説明

空気入りタイヤ用インナーライナー及びそれを備えた空気入りタイヤ

【課題】耐空気透過性及び低温領域における動的疲労耐久性に優れる上、寒冷地での新品時及び走行後の内圧保持性を向上させることが可能な空気入りタイヤ用インナーライナーを提供する。
【解決手段】二層以上からなる樹脂積層体9を含む空気入りタイヤ用インナーライナーであって、前記樹脂積層体9を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%以下である。ここで、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが15%以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤ用インナーライナー及びそれを備えた空気入りタイヤに関し、特に耐空気透過性に優れる上、寒冷地での使用に適した動的疲労耐久性を有する空気入りタイヤ用インナーライナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの内圧を保持するためにタイヤ内面に空気バリア層として配設されるインナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が使用されている。しかしながら、これらブチル系ゴムを主原料とするゴム組成物は、空気バリア性が低いため、かかるゴム組成物をインナーライナーに使用した場合、インナーライナーの厚さを1mm前後とする必要があった。そのため、タイヤに占めるインナーライナーの重量が約5%となり、タイヤの重量を低減して自動車の燃費を向上させる上で障害となっている。
【0003】
この問題を解決する手段としては、タイヤのインナーライナーに、ガスバリア性に優れた熱可塑性樹脂を用い、インナーライナーの厚みを抑えることで、タイヤの重量の低減を図る方法が一般的である。例えば、特開2002−52904号公報(特許文献1)には、エチレン含有量20〜70モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99重量%及び疎水性可塑剤1〜40重量%からなる樹脂組成物をインナーライナーに使用する技術が開示されている。また、特開2004−176048号公報(特許文献2)には、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してエポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体をインナーライナーに使用する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−52904号公報
【特許文献2】特開2004−176048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが、上記開示のインナーライナーについて検討したところ、例えば−20℃のような低温領域では、いずれのインナーライナーを使用しても動的疲労耐久性が十分に得られず、タイヤの内圧保持性を維持できないことが分かった。従って、寒冷地で使用されるインナーライナーの動的疲労耐久性には改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、耐空気透過性に優れる上、寒冷地での使用に適した動的疲労耐久性を有する空気入りタイヤ用インナーライナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるインナーライナーを備え、新品時及び走行後の内圧保持性が大幅に改良された空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、空気入りタイヤ用インナーライナーに用いる樹脂積層体において、該樹脂積層体を構成する少なくとも一層が、特定の条件下で一定値以下の残留歪みを有することによって、耐空気透過性を維持しつつ、低温領域における動的疲労耐久性が十分に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、二層以上からなる樹脂積層体を含む空気入りタイヤ用インナーライナーであって、
前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの好適例において、前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが15%以下である。ここで、前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、20℃、65%RHにおける酸素透過係数が9.2×10-11cm3・cm/cm2・s・cmHg以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの他の好適例において、前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むガスバリア層である。上記ガスバリア層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に、ヤング率が500MPa以下である柔軟樹脂を分散させた樹脂組成物からなるのが好ましい。ここで、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量は25〜50モル%であることが更に好ましい。加えて、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、エポキシ化合物1〜50質量部を反応させたものであることが更に好ましい。一方、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に分散させる柔軟樹脂としては、水酸基と反応する官能基を有し、該柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下であることが更に好ましい。また、前記樹脂組成物における柔軟樹脂の含有率は10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。なお、上記樹脂組成物において、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体はマトリックスとして存在し、ここで、マトリックスとは連続相を意味する。
【0011】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーにおいて、前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層が前記ガスバリア層である場合、前記樹脂積層体のガスバリア層以外の層は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン系共重合体、未変性又は変性ポリエチレン(PE)、未変性又は変性ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むのが好ましい。
【0012】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの他の好適例において、前記樹脂積層体は架橋されている。
【0013】
本発明の空気入りタイヤは、上記空気入りタイヤ用インナーライナーを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二層以上からなる樹脂積層体を含む空気入りタイヤ用インナーライナーにおいて、該樹脂積層体を構成する少なくとも一層が、特定の条件下で一定値以下の残留歪みを有することによって、優れた耐空気透過性を有し、低温領域における動的疲労耐久性を向上させることが可能な空気入りタイヤ用インナーライナーを提供することができる。また、かかるインナーライナーを備え、寒冷地での新品時及び走行後の内圧保持性を大幅に向上させることが可能な空気入りタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、二層以上からなる樹脂積層体を含み、該樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%以下であることを特徴とする。ここで、本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーにおいては、上記物性を満たす層を少なくとも一層含む樹脂積層体が適用されることで、低温領域における動的疲労耐久性が向上し、低温時での亀裂及びクラックの発生が抑制され、結果として、タイヤの内圧保持性を大幅に向上させることができる。
【0016】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーに用いる樹脂積層体は、二層以上からなる多層構造を形成し、ここで、多層構造を形成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%以下であることを要し、15%以下であることが好ましく、12.5%以下であることが更に好ましい。−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%を超えると、動的疲労耐久性が低下することで、インナーライナーに亀裂及びクラックが発生してしまい、延いては寒冷地でのタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。なお、繰り返し18%伸張した後の残留歪みとは、一定の条件下で試料を18%伸張させた後に引張荷重を除去し、この作業を繰り返し行うことで、該試料が原形に戻ることができないために生じた残留歪み(%)を指す。
【0017】
また、上記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、20℃、65%RHにおける酸素透過係数が9.2×10-11cm3・cm/cm2・s・cmHg以下であることが好ましく、6.0×10-11cm3・cm/cm2・s・cmHg以下であることが更に好ましい。20℃、65%RHにおける酸素透過係数が9.2×10-11cm3・cm/cm2・s・cmHgを超えると、インナーライナーに用いる際、タイヤの内圧保持性を高めるために、インナーライナーを厚くせざるを得ず、タイヤの重量を十分に低減できなくなる。更に、上記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、20℃、65%RHにおける酸素透過係数が上記特定範囲を満たしつつ、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが15%以下であることが特に好ましい。ここで、上記樹脂積層体を構成する少なくとも一層が上記物性を満たすことにより、本発明のインナーライナーは、低温領域における動的疲労耐久性と耐空気透過性との両立を達成することができる。
【0018】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーに用いる樹脂積層体は、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、ここで、該熱可塑性樹脂として、具体的には、未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン系共重合体、未変性又は変性ポリエチレン(PE)、未変性又は変性ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が好適に挙げられる。これら熱可塑性樹脂は一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ガスバリア層以外の層には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン系共重合体、未変性又は変性ポリエチレン(PE)、未変性又は変性ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が好ましく、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性エラストマーを用いることが更に好ましい。
【0019】
上記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、耐空気透過性を高める観点から、未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことが好ましい。上記未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、耐空気透過性に優れるので、未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む層はガスバリア層として作用することができる。
【0020】
上記未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むガスバリア層としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に、ヤング率がエチレン−ビニルアルコール共重合体より小さく、好ましくは500MPa以下である柔軟樹脂が分散した樹脂組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物をガスバリア層として用いることで、耐空気透過性を高度に維持しつつ、屈曲時の耐破断性を高め、クラックが発生し難くなる。
【0021】
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン含有量が25〜50モル%であることが好ましく、30〜48モル%であることが更に好ましく、35〜45モル%であることが一層好ましい。エチレン含有量が25モル%未満では、耐屈曲性、耐疲労性及び溶融成形性が悪化することがあり、一方、50モル%を超えると、耐空気透過性を十分に確保できないことがある。また、該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ケン化度が90%以上であることことが好ましく、95%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが一層好ましい。ケン化度が90%未満では、耐空気透過性及び成形時の熱安定性が不十分となることがある。更に、該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましい。
【0022】
本発明において、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法は、特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体とエポキシ化合物とを溶液中で反応させる製造方法が好適に挙げられる。より詳しくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液に、酸触媒又はアルカリ触媒存在下、好ましくは酸触媒存在下、エポキシ化合物を添加し、反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を製造することができる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、酸触媒としては、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三フッ化ホウ素等が挙げられ、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。なお、触媒量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、0.0001〜10質量部の範囲が好ましい。
【0023】
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体に反応させるエポキシ化合物としては、一価のエポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポキシ化合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体と架橋反応し、ゲル、ブツ等を発生して、インナーライナーの品質を低下させることがある。なお、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造容易性、耐空気透過性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、一価のエポキシ化合物の中でも、グリシドール及びエポキシプロパンが特に好ましい。また、上記エポキシ化合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して1〜50質量部を反応させることが好ましく、2〜40質量部を反応させることが更に好ましく、5〜35質量部を反応させることが一層好ましい。
【0024】
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、耐空気透過性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点から、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましく、0.5〜20g/分であることが一層好ましい。
【0025】
一方、柔軟樹脂としては、ヤング率が500MPa以下であることが好ましく、ヤング率が500MPa以下であると、ガスバリア層の弾性率を低下させることができ、その結果耐屈曲性を向上させることができる。また、上記柔軟樹脂は、水酸基と反応する官能基を有し、該柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下であることが更に好ましい。上記柔軟樹脂が水酸基と反応する官能基を有することで、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体中に柔軟樹脂が均一に分散するようになる一方で、柔軟樹脂の平均粒径が2μmを超えてしまうと、ガスバリア層の耐屈曲性を十分に改善できないおそれがあり、耐空気透過性の低下、延いてはタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂として、具体的には、無水マレイン酸変性スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。また、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察する。なお、かかる柔軟樹脂の代わりにゴム成分を分散相として用いてもよい。
【0026】
更に、上記樹脂組成物における柔軟樹脂の含有率は、10〜30質量%の範囲であることが好ましい。柔軟樹脂の含有率が10質量%未満では、耐屈曲性を向上させる効果が小さく、一方、30質量%を超えると、耐空気透過性が低下することがある。
【0027】
上記樹脂積層体を構成する少なくとも一層が上記ガスバリア層である場合、該樹脂積層体のガスバリア層以外の層は、亀裂及びクラックの発生を抑制し、タイヤの内圧保持性を高める観点から、保護層として、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン系共重合体、未変性又は変性ポリエチレン(PE)、未変性又は変性ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEPS)を含むことが好ましい。
【0028】
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーに用いる樹脂積層体は、インナーライナーの製造時にフィルム状で供給されることが好ましく、該フィルムは、例えば上記ガスバリア層及び保護層を含み多層化されたものであることが好ましい。ここで、多層化する方法としては、例えば、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物と他の熱可塑性エラストマーとを共押出する方法等が挙げられ、他の熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。
【0029】
また、上記樹脂積層体は架橋されていることが好ましい。樹脂積層体に架橋がなされることで、タイヤの加硫工程でインナーライナーが著しく変形して不均一となることを防止し、インナーライナーの耐空気透過性を改良することができる。その上、低温領域での残留歪みを調整することが可能となり、低温領域における動的疲労耐久性も改良できる。ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、該エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。電子線の照射は、樹脂積層体をフィルムやシート等の成形体に加工した後に行うことが好ましい。ここで、電子線の線量は、5〜500kGyの範囲が好ましい。電子線の線量が5kGy未満では、架橋が進み難く、一方、500kGyを超えると、本発明における残留歪みの上限を超えるおそれがある上、成形体の劣化が進み易くなる。
【0030】
本発明の空気入りタイヤのインナーライナーとしては、樹脂積層体のみを用いてもよいが、該樹脂積層体に接着剤層を介して、ゴム組成物からなる層を貼り合わせてもよい。ここで、ゴム組成物からなる層は、ゴム成分としてブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むことが好ましく、上記ゴム成分の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、補強性充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、ゴム用加硫促進剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を目的に応じて適宜配合することができる。一方、接着剤層に使用する接着剤としては、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤が挙げられる。
【0031】
本発明の空気入りタイヤは、上述した空気入りタイヤ用インナーライナーを用いたことを特徴とする。以下に、図を参照しながら本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス4を備え、更に、該カーカス4の内側のタイヤ内面にはインナーライナー5が配置されている。
【0032】
図示例のタイヤにおいて、カーカス4は、上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア6間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア6の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。
【0033】
また、図示例のタイヤにおいては、上記カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト7が配置されており、図示例のベルト7は、二枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト7を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト7を構成する。更に、図示例のタイヤは、上記ベルト7のタイヤ半径方向外側でベルト7の全体を覆うように配置されたベルト補強層8を備えるが、本発明の空気入りタイヤは、ベルト補強層8を有していなくてもよいし、他の構造のベルト補強層を備えることもできる。ここで、ベルト補強層8は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
【0034】
なお、図示例のタイヤにおけるインナーライナー5の構造について、図2を参照しながら詳細に説明する。図2は、本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの一例の部分断面図である。図示例のインナーライナーは、樹脂積層体9とゴム組成物からなる層10とが、接着剤層11を介して接合されてなる。ここで、ゴム組成物からなる層10が、上記空気入りタイヤにおけるカーカス4の内側のタイヤ内面に接合されている。なお、本発明のインナーライナーは、上記樹脂積層体9を有するものであれば特に制限されず、他の構成要素を有していなくてもよい。
【0035】
また、図示例のインナーライナーにおいて、上記樹脂積層体9は、例えば、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むガスバリア層12と、該層12に隣接して配置された二層の熱可塑性ポリウレタンからなる保護層13を備える。ここで、樹脂積層体9は、特に制限されず、各層の成分及び枚数はこれに限られるものではない。
【0036】
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナー5に上述した樹脂積層体と、必要に応じてゴム組成物からなる層及び接着剤層とを適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0038】
(変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の合成例)
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)(190℃、2160g荷重下でのMFR:5.5g/10分)2質量部及びN-メチル-2-ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で2時間加熱撹拌して、エチレン−ビニルアルコール共重合体を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN-メチル-2-ピロリドン及び未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。更に、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、二軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
【0039】
なお、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量及びケン化度は、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした1H-NMR測定[日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用]で得られたスペクトルから算出した値である。また、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(MFR)は、メルトインデクサーL244[宝工業株式会社製]の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出される樹脂量(g/10分)から求めた。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を超える場合は、2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿して算出した値をメルトフローレート(MFR)とした。
【0040】
(柔軟樹脂の合成例)
無水マレイン酸変性スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体を公知の方法により合成し、ペレット化した。得られた無水マレイン酸変性スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、ヤング率が3MPa、スチレン含量が20%、無水マレイン酸量が0.3meq/gであった。なお、無水マレイン酸変性スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体のヤング率は、下記の方法で測定した。
【0041】
(1)ヤング率の測定
得られたペレットを用い、東洋精機社製二軸押出機によって、下記押出条件で製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを作製した。次に該フィルムを用いて、幅15mmの短冊状の試験片を作製し、23℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、株式会社島津製作所製オートグラフ[AG−A500型]を用いて、チャック間隔50mm、引張速度50mm/分の条件で、23℃、50%RHにおけるS−Sカーブ(応力−歪み曲線)を測定し、S−Sカーブの初期傾きからヤング率を求めた。
【0042】
スクリュー:20mmφ、フルフライト
シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/200/200/200(℃)
【0043】
(フィルム1の作製)
合成例で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のペレットと、熱可塑性ポリウレタン(TPU)[(株)クラレ製クラミロン3190]とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で3層フィルム1(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH層/熱可塑性ポリウレタン層,厚さ:20μm/20μm/20μm)を作製した。
【0044】
各樹脂の押出温度:C1/C2/C3/ダイ=170/170/200/200℃
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:25mmφ押出機P25−18AC[大阪精機工作株式会社製]
変性EVOH:20mmφ押出機ラボ機ME型CO−EXT[株式会社東洋精機製]
Tダイ仕様:500mm幅2種3層用[株式会社プラスチック工学研究所製]
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
【0045】
(フィルム2〜6の作製)
合成例で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体と柔軟樹脂とを二軸押出機で混練して樹脂組成物を調製した。次に、得られた樹脂組成物と熱可塑性ポリウレタン(TPU)[(株)クラレ製クラミロン3190]とを使用し、フィルム1の作製と同様にして、TPU層の厚みが異なる3層フィルム2〜6(熱可塑性ポリウレタン層/樹脂組成物層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。ここで、樹脂組成物中の柔軟樹脂の含有率は20質量%である。また、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、得られた樹脂組成物の試料を凍結した後、該試料をミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡で測定すると、平均0.7μmであった。
【0046】
(ゴム組成物からなる層の作製)
臭素化ブチルゴム[Exxon Mobil Chemical社製,EXXON Bromobutyl 222]100質量部に対して、カーボンブラック N550[旭カーボン(株)製,旭#60]50質量部、ステアリン酸[新日本理化(株)製,ステアリン酸 50S]2質量部、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド[大内新興化学工業(株)製,ノクセラーDM]1質量部、亜鉛華[ハクスイテック(株)製,酸化亜鉛2種 粉末品]3質量部及び硫黄[鶴見化学(株)製]0.5質量部を配合してゴム組成物を調製し、該ゴム組成物を用いて厚さ1000μmの未加硫のゴム組成物からなる層を作製した。
【0047】
上記のようにして得られたフィルム1〜6及びゴム組成物からなる層の酸素透過係数と、該フィルム1〜6の残留歪みとを下記の方法で測定・評価した。結果を表1〜2に示す。
【0048】
(2)酸素透過係数の測定
上記フィルム1〜6及びゴム組成物からなる層を、20℃、65%RHで5日間調湿した。得られた調湿済みのフィルムを2枚使用して、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃、65%RHの条件下でJIS K7126(等圧法)に準拠して、酸素透過係数を測定し、その平均値を求めた。また、フィルムを形成する各層単独での酸素透過係数を同様にして求めた。更に、ゴム組成物からなる層の酸素透過係数を1とし、フィルムの酸素透過係数について指数表示した。指数値が大きい程、耐空気透過性に優れることを示す。
【0049】
(3)残留歪み試験
日新ハイボルテージ株式会社製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200-100」を使用して、加速電圧が200kV、電子線量が表1〜2に示す条件でフィルム1〜6に電子線照射して架橋処理を施した。得られた架橋フィルムを10mm×130mmの短冊に打ち抜き標線を付け、株式会社島津製作所製オートグラフを用いて、温度−30℃、速度500mm/分で、該フィルムを18%まで伸張し、加えた荷重を除去した後15秒間放置した。次に、初期のフィルム長に対して18%伸張及び放置する操作を更に10回繰り返し、該フィルムが原形に戻ることができないために生じた残留歪み(%)を求めた。また、フィルムを形成する各層単独での残留歪みを同様にして求めた。
【0050】
(実施例1〜6,比較例2)
日新ハイボルテージ株式会社製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200-100」を使用して、加速電圧が200kV、電子線量が表1〜2に示す条件でフィルム1〜6に電子線照射して架橋処理を施した。得られた架橋フィルムの片面に接着剤層として東洋化学研究所製メタロックR30Mを塗布し、上記ゴム組成物からなる層(厚さ:1000μm)の内面に貼り付けて、インナーライナーを作製した。得られたインナーライナーを用いて、図1に示す構造でサイズ:195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを常法に従って作製した。使用したフィルムの種類を表1〜2に示す。
【0051】
(比較例1)
上記ゴム組成物からなる層のみをインナーライナーとして用いる以外は、実施例1と同様にして、乗用車用空気入りタイヤを作製した。
【0052】
上記のようにして得られたタイヤを、温度−20℃、空気圧175kPaで80km/hの速度に相当する回転数のドラム上に荷重4.5kNで押し付けて、10,000km走行を実施した。未走行タイヤと、走行後のタイヤとを用い、内圧保持性を下記のようにして評価した。内圧保持性は、試験タイヤを6JJ×15のリムに装着した後、内圧を240kPa充填し、3ヶ月後の内圧を測定することで評価し、下記式にて指数化した。
内圧保持性=(240−b)/(240−a) (指数)
式中、aは試験タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)で、bは比較例1記載の未走行タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)を表す。
【0053】
また、ドラム走行後のタイヤのインナーライナー外観を目視観察した。目視観察により、故障が発見されなかった場合を良好とし、亀裂やクラックが生じたり、剥がれや浮き上がりが見られた場合を不良とした。これらの結果を表1〜2に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
*1 ゴム組成物からなる層の厚さを示す.
【0057】
表1〜2から明らかなように、実施例のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて、走行前及び走行後の内圧保持性が大幅に向上していることが分かる。また、比較例2のタイヤは、耐空気透過性に優れるものの、−30℃における18%反復伸張後の残留歪みが高いために、実施例のタイヤに比べて、低温領域における走行後の内圧保持性が極めて低くなることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 インナーライナー
6 ビードコア
7 ベルト
8 ベルト補強層
9 樹脂積層体
10 ゴム組成物からなる層
11 接着剤層
12 ガスバリア層
13 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二層以上からなる樹脂積層体を含む空気入りタイヤ用インナーライナーであって、
前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが17.5%以下であることを特徴とする空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項2】
前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、−30℃で繰り返し18%伸張した後の残留歪みが15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項3】
前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層は、20℃、65%RHにおける酸素透過係数が9.2×10-11cm3・cm/cm2・s・cmHg以下であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項4】
前記樹脂積層体を構成する少なくとも一層が、未変性又は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むガスバリア層であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項5】
前記ガスバリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に、ヤング率が500MPa以下である柔軟樹脂を分散させた樹脂組成物からなることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項6】
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が25〜50モル%であることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項7】
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、エポキシ化合物1〜50質量部を反応させて得られることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項8】
前記柔軟樹脂が水酸基と反応する官能基を有し、該柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項9】
前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の含有率が10〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項10】
前記樹脂積層体のガスバリア層以外の層が、熱可塑性ポリウレタン、ナイロン系共重合体、未変性又は変性ポリエチレン、未変性又は変性ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項11】
前記樹脂積層体が架橋されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ用インナーライナー。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の空気入りタイヤ用インナーライナーを備えた空気入りタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−24215(P2008−24215A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200754(P2006−200754)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】