説明

空気圧縮機の前潤滑システム

空気圧縮機の前潤滑システムは、オイルポンプと、プライミングタンクと、制御弁とを備える。オイルポンプは、オイルサンプに接続され、空気圧縮機に接続された吐出ラインを備える。プライミングタンクは、加圧油を受け入れるために、オイルポンプに接続される。制御弁は、プライミングタンクに接続された出口ラインに設けられ、さらに、オイルポンプの吐出ラインに接続される。プライミングタンクは、オイルポンプからの油の充填を維持すると共に制御弁の作動を通して油の充填を選択的に解放するようになっている。プライミングタンクを前潤滑補助オイルポンプに代えてもよい。前潤滑補助オイルポンプは、オイルサンプに接続されると共に空気圧縮機に導く吐出ラインに流体連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気圧縮機に関し、より詳細には、空気圧縮機の始動前潤滑システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の起動中において多くの場合、圧縮機の潤滑システムが全圧力を保たない期間がある。詳細には、圧縮機が運転停止すると、圧縮機内の油圧は、オイルサンプに急速に流れ戻る。潤滑システムの通路が油を切らしている状態で圧縮機が再始動すると、通路が再び充填されて加圧されるまでの期間、圧縮機は潤滑を行わずに又は部分的な潤滑で運転することになる。この期間は、いくつかの要因に基づいて変化する。
【0003】
多くの圧縮機は本来、連続運転用に設計された。しかし、電動機駆動が加わって以来、始動/停止動作が標準的な制御方法になっている。数百回の始動が毎月必要な場合がある圧縮機用途に関して、起動中における完全な潤滑を行わない期間が蓄積する結果、圧縮機の寿命の低減をもたらす可能性がある。
【0004】
圧縮機の分野では一般的に知られていないが、内燃機関と関連する前給油システム(pre-oiler system)が提供されることが公知である。しかし、ショルダーズによる米国特許第6,550,258号明細書は、冷凍システム圧縮機の始動前軸受潤滑を開示している。エンジンが十分に給油されるか又はエンジン潤滑システムによって潤滑される前にエンジンの特定の可動部品に事前給油するように試みて、多くの種類のエンジン前給油システムがこれまでに提供されている。1つのそのようなシステムが、マクローリンによる米国特許第5,348,121号明細書及び米国特許第5,244,059号明細書において開示されている。この特許は、オイル管路に介装され、かつ開放位置への作動時にこの管路を通じたエンジンへのオイル通過を可能にする、通常は閉鎖したソレノイド弁の使用を開示している。起動時にエンジンを潤滑するようになっている前潤滑の別の例が、メルヴィンによる米国特許第5,694,896号明細書によって開示されている。この特許は、中空の圧力容器とエンジンオイルシステム内への栓となる制御弁とを有する単純な前給油システムを開示している。制御弁は、エンジン油圧及び容器圧によって均衡を保たれるプラグを有している。最後に、ホルコムによる米国特許第3,556,070号明細書が、内燃機関と関連して用いられる前給油システムの別の例として、ソレノイド弁前給油潤滑装置を開示している。
【0005】
内燃機関の分野において前潤滑を提供する別の方法は、エンジンの主潤滑ポンプを増強する始動前オイルポンプを利用することである。1つのそのような例が、トランによる米国特許第5,511,522号明細書において開示されている。レノサによる米国特許第6,349,692号明細書が、外部の制御装置によって制御されると共にエンジン内に配置される内燃機関の前給油電気ポンプの使用を開示している。スタスクによる米国特許第4,893,598号明細書が、内燃機関における前給油装置として、手動作動式容積型ポンプを開示している。アポストライズによる米国特許第4,834,039号が、多段式前潤滑ポンプを開示している。キャノンによる米国特許第4,703,727号明細書が、内燃機関の始動前エンジン潤滑システムを開示しており、このシステムでは、加圧油の外部供給源がエンジンオイルフィルターポートを通じて接続されて、エンジン始動機構が機能する前にエンジン通路を潤滑する。内燃機関のさらなる前潤滑装置が、ワゴナーによる米国特許第5,236,064号明細書と、ケントによる米国特許第5,156,120号明細書と、ホルコムによる米国特許第3,583,525号明細書と、スミスらによる米国特許第2,838,039号明細書とにおいて開示されている。最後に、マウントによる米国特許第3,637,048号明細書が、遠心式圧縮機の主オイルポンプに電源異常が起きた場合に動作する遠心式圧縮機の補助オイルポンプを開示している。
【0006】
上記を鑑みて、望ましくは空気圧縮機との使用に適合された始動前潤滑システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
概して、前潤滑システムが本明細書に記載され、空気圧縮機の通常の潤滑システムを増強するために設けられる。前潤滑システムは概して、加圧油が空気圧縮機の起動中に利用可能であることを確実にするために空気圧縮機の運転の直前に動作するように意図されている。一つの実施形態では、空気圧縮機の前潤滑システムは、オイルポンプと、プライミングタンクと、制御弁とを備える。オイルポンプは、オイルサンプに接続され、空気圧縮機に接続された吐出管路を備える。プライミングタンクは、加圧油を受け入れるようにオイルポンプに接続される。制御弁は、プライミングタンクに接続されたアウトライン管路に設けられ、オイルポンプの吐出管路にさらに接続される。プライミングタンクは、オイルポンプからの一回の充填分の油を維持すると共に該一回の充填分の油を制御弁の作動によって選択的に解放するように構成される。
【0008】
制御弁は、ソレノイド弁を備えてもよい。プライミングタンクは、空気圧縮機の潤滑通路の容積総量に少なくとも等しい容積を有してもよい。プライミングタンクは、制御弁が作動すると吐出管路内に油を送り込むようになっているダイアフラムを備えてもよい。入口逆止弁を、プライミングタンクの上流に配置してもよい。出口逆止弁を、制御弁の上流に配置してもよい。プライミングタンクは、サンプ戻り管路及びオイルポンプリリーフ弁を介してオイルサンプに流体接続してもよい。
【0009】
別の実施形態では、空気圧縮機の前潤滑システムは、オイルポンプと補助前潤滑オイルポンプとを備える。オイルポンプは、オイルサンプに接続され、空気圧縮機に接続された吐出管路を備える。前潤滑オイルポンプは、オイルサンプに接続され、空気圧縮機へつながる吐出管路にさらに流体連結される。前潤滑オイルポンプは、空気圧縮機の動作前に、加圧油を吐出管路に提供するように適合してもよい。前潤滑オイルポンプは、電気ポンプを備えてもよい。
【0010】
本明細書に記載された別の態様は、空気圧縮機を前潤滑する方法であって、空気圧縮機の通常運転中に一回の充填分の油をプライミングタンク内に保管するステップと、空気圧縮機の停止中に一回の充填分の油をプライミングタンク内に維持するステップと、加圧された潤滑を空気圧縮機に提供するために空気圧縮機が起動する前に一回の充填分の油を選択的に解放するステップとを含む方法に関する。
【0011】
一回の充填分の油を解放するステップは、制御弁の作動を含んでもよい。制御弁は、ソレノイド弁を備えてもよい。プライミングタンクは、空気圧縮機の潤滑通路の容積総量に少なくとも等しい容積を有してもよい。プライミングタンクは、ダイアフラムを備えてもよく、本方法は、制御弁が作動するとダイアフラムが吐出管路内に油を送り込むことをさらに含んでもよい。一回の充填分の油をプライミングタンク内に保管するステップは、プライミングタンクに流体連結されたオイルポンプによって達成してもよい。本方法は、プライミングタンクの上流に設けられた入口逆止弁によってオイルポンプへの逆流を防止することをさらに含んでもよい。一回の充填分の油を解放するステップは、制御弁の作動を含んでもよく、出口逆止弁が制御弁の上流に設けられる。
【0012】
さらなる詳細及び利点が添付の図面を参照して以下の説明を考慮することで明らかになり、すべての図面は本明細書の一部を成し、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一つの実施形態による空気圧縮機の前潤滑システムの概略図である。
【図2】別の実施形態による空気圧縮機の前潤滑システムの概略図である。
【図3】さらなる実施形態による空気圧縮機の前潤滑システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明のために、用いられる空間的方向付けの用語は、参照された実施形態が添付の図面において方向付けられているか又は以下の詳細な説明に記載されるときに、該実施形態に関連するものとする。しかし、以下に記載された実施形態が多くの代替的な変形及び構成を想定し得ることを理解されたい。添付の図面に示され本明細書に記載の特殊な装置、特徴、構成要素は例示にすぎず、限定と見なされるべきではないことも理解されたい。
【0015】
図1を参照すると、空気圧縮機の前潤滑システム20が概略的に示されている。前潤滑システム20は、空気圧縮機45の通常の潤滑システムを増強するために設けられ、加圧油が空気圧縮機45の起動中に利用可能であることを確実にするために空気圧縮機45の運転の直前に動作するように意図されている。前潤滑システム20がなければ、空気圧縮機45の起動中に、空気圧縮機45が全圧力潤滑を欠いている時間が存在することになる。空気圧縮機45を繰り返し始動させなければならない用途の場合、全圧力潤滑を行わないこれらの期間が蓄積する結果、空気圧縮機の寿命の低減をもたらす可能性がある。
【0016】
概して、前潤滑システム20は、1つの例示的な実施形態によれば、空気圧縮機45の通常運転中にプライミングタンク(本明細書に記載)に加圧油を充填することによって機能する。空気圧縮機45が運転停止すると、このプライミングタンクは、潤滑油を空気圧縮機45の通常のシステム動作圧力で維持する。空気圧縮機45を始動することが望まれると、そのような起動の直前にプライミングタンクが「解放され」て、空気圧縮機45の(図示しない)潤滑通路と流体連通するようになる。このようにして、全圧力潤滑が空気圧縮機の起動時点で利用可能になる。
【0017】
前潤滑システム20は、図1に示されるように、空気圧縮機のオイル潤滑ポンプ40と連動して機能するようになっている。オイルポンプ40は、オイルポンプ入口弁23及び入口管路25を介してオイルサンプ27に流体連通するオイルポンプキャビティ42を備えている。オイルポンプ40のオイルポンプキャビティ42はさらに、出口リリーフ弁30及びサンプ戻り管路32を介してオイルサンプ27と流体連通している。オイルポンプ40は、オイルポンプ吐出弁34及び吐出管路36を介して、潤滑油を空気圧縮機45の(図示しない)潤滑通路に提供する。
【0018】
オイルポンプ40は、本実施形態に従って加圧下の潤滑油を前潤滑システム20に提供するようになっている。本実施形態では、分岐管路50がオイルポンプキャビティ42に接続され、分岐管路50は、第1の入口逆止弁すなわち入口逆止弁52を備えている。分岐管路50は、加圧された潤滑油をプライミングタンク55に提供するようにプライミングタンク55に接続している。プライミングタンク55は、望ましくはソレノイド弁である制御弁57と、第2の逆止弁60とを備える出口管路56を介して、吐出管路36に流体接続されている。図1から明らかなように、プライミングタンク55は、第1の逆止弁52がオイルポンプキャビティ42からプライミングタンク55への油の流れを可能にするがプライミングタンク55からオイルポンプキャビティ42への逆流を防止するように、第1の逆止弁52と制御弁57との間に位置決めされている。第2の逆止弁60は、制御弁57の下流に位置決めされ、第2の逆止弁60から制御弁57に向かう油の逆流を防止する。空気圧縮機45のシステム油圧を監視するために、チョーク65及び油圧計67も吐出管路36に接続されている。
【0019】
プライミングタンク55は、膨張タンクのような、ダイアフラムを有する小型のリザーバであることが望ましい。プライミングタンク55の容積は、空気圧縮機の潤滑通路の容積総量よりもわずかに大きい。オイルポンプ40の動作中、プライミングタンク55は、オイルポンプキャビティ42に接続されている分岐管路50を介して、空気圧縮機45の動作圧力と概ね等しい油圧を充填される。典型的であるように、空気圧縮機45が運転停止すると、空気圧縮機45内の油圧は、オイルサンプ27に急速に流れ戻る。従来技術の構成では、潤滑通路が油を切らしている状態で空気圧縮機が再始動すると、通路が再び潤滑油で充填されて加圧されるまでの期間、空気圧縮機は潤滑を行わずに又は部分的な潤滑で運転することになる。しかし、前潤滑システム20が図1に示されるような位置にある状態では、プライミングタンク55は、運転停止後に準備の整った一回の充填分の油圧を維持する。この加圧油は、空気圧縮機45を再始動する直前に通電する制御弁57(たとえばソレノイド弁)を介して、空気圧縮機45の潤滑通路に導入し戻される。プライミングタンク55のダイアフラムは、空気圧縮機45が始動するまで、油圧を維持しながら空気圧縮機45の潤滑通路内に油を送り込む働きをする。空気圧縮機45は、始動するときに、既にほぼ通常の動作圧力にあり、部分的な潤滑の期間が回避される。プライミングタンク55はその後、このプロセスを繰り返すことができるようにオイルポンプ40によって再充填される。
【0020】
図2を参照すると、空気圧縮機の前潤滑システム20の別の実施形態が示されている。図2では、同様の部分は図1において見られる同様の参照符号を用いて特定されている。図2の前潤滑システム20は、プライミングタンク55が出口リリーフ弁30及びサンプ戻り管路32の前に直列に配置されることを除いて、図1に示されるシステムと概ね類似している。したがって、図2の前潤滑システム20は概して、図1に示されるシステムと概ね同じように空気圧縮機のオイル潤滑ポンプ40と連動して機能するようになっている。ここで図2を参照すると、オイルポンプ40は、オイルポンプ入口弁23及び入口管路25を介してオイルサンプ27に流体連通するオイルポンプキャビティ42を備えている。示されるように、プライミングタンク55は、オイルサンプ27へつながる出口リリーフ弁30及びサンプ戻り管路32の上流に直列に配置されている。オイルポンプ40は、図1に示される方法と同様に、オイルポンプ吐出弁34及び吐出管路36を介して、潤滑油を空気圧縮機45の(図示しない)潤滑通路に提供する。
【0021】
オイルポンプ40は、本実施形態に従って加圧下の潤滑油を前潤滑システム20に提供するようになっている。本実施形態では、分岐管路50は、オイルポンプキャビティ42に接続され、第1の逆止弁すなわち入口逆止弁52を備えている。分岐管路50は、加圧された潤滑油をプライミングタンク55に提供するようにプライミングタンク55に接続している。プライミングタンク55は、望ましくはソレノイド弁である制御弁57と、第2の逆止弁60とを備える出口管路56を介して、吐出管路36に流体接続されている。図2から明らかなように、プライミングタンク55はここでも、第1の逆止弁52がオイルポンプキャビティ42からプライミングタンク55への油の流れを可能にするがプライミングタンク55からオイルポンプキャビティ42への逆流を防止するように、第1の逆止弁52と制御弁57との間に位置決めされている。第2の逆止弁60は、制御弁57の下流に位置決めされ、第2の逆止弁60から制御弁57に向かう油の逆流を防止する。空気圧縮機45のシステム油圧を監視するために、チョーク65及び油圧計67も吐出管路36に接続されている。
【0022】
プライミングタンク55は、膨張タンクのような、ダイアフラムを有する小型のリザーバであることが望ましい。プライミングタンク55の容積は、空気圧縮機の潤滑通路の容積総量よりもわずかに大きい。オイルポンプ40の動作中、プライミングタンク55は、オイルポンプキャビティ42に接続されている分岐管路50を介して、空気圧縮機45の動作圧力と概ね等しい油圧を充填される。典型的であるように、空気圧縮機45が運転停止すると、空気圧縮機45内の油圧はオイルサンプ27に急速に流れ戻る。従来技術の構成では、潤滑通路が油を切らしている状態で空気圧縮機が再始動すると、通路が再び潤滑油で充填されて加圧されるまでの期間、空気圧縮機は潤滑を行わずに又は部分的な潤滑で運転することになる。しかし、前潤滑システム20が図2に示されるような位置にある状態では、プライミングタンク55は、運転停止後に準備の整った一回の充填分の油圧を維持する。この加圧油は、空気圧縮機45を再始動する直前に通電する制御弁57(たとえばソレノイド弁)を介して空気圧縮機45の潤滑通路に導入し戻される。プライミングタンク55のダイアフラムは、空気圧縮機45が始動するまで、油圧を維持しながら空気圧縮機45の潤滑通路内に油を送り込む働きをする。空気圧縮機45は、始動するときに、既にほぼ通常の動作圧力にあり、部分的な潤滑の期間が回避される。プライミングタンク55はその後、このプロセスを繰り返すことができるようにオイルポンプ40によって再充填される。
【0023】
図3を参照すると、前潤滑システム20の別の実施形態が示されており、同様の部分はここでも図1において用いられる参照符号と同様の参照符号を用いて特定されている。図3では、オイルポンプ40はここでも、オイルポンプ入口弁23及び入口管路25を介してオイルサンプ27に流体連通するオイルポンプキャビティ42を備えている。オイルポンプ40のオイルポンプキャビティ42はさらに、出口リリーフ弁30及びサンプ戻り管路32を介してオイルサンプ27と流体連通する。オイルポンプ40は、オイルポンプ吐出弁34及び吐出管路36を介して、潤滑油を空気圧縮機45の(図示しない)潤滑通路に提供する。
【0024】
図3では、前潤滑システム20は、入口供給管路72を介してオイルサンプ27に接続された補助オイルポンプ70を備えている。補助オイルポンプ70からの吐出管路74は、空気圧縮機45へつながる吐出管路36に接続され、先の実施形態と同様に補助逆止弁すなわち第2の逆止弁60を備えている。空気圧縮機45のシステム油圧を監視するために、チョーク65及び油圧計67も吐出管路36に接続されている。補助オイルポンプ70は、空気圧縮機45に関連付けられるクランクケースのオイルサンプ27に配置された電気ポンプであってもよい。補助オイルポンプ70は、主空気圧縮機ポンプの圧力及び流量と概ね等しい圧力及び流量で油を空気圧縮機45に提供することができる。空気圧縮機の前潤滑システム20の動作中、空気圧縮機45が運転停止すると、空気圧縮機45内の油圧はオイルサンプ27に急速に流れ戻る。空気圧縮機45を再始動する前に、補助オイルポンプ70が給電されてから空気圧縮機の駆動モータが始動し、実質的に通常の動作圧力で潤滑を空気圧縮機45に提供することによって、部分的な潤滑の期間が回避される。空気圧縮機の駆動モータが始動して主空気圧縮機ポンプがフル稼働すると、補助オイルポンプ70は運転停止してもよい。したがって、空気圧縮機45を起動する前に実質的に通常の油圧を空気圧縮機45に提供するために補助オイルポンプ70を提供することによって、望ましくは部分的な潤滑期間又は全く潤滑を行わない期間がなくなり、空気圧縮機45の動作寿命が延びる。
【0025】
上記の論考は、前潤滑システム20のいくつかの実施形態を記載しているが、これらの実施形態のそれぞれは、空気圧縮機45の物理的構造への外部付加物として(たとえば、付加型設計)、又は代替的には空気圧縮機45の内部付属物として提供することができる。したがって、上記で記載した前潤滑システム20の種々の実施形態は、空気圧縮機45の外部又は内部に設けることができる。内部構成では、制御弁57が空気圧縮機45の物理的構造から外側にあることが望ましい場合がある。
【0026】
空気圧縮機の前潤滑システムの複数の実施形態が上記の説明において提供されたが、当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して変更及び代替を行うことができる。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的であることが意図されている。上記で説明した本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定され、該特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入る本発明へのすべての変更は、その特許請求の範囲内に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルサンプに接続され、空気圧縮機に接続された吐出管路を備えるオイルポンプと、
加圧油を受け入れるように前記オイルポンプに接続されたプライミングタンクと、
該プライミングタンクに接続されたアウトライン管路に設けられ、前記オイルポンプの前記吐出管路にさらに接続された制御弁と
を備え、
前記プライミングタンクは、前記オイルポンプからの一回の充填分の油を維持すると共に該一回の充填分の油を前記制御弁の作動によって選択的に解放するように構成される、空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項2】
前記制御弁はソレノイド弁を備える、請求項1に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項3】
前記プライミングタンクは、前記空気圧縮機の潤滑通路の容積総量に少なくとも等しい容積を有する、請求項1に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項4】
前記プライミングタンクは、前記制御弁が作動すると前記吐出管路内に油を送り込むようになっているダイアフラムを備える、請求項1に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項5】
前記プライミングタンクの上流に入口逆止弁をさらに備える、請求項1に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項6】
前記制御弁の上流に出口逆止め弁をさらに備える、請求項7に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項7】
前記プライミングタンクは、サンプ戻り管路及びオイルポンプリリーフ弁を介して前記オイルサンプに流体接続される、請求項1に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項8】
オイルサンプに接続され、空気圧縮機に接続された吐出管路を備えるオイルポンプと、
前記オイルサンプに接続され、前記空気圧縮機へつながる前記吐出管路に流体連結された前潤滑オイルポンプと
を備え、
前記前潤滑オイルポンプは、前記空気圧縮機の動作前に加圧油を前記吐出管路に提供するようになっている、空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項9】
前記前潤滑オイルポンプは電気ポンプを備える、請求項8に記載の空気圧縮機の前潤滑システム。
【請求項10】
空気圧縮機を前潤滑する方法であって、
前記空気圧縮機の通常運転中に一回の充填分の油をプライミングタンク内に保管するステップと、
前記空気圧縮機の停止中に前記一回の充填分の油を前記プライミングタンク内に維持するステップと、
加圧された潤滑を前記空気圧縮機に提供するために、前記空気圧縮機が起動する前に前記一回の充填分の油を選択的に解放するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記一回の充填分の油を解放する前記ステップは、制御弁の作動を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御弁はソレノイド弁を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライミングタンクは、前記空気圧縮機の潤滑通路の容積総量に少なくとも等しい容積を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記プライミングタンクはダイアフラムを備え、
制御弁が作動すると前記ダイアフラムが前記吐出管路内に油を送り込むことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
一回の充填分の油を前記プライミングタンク内に保管する前記ステップは、前記プライミングタンクに流体連結されたオイルポンプによって達成される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記プライミングタンクの上流に設けられた入口逆止弁によって、前記オイルポンプへの逆流を防止することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
一回の充填分の油を解放する前記ステップは、制御弁の作動を含み、出口逆止弁が前記制御弁の上流に設けられる、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−514718(P2012−514718A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545552(P2011−545552)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/021944
【国際公開番号】WO2010/090888
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(506190681)ワブテク・ホールディング・コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】WABTEC HOLDING CORP.
【住所又は居所原語表記】1001 Air Brake Avenue, Wilmerding, PA 15148, U.S.A.
【Fターム(参考)】