説明

空気入りタイヤの劣化評価方法

【課題】タイヤのゴム等の部材にかかる温度や酸化のシビアリティを定量的且つ利便的に表してタイヤの温度や酸化による劣化等の影響を的確に評価できる空気入りタイヤの劣化評価方法を提供する。
【解決手段】空気圧低下率算出部103により測定結果の空気圧を所定基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、シビアリティ計算部104により空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算し、この積算値を酸化シビアリティとなし、判定部105により酸化シビアリティの値を予め所定の間隔をあけて複数設定されている所定の閾値と比較して、タイヤの劣化レベルを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの温度劣化や酸化劣化等の影響を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤの劣化を評価する方法或いは装置としては、例えば、特開2005−47295号公報(特許文献1)に開示されるタイヤの経時変化予測方法、再表WO2003−100370号公報(特許文献2)に開示されるタイヤ熱劣化検知センサ、特開2005−227141号公報(特許文献3)に開示される車両診断システムが知られている。
【0003】
前記特許文献1に開示されるタイヤの経時変化予測方法は、タイヤを多数の要素に分解して形成したタイヤモデルと、タイヤモデルに付与するエネルギー(熱エネルギーと経過時間を含む)モデルを定め、破壊パラメータを含む応力計算、破壊力に対する抗力計算を行い、これらの計算結果の物理量に基づいてタイヤ計時変化(寿命)を予測する。この方法によれば、タイヤの破壊パラメータと抗力との比較により、タイヤの経時変化性能を予測することができ、タイヤの使用状態に即した解析を可能にすることができる。
【0004】
前記特許文献2に開示されるタイヤ熱劣化検知センサは、タイヤの所要部分に設けられ、磁気閉回路を形成する磁気回路構成体と、この磁気回路構成体からの漏洩磁界を検出する磁気センサとを備え、この磁気回路構成帯波、その温度が上昇するか或いは熱劣化が進行すると、漏洩磁界が増大する特性を有している。
【0005】
このセンサによれば、タイヤの所要部分に設けられた磁気回路構成体からの漏洩磁界、若しくは、複合磁石からの磁界を検知する磁気センサにより、磁気回路構成体若しくは複合磁石の磁気特性の変化を検知し、一方、磁気回路構成体若しくは複合磁石の磁気特性を、タイヤの所要部分の温度若しくは熱劣化の度合いに依存して変化するように構成しているので、磁気センサで検知した磁束密度から、所要のタイヤ部分の温度若しくは熱劣化の度合いを知ることができ、また、温度若しくは熱劣化の度合いの異常を検知して運転者に警報を発することができ、安全な車両の運行に資することができる。
【0006】
前記特許文献3に開示される車両診断システムは、タイヤを含む車両の消耗品の劣化または消費を診断し、その結果を車載ディスプレイの画面に表示するシステムであり、収集されるべきデータとして、タイヤ平均温度、1日の車両走行におけるタイヤの最高温度などのデータが含まれる。
【0007】
このシステムによれば、車両消耗品の診断結果を、唯単に画面に表示するのではなく、また、ドライバーの運転挙動を唯単に画面に表示するのではなく、車両消耗品に劣化度合い、消費度合いの診断要素に、ドライバーの運転挙動が加味されて画面に表示されるので、ドライバーは車両消耗品の診断結果とドライバーの運転挙動の因果性を関連づけて直感的に知ることができ、経済的運転、安全運転を心掛けることができる。
【特許文献1】特開2005−47295号公報
【特許文献2】再表WO2003−100370号公報
【特許文献3】特開2005−227141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
空気入りタイヤの劣化等の状態変化を評価する際には、ゴム等のタイヤ部材の温度変化や酸化が大きな要因となるが、前述した方法および装置では、タイヤ部材にかかる温度や酸化のシビアリティを定量的且つ利便的に表していないため、タイヤの温度変化による劣化や酸化劣化等の影響を比較客観的に捉えることが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タイヤのゴム等の部材にかかる温度や酸化のシビアリティを定量的且つ利便的に表してタイヤの温度や酸化による劣化等の影響を的確に評価できる空気入りタイヤの劣化評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記目的を達成するために、空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、前記装置は、前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算し、前記空気圧低下量Pの積算値を酸化シビアリティとなし、前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法を提案する。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの劣化評価方法によれば、装置によって、測定結果の空気圧が所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算されると共に、温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率が算出され、空気圧変化率の値が0未満の場合に単位時間あたりの空気圧低下量Pが順次積算され、空気圧低下量Pの積算値が酸化シビアリティとされ、この酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化が評価される。
【0012】
また、本発明は前記目的を達成するために、空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、前記装置は、前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値を酸化シビアリティとなすと共に、前記情報に基づいて、測定結果の温度を順次積算した値を温度シビアリティとなし、前記酸化シビアリティと温度シビアリティとから総劣化指標を求め、前記総劣化指標を用いてタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法を提案する。
【0013】
本発明の空気入りタイヤの劣化評価方法によれば、装置によって、測定結果の空気圧が所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算されると共に、温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率が算出され、空気圧変化率の値が0未満の場合、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値が酸化シビアリティとされると共に、測定結果の温度を順次積算した値が温度シビアリティとされ、酸化シビアリティと温度シビアリティとから総劣化指標が求められ、この総劣化指標を用いてタイヤの劣化が評価される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気入りタイヤの劣化評価方法によれば、タイヤの酸化シビアリティ或いは総劣化指標を客観的尺度で表わすことができ、タイヤの使用条件を把握できるので、タイヤ設計を的確に行うことができ、タイヤの開発の精度が向上すると共に開発時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施形態における空気入りタイヤの劣化評価装置の電気系回路を示すブロック図である。第1実施形態では、タイヤゴムの酸化による劣化状態の評価を一例として説明する。尚、本実施形態では酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤを評価対象としている。
【0017】
図において、100は空気入りタイヤの劣化評価装置で、温度検出部101と、空気圧検出部102、空気圧低下率算出部103、シビアリティ計算部104、判定部105、判定結果出力部106とからなり、周知のコンピュータ装置を主体として構成されている。
【0018】
温度検出部101は、劣化評価対象となるタイヤに付設される温度センサと該温度センサの出力信号を入力して所定の時間間隔で検出温度のディジタル値を出力するディジタル出力回路とから構成されている。尚、温度センサは、タイヤ内部温度、タイヤ内空気温度、タイヤ表面温度のうちの何れかを測定するものである。
【0019】
空気圧検出部102は、劣化評価対象となるタイヤの気室内に付設される空気圧センサと該空気圧センサの出力信号を入力して所定の時間間隔で検出空気圧のディジタル値を出力するディジタル出力回路とから構成されている。
【0020】
空気圧低下率算出部103は、測定結果の空気圧を所定の基準温度(例えば25度)における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、この温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出して、算出結果のディジタル値を出力する。温度換算空気圧の算出には周知であるボイルシャルルの法則を用いる。
【0021】
シビアリティ計算部104は、空気圧低下率算出部103により算出された温度換算空気圧のディジタル値および空気圧低下率のディジタル値を入力し、所定の演算によって酸化シビアリティ(OXY)の値を算出し、この算出結果を判定部105に出力する。
【0022】
判定部105は、シビアリティ計算部104によって算出された酸化シビアリティ(OXY)の値を予め所定の間隔をあけて複数設定されている所定の閾値と比較して、酸化シビアリティ(OXY)の値がどの閾値間に存在するかによってタイヤの劣化レベルを判定し、その判定結果を出力する。
【0023】
判定結果出力部106は、判定部105から判定結果を入力し、この判定結果を表示する。
【0024】
このようにタイヤの酸化シビアリティ(OXY)を客観的尺度で表わすことができるため、タイヤの使用条件を容易に把握できるので、タイヤ設計を的確に行うことができ、タイヤの開発の精度が向上すると共に開発時間を短縮することができる。
【0025】
次に、シビアリティ計算部104において行われる酸化シビアリティ(OXY)の算出方法に関して、以下に複数の実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0026】
実施例1では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として判定部105に出力する。
【0027】
すなわち、図2に示すように、タイヤを使用する場合、タイヤ気室内の空気が自然漏洩して空気圧が低下する。タイヤの空気圧が低下した場合、空気を充填してタイヤ空気圧を所定値まで高めるという行為を繰り返し行っている。本実施例では、タイヤから空気が自然漏洩した量を順次積算して、この積算値を酸化シビアリティの値としている。
【0028】
また、図3に示すように、タイヤから空気が自然漏洩した量を順次積算した量、すなわち空気圧低下積算量が増大するに従ってタイヤ耐久性が低下していくことが解っている。従って、酸化シビアリティ(OXY)の値を判定することによりタイヤの劣化状態を把握することができる。
【実施例2】
【0029】
実施例2では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として判定部105に出力する。空気圧低下量Pを体積Vpに換算する際にはボイルシャルルの法則の式を用いる。
【0030】
尚、実施例2では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なるため、初期空気圧やタイヤサイズの影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いている。
【実施例3】
【0031】
実施例3では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として判定部105に出力する。
【0032】
尚、実施例3では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算することにより、酸化シビアリティの精度を高めている。
【実施例4】
【0033】
実施例4では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として判定部105に出力する。
【0034】
本実施例では、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例5】
【0035】
実施例5では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティの値として判定部105に出力する。
【0036】
尚、実施例5では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)の影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例6】
【0037】
実施例6では、シビアリティ計算部104は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として判定部105に出力する。
【0038】
尚、実施例6では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算すると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値とし、酸化シビアリティの精度を高めている。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0040】
図4は本発明の第2実施形態における空気入りタイヤの劣化評価装置の電気系回路を示すブロック図である。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、タイヤゴムの酸化による劣化状態の評価を一例として説明する。尚、本実施形態では酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤを評価対象としている。
【0041】
また、第2実施形態と前述した第1実施形態との相違点は、温度積算値算出部201を付加すると共に、シビアリティ計算部104、判定部105に代えて総劣化指標計算部202、判定部203を設けたことである。
【0042】
図において、200は空気入りタイヤの劣化評価装置で、温度検出部101と、空気圧検出部102、空気圧低下率算出部103、温度積算値算出部201、総劣化指標計算部202、判定部203、判定結果出力部106とからなり、周知のコンピュータ装置を主体として構成されている。
【0043】
温度検出部101は、劣化評価対象となるタイヤに付設される温度センサと該温度センサの出力信号を入力して所定の時間間隔で検出温度のディジタル値を出力するディジタル出力回路とから構成されている。尚、温度センサは、タイヤ内部温度、タイヤ内空気温度、タイヤ表面温度のうちの何れかを測定するものである。
【0044】
空気圧検出部102は、劣化評価対象となるタイヤの気室内に付設される空気圧センサと該空気圧センサの出力信号を入力して所定の時間間隔で検出空気圧のディジタル値を出力するディジタル出力回路とから構成されている。
【0045】
空気圧低下率算出部103は、測定結果の空気圧を所定の基準温度(例えば25度)における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、この温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出して、算出結果のディジタル値を出力する。温度換算空気圧の算出には周知であるボイルシャルルの法則を用いる。
【0046】
温度積算値算出部201は、温度検出部101から検出結果を入力し、この検出結果の温度の値を順次積算した値を温度シビアリティ(TTSN)の値として、シビアリティ計算部202に出力する。例えば、検出温度をTとし、所定係数をαとして、TTSN=Σexp(T×α)として算出する。
【0047】
総劣化指標計算部202は、空気圧低下率算出部103により算出された温度換算空気圧のディジタル値および空気圧低下率のディジタル値を入力し、所定の演算によって酸化シビアリティ(OXY)の値を算出する。さらに、温度積算値算出部201から温度シビアリティ(TTSN)の値を入力し、酸化シビアリティ(OXY)の値と温度シビアリティ(TTSN)の値から総劣化指標Aを算出し、この算出結果を判定部105に出力する。
【0048】
判定部203は、総劣化指標計算部202によって算出された総劣化指標Aの値を予め所定の間隔をあけて複数設定されている所定の閾値と比較して、総劣化指標Aの値がどの閾値間に存在するかによってタイヤの劣化レベルを判定し、その判定結果を出力する。
【0049】
判定結果出力部106は、判定部203から判定結果を入力し、この判定結果を表示する。
【0050】
このようにタイヤの総劣化指標Aを客観的尺度で表わすことができるため、タイヤの使用条件を容易に把握できるので、タイヤ設計を的確に行うことができ、タイヤの開発の精度が向上すると共に開発時間を短縮することができる。
【0051】
次に、総劣化指標計算部202において行われる総劣化指標Aの算出方法に関して、以下に複数の実施例を挙げて説明する。
【実施例7】
【0052】
実施例7では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、次の(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0053】
A=β×{(OXY)2+(TTSN)21/2 …(1)
ここで、βは所定係数であり、本式では酸化シビアリティ(OXY)の値を2乗した値に対して温度シビアリティ(TTSN)の値を2乗した値を加算し、この加算結果の平方根を求め、この平方根の値に係数βを乗算した値を総劣化係数Aとしている。
【0054】
すなわち、図5に示すように、タイヤの100%モジュラスと破断伸びはタイヤゴムの酸化とタイヤゴムに加えられた熱に依存し、これによってタイヤに劣化が生じる。本実施例では、図7に示すように酸化シビアリティ(OXY)が空気圧低下積算量に依存し、温度シビアリティ(TTSN)が総熱履歴量に依存するとして総劣化指標Aを算出している。また、本実施例では、酸化シビアリティ(OXY)と温度シビアリティ(TTSN)とを統合する上で、両成分を直交成分とし、ピタゴラスの定理を用いて、両成分の合成分として総劣化指標Aを求めている。
【実施例8】
【0055】
実施例8では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。空気圧低下量Pを体積Vpに換算する際にはボイルシャルルの法則の式を用いる。
【0056】
尚、実施例8では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なるため、初期空気圧やタイヤサイズの影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いている。
【実施例9】
【0057】
実施例9では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0058】
尚、実施例9では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算することにより、酸化シビアリティの精度を高めている。
【実施例10】
【0059】
実施例10では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0060】
本実施例では、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例11】
【0061】
実施例11では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティの値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0062】
尚、実施例11では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)の影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例12】
【0063】
実施例12では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(1)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0064】
尚、実施例12では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算すると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値とし、酸化シビアリティの精度を高めている。
【実施例13】
【0065】
実施例13では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、次の(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0066】
A=θ×(OXY×TTSN) …(2)
ここで、θは所定係数であり、本式では酸化シビアリティ(OXY)の値に対して温度シビアリティ(TTSN)の値を乗算した値を2で割り、この値に係数θを乗算した値を総劣化係数Aとしている。
【0067】
すなわち、本実施例では、図7に示すように酸化シビアリティ(OXY)が空気圧低下積算量に依存し、温度シビアリティ(TTSN)が総熱履歴量に依存するとして総劣化指標Aを算出している。また、本実施例では、酸化シビアリティ(OXY)と温度シビアリティ(TTSN)とを統合する上で、両成分を直交成分とし、これらの直交成分によって形成される三角形の面積として総劣化指標Aを求めている。
【実施例14】
【0068】
実施例14では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。空気圧低下量Pを体積Vpに換算する際にはボイルシャルルの法則の式を用いる。
【0069】
尚、実施例14では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なるため、初期空気圧やタイヤサイズの影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いている。
【実施例15】
【0070】
実施例15では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0071】
尚、実施例15では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算することにより、酸化シビアリティの精度を高めている。
【実施例16】
【0072】
実施例16では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0073】
本実施例では、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例17】
【0074】
実施例17では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、この体積Vpを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティの値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0075】
尚、実施例17では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)の影響を除去するために体積に換算した量(体積Vp)を用いると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値としている。
【実施例18】
【0076】
実施例18では、総劣化指標計算部202は、入力した空気圧変化率の値が0未満の場合に自然漏洩による空気圧低下であると判断して、単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、この体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとし、この空気透過量Cを順次積算した値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティ(OXY)の値として算出する。さらに、この酸化シビアリティ(OXY)の値と温度積算値算出部201から入力した温度シビアリティ(TTSN)の値とを用いて、前記(2)式により総劣化指標Aを算出して判定部203に出力する。
【0077】
尚、実施例18では、空気圧低下量は初期空気圧やタイヤサイズ(気室内体積)により異なり、タイヤサイズ(気室内体積)の違いを加味するために、タイヤ内表面の単位面積あたりの空気透過量として換算すると共に、評価対象とするタイヤの封入気体の酸素濃度について、酸素濃度が異なる場合、純粋に酸素が透過した量とするために、酸素濃度を掛け合わせることにより、本来の酸化シビアリティの値とし、酸化シビアリティの精度を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態における空気入りタイヤの劣化評価装置の電気系回路を示すブロック図
【図2】タイヤにおける自然漏洩と空気充填の繰り返しを説明する図
【図3】タイヤの空気圧低下積算量と張圧耐久性の関係を説明する図
【図4】本発明の第2実施形態における空気入りタイヤの劣化評価装置の電気系回路を示すブロック図
【図5】タイヤの物性劣化を説明する図
【図6】本発明の第2実施形態における総劣化指標の算出方法を説明する図
【図7】本発明の第2実施形態における総劣化指標の算出方法を説明する図
【符号の説明】
【0079】
100…空気入りタイヤの劣化評価装置、101…温度検出部、102…空気圧検出部、103…空気圧低下率算出部、104…シビアリティ計算部、105…判定部、106…判定結果出力部、201…温度積算値算出部、202…総劣化指標計算部、203…判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算し、
前記空気圧低下量Pの積算値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項2】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、
前記体積Vpを順次積算し、
前記体積Vpの積算値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項3】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、該体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとなして、該空気透過量Cを順次積算し、
前記空気透過量Cの積算値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項4】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算し、
前記空気圧低下量Pの積算値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項5】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算し、
前記体積Vpを順次積算し、
前記体積Vpの積算値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項6】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを体積Vpに換算すると共に、該体積Vpをタイヤ内表面積Aで割った値を単位面積あたりの空気透過量Cとなして、該空気透過量Cを順次積算し、
前記空気透過量Cの積算値に対して酸素濃度を乗算した値を酸化シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティを用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項7】
空気圧センサと温度センサによって所定時間おきに順次検出された空気入りタイヤの空気圧と温度に関する情報を装置に入力し、該装置によって、前記情報に基づいて、酸素濃度5%以上の気体を封入した空気入りタイヤの劣化を評価する空気入りタイヤの劣化評価方法であって、
前記装置は、
前記情報に基づいて、測定結果の空気圧を所定の基準温度における空気圧である温度換算空気圧に換算すると共に、
前記温度換算空気圧から単位時間あたりの空気圧変化率を算出し、
前記空気圧変化率の値が0未満の場合、前記単位時間あたりの空気圧低下量Pを順次積算した値を酸化シビアリティとなすと共に、
前記情報に基づいて、測定結果の温度を順次積算した値を温度シビアリティとなし、
前記酸化シビアリティと温度シビアリティとから総劣化指標を求め、
前記総劣化指標を用いてタイヤの劣化を評価する
ことを特徴とする空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項8】
検出温度をTとし、所定係数をαとして、前記温度シビアリティ(TTSN)を次式にて求める
TTSN=Σexp(T×α)
ことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項9】
前記酸化シビアリティ(OXY)と前記温度シビアリティ(TTSN)とから、所定係数をβとして、次式を用いて前記総劣化指標Aを求める
A=β×{(OXY)2+(TTSN)21/2
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項10】
前記酸化シビアリティ(OXY)と前記温度シビアリティ(TTSN)とから、所定係数をθとして、次式を用いて前記総劣化指標Aを求める
A=θ×(OXY×TTSN)
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の空気入りタイヤの劣化評価方法。
【請求項11】
前記温度センサによってタイヤ気室内温度或いはタイヤトレッド表面温度の何れかを検出し、該検出温度を用いて前記温度シビアリティ(TTSN)を求める
ことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載の空気入りタイヤの劣化評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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