説明

空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置

【課題】簡単な構成で軸受の潤滑グリースの寿命を正確に予知し、潤滑グリースの寿命に起因する軸受の故障により想定外に早期に空冷式真空ポンプが停止するのを防止できる空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置を提供すること。
【解決手段】空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置であって、軸受温度を直接又は間接的に測定する温度測定手段と、軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する軸受寿命予知手段と、真空ポンプを保護する真空ポンプ保護手段と、を備え、軸受寿命予知手段は、温度測定手段で測定された軸受温度により軸受のグリース状態を把握し、該軸受温度が予め設定した許容値温度以上になった場合に該グリースの寿命として軸受寿命を予知し、真空ポンプ保護手段を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷式真空ホンプの軸受の寿命を正確に予知することができる軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小容量、且つオイルフリーで真空が得られる真空ポンプが所望されている。この種の真空ポンプとして、例えば特許文献1に開示された真空ポンプユニットがある。この真空ポンプユニットは、外気側に配置されたメインポンプと、真空側に配置されるブースターポンプとを備える。ブースターポンプとメインポンプとは直列に接続され、ブースターポンプはメインポンプより高い排気速度を有している。ブースターポンプ及びメインポンプは、それぞれ、1対のポンプロータと、吸気口及びは排気口を有するケーシングと、1対のマグネットロータとを備えている。
【0003】
上記真空ポンプは空冷であるため、電源のみのユーティリティで運転できることが特長である。ポンプより発生した気体圧縮熱やモータ損失、軸受損失等により発生する熱は、空中に放熱して連続運転を可能にしている。
【0004】
しかしながら、上記真空ポンプは空冷であるがゆえに、真空ポンプの運転動作について外気温の影響を受けやすい。特に、真空ポンプモジュールに使用している転がり軸受に封入される潤滑グリースの寿命は、通常、軸受自体の疲労による使用寿命より短いため、軸受自体の寿命は潤滑グリース寿命に依存することになる。ここで、潤滑グリースの寿命は、動作温度に大きな影響を受ける。例えば、真空ポンプ用軸受のグリースによく使用される蒸気圧の低いフッ素系グリースでは、動作温度が30℃上昇すると、寿命が約1/4になる場合もある。
【0005】
潤滑グリースの寿命に起因する軸受の故障(潤滑不良による焼き付き等)により、想定外に早期に空冷式真空ポンプが停止することを防ぐためには、空冷式真空ポンプの軸受の寿命を精度良く予知する必要がある。
【0006】
軸受寿命の診断装置としては、特許文献2に開示された転がり軸受の寿命診断装置がある。この転がり軸受の寿命診断装置は、転がり軸受におけるゴミ混入状態又は潤滑剤の劣化と振動・軸受寿命との関係を実験装置により採取する基礎データ採取手段と回転機器に備えられた被診断転がり軸受について、加速度センサを用いて振動信号を求め、最も高感度検出が可能な共振周波数帯信号又は高周波信号を測定する測定手段と、測定手段により求めた測定値と、基礎データ採取手段で求めたデータとを用いて、被診断転がり軸受のゴミ混入状態と潤滑剤劣化状態を推定し、被診断転がり軸受の余寿命を算出する判定手段とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−231935号公報
【特許文献2】特開2004−3891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に開示された転がり軸受の寿命診断装置は、軸受の潤滑剤の状態を根拠に転がり軸受の寿命を早期に推定できるが、装置自体が大掛かりで、構成が複雑であるという問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で軸受の潤滑グリースの寿命を正確に予知し、潤滑グリースの寿命に起因する軸受の故障により想定外に早期に空冷式真空ポンプが停止するのを防止できる空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する方法であって、軸受温度を直接又は間接的に測定し、該測定した軸受温度でグリース状態を把握し、該軸受温度が予め設定した許容値温度以上になった場合にグリースの寿命として軸受寿命を予知することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法において、軸受温度を間接的に測定するとは、該軸受温度と相関するケーシング温度又は周囲温度を測定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置であって、軸受温度を直接又は間接的に測定する温度測定手段と、軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する軸受寿命予知手段と、真空ポンプを保護する真空ポンプ保護手段と、を備え、軸受寿命予知手段は、温度測定手段で測定された軸受温度により軸受のグリース状態を把握し、該軸受温度が予め設定した許容値温度以上になった場合に該グリースの寿命として軸受寿命を予知し、真空ポンプ保護手段を動作させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置であって、軸受温度を直接又は間接的に測定する温度測定手段と、軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する軸受寿命予知手段と、真空ポンプを保護する真空ポンプ保護手段と、を備え、軸受寿命予知手段は、軸受の動作時間を測定する計時手段と、温度による前記グリース寿命を係数で評価決定する係数決定手段と、係数決定手段で評価決定された係数と計時手段で計時された該評価決定された係数温度での動作時間を乗算して乗算値を得ると共に、該乗算値を積算する演算手段とを備え、該乗算値の積算値でグリースの状態を把握し、該積算値が予め設定した許容値以上になった場合にグリースの寿命として軸受の寿命を予知し、真空ポンプ保護手段を動作させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置において、軸受温度を間接的に測定する温度測定手段は、該軸受温度と相関するケーシング温度又は周囲温度を測定する温度測定手段であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置において、真空ポンプ保護手段は、警報発生、真空ポンプの強制停止、真空ポンプの再起動不可のいずれか1つ又は2つ以上の機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、空冷式真空ポンプの軸受寿命を軸受温度によりグリースの状態を把握し、該軸受温度が予め設定された許容温度以上となった場合にグリースの寿命として軸受の温度による寿命により予知するので、軸受の温度を直接又は間接的に測定するだけで、軸受の寿命を予知できる。
【0017】
また、本発明は、温度による軸受のグリース寿命を係数で評価決定し、該評価決定された係数と該評価決定された係数温度での軸受の動作時間を乗算して乗算値を得、該乗算値を積算し、該積算値でグリース状態を把握し、該積算値が予め設定した許容値以上になった場合にグリースの寿命として軸受の寿命として予知するので、正確に軸受の寿命を予知できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置を採用する空冷式真空ポンプユニットの構成例を示す図である。
【図2】本発明に示す空冷式真空ポンプのユニット周囲温度と各部温度との相関を示す図である。
【図3】本発明に係る軸受寿命予知装置の真空ポンプの軸受温度によるグリース寿命を係数で評価決定する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明に係る軸受寿命予知方法及び軸受寿命予知装置を採用する空冷式真空ポンプユニットの構成例を示す図である。本空冷式真空ポンプユニット1はブースターポンプモジュール4とメインポンプモジュール5を備え、ブースターポンプモジュール4は取付台8に横置に取付けられ、メインポンプモジュール5は取付台8に縦置きに取付けられている。ブースターポンプモジュール4はモータ部10とポンプ部11とからなり、メインポンプモジュール5もモータ部10とポンプ部11からなる。
【0020】
6は外装カバーであり、取付台8に取付けられたブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5は、該外装カバー6内に収容配置されている。また、ブースターポンプモジュール4の下部には電装部品3が配置されている。また、外装カバー6の底部には内部に放熱板が配置された構成の空気流路13が設けられ、該空気流路13の左側端部には空気取り込み口13aが設けられている。また、外装カバー6のブースターポンプモジュール4側側面には空気取り込みフード16が設けられ、該空気取り込みフード16の下端には空気取り込み口16aが設けられている。また、外装カバー6のメインポンプモジュール5側側面にはファンフード17が設けられ、ファンフード17の下端には空気吐出し口17aが設けられている。18はファンフード17の側部にある冷却ファンである。
【0021】
ブースターポンプモジュール4のポンプ部11は、一対のスクリューロータからなるポンプロータ11aを備え、それぞれのポンプロータ11aはポンプ側の軸受12bとモータ側の軸受12aにより回転自在に支承され、モータ部10のロータの回転力を受けて回転するようになっている。また、メインポンプモジュール5のポンプ部11も、一対のスクリューロータからなるポンプロータ11aを備え、それぞれのポンプロータ11aはポンプ側の軸受12bとモータ側の軸受12aにより回転自在に支承され、モータ部10のロータの回転力を受けて回転するようになっている。
【0022】
ブースターポンプモジュール4とメインポンプモジュール5は直列に接続され(ブースターポンプモジュール4の吐出口はメインポンプモジュール5の吸込口に接続され)ている。ブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5を運転することにより、ブースターポンプモジュール4のケーシングの吸込口に取付けられた吸気管14から吸込まれた気体はポンプロータ11aの回転により圧縮され、メインポンプモジュール5の吸込口に送られる。メインポンプモジュール5のポンプ部11に送られた気体は、メインポンプモジュール5のポンプロータ11aの回転により圧縮され、該メインポンプモジュール5のケーシングの吐出口に取り付けられた排気管15を通って本空冷式真空ポンプユニット1の外へ吐出される。
【0023】
冷却ファン18を回転させることにより、空気取り込みフード16の下端の空気取り込み口16aから流入した冷却空気は、矢印Aに示すように、外装カバー6内の空間19を通って流れ、外装カバー6の右内側面に設けた排出口(図示せず)から、ファンフード17内に流れ込み、下端の空気吐出し口17aから外部に排気される。
【0024】
また、冷却ファン18を回転させることにより、空気流路13の左側端部の空気取り込み口13aから流入した冷却空気は、矢印Bに示すように、空気流路13内に位置する放熱板に接触しながら流れ、該空気流路13の右端部の空気吐出口(図示せず)から外装カバー6内の空間19内に流れ込む。該空間19内に流れ込んだ空気はメインポンプモジュール5のポンプ部11の側部を通ってファンフード17に流れ込み、その下端の空気吐出し口17aから外部に排気される。
【0025】
上記空冷式真空ポンプユニット1において、運転中、電装部品3、ブースターポンプモジュール4、及びメインポンプモジュール5で発生した熱は、図1の矢印Cに示すように移動し、空気流路13内に位置する放熱板に伝熱される。ここで冷却ファン18により空気流路13の空気取り込み口13aから流入した冷却空気は、矢印Bに示すように流れ、空気流路13内に露出する放熱板の放熱フィンに接触しながら流れ、放熱板に集った熱を効率良く放熱する。
【0026】
更にメインポンプモジュール5のポンプ部11の外側壁面に取り付けられた図示しない放熱板の放熱フィンに接触し、該ポンプ部11を冷却する。また、空気取り込みフード16の下端の空気取り込み口16aから流入した冷却空気は、矢印Aに示すように外装カバー6内の空間19に流れ込み、ブースターポンプモジュール4のモータ部10及びポンプ部11の外壁側面に取り付けられた図示しない放熱板の放熱フィンに接触し、モータ部10及びポンプ部11を冷却し、更にメインポンプモジュール5のモータ部10の外側壁面に取り付けられた図示しない放熱板の放熱フィンに接触し、該モータ部10を冷却する。上記矢印A、Bに示す空気の流れは、その後ファンフード17内に流れ込み、下端の空気吐出し口17aから外部に排気される。
【0027】
上記空冷式真空ポンプユニット1において、ブースターポンプモジュール4の軸受12a、12b、メインポンプモジュール5の軸受12a、12bには、潤滑剤として潤滑グリースを封入した転がり軸受を使用している。この潤滑グリースを封入した転がり軸受の寿命は上述したように。潤滑グリースの寿命に依存する。また、上記のように潤滑グリースの寿命は動作温度に大きな影響を受ける。従って、軸受の寿命を適格、且つ正確に予知するには、軸受温度を精度良く検知し、監視する必要がある。
【0028】
上記空冷式真空ポンプユニット1において、軸受温度が高くなる軸受は、発生熱量が大きいメインポンプモジュール5の軸受12a、12bであり、その中でもモータ側の軸受12aの軸受温度が高くなる。メインポンプモジュール5の軸受12a、12bの温度を測定するには、軸受12a、12bの外輪に温度センサを設置して直接軸受温度を測定するのが良い。但し、軸受外輪に温度センサを設置して、直接温度測定を行うこと、温度センサの設置や温度センサの検出信号の引き出し等が困難な場合は、軸受温度との相関が得られるところであれば、外装カバー6内のポンプケーシングや電装部品3の制御基板に設けてもよい。
【0029】
本実施形態では、図1の星(★)印を付したP1乃至P6の位置に温度センサーを設置している。即ち、P1:メインポンプモジュール5のケーシング表面のモータ側の軸受12aの近傍、P2:メインポンプモジュール5のケーシング表面のポンプ側の軸受12bの近傍、P3:取付台8のブースターポンプモジュール4の近傍、P4:電装部品3の取付位置の制御基板上、P5:外装カバー6内の空間19のブースターポンプモジュール4のモータ部10の近傍、P6:空気流路13の空気取り込み口13aの近傍にそれぞれ温度センサを設置している。
【0030】
図2は、空冷式真空ポンプユニット1の周囲温度と各部温度との相関を示す図で、縦軸に温度(℃)を横軸に時間(ポンプ運転時間)(hrs)を示す。図2において、Aはメインポンプモジュール5のケーシング表面のモータ側の軸受12aの近傍(P1点)の温度、Bはメインポンプモジュール5のケーシング表面のポンプ側の軸受12bの近傍(P2点)の温度、Cは電装部品3の取付位置の制御基板上(P4)の温度、外装カバー6内の各点(P3、P5、P6点)の温度を示す。図示するように、空冷式真空ポンプユニット1の運転開始後所定時間(約1時間)が経過すると、各部の温度は相関して上昇する。
【0031】
また、ブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5の軸受12a、12bに封入されているグリースの寿命は下式(1)で推定できる。
log10L=−2.3+{2450/(273+t)}−0.301(SG+Sn+SW
(1)
ここに、L:グリースを封入した全部の軸受の10%が損傷するまでの時間(h)
t:軸受温度(℃)
G:グリースの種類による寿命減少係数
n:軸受回転数による寿命減少係数
W:軸受荷重による寿命減少係数
である。
【0032】
上記(1)式のグリース寿命を推定する式において、グリースの種類による寿命減少係数SG、軸受回転数による寿命減少係数Sn、軸受荷重による寿命減少係数SWが一定であるとすれば、運転している空冷式真空ポンプユニット1の軸受温度t(℃)が分かれば、その温度で運転した場合のグリース寿命が推定できる。よって、所定軸受温度で運転される場合の許容運転時間を定めておき、空冷式真空ポンプユニット1の運転時間が、該許容運転時間に達した場合、グリース寿命になったとして軸受の寿命を予知することができる。
【0033】
また、上記(1)式のグリース寿命を推定する式から実際の運転において軸受が到達するであろう温度範囲を複数のレベルに区分し、各レベル温度で運転した場合のグリース寿命を算出し、この算出されたグリース寿命から各レベル温度におけるグリース寿命を係数で評価する。そして空冷式真空ポンプユニット1の実際の運転において、ある軸受温度で運転した場合その運転時間を計測し、この運転時間と当該軸受温度の寿命係数とを乗算して乗算値を求める。そして各運転時間ごとのこの乗算値を積算することにより、全運転時間におけるグリース寿命を係数値とし把握する。そしてこの係数値が予め定められた許容値に達したら、グリース寿命に達したとして軸受寿命を予知する。
【0034】
図3は空冷式真空ポンプユニット1を所定の軸受温度で所定時間運転した場合の軸受寿命を係数で評価決定する例を示す図である。ここで運転時間帯(1)の温度をT1、運転時間帯(2)の温度をT3、運転時間帯(3)の温度をT2、運転時間帯(4)の温度をT4とし、温度T1による寿命係数を「1」、温度T2による寿命係数を「2」、温度T3による寿命係数を「4」、温度T4による寿命係数を「16」とする。空冷式真空ポンプユニット1を図3の時間帯(1)〜(4)で運転した場合の寿命計数の積算値は、
(1×100)+(4×100)+(2×100)+(16×100)=2300となる。即ち、実際の運転時間400時間の温度による寿命係数の積算値は2300となる。よって、事前に各温度による潤滑グリース寿命による軸受寿命を把握しておくことにより、温度による寿命係数を決定できる。そして決定した寿命係数と該寿命係数の温度で運転された運転時間を乗算し、この乗算値を全運転時間に渡って積算することにより、全運転におけるグリースの寿命を係数値として把握できる。
【0035】
上記のように、軸受温度を直接的又は間接的に測定する温度測定手段である温度センサを設置すると共に、運転時間(軸受動作時間)を測定する計時手段を設置する。そして軸受温度によるグリース寿命を係数で評価決定する係数決定手段と、演算手段とを備え軸受寿命予知手段を設ける。軸受寿命予知手段は、温度センサで測定した軸受温度によるグリース寿命を係数決定手段で係数により評価決定し、演算手段で評価決定したグリース寿命係数とその温度で運転した時間を乗算する。更に軸受寿命予知手段でグリース寿命係数と運転時間の乗算値を積算することにより、全運転時間のグリース寿命を積算係数値で評価する。そして、該積算係数値が所定の値になったらグリース寿命による軸受が寿命に達することを予知する。このように、軸受のグリース寿命による寿命を係数的に評価することにより、軸受寿命を正確に把握できる。
【0036】
上記軸受寿命予知手段は、空冷式真空ポンプユニット1の軸受寿命を予知したら、警報発生を発したり、運転中の空冷式真空ポンプユニット1を強制停止したり、真空ポンプユニット再起動不可とする等の空冷式真空ポンプユニット1の保護機能を真空ポンプ保護手段で作動させる。
【0037】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、空冷式真空ポンプユニットの軸受の温度を直接又は間接的に測定すると共に、その運転時間を計測し、運転温度におけるグリース寿命を係数で評価すると共に、該評価した径数値と運転時間を乗算し、この径数値と運転時間の乗算値を積算して軸受の寿命を評価把握するので、空冷式真空ポンプユニットの軸受の寿命を正確に把握するのに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 空冷式真空ポンプユニット
3 電装部品
4 ブースターポンプモジュール
5 メインポンプモジュール
6 外装カバー
8 取付台
10 モータ部
11 ポンプ部
12a 軸受
12b 軸受
13 空気流路
16 空気取り込みフード
17 ファンフード
18 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する方法であって、
前記軸受温度を直接又は間接的に測定し、該測定した軸受温度でグリース状態を把握し、該軸受温度が予め設定した許容値温度以上になった場合に前記グリースの寿命として軸受寿命を予知することを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法。
【請求項2】
請求項1に記載の空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法において、
前記軸受温度を間接的に測定するとは、該軸受温度と相関するケーシング温度又は周囲温度を測定することを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知方法。
【請求項3】
空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置であって、
前記軸受温度を直接又は間接的に測定する温度測定手段と、
前記軸受のグリース寿命による前記軸受寿命を予知する軸受寿命予知手段と、
真空ポンプを保護する真空ポンプ保護手段と、を備え、
前記軸受寿命予知手段は、前記温度測定手段で測定された軸受温度により前記軸受のグリース状態を把握し、該軸受温度が予め設定した許容値温度以上になった場合に該グリースの寿命として軸受寿命を予知し、前記真空ポンプ保護手段を動作させることを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置。
【請求項4】
空冷式真空ポンプの軸受のグリース寿命による軸受寿命を予知する空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置であって、
前記軸受温度を直接又は間接的に測定する温度測定手段と、
前記軸受のグリース寿命による前記軸受寿命を予知する軸受寿命予知手段と、
真空ポンプを保護する真空ポンプ保護手段と、を備え、
前記軸受寿命予知手段は、前記軸受の動作時間を測定する計時手段と、温度による前記グリース寿命を係数で評価決定する係数決定手段と、前記係数決定手段で評価決定された係数と前記計時手段で計時された該評価決定された係数温度での動作時間を乗算して乗算値を得ると共に、該乗算値を積算する演算手段とを備え、該乗算値の積算値で前記グリースの状態を把握し、該積算値が予め設定した許容値以上になった場合に前記グリースの寿命として前記軸受の寿命を予知し、前記真空ポンプ保護手段を動作させることを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置において、
前記軸受温度を間接的に測定する温度測定手段は、該軸受温度と相関するケーシング温度又は周囲温度を測定する温度測定手段であることを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置において、
前記真空ポンプ保護手段は、警報発生、真空ポンプの強制停止、真空ポンプの再起動不可のいずれか1つ又は2つ以上の機能を備えたことを特徴とする空冷式真空ポンプの軸受寿命予知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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