説明

空ボビンを装着するための運動可能な移動装置を備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械

【課題】綾巻きパッケージを製造する繊維機械を改良して、操作装置を所定に動かすために形成された駆動装置を操作する制御装置を、様々なボビン規格サイズに簡単に適合させることができるものを提供する。
【解決手段】交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じたパラメータを特定するための手段が、駆動装置を所定に操作するために設けられており、手段は、操作エレメントを備えており、駆動装置は、操作エレメントによって手動で制御可能であり、操作装置32,31は、交換されるべき空ボビンに応じて手動で運動可能であり、記憶手段が設けられており、記憶手段に、操作装置32,31の、手動で運動する経路が記憶可能であり、経路は、移動装置によって空ボビン28を自動で装着するために呼出し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械であって、多数の作業部を備え、作業部は、ボビン保持枠内で自由回動可能に支承された綾巻きパッケージを有する少なくとも1つの巻取り装置を備えており、作業部に沿って移動可能な移動装置が、ボビン保持枠に空ボビンを装着するように形成されていて、かつ様々な操作装置と駆動装置とを備えており、駆動装置は、制御装置に接続されていて、かつ交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて操作装置を所定に動かすために所定に操作可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書において、自動綾巻き機の巻返し部において機能する綾巻きパッケージ交換装置が開示されており、綾巻きパッケージ交換装置は、走行部を備え、走行部を介して、綾巻きパッケージ交換装置は、繊維機械の機械長さの走行軌道に沿って支持されており、繊維機械の多数の巻返し部のボビン保持枠を操作するための保持枠持上げ装置および保持枠開放装置を備え、機械独自の綾巻きパッケージ搬送装置に綾巻きパッケージを引渡すためのボビン案内装置を備え、巻返し部のボビン保持枠に空ボビンを新たに交換するためのボビングリッパを備える。保持枠持上げ装置および保持枠開放装置は、それぞれ独立した駆動装置を備えており、駆動装置は、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続されていて、かつ綾巻きパッケージ/空ボビンの交換工程の間に所定に操作可能であり、新たに交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて、該当する巻返し部のボビン保持枠の回転軸の高さ位置ならびにボビン保持枠の開放幅が精確に調節可能である。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書は、操作装置から出発しており、操作装置は、カムディスクを介して強制的に操作され、その際、カムエディスクは、カムディスクのセットにまとめられ、共通のモータにより駆動される。前掲明細書に記載の構成は、要求される場合には柔軟であり、つまり、綾巻きパッケージ交換装置および/または繊維機械の作業部において面倒な変更手段もしくは調節手段を設けることなく様々な作業要求に対応することができる。独立した個々の駆動装置を使用することによって、各操作装置は、特に相互に独立して調節することができ、空ボビンを装着するために、常に最適な位置を占め、交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて常に、ボビン保持枠への空ボビンの確実な引渡しが保証される位置に位置決めすることができる。
【0004】
もちろん様々なボビンに綾巻きパッケージを柔軟に適合させるために、各操作装置は、必ずしも独自の駆動装置を備える必要はない。相対位置が別のボビン規格サイズに基づいて変化しない操作装置は、一般的に、共通の駆動装置によって動かして、適切な伝動装置を介して相互に結合することができる。さらに調節可能な伝動装置を使用することも考えられる。つまり、機械式に相互に結合された複数の操作装置は、共通の駆動装置によって動かされ、伝動装置の調節により別の空ボビンに対して適合させられる。そのような調節は、調節駆動装置によって実現され、調節駆動装置は、たとえば伝動装置の一部であるカム軸の作用点を変化させる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書には、新たに交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて操作装置が調節可能であるように駆動装置を操作するために、どのようにして制御装置を形成するのか開示されている。しかしながらその前提として、制御装置に、新たに交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて適切なパラメータを設定する必要がある。そのようなパラメータの特定は一般的ではなく、パラメータは、通常、繊維機械の作業員によって求められる。ボビンに応じたパラメータを作業員に提供する必要があるが、作業員は、パラメータを制御装置に入力するだけでよい。パラメータは、各開発段階のボビン構成に応じて経験により求める必要がある。作業員が繊維機械に用いられる任意のボビン規格サイズを独自に選択することは、不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような綾巻きパッケージを製造する繊維機械を改良して、操作装置を所定に動かすために形成された駆動装置を操作する制御装置を、様々なボビン規格サイズに簡単に適合させることができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために本発明の構成では、綾巻きパッケージを製造する繊維機械であって、多数の作業部を備え、作業部は、ボビン保持枠内で自由回動可能に支承された綾巻きパッケージを有する少なくとも1つの巻取り装置を備えており、作業部に沿って移動可能な移動装置が、ボビン保持枠に空ボビンを装着するように形成されていて、かつ様々な操作装置と駆動装置とを備えており、駆動装置は、制御装置に接続されていて、かつ交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じて操作装置を所定に動かすために所定に操作可能であるものにおいて、交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じたパラメータを特定するための手段が、駆動装置を所定に操作するために設けられており、該手段は、操作エレメントを備えており、駆動装置は、操作エレメントによって手動で制御可能であり、操作装置は、交換されるべき空ボビンに応じて手動で運動可能であり、記憶手段が設けられており、該記憶手段に、操作装置の、手動で運動する経路(距離)が記憶可能であり、該経路は、移動装置によって空ボビンを自動で装着するために呼出し可能である。
【0009】
好適には、制御装置は、操作装置の、記憶された、手動で運動する経路を、1つのロットに割り当てるように、形成されている。
【0010】
好適には、同じロットを新たに処理する際に、操作装置の、記憶された、手動で運動する経路が呼出し可能である。
【0011】
好適には、当該繊維機械は、複数のロットを並行して処理するために形成されており、移動装置が、操作を必要する作業部に割り当てられたロットを確認するために形成されており、操作装置の、該ロットに割り当てられた手動で運動する経路が、移動装置によって空ボビンを自動で装着するために呼出し可能である。
【0012】
好適には、相互に関係する複数の操作装置は、相互に連動して手動で運動する。
【0013】
好適には、操作装置に、空ボビンがボビン保持枠に装着されていない場合に該操作装置が占める停止位置が割り当てられており、手動で運動する経路を記憶させるために、操作装置の目標位置が記憶可能である。
【0014】
好適には、操作装置の目標位置の記憶が、操作エレメントによって行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成では、交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じたパラメータを特定するための手段が、駆動装置を所定に操作するために設けられている。この手段は、操作エレメントを備えている。駆動装置は、操作エレメントによって手動で制御可能であり、したがって操作装置は、交換されるべき空ボビンに応じて手動で運動可能である。記憶手段が設けられており、記憶手段に、操作装置の、手動で運動する経路が記憶可能であり、この経路は、移動装置によって空ボビンを自動で装着するために呼出し可能である。
【0016】
本発明による繊維機械によって、作業員は、パラメータを特定する際に補助される。作業員は、単に、駆動装置を、手動で操作エレメントによって操作して、各ボビン規格サイズに応じた位置に移動させればよい。作業員がパラメータの数値を求める必要はない。手動で運動する経路が記憶可能であるので、パラメータは、大体において繊維機械によって検出される。したがって様々なボビン規格サイズに簡単に適合させることができる。
【0017】
駆動装置に関して、ボビン固有のパラメータが特定され、その際、駆動装置は、独立した個々の駆動装置として形成してよい。要するに、ボビン規格サイズに対する適合に関与する操作装置は、独自の駆動装置を備えている。ボビン固有のパラメータが特定される駆動装置は、操作装置の運動経過を規定する伝動装置の調節駆動装置であってもよい。そのような調節駆動装置と、操作装置を空ボビンの装着中に駆動する駆動装置との組み合わせであってもよい。
【0018】
好適には、制御装置は、操作装置の、記憶された、手動で運動する経路を、1つのロットに割り当てるように、形成されている。同じロットを新たに処理する際に、操作装置の、記憶された、手動で運動する経路がメモリから呼出し可能である。このようにして交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じたパラメータは、毎回ではなく一度だけ新たに特定すればよい。既に特定されたパラメータは、繰返し使用することができる。
【0019】
本発明の別の構成では、当該繊維機械は、複数のロットを並行して処理するために形成されている。移動装置が、操作を必要する作業部に割り当てられたロットを確認するために形成されている。操作装置の、ロットに割り当てられた手動で運動する経路は、移動装置によって空ボビンを自動で装着するために呼出し可能である。このような構成によって、移動装置は、複数のロットに並行して用いることができる。したがって実際の複数のロット処理が保証される。
【0020】
本発明の別の構成によれば、相互に関係する複数の操作装置は、相互に連動して手動で運動することができる。相互に関係するそのような操作装置は、たとえば保持枠持上げ装置(保持枠持上げ装置はボビン保持枠を引渡し位置に運動させる)およびボビングリッパ(ボビングリッパは空ボビンをボビン保持枠に装着する)である。第1の操作装置の変化により、第2の操作装置の変化がもたらされる。相互に関係する操作装置の、手動で運動する経路は、相互に調整する必要がある。このことは、たとえば運動経路を交互に調節することによって達成される。複数の操作装置の連続的な運動では、不都合な引渡し位置にガイドされる恐れがある。
【0021】
本発明の好適な構成によれば、操作装置に、空ボビンがボビン保持枠に装着されていない場合に操作装置が占める停止位置が割り当てられており、手動で運動する経路を記憶させるために、操作装置の目標位置が記憶可能である。目標位置だけを記憶させる場合、記憶手段の必要な容量が低減される。各操作装置が1つの自由度しか有していない場合、開始位置および目標位置から、明確に、移動する経路が得られる。操作装置が複数の自由度を有している場合、目標位置は、部分装置によって記憶させることができる。たとえばグリッパアームが2つのアームを有している場合、各アームの目標位置が検出される。
【0022】
操作装置の目標位置の記憶は、好適には操作エレメントによって行われる。作業員は、簡単に、どの位置を記憶させるか特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による、多数の作業部と移動可能な綾巻きパッケージ交換装置とを備えた自動綾巻き機を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った、自動綾巻き機の手前に位置決めされた綾巻きパッケージ交換装置と共に、自動綾巻き機の作業部を示す側方断面図である。
【図3】綾巻きパッケージ交換装置のボビン保持枠と、ボビン保持枠に対して位置決めされたボビン供給装置とを備えた作業部を示す部分図である。
【図4】綾巻きパッケージ交換装置のボビン保持枠と、ボビン保持枠に対して位置決めされたヤーン持上げ装置とを備えた作業部を示す部分図である。
【図5】図4を別の角度でみた部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
【0025】
図1には、符号1を付した自動綾巻き機を正面図で略示する。このような自動綾巻き機は、通常、フレーム端部35,36の間に、同一の多数の作業部、好適には巻返し部2を備えている。巻返し部2において、公知でありしたがって詳説しないが、図示していないリング精紡機で生産される紡績コップ9が、容積の大きな綾巻きパッケージ11に巻返される。完成した綾巻きパッケージ11は、自動の綾巻きパッケージ交換装置23によって、繊維機械独自の綾巻きパッケージ搬送装置21に引き渡され、次いで、機械端部側に配置された図示していないパッケージ貯蔵ステーションなどに搬送される。
【0026】
このような自動綾巻き機1は、通常、ボビン搬送系3の構成をした物流装置を備えている。ボビン搬送系3では、搬送皿8上で紡績コップ9もしくは紡績コップ用の空ボビン34が循環する。
【0027】
さらにそのような自動綾巻き機1は、中央制御ユニット37を備えており、中央制御ユニット37は、たとえば機械バス40を介して、個々の巻返し部2の作業部計算機39や巻返し部2に作用する綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38と接続されている。綾巻きパッケージ交換装置23は、走行部24,25により、巻返し部2の上方に配置された機械長さの走行軌道26,27に沿って移動可能に支承されている。駆動ローラ24A,24Bは、独立した駆動装置、好適にはステップモータ70,71に接続されていて、綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38を介して所定に操作することができる。綾巻きパッケージ交換装置23は、巻返し部2において完成した綾巻きパッケージ11を規定通りに綾巻きパッケージ搬送装置21に引渡すために用いられるだけでなく、綾巻きパッケージ用の空ボビン28を自動で該当する巻返し部2のボビン保持枠18に供給して交換するためにも用いられる。綾巻きパッケージ交換装置23は、相応の綾巻きパッケージ用の空ボビン28を、それぞれ巻返し部2の上位に配置された、好適には巻返し部に固有の空ボビンマガジン22から取り出す。
【0028】
上述のように、このような自動綾巻き機1は、ボビン搬送系3を備えており、ボビン搬送系3のうち、図2には、単に、機械長さの紡績コップ供給区間4、これとは反対の巻返し部側に延在する、可逆に駆動される貯蔵区間5、巻返し部2にガイドされる横方向搬送区間6ならびに空ボビン戻しガイド区間7が看取される。割合少ない糸量を有する紡績コップ9は、横方向搬送区間6の付近に位置する繰出し位置10において、大量の綾巻きパッケージ11に巻き返される。このために個々の巻返し部2は、既知であるので示唆するにとどめるが、このような作業部の規定通りの運転を保証する様々な装置を備えている。図2には、そのような1つの巻返し部2を側面図で示しており、巻返し部2に、綾巻きパッケージ交換装置23が位置決めされている。
【0029】
図2において、紡績コップ9から綾巻きパッケージ11に走行するヤーンには符号30を、独自の巻返し部の吸込ノズルには符号12を、グリッパ管には符号42を、撚継ぎぎ装置には符号13を、テンション装置には符号14を、ヤーン切断装置を備えたヤーンクリアラ(スラブキャッチャ)には符号15を、パラフィン処理装置には符号16を付している。このような巻返し部2は、さらに電動モータ式の独立した駆動装置50によって駆動される巻取りドラム17を備えており、巻取りドラム17は、摩擦接続を介して、巻取り工程中にボビン保持枠18に保持される綾巻きパッケージ11を駆動する。図示の実施の形態では、軸19を中心に旋回可能に支承されたボビン保持枠18の下方で、同様に旋回軸19を中心に制限された範囲で回動可能に旋回板20が配置されており、旋回板20を介して、完成した綾巻きパッケージ11が、巻返し部2の後方に延在している綾巻きパッケージ搬送装置21に引渡し可能である。
【0030】
図2から看取されるように、自動綾巻き機1の巻返し部2には、自動の綾巻きパッケージ交換装置23によってボビンが供給される。要するに、綾巻きパッケージ交換装置23は、所定の直径に達する綾巻きパッケージ11を、綾巻きパッケージ搬送装置21に引渡し、次いで綾巻きパッケージ用の空ボビン28をボビン保持枠18に新たに交換する。綾巻きパッケージ交換装置23は、空ボビン28を、たとえば巻返し部に対応する独自の空ボビンマガジン22から取り出す。
【0031】
図2には、綾巻きパッケージ交換装置23の、綾巻きパッケージ/空ボビンの交換工程中に必要な、独自のモータにより駆動可能な操作装置を示している。主要な操作装置に、保持枠開放装置29、保持枠持上げ装置32、パッケージガイド装置33、ボビン供給装置31ならびにヤーン持上げ装置41が含まれる。図2では、操作装置は、依然として非作動状態であり、静止位置にある。
【0032】
個々の操作装置は、ステップモータを介して所定に操作可能であり、ステップモータは、このために、制御ラインを介して、綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38に接続されている。制御装置38に対応して、綾巻きパッケージ交換装置に配置された操作エレメント38Aが配置されている。操作エレメント38Aは、キーを備えており、キーを用いて、作業員は、綾巻きパッケージ交換装置23の調節を行うことができる。制御装置38のメモリ38Bには、綾巻きパッケージ交換装置23の運転に必要なパラメータを記憶させることができる。
【0033】
以下に、図3に基づいて、保持枠持上げ装置32およびボビン供給装置31の駆動装置を所定に操作するための、交換しようとする空ボビン28の形状や規格サイズに応じたパラメータの特定について言及する。図3には、ボビン収容部18A,18Bとボビン供給装置31とを備えたボビン保持枠18を示す。ボビン供給装置31は、ボビン28を、ボビン収容部18Aとボビン収容部18Bとの間に位置決めする。保持枠持上げ装置32は、ボビン保持枠18に作用して、これを位置決めする。先ず、作業員は、綾巻きパッケージ交換装置23の操作エレメント38Aにおいて、特定のキーの組み合わせにより、制御装置38に、前述の操作装置の駆動パラメータを新たな空ボビンに調節するよう伝達する必要がある。そのあとで操作エレメント38Aに、駆動装置が調節可能であると表示される。保持枠持上げ装置32とボビン供給装置31とは、相互に関係していて、したがって連動して調節される。操作装置を手動で動かすために2つのキーが提供され、2つのキーは、各駆動装置を、双方向のうちの一方に動かす。作業員によるキーの操作は、制御装置38によって、操作装置の駆動装置のための適切な制御信号に変換される。第3のキーは、保持枠持上げ装置32とボビン供給装置31との両方の駆動装置の間で切替わる。両方の駆動装置は、作業員によって、綾巻きパッケージ用のボビン28がボビン保持枠18と軸線60上で一致するように動かす必要がある。好適には、調節は、軸の一致に対して追加的に、巻取りドラム17の上縁からボビン28の下縁が所定の間隔を維持するように行われる。正確な位置が得られると、直ちに作業員は、この位置を目標位置として記憶させる。保持枠持上げ装置32およびボビン供給装置31の位置は、操作工程において記憶させられる。制御装置38は、運動経路もしくは移動する目標位置を相応に評価して、そこから、目標位置を表す、記憶させる必要があるパラメータを求める。パラメータは、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置38のメモリ38Bに記憶させられ、その際、ロットに割り当てられる。このようにしてパラメータは、あとで繰返し使用可能であり、同じロットで新たに生産する際に、新たに特定する必要はない。操作装置の駆動パラメータは、選択的または追加的に、中央制御ユニット37に割り当てられたメモリに格納することができる。このことは、ロットのデータが通常中央制御ユニットにより管理されるので、特に1つのロットに対する割り当てに関して好適である。
【0034】
図4および図5には、ヤーン持上げ装置41のパラメータ変更を示す。操作エレメント38Aの操作は、前述の操作工程に相当し、ここでは詳説しない。ヤーン持上げ装置41は、ガイドアーム41Aと旋回アーム41Bとを備えており、ガイドアーム41Aおよび旋回アーム41Bは、それぞれ独自の駆動装置により運動する。ヤーン持上げ装置41は、2つの自由度を有しているが、これらの自由度は、個別に調節することができる。空ボビン28の装着に際してヤーン持上げ装置41の目標位置ひいてはヤーン持上げ駆動装置のボビン固有のパラメータを求めるために、作業員は、ガイドアーム41Aを、先ず図4に示すように、手動で矢印61方向に移動させる。ガイドアーム41Aの縁部41Cが空ボビン28の縁部28Aと一致すると、ガイドアーム41Aの目標位置が得られる。そのあとで旋回アーム41Bは、図5に示すように、手動で矢印62方向に旋回させられる。旋回アーム41Bは、空ボビン28にほとんど接触するまで、空ボビン28に向かって動かされる。これにより目標位置が得られる。ガイドアーム41Aおよび旋回アーム41Bの目標位置は、まとめて記憶させ、ロットに割り当てることができる。
【0035】
別の操作装置は、相応に手動で調節することができ、空ボビンの駆動装置を所定に操作するための、空ボビンの規格サイズに応じたパラメータを特定することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 自動綾巻き機、 2 巻返し部、 3 ボビン搬送系、 4 紡績コップ供給区間、 5 貯蔵区間、 6 横搬送区間、 7 空ボビン戻しガイド区間、 8 搬送皿、 9 紡績コップ、 10 繰出し位置、 11 綾巻きパッケージ、 12 吸込ノズル、 13 撚継ぎ装置、 14 テンション装置、 15 ヤーンクリアラ、 16 パラフィン処理装置、 17 巻取りドラム、 18 ボビン保持枠、 18A,18B ボビン収容部、 19 軸、 20 旋回板、 21 綾巻きパッケージ搬送装置、 22 空ボビンマガジン、 23 綾巻きパッケージ交換装置、 24,25 走行部、 24A,24B 駆動ローラ、 26,27 走行軌道、 28 空ボビン、 28A 縁部、 29 保持枠開放装置、 30 ヤーン、 31 ボビン供給装置 32 保持枠持上げ装置、 33 パッケージガイド装置 34 空ボビン、 35,36 フレーム端部、 37 中央制御ユニット、 38A 操作エレメント、 38B メモリ、 39 作業部計算機、 40 機械データバス、 41 ヤーン持上げ装置、 41A ガイドアーム、 41B 旋回アーム、 41C 縁部、 42 グリッパ管、 50 駆動装置、 60 軸、 61 矢印、 62 矢印、 70,71 ステップモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)であって、多数の作業部(2)を備え、該作業部(2)は、ボビン保持枠(18)内で自由回動可能に支承された綾巻きパッケージ(11)を有する少なくとも1つの巻取り装置を備えており、作業部(2)に沿って移動可能な移動装置(23)が、ボビン保持枠(18)に空ボビン(28)を装着するように形成されていて、かつ様々な操作装置(29,32,31,41)と駆動装置とを備えており、該駆動装置は、制御装置(38)に接続されていて、かつ交換されるべき空ボビン(28)の規格サイズに応じて操作装置(29,32,31,41)を所定に動かすために所定に操作可能であるものにおいて、
交換されるべき空ボビンの規格サイズに応じたパラメータを特定するための手段(38,38A)が、駆動装置を所定に操作するために設けられており、該手段(38,38A)は、操作エレメント(38A)を備えており、駆動装置は、操作エレメント(38A)によって手動で制御可能であり、操作装置(29,32,31,41)は、交換されるべき空ボビンに応じて手動で運動可能であり、記憶手段(38B)が設けられており、該記憶手段(38B)に、操作装置(29,32,31,41)の、手動で運動する経路が記憶可能であり、該経路は、移動装置(23)によって空ボビン(28)を自動で装着するために呼出し可能であることを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械。
【請求項2】
制御装置(38)は、操作装置(29,32,31,41)の、記憶された、手動で運動する経路を、1つのロットに割り当てるように、形成されている、請求項1記載の繊維機械。
【請求項3】
同じロットを新たに処理する際に、操作装置(29,32,31,41)の、記憶された、手動で運動する経路が呼出し可能である、請求項2記載の繊維機械。
【請求項4】
当該繊維機械(1)は、複数のロットを並行して処理するために形成されており、移動装置(23)が、操作を必要する作業部(2)に割り当てられたロットを確認するために形成されており、操作装置(29,32,31,41)の、該ロットに割り当てられた手動で運動する経路が、移動装置(23)によって空ボビン(28)を自動で装着するために呼出し可能である、請求項2記載の繊維機械。
【請求項5】
相互に関係する複数の操作装置(32,31,41A,41B)は、相互に連動して手動で運動する、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
操作装置(29,32,31,41)に、空ボビン(28)がボビン保持枠(18)に装着されていない場合に該操作装置(29,32,31,41)が占める停止位置が割り当てられており、手動で運動する経路を記憶させるために、操作装置(29,32,31,41)の目標位置が記憶可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項7】
操作装置(29,32,31,41)の目標位置の記憶が、操作エレメント(38A)によって行われる、請求項6記載の繊維機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−1372(P2012−1372A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131558(P2011−131558)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】