説明

空気圧縮機

【課題】携帯性を備えると共に作業性を確保した空気圧縮機の提供。
【解決手段】圧縮空気を生成する圧縮部30と、圧縮部30を駆動する駆動部20と、長尺状に構成されると共に圧縮部30の下方に配置され、圧縮空気を貯留する複数のタンク51、52を有するタンク部50と、タンク部50内の圧力を検出すると共に駆動部20による圧縮部30の駆動を制御する制御部70と、を有し、少なくとも圧縮部30、駆動部20、タンク部50、及び制御部70から本体部が構成され、圧縮部30には、タンク部50の長手方向と平行に延びる把持部34が設けられ、把持部34は、本体部の重心上方に位置している空気圧縮機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を動力源とする工具等に圧縮空気を供給するための空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、多段式の空気圧縮機は、電動モータ等の駆動部により駆動され互いに連結され圧縮空気を生成する低圧側圧縮部及び高圧側圧縮部と、高圧側圧縮機により生成された圧縮空気を貯留する空気タンクと、空気タンク内の圧縮空気を外部に吐出可能に減圧する減圧弁を有する継手とを備えている。この空気圧縮機では、継手にエアソケットが接続され、このエアソケットを介して釘打機等の空圧工具に圧縮空気を送り出している。
【0003】
通常、主に建築作業に使用される空圧工具の動力源となる空気圧縮機は、比較的空気使用量が多い作業に用いられ、空気タンク本数が二本以上で把持部が二箇所以上あり、両手で持ち運ぶタイプと、一般に内装作業に用いる空圧工具用に使用され、空気タンクが一本で小型・軽量かつ片手で持ち運び可能なハンディタイプとに大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−059917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ハンディタイプの空気圧縮機は、高層階に作業現場があるマンションなどの内装作業に使用され、作業者が手持ちで運び階段を登ることなどの携帯性を考慮して小型・軽量に構成されている。小型・軽量な空気圧縮機とする場合、圧縮部、駆動部の小型化や空気タンク部の容積を小さくすることで実現していることから、ハンディタイプの空気圧縮機は、吐出量が小さく、蓄圧可能な空気量が小さい。そのため、実際の作業時には、空圧工具で作業可能な空気量が小さいことから、空圧工具の連続作業時に空気タンク部の圧力降下が大きく、圧縮部の再起動により空気タンク部への再充填までの待機時間が長くなり、作業性が低下することがあった。よって本発明は携帯性を備えると共に、作業性を確保した空気圧縮機を提供するを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、圧縮空気を生成する圧縮部と、該圧縮部を駆動する駆動部と、該圧縮部の下方に配置され、該圧縮空気を貯留する複数のタンクを有するタンク部と、該タンク部内の圧力を検出すると共に該駆動部による該圧縮部の駆動を制御する制御部と、を有し、該圧縮部、該駆動部、該タンク部、及び該制御部から本体部が構成され、該圧縮部には、把持部が設けられ、該把持部は、該本体部の重心上方に位置している空気圧縮機を提供する。
【0007】
このような構成によると、複数のタンクを備えるため、圧縮空気量を確保することができ、長時間の作業を行うことが可能になる。また把持部が本体部の重心上方に位置するため、片手で把持部を把持したとしても、安定して空気圧縮機を保持することができて空気圧縮機を運びやすくなり、携帯性を良くすることができる。また一般的に圧縮部は本体部において最も重い部材であり、この圧縮部に把持部を設けることにより、重心位置が本体部において把持部に近い位置になり、把持部により空気圧縮機を持ち上げた際に、空気圧縮機が不安定になることが抑制される。
【0008】
上記構成の空気圧縮機において、該圧縮部は、第一圧縮部と第二圧縮部とを有し、該第一圧縮部及び該第二圧縮部は、該タンク部の長手方向における一方側及び他方側にそれぞれ配置され、該把持部は、該長手方向における一端側が該第一圧縮部に接続され、該長手方向における他端側が該第二圧縮部に接続されていることが好ましい。
【0009】
このような構成によると、安定して把持部を圧縮部に設けることができる。また重心位置を把持部の下方にすることが容易になる。
【0010】
また該本体部を覆うカバーを更に有し、該カバーは、該本体部において該圧縮部以外に固定されていることが好ましい。
【0011】
また該カバーにおいて、該圧縮部上方には、該把持部が挿通される挿通孔が形成され、該把持部は、該挿通孔を貫通して該カバー外に位置することが好ましい。
【0012】
また該カバーと該圧縮部との間には、隙間が形成されていることが好ましい。
【0013】
これらのような構成によると、圧縮部は、一般に振動を発生する箇所になるので、カバーを圧縮部以外に固定することにより、圧縮部からカバーに直接振動が伝達することを抑制することができる。
【0014】
また該カバーと該圧縮部との間には、弾性部材が配置されていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、カバーと圧縮部との間に弾性部材が介在するため、カバーと圧縮部とが直接接触することが抑制される。またカバーと圧縮部とが弾性部材を介して接触したとしても、弾性部材で振動が吸収・減衰されるため、圧縮部からカバーに振動が伝達されることを抑制することができる。
【0016】
また該駆動部は外部電源により動作し、該制御部若しくは該駆動部には該外部電源に接続されるコードが接続され、該圧縮部から該タンクに向かう方向を下側として上下方向が規定され、該カバーには、該長手方向及び該上下方向と交差する方向に突出し突出方向端部に該長手方向及び該上下方向に延びる平面状の側面を有する突出部が設けられ、該突出部には、該上下方向及び該長手方向に該コードを案内して該コードが巻回されるリール部が設けられていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、空気圧縮機を片手で持ち上げた時に、側面を体側に沿わせて空気圧縮機を保持することができるので、より安定した状態で空気圧縮機を保持することができる。また突出部の周囲にコードを巻回することにより、空気圧縮機の運搬時にコードが運搬者の体に触れることが抑制され、コードがリール部から解けることが抑制される。
【0018】
また該突出部において、該長手方向一方側若しくは他方側には、該コードの端部を保持する保持部が設けられていることが好ましい。
【0019】
この位置に保持部を設けることにより、空気圧縮機の運搬時にコードが運搬者の体に触れることが抑制され、コードがリール部から解けることが抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の空気圧縮機よれば、携帯性及び作業性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気圧縮機の平面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る空気圧縮機のカバーを外した状態での平面図。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る空気圧縮機について、図1乃至図4に基づき説明する。図1に示される空気圧縮機1は、エア式の釘打ち機等の工具へ圧縮空気を供給するハンディタイプの空気圧縮機であり、全体の重量は12.9kg程度であり、最高圧力4.4MPaであり、0.7MPaの圧縮空気を110リットル/分程度で供給可能である。図2に示すように空気圧縮機1は、カバー10と、駆動部20と、圧縮部30と、タンク部50と、弁部60と、制御回路部70とを備えている。
【0023】
タンク部50は、二つのタンク51、52を有しており、二つのタンク51、52は、両端部が閉塞された略円筒形状かつ同一形状をなしており、それぞれの軸心の軸方向が平行に指向して軸方向と直交するように並列する位置関係となるように配置されている。2つのタンク51、52は図3に示されるように一対のフレーム53、53によって互いに固定されており、タンク51とタンク52とは、連通管54(図3)によりこれらの内部が連通している。以下の説明において、タンク51、52の長尺方向を前後方向と定義し、前後方向と直交すると共にタンク51、52が並列している方向であって、タンク51からタンク52に向かう方向を右方向として左右方向を定義する。また前後方向及び左右方向と交差する方向であり、鉛直方向上向きを上方として上下方向を定義する。
【0024】
二本のタンク51、52それぞれの前端位置及び後端位置であって下側には、空気圧縮機1における載置部分となる防振支持用ゴム足51A、52Aが設けられている。二本のタンク51、52それぞれの前端位置及び後端位置は、空気圧縮機1の四隅に該当し、この位置に防振支持用ゴム足51A、52Aを配置することにより、空気圧縮機1を地面上に載置した際に、空気圧縮機1が転倒等することを抑制している。
【0025】
図3に示すように、タンク51の上方には、ドレン排出装置57が設けられている。ドレン排出装置57には、ドレンコック57Aが設けられ、また、ドレン排出口57aが形成されている。ドレンコックの手動操作によってコックが開閉され、連通管54およびドレン排出装置57内部の流路を経由して、二つのタンク51、52内のドレン、圧縮空気を同時に外部へ排出させることができるように構成されている。
【0026】
図2に示されるように、タンク51において左側部には、左方に延びるカバー固定部51Bが設けられており、タンク52右側上部には、上方に延びるカバー固定部52Bが設けられている。またタンク51の上部には、圧縮部20及び駆動部20が固定されるクランクカバー固定部51Cが前後方向に並んで一対設けられている。
【0027】
上記構成のタンク部50において、その重量は3.0kg程度であり、タンク51、タンク52の合計容積は8リットル程度である。また前後方向及び左右方向における重心位置Gtは、前後方向において空気圧縮機1の中心であって、左右方向において二つのタンク51、52間に位置している。
【0028】
駆動部20及び圧縮部30は、図3に示されるようにタンク51の上方であって、図2に示されるように空気圧縮機1の前後方向における中央位置に配置され、タンク51及びフレーム53に固定されている。駆動部20は三相交流ブラシレスモータにより構成されており、ステータ21と、ロータ22と、ロータ22と一体回転する出力軸23とを備えており、その出力軸23の軸方向が左右方向に指向するように後述のクランクケース31内に配置されている。出力軸23において、左側端部には、ファン回転軸24が出力軸23に対して同軸的に固定されて設けられている。ファン回転軸24には軸流ファン25がファン回転軸24に対して同軸的に一体回転可能に固定されて設けられている。また、出力軸23の右側端部は、後述のクランクケース31を貫通している。
【0029】
図2に示されるように、圧縮部30は駆動部20の右側に配置されており、タンク51のクランクカバー固定部51C(図4)及びフレーム53に固定されるクランクケース31を外殻として形成される図示せぬクランク室内に、図示せぬクランク軸、図示せぬクランクアーム等を有すると共に、圧縮空気を生成する図示せぬピストン及び図示せぬシリンダをそれぞれ備えた第一圧縮機32及び第二圧縮機33を有している。
【0030】
図示せぬクランク軸及びクランクアームはクランクケース31内に配置されている。図示せぬクランク軸は、駆動部20の出力軸23と一体回転するように構成されると共にクランクアームを介して図示せぬピストンと駆動連結されており、駆動部20の回転を、図示せぬピストンの往復運動に変換している。第一圧縮機32及び第二圧縮機33は、クランクケース31から、それぞれ前方及び後方に延出されて構成され、内部に図示せぬピストンと、図示せぬピストンと図示せぬクランクアームとを連結する図示せぬコンロッドとを内蔵するシリンダが形成されており、それぞれ低圧側圧縮機及び高圧側圧縮機として機能している。第一圧縮機32及び第二圧縮機33は、それぞれの前端及び後端位置にシリンダヘッド32A、32Bを有しており、シリンダヘッド32A、32Bと図示せぬそれぞれのシリンダとの間には図示せぬ弁座が設けられており、図示せぬ弁座には図示せぬ吸気口及び図示せぬ排気口が形成されている。第一圧縮機32の図示せぬ弁座の図示せぬ排気口は管部材55を介して第二圧縮機33の図示せぬ弁座の図示せぬ吸気口に接続されており、第二圧縮機33の図示せぬ弁座の図示せぬ排気口は管部材56を介してタンク52に接続されている。
【0031】
クランクケース31の右側端面には、クランクケース31の内部と外部とを連通する空気流入口31aが形成されている。この位置は、駆動部20及びクランクケース31に関して軸流ファン25の反対側に位置しており、軸流ファン25に対向していない位置である。従って、軸流ファン25により流れてきた空気は、空気流入口31aを画成しているクランクケース31の部分には直接衝突しない。
【0032】
図4に示されるように、クランクケース31の上面と第一圧縮機32との接続箇所及び第二圧縮機33との接続箇所には、前後方向に並列するネジ孔31b、31bがそれぞれ穿設されており、このネジ孔31b、31bに把持部34が装着されている。把持部34は、一個のハンドル35と、被係合部35A、35Aと、ネジ34A、34Aとから構成されており、ハンドル35が前後方向と平行に延びるようにネジ孔31b、31bにネジ34A、34Aでネジ止めされて構成されている。被係合部35A、35Aは、ハンドル35においてネジ34A、34Aにより固定される箇所に装着されており、図示せぬ肩掛けベルト等を装着可能に構成されている。このハンドル35は、前後方向において、空気圧縮機1の中心に位置するように構成されている。
【0033】
上記構成の駆動部20及び圧縮部30において、駆動部20と圧縮部30とを合わせた重量は5.7〜5.9kg程度であり、前後方向及び左右方向における駆動部20及び圧縮部30の重心位置Gpは、前後方向において空気圧縮機1の中央であって、左右方向においてハンドル35から垂下される直線Lより左側(軸流ファン25側)に位置している。
【0034】
弁部60は、図2に示すように、減圧弁61A、61Bと、圧力計62A、62Bと、カプラ63A、63Bと、圧力調整用ハンドル64A、64Bと、ソケットホルダ65A、65Bとから構成されており、圧縮部30の右側かつタンク52の上部において、前端部寄り、後端部寄りに配置されている。減圧弁61A、61Bは、タンク部50に貯留されている圧縮空気をそれぞれカプラ63A、63Bから吐出可能な圧力に減圧しており、この吐出可能な圧力は、圧力調整用ハンドル64A、64Bにより調整可能である。ソケットホルダ65A、65Bは、それぞれ減圧弁61A、61Bに螺合して装着されており、ソケットホルダ65A、65Bは、カプラ63A、63B及び圧力計62A、62Bが螺合して接続されている。カプラ63A、63Bは、ホースを介して釘打機等の空気工具が接続されて当該空気工具に圧縮空気を供給可能であり、圧力計62A、62Bでカプラ63A、63Bから吐出される圧縮空気の圧力をモニタすることができる。
【0035】
これら弁部60の構成により、タンク51、52へ流入する圧縮空気の圧力の大きさにかかわらず、カプラ63A、63B側の圧力を、最高圧力値以下の圧力値であって圧力調整用ハンドル64A、64Bで調整された圧力値に一定に抑えることができ、カプラ63A、63Bから、タンク51、52内の圧力にかかわらず、最高圧力値以下の圧力を有する圧縮空気を得ることができる。これら弁部60の重量は、1.0kg程度であり、前後方向及び左右方向における弁部60の重心位置Gvは、前後方向において空気圧縮機1の中央であって、左右方向において弁部60の中央に位置している。
【0036】
制御回路部70は、駆動部20の起動・停止(オン・オフ)を制御可能に構成されており、軸流ファン25の下方において、タンク51の左側に装着されている。また制御回路部70には、外部電源に接続されるコード71が接続されている。制御回路部70の重量は0.9kg程度であり、前後方向及び左右方向における制御回路部70の重心位置Gcは、前後方向において空気圧縮機1の中央であって、左右方向において制御回路部70の中央に位置している。
【0037】
上記駆動部20と、圧縮部30と、タンク部50と、弁部60と、制御回路部70とから、空気圧縮機1における本体部が構成される。駆動部20、圧縮部30、タンク部50、弁部60、制御回路部70において、それぞれの前後方向における重心位置は、空気圧縮機1の前後方向における中央に位置するため、前後方向において本体部における重心位置Gは、空気圧縮機1の中央に位置する。また左右方向においては、駆動部20、圧縮部30、タンク部50、弁部60、制御回路部70それぞれの重心位置は、異なる位置にあるが、それぞれの重量及び左右方向における位置から算出すると、左右方向において本体部における重心位置Gは、ハンドル35の中央から垂下される直線L付近に位置している。また上下方向において、本体部の重心位置Gは、駆動部20及び圧縮部30の重心位置Gpより下側であるが、タンク部50より上方に位置している。
【0038】
図3に示すようにカバー10は、上部カバー部11と制御回路部カバー部12と弾性部材13とを有している。上部カバー部11は、樹脂製であり、駆動部20と、圧縮部30と、弁部60とを主に覆い、カバー固定部52B及び制御回路部カバー部12上端に固定され、駆動部20及び圧縮部30との間に隙間が形成されるように構成されている。上部カバー部11において、上面には、図4に示されるように、ネジ34A、34Aが貫通可能な、貫通孔11a、11aが形成されている。上部カバー部11の貫通孔11a、11a周囲と、クランクケース31のネジ孔31b、31b周囲及び把持部34との間に隙間が形成されるように、貫通孔11a、11aは、その孔形状が規定されている。
【0039】
また図3に示されるように、上部カバー部11において左端部には、軸流ファン25を内蔵可能に左方に突出する突出部11Aが設けられている。突出部11Aにおいて、突出方向端部には、上下方向及び前後方向に延びる左側面11Bが規定されている。左側面11Bは、軸流ファン25によってカバー10外の空気をカバー10内に導入可能に隙間を備えた格子状に構成されている。突出部11Aの外周において、上面側、前面、後面には、前後方向及び上下方向に延びる一連の溝であってコード71が挿入されるリール部11bが形成されており、リール部11bを含んだ突出部11Aと制御回路部カバー部12とは、リール部11bによりコード71が巻き取れるように構成されている。また図1に示されるように、突出部11Aの外周かつ前側及び後側であってリール部11b近傍位置には、コード71が保持される保持部11C、11Cがそれぞれ設けられている。
【0040】
また、上部カバー部11の上面には、主電源スイッチ11Eを有する操作パネル部11Dが設けられている。主電源スイッチ11Eは、空気圧縮機1に供給される商用三相交流電源のオン/オフの切替えを行う。当該主電源スイッチ11Eの切替えにより、制御回路部70および駆動部20等への駆動電力の供給のオン/オフを切替える。操作パネル部11Dは、タンク51、タンク52内の圧力値や、過負荷等の警告を表示可能である。このカバー10は、その重量が0.9kg程度と軽量であり、かつ本体部を覆うように構成されているため、空気圧縮機1の重心は、本体部の重心位置Gと一致する。
【0041】
制御回路部カバー部12は金属製であり、カバー固定部51Bに装着されて、上方へと延出され、主に制御回路部70を保護すると共に、上端位置で、上部カバー部11を保持している。
【0042】
弾性部材13は、ゴム又はスポンジ等の樹脂製であり、図4に示されるように、上部カバー11とハンドル35及び圧縮部30との間であって、第一圧縮機32との接続箇所近傍及び第二圧縮機33との接続箇所近傍の二箇所に介在している。弾性部材13が介在していることにより、上部カバー11とハンドル35及び圧縮部30が近接している箇所において上部カバー11とハンドル35及び圧縮部30とが直接接触することが抑制されている。
【0043】
以上の構成の空気圧縮機1で空気を圧縮しているときには、上部カバー部11の図示せぬ貫通孔から流入した空気は、第一圧縮機32の図示せぬシリンダ内の図示せぬピストンの往復運動によって、空気流入口31aからクランクケース31内に流入し、第一圧縮機32の弁座の吸気口から第一圧縮機32の図示せぬシリンダ内に流入し、第一圧縮機32の図示せぬシリンダ内で0.7〜0.8MPaの圧力まで圧縮される。圧縮空気は図示せぬ弁座の排気口から管部材55を通して第二圧縮機33の吸気口から第二圧縮機33の図示せぬシリンダに内に流入し、第二圧縮機33の図示せぬシリンダ内で3.0〜4.5MPaの許容最高圧力まで圧縮される。圧縮空気は図示せぬ弁座の排気口から管部材56を通してタンク52に内に流入する。タンク52に流入した圧縮空気の一部は連通管54を通してタンク51に流入し、タンク51及びタンク52内において同一の圧力で圧縮空気が貯留される。
【0044】
上記構成の空気圧縮機1を持ち運ぶ際は、リール部11bにコード71を巻回すると共に前側若しくは後側のいずれかの保持部11Cでコード71の先端を保持した状態で、ハンドル35を把持し、把持者の右体側に、左側面11Bが対向若しくは当接するように、空気圧縮機1を持ち上げて移動する。空気圧縮機1においては、ハンドル35の垂直下方に重心Gが位置しているため、一個のハンドル35のみで空気圧縮機1を持ち上げたとして安定して空気圧縮機1を保持することができ、空気圧縮機1を運びやすくなり、携帯性を良くすることができる。また圧縮部30は本体部を構成する各部材において最も重い部材であり、この圧縮部30に把持部34を設けることにより、重心位置が空気圧縮機1において把持部34に近い位置になり、ハンドル35により空気圧縮機1を持ち上げた際に、空気圧縮機1が不安定になることが抑制される。
【0045】
またカバー10は、本体部において圧縮部30以外の部材であるタンク部50に装着され、圧縮部30及び圧縮部30に装着された把持部34との間には隙間が形成されるように構成されている。圧縮部30は図示せぬピストンを備え、振動が発生する箇所であるので、このように構成されることにより、圧縮部30からカバー10に直接振動が伝達することを抑制することができる。
【0046】
また上部カバー11とハンドル35とが近接する箇所には、弾性部材13が配置されているため、ハンドル35に伝達する圧縮部30の振動は、上部カバー11とハンドル35及び圧縮部30とが弾性部材13を介して接触したとしても弾性部材13に吸収され、ハンドル35及び圧縮部30の振動が上部カバー11に伝達されることを抑制できる。これら弾性部材13は、圧縮機1の上面部でかつ重心から離れた二箇所にそれぞれ配置されているため、より高い振動吸収効果を得ることができ、振動低減による騒音低減および本体寿命向上を図ることができる。
【0047】
カバー10において、左側面11Bが把持者の体側と対向若しくは当接する箇所になるが、左側面11Bは平面状に構成されているため、把持者の体側に密着することができる。よって右手で把持して空気圧縮機1を運ぶ際に、左側面11Bを体側に当接させより安定させた状態にすることができる。また把持部34には、肩掛けベルトを装着することができるので、把持部34に装着した肩掛けベルトを肩に掛けて空気圧縮機1を持ち運ぶ際に、左側面11Bを把持者の体側に密着するように当接させることにより、ハンドル35を握らずとも、安定して空気圧縮機1を保持して持ち運ぶことができる。
【0048】
また空気圧縮機1を持ち運ぶ際にコード71が把持者と触れることがないリール部11bに巻回され、かつ保持部11Cにより保持されていることにより、空気圧縮機1の運搬時にコード71が把持者の体に触れることが抑制され、かつコード71がリール部11bから解けることが抑制される。
【0049】
本発明による空気圧縮機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば本実施の形態では、駆動部20は三相交流ブラシレスモータにより構成されていたが、他の種類のモータが用いられてもよい。
【0050】
また、タンクの本数は二本であったが、二本に限定されず、複数本であればよい。
【符号の説明】
【0051】
1:空気圧縮機 10:カバー 11:上部カバー部 11A:突出部
11B:左側面 11C:保持部 11D:操作パネル部 11E:主電源スイッチ
11a:貫通孔11b:リール部 12:制御回路部 13:弾性部材
カバー部 20:駆動部 21:ステータ 22:ロータ 23:出力軸
24:ファン回転軸 25:軸流ファン 30:圧縮部 31:クランクケース
31a:空気流入口 31b:ネジ孔 32:第一圧縮機 32A:シリンダヘッド
33:第二圧縮機 34:把持部 34A:ネジ 35:ハンドル 35A:被係合部
50:タンク部 51:タンク 51A:防振支持用ゴム足 51B:カバー固定部
52:タンク 52A:防振支持用ゴム足 52B:カバー固定部 53:フレーム
54:連通管 55:管部材 56:管部材 57:ドレン排出装置
57A:ドレンコック 57a:ドレン排出口 60:弁部 61A、61B:減圧弁
62A、62B:圧力計 63A、63B:カプラ
64A、64B:圧力調整用ハンドル 65A、65B:ソケットホルダ
70:制御回路部 71:コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を生成する圧縮部と、
該圧縮部を駆動する駆動部と、
該圧縮部の下方に配置され、該圧縮空気を貯留する複数のタンクを有するタンク部と、
該タンク部内の圧力を検出すると共に該駆動部による該圧縮部の駆動を制御する制御部と、を有し、
該圧縮部、該駆動部、該タンク部、及び該制御部から本体部が構成され、
該圧縮部には、把持部が設けられ、
該把持部は、該本体部の重心上方に位置していることを特徴とする空気圧縮機。
【請求項2】
該圧縮部は、第一圧縮部と第二圧縮部とを有し、
該第一圧縮部及び該第二圧縮部は、該タンク部の長手方向における一方側及び他方側にそれぞれ配置され、
該把持部は、該長手方向における一端側が該第一圧縮部に接続され、該長手方向における他端側が該第二圧縮部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機。
【請求項3】
該本体部を覆うカバーを更に有し、
該カバーは、該本体部において該圧縮部以外に固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の空気圧縮機。
【請求項4】
該カバーにおいて、該圧縮部上方には、該把持部が挿通される挿通孔が形成され、
該把持部は、該挿通孔を貫通して該カバー外に位置することを特徴とする請求項3に記載の空気圧縮機。
【請求項5】
該カバーと該圧縮部との間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の空気圧縮機。
【請求項6】
該カバーと該圧縮部との間には、弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一に記載の空気圧縮機。
【請求項7】
該駆動部は外部電源により動作し、該制御部若しくは該駆動部には該外部電源に接続されるコードが接続され、
該圧縮部から該タンクに向かう方向を下側として上下方向が規定され、該カバーには、該長手方向及び該上下方向と交差する方向に突出し突出方向端部に該長手方向及び該上下方向に延びる平面状の側面を有する突出部が設けられ、
該突出部には、該上下方向及び該長手方向に該コードを案内して該コードが巻回されるリール部が設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一に記載の空気圧縮機。
【請求項8】
該突出部において、該長手方向一方側若しくは他方側には、該コードの端部を保持する保持部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の空気圧縮機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−40586(P2013−40586A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178884(P2011−178884)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】