説明

空気清浄機

【課題】平常運転が自動的に開始されるとき、状況にマッチした無理のない運転モードが、使用者の判断を煩わすまでもなく自動的に選択される空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機1は、送風機8を駆動することにより室内空気を吸い込み、脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5で脱臭と浄化を行う。加湿フィルタ14を有する第1の通気路31に空気を通せば加湿ありの空気清浄運転になり、加湿フィルタのない第2の通気路32に空気を通せば加湿なしの空気清浄運転になる。平常運転として、加湿ありの空気清浄運転または加湿なしの空気清浄運転が実行される。トレイ15と給水タンク16からなる加湿用給水部の水位をトレイ水位検知スイッチ45で検知し、平常運転自動開始時に水位が所定以上を検知していれば加湿ありの空気清浄運転を開始し、水位が所定以下を検知していれば加湿なしの空気清浄運転を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気の浄化に用いられる空気清浄機であって、加湿機能を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気は、塵埃、タバコの煙、呼吸と共に排出される二酸化炭素等、様々な物質で汚染されている。近年では住宅の高気密化が進んだこともあり、汚染物質が室内に留まりやすいので、積極的に換気を行う必要があるが、大気汚染のひどい地域にある建物では、窓を開けて換気するということが思うにまかせないことが多い。そこで、空気清浄機や空気清浄機能付き空気調和機が使用される。室内空気の浄化方法としては、室内の空気を吸引してフィルタで塵埃を捕集する、活性炭で汚染物質を吸着するといったものが一般的である。
【0003】
空気を浄化するのみでなく、湿度を整えて室内環境を一層良好なものとするため、空気清浄機に加湿機能を付加することもしばしば行われる。特許文献1にそのような加湿機能付き空気清浄機の例を見ることができる。
【特許文献1】特開2008−35998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加湿機能付き空気清浄機では、通常、加湿ありの空気清浄運転と加湿なしの空気清浄運転を選択することができ、この二通りの運転モードを平常運転モードとしている。この平常運転が自動的に開始される場合がある。例えば、ホテルではルームキーを所定の場所に差し込むと客室の電源が使えるようになり、ルームキーを抜くと一定時間後に電源OFFとなる仕組みが採用されていることがあるが、空気清浄機が稼働状態のままルームキーを持って外出し、用事を済ませて客室に戻り、ルームキーで電源ON状態にした場合など、このようなことが起こり得る。また、空気清浄機に時間限定の非平常運転モードが設定され、非平常運転が終了すると平常運転に自動復帰するようになっている場合もこれにあてはまる。
【0005】
加湿機能を備えた空気清浄機では、給水タンクの残水量が一定水準以下になるとランプが点滅して給水を促す。使用者が「加湿なし。空気浄化のみ」の運転モードを選択していれば、給水タンクの残水量が少なくなったことを教える必要もないので、ランプは消灯したままとなる。ところで、前述のような平常運転自動開始の場合、加湿ありの空気清浄運転がデフォルトで設定されていると、その時点で給水タンクの残水量が少なければランプの点滅が始まることになり、使用者は驚く。例えば、ホテルの場合など、客室に設置されている空気清浄機の取り扱いに宿泊客が習熟している訳ではないので、どのように給水タンクに給水して良いかわからず、あるいは「加湿なしの空気清浄運転」に切り換えればランプの点滅が止まるということに思い至らず、フロントに電話して善処を要請するといったことになりかねない。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、平常運転が自動的に開始されるとき、状況にマッチした無理のない運転モードが、使用者の判断を煩わすまでもなく自動的に選択される空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、空気浄化機能と加湿機能を備え、制御部は平常運転として加湿ありの空気清浄運転と加湿なしの空気清浄運転を、使用者の指令または自動で開始する空気清浄機において、加湿用給水部に水位検知手段が設けられ、前記制御部は、前記平常運転の自動開始に際し、前記水位検知手段が水位が所定以上を検知していれば加湿ありの空気清浄運転を開始し、水位が所定以下を検知していれば加湿なしの空気清浄運転を開始することを特徴としている。
【0008】
この構成によると、平常運転が自動的に開始されたとき、水位が所定以下で加湿運転不適であるにも関わらず加湿ありの空気清浄運転を始めてしまうという失敗を回避することができる。
【0009】
上記構成の空気清浄機において、前記平常運転の自動開始は、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転が終了するときであることを特徴としている。
【0010】
この構成によると、非平常運転が終了するとき、不適切な平常運転が始まってしまうことを懸念せずに済む。
【0011】
上記構成の空気清浄機において、前記平常運転の自動開始は、通電遮断後に通電が再開されるときであることを特徴としている。
【0012】
この構成によると、通電遮断後に通電を開始するとき、不適切な平常運転が始まってしまうことを懸念せずに済む。
【0013】
上記構成の空気清浄機において、前記平常運転の自動開始は、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転を行っているときに通電が遮断され、通電再開後に再開された前記非平常運転が終了するときであることを特徴としている。
【0014】
この構成によると、通電遮断後の通電再開で再開された非定常運転が終了するとき、不適切な平常運転が始まってしまうことを懸念せずに済む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、平常運転の自動開始に際し、水位検知手段で加湿用給水部の水位を検知し、水位が所定以上を検知していれば加湿ありの空気清浄運転が実行され、水位が所定以下を検知していれば加湿なしの空気清浄運転が実行されるものであるから、水位が所定以下であるにも関わらず加湿ありの空気清浄運転が自動的に開始されてしまうという不手際を演じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明の実施形態を図に基づき説明する。図1は空気清浄機の斜視図、図2は空気清浄機の垂直断面図、図3は図2と異なる状態を示す空気清浄機の垂直断面図、図4は空気清浄機のブロック構成図、図5は空気清浄機の操作・表示部の正面図、図6は各種運転モードの内容を説明する表、図7は非平常運転の始まりから終わりまでの推移を示すフローチャート、図8は通電遮断時の処理を示すフローチャート、図9は通電再開時の処理を示すフローチャート、図10は非平常運転時に通電が遮断されたときの通電再開時の処理を示すフローチャートである。図11は本発明を実施しなかった場合の非平常運転の始まりから終わりまでの推移を示すフローチャートである。
【0017】
空気清浄機1は床置き状態あるいは壁掛け状態で使用されるものであり、偏平な箱を垂直に立てたような形の本体2を有する。本体2は偏平面の一方を正面としており、この正面に直方体形状の窪みであるフィルタ収納部が形成される。フィルタ収納部は前面パネル3で覆われる。フィルタ収納部には、前面パネル3に近い側から、脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5が収納される。
【0018】
脱臭フィルタ4は、長方形の枠にポリエステル製の不織布を取り付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上から更にポリエステル製の不織布をかぶせたものである。脱臭フィルタ4は、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸等を吸着する。集塵フィルタ5はいわゆるHEPA(High Efficiency Particular Air)フィルタであって、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳んだ上、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着したものである。集塵フィルタ5は微細な塵埃を捕集する。
【0019】
フィルタ収納部に挿入された集塵フィルタ5と脱臭フィルタ4は、フィルタ収納部の開口部に装着されるフィルタ押さえ枠6によって脱落を阻止される。フィルタ押さえ枠6は正面形状矩形であり、多数の通気口が形成されている。
【0020】
前面パネル3の裏面上部には、本体2の上部に係合するフック(図示せず)が形成されている。前面パネル3の左右側面下部には係合部7が設けられる。前記フックを本体2の上部に引っ掛けて本体2に前面パネル3がぶら下がった状態にし、係合部7を本体2に係合させることにより、前面パネル3は本体2との間に所定の隙間を明ける形で取り付けられる。その隙間は左右両辺と下辺が外部に向かい開いており、ここから外部の空気が吸い込まれる。
【0021】
本体2のフィルタ収納部の奥には、隔壁21を隔てて送風機8が配置される。送風機8はファンモータ9とファン10からなる。送風機8の正面側の隔壁21と、外周を囲む隔壁22と、背面側の隔壁23とがファンケーシングを構成する。ファンモータ9は隔壁21に固定されている。背面側の隔壁23には多数の小孔からなる吸気口が形成される。ファン10として図示されているのはターボファンであるが、これに限定される訳ではない。プロペラファンを採用することも、クロスフローファンを採用することも可能である。図のターボファンの場合、ファン径に比較して厚さを大きくとり、回転数を下げて騒音レベルを下げる工夫がなされている。ファンモータ9は制御性を重視し、直流モータとしている。
【0022】
ファン10の外周を囲む隔壁22はインボリュート曲線形状となっており、ファン10の外周から吐出された空気を本体2の上部に形成された2個の吹出口へ誘導する。一方の吹出口11は、送風機8の真上に、上を向く形で設けられており、もう一つの吹出口12は、吹出口11の前方に、斜め上を向く形で設けられている。吹出口12の入口付近にはイオン発生器17が配置される。吹出口11、12の間には操作・表示部13が設けられている。操作・表示部13の構成は後で詳しく説明する。
【0023】
隔壁21の下部には開口部24が形成されている。開口部24は、隔壁22の下に形成された第1の通気路31及び第2の通気路32への入口となる。第1の通気路31と第2の通気路32は、前者を下、後者を上とする形で水平な仕切り壁27によって隔てられている。隔壁23と本体2の背面壁25の間には隔壁23に設けられた吸気口に通じる隙間が存在し、第1の通気路31と第2の通気路32は仕切り壁27を通り過ぎたところでこの隙間に連絡する。
【0024】
第1の通気路31には加湿フィルタ14が配置される。加湿フィルタ14はジグザグに折り畳まれた吸水材により構成され、第1の通気路31を全面的に閉塞する。加湿フィルタ14の下端は、第1の通気路31の底部に配置されたトレイ15に受けられる。トレイ15は本体2の一側から出し入れできるものであり、内部には水が溜められる。この水を加湿フィルタ14が毛細管現象で吸い上げ、水に濡れた状態になる。本体2の一側に取り付けられる給水タンク16(図1参照)がトレイ15に水を供給するものであり、トレイ15と給水タンク16の組み合わせが加湿用給水部を構成する。
【0025】
第2の通気路32にはダンパ35が配置される。ダンパ35は第2の通気路32のやや上方に配置された支軸36に固定され、支軸36を中心とする円弧を描く。支軸36は図示しないモータで回転せしめられ、これに伴いダンパ35は垂直面内で回動する。支軸36を回転させるモータはステッピングモータ等のデジタル制御モータであり、ダンパ35の回動角度は常時認識される。
【0026】
送風機8を駆動すると、図2あるいは図3に矢印で示すような気流が発生する。図2は加湿ありの空気清浄運転の状態を示しており、この時はダンパ35が第2の通気路32を閉塞している。空気清浄機1の外部の空気は前面パネル3と本体2の間の隙間からフィルタ収納部の前面へと進入し、フィルタ押さえ枠6の通気口から脱臭フィルタ4に吸い込まれる。脱臭フィルタ4により臭い成分を吸着された空気は集塵フィルタ5に吸い込まれ、細かな塵埃まで捕集される。集塵フィルタ5を通り抜けた浄化状態の空気は、第2の通気路32はダンパ35で閉塞されているため、専ら第1の通気路31を通り、そこで加湿フィルタ14により加湿される。脱臭され浄化され加湿された空気は隔壁23と背面壁25の間の隙間を上昇し、隔壁23に設けられた吸気口からファン10の中心に吸い込まれる。ファン10から吐出された空気は吹出口11と吹出口12から室内に吹き出される。イオン発生器17を稼働させれば、そこで発生したイオンは主に吹出口12から吹き出す気流に乗って室内に送り出される。
【0027】
図3は加湿なしの空気清浄運転の状態を示しており、ダンパ35は背面壁25の内面の当接点26に当たるところまで回動している。この状態では第2の通気路32が開き、逆に第1の通気路31は出口が閉ざされている。脱臭フィルタ4と集塵フィルタ5を通り抜けた空気は加湿フィルタ14を経ることなく送風機8に吸い込まれる。従って今度は脱臭と浄化はなされているものの加湿されていない空気が室内に吹き出される。
【0028】
空気清浄機1の制御要素を図4に示す。全体の制御を司るのは制御部40である。制御部40は不揮発性メモリであるEEPROM53を含む。制御部40には温度センサ41、湿度センサ42、埃センサ43、臭いセンサ44といったセンサ類から信号が入力される。トレイ水位検知スイッチ45、フィルタ除去検知スイッチ46、トレイ・給水タンク除去スイッチ47といった検知手段からも信号が入力される。操作・表示部13に設けられた操作ボタン48(この場合の「操作ボタン」は集合名詞であり、単一のボタンを意味するものではない)からも信号が入力される。電源同期信号生成回路54からも信号が入力される。
【0029】
電源同期信号生成回路54は、商用電源の交流波形を半波整流し、トランジスタ等により波形を整形して、60Hzまたは50Hzの交流波形に同期した矩形波を生成する。この矩形波を監視して、電源周波数を判定したり、通電の遮断を検知したりすることができる。
【0030】
制御部40は、操作・表示部13に設けられた表示ランプ49(この場合の「表示ランプ」は集合名詞であり、単一のランプを意味するものではない)の点灯・消灯・点滅を制御する。またダンパモータ駆動回路50、ファンモータ駆動回路51、イオン発生器駆動回路52に対し指令を送る。
【0031】
温度センサ41は室内空気の温度を計測する。湿度センサ42は室内空気の湿度を計測する。温度センサ41と湿度センサ42は、温湿度センサとして一体化されたものを用いてもよい。埃センサ43は発光素子と受光素子を組み合わせたものであり、室内空気中を浮遊する塵埃粒子を検知する。臭いセンサ44は金属酸化物半導体からなり、ガスを吸着ると抵抗値が変化することを利用して臭い成分を検出する。埃センサ43と臭いセンサ44は室内空気の汚れ具合を知る汚れ検出器として機能する。
【0032】
トレイ水位検知スイッチ45は、トレイ15の中の水位が下がり、「水不足」の水位となったことを検知する。これは、トレイ15に対し給水タンク16から水補給が行われなくなったこと、すなわち給水タンク16が空になったことを教える。すなわちトレイ水位検知スイッチ45は加湿用給水部の水位検知手段として機能する。
【0033】
フィルタ除去検知スイッチ46は、前面パネル3が取り外され、フィルタ押さえ枠6、脱臭フィルタ4、集塵フィルタ5が除去されたことを伝える。トレイ・給水タンク除去検知スイッチ47は、トレイ15と給水タンク16が除去されたことを伝える。
【0034】
図5に操作・表示部13の構成を示す。ここに現れたボタン群が操作ボタン48を構成し、ランプ群が表示ランプ49を構成する。
【0035】
操作ボタン48を構成するのは、空気清浄ボタン60、加湿空気清浄ボタン62、風量切換ボタン64、除菌イオンボタン66、15分間強めボタン68、及び停止ボタン72である。表示ランプ49を構成するのは、空気清浄ランプ61、加湿空気清浄ランプ63、風量ランプ65、除菌イオンランプ67、15分間強めランプ69、クリーンサインランプ70、及び給水ランプ71である。
【0036】
空気清浄機1の停止状態で空気清浄ボタン60を押すと空気清浄ランプ61が点灯し、空気清浄運転が開始される。同じく空気清浄機1の停止状態で加湿空気清浄ボタン62を押すと加湿空気清浄ランプ63が点灯し、加湿空気清浄運転が開始される。空気清浄運転あるいは加湿空気清浄運転では、風量切換ボタン64を押す度に風量が「自動」「強」「中」「弱」と変化し、それに合わせて風量ランプ65の点灯状態が「自動」から「強」へ、「強」から「中」へ、「中」から「弱」へ、「弱」から「自動」へと移り変わる。空気清浄運転と加湿空気清浄運転は使用者の操作によらず自動的に開始される場合もある。これについては後で説明する。
【0037】
空気清浄運転の途中で加湿空気清浄ボタン62を押すと加湿空気清浄運転に切り替わり、加湿空気清浄運転の途中で空気清浄ボタン60を押すと空気清浄運転に切り替わる。空気清浄運転または加湿空気清浄運転の途中で15分間強めボタン68を押すと15分間強めランプ69が点灯し、15分間強め運転が開始される。
【0038】
15分間強め運転では、送風機8が「強」風量の回転数で回転する。トレイ水位検知スイッチ45からの信号が、トレイ15が水不足の状態に陥っていないことを伝えていれば、ダンパ35は図2に示す位置に移動し、空気の流れは加湿空気清浄運転のときと同じになる。トレイ水位検知スイッチ45からの信号が、トレイ15が水不足の状態であることを伝えていれば、ダンパ35は図3に示す位置に移動し、空気の流れは空気清浄運転のときと同じになる。風量固定なので風量ランプ65は点灯しない。空気清浄ランプ61や加湿空気清浄ランプ63が点灯することもない。
【0039】
空気清浄運転、加湿空気清浄運転、15分間強め運転のいずれかの運転の途中で除菌イオンボタン66を押すと、除菌イオンランプ67が点灯し、イオン発生器17が作動を開始する。イオン発生器17はプラスイオンとマイナスイオンを発生する。最も安定して発生するプラスイオンはH+(H2O)n、最も安定して発生するマイナスイオンはO2-(H2O)mである。プラスイオンとマイナスイオンは、単独では空気中の浮遊細菌に対し格別な滅菌効果はないが、同時に発生すると、化学反応によって活性種である過酸化水素H22または水酸化ラジカル(・OH)が生成され、H22または(・OH)の強力な活性で空気に浮遊する細菌を除去できる。除菌イオンボタン66をもう一度押せばイオン発生器17の作動は止まり、除菌イオンランプ67は消灯する。
【0040】
クリーンサインランプ70は、前述のように汚れ検出器として機能している埃センサ43と臭いセンサ44の検知結果に基づき、異なる色で点灯する。すなわち室内空気の汚れが少ないときは緑色で点灯し、少し汚れが多くなると黄色で点灯し、汚れがひどくなると赤色で点灯する。
【0041】
室内空気の汚れ度合いは、空気清浄運転を「自動」で行っているときの風量決定要因となる。すなわち汚れがひどくなれば、単位時間内にできるだけ多くの室内空気を空気清浄機1に通して浄化するため、風量を「弱」から「中」、「中」から「強」と変化させる。
【0042】
加湿空気清浄運転の場合は、室内空気の湿度が加湿空気清浄運転を「自動」で行っているときの風量決定要因となる。すなわち室内空気の湿度が下がれば、単位時間内にできるだけ多くの室内空気を空気清浄機1に通して加湿するため、風量を「弱」から「中」、「中」から「強」と変化させる。
【0043】
これまで説明した各運転モードの内容とその特徴を表形式にまとめたものが図6である。
【0044】
トレイ15の中の水位が下がり、「水不足」の水位となったことをトレイ水位検知スイッチ45が検知したときは給水ランプ71が点滅し、給水を促す。フィルタ除去検知スイッチ46とトレイ・給水タンク除去検知スイッチ47については、対応する表示ランプが存在しない。これらのスイッチのいずれかが「除去」を検知したときは、制御部40は空気清浄機1を動作させないので、表示ランプを設ける必要がないのである。
【0045】
停止ボタン72を押すと、空気清浄機1は動作を停止し、点灯中だったランプは全て消灯する。
【0046】
空気清浄運転、加湿空気清浄運転、15分間強め運転のうち、空気清浄運転と加湿空気清浄運転は空気清浄機1の平常運転と位置づけられる。15分間強め運転は非平常運転と位置づけられる。
【0047】
平常運転である空気清浄運転と加湿空気清浄運転は、前述の通り、使用者の操作によらず自動的に開始される場合がある。次のいずれかのケースがそれに該当する。第1は使用者の指令で開始された非平常運転が終了するとき、第2は通電遮断後に通電が再開されるとき、第3は使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転を行っているときに通電が遮断され、通電再開後に再開された前記非平常運転が終了するときである。続いてそれぞれのケースを説明する。
【0048】
第1のケースを説明するのが図7であるが、その前に、15分間強め運転の際の従来の処理を図11に基づき説明する。ステップS201で15分間強めボタン68が押されると、ステップS202で現在の運転モードを記憶する。ステップS203で15分間強め運転が開始される。ステップS204で15分が経過するとステップS205で記憶しておいた運転モードを読み出す。ステップS206では元の運転モードによる運転が自動的に再開される。
【0049】
上記従来の処理には次のような問題があった。前述の通り、15分間強め運転では開始時にトレイ15が水不足でなければ空気の流れは加湿空気清浄運転のときと同じになる。すなわち加湿フィルタ14を通って空気が流れるので、15分間強め運転の間にトレイ15から水が持ち去られる。15分間強め運転の間にトレイ15の水位が「水不足」の水位まで下がることもあり得る。そのような場合、15分間強め運転の前の運転モードが加湿空気清浄運転だったとすると、15分間強め運転が終了した後に自動的に再開される平常運転は加湿空気清浄運転ということになり、既にトレイ15に水がないのであるからいきなり給水ランプ71が点滅を始める。これが使用者を戸惑わせることになる。
【0050】
空気清浄機1が家庭内で使用されており、給水ランプ71の点滅の意味するところと、その対処法を使用者が良く理解していればまだしも、ホテルの客室での使用であって、宿泊客が空気清浄機1に慣れていない場合など、給水ランプ71の点滅は要らざる混乱を引き起こす。特に、宿泊客のチェックアウトで客室が通電遮断状態となり、次の宿泊客が客室に入ってきて通電が再開した場合など、混乱は一層深刻なものとなる。
【0051】
そこで、図7のように処理する。ステップS101で15分間強めボタン68が押されると、ステップS102で15分間強め運転が開始される。ステップS103で15分が経過すると、ステップS104でトレイ水位検知スイッチ45による水位検知結果を読み込む。水位が「水不足」の水位にまで低下していないということであれば、加湿運転可なのでステップS105に進み、加湿空気清浄運転が開始される。水位が「水不足」の水位以下に低下していれば、加湿運転不適ということなのでステップS106に進み、加湿を伴わない空気清浄運転が開始される。
【0052】
このように、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転である15分間強め運転が終了するとき、その時点で加湿運転が可能であるかどうかを調べ、加湿運転可であれば自動的に加湿空気清浄運転を開始し、加湿運転不適であれば自動的に空気清浄運転を開始するから、加湿運転不適であるにも関わらず加湿空気清浄運転を始めてしまうという失敗を回避することができる。
【0053】
空気清浄機1は、停電等で通電が遮断された後、通電が再開されたときも平常運転を自動的に開始する。通電が遮断されたときは、図8の処理を行う。電源同期信号生成回路54により生成された矩形波を監視し、通電の遮断を検知すると、制御部40に供給される電力をできるだけ長く保持するため、ステップS111で全ての負荷がOFFの「運転停止」状態にする。それから、現在の運転モードを記憶する。
【0054】
ステップS112では、現在の運転モードが空気清浄運転であるかどうかを調べる。空気清浄運転であればステップS113に進み、運転モードが空気清浄運転であることをEEPROM53の領域1に書き込む。空気清浄運転でなければステップS114に進む。
【0055】
ステップS114では、現在の運転モードが加湿空気清浄運転であるかどうかを調べる。加湿空気清浄運転であればステップS115に進み、運転モードが加湿空気清浄運転であることをEEPROM53の領域1に書き込む。加湿空気清浄運転でなければステップS116に進む。
【0056】
ステップS116では、現在の運転モードが15分間強め運転であるかどうかを調べる。15分間強め運転であればステップS117に進み、運転モードが15分間強め運転であることをEEPROM53の領域1に書き込む。15分間強め運転でなければステップS118に進む。
【0057】
ステップS118では、現在の状態が空気清浄運転、加湿空気清浄運転、15分間強め運転のいずれにも該当しないことからして、運転停止状態であると判断し、そのことをEEPROM53の領域に書き込む。
【0058】
ステップS119では、風量切換ボタン64によって選択されている現在の風量モード(「自動」「強」「中」「弱」)をEEPROM53の領域2に書き込む。ステップS120では、除菌イオンランプ66によって選択されている現在のイオンモード(「入」「切」)をEEPROMの領域3に書き込む。これで図8の処理は終わりとなるが、不揮発性メモリであるEEPROM53は通電が完全に遮断された後も書き込まれた情報を保持し続ける。
【0059】
通電遮断を検知してから制御部40に供給される電力が途絶えるまでの時間が短く、上記のようにEEPROM53にデータを待避させることが困難な場合は、それまでの動作中定期的に、あるいはボタン操作や自動動作で運転状態が変化したタイミングで、EEPROM53にデータを待避させておくのがよい。
【0060】
遮断されていた通電が再開されるときは、図9の処理が実行される。まずステップS121で、EEPROM53の領域2から風量モードが読み出され、その通りに風量が設定される。ステップS122ではEEPROMの領域3からイオンモードが読み出され、その通りにイオン発生器17の動作が設定される。ステップS123ではEEPROMの領域1に書き込まれたのが「運転停止」であったかどうかを調べる。「運転停止」であったならば、平常運転を開始することなく処理を終了する。「運転停止」でなかったならステップS124に進む。
【0061】
ステップS124ではトレイ水位検知スイッチ45による水位検知結果を読み込む。水位が「水不足」の水位にまで低下していなければ、加湿運転可なのでステップS125に進み、加湿空気清浄運転が開始される。水位が「水不足」の水位以下に低下していれば、加湿運転不適ということなのでステップS126に進み、加湿を伴わない空気清浄運転が開始される。
【0062】
このように、遮断されていた通電が再開するとき、その時点で加湿運転が可能であるかどうかを調べ、加湿運転可であれば自動的に加湿空気清浄運転を開始し、加湿運転不適であれば自動的に空気清浄運転を開始するから、加湿運転不適であるにも関わらず加湿空気清浄運転を始めてしまうという失敗を回避することができる。
【0063】
空気清浄機1は、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転を行っているときに通電が遮断され、通電再開後に再開された前記非平常運転が終了するときも平常運転を自動的に開始する。使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転、すなわち15分間強め運転を行っているときに通電が遮断されたときは、まず図8の処理を行う。通電が再開されたときは、図10の処理を行う。
【0064】
図10では、ステップS131で、EEPROM53の領域2から風量モードが読み出され、その通りに風量が設定される。ステップS132ではEEPROMの領域3からイオンモードが読み出され、その通りにイオン発生器17の動作が設定される。ステップS133ではEEPROMの領域1に書き込まれたのが「運転停止」であったかどうかを調べる。「運転停止」であったならば、平常運転を開始することなく処理を終了する。「運転停止」でなかったならステップS134に進む。
【0065】
ステップS134では、EEPROMの領域1に書き込まれたのが15分間強め運転であったかどうかを調べる。15分間強め運転が書き込まれていたのであればステップS135に進む。そうでなければ、ステップS137に進む。
【0066】
ステップS135では15分間強め運転が開始される。ステップS136で15分が経過すると、ステップS137に進む。
【0067】
ステップS137ではトレイ水位検知スイッチ45による水位検知結果を読み込む。水位が「水不足」の水位にまで低下していなければ、加湿運転可なのでステップS138に進み、加湿空気清浄運転が開始される。水位が「水不足」の水位以下に低下していれば、加湿運転不適ということなのでステップS139に進み、加湿を伴わない空気清浄運転が開始される。
【0068】
このように、遮断されていた通電が再開されて再開された非定常運転が終了するとき、その時点で加湿運転が可能であるかどうかを調べ、加湿運転可であれば自動的に加湿空気清浄運転を開始し、加湿運転不適であれば自動的に空気清浄運転を開始するから、加湿運転不適であるにも関わらず加湿空気清浄運転を始めてしまうという失敗を回避することができる。
【0069】
以上、本発明の各実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は加湿機能付き空気清浄機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】空気清浄機の斜視図
【図2】空気清浄機の垂直断面図
【図3】図2と異なる状態を示す空気清浄機の垂直断面図
【図4】空気清浄機のブロック構成図
【図5】空気清浄機の操作・表示部の正面図
【図6】各種運転モードの内容を説明する表
【図7】非平常運転の始まりから終わりまでの推移を示すフローチャート
【図8】通電遮断時の処理を示すフローチャート
【図9】通電再開時の処理を示すフローチャート
【図10】非平常運転時に通電が遮断されたときの通電再開時の処理を示すフローチャート
【図11】本発明を実施しなかった場合の非平常運転の始まりから終わりまでの推移を示すフローチャート
【符号の説明】
【0072】
1 空気清浄機
2 本体
3 前面パネル
4 脱臭フィルタ
5 集塵フィルタ
8 送風機
13 操作・表示部
14 加湿フィルタ
15 トレイ
16 給水タンク
31 第1の通気路
32 第2の通気路
35 ダンパ
40 制御部
45 トレイ水位検知スイッチ(加湿用給水部の水位検知手段)
60 空気清浄ボタン
62 加湿空気清浄ボタン
68 15分間強めボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化機能と加湿機能を備え、制御部は平常運転として加湿ありの空気清浄運転と加湿なしの空気清浄運転を、使用者の指令または自動で開始する空気清浄機において、
加湿用給水部に水位検知手段が設けられ、前記制御部は、前記平常運転の自動開始に際し、前記水位検知手段が水位が所定以上を検知していれば加湿ありの空気清浄運転を開始し、水位が所定以下を検知していれば加湿なしの空気清浄運転を開始することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記平常運転の自動開始は、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転が終了するときであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記平常運転の自動開始は、通電遮断後に通電が再開されるときであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記平常運転の自動開始は、使用者の指令で開始された時間限定の非平常運転を行っているときに通電が遮断され、通電再開後に再開された前記非平常運転が終了するときであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−48511(P2010−48511A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214878(P2008−214878)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】