説明

積込量管理システム及び積込量管理方法

【課題】システムコストを低減すると共に、ヒューマンエラーの発生を抑制する。
【解決手段】バックホーによるダンプトラックへの土砂の積込量を管理する積込量管理システム10であって、操作員により操作される積算スイッチ12と、積算スイッチ12が操作された場合に、計測された1回分の積込量W1を累積積込量Lに積算する積算部24Bと、バックホーによるダンプトラックへの土砂の積込動作を検出する積込検出部24Cと、積込検出部24Cにより検出動作が検出されてから次回の積込動作が行われるまでの間に積算スイッチ12が操作されなかった場合に、操作員に対して警告する音声案内装置18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積込装置による運搬車両への積込物の積込量を管理する積込量管理システム及び積込量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルによりダンプトラック等の運搬車両に積込まれる土砂や鉱物等の積込量を管理する積込量管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の積込量管理システムでは、油圧ショベルのブームの旋回角度が所定の角度範囲にあるときにバケットダンプ操作信号が出力された場合、荷重計測装置によりバケット内部の荷重が計測され、計測された荷重が積込量の累積値に積算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―91345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ダンプトラックに積込まれる土砂等の積込量の計測及び積算を自動化した特許文献1に記載の積込量管理システムでは、旋回操作検出プログラムやバケットダンプ操作検出プログラム、その他の多くの制御プログラムが必要となるため、制御が複雑化し、システムコストが増大する。そこで、システムを簡易化するために、ダンプトラックに積込まれる土砂等の積込量の計測や積算を操作員の操作により実施することが考えられるが、この場合には、操作のし忘れやミス等のヒューマンエラーが考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システムコストを低減できると共に、ヒューマンエラーの発生を抑制できる積込量管理システム及び積込量管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る積込量管理システムは、積込装置による運搬車両への積込物の積込量を管理する積込量管理システムであって、操作員により操作される操作手段と、前記積込装置による前記積込物の保持量を計測する保持量計測手段と、前記積込装置による前記運搬車両への前記積込物の積込動作を検出する積込検出手段と、前記積込検出手段により前記積込動作が検出される前の前記保持量計測手段による最大計測値と、前記積込検出手段により前記積込動作が検出された後の前記保持量計測手段による最小計測値との差を演算する積込量演算手段と、前記操作手段が操作された場合に、前記積込演算手段による演算値を累積積込量に積算する積算手段と、前記積込検出手段により前記積込動作が検出された後の所定期間内に前記操作手段が操作されなかった場合に、前記操作員に対して警告する警告手段と、を備える。
【0007】
上記積込量管理システムにおいて、前記所定期間は、前記保持量計測手段による前記保持量の計測値が所定値以上になるまでの期間であってもよい。
【0008】
上記積込量管理システムにおいて、前記積込検出手段により前記積込動作が検出されてから次回の前記積込動作が検出されるまでの間に、前記操作手段が操作された場合に限り、前記所定の積込量を前記累積積込量に積算してもよい。
【0009】
上記積込量管理システムにおいて、前記積込検出手段は、前記保持量検出手段による検出値が所定値以上増加した後に当該所定値以上減少した場合に、前記積込動作を検出してもよい。
【0010】
また、上記積込量管理システムは、前記運搬車両の前記積込物の積込可能な最大量の情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した前記積込可能な最大量と前記累積積込量との差を演算する積込残量演算手段と、前記積込動作検出手段により前記積込動作が検出される前の前記保持量計測手段による最大計測値が、前記積込残量演算手段による演算値より大きい場合に、前記操作員に対して警告する第2の警告手段と、を備えてもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る積込量管理方法は、積込装置による運搬車両への積込物の積込量を管理する積込量管理方法であって、前記積込装置による前記積込物の保持量を計測する工程と、前記積込装置による前記運搬車両への前記積込物の積込動作を検出する工程と、前記積込動作が検出される前の前記保持量の最大計測値と、前記積込動作が検出された後の前記保持量の最小計測値との差を演算する工程と、操作員により操作手段が操作された場合に、演算された前記最大計測値と前記最小計測値との差を、累積積込量に積算する工程と、前記積込動作が検出された後の所定期間内に前記操作手段が操作されなかった場合に、前記操作員に対して警告する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る積込量管理システム及び積込量管理方法によれば、システムコストを低減できると共に、ヒューマンエラーの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】バックホーとダンプトラックとを示す図である。
【図2】積込量管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】積込量管理システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】ブーム圧と積算指令信号と累積積込量との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、油圧ショベルとしてのバックホー100と、バックホー100により建設発生土等の土砂あるいは鉱物(以下、単に土砂という)が積込まれるダンプトラック200とを示す図である。この図に示すように、バックホー100は、走行体102と、走行体102の上に旋回可能に設けられた上部旋回体104と、上部旋回体104に取り付けられたブーム106と、ブーム106の先端に取り付けられたアーム108と、アーム108の先端に取り付けられたバケット110とを備えている。
【0015】
また、バックホー100は、上部旋回体104を鉛直な軸の周りに旋回させる旋回装置112と、ブーム106を水平な軸の周りに回転させて先端側を上下動させるブームシリンダ114と、アーム108を水平な軸の周りに回転させて先端側を上下動させるアームシリンダ116と、バケット110を水平な軸の周りに回転させて上下反転させるバケットシリンダ118とを備えている。
【0016】
また、図中右上に示すように、バックホー100の運転室101内には、操作レバー128と積算スイッチ12とタッチパネル式の表示装置16と音声案内装置18とが設けられている。操作レバー128が前後左右に操作されることで、各シリンダに圧油を供給する操作弁が切換えられ、バックホー100は、以下の掘削・積込動作を実行する。
【0017】
バックホー100は、バケット110で掘削場所の土砂を掘削し、上部旋回体104を旋回させてダンプトラック200のベッセル202の上までバケット110を移動させる。そして、バックホー100は、バケット110を内部が下向きとなる所定の開放角度まで回転させて土砂をベッセル202に積込む。その後、バックホー100は、上部旋回体104を旋回させてバケット110を掘削場所へ移動させ、上記の作業を繰り返して実行する。これにより、ベッセル202に土砂が積込まれていく。ダンプトラック200は、土砂の積込が完了すると、他の場所へ土砂を運搬する。
【0018】
また、積算スイッチ12は、押しボタン式のスイッチであり、この積算スイッチ12が操作されることで、後述するように積込量管理システム10の積込量管理装置20(図2参照)において、ベッセル202への土砂の1回分の積込量が累積積込量に積算される。
【0019】
また、表示装置16は、現在の累積積込量やバケット110が保持している土砂の重量等を表示する等、表示手段として機能する他、各種設定を行う際に操作員により操作される操作手段としても機能する。ここで、上記積込量管理装置20には、ダンプトラック200の車両識別番号と最大積込量との情報が記憶されており、表示装置16の操作手段として、土砂の積込を開始するダンプトラック200を、登録済みのダンプトラック200の中から選択するための車両選択キー16Aが設けられている。また、その他の表示装置16の操作手段として、ダンプトラック200への土砂の積込を開始する際に操作員に操作される積込開始キー16Bと、ダンプトラック200への土砂の積込が完了した際に操作員により操作される積込完了キー16Cとが設けられている。
【0020】
また、音声案内装置18は、積込途中における残りの積込可能量を音声で案内したり、積算スイッチ12が所定のタイミングで操作されなかった場合に音声で警告したり、1回分の積込量が、積込途中における残りの積込可能量を超えている場合に音声で警告したりする。
【0021】
また、バックホー100は、上部旋回体104の旋回角度を検出する旋回角度センサ120と、ブーム106の角度を検出するブーム角度センサ122と、アーム108の角度を検出するアーム角度センサ124と、バケット110の角度を検出するバケット角度センサ126と、バケットシリンダ118の圧力を検出するバケット圧センサ127と、を備えている。
【0022】
図2は、積込量管理システム10の構成を示すブロック図である。この図に示すように、積込量管理システム10は、上記積込量管理装置20と、上記積算スイッチ12と、上記表示装置16と、上記音声案内装置18とを備える。
【0023】
積込量管理装置20は、各種信号を入力する入力インターフェース22と、各種の演算や処理を実行する処理装置24と、演算結果等が格納されるRAM26と、積込量管理プログラムが格納されるROM28と、各種データを出力する出力インターフェース30とを備えている。
【0024】
入力インターフェース22は、バケット圧センサ127から出力されたバケット圧信号Pb、積算スイッチ12の操作信号(以下、積算指令信号という)I、表示装置16から出力される積込開始キー16B及び積込完了キー16Cの操作信号(以下、それぞれを積込開始信号S、積込完了信号Fという)、車両識別番号N、最大積込量MLを入力する。
【0025】
処理装置24は、積込量演算部24Aと、積算部24Bと積込検出部24Cと第1警告信号生成部24Dと積込残量演算部24Eと第2警告信号生成部24Fとを備えており、CPUが積込量管理プログラムをROM28から読み出して後述の処理を実行することにより実現される。
【0026】
処理の概要を述べると、積込量演算部24Aは、積込検出部24Cによりバケット110の積込動作が検出される前のバケット圧Pbの最大値Pbuと、該積込動作が検出された後のバケット圧Pbの最小値Pblとの差W1を演算する。また、積算部24Bは、積算スイッチ12が操作されて積算指令信号Iが入力された場合に、積込量演算部24Aにより演算された積込量W1をRAM26に格納された累積積込量Lに積算して累積積込量Lを更新する。また、積込検出部24Cは、バケット圧Pbの最大値Pbuが、ゼロ点(バケット110の取込量がゼロの場合の出力値)より大きい所定値Pb0以上増加した後に当該所定値Pb0以上減少した場合に、バケット110の積込動作を検出する。
【0027】
また、第1警告信号生成部24Dは、バックホー100によるダンプトラック200への土砂の積込動作が行われてから、次回の積込動作が行われるまでの間に、積算スイッチ12が操作されなかった場合に、警告指令信号WA1を生成する。また、積込残量演算部24Eは、最大積込量MLと累積積込量Lとの差(ML−L)、即ち、残りの積込可能量W2を演算する。さらに、第2警告信号生成部24Fは、バケット圧の最大値Pbuが積込残量演算部24Eによる演算値(ML−L)より大きい場合に、警告指令信号WA2を生成する。
【0028】
出力インターフェース30は、バケット圧の最大値Pbuと、積込量演算部24Aにより演算された積込量W1と、積算部24Bにより更新された累積積込量Lと、積込残量演算部24Eにより演算された残りの積込可能量W2とを表示装置16に出力する。また、出力インターフェース30は、第1警告信号生成部24Dにより生成された警告指令信号WA1と、第2警告信号生成部24Fにより生成された警告指令信号WA2とを音声案内装置18へ出力する。
【0029】
図3は、積込量管理の処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示すように、本処理ルーチンでは、まず、ステップ100において、処理装置24が、ダンプトラック200の車両識別番号N、最大積込量MLを含む車両識別情報を受信したか否かを判定し、判定が肯定された場合にステップ101へ移行する。ステップ101では、処理装置24が、車両識別番号N、最大積込量MLを、RAM26に格納する。
【0030】
次に、ステップ102では、処理装置24が、積込開始信号Sを受信したか否かを判定し、肯定判定された場合にはステップ103へ移行する。このステップ102では、操作員により、表示装置16の積込開始キー16Bが操作されたか否かが判定されている。その後、操作員により操作レバー128が操作されてバケット110で土砂が掬われることになる。
【0031】
ステップ103では、処理装置24(積込残量演算部24E)が、それぞれRAM26に格納されている最大積込量MLと累積積込量Lとの差(ML−L)を演算し、演算値(ML−L)が、バケット圧Pbの最大値Pbuより大きいか否かを判定する。その結果、否定判定された場合にはステップ112へ移行する一方、肯定判定された場合にはステップ104へ移行する。このステップ103では、バケット110の1回分の土砂の掬い量が、積込途中における残りの積込可能量W2を超えているか否かが判定されている。
【0032】
ステップ112では、処理装置24(第2警告信号生成部24F)が、警告指令信号WA2を生成し、出力インターフェース30が、生成された警告指令信号WA2を音声案内装置18へ出力する。音声案内装置18は、操作員に対して音声で警告する。これにより、操作員は、バケット110の1回分の土砂の掬い量が、積込途中における残りの積込可能量W2を超えていることを認識することになり、積込み作業を停止することになる。そして、ステップ109へ移行する。
【0033】
ステップ104では、処理装置24(積込検出部24C)が、バケットセンサ127から出力されたバケット圧Pbの最大値Pbuがゼロ点より大きい所定値Pb0以上であるか否かを判定し、肯定判定された場合にはステップ105へ移行する。このステップ104では、バケット110により土砂が掬われたか否かが判定されている。その後、操作員により操作レバー128が操作されて、バケット110がダンプトラック200のベッセル202上まで移動され、土砂がバケット110からベッセル202に積み込まれることになる。また、操作員により操作レバー128が操作されて、バケット110が、付着した土砂を振り落とす動作を実行することになる。
【0034】
次に、ステップ105では、処理装置24(積込検出部24C)が、バケット圧センサ127から出力されたバケット圧Pbの最小値Pblが上記所定値Pb0未満であるか否かを判定し、肯定判定された場合にはステップ106へ移行する。このステップ105では、土砂がバケット110からベッセル202に積み込まれたか否かが判定されている。
【0035】
次に、ステップ106では、処理装置24が、積算指令信号Iを受信したか否かを判定し、肯定判定された場合にはステップ107へ移行する一方、否定判定された場合にはステップ113へ移行する。このステップ106では、土砂がバケット110からベッセル202に積み込まれてから、操作員により積算スイッチ12が操作されたか否かが判定されている。
【0036】
ステップ107では、処理装置24(積込量演算部24A)が、ステップ104におけるバケット圧Pbの最大値Pbuとステップ105におけるバケット圧Pbの最小値Pblとの差(即ち、積込量)W1を演算する。そして、処理装置24(積算部24B)が、演算された積込量W1を、RAM26に格納されている累積積込量Lに積算する。この際、出力インターフェース30は、最大値Pbuと演算された積込量W1と更新された累積積込量Lとを表示装置16に出力し、表示装置16は、入力された最大値Pbuと積込量W1と累積積込量Lとを表示する。次に、ステップ108へ移行する。
【0037】
一方、ステップ113では、処理装置24(積込検出部24C)が、バケット圧センサ127から出力されたバケット圧Pbの最大値Pbuがゼロ点より大きい所定値Pb0以上であるか否かを判定する。その結果、肯定判定された場合にはステップ114へ移行する一方、否定判定された場合にはステップ106へ移行する。このステップ113では、バケット110により土砂が掬われたか否かが判定されている。
【0038】
ステップ114では、処理装置24(第1警告信号生成部24D)が、警告指令信号WA1を生成する。出力インターフェース30は、生成された警告指令情報WA1を音声案内装置18へ出力し、音声案内装置18は、操作員に対して音声で警告する。その後、ステップ106へ移行する。
【0039】
ステップ108では、処理装置24(積込残量演算部24E)が、それぞれRAM26に格納された最大積込量MLと累積積込量Lとの差(ML−L)、即ち、残りの積込可能量W2を演算する。出力インターフェース30は、演算された残りの積込可能量W2を表示装置16及び音声案内装置18へ出力する。表示装置16は、残りの積込可能量W2を表示し、音声案内装置18は、操作員に対して、残りの積込可能量W2を音声で通知する。
【0040】
次に、ステップ109では、処理装置24が、積込完了信号Fを受信したか否かを判定する。その結果、肯定判定された場合には、ステップ110へ移行する一方、否定判定された場合には、ステップ103へ移行する。
【0041】
ステップ110では、処理装置24が、車両識別番号Nと累積積込量Lと積込日時とを含む情報を生成し、出力インターフェース30が、生成された情報を不図示の通信サーバへ出力する。そして、通信サーバに接続された印刷装置が、車両識別番号Nと累積積込量Lと積込日時を含む情報を印刷する。次に、ステップ111では、処理装置24が、RAM26に格納されている累積積込量Lをリセットする。これで処理ルーチンを終了する。
【0042】
以上、本実施形態に係る積込量管理システム10では、土砂がバケット110で掬われてダンプトラック200のベッセル202に積込まれた後に、積算スイッチ12が操作されると、土砂の累積積込量Lに、計測された1回分の積込量W1が積算される(ステップ104〜107)。一方、土砂がバケット110で掬われてダンプトラック200のベッセル202に積込まれてから次回の積込が開始されるまでの間に、積算スイッチ12が操作されなかった場合には、土砂の累積積込量Lを更新することなく、操作員に対して音声により警告する(ステップ104〜106、113、114)。
【0043】
これにより、土砂の累積積込量Lを、簡易な制御プログラム、及び簡易な情報処理で管理することができ、システムコストを低減できると共に、積算スイッチ12を操作し忘れるというヒューマンエラーの発生を抑制できる。
【0044】
ところで、土砂がバケット110からベッセル202に積込まれてから、土砂がバケット110で掬われるまでの間に、操作員により積算スイッチ12が2回続けて操作される場合が考えられる。ここで、図4のタイミングチャートに示すように、本実施形態に係る積込量管理システム10では、土砂の累積積込量Lが更新されるのは、土砂がバケット110で掬われることによりバケット圧Pbが所定値Pb0以上増加し、その後、土砂がバケット110からベッセル202に積込まれることによりバケット圧Pbが所定値Pb0以上減少した後に、積算スイッチ12が操作された場合に限られる(ステップ104〜107)。このため、土砂の累積積込量Lの更新は、積算スイッチ12の1回目の操作によって実行されるのみで、2回目の操作によって実行されることはない(図4のタイミングチャート中のA部参照)。
【0045】
また、土砂がバケット110で掬われてからバケット110からベッセル202に積み込まれる前に、操作員により積算スイッチ12が操作される場合が考えられる。しかし、本実施形態に係る積込量管理システム10では、土砂がバケット110で掬われることによりバケット圧Pbが所定値Pb0以上増加し、その後、土砂がバケット110からベッセル202に積込まれることによりバケット圧Pbが所定値Pb0以上減少した後に、積算スイッチ12が操作された場合に限られる(ステップ104〜107)。このため、土砂の累積積込量Lの更新が、土砂がバケット110からベッセル202に積み込まれる前に積算スイッチ12が操作された場合に実行されることはない(図4のタイミングチャート中のB部参照)。
【0046】
従って、操作員の積算スイッチ12の誤操作により、土砂の累積積込量Lが誤って更新されることを防止できる。
【0047】
また、本実施形態に係る積込量管理システム10では、最大積込量MLと累積積込量Lとの差(ML−L)である残りの積込可能量W2を演算し、当該残りの積込可能量W2を表示や音声で操作員に通知したり、バケット110の1回分の土砂の掬い量が残りの積込可能量W2よりも多い場合には、表示や音声により警告したりしている(ステップ103、112)。これにより、ベッセル202への土砂の過積載を防止できる。
【0048】
なお、本実施形態では、ダンプトラック200の車両識別番号Nと最大積込量MLとを認識する方法として、予め車両識別番号等をRAM26に登録しておき、登録済みの車両識別番号の中から該当する車両識別番号を操作員に選択させるという方法を用いた。しかし、例えば、ダンプトラック200に、車両識別番号等が格納されたRFIDタグ等の無線タグを取り付け、RFIDリーダ等の無線タグ読取装置を、バックホー100に設置し、無線タグ読取装置により、無線タグに格納された車両識別情報等を読み取るという方法を用いてもよい。この場合、車両識別情報等の認識の他に、ダンプトラック200の停車位置を検出することもでき、この停車位置の検出結果を、各種の制御に用いることができる。また、1台のバックホー100で複数のダンプトラック200に土砂を積み込む場合にも、各ダンプトラック200毎に積込量を管理することができる。
【0049】
また、本実施形態では、バックホー100によるダンプトラック200への土砂の積込動作が終わってから次回の積込動作が行われるまでの期間内に、積算スイッチ12が操作されなかった場合に、操作員に対して警告している。しかし、バックホー100によるダンプトラック200への土砂の積込動作が終わってから所定時間内に、積算スイッチ12が操作されなかった場合に、操作員に対して警告するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、操作員が積算スイッチ12を操作し忘れた場合や、バケット110の1回分の土砂の掬い量が残りの積込可能量W2を超える場合に、操作員に対して音声により警告したが、ブザーや警告灯や警告表示等により警告してもよく、また、これらを組み合わせて警告してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、アタッチメントとしてバケット110を装着したバックホー100によるダンプトラック200への土砂の積込を例にとって本発明を説明した。しかし、アタッチメントとしてグラップルを装着した油圧ショベルによる運搬車両への解体物や材木等の積込にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0052】
10 積込量管理システム、12 積算スイッチ(操作手段)、16 表示装置、18 音声案内装置(警告手段、第2の警告手段)、20 積込量管理装置、22 入力インターフェース(情報取得手段)、24 処理装置、24A 積込量演算部(積込量演算手段)、24B 積算部(積算手段)、24C 積込検出部(積込検出手段)24D 第1警告信号生成部(警告手段)、24E 積込残量演算部(積込残量演算手段)、24F 第2警告信号生成部(第2の警告手段)、26 RAM、28 ROM、30 出力インターフェース、100 バックホー(積込装置)、102 走行体、104 上部旋回体、106 ブーム、108 アーム、110 バケット、112 旋回装置、114 ブームシリンダ、116 アームシリンダ、118 バケットシリンダ、120 旋回角度センサ、122 ブーム角度センサ、124 アーム角度センサ、126 バケット角度センサ、127 バケット圧センサ(保持量計測手段)、128 操作レバー、200 ダンプトラック(運搬車両)、202 ベッセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積込装置による運搬車両への積込物の積込量を管理する積込量管理システムであって、
操作員により操作される操作手段と、
前記積込装置による前記積込物の保持量を計測する保持量計測手段と、
前記積込装置による前記運搬車両への前記積込物の積込動作を検出する積込検出手段と、
前記積込検出手段により前記積込動作が検出される前の前記保持量計測手段による最大計測値と、前記積込検出手段により前記積込動作が検出された後の前記保持量計測手段による最小計測値との差を演算する積込量演算手段と、
前記操作手段が操作された場合に、前記積込演算手段による演算値を累積積込量に積算する積算手段と、
前記積込検出手段により前記積込動作が検出された後の所定期間内に前記操作手段が操作されなかった場合に、前記操作員に対して警告する警告手段と、
を備える積込量管理システム。
【請求項2】
前記所定期間は、前記保持量計測手段による前記保持量の計測値が所定値以上になるまでの期間である請求項1に記載の積込量管理システム。
【請求項3】
前記積込検出手段により前記積込動作が検出されてから次回の前記積込動作が検出されるまでの間に、前記操作手段が操作された場合に限り、前記積込演算手段による演算値を前記累積積込量に積算する請求項1又は請求項2に記載の積込量管理システム。
【請求項4】
前記積込検出手段は、前記保持量計測手段による計測値が所定値以上増加した後に当該所定値以上減少した場合に、前記積込動作を検出する請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の積込量管理システム。
【請求項5】
前記運搬車両の前記積込物の積込可能な最大量の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記積込可能な最大量と前記累積積込量との差を演算する積込残量演算手段と、
前記積込動作検出手段により前記積込動作が検出される前の前記保持量計測手段による最大計測値が、前記積込残量演算手段による演算値より大きい場合に、前記操作員に対して警告する第2の警告手段と、
を備える請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の積込量管理システム。
【請求項6】
積込装置による運搬車両への積込物の積込量を管理する積込量管理方法であって、
前記積込装置による前記積込物の保持量を計測する工程と、
前記積込装置による前記運搬車両への前記積込物の積込動作を検出する工程と、
前記積込動作が検出される前の前記保持量の最大計測値と、前記積込動作が検出された後の前記保持量の最小計測値との差を演算する工程と、
操作員により操作手段が操作された場合に、演算された前記最大計測値と前記最小計測値との差を、累積積込量に積算する工程と、
前記積込動作が検出された後の所定期間内に前記操作手段が操作されなかった場合に、前記操作員に対して警告する工程と、
を備える積込量管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−35973(P2012−35973A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177926(P2010−177926)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】