積層焼結フィルター
【課題】安価な加工コストにより製作することができ、かつ優れた耐久性と洗浄性を有する金属製フィルターを実現する。
【解決手段】比較的安価な加工であるエッチングにより表裏どちらか一方の面で孔径が最小となる孔を作製した複数枚の多孔板を、表裏の向きを揃え、各々の孔の位置が正確に揃うように積層し、さらにその積層体を焼結する。孔径の小さい面の側から被ろ過物を流すことで、異物粒子は表面で捕捉され、洗浄を容易にする。多孔板の積層数を増やすことにより、耐久性を増すことができる。さらに洗浄性を向上させるために、孔径を流れの方向にしたがって大きくする。各層の孔の中心軸をろ過面に対して傾けることにより、目詰まり抑制や流動抵抗の減少など、種々の機能も付加できる。
【解決手段】比較的安価な加工であるエッチングにより表裏どちらか一方の面で孔径が最小となる孔を作製した複数枚の多孔板を、表裏の向きを揃え、各々の孔の位置が正確に揃うように積層し、さらにその積層体を焼結する。孔径の小さい面の側から被ろ過物を流すことで、異物粒子は表面で捕捉され、洗浄を容易にする。多孔板の積層数を増やすことにより、耐久性を増すことができる。さらに洗浄性を向上させるために、孔径を流れの方向にしたがって大きくする。各層の孔の中心軸をろ過面に対して傾けることにより、目詰まり抑制や流動抵抗の減少など、種々の機能も付加できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種流体のろ過に用いられる金属製フィルターに関するもので、その使用条件や被ろ過物の特性などから、特に優れた耐久性ならびに洗浄性が求められる用途に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
化成品、食品、医薬品などの製造プロセスでは、安定した品質と高い生産効率を実現するために原料、中間体、あるいは製品である流体(液体、気体)から異物を除去する必要があり、フィルターを用いたろ過が極めて重要な役割を担っている。ろ紙、ろ布、金網、多孔板など種々の素材からなるフィルターがあるが、中でも金属製の金網や多孔板からなるフィルターは耐久性に富み、ろ過精度の点でも優れている。
【0003】
金属製フィルターの一般的な構成は、除去対象である異物粒子の大きさに応じた網目を有する金網と、それを支持するために網目の大きな金網、あるいは多孔板(パンチング板、打ち抜き金網)などを重ね合わせ、それらを適宜ビスや溶接などで固定したものであることが多い。しかし、このような構成のフィルターでは、使用中に過大な圧力が掛かったり、長期間の使用で金属疲労したりすると金網が破れることがあり、その金網の破片が被ろ過物である流体に異物となって混入する可能性がある。万一、異物が混入した流体が製品となって出荷されると、その被害は甚大なものとなる。
【0004】
そこで、金網とその支持体(網目の大きな金網、あるいは多孔板など)を積層し、それらを焼結することからなるフィルターがある。このような焼結フィルターでは、金網と支持体とが焼結により拡散接合されているため、前記のような単に金網と支持体とを積層し、それらの一部を固定しただけのフィルターに比べて耐久性に優れ、かつ万一、金網が破れたときにも金網の破片がフィルターから脱落しにくい。ただし、該焼結フィルターでは金網と支持体との隙間に、被ろ過物である流体や除去した異物粒子が残留しやすく、これらの残留物は該焼結フィルターの使用後の洗浄においても完全には除去できないことが多い。特に食品製造プロセスでは、残留物が雑菌繁殖の原因となり得るため、このような洗浄しにくいフィルターを使うことはたいへん危険である。
【0005】
一方、被ろ過物や異物粒子が残留しにくく、洗浄しやすいフィルターとしては、鋼板に機械的に孔を打ち抜く方法(パンチングと呼ばれる)や電気化学的な方法(エッチングなど)により、孔を作製した多孔板からなるフィルターがある。しかしながら、これらのパンチングやエッチングでは、鋼板に開けられる最小の孔径が一般的に板厚程度である。したがって、除去対象とする異物粒子が小さく、孔径も小さくしなければならない場合、多孔板の板厚も薄くなってしまうため、機械的強度が低下して耐久性に乏しいフィルターになってしまう。反対に、耐久性を増すために板厚を厚くすると孔径もそれに相応して大きくなるため、ろ過本来の目的を達し得ない。
【0006】
このような板厚による孔径の制限を受けない多孔板の作製方法としては、たとえば電子ビームがある。本法によれば孔径よりも大きな板厚の鋼板にも孔を作製できるため、孔径が小さくても耐久性に富むフィルターを製作することができる。さらに、該電子ビームによるフィルターでは、金網とは違って破れたときにも破片が脱落しにくく、さらに孔の構造がシンプルであるため被ろ過物や異物粒子の残留も少ない。しかし、電子ビームによる孔の作製には高価な設備が必要で、かつ加工にも時間を要するため、該電子ビームによるフィルターは非常に高価になってしまう。
【0007】
前記の課題を解決する手段の一つとして、特許文献1に開示されているような、エッチングにより孔を作製した多孔板を複数積層したフィルターがある。該フィルターでは、積層することでフィルターとしての板厚を増すことができるため、該フィルターの板厚よりも小さい孔径のフィルターが製作可能となる。しかしながら、特許文献1に開示されているような方法では、該積層体を構成する各々の多孔板の孔の位置がずれており、該積層体の内部で異物粒子を捕捉する構造になっている。このため、一旦捕捉した異物粒子は除去されにくく、該積層体は極めて洗浄しにくいフィルターと言える。
【0008】
また、特許文献2には、フィルターシステム全体の流動抵抗を低減させるために、エッチングによる多孔板の孔径を流動方向にしたがって減少させる方法が開示されている。ところが、このように孔径が減少していると、微細な粒子が孔の内部にまで侵入するため、特に積層して厚みを増したフィルターの場合は洗浄が難しくなる。
【0009】
エッチングは、導電性の鋼板の表裏に所望の寸法と形状の開孔部を有したレジストパターンをマスクとして形成し、塩化第二鉄溶液等の電解液を用いてレジストパターンの開孔部のみを腐食することにより、導電性鋼板に孔を開ける方法である。一般にその孔の構造は、特許文献3に示されるように、孔の内部が最狭部となる。鋼板の表と裏の両面から腐食(開孔)が進み、孔の内部が腐食の最終段階となることが、その原因である。このような孔の内部に最狭部を有する多孔板では、異物が多孔板の内部で捕捉されるため、目詰まりしやすく、洗浄しにくいフィルターになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】:特開2008−18662
【特許文献2】:特表2005−536334
【特許文献3】:WO2006/043696
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記したような従来技術の欠点である、破損した際の破片の脱落、被ろ過物のフィルター内部での残留、使用後の洗浄のしにくさ、板厚を厚くできないことによる強度不足などを改善し、かつ安価なフィルターを製作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決する手段として、本発明の構成を以下に説明する。
(1)エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該孔の各々の位置が正確に揃うようにして該多孔板を複数枚積層し、
さらに該積層された多孔板を焼結(拡散接合)により一体化したことを特徴とするフィルター。
(2)前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、前記1に記載のフィルター。
(3)前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、前記1に記載のフィルター。
(4)エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該多孔板を一枚ずつ一定の寸法と方向にずらしながら複数枚積層することにより、該積層された多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面に対してある一定の傾斜角を示すようにし、
さらに該積層された多孔板を焼結により一体化したことを特徴とするフィルター。
(5)前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、前記4に記載のフィルター。
(6)前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、前記4に記載のフィルター。
(7)前記1〜6のいずれかに記載の前記フィルターを装備したことを特徴とする、ろ過装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるフィルターは、エッチングにより孔を作製した複数枚の多孔板を積層し、その積層体を焼結することからなる。一般にエッチングにより作製された多孔板は、材料である鋼板の両面から徐々にエッチング(腐食)して開孔するため、腐食の最終部分となる孔の内部が最狭部となる。しかし、このような内部構造の孔では捕捉された異物粒子がフィルターの内部で残留するため、目詰まりしやすく、使用後の洗浄も難しくなる。そこで本発明では、多孔板の表裏どちらか一方の面で孔径が最も小さくなるようにし、その孔径の小さい面の側から被ろ過物を流すようにする。こうすることで、異物粒子がフィルターの表面のみで捕捉されるようになるため、目詰まりしにくく、かつ使用後の洗浄も容易なフィルターとなる。
【0014】
このような多孔板を積層し、さらに焼結することで実質的な板厚を増し、強度を高めることが可能となる。単層のエッチングでは、開孔できる最小の寸法は板厚と同程度という制限があるため、孔径が小さいほど板厚も薄くなって強度に乏しいフィルターとなるが、積層焼結することにより孔径が小さい場合でも必要十分な強度を得ることができる。ただし、単に積層して焼結するだけでは、フィルターとしての本来の機能を損なう恐れがある。多孔板を積層する際には、該多孔板の孔の各々の位置を正確に揃えて積層する必要があり、こうすることで初めて孔径の均一なフィルターが完成し、高精度なろ過が可能となる。
【0015】
複数積層される多孔板において、被ろ過物の流入側の多孔板の孔径を、流出側の多孔板の孔径よりも小さくすることにより、異物粒子はフィルターの内部に残留しにくくなり、さらに目詰まりしにくい、洗浄しやすいフィルターとなる。
【0016】
特に食品の製造プロセスでは、被ろ過物が残留して腐敗することによる製品の劣化、あるいは製品への異物混入が起こると、その被害は甚大なものとなる。このような用途において、本発明によるフィルターは極めて有効である。また、エッチングや焼結という一般的な技術を応用し、電子ビームなどの高度な加工を必要としないため、安価にフィルターを製作できることも大きな特長である。
【0017】
さらに本発明では、積層された各々の多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面(たとえば、被ろ過物が流入する側の面)に対して一定の傾斜角を示すような積層方法も提示されている。この積層方法は、被ろ過物である流体の流れに指向性を与えることができ、目詰まりの抑制や流動抵抗の減少などにも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多孔板の孔を揃えて積層焼結した本発明によるフィルターの縦断面
【図2】一般的な両面エッチングによる孔の縦断面
【図3】片面エッチングによる孔の縦断面
【図4】本発明による多孔板の孔の作製過程
【図5】多孔板の孔を揃えずに積層焼結したフィルターの縦断面の例
【図6】多孔板の孔の位置を揃えながら積層する方法の例
【図7】流れの方向にしたがって孔径を順次大きくして積層焼結したフィルターの縦断面
【図8】流入側の多孔板のみ孔径を大きくして積層焼結したフィルターの縦断面
【図9】多孔板の孔の中心軸を傾けて積層焼結したフィルターの縦断面
【図10】本発明によるディスク形状のフィルターの例
【図11】本発明による円筒形状のフィルターの例(孔は一部のみ例示)
【図12】各層の多孔板の孔径が同一であるフィルターを、円筒形状にした場合の孔の縦断面
【図13】内側になるほど孔径が大きくなるように各層の多孔板の孔径を調整したフィルターを、円筒形状にした場合の孔の縦断面
【図14】本発明フィルターを用いたろ過装置の例
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態として、その断面構造を例示するものである。エッチングにより作製された金属製の多孔板1a、1b、1cは、各々の縦断面(多孔板の厚さ方向を縦方向とする)において孔径が異なり、該多孔板の表裏どちらか一方の面で孔径d1は最も小さくなっている。各々の該多孔板は、被ろ過物の流入側3(図の上側)にd1がくる向きに揃え(すなわち、1aはd1(a)が、1bはd1(b)が、1cはd1(c)が、それぞれ流入側3に向くように揃え)、かつ各々の孔の位置が正確に揃うように、複数枚積層されて、つづいて焼結により一体化されてフィルター2となっている。
【0020】
単層のエッチングの場合、作製できる最小の孔径は用いる鋼材の板厚と同程度であるから、より小さな孔径にしようとすると、多孔板の板厚が薄くなり、強度も低下してしまう。そこで、エッチングによる多孔板を複数枚積層し、さらにその積層体を焼結することで該多孔板を互いに拡散接合し、該積層体の強度をフィルターとして使用上十分なレベルにまで高めるのである。なお、図1では1a、1b、1cの3枚の構成であるが、必要とされる強度に応じて適宜、積層枚数は決定すれば良い。
【0021】
前記のとおり、エッチングは導電性の鋼板の表裏に所望の寸法と形状の開孔部を有するレジストパターンをマスクとして形成し、塩化第二鉄溶液等の電解液を用いて、レジストパターンの開孔に従って導電性鋼板に孔を開ける方法である。一般にエッチングにより作製された孔は、図2に示すように、その孔の内部が最狭部となる。材料である鋼板の表と裏の両面から腐食(開孔)が進み、孔の内部が開孔の最終段階となるためである。しかし、このような多孔板では、異物粒子が多孔板の内部で捕捉されるため、目詰まりしやすく、洗浄しにくいフィルターになってしまう。
【0022】
この問題を解決する手段として、図3に示すような片面からエッチングする方法が行われることもある。しかし、この場合は開孔の最終段階(図3のX部)で素材の厚さが極めて薄くなるため、このX部が容易に腐食されやすく、時間や温度などのエッチング条件が少しでも変動すると該X部が一気に大きくなってしまい、孔径のバラツキが大きくなる。孔径のバラツキは、ろ過精度の低下を招くため、このような片面エッチングにより作製された多孔板はフィルターの用途には適さない。
【0023】
そこで本発明では、多孔板の表裏いずれか一方の面で孔径が最も小さくなる多孔板を用いる。このような多孔板は、開孔部の寸法が異なる2種類のマスクを用いて表裏からエッチングすることにより作製する。図4は、該作製法において孔が作製されていく過程を示したものである。図4の4において、上面のマスク9aの開孔寸法D1、下面のマスク9bの開孔寸法D2、鋼板8の板厚tを、たとえば0.2≦(D2−D1)/t≦0.4となるように設定し、かつ諸条件を調整してエッチングを行うと、図4の5に示すように鋼板の上下から腐食が進行し、つづいて腐食の合流点(図4の6のY部)では局所的に腐食が進行する。その結果、図4の7に示すように、上面の孔径d1、下面の孔径d2、内部の孔径d3との間に、d1≦d3<d2となる関係が成立し、孔の内部に最狭部を有さない多孔板を作製することができる。
【0024】
このように作製された多孔板は、図1に示すように、孔径の小さいd1が被ろ過物の流入側3となるように、各々の該多孔板の表裏の向きを揃えて積層する。このような向きにすることで、異物粒子は多孔板の表面で捕捉されるようになり、目詰まりしにくく、洗浄しやすいフィルターとなる。
【0025】
多孔板を積層する際には、積層の仕方が極めて重要となる。すなわち、積層する際に孔の位置が揃っていないと、フィルターとしての孔の大きさが定まらず、ろ過の精度が著しく低下してしまう。たとえば、図5は孔が貫通してはいるものの、各々の多孔板の孔の位置が揃っていない状態であり、特許文献1に開示されている方法もこれに該当する。図5のような積層体をフィルターとして使用すると、ろ過精度が劣るだけではなく、洗浄性の点でも好ましくない。すなわち、図5のような積層体では、異物粒子は積層体の表面にあるd1(a)ではなく、積層体の内部にあるd4で主に捕捉される。このため、異物粒子は積層体の内部に蓄積し、使用後に洗浄しても除去されずに残留してしまう可能性がある。このような残留物が再使用の際に流出すると、異物混入の原因となる。また、残留物が腐食・腐敗するような場合は、特に食品製造工程では重大な問題となる。
【0026】
孔の位置が揃うように多孔板を積層する方法としては、種々の方法が考えられる。たとえば、まずエッチングにより多孔板を作製するときに、合いマークとなる孔をフィルターに用いる部分以外の箇所に作製しておく。つづいて、この合いマークとなる孔に、その孔径から僅かに小さい直径を有するピンを通し、そのピンを基準にして位置決めをしながら順次、該多孔板を積層する。図6は、該積層方法の例である。図6の場合、多孔板の周縁部には8箇所の合いマークとなる孔があり、この合いマーク用の孔よりも僅かに小さい直径を有するピンに該多孔板を順次通しながら、強度面で十分な厚さとなるのに必要な枚数を積層するのである。
【0027】
前記のような多孔板の積層体を焼結により拡散接合することで、実質的な板厚を増すことになり、耐久性に富むフィルターとなる。また、各々の多孔板が接合されるため、その後の成形加工(たとえば円筒形状フィルターへの加工など)や長期使用時における若干の変形によっても、該多孔板の層間における相対的な孔の位置がずれることはなく、安定したろ過精度で、かつ内部に異物が残留しにくいフィルターとなる。なお、該積層体の接合方法は、使用条件によっては焼結以外の方法、たとえば接着剤、スポット溶接、シーム溶接などでもかまわない。
【0028】
前記の積層焼結フィルターでは、該フィルターを構成する多孔板の相互の接合面において孔の内面が凸凹している。各々の多孔板の孔の位置は揃っているので、積層した状態での孔径の均一さは保たれるが(たとえば図1であればd1(a))、該孔の内面が凸凹していると、流体抵抗の上昇などが懸念される。
【0029】
そこで、焼結を終えたフィルターを再びエッチングする、あるいはその他の電気化学的な手段などにより、孔の凸凹を軽減あるいは除去することで、孔の内面を平滑に近づけることも有効である。
【0030】
さらに目詰まりを抑制して、濾過寿命の長期化を図り、かつ洗浄性を向上させる手段として、図7に示すように被ろ過物の流れ方向にしたがって積層する多孔板の孔径を大きくする方法がある。これにより、被ろ過物が流れてくる側の第一層目の多孔板1aの孔d1(a)を通過した粒子は積層体内部で残留しにくくなり、より目詰まりしにくい構造のフィルターとなる。
【0031】
なお、第二層目以降の多孔板1b、1cは支持体であり、ろ過の役割を果たさない。したがって、第二層目以降には、エッチング以外の手段により開孔した多孔板(パンチング板など)や網目の大きな金網などを適宜用いても良い。
【0032】
ただし、図7の場合、積層枚数が増すほど流出側の多孔板1cの孔径d2(c)が大きくなるため、孔の中心間距離を広げなくてならない。孔の中心間距離が広がると多孔板の開孔率(ろ過面積に対する孔の総面積の比率)が小さくなり、フィルターとして用いた場合に、目詰まりしにくい構造ではあるものの、孔が少なくなるために早期に目詰まりする、流体抵抗(圧力損失)が高くなるなどの性能低下が懸念される。
【0033】
そこで、特に積層枚数が多い場合には、図8のように、被ろ過物の流入側の第一層目(最表層)の多孔板1aの孔径だけを、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくする構成が有効である。こうすることにより、流出側の多孔板1cの孔径d2(c)を必要以上に大きくしなくても良くなるため、開孔率の低下を防ぐことができる。積層数を増すことで高い強度を得ながら、同時に開孔率の低下にともなう早期の目詰まりや圧力損失の上昇を抑制することができるため、耐久性と経済性を両立させたフィルターが可能となる。
【0034】
なお、この場合も前記のように、第二層目以降の多孔板の役割は支持体であるから、エッチング以外の手段により開孔した多孔板や網目の大きな金網などを適宜用いても良い。また、その使用条件から積層数を多くする必要がある場合には、第一層目だけではなく、第一層目と第二層目の多孔板の孔径を、第三層目以降の多孔板の孔径より小さくするなど、孔径の異なる層数の比率は必要とされる強度に応じて適宜選択すれば良い。
【0035】
図9は、各々の多孔板の孔を貫く中心軸が、該多孔板の面に対してある一定の傾斜角を示すように、該多孔板を所定の方向に一枚ずつ、ずらしながら積層したときの積層体の断面構造である。このような積層方法をとることで、被ろ過物である流体の流れに指向性を与え、種々の付加的な機能をもたらすことができる。すなわち、該積層体を透過してくる流体は該積層体からある一定の傾斜角をもって流出するようになるため、ろ過装置内部での流体および粒子の攪拌、それによるろ過装置内部での沈殿物生成の抑制、フィルターの目詰まりの抑制、圧力損失の低減など、流体の流れを積極的に活用した種々の機能をろ過装置に付与することができる。もちろん、このような機能はフィルターの形状には係わらず、ディスク形状のフィルターにも、後述する円筒形状のフィルターにも適用できる。
【0036】
高い耐久性を要求されるフィルターでは、強度の点からフィルターの厚みは0.5mm以上を必要とされることが多い。前記の通り、一般的なパンチングや単層のエッチングの場合、板厚が0.5mmであると孔径は0.5mm以上になってしまう。したがって、孔径0.5mm未満のフィルターが必要とされる場合に、本発明によるフィルターが特に有用となる。
【0037】
たとえば、孔径0.15mmで、厚みが1mm必要とされるフィルターの場合、本発明により、エッチング加工を用いて孔径0.15mmの孔を作製した板厚0.1mmの多孔板を、互いの孔の位置が正確に揃うように10枚積層し、その積層体を焼結することで、要求を満たすフィルターを製作することができる。
【0038】
また、フィルターの開孔率については、20%から60%の間となることが望ましい。開孔率とは、ろ過面積に対する孔の総面積の比率であるから、開孔率が高いほど目詰まりが緩慢で、かつ圧力損失も低くなり、処理能力(単位時間あたりの処理量)が増す。その一方で、開孔率が高いほど、同じ厚さのフィルターであっても強度が低下する。したがって、処理能力と耐久性のバランスを考えて、前記の範囲の開孔率にすることが望ましい。
【0039】
図10はディスク形状のフィルターの例である。本図のフィルターは矩形であるが、もちろん円形や楕円形も可能である。また、ろ過装置への取り付けを容易にするために、本発明によるフィルターにフランジを付けるなど、さらなる加工を施すこともある。
【0040】
本発明の実施形態の他の例として、図11に示すような円筒形状のフィルターがある。具体的には、前記ディスク形状のフィルターを円筒状に曲げ加工し、その曲げた該フィルターの両端を突合せ、あるいは重ね合わせ、該両端部を接合することからなる円筒形状のフィルターである。この場合、図12に示すように、円筒加工にともなう孔の変形度が積層体の各層で異なり、最外層の孔が最も広がるため、円筒の外側から内側にかけて孔が小さくなる。これは、被ろ過物の流れが外側から内側である場合に、異物粒子が孔の内部にまで侵入し、目詰まりしやすく、かつ洗浄しにくい構造である。
【0041】
これを解決する手段として、被ろ過物の流れ方向にしたがって孔径を大きくするという方法が有効である。円筒形状にした場合の各層の孔径の変化を予想し、図13に示すように円筒の外側から内側にかけて孔が大きくなるよう、多孔板を作製する段階で、孔径を調整する。もちろん、積層枚数によっては、前記図8に示すような、流入側の第一層目の多孔板のみ孔径を小さくする構成のフィルターを円筒形状にしても良い。
【0042】
図14は、これまでに述べた本発明によるフィルターを、加圧容器に装着したろ過装置の例である。本発明フィルターは、異物粒子がその表層で捕捉されて洗浄しやすいため、オートストレーナーなどと呼ばれる自動洗浄機構を有したろ過装置などに好適である。たとえば図14の場合、本発明による円筒形状のフィルター10の表面に捕捉された異物粒子を、フィルター洗浄用の回転ブラシ11が自動的にかき取る機構を備えている。フィルターのメンテナンスで最も大変なのは、目詰まりしたときのフィルターの交換と洗浄である。本発明フィルターの洗浄性の良さを活かした自動洗浄機構付きろ過装置は、メンテナンスに要する手間とコストを大幅に削減できるものである。
【符号の説明】
【0043】
1.エッチングにより孔を作製した多孔板
2.本発明による積層焼結フィルター
3.被ろ過物の流れの方向
4.エッチング処理前の状態
5.エッチング処理中期の状態
6.エッチング処理後期の状態
7.エッチング処理終了後の状態
8.エッチングの材料となる鋼板
9.エッチング処理におけるマスク
10.本発明による円筒形状のフィルター
11.フィルター洗浄用の回転ブラシ
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種流体のろ過に用いられる金属製フィルターに関するもので、その使用条件や被ろ過物の特性などから、特に優れた耐久性ならびに洗浄性が求められる用途に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
化成品、食品、医薬品などの製造プロセスでは、安定した品質と高い生産効率を実現するために原料、中間体、あるいは製品である流体(液体、気体)から異物を除去する必要があり、フィルターを用いたろ過が極めて重要な役割を担っている。ろ紙、ろ布、金網、多孔板など種々の素材からなるフィルターがあるが、中でも金属製の金網や多孔板からなるフィルターは耐久性に富み、ろ過精度の点でも優れている。
【0003】
金属製フィルターの一般的な構成は、除去対象である異物粒子の大きさに応じた網目を有する金網と、それを支持するために網目の大きな金網、あるいは多孔板(パンチング板、打ち抜き金網)などを重ね合わせ、それらを適宜ビスや溶接などで固定したものであることが多い。しかし、このような構成のフィルターでは、使用中に過大な圧力が掛かったり、長期間の使用で金属疲労したりすると金網が破れることがあり、その金網の破片が被ろ過物である流体に異物となって混入する可能性がある。万一、異物が混入した流体が製品となって出荷されると、その被害は甚大なものとなる。
【0004】
そこで、金網とその支持体(網目の大きな金網、あるいは多孔板など)を積層し、それらを焼結することからなるフィルターがある。このような焼結フィルターでは、金網と支持体とが焼結により拡散接合されているため、前記のような単に金網と支持体とを積層し、それらの一部を固定しただけのフィルターに比べて耐久性に優れ、かつ万一、金網が破れたときにも金網の破片がフィルターから脱落しにくい。ただし、該焼結フィルターでは金網と支持体との隙間に、被ろ過物である流体や除去した異物粒子が残留しやすく、これらの残留物は該焼結フィルターの使用後の洗浄においても完全には除去できないことが多い。特に食品製造プロセスでは、残留物が雑菌繁殖の原因となり得るため、このような洗浄しにくいフィルターを使うことはたいへん危険である。
【0005】
一方、被ろ過物や異物粒子が残留しにくく、洗浄しやすいフィルターとしては、鋼板に機械的に孔を打ち抜く方法(パンチングと呼ばれる)や電気化学的な方法(エッチングなど)により、孔を作製した多孔板からなるフィルターがある。しかしながら、これらのパンチングやエッチングでは、鋼板に開けられる最小の孔径が一般的に板厚程度である。したがって、除去対象とする異物粒子が小さく、孔径も小さくしなければならない場合、多孔板の板厚も薄くなってしまうため、機械的強度が低下して耐久性に乏しいフィルターになってしまう。反対に、耐久性を増すために板厚を厚くすると孔径もそれに相応して大きくなるため、ろ過本来の目的を達し得ない。
【0006】
このような板厚による孔径の制限を受けない多孔板の作製方法としては、たとえば電子ビームがある。本法によれば孔径よりも大きな板厚の鋼板にも孔を作製できるため、孔径が小さくても耐久性に富むフィルターを製作することができる。さらに、該電子ビームによるフィルターでは、金網とは違って破れたときにも破片が脱落しにくく、さらに孔の構造がシンプルであるため被ろ過物や異物粒子の残留も少ない。しかし、電子ビームによる孔の作製には高価な設備が必要で、かつ加工にも時間を要するため、該電子ビームによるフィルターは非常に高価になってしまう。
【0007】
前記の課題を解決する手段の一つとして、特許文献1に開示されているような、エッチングにより孔を作製した多孔板を複数積層したフィルターがある。該フィルターでは、積層することでフィルターとしての板厚を増すことができるため、該フィルターの板厚よりも小さい孔径のフィルターが製作可能となる。しかしながら、特許文献1に開示されているような方法では、該積層体を構成する各々の多孔板の孔の位置がずれており、該積層体の内部で異物粒子を捕捉する構造になっている。このため、一旦捕捉した異物粒子は除去されにくく、該積層体は極めて洗浄しにくいフィルターと言える。
【0008】
また、特許文献2には、フィルターシステム全体の流動抵抗を低減させるために、エッチングによる多孔板の孔径を流動方向にしたがって減少させる方法が開示されている。ところが、このように孔径が減少していると、微細な粒子が孔の内部にまで侵入するため、特に積層して厚みを増したフィルターの場合は洗浄が難しくなる。
【0009】
エッチングは、導電性の鋼板の表裏に所望の寸法と形状の開孔部を有したレジストパターンをマスクとして形成し、塩化第二鉄溶液等の電解液を用いてレジストパターンの開孔部のみを腐食することにより、導電性鋼板に孔を開ける方法である。一般にその孔の構造は、特許文献3に示されるように、孔の内部が最狭部となる。鋼板の表と裏の両面から腐食(開孔)が進み、孔の内部が腐食の最終段階となることが、その原因である。このような孔の内部に最狭部を有する多孔板では、異物が多孔板の内部で捕捉されるため、目詰まりしやすく、洗浄しにくいフィルターになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】:特開2008−18662
【特許文献2】:特表2005−536334
【特許文献3】:WO2006/043696
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記したような従来技術の欠点である、破損した際の破片の脱落、被ろ過物のフィルター内部での残留、使用後の洗浄のしにくさ、板厚を厚くできないことによる強度不足などを改善し、かつ安価なフィルターを製作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決する手段として、本発明の構成を以下に説明する。
(1)エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該孔の各々の位置が正確に揃うようにして該多孔板を複数枚積層し、
さらに該積層された多孔板を焼結(拡散接合)により一体化したことを特徴とするフィルター。
(2)前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、前記1に記載のフィルター。
(3)前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、前記1に記載のフィルター。
(4)エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該多孔板を一枚ずつ一定の寸法と方向にずらしながら複数枚積層することにより、該積層された多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面に対してある一定の傾斜角を示すようにし、
さらに該積層された多孔板を焼結により一体化したことを特徴とするフィルター。
(5)前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、前記4に記載のフィルター。
(6)前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、前記4に記載のフィルター。
(7)前記1〜6のいずれかに記載の前記フィルターを装備したことを特徴とする、ろ過装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるフィルターは、エッチングにより孔を作製した複数枚の多孔板を積層し、その積層体を焼結することからなる。一般にエッチングにより作製された多孔板は、材料である鋼板の両面から徐々にエッチング(腐食)して開孔するため、腐食の最終部分となる孔の内部が最狭部となる。しかし、このような内部構造の孔では捕捉された異物粒子がフィルターの内部で残留するため、目詰まりしやすく、使用後の洗浄も難しくなる。そこで本発明では、多孔板の表裏どちらか一方の面で孔径が最も小さくなるようにし、その孔径の小さい面の側から被ろ過物を流すようにする。こうすることで、異物粒子がフィルターの表面のみで捕捉されるようになるため、目詰まりしにくく、かつ使用後の洗浄も容易なフィルターとなる。
【0014】
このような多孔板を積層し、さらに焼結することで実質的な板厚を増し、強度を高めることが可能となる。単層のエッチングでは、開孔できる最小の寸法は板厚と同程度という制限があるため、孔径が小さいほど板厚も薄くなって強度に乏しいフィルターとなるが、積層焼結することにより孔径が小さい場合でも必要十分な強度を得ることができる。ただし、単に積層して焼結するだけでは、フィルターとしての本来の機能を損なう恐れがある。多孔板を積層する際には、該多孔板の孔の各々の位置を正確に揃えて積層する必要があり、こうすることで初めて孔径の均一なフィルターが完成し、高精度なろ過が可能となる。
【0015】
複数積層される多孔板において、被ろ過物の流入側の多孔板の孔径を、流出側の多孔板の孔径よりも小さくすることにより、異物粒子はフィルターの内部に残留しにくくなり、さらに目詰まりしにくい、洗浄しやすいフィルターとなる。
【0016】
特に食品の製造プロセスでは、被ろ過物が残留して腐敗することによる製品の劣化、あるいは製品への異物混入が起こると、その被害は甚大なものとなる。このような用途において、本発明によるフィルターは極めて有効である。また、エッチングや焼結という一般的な技術を応用し、電子ビームなどの高度な加工を必要としないため、安価にフィルターを製作できることも大きな特長である。
【0017】
さらに本発明では、積層された各々の多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面(たとえば、被ろ過物が流入する側の面)に対して一定の傾斜角を示すような積層方法も提示されている。この積層方法は、被ろ過物である流体の流れに指向性を与えることができ、目詰まりの抑制や流動抵抗の減少などにも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多孔板の孔を揃えて積層焼結した本発明によるフィルターの縦断面
【図2】一般的な両面エッチングによる孔の縦断面
【図3】片面エッチングによる孔の縦断面
【図4】本発明による多孔板の孔の作製過程
【図5】多孔板の孔を揃えずに積層焼結したフィルターの縦断面の例
【図6】多孔板の孔の位置を揃えながら積層する方法の例
【図7】流れの方向にしたがって孔径を順次大きくして積層焼結したフィルターの縦断面
【図8】流入側の多孔板のみ孔径を大きくして積層焼結したフィルターの縦断面
【図9】多孔板の孔の中心軸を傾けて積層焼結したフィルターの縦断面
【図10】本発明によるディスク形状のフィルターの例
【図11】本発明による円筒形状のフィルターの例(孔は一部のみ例示)
【図12】各層の多孔板の孔径が同一であるフィルターを、円筒形状にした場合の孔の縦断面
【図13】内側になるほど孔径が大きくなるように各層の多孔板の孔径を調整したフィルターを、円筒形状にした場合の孔の縦断面
【図14】本発明フィルターを用いたろ過装置の例
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態として、その断面構造を例示するものである。エッチングにより作製された金属製の多孔板1a、1b、1cは、各々の縦断面(多孔板の厚さ方向を縦方向とする)において孔径が異なり、該多孔板の表裏どちらか一方の面で孔径d1は最も小さくなっている。各々の該多孔板は、被ろ過物の流入側3(図の上側)にd1がくる向きに揃え(すなわち、1aはd1(a)が、1bはd1(b)が、1cはd1(c)が、それぞれ流入側3に向くように揃え)、かつ各々の孔の位置が正確に揃うように、複数枚積層されて、つづいて焼結により一体化されてフィルター2となっている。
【0020】
単層のエッチングの場合、作製できる最小の孔径は用いる鋼材の板厚と同程度であるから、より小さな孔径にしようとすると、多孔板の板厚が薄くなり、強度も低下してしまう。そこで、エッチングによる多孔板を複数枚積層し、さらにその積層体を焼結することで該多孔板を互いに拡散接合し、該積層体の強度をフィルターとして使用上十分なレベルにまで高めるのである。なお、図1では1a、1b、1cの3枚の構成であるが、必要とされる強度に応じて適宜、積層枚数は決定すれば良い。
【0021】
前記のとおり、エッチングは導電性の鋼板の表裏に所望の寸法と形状の開孔部を有するレジストパターンをマスクとして形成し、塩化第二鉄溶液等の電解液を用いて、レジストパターンの開孔に従って導電性鋼板に孔を開ける方法である。一般にエッチングにより作製された孔は、図2に示すように、その孔の内部が最狭部となる。材料である鋼板の表と裏の両面から腐食(開孔)が進み、孔の内部が開孔の最終段階となるためである。しかし、このような多孔板では、異物粒子が多孔板の内部で捕捉されるため、目詰まりしやすく、洗浄しにくいフィルターになってしまう。
【0022】
この問題を解決する手段として、図3に示すような片面からエッチングする方法が行われることもある。しかし、この場合は開孔の最終段階(図3のX部)で素材の厚さが極めて薄くなるため、このX部が容易に腐食されやすく、時間や温度などのエッチング条件が少しでも変動すると該X部が一気に大きくなってしまい、孔径のバラツキが大きくなる。孔径のバラツキは、ろ過精度の低下を招くため、このような片面エッチングにより作製された多孔板はフィルターの用途には適さない。
【0023】
そこで本発明では、多孔板の表裏いずれか一方の面で孔径が最も小さくなる多孔板を用いる。このような多孔板は、開孔部の寸法が異なる2種類のマスクを用いて表裏からエッチングすることにより作製する。図4は、該作製法において孔が作製されていく過程を示したものである。図4の4において、上面のマスク9aの開孔寸法D1、下面のマスク9bの開孔寸法D2、鋼板8の板厚tを、たとえば0.2≦(D2−D1)/t≦0.4となるように設定し、かつ諸条件を調整してエッチングを行うと、図4の5に示すように鋼板の上下から腐食が進行し、つづいて腐食の合流点(図4の6のY部)では局所的に腐食が進行する。その結果、図4の7に示すように、上面の孔径d1、下面の孔径d2、内部の孔径d3との間に、d1≦d3<d2となる関係が成立し、孔の内部に最狭部を有さない多孔板を作製することができる。
【0024】
このように作製された多孔板は、図1に示すように、孔径の小さいd1が被ろ過物の流入側3となるように、各々の該多孔板の表裏の向きを揃えて積層する。このような向きにすることで、異物粒子は多孔板の表面で捕捉されるようになり、目詰まりしにくく、洗浄しやすいフィルターとなる。
【0025】
多孔板を積層する際には、積層の仕方が極めて重要となる。すなわち、積層する際に孔の位置が揃っていないと、フィルターとしての孔の大きさが定まらず、ろ過の精度が著しく低下してしまう。たとえば、図5は孔が貫通してはいるものの、各々の多孔板の孔の位置が揃っていない状態であり、特許文献1に開示されている方法もこれに該当する。図5のような積層体をフィルターとして使用すると、ろ過精度が劣るだけではなく、洗浄性の点でも好ましくない。すなわち、図5のような積層体では、異物粒子は積層体の表面にあるd1(a)ではなく、積層体の内部にあるd4で主に捕捉される。このため、異物粒子は積層体の内部に蓄積し、使用後に洗浄しても除去されずに残留してしまう可能性がある。このような残留物が再使用の際に流出すると、異物混入の原因となる。また、残留物が腐食・腐敗するような場合は、特に食品製造工程では重大な問題となる。
【0026】
孔の位置が揃うように多孔板を積層する方法としては、種々の方法が考えられる。たとえば、まずエッチングにより多孔板を作製するときに、合いマークとなる孔をフィルターに用いる部分以外の箇所に作製しておく。つづいて、この合いマークとなる孔に、その孔径から僅かに小さい直径を有するピンを通し、そのピンを基準にして位置決めをしながら順次、該多孔板を積層する。図6は、該積層方法の例である。図6の場合、多孔板の周縁部には8箇所の合いマークとなる孔があり、この合いマーク用の孔よりも僅かに小さい直径を有するピンに該多孔板を順次通しながら、強度面で十分な厚さとなるのに必要な枚数を積層するのである。
【0027】
前記のような多孔板の積層体を焼結により拡散接合することで、実質的な板厚を増すことになり、耐久性に富むフィルターとなる。また、各々の多孔板が接合されるため、その後の成形加工(たとえば円筒形状フィルターへの加工など)や長期使用時における若干の変形によっても、該多孔板の層間における相対的な孔の位置がずれることはなく、安定したろ過精度で、かつ内部に異物が残留しにくいフィルターとなる。なお、該積層体の接合方法は、使用条件によっては焼結以外の方法、たとえば接着剤、スポット溶接、シーム溶接などでもかまわない。
【0028】
前記の積層焼結フィルターでは、該フィルターを構成する多孔板の相互の接合面において孔の内面が凸凹している。各々の多孔板の孔の位置は揃っているので、積層した状態での孔径の均一さは保たれるが(たとえば図1であればd1(a))、該孔の内面が凸凹していると、流体抵抗の上昇などが懸念される。
【0029】
そこで、焼結を終えたフィルターを再びエッチングする、あるいはその他の電気化学的な手段などにより、孔の凸凹を軽減あるいは除去することで、孔の内面を平滑に近づけることも有効である。
【0030】
さらに目詰まりを抑制して、濾過寿命の長期化を図り、かつ洗浄性を向上させる手段として、図7に示すように被ろ過物の流れ方向にしたがって積層する多孔板の孔径を大きくする方法がある。これにより、被ろ過物が流れてくる側の第一層目の多孔板1aの孔d1(a)を通過した粒子は積層体内部で残留しにくくなり、より目詰まりしにくい構造のフィルターとなる。
【0031】
なお、第二層目以降の多孔板1b、1cは支持体であり、ろ過の役割を果たさない。したがって、第二層目以降には、エッチング以外の手段により開孔した多孔板(パンチング板など)や網目の大きな金網などを適宜用いても良い。
【0032】
ただし、図7の場合、積層枚数が増すほど流出側の多孔板1cの孔径d2(c)が大きくなるため、孔の中心間距離を広げなくてならない。孔の中心間距離が広がると多孔板の開孔率(ろ過面積に対する孔の総面積の比率)が小さくなり、フィルターとして用いた場合に、目詰まりしにくい構造ではあるものの、孔が少なくなるために早期に目詰まりする、流体抵抗(圧力損失)が高くなるなどの性能低下が懸念される。
【0033】
そこで、特に積層枚数が多い場合には、図8のように、被ろ過物の流入側の第一層目(最表層)の多孔板1aの孔径だけを、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくする構成が有効である。こうすることにより、流出側の多孔板1cの孔径d2(c)を必要以上に大きくしなくても良くなるため、開孔率の低下を防ぐことができる。積層数を増すことで高い強度を得ながら、同時に開孔率の低下にともなう早期の目詰まりや圧力損失の上昇を抑制することができるため、耐久性と経済性を両立させたフィルターが可能となる。
【0034】
なお、この場合も前記のように、第二層目以降の多孔板の役割は支持体であるから、エッチング以外の手段により開孔した多孔板や網目の大きな金網などを適宜用いても良い。また、その使用条件から積層数を多くする必要がある場合には、第一層目だけではなく、第一層目と第二層目の多孔板の孔径を、第三層目以降の多孔板の孔径より小さくするなど、孔径の異なる層数の比率は必要とされる強度に応じて適宜選択すれば良い。
【0035】
図9は、各々の多孔板の孔を貫く中心軸が、該多孔板の面に対してある一定の傾斜角を示すように、該多孔板を所定の方向に一枚ずつ、ずらしながら積層したときの積層体の断面構造である。このような積層方法をとることで、被ろ過物である流体の流れに指向性を与え、種々の付加的な機能をもたらすことができる。すなわち、該積層体を透過してくる流体は該積層体からある一定の傾斜角をもって流出するようになるため、ろ過装置内部での流体および粒子の攪拌、それによるろ過装置内部での沈殿物生成の抑制、フィルターの目詰まりの抑制、圧力損失の低減など、流体の流れを積極的に活用した種々の機能をろ過装置に付与することができる。もちろん、このような機能はフィルターの形状には係わらず、ディスク形状のフィルターにも、後述する円筒形状のフィルターにも適用できる。
【0036】
高い耐久性を要求されるフィルターでは、強度の点からフィルターの厚みは0.5mm以上を必要とされることが多い。前記の通り、一般的なパンチングや単層のエッチングの場合、板厚が0.5mmであると孔径は0.5mm以上になってしまう。したがって、孔径0.5mm未満のフィルターが必要とされる場合に、本発明によるフィルターが特に有用となる。
【0037】
たとえば、孔径0.15mmで、厚みが1mm必要とされるフィルターの場合、本発明により、エッチング加工を用いて孔径0.15mmの孔を作製した板厚0.1mmの多孔板を、互いの孔の位置が正確に揃うように10枚積層し、その積層体を焼結することで、要求を満たすフィルターを製作することができる。
【0038】
また、フィルターの開孔率については、20%から60%の間となることが望ましい。開孔率とは、ろ過面積に対する孔の総面積の比率であるから、開孔率が高いほど目詰まりが緩慢で、かつ圧力損失も低くなり、処理能力(単位時間あたりの処理量)が増す。その一方で、開孔率が高いほど、同じ厚さのフィルターであっても強度が低下する。したがって、処理能力と耐久性のバランスを考えて、前記の範囲の開孔率にすることが望ましい。
【0039】
図10はディスク形状のフィルターの例である。本図のフィルターは矩形であるが、もちろん円形や楕円形も可能である。また、ろ過装置への取り付けを容易にするために、本発明によるフィルターにフランジを付けるなど、さらなる加工を施すこともある。
【0040】
本発明の実施形態の他の例として、図11に示すような円筒形状のフィルターがある。具体的には、前記ディスク形状のフィルターを円筒状に曲げ加工し、その曲げた該フィルターの両端を突合せ、あるいは重ね合わせ、該両端部を接合することからなる円筒形状のフィルターである。この場合、図12に示すように、円筒加工にともなう孔の変形度が積層体の各層で異なり、最外層の孔が最も広がるため、円筒の外側から内側にかけて孔が小さくなる。これは、被ろ過物の流れが外側から内側である場合に、異物粒子が孔の内部にまで侵入し、目詰まりしやすく、かつ洗浄しにくい構造である。
【0041】
これを解決する手段として、被ろ過物の流れ方向にしたがって孔径を大きくするという方法が有効である。円筒形状にした場合の各層の孔径の変化を予想し、図13に示すように円筒の外側から内側にかけて孔が大きくなるよう、多孔板を作製する段階で、孔径を調整する。もちろん、積層枚数によっては、前記図8に示すような、流入側の第一層目の多孔板のみ孔径を小さくする構成のフィルターを円筒形状にしても良い。
【0042】
図14は、これまでに述べた本発明によるフィルターを、加圧容器に装着したろ過装置の例である。本発明フィルターは、異物粒子がその表層で捕捉されて洗浄しやすいため、オートストレーナーなどと呼ばれる自動洗浄機構を有したろ過装置などに好適である。たとえば図14の場合、本発明による円筒形状のフィルター10の表面に捕捉された異物粒子を、フィルター洗浄用の回転ブラシ11が自動的にかき取る機構を備えている。フィルターのメンテナンスで最も大変なのは、目詰まりしたときのフィルターの交換と洗浄である。本発明フィルターの洗浄性の良さを活かした自動洗浄機構付きろ過装置は、メンテナンスに要する手間とコストを大幅に削減できるものである。
【符号の説明】
【0043】
1.エッチングにより孔を作製した多孔板
2.本発明による積層焼結フィルター
3.被ろ過物の流れの方向
4.エッチング処理前の状態
5.エッチング処理中期の状態
6.エッチング処理後期の状態
7.エッチング処理終了後の状態
8.エッチングの材料となる鋼板
9.エッチング処理におけるマスク
10.本発明による円筒形状のフィルター
11.フィルター洗浄用の回転ブラシ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該孔の各々の位置が正確に揃うようにして該多孔板を複数枚積層し、
さらに該積層された多孔板を焼結(拡散接合)により一体化したことを特徴とするフィルター。
【請求項2】
前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、請求項1に記載のフィルター。
【請求項4】
エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該多孔板を一枚ずつ一定の寸法と方向にずらしながら複数枚積層することにより、該積層された多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面に対してある一定の傾斜角を示すようにし、
さらに該積層された多孔板を焼結により一体化したことを特徴とするフィルター。
【請求項5】
前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、請求項4に記載のフィルター。
【請求項6】
前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、請求項4に記載のフィルター。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の前記フィルターを装備したことを特徴とする、ろ過装置。
【請求項1】
エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該孔の各々の位置が正確に揃うようにして該多孔板を複数枚積層し、
さらに該積層された多孔板を焼結(拡散接合)により一体化したことを特徴とするフィルター。
【請求項2】
前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、請求項1に記載のフィルター。
【請求項4】
エッチングにより作製された金属製多孔板からなるフィルターにおいて、
該多孔板の孔はその縦断面で孔径が異なり、かつ該多孔板の表裏どちらか一方の面で該孔の孔径は最も小さくなっており、
該多孔板の表裏の向きを揃え、かつ該多孔板を一枚ずつ一定の寸法と方向にずらしながら複数枚積層することにより、該積層された多孔板を貫通する孔の中心軸が、該積層された多孔板の表裏いずれか一方の面に対してある一定の傾斜角を示すようにし、
さらに該積層された多孔板を焼結により一体化したことを特徴とするフィルター。
【請求項5】
前記多孔板を複数枚積層する際に、被ろ過物の流入側から見て最表層に位置する多孔板の孔径が、第二層目以降の多孔板の孔径よりも小さくなるように積層したことを特徴とする、請求項4に記載のフィルター。
【請求項6】
前記積層された多孔板を焼結した後、さらに円筒状に成形することよりなるフィルターにおいて、
該円筒状フィルターの外表面になる多孔板の孔径が、該外表面の多孔板よりも内側に位置する多孔板の孔径よりも小さくなるように積層されたことを特徴とする、請求項4に記載のフィルター。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の前記フィルターを装備したことを特徴とする、ろ過装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−147872(P2011−147872A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10560(P2010−10560)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591254291)関西金網株式会社 (6)
【出願人】(505038900)ニチダイフィルタ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591254291)関西金網株式会社 (6)
【出願人】(505038900)ニチダイフィルタ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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