説明

空気細菌捕集装置

【課題】コンパクトで持ち運び可能な装置として容易に構築され、特に、スループットが変化する場合でさえ、高い信頼性と計数精度とを提供する空気細菌捕集装置の提供。
【解決手段】捕集媒体とスクリーンカバー間の規定の相対的な移動を有し、その中に固定された捕集ストリップを有する収容部は回転可能であり、スクリーンカバーは決められた位置に固定される。スクリーンカバーは、収容部が決められた位置に固定されるならば、回転可能に構成されてもよい。相対移動を得るために、捕集ストリップを収容部内で移動させることができる。細菌で満たされた空気は次の方法で移送される。カバーの中心開口および流路開口を通じ、空気は捕集ストリップの凹部内の捕集媒体の表面に到達し、そこで、空中移送の慣性沈着が生じる。空気は、収容部を過ぎて外部ドラムスペースに流れ続け、ファンにより楕円形の穴を通して引き込まれ、空気細菌捕集装置の底部から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気細菌捕集装置に関し、特に、空気から捕集媒体への細菌の慣性沈着を可能にするために、捕集媒体を収容する収容部と、細菌で満たされた空気を加速させる加速手段とを備える空気細菌捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気細菌捕集装置は、実験室、病院、生産クリーンルームなどの空気純度をチェックし、あるいは検出するために用いられる。
【0003】
空気細菌捕集装置は、細菌で満たされた空気を捕集媒体しばしば殺菌寒天培地に接触させ、空気からの細菌を捕集媒体上に沈着させる。培養によって、沈着する細菌の数は、形成されたコロニーの数を用いて決定することができる。一般に、検査すべき空気は、単位空気量当たりの細菌数を決定するために、媒体を越えてまたは媒体を通して制御された流れにもたらされる。
【0004】
検査すべき空気がフィルタを通して引き込まれるフィルタ方法および検査すべき空気が流体を通過するいわゆるインピンジャ(impinger)方法に加え、特に、嵌入方法が確立された。
【0005】
フィルタ方法は、フィルタの気孔の大きさより大きいすべての細菌の沈着(deposition)を達成するが、繁殖可能な細菌はフィルタ上で乾燥する傾向がある。また、(以前はしばしば紙であったが、今日ではほとんどがゼラチンからなる)フィルタ媒体を殺菌条件下でカセット中に最初に置き、サンプリング後カセットから取り除き、最後に溶かして寒天プレートに塗られなければならないので、その取扱いは煩雑である。インピンジャ方法は、乾燥を避けることができるが、流体を取扱うために、同様に煩雑である。さらに、凝集物が流体内に溶けて、結果としてカウントされる個々の細菌がより高いコロニー数に至るので、嵌入方法は比較方法とは異なる結果に至ることもしばしばある。
【0006】
前述の嵌入方法では、空中移送の細菌の慣性沈着(また、慣性遮断(inertial interception)としても知られる)は、バッフルフロー(邪魔板流れ)または遠心力場で生じる。非常に安価に実行可能なサンプル方法の場合、寒天プレートは、それを通して細菌で満たされた空気が流れるスクリーンカバー(スクリーンプレート)の下流または背後に配置される。バッフルフローでは、細菌は培養液上に落ちるが、空気は側面に流れ込む。空気が、定められた位置、すなわち、スクリーンホール(また、以下では「気体流路開口」とも呼ぶ)で寒天に常に影響を与えるので、乾燥によりこれらの位置でへこみのような領域が生じ得る。また、細菌が常にスクリーンホールの下流の同じ位置に影響を与え、そのため、いくつかのコロニー形成単位が1つとカウントされ得るので、決定される細菌数はあまりに低くなる傾向にある。また、スクリーンホールを通して通過中に発生する剪断力は、細菌の生殖力を弱めてしまう。
【0007】
いわゆるハイコン(Hycon)方法では、空中移送の細菌の慣性沈着は遠心力場で生じる。引き込まれる空気は、ロータブレードにより加速され、同じく回転している寒天を備える遠心分離器表面に影響を与える。これは、細菌にとって優しくないが、システムが閉じており、確認しやすいので、一般に、信頼できる結果を得る方法である。これに関して、寒天は、捕集処理の前に遠心分離器に挿入され、その後取り除かれる捕集ストリップの凹部に置かれる。時には、捕集ストリップが回転するので、偏心が起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、前述の不利益を実質的に取り除く空気細菌捕集装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、コンパクトで持ち運び可能な装置として容易に構築され、特に、スループットが変化する場合でさえ、高い信頼性と計数精度とを提供する空気細菌捕集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の空気細菌捕集装置は、捕集媒体を収容するための収容部と、空気から捕集媒体上への細菌の慣性沈着を可能にするために、細菌で満たされた空気を加速する加速手段と、加速された空気のための複数の流路開口を有し、捕集媒体を覆うためのカバーとを備える。
【0010】
カバーおよび捕集媒体は、定められた方法で慣性沈着中に相対的に移動可能である。空気細菌捕集装置は、カバーと捕集媒体との間の相対移動が長時間にわたって制御され、捕集処理の所定の期間中所定の相対経路および角運動が行われるように構成されてもよい。
【0011】
捕集媒体は、収容部に交換可能に保持された捕集ストリップ内に収められればよく、所定期間中の所定の相対経路または角運動は、捕集媒体を備える捕集ストリップの有効長に対応する。
【0012】
一実施形態では、複数の流路開口は繰り返しパターンで配置され、空気細菌捕集装置は、捕集処理の所定の期間中、カバーと捕集媒体との間の相対移動を実行する目的のために構成される。カバーと捕集媒体とのこの相対移動は、パターンが繰り返す距離またはその距離の整数倍に対応すればよい。
【0013】
別の実施形態では、収容部はドラム形状であり、カバーは、収容部に囲まれたドラム内部に、収容部と同軸に配置された貫通ドラムとして構成される。ここで、流路開口は、ドラムマントルの周辺に一様に配置されればよい。収容部は回転可能に構成され、貫通ドラムは決まった場所に固定されるように構成される。
【0014】
加速手段は、収容部と同軸に配置されるファンを備えればよい。ファンは、収容部で囲まれたドラム内部の外側に配置されればよい。
【0015】
別の実施形態では、捕集媒体は、収容部に交換可能に保持された捕集ストリップ内に収められている。捕集ストリップは、収容部に対して移動可能に構成される。空気細菌捕集装置は、自動化方法で捕集ストリップを収容部に引き込むための引き込み手段をさらに備えてもよい。捕集中、収容部に対して捕集ストリップを移動させる、引き込み手段のための共通の駆動部が設けられてもよい。
【0016】
一実施形態では、流路開口は、丸くてもよく、互いに形状が均一であってもよい。好ましくは、流路開口の縁から測定された互いに隣接する流路開口間の距離は、一つの流路開口に内接した円の直径よりも大きい。より好ましくは、各流路開口の縁から測定された互いに隣接する流路開口間の距離は、一つの流路開口に外接した円の直径の5倍未満である。
【0017】
好ましくは、各流路開口は、0.2mm2の最小面積を有するとともに、1mm2の最大面積を有する。
【0018】
一実施形態では、カバーは、流路開口の面積よりも大きい面積を有する複数のバイパス開口を有する。好ましくは、バイパス開口を閉止可能である。
【0019】
本発明の空気細菌捕集装置は、持ち運び可能な装置として構成されてもよく、捕集処理を特徴付けるデータを検出するための検出手段をさらに備えていてもよい。また、空気細菌捕集装置は、捕集処理を特徴付けるデータを外部の受信機に無線送信する手段をさらに備えていてもよい。
【0020】
基本的に、本明細書の範囲内で記述され、あるいは示された本発明のあらゆる変形は、個別の場合において経済的および技術的条件に応じて特に有利である。あることがそのことと反対として言及されない限り、あるいは、基本的に、技術的に実行可能である限りにおいて、記述の実施形態の個々の特徴は、置き換え可能であり、あるいは、互いにおよび最先端技術から公知の措置と組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、関連する図面を用いて、本発明の好適実施形態の具体例をより詳細に説明する。これに関して、各図面は、単に概略的なものであり、明確な説明のためにスケール(比率)を表現したものではない。特に、寸法比は、実際の実施形態から逸脱することも可能である。また、互いに対応する構成要素には、個々の図面において同一の符号を割り当てている。
【0022】
図1に示す分解図は、本発明の空気細菌捕集装置の機能原理を示す。その原理は、捕集媒体20あるいは収容部10とスクリーンカバー11との間の相対的な移動にある。よりよく理解するために、図2の半面断面表現を参照可能であり、この図2は、大部分において、図1に示す実施形態に対応するものである。
【0023】
円周方向に固定された捕集ストリップ1を有する収容部10は回転可能であり、スクリーンカバー11は決まった位置に固定される。同様に、スクリーンカバー11は、特に収容部10が決まった位置に固定されるならば、回転可能に構成されてもよい。また、要求される相対的な移動を得るために、収容部10内の捕集ストリップ1を回転することもできる。捕集ストリップ1は、円周方向に固定されるものであるが、図1において示されるのみである。それは、本質的に、図3に関して以下に記述される捕集ストリップ1のように構成されればよい。
【0024】
空気は、以下の方法で、収容部10と同軸に配置されるファン18により移送され、あるいは引き込まれる。すなわち、カバーホール19の中心開口および気体流路開口12を通して、空気は、捕集ストリップ1の凹部2内の捕集媒体(好ましくは、培養液)20の表面に到達し、そこで、(最初に記述された従来のスクリーンプレートと同様に)空中移送の慣性沈着が生じる。
【0025】
細菌で高度に満たされた空気の場合、その空気の一部は、開閉可能なバイパス穴21を通して流れることができる。開閉機構(図示せず)は、スクリーンカバー11と同心でこのスクリーンカバー11に対して静止している回転リングとして構成されてもよい。回転リングは、バイパス穴21と完全なあるいは部分的な適用範囲であるか、全くそれらとの適用範囲がない複数の穴を有する。
【0026】
空気は、収容部10を過ぎて(例えば、ギャップや穴を通して)外部ドラムスペースに流れ続け、ファン18により楕円形ホール22を通して引き込まれ、空気細菌捕集装置(図示せず)の下端部で排出される。移送量は、ファン18の回転速度を変えることにより変更することができる。
【0027】
操作のために必要とされる制御部(図示せず)は、駆動部および電源(例えば、ネットワークコネクタやバッテリ)とともに、持ち運び可能に構成される空気細菌捕集装置のハウジング23内に収容される。操作のために必要とされる操作部およびディスプレイは、操作領域24に配置される。捕集処理を特徴付けるデータ(例えば、空気スループット、ファン回転速度、バイパス設定、あるいは、収容部10とスクリーンカバー11との間のねじれ角のような運動特性)を検出し、メモリにそのようなデータを格納し、あるいは好ましくは無線方法で外部の受信機にデータを送信することができるように空気細菌捕集装置が装備されていることは、有利である。
【0028】
捕集ストリップ1の取り入れ口には、取り入れシャフト13が設けられる。好ましくは、この捕集ストリップ1の取り入れは、自動化方法で実行され、カバーホール19を取り外すことにより、アクセス可能である。
【0029】
その代わりに、捕集ストリップ1は手動で設置されてもよい。しかしながら、自動化された取り入れ口は、媒体の取り替え処理を加速させ、簡易化させ、標準化させるという利点を提供する。捕集媒体20への故意ではない接触による汚染と同様に、操作ミスのリスクが低減される。
【0030】
スクリーンカバー11に対する収容部10の移動は、ギアクラウン、電磁継手または当業者に公知の他のトルク転送手段を介してもたらされればよい。
【0031】
気体流路開口12が捕集媒体20を越えて所定の経路を進むので、気流は、常に同じ位置に当たるわけではない。これにより、同じ場所への2つの細菌の沈着のリスクと同様に、局所的乾燥を低減することができる。
【0032】
また、スクリーンカバー11と培養液または捕集媒体20との間の相対的移動の原理は、従来のスクリーンプレート方法の場合のような平坦な(回転対称でない)場合には、有利な方法で繰り返されてもよい。また、互いに軸相対移動を実行する同心ドラム(または他の角柱体)を配置することができる。
【0033】
図3(c)に示される捕集ストリップ1は、既に上述したように、捕集媒体、好ましくは培養液で満たされた凹部2を有する。捕集ストリップ1は、好ましくは、深絞り方法によって、形状が安定しているが、可撓性であるプラスチックフィルムから作られる。しかしながら、捕集ストリップ1は他の方法で作られてもよい。
【0034】
好ましくは設けられる自動取り入れ中に至る捕集ストリップ1の領域では、捕集ストリップ1は、空気細菌捕集装置への取り入れ中に保持する摩擦力の係合面として広がった端部3を有する。その代わりにまたはそれに加えて、空気細菌捕集装置内に捕集ストリップを自動で引き込むための取り入れ手段の係合、特に、形状適合係合に適用される他の手段が設けられてもよい。例えば、十字形スリット、パンチ穴、打ち出しの十字形溝、または捕集ストリップ1の端部8における横ノッチは可能性がある。
【0035】
空気細菌捕集装置に引き込まれる間案内するとともに、収容部10に保持するために、捕集ストリップ1はあまり狭くない横端部8を備える。好ましくは設けられる自動取り入れの場合には、この端部8は、フィルムストリップと同様の前進(例えば、点在したローラなどによって)をサポートするために穴を開けられてもよい。
【0036】
図3(c)から分かるように、捕集ストリップ1は、(取り入れ中に捕集ストリップ1の後を追う部分に)つかみタブ9を備える。つかみタブ9は、捕集ストリップ1の主面、すなわち、凹部2の端部(縁の部分)の仮想接続面に関して曲がり、取扱いを容易にするとともに、ラベリング面として機能することができる。適当な書き込み装置またはラベルは、ラベリングのために用いられればよい。また、しかしながら、レーザ、無線ICタグ装置(RFID)アレンジメント(トランスポンダチップ)、バーコード、行列コードなどによって書き込むことができるフィルム構造によるラベリングも可能である。
【0037】
図3は、図1と同様に構成される空気細菌捕集装置にストリップを取り入れる処理を表す図であり、(a)は図1と同様に構成される空気細菌捕集装置にストリップを取り入れる直前の状態を示す図、(b)は空気細菌捕集装置にストリップを取り入れつつある状態を示す図、(c)は該ストリップの平面図である。
【0038】
図1および図2に示すように、気体流路開口12を有するドラム形状のスクリーンカバー11は、ドラム形状のストリップ収容部10と同心に設けられる。操作中、細菌に満たされた空気は、気体流路開口12を通してドラム内部から、そのとき収容部10内に引き込まれる捕集ストリップ1の表面上に流れ、側面に流れ出る(図示しない完全な引き込み状態)。互いに関する収容部10とスクリーンカバー11との相対移動(あるいは、収容部10内の捕集ストリップ1の移動)のために、局所的乾燥やスクリーンプレート方法に関して最初に記述したより大きい計数偏差という問題は滅多に起こらない。各気体流路開口12が所定の経路または角度範囲に沿って移動するような定められた方法でこの移動が実行されることは、特に有利である。
【0039】
また、定められた方法で実行される相対的な移動は、特に、スクリーンカバー11と捕集ストリップ1との間の相対的な移動を意味するように意図される。この相対的な移動は、捕集処理の所定の期間中に所定の相対経路または角運動が発生するような方法で長時間にわたって制御される。これに関して、360°の角度にわたって、あるいは360°の整数倍の角度にわたって各気体流路開口12が通過するように、互いに対して収容部10およびスクリーンカバー11の完全な1回転または完全な数回転(あるいは、収容部10内の捕集ストリップ1の完全な1回転または完全な数回転)を捕集処理の過程で実行することは、特に有利であろう。複数の流路開口12が繰り返しパターンで配置されるならば、捕集処理の所定期間中にスクリーンカバー11と捕集ストリップ1との間の相対的な移動を実行するように空気細菌捕集装置を構成することもまた有利である。そのような相対移動はパターンが繰り返す距離またはその距離の整数倍に対応する。
【0040】
また、所定の相対経路または角運動が捕集媒体20を備える捕集ストリップ1の有効長lNに対応する一実施形態(図3(c)参照)も有利である。
【0041】
特に好ましくは、スクリーンカバー11上の複数の流路開口12は、捕集媒体20の表面の各ポイントが捕集処理の過程で少なくとも一度流路開口12の一つの適用範囲に入るような方法で配置される。
【0042】
長時間にわたって制御された方法で所定の経路または角度で通過することは、機械制御または単純な電気制御により実行可能であるが、好ましくは、そのような制御はマイクロ電子的に構成される。これに関して、例えば、スクリーンカバー11または捕集ストリップ1の異なる実施形態を用いるとき、異なる動作モードを事前に選択することができるべきである。
【0043】
捕集ストリップ1の取り入れは、本質的に、取り入れシャフト13を通して接線方向に生じる。取り入れシャフト13は、示されるように、高くしなくてもよく、むしろ収容部10の外側に同じ高さに位置することができる。
【0044】
捕集ストリップ1は、収容部10の接線方向に進む引き込み装置17により、あるいは収容部10内に案内されるキャリッジにより引き込まされる。端部位置(図示せず)は、ストッパまたは適当なセンサにより認識される。捕集ストリップ1を「つかむ」ために、引き込み装置17は適当な手動または自動操作手段(図示せず)を備える。例えば、これらは、クランプ装置やピンや留め金であればよく、その後者である留め金は、例えば、適当な捕集トリップ1のスリット、穴、溝あるいはノッチ(すべて図3(c)では図示せず)に係合する。
【0045】
その代わりに、捕集ストリップ1は、終わりのない(エンドレス)コンベヤによって引き込まれてもよい。エンドレスコンベヤは、摩擦力で捕集ストリップ1を移送するローラやロールであればよいが、捕集ストリップ1が(上述のような)端部穿孔または適当なうね模様を有するならば、捕集ストリップ1の形状適合移送も、例えば、点在したローラやギヤホイールにより可能である。エンドレスコンベヤは、取り入れシャフト13の領域のみに配置されてもよく、あるいは、収容部10の円周上に配置されてもよい。
【0046】
また、取り入れシャフト13の領域のエンドレスコンベヤと引き込み装置17との組み合わせも有利である。すなわち、例えば、取り入れは、先導する捕集ストリップ1の端部が引き込み装置17のクランプや留め金などにより引き込まれ得るまで、エンドレスコンベヤにより行うことができる。
【0047】
取り入れは、完全に自動的にまたは手動制御によって行うことができる。
【0048】
捕集ストリップ1の自動取り入れは、捕集処理中の捕集ストリップ1とスクリーンカバー11の間の相対移動が収容部10内の捕集ストリップ1の移動により得られるような方法で、前述の実施形態の変形と有利に組み合わせることができる。好ましくは、捕集ストリップ1の取り入れおよび捕集操作における相対移動の発生のために、共通の駆動部が設けられてもよい。この結果として生じる利点は、ある状況下では、可動部の割合を減らし、それによりはるかに容易にシールを実行することができることである。
【0049】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態のみを示したが、本発明の意図および範囲を逸脱することなく、本発明に多くの変更や変形をなし得ることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る空気細菌捕集装置の特に好適な実施形態の分解斜視図であり、下部ハウジング部は途中で切れるように示され、カバーフードは断面で示される。
【図2】図1と同様に構成される空気細菌捕集装置の捕集部の半面断面図である。
【図3】本発明に係る空気細菌捕集装置にストリップを取り入れる処理を表す図であり、(a)は図1と同様に構成される空気細菌捕集装置にストリップを取り入れる直前の状態を示す図、(b)は空気細菌捕集装置にストリップを取り入れつつある状態を示す図、(c)は本発明の空気細菌捕集装置で用いるように構成された捕集ストリップの平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 捕集ストリップ
10 収容部
11 スクリーンカバー
12 気体流路開口
20 捕集媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と、
前記収容部内に配置される捕集媒体と、
空気から前記捕集媒体上への細菌の慣性沈着を可能にするために、前記細菌で満たされた空気を加速する加速手段と、
前記加速された空気のための複数の流路開口を有し、前記捕集媒体を覆うためのカバーとを備え、
前記カバーおよび前記捕集媒体は、定められた方法で前記細菌の慣性沈着中に相対的に移動可能であることを特徴とする空気細菌捕集装置。
【請求項2】
前記カバーと前記捕集媒体との間の相対移動が長時間にわたって制御され、捕集処理の所定の期間中所定の相対経路および角運動が行われるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項3】
前記捕集媒体は、前記収容部に交換可能に保持された捕集ストリップ内に収められ、前記所定期間中の前記所定の相対経路または角運動は、前記捕集ストリップの有効長(lN)に対応することを特徴とする請求項2に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項4】
前記複数の流路開口は繰り返しパターンで配置され、前記カバーと前記捕集媒体との相対移動は該パターンが繰り返す距離または該距離の整数倍に対応することを特徴とする請求項2に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項5】
前記収容部はドラム形状であり、前記カバーは、前記収容部に囲まれたドラム内部において、前記収容部と同軸に配置された貫通ドラムとして構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項6】
前記流路開口は、ドラムマントルの周辺に一様に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項7】
前記収容部は回転可能であることを特徴とする請求項5に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項8】
前記貫通ドラムは決まった場所に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項9】
前記加速手段は、前記収容部と同軸に配置されるファンを備えることを特徴とする請求項5に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項10】
前記ファンは前記ドラム内部の外側に配置されることを特徴とする請求項9に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項11】
前記捕集媒体は、前記収容部に交換可能に保持された捕集ストリップ内に収められていることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項12】
前記捕集ストリップは、前記収容部に対して移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項13】
自動化方法で前記捕集ストリップを前記収容部に引き込むための引き込み手段をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項14】
捕集中に前記収容部に対して前記捕集ストリップを移動させる、前記引き込み手段のための共通の駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項15】
前記流路開口が丸いことを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項16】
前記流路開口は、互いに形状が均一であることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項17】
各流路開口の縁から測定された互いに隣接する流路開口間の距離は、一つの流路開口に内接した円の直径よりも大きいことを特徴とする請求項16に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項18】
各流路開口の縁から測定された互いに隣接する流路開口間の距離は、一つの流路開口に外接した円の直径の5倍未満であることを特徴とする請求項16に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項19】
前記各流路開口は、0.2mm2の最小面積を有することを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項20】
前記各流路開口は、1mm2の最大面積を有することを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項21】
前記カバーは複数のバイパス開口を有し、一つのバイパス開口の面積は、一つの流路開口の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項22】
前記バイパス開口が閉止可能であることを特徴とする請求項21に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項23】
前記空気細菌捕集装置は持ち運び可能な装置として構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項24】
捕集処理を特徴付けるデータを検出するための検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の空気細菌捕集装置。
【請求項25】
前記検出手段は、前記データを外部の受信機に無線送信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の空気細菌捕集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−73042(P2008−73042A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244085(P2007−244085)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(390035378)バイオテスト・アクチエンゲゼルシヤフト (13)
【Fターム(参考)】