林製作所社製)で塗布し、80℃で乾燥し、支持体−樹脂層(樹脂層A形成シート(No.3))を作製した。
支持体−樹脂層の複合体から樹脂層を剥離し、得られた樹脂層について、樹脂層B形成シート(No.1)と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0065】
(樹脂成形体の作製)
樹脂層B形成シートと樹脂層A形成シートとを、表3に示した組み合わせで、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aの順に配置し、プレス機にて表3に示すプレス機条件で加熱加圧処理して熱融着させてシート状の積層樹脂成形体を得た。
ただし、実施例3、4については、支持体/樹脂層A/樹脂層B/樹脂層A/支持体の順に配置して熱融着させた後に、支持体を剥離して、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aからなる積層樹脂成形体を得た。
また、比較例1、2については、樹脂層B形成シートをそのまま樹脂成形体とした。
得られた積層樹脂成形体について、厚み、貯蔵弾性率、曲げ加工性、および体積抵抗率の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
表4から明らかなように、実施例1〜4、および比較例2の樹脂成形体の体積抵抗率は、いずれも1.0×10-2Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下で良好な導電性を有していることがわかった。一方、比較例1の樹脂成形体の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cmを超えて導電性に劣ることがわかった。
また、実施例1〜4および比較例1の樹脂成形体は、貯蔵弾性率が2.0GPa以上3.5GPa以下で、良好な曲げ加工性を有していることがわかった。一方、比較例2の樹脂成形体は貯蔵弾性率が3.5GPaを超え、曲げ加工性に劣ることが分かった。
【0071】
以上より、体積抵抗率が1.0×10-2Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下であれば良好な導電性を有し、貯蔵弾性率が2.0GPa以上3.5GPa以下であれば、良好な曲げ加工性を有することが分かった。
中でも、実施例1〜3の樹脂成形体が特に好ましいことから、体積抵抗率が5.0×100Ω・cm未満であり、貯蔵弾性率が3.0GPa未満である場合に特に良好な導電性と曲げ加工性を有することも分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンビニルアルコール共重合体系樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Bと、熱可塑性樹脂及び導電性物質を含有する樹脂層Aとを備えた積層樹脂成形体。
【請求項2】
動的粘弾性測定法により、振動周波数10Hz、温度23℃で測定される積層樹脂成形体の貯蔵弾性率(E’)が2.0GPa以上3.5GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層樹脂成形体。
【請求項3】
積層樹脂成形体の23℃での体積抵抗率(JIS K−7194)が、1.0×10-2Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層樹脂成形体。
【請求項4】
樹脂層Aに含有される熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、および水添スチレン系エラストマーからなる群から選ばれる一種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層樹脂成形体。
【請求項5】
樹脂層B又は樹脂層A又はこれら両層に含有される導電性物質は、カーボン系物質であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層樹脂成形体。
【請求項6】
樹脂層Bのエチレンビニルアルコール共重合体系樹脂のエチレン共重合比率が25モル%以上45モル%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の積層樹脂成形体。
【請求項7】
樹脂層B中の導電性物質の含有量が、樹脂層Bの全体質量に対して3質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層樹脂成形体。
【請求項8】
樹脂層A中の導電性物質の含有量が、樹脂層Aの全体質量に対して5質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層樹脂成形体。


【公開番号】特開2012−20458(P2012−20458A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159408(P2010−159408)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】