説明

空気調和機の室内機

【課題】上下風向調整板とケーシング内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができる空気調和機の室内機の提供。
【解決手段】空気調和機1の室内機10は、空気の吹出口15が形成されている室内機ケーシング12と、吹出口15近傍に配置される上下風向調整羽根30と、上下風向調整羽根30の第1連結部32と連結しており第1連結部32を吹出口15から離れる方向に移動させることが可能な迫り出し機構51,61と、上下風向調整羽根30の第2連結部33と連結しており第2連結部33を吹出口15から離れる方向に移動させることが可能な角度調整機構71とを備えている。また、上下風向調整羽根30は、迫り出し機構51,61によって吹出口15から第1連結部32までの距離が調整され、角度調整機構71によって吹出口15から第2連結部33までの距離が調整されることで、吹出口15に対する傾斜角度が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和機の室内機には、調和空気が吹き出される空気の吹出口を開閉する上下風向調整板を備えているものがある。また、このような空気調和機の室内機には、上下風向調整板が回転軸を中心に回動することで吹出口に対する傾斜角度が調整されて、吹き出される空気の風向を調整可能なものがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平5−256506号公報)に開示されている空気調和機では、室内ユニット本体(室内機に相当)の吹出口近傍に、風向可変ルーバ(上下風向調整板に相当)が配置されている。また、この空気調和機では、風向可変ルーバが支点(回転軸に相当)を介して回動されることで、吹き出される空気の方向が変更されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような空気調和機の室内機において、上下風向調整板の吹出口に対する傾斜角度が所定角度以上の角度になることで、上下風向調整板の一部が吹出口からケーシング内部に侵入してしまうことがある。このため、上下風向調整板とケーシング内部に収容されている部材とが干渉するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、上下風向調整板とケーシング内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができる空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気調和機の室内機は、ケーシングと、上下風向調整板と、第1移動機構と、第2移動機構とを備えている。ケーシングには、空気の吹出口が形成されている。上下風向調整板は、吹出口近傍に配置されている。第1移動機構は、上下風向調整板の第1部分と連結している。また、第1移動機構は、第1部分を吹出口から離れる方向に移動させることが可能である。第2移動機構は、上下風向調整板において第1部分とは別の第2部分と連結している。また、第2移動機構は、第2部分を吹出口から離れる方向に移動させることが可能である。さらに、上下風向調整板は、第1移動機構によって吹出口から第1部分までの距離が調整され、第2移動機構によって吹出口から第2部分までの距離が調整されることで、吹出口に対する傾斜角度が変更される。
【0007】
第1発明に係る空気調和機の室内機では、第1移動機構によって吹出口から第1部分までの距離が調整され、第2移動機構によって吹出口から第2部分までの距離が調整されることで、上下風向調整板の吹出口に対する傾斜角度が変更されている。このため、例えば、第1部分と第2部分とが吹出口から離れる方向に移動することで上下風向調整板が吹出口から離反する場合には、上下風向調整板がケーシング内部の部材に干渉しない位置まで第1部分および第2部分を移動した後に上下風向調整板の吹出口に対する傾斜角度を変更することができる。
【0008】
これによって、上下風向調整板とケーシング内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0009】
第2発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明の空気調和機の室内機であって、第1移動機構は、吹出口に対して第1所定位置に配置されている第1部分を、吹出口に対して第1所定位置とは別の第2所定位置に移動させる。このため、この空気調和機の室内機では、第1所定位置に配置されている第1部分を第2所定位置に移動させることができる。
【0010】
第3発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明または第2発明の空気調和機の室内機であって、第1移動機構は、吹出口近傍から上下風向調整板が迫り出されるように、第1部分をスライド移動させる。このため、吹出口近傍から迫り出されるように上下風向調整板を移動させることができる。
【0011】
第4発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、第2移動機構は、第1部分を中心として第2部分を移動させることで、吹出口に対して第3所定位置に配置されている第2部分を吹出口に対して第3所定位置とは別の第4所定位置に移動させる。このため、この空気調和機の室内機では、第2部分を第3所定位置から第4所定位置に移動させることができる。
【0012】
第5発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第4発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、第2移動機構は、上下風向調整板の第2部分を押し引きすることで、第2部分を移動させる。このため、この空気調和機の室内機では、第2部分を移動させることができる。
【0013】
第6発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、第1部分は、上下風向調整板の回転軸を支持するための軸支部を含む。このため、この空気調和機の室内機では、上下風向調整板の回転軸を吹出口から離れた位置に移動させることができる。
【0014】
第7発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第6発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、第1移動機構および第2移動機構を駆動するための駆動源は、ケーシング内に収納されている。このため、第1移動機構および第2移動機構によって第1部分および第2部分が移動されることで上下風向調整板が吹出口から離反しても、駆動源が目立つおそれを減らすことができる。
【0015】
第8発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明の空気調和機の室内機であって、第1部分は、上下風向調整板において、互いに離れた2箇所に配置されている。また、第1移動機構は、上下風向調整板の2箇所の第1部分とそれぞれ連結している。このため、例えば、上下風向調整板と第1移動機構との連結部分が1箇所だけである場合と比較して、上下風向調整板を安定して移動させることができる。
【0016】
第9発明に係る空気調和機の室内機は、第8発明の空気調和機の室内機であって、2箇所の第1部分は、上下風向調整板の両端部近傍にそれぞれ配置されている。また、2箇所の第1部分は、上下風向調整板の回転軸を支持するための軸支部を含む。このため、この空気調和機の室内機では、上下風向調整板の両端部において上下風向調整板の回転軸を支持することができる。
【0017】
第10発明の空気調和機の室内機は、第1発明から第9発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、第1移動機構および第2移動機構の駆動を制御する制御部を更に備える。また、制御部は、第1移動機構および第2移動機構を任意のタイミングで駆動させる。このため、この空気調和機の室内機では、第1移動機構および第2移動機構を任意のタイミングで駆動させることができる。
【0018】
第11発明の空気調和機の室内機は、第10発明の空気調和機の室内機であって、制御部は、第1移動機構のみを駆動させる第1駆動モードを実行可能である。このため、この空気調和機の室内機では、第1移動機構のみを駆動させることができる。
【0019】
第12発明の空気調和機の室内機は、第10発明または第11発明の空気調和機の室内機であって、制御部は、第2移動機構のみを駆動させる第2駆動モードを実行可能である。このため、この空気調和機の室内機では、第2移動機構をのみを駆動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
第1発明に係る空気調和機の室内機では、上下風向調整板とケーシング内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0021】
第2発明に係る空気調和機の室内機では、第1所定位置に配置されている第1部分を第2所定位置に移動させることができる。
【0022】
第3発明に係る空気調和機の室内機では、吹出口近傍から迫り出されるように上下風向調整板を移動させることができる。
【0023】
第4発明に係る空気調和機の室内機では、第2部分を第3所定位置から第4所定位置に移動させることができる。
【0024】
第5発明に係る空気調和機の室内機では、第2部分を移動させることができる。
【0025】
第6発明に係る空気調和機の室内機では、上下風向調整板の回転軸を吹出口から離れた位置に移動させることができる。
【0026】
第7発明に係る空気調和機の室内機では、駆動源が目立つおそれを減らすことができる。
【0027】
第8発明に係る空気調和機の室内機では、上下風向調整板を安定して移動させることができる。
【0028】
第9発明に係る空気調和機の室内機では、上下風向調整板の両端部において上下風向調整板の回転軸を支持することができる。
【0029】
第10発明に係る空気調和機の室内機では、第1移動機構および第2移動機構を任意のタイミングで駆動させることができる。
【0030】
第11発明に係る空気調和機の室内機では、第1移動機構のみを駆動させることができる。
【0031】
第12発明に係る空気調和機の室内機では、第2移動機構をのみを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を備える空気調和機の概略冷媒回路図。
【図2】空気調和機の冷房運転時であって、第1冷房状態である場合の室内機の外観斜視図。
【図3】空気調和機の暖房運転時であって、第1暖房状態である場合の室内機の外観斜視図。
【図4】室内機の概略断面図。
【図5】上下風向調整羽根の平面図。
【図6】上下風向調整羽根の断面図(図5のVI-VI断面に相当)。
【図7】上下風向調整羽根の外観斜視図。
【図8】上下風向調整羽根の状態が第1開状態である場合の上下風向調整羽根および第1機構の平面図であって、上下風向調整羽根と第1機構との位置関係を示す概念図。
【図9】上下風向調整羽根が閉状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図10】上下風向調整羽根が第1開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図11】上下風向調整羽根が第2開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図12】上下風向調整羽根が第3開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図13】上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である室内機において、(a)左側方遮蔽部材近傍の正面図、(b)左側方遮蔽部材近傍の斜視図。
【図14】上下風向調整羽根が第2開状態であって、側方遮蔽部材が閉状態である室内機において、(a)左側方遮蔽部材近傍の正面図、(b)左側方遮蔽部材近傍の斜視図。
【図15】上下風向調整羽根が第2開状態であって、側方遮蔽部材が開状態である室内機において、(a)左側方遮蔽部材近傍の正面図、(b)左側方遮蔽部材近傍の斜視図。
【図16】(a)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が閉状態である室内機における左側方遮蔽部材近傍の概略部分断面図、(b)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が開状態である室内機における左側方遮蔽部材近傍の概略部分断面図。
【図17】空気調和機の備える制御部の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る室内機10を備える空気調和機1について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0034】
<空気調和機の構成概略>
図1は、空気調和機1の概略冷媒回路図である。図2は、空気調和機1の冷房運転時であって、第1冷房状態である場合の室内機10の斜視図である。図3は、空気調和機1の暖房運転時であって、第1暖房状態である場合の室内機10の斜視図である。
【0035】
空気調和機1は、室内の壁面に取り付けられる室内機10と、室外に設置される室外機2とを備えており、冷房運転および暖房運転等の各種運転を実行することができる。
【0036】
室外機2は、圧縮機3と、圧縮機3の吐出側に接続されている四路切換弁4と、圧縮機3の吸入側に接続されるアキュムレータ5と、四路切換弁4に接続されている室外熱交換器6と、室外熱交換器6に接続された室外膨張弁7とを有している。室外膨張弁7は、冷媒配管8を介して後述する室内熱交換器13の一端と接続される。また、四路切換弁4は、冷媒配管8を介して室内熱交換器13の他端と接続されている。また、室外機2内には、室外ファン9が設けられている。室外ファン9は、室外の空気を取り込み、室外熱交換器6での熱交換後の空気を室外機2外部に排出するプロペラファンである。
【0037】
室内機10は、図2に示すように、室内の壁面W等に取り付けられる壁掛け型の室内機10である。また、室内機10は、図2および図3に示すように、主として、室内機本体11と、上下風向調整羽根30と、側方遮蔽部材20,90と、第1機構50と、第2機構29,99(図17参照)と、を備えている。以下に、室内機本体11、上下風向調整羽根30、側方遮蔽部材20,90、第1機構50、第2機構29,99の順に説明する。
【0038】
<室内機本体の構成>
図4は、室内機10の概略断面図である。
【0039】
室内機本体11は、主に、室内機ケーシング12と、室内熱交換器13と、室内ファン14と、垂直羽根19とを備えている。
【0040】
室内機ケーシング12は、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、室内機ケーシング12には、室内熱交換器13、室内ファン14、および、垂直羽根19等が収納されている。さらに、室内機ケーシング12には、取込口(図示せず)と、吹出口15とが形成されている。取込口は、室内の空気を室内機ケーシング12の内側に取り込むための開口であって、室内機ケーシング12の上部に形成されている。
【0041】
また、吹出口15は、室内機本体11内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機10の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口15は、室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口15は、室内機10の側面視において、その一部を視認可能である。
【0042】
また、室内機ケーシング12内には、取込口から吹出口15に至る空気流路が形成されている。この空気流路内には、室内ファン14、室内熱交換器13および垂直羽根19等が配置されている。また、この空気流路には、室内ファン14から垂直羽根19を介して吹出口15に至るまでの流路部分である吹き出し流路が含まれる。
【0043】
室内熱交換器13は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管に挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器13は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0044】
室内ファン14は、モータ14a(図1参照)と、モータ14aにより回転駆動される羽根車とを有するクロスフローファンである。また、室内ファン14は、取込口から室内機ケーシング12内に空気を吸入し、室内熱交換器13を通過させた後に、吹出口15から室内機ケーシング12外に空気を吹き出すことができるように配置されている。
【0045】
垂直羽根19は、上述のように、吹き出し流路に配置されている。垂直羽根19は、駆動モータ(図示せず)と、連結棒(図示せず)と、連結棒によって連結された複数枚の羽根19a(図2および図3参照)とを有しており、揺動可能なように室内機ケーシング12に取り付けられている。また、複数枚の羽根19aの面は、駆動モータによって連結棒が駆動されることで、室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。さらに、羽根19aは、揺動することにより、または、揺動した後に任意の角度で止まることで、室内機10の左右方向における調和空気の吹き出し方向を調整する。
【0046】
また、垂直羽根19は、図4に示すように、主垂直羽根部19cと、主垂直羽根部19cの両側にそれぞれ配置される側方垂直羽根部19d,19eとを含む。側方垂直羽根部19d,19eは、室内機10の正面視において、主垂直羽根部19cの左側に位置する左側方垂直羽根部19dと、主垂直羽根部19cの右側に位置する右側方垂直羽根部19eとから構成される。また、主垂直羽根部19cの有する複数の羽根と左側方垂直羽根部19dの有する羽根と右側方垂直羽根部19eの有する羽根とは、それぞれ別の連結棒によって連結されている。このため、主垂直羽根部19cと左側方垂直羽根部19dと右側方垂直羽根部19eとは、それぞれ異なる方向に揺動することができる。
【0047】
<上下風向調整羽根の構成>
図5は、上下風向調整羽根30の平面図である。図6は、上下風向調整羽根30の断面図である。図7は、上下風向調整羽根30の外観斜視図である。図8は、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合の上下風向調整羽根30および第1機構50の平面図であって、上下風向調整羽根30と第1機構50との位置関係を示す概念図である。図9は、上下風向調整羽根30が閉状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図10は、上下風向調整羽根30が第1開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図11は、上下風向調整羽根30が第2開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図12は、上下風向調整羽根30が第3開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。なお、図9、図10、図11および図12では、側方遮蔽部材20,90を省略して描いている。
【0048】
上下風向調整羽根30は、室内機10の長手方向(水平方向)に長い板状の部材である。また、上下風向調整羽根30は、室内機10の下部に配置されている。具体的には、上下風向調整羽根30は、吹出口15において、室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分近傍に配置されている。
【0049】
さらに、上下風向調整羽根30は、後述する第1機構50と連結する連結部32,33を有する。連結部32,33は、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が吹出口15を覆っている状態で、室内機10の外部から視認することができる面(以下、外側面30bという)とは反対側の面(以下、内側面30aという)に配置されている。また、連結部32,33は、第1連結部32と、第2連結部33とを含む。第1連結部32は、図5に示すように、上下風向調整羽根30において互いに離れた2箇所に配置されている。具体的には、第1連結部32は、図5および図8に示すように、上下風向調整羽根30の両端部30g,30h近傍であって、上下風向調整羽根30の一方の長辺(以下、第1長辺30cという)近傍にそれぞれ配置されている。第2連結部33は、図5に示すように、上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近であって、上下風向調整羽根30の第1長辺30cに対向する辺である第2長辺30d近傍に配置されている。
【0050】
また、第1連結部32および第2連結部33は、図5および図6に示すように、それぞれ軸支部32a,33aを含む。各軸支部32a,33aは、後述する支持軸57,67,78を回転可能に軸支している。また、各軸支部32a,33aは、摺動性に優れた部材(高摺動部材)によって構成されており、摩擦を抑えて支持軸57,67,78を滑らかに回転させることができる。
【0051】
さらに、上下風向調整羽根30は、4つの状態(閉状態、第1開状態、第2開状態、および、第3開状態)を採ることが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15において、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に風向調整羽根30によって覆われる部分、すなわち、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に上下風向調整羽根30の配置されている空間を、吹出口15の第1部分16という。また、本実施形態における「遮蔽」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われている状態を意味しており、本実施形態における「開放」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われていない状態を意味している。例えば、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われている状態を吹出口15の第1部分16が遮蔽されている状態とし、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われていない状態を、吹出口15の第1部分16が開放されている状態とする。
【0052】
上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合、図9に示すように、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を覆うように配置される。このため、上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合には、上下風向調整羽根30によって吹出口15の第1部分16が遮蔽される。
【0053】
上下風向調整羽根30の状態が第1開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の前方に向かって空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図10に示すように、吹出口15の第1部分16、すなわち、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して略平行に対向するように配置される。言い換えると、吹出口15の第1部分16の長手方向を「左右方向」とし吹出口15の第1部分16の長手方向に直交する方向を「前後方向」とすると、上下風向調整羽根30は、図10に示すように、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して、左右方向および前後方向に対して傾斜しないように配置されている。
【0054】
上下風向調整羽根30の状態が第2開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の前方に向かって空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図11に示すように、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。言い換えると、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30において吹出口15の第1部分16の前後方向の後側に近い側の端部、すなわち、上下風向調整羽根30の第2長辺30dを含む端部(以下、後側端部30eという)が、上下風向調整羽根30において後側端部30eに対向する端部(以下、前側端部30fという)よりも吹出口15の第1部分16に対して近くなるように、傾斜して配置される。したがって、上下風向調整羽根30が第2開状態の場合には、室内機10の正面視において、上下風向調整羽根30の内側面30aが視認可能である。なお、上述の前側端部30fとは、上下風向調整羽根30において吹出口15の第1部分16の前後方向の前側に近い側の端部であって、上下風向調整羽根30の第1長辺30cを含む端部のことである。
【0055】
また、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して前後方向に傾斜して配置されている。このため、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合には、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合と比較して、室内機10の下方に向かう空気流が形成される。このため、以下より、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側下方といい、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側上方という。
【0056】
上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の下方に空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図12に示すように、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。より具体的には、上下風向調整羽根30の前側端部30fが、上下風向調整羽根30の後側端部30eよりも吹出口15の第1部分16に近くなるように上下風向調整羽根30が傾斜して配置される。このため、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、室内機10の正面視において、上下風向調整羽根30の外側面30bが視認可能である。
【0057】
<側方遮蔽部材の構成>
図13(a)は、上下風向調整羽根30が閉状態であって側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。図13(b)は、上下風向調整羽根30が閉状態であって側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。図14(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。図14(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。図15(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。図15(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍を示す図である。
【0058】
側方遮蔽部材20,90は、室内機10の左右両側方下部に配置されている。具体的には、側方遮蔽部材20,90は、所定方向の断面が略L字状を呈する板状の部材であって、吹出口15において室内機ケーシング12の底面から側面にかけて形成されている開口部分を覆うことが可能である。また、側方遮蔽部材20,90は、吹出口15において、上下風向調整羽根30によって覆われる吹出口15の第1部分16以外の部分を覆うことが可能である。
【0059】
また、側方遮蔽部材20,90は、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが吹出口15を遮蔽している状態、言い換えると、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合には、室内機10の底面視において、吹出口15のうち室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分を覆う側方遮蔽部材20,90の一部と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置されている。
【0060】
なお、以下より、説明の便宜上、側方遮蔽部材20,90のうち、室内機10の正面視において、室内機10の右側下部に配置される側方遮蔽部材を右側方遮蔽部材20といい、室内機10の左側下部に配置される側方遮蔽部材を左側方遮蔽部材90という。また、右側方遮蔽部材20は、左側方遮蔽部材90の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、左側方遮蔽部材90の構成のみを説明し、右側方遮蔽部材20の構成については説明を省略する。
【0061】
左側方遮蔽部材90は、図13、図14および図15に示すように、室内機10の下部の角部に沿った湾曲した形状を有している。また、左側方遮蔽部材90は、第1部91と、第2部92とを有する。第1部91には、左側方遮蔽部材90の第1端部90aが含まれる。また、第2部92には、左側方遮蔽部材90の第2端部90bが含まれる。
【0062】
また、側方遮蔽部材20,90は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15において側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に左側方遮蔽部材90によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に左側方遮蔽部材90の配置される空間を吹出口15の第2部分17aといい、右側方遮蔽部材20によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に右側方遮蔽部材20の配置される空間を吹出口15の第3部分17bという。
【0063】
側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合、側方遮蔽部材20,90が吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを覆うように配置される(図13参照)。具体的には、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合には、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを覆うように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを覆うように配置される。このため、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、吹出口15が遮蔽される。
【0064】
側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合、側方遮蔽部材20,90が吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを開放するように配置される(図15参照)。具体的には、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを開放するように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを開放するように配置される。
【0065】
<第1機構の構成>
第1機構50は、吹出口15の第1部分16が覆われている状態から吹出口15第1部分16が開放されている状態となるように、上下風向調整羽根30を移動させるための機構である。また、第1機構50は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する上下風向調整羽根30の位置を移動させることで、上下風向調整羽根30の状態を切り換えることができる。
【0066】
また、第1機構50は、迫り出し機構51,61と、角度調整機構71とを有している。
【0067】
迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように、上下風向調整羽根30と迫り出し機構51,61とが連結されている部分である第1連結部32を移動させることができる。具体的には、迫り出し機構51,61は、第1連結部32が吹出口15に近接または離反するように、第1連結部32を移動させることができる。すなわち、迫り出し機構51,61は、第1連結部32を吹出口15から離れる方向に移動させることができる。
【0068】
また、迫り出し機構51,61は、第1連結部32を移動させることで、吹出口15の第1部分16に対する第1連結部32の位置を移動させることができる。例えば、迫り出し機構51,61は、図9に示す位置に配置されている第1連結部32を、図10に示す位置に移動させることができる。また、例えば、迫り出し機構51,61は、図10に示す位置に配置されている第1連結部32を、図11に示す位置に移動させることができる。すなわち、迫り出し機構51,61は、第1連結部32を移動させることで、第1連結部32を所定位置から前記所定位置とは異なる位置に移動させることができる。さらに、迫り出し機構51,61は、吹出口15の第1部分16に対する第1連結部32の位置を吹出口15から離れる方向に移動させることで、上下風向調整羽根30を吹出口15において第1部分16に相当する開口面から前方にスライド移動させることができる。なお、迫り出し機構51,61は、後述する迫り出し機構駆動用モータ54,64の駆動力を上下風向調整羽根30の第1連結部32に伝達する増速機構として機能する。
【0069】
また、迫り出し機構51,61は、図7および図8に示すように、第1迫り出し機構51と、第2迫り出し機構61とを有する。なお、本実施形態では、第1迫り出し機構51と第2迫り出し機構61との構成は同様であるため、ここでは、第1迫り出し機構51の構成についてのみ説明を行い、第2迫り出し機構61については、第1迫り出し機構51の構成部品に付される50番台の符号を60番台に読み替えることによって、説明を省略する。
【0070】
第1迫り出し機構51は、図7および図8に示すように、ピニオン歯車52と、移動部材53と、迫り出し機構駆動用モータ54とを有している。
【0071】
ピニオン歯車52は、迫り出し機構駆動用モータ54の有する駆動軸54aに連結されており、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する。
【0072】
移動部材53は、ピニオン歯車52と噛み合うラック56と、支持軸57とを有している。ラック56は、移動部材53の一端部53a近傍から他端部53b近傍にかけて配置されている。支持軸57は、棒状の部材であって、移動部材53の端部53a近傍の端面から外側に向かって突出している。さらに、支持軸57は、上下風向調整羽根30の軸支部32aを上下風向調整羽根30の長手方向に対して平行に挿通しており、上下風向調整羽根30を回動可能に支持している。
【0073】
迫り出し機構駆動用モータ54は、ステッピングモータであって、駆動軸54aを有している。駆動軸54aは、迫り出し機構駆動用モータ54に連結されており、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する。このため、迫り出し機構駆動用モータ54は、駆動軸54aを回転させることで、ピニオン歯車52を回転させることができる。なお、本実施形態では、迫り出し機構駆動用モータ54とピニオン歯車52とは、互いに対向するように配置されている。また、迫り出し機構駆動用モータ54は、後述する取り付け板80に固定されている。
【0074】
このような構成によって、迫り出し機構駆動用モータ54,64がピニオン歯車52,62を回転させると、ピニオン歯車52,62と噛み合うラック56,66に動力が伝達されて、ピニオン歯車52,62に対する移動部材53,63の位置が変化する。具体的には、図7および図8に示すように、移動部材53,63のうち上下風向調整羽根30と連結されている端部を移動部材53,63の下端部53a,63aとし、下端部53a,63aとは反対側の端部を移動部材53,63の上端部53b,63bとすると、迫り出し機構駆動用モータ54,64が駆動することで、移動部材53,63の上端部53b,63bが、ピニオン歯車52,62近傍の位置に移動したり、ピニオン歯車52,62から離れた位置に移動したりする。このため、移動部材53,63の下端部53a,63aに連結している上下風向調整羽根30は、移動部材53,63の移動に伴って、吹出口15における第1部分16に相当する開口面に向かう方向すなわち吹出口15の第1部分16を遮蔽する方向、あるいは、吹出口15における第1部分16に相当する開口面から遠ざかる方向すなわち吹出口15の第1部分16を開放する方向に移動する。このように、迫り出し機構51,61は、吹出口15の第1部分16から第1連結部32までの距離を調整することができる。
【0075】
これによって、迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように、上下風向調整羽根30をスライド移動、すなわち、迫り出し移動させることができる。なお、迫り出し機構駆動用モータ54,64の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0076】
角度調整機構71は、上下風向調整羽根30の吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する傾斜角度が調整されるように、上下風向調整羽根30と角度調整機構71とが連結されている部分である第2連結部33を、吹出口15から離れる方向に移動させることができる。また、角度調整機構71は、第1連結部32に軸支されている支持軸57,67を回転中心、すなわち、回転軸として第2連結部33を移動させることで、吹出口15に対して所定位置に配置されている第2連結部33を、前記所定位置とは別の位置に移動させることができる。
【0077】
なお、上述の迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30の回転軸として機能する支持軸57,67を、上下風向調整羽根30とともに移動させることができることになる。言い換えると、迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30の回転軸を移動させることができることになる。
【0078】
また、角度調整機構71は、後述する角度調整機構駆動用モータ73の駆動力を上下風向調整羽根30の第2連結部33に伝達する減速機構として機能する。
【0079】
角度調整機構71は、角度調整機構駆動用モータ73と、リンク機構72とを備えている。
【0080】
角度調整機構駆動用モータ73は、駆動軸73aを有している。角度調整機構駆動用モータ73は、ステッピングモータであって、駆動軸73aを介してリンク機構72を駆動させる。
【0081】
リンク機構72は、揺動レバー74と、アーム75とを有している。揺動レバー74は、その一端部が、角度調整機構駆動用モータ73の駆動軸73aに連結されている。また、揺動レバー74の他端部は、アーム75の一端部と回動可能に連結されている。
【0082】
また、アーム75は、支持軸78を含む。支持軸78は、アーム75において揺動レバー74と連結している端部とは反対側の端部近傍の両端面から外側方向に向かって突出している。さらに、支持軸78は、上下風向調整羽根30の軸支部33aに係合しており、上下風向調整羽根30を回動可能の支持している。
【0083】
このため、リンク機構72は、揺動レバー74が図9に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を遮蔽している状態となる。また、揺動レバー74が図10または図11に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30の状態が、第1開状態、または、第2開状態となる。さらに、揺動レバー74が図12に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30の状態が、第3開状態となる。このように、角度調整機構71は、吹出口15の第1部分16から第2連結部33までの距離を調整することができる。
【0084】
なお、上述の迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から第2開状態に切り換える場合には、支持軸78を回動中心、すなわち、回転軸として、第1連結部32を移動させる。このため、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態から第2開状態に切り換わる場合には、角度調整機構71によって吹出口15の第1部分16に対する支持軸78の位置、すなわち、第2連結部33の位置は移動されない。
【0085】
このような構成によって、角度調整機構71は、角度調整機構駆動用モータ73が駆動することで、上下風向調整羽根30の第2連結部33を押し引きすることができる。なお、リンク機構72の回転角度、すなわち、角度調整機構駆動用モータ73の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0086】
このように、上下風向調整羽根30は、迫り出し機構51,61によって吹出口15の第1部分16から第1連結部32までの距離が調整され、角度調整機構71によって吹出口15の第1部分16から第2連結部33までの距離が調整されることで、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する傾斜角度が変更される。また、上下風向調整羽根30が第1開状態から第2開状態に切り換わる場合には、迫り出し機構51,61は、第2連結部33に軸支されている支持軸78を回転軸として第1連結部32を移動させる。さらに、上下風向調整羽根30が第2開状態から第3開状態に切り換わる場合には、角度調整機構71は、第1連結部32に軸支されている支持軸57,67を回転軸として第2連結部33を移動させる。このため、上下風向調整羽根30の前側端部30f近傍の第1連結部32および後側端部30e近傍の第2連結部33のいずれか一方に軸支されている支持軸を回転軸とし、回転軸として機能していない方の支持軸を軸支している連結部を可動させることで、吹出口15の第1部分16に対する上下風向調整羽根30の傾斜角度が変更されている。
【0087】
また、第1機構50は、取り付け板80を有している。取り付け板80は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面よりも上方に配置されている。また、取り付け板80の上面には、迫り出し機構51,61の駆動源である2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64、および、角度調整機構71の駆動源である角度調整機構駆動用モータ73が固定されている。具体的には、迫り出し機構駆動用モータ54,64は、取り付け板80の両端部近傍にそれぞれ固定されている。また、角度調整機構駆動用モータ73は、取り付け板80の略中央部に固定されている。このようにして、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73は、取り付け板80とともに、室内機ケーシング12の内部に収納されている。
【0088】
また、取り付け板80には、迫り出し機構駆動用モータ54,64の近傍に、それぞれの移動部材53,63が挿通可能な移動部材挿通開口81a,81bが形成されている。なお、移動部材挿通開口81a,81bは、移動部材53,63のラック56,66以外の部分を支持することができるように、その一部が狭くなるように形成されている。さらに、取り付け板80には、図7および図8に示すように、各移動部材53,63を案内するための案内溝82a,82bが設けられている。
【0089】
また、取り付け板80には、角度調整機構駆動用モータ73近傍に、揺動レバー74が挿通可能なレバー挿通開口83が形成されている。
【0090】
なお、本実施形態では、迫り出し機構51,61は増速機構であり、角度調整機構71は減速機構であるため、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64と角度調整機構駆動用モータ73との必要駆動トルクおよび非通電静止トルクの調整を図ることができる。したがって、例えば、上下風向調整羽根30の位置を手動で動かされた場合でも、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73に作用するトルクを近づけることができるため、同一のステッピングモータを採用することができている。
【0091】
<第2機構の構成>
図16(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の断面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の概略図である。図16(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の断面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の概略図である。
【0092】
第2機構29,99は、第1機構50とは別の移動機構であって、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが遮蔽されている状態から吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが開放されている状態となるように、側方遮蔽部材20,90を移動させることが可能な機構である。言い換えると、第2機構29,99は、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるために、側方遮蔽部材20,90を移動させるための機構である。
【0093】
第2機構29,99は、第2機構駆動用モータ24,94(図17参照)と、支持部材(93;図16参照)とを備えている。また、第2機構29,99は、右側方遮蔽部材20の状態を切り換えるための右側方遮蔽部材移動機構29と、左側方遮蔽部材90の状態を切り換えるための左側方遮蔽部材移動機構99とを有する。また、右側方遮蔽部材移動機構29は、左側方遮蔽部材移動機構99の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、左側方遮蔽部材移動機構99の構成のみを説明し、右側方遮蔽部材移動機構29の構成については説明を省略する。
【0094】
第2機構駆動用モータ94は、室内機本体11内に配置されており、室内機ケーシング12に固定されている。また、第2機構駆動用モータ94は、回転軸(図示せず)を有している。回転軸は、室内機10の前後方向に延びており、第2機構駆動用モータ94が駆動することによって回転する。
【0095】
支持部材93は、図16に示すように、板状の部材であって、その一端部93aが左側方遮蔽部材90の第1端部90a近傍に連結している。また、支持部材93の他端部93bは回転軸に連結されており、支持部材93は回転軸が回転することで回転軸を中心に回転方向に移動する。
【0096】
このような構成によって、第2機構29,99は、第2機構駆動用モータ24,94が駆動することで回転軸が回転し、回転軸が回転することで支持部材が回転方向に移動する。また、支持部材が回転方向に移動することで、側方遮蔽部材20,90が回転軸を中心に回転方向に移動する。このため、側方遮蔽部材20,90は、円弧を描くように移動することで、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを遮蔽したり開放したりすることができる。なお、第2機構駆動用モータ24,94の駆動は、後述する制御部84によって制御されている。
【0097】
また、第2機構29,99は、開状態である側方遮蔽部材20,90を収納するための収納部25,95を備えている。収納部25は、吹き出し流路において吹出口15の第3部分17b近傍に配置されている。また、収納部95は、吹き出し流路において吹出口15の第2部分17a近傍に配置されている。このため、吹き出し流路は、その下部において、収納部25,95によって3つの流路に分けられる。ここで、説明の便宜上、吹き出し流路において、その入口が2つの収納部25,95の上端部によって規定されており、その出口が吹出口15の第1部分16である流路部分を主吹き出し流路Bという。また、吹き出し流路において、収納部25の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第3部分17bである流路部分を右側吹き出し流路Dという。また、吹き出し流路において、収納部95の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第2部分17aである流路部分を左側吹き出し流路Cという。すなわち、収納部25は、主吹き出し流路Bと右側吹き出し流路Dとの間に配置されており、収納部95は、主吹き出し流路Bと左側吹き出し流路Cとの間に配置されている。また、吹き出し流路の出口は、それぞれ、上下風向調整羽根30、左側方遮蔽部材90、および、右側方遮蔽部材20によって塞がれる。具体的には、上下風向調整羽根30によって主吹き出し流路Bの出口が塞がれ、左側方遮蔽部材90によって左側吹き出し流路Cの出口が塞がれ、右側方遮蔽部材20によって右側吹き出し流路Dの出口が塞がれる。
【0098】
また、収納部25,95は、開状態である側方遮蔽部材20,90が収納される収納空間を形成する第1壁部26,96と第2壁部27,97とを有している。第1壁部26,96は、吹出口15の第2部分17a近傍または第3部分17b近傍から上方に延びている。また、第1壁部26,96は、側方遮蔽部材20,90に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第1壁部26,96の上端部(96a;図16参照)が第1壁部26,96の下端部(96b;図16参照)よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。
【0099】
また、第2壁部27,97は、吹出口15の第1部分16と吹出口15の第2部分17aとの境界近傍、または、吹出口15の第1部分16と吹出口15の第3部分17bとの境界近傍から上方に延びている。また、第2壁部27,97は、側方遮蔽部材20,90に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第2壁部27,97の上端部(97a;図16参照)が第2壁部27,97の下端部(97b;図16参照)よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。さらに、収納部25,95の上端部、すなわち、第2壁部27,97の上端部(97a;図16参照)と第1壁部26,96の上端部(96a;図16参照)とは、連続した構成となっている。
【0100】
なお、垂直羽根19は、吹き出し流路において、収納部25,95の上端部よりも室内ファン14近傍に配置されている。また、収納部25,95は、側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根が揺動して傾斜した状態を採ったときに側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根の各先端部が収納部25,95の上端部近傍に位置するように配置されている(図4参照)。このため、垂直羽根19が図4に示すような状態で、室内ファン14によって空気流が生成された場合には、調和空気が左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。
【0101】
また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合、側方遮蔽部材20,90は、収納空間に収納されているため、吹出口15の第2部分17aおよび吹出口15の第3部分17bから吹き出される空気流れに対して影響を与えない。したがって、垂直羽根19によって左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各入口に導かれた調和空気は、左側方または右側方に向かって傾斜している第1壁部26,96の案内面(96c;図16参照)に沿って、言い換えると、第1壁部26,96の案内面に規制されて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dを流れて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各出口から吹き出される。また、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口は、室内機10の側方に向かってに開口しているため、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口から吹き出される空気は室内機10の左右両側方側に向けて流れることになる。
【0102】
なお、図16(b)では、左側方垂直羽根部19dの有する羽根の先端部が左側吹出口流路Cの入口近傍に位置するように描かれていないが、実際には、左側方遮蔽部材90の状態が開状態となった場合には、左側方垂直羽根部19dの有する羽根の先端部が左側吹出口流路Cの入口近傍に位置する。
【0103】
また、本実施形態では、側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合にのみ、その先端部が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの入口近傍に配置され、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合には、その先端部が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの入口近傍から離れた位置に配置されるものとする。このため、本実施形態では、各側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に、側方垂直羽根部19d,19eによって、調和空気が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dに導かれたり、左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの各入口が覆われたりしない構成となっている。
【0104】
<制御部>
図17は、空気調和機1の備える制御部84の制御ブロック図である。
【0105】
制御部84は、図17に示すように、室内機10および室外機2の各種機器と接続されており、リモートコントローラ86を介した空調対象者からの運転指令に基づいて、冷房運転や暖房運転等の各運転モードに応じた各種機器の運転制御を行うことができる。
【0106】
また、リモートコントローラ86には、運転停止ボタンや風向設定ボタン86a等の複数のスイッチが設けられている。運転停止ボタンは、空調対象者によって空気調和機1の運転が停止されるときに操作されるスイッチである。また、風向設定ボタン86aは、空調対象者によって室内機10から吹き出される空気の吹き出し方向が設定されるときに操作されるスイッチである。例えば、空調対象者によって風向設定ボタン86aが押されると、制御部84は空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信する。なお、本実施形態における風向設定指令には、調和空気が室内機10の側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第1指令と、調和空気が主に室内機10の前側上方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第2指令とが含まれる。
【0107】
また、制御部84は、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるための駆動制御部85を有する。駆動制御部85は、迫り出し機構51,61および角度調整機構71を任意のタイミングで駆動させることができる。具体的には、駆動制御部85は、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73の回転数と回転方向とを制御することで、上下風向調整羽根30の状態を切り換える。さらに、駆動制御部85は、2つの第2機構駆動用モータ24,94の回転数と回転方向とを制御することで、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換える。また、駆動制御部85は、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64のみを制御することで迫り出し機構51,61のみを駆動させる迫り出し機構駆動モード(第1駆動モードに相当)と、角度調整機構駆動用モータ73のみを制御することで角度調整機構71のみを駆動させる角度調整機構駆動モード(第2駆動モードに相当)と、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に制御することで迫り出し機構51,61および角度調整機構71を同時に駆動させる同時駆動モードとを実行可能である。このため、制御部84は、各運転モードあるいは空調対象者からの風向設定指令に応じて、室内機10の風向状態を変更することができる。また、本実施形態では、室内機10は、運転停止状態、第1冷房状態、第2冷房状態、第1暖房状態、第2暖房状態、および、三方風向状態の6つの風向状態を採ることが可能である。
【0108】
なお、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90は、いずれも閉状態を採っている。また、室内機10の風向状態が第1冷房状態である場合、上下風向調整羽根30は第2開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は閉状態を採っている。室内機10の風向状態が第2冷房状態である場合、上下風向調整羽根30は第2開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合、上下風向調整羽根30は第3開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は閉状態を採っている。室内機10の風向状態が第2暖房状態である場合、上下風向調整羽根30は第3開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。室内機10の風向状態が三方風向状態である場合、上下風向調整羽根30は第1開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。
【0109】
例えば、空気調和機1の運転が停止している状態、すなわち、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合に、空調対象者からリモートコントローラ86を介して冷房運転の開始指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房風向状態となるように、第1機構50を制御する。具体的には、駆動制御部85は、同時駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態に切り換える。そして、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態に切り換わると、更に、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動モードを実行する。具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から第2開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部85は第2機構駆動用モータ24,94を駆動させる制御を行わないため、側方遮蔽部材20,90は吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを覆うように配置されており、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16のみが開放される。
【0110】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19が室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路Bにのみ導かれ、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれない。
【0111】
このため、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して冷房運転の開始指令が為されて、室内ファン14によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路Bを流れて吹出口15の第1部分16に至る。そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側下方に吹き出される(図14参照)。
【0112】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側下方となるため、室内機10の設置されている室内空間を室内機10の前側の空間である第1空間と第1空間よりも後側の空間である第2空間とに分けた場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の下部に吹き出されることになる。
【0113】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房状態から第2冷房風向状態となるように、第2機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように、第2機構駆動用モータ24,94を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根30の状態は、第2開状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0114】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る(図15参照)。
【0115】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側下方に向かって吹き出される。
【0116】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0117】
したがって、空気調和機1において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側下方および左右両側方に変更される。
【0118】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側下方および左右両側方となるため、第2空間のうち室内機10の両側方の空間を特に側方部とした場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の下部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0119】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房状態から三方風向状態となるように、第1機構50および第2機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第1開状態に切り換える。また、このとき、駆動制御部85は、第2機構駆動用モータ24,94を制御することで、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換える。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0120】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0121】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側上方に吹き出される。
【0122】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0123】
したがって、空気調和機1において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側上方および左右両側方に変更される。
【0124】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の上部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0125】
また、例えば、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して暖房運転の開始指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房風向状態となるように、第1機構50を制御する。具体的には、駆動制御部85は、同時駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態に切り換える。次に、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態に切り換わると、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動モードを実行する。具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を更に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から第2開状態に切り換える。そして、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態に切り換わると、駆動制御部85は、角度調整機構駆動モードを実行する。具体的には、駆動制御部85は角度調整機構駆動用モータ73を更に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第3開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部85は第2機構駆動用モータ24,94を駆動させる制御を行わないため、側方遮蔽部材20,90は吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを覆うように配置されており、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16のみが開放される。
【0126】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19が室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路Bにのみ導かれ、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれない。
【0127】
このため、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して暖房運転の開始指令が為されて、室内ファン14によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路Bを流れて吹出口15の第1部分16に至る。そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の下方に吹き出される。
【0128】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の下方となるため、第2空間のうち室内機10の下方の空間を特に下部とした場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第2空間の下部に吹き出されることになる。
【0129】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房状態から第2暖房風向状態となるように、第2機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように第2機構駆動用モータ24,94を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根30の状態は、第3開状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0130】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0131】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の下方に向かって吹き出される。
【0132】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0133】
したがって、空気調和機1において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の下方および左右両側方に変更される。
【0134】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の下方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第2空間の下部および側方部とに吹き出されることになる。
【0135】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房状態から三方風向状態となるように、第1機構50および第2機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、まず、角度調整機構駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、角度調整機構駆動用モータ73を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第3開状態から第2開状態に切り換える。次に、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動モードを実行する。具体的には、迫り出し機構駆動用モータ54,64を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第1開状態に切り換える。このようにして、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態を第3開状態から第1開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部85は、第2機構駆動用モータ24,94を制御することで、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換える。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0136】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0137】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側上方に吹き出される。
【0138】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0139】
したがって、空気調和機1において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側上方および左右両側方に変更される。
【0140】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の上部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0141】
また、空気調和機1において暖房運転または冷房運転が実行されている状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して運転停止指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が運転停止状態となるように、第1機構50および/または第2機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合には、同時駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に駆動することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から閉状態に切り換える。また、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合には、迫り出し機構駆動モードを実行した後、同時駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を駆動することで上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第1開状態に切り換えた後、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に駆動することで上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から閉状態に切り換える。さらに、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態である場合には、角度調整機構駆動モードを実行した後、迫り出し機構駆動モードを実行し、さらに、同時駆動モードを実行する。より具体的には、駆動制御部85は、まず、角度調整機構駆動用モータ73を駆動することで上下風向調整羽根30の状態を第3開状態から第2開状態に切り換えた後に、迫り出し機構駆動用モータ54,64を駆動することで上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第1開状態に切り換え、更に、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を同時に駆動することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から閉状態に切り換える。このようにして、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を駆動することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態または第3開状態から閉状態に切り換える。
【0142】
また、空調対象者からリモートコントローラ86を介して運転停止指令が為されたときに、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態から閉状態に切り換わるように、第2機構駆動用モータ24,94を制御する。このため、吹出口15の第1部分16に上下風向調整羽根30が配置され、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに側方遮蔽部材20,90が配置される状態、すなわち、吹出口15が遮蔽された状態となる。
【0143】
このように、本実施形態では、上下風向調整羽根30と、上下風向調整羽根30とは独立して移動可能な側方遮蔽部材20,90とによって、種々の吹き出し方向を採ることができる。なお、本実施形態では、室内機10が採ることが可能な風向状態を、運転停止状態、第1冷房状態、第2冷房状態、第1暖房状態、第2暖房状態、および、三方風向状態としているが、これに限定されず、上下風向調整羽根30の状態および側方遮蔽部材20,90の状態の組み合わせによって室内機10が他の風向状態を採ってもよい。
【0144】
<特徴>
(1)
上記実施形態では、上下風向調整羽根30は、迫り出し機構51,61によって吹出口15の第1部分16から第1連結部32までの距離が調整され、角度調整機構71によって吹出口15の第1部分16から第2連結部33までの距離が調整されることで、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する傾斜角度が変更されている。このため、連結部32,33を移動させることによって室内機ケーシング12内部の部材と干渉しない位置まで上下風向調整羽根30を移動させた後に、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する上下風向調整羽根30の傾斜角度を変更することができる。
【0145】
これによって、上下風向調整羽根30と室内機ケーシング12内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができている。
【0146】
(2)
上記実施形態では、迫り出し機構51,61によって、吹出口15の第1部分16に対する第1連結部32の位置が移動されている。すなわち、迫り出し機構51,61は、第1連結部32を、所定位置から前記所定位置とは別の所定位置まで移動させることができる。このため、所定位置に配置されている第1連結部32を、所定位置とは異なる位置に移動させることができている。
【0147】
(3)
上記実施形態では、迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように、第1連結部32をスライド移動させている。このため、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように上下風向調整羽根30を移動させることができている。
【0148】
(4)
上記実施形態では、角度調整機構71は、第1連結部32に軸支されている支持軸57,67を中心に第2連結部33を移動させることで、吹出口15の第1部分16に対して所定位置に配置されている第2連結部33を、前記所定位置とは別の位置に移動させることができる。このため、第2連結部33を所定位置から前記所定位置とは異なる位置まで移動させることができている。
【0149】
(5)
上記実施形態では、角度調整機構71は、上下風向調整羽根30の第2連結部33を押し引きすることで、第2連結部33を移動させている。このため、第2連結部33を移動させることができている。
【0150】
(6)
上記実施形態では、軸支部32a,33aによって、支持軸57,67,78が支持されている。このため、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態から第3開状態に切り換わるときに回転軸として機能する支持軸57,67を上下風向調整羽根30と共に吹出口15の第1部分16から離れた位置に移動させることができている。
【0151】
(7)
上記実施形態では、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73は、取り付け板80とともに室内機ケーシング12の内部に収納されている。このため、吹出口15が開放されても、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73が目立つおそれを減らすことができている。
【0152】
(8)
上記実施形態では、第1連結部32は、上下風向調整羽根30において互いに離れた2箇所に配置されている。また、迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30の2箇所の第1連結部32とそれぞれ連結している。このため、例えば、迫り出し機構との連結部が上下風向調整羽根に1箇所だけ設けられている場合と比較して、上下風向調整羽根を安定して移動させることができる。
【0153】
(9)
上記実施形態では、第1連結部32は、上下風向調整羽根30の両端部30g,30h近傍に配置されている。このため、上下風向調整羽根30の両端部30g,30hにおいて、上下風向調整羽根30の回転軸として機能する支持軸57,67を支持することができている。
【0154】
(10)
上記実施形態では、駆動制御部85は、迫り出し機構51,61および角度調整機構71を任意のタイミングで駆動させる。また、駆動制御部85は、迫り出し機構51,61のみを駆動させる迫り出し機構駆動モードと、角度調整機構71のみを駆動させる角度調整機構駆動モードとを実行可能である。このため、迫り出し機構51,61および角度調整機構71の少なくともいずれか一方の機構を駆動させることができている。
【0155】
(11)
上記実施形態では、第1迫り出し機構51は、迫り出し機構駆動用モータ54を有しており、第2迫り出し機構61は、迫り出し機構駆動用モータ64を有している。すなわち、各迫り出し機構51,61は、それぞれ独立した迫り出し機構駆動用モータ54,64を有している。したがって、各迫り出し機構51,61が有するピニオン歯車52,62車同士を結ぶ連結棒や軸受等のスペースを設ける必要がなく、かつ、低トルクでサイズの小さいステッピングモータを採用することができている。
【0156】
(12)
上記実施形態では、上下風向調整羽根30が2つの第1連結部32と第2連結部33の3点て支持されている。また、2つの第1連結部32は上下風向調整羽根30の両端部30g,30h近傍に配置されており、第2連結部33は上下風向調整羽根30の略中央付近に配置されている。このため、例えば、2つの第1連結部および第2連結部が上下風向調整羽根の略中央付近に配置される場合と比較して、上下風向調整羽根30を支持する3点を含む面の面積を大きくすることができている。したがって、上下風向調整羽根30の姿勢を安定して維持することができている。
【0157】
<変形例>
(A)
上記実施形態では、第1迫り出し機構51は迫り出し機構駆動用モータ54を有しており、第2迫り出し機構61は迫り出し機構駆動用モータ64を有している。また、2つの迫り出し機構51,61は、各迫り出し機構駆動用モータ54,64が駆動されることによって、上下風向調整羽根30を移動させている。言い換えると、1つのモータによって、1つの迫り出し機構が駆動される構成となっている。
【0158】
これに代えて、1つのモータによって、2つの迫り出し機構が駆動されてもよい。
【0159】
例えば、2つの迫り出し機構のうちのいずれか一方のみが迫り出し機構駆動用モータを備えており、各迫り出し機構の備えるピニオン歯車同士が連結棒によって連結されている場合には、迫り出し機構駆動用モータの回転が、迫り出し機構駆動用モータの駆動軸に連結されているピニオン歯車だけでなく、連結棒によって他方のピニオン歯車にも伝達される。また、各ピニオン歯車が回転されることで各移動部材が移動され、各移動部材の移動に伴って上下風向調整羽根の位置を移動させることができる。
【0160】
このように、2つの迫り出し機構を1つの迫り出し機構駆動用モータで駆動することで、モータの数を減らすことができる。
【0161】
これによって、部品点数を削減することができるため、低コストを実現することができる。また、ピニオン歯車同士が連結棒によって連結されているため、一方のピニオン歯車の回転に同期して他方のピニオン歯車を回転させることができる。したがって、上下風向調整羽根の位置を手動で動かされた場合でも、各移動部材が平行して移動しやすくすることができる。
【0162】
(B)
上記実施形態では、本発明の第1機構50が、室内の壁面に取り付けられる壁掛型の室内機10に採用されている。これに代えて、第1機構が、天井に埋め込まれるように室内機が配置される天井埋込型の室内機に採用されてもよい。
【0163】
(C)
上記実施形態では、室内機10が1つの角度調整機構71と2つの迫り出し機構51,61とを備えている。
【0164】
これに代えて、室内機が1つの角度調整機構と1つの迫り出し機構とを備えていてもよく、1つの角度調整機構と3つ以上の迫り出し機構とを備えていてもよい。
【0165】
例えば、1つの角度調整機構と1つの迫り出し機構とを備える室内機の場合には、角度調整機構と上下風向調整羽根とを連結するための連結部および迫り出し機構と上下風向調整羽根とを連結するための連結部を上下風向調整羽根の長手方向に長い形状に設け、それぞれの連結部が上下風向調整羽根の前側端部近傍および後側端部近傍に平行に配置されてもよい。このような連結部の構成にすることによって、1つの角度調整機構および1つの迫り出し機構であっても、吹出口に対する上下風向調整羽根の傾斜角度を変更することができる。
【0166】
また、例えば、1つの角度調整機構と3つの迫り出し機構とを備える室内機の場合には、各迫り出し機構との各連結部が、上下風向調整羽根の両端部近傍と、上下風向調整羽根の略中央付近、すなわち、角度調整機構との連結部近傍とに配置されてもよい。このため、各迫り出し機構は、上下風向調整羽根の両端部近傍および角度調整機構近傍に配置される。このように、迫り出し機構が複数ある場合には、2つの迫り出し機構によって上下風向調整羽根が迫り出し移動される場合と比較して、上下風向調整羽根を安定して移動させることができる。
【0167】
また、上記実施形態では、室内機10が1つの角度調整機構71を備えている。
【0168】
これに代えて、室内機が複数の角度調整機構を備えていてもよい。室内機が複数の角度調整機構を備えている場合には、1つの角度調整機構によって上下風向調整羽根の吹出口に対する傾斜角度が変更される場合と比較して、上下風向調整羽根を安定して移動させることができる。
【0169】
(D)
上記実施形態では、吹出口15が室内機10の下部近傍に形成されている。これに代えて、吹出口が室内機の前部に設けられていてもよい。具体的には、吹出口が室内機ケーシングの前面から両側面に連続して形成されていてもよい。
【0170】
(E)
上記実施形態では、吹出口15が、室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されており、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90によって覆われている。これに代えて、吹出口が室内機ケーシングの底面にのみ形成されており、吹出口が上下風向調整羽根のみによって覆われているような室内機の構成であってもよい。
【0171】
(F)
上記実施形態では、迫り出し機構51,61と角度調整機構71とは、上下風向調整羽根30の状態が閉状態から第1開状態に移行するまでの間および第1開状態から閉状態に移行するまでの間は同時に駆動されており、第1開状態から第2開状態または第3開状態に移行するまでの間および第3開状態または第2開状態から第1開状態に移行するまでの間は、別々に駆動されている。
【0172】
これに代えて、上下風向調整羽根の状態が第1開状態から第2開状態または第3開状態に移行するまでの間および第3開状態または第2開状態から第1開状態に移行するまでの間についても、迫り出し機構および角度調整機構が同時に駆動されてもよい。
【0173】
また、上下風向調整羽根の状態が閉状態から第1開状態に移行するまでの間および第1開状態から閉状態に移行するまでの間についても、迫り出し機構および角度調整機構71が別々に駆動されてもよい。
【0174】
(G)
上記実施形態では、吹出口15の第1部分16に対する上下風向調整羽根30の傾斜角度は、迫り出し機構51,61および角度調整機構71によって変更されている。
【0175】
これに代えて、角度調整機構の代わりに、上記実施形態の迫り出し機構51,61と同様の機構が用いられてもよい。言い換えると、3つの迫り出し機構によって、吹出口において第1部分に相当する開口面に対する上下風向調整羽根の傾斜角度が変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、吹出口に対する上下風向調整羽根の傾斜角度が変更される場合に、上下風向調整羽根と室内機ケーシング内部の部材とが干渉するおそれを減らすことができるため、上下風向調整羽根を備える空気調和機の室内機への適用が有効である。
【符号の説明】
【0177】
10 室内機
12 室内機ケーシング(ケーシング)
15 吹出口
30 上下風向調整羽根(上下風向調整板)
32 第1連結部(第1部分)
32a 軸支部
33 第2連結部(第2部分)
51 第1迫り出し機構/迫り出し機構(第1移動機構)
61 第2迫り出し機構/迫り出し機構(第1移動機構)
71 角度調整機構(第2移動機構)
73 角度調整機構駆動用モータ(駆動源)
85 駆動制御部(制御部)
54,64 迫り出し機構駆動用モータ(駆動源)
57,67 支持軸(回転軸)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0178】
【特許文献1】特開平5−256506号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吹出口(15)が形成されているケーシング(12)と、
前記吹出口近傍に配置される上下風向調整板(30)と、
前記上下風向調整板の第1部分(32)と連結しており、前記第1部分を前記吹出口から離れる方向に移動させることが可能な第1移動機構(51,61)と、
前記上下風向調整板において前記第1部分とは別の第2部分(33)と連結しており、前記第2部分を前記吹出口から離れる方向に移動させることが可能な第2移動機構(71)と、を備え、
前記上下風向調整板は、前記第1移動機構によって前記吹出口から前記第1部分までの距離が調整され、前記第2移動機構によって前記吹出口から前記第2部分までの距離が調整されることで、前記吹出口に対する傾斜角度が変更される、
空気調和機の室内機(10)。
【請求項2】
前記第1移動機構は、前記吹出口に対して第1所定位置に配置されている前記第1部分を、前記吹出口に対して前記第1所定位置とは別の第2所定位置に移動させる、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記第1移動機構は、前記吹出口近傍から前記上下風向調整板が迫り出されるように前記第1部分をスライド移動させる、
請求項1または2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記第2移動機構は、前記第1部分を中心として前記第2部分を移動させることで、前記吹出口に対して第3所定位置に配置されている前記第2部分を前記吹出口に対して前記第3所定位置とは別の第4所定位置に移動させる、
請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記第2移動機構は、前記上下風向調整板の前記第2部分を押し引きすることで、前記第2部分を移動させる、
請求項1から4のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記第1部分は、前記上下風向調整板の回転軸(57,67)を支持するための軸支部(32a)を含む、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記第1移動機構および前記第2移動機構を駆動するための駆動源(54,64,73)は、前記ケーシング内に収納されている、
請求項1から6のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記第1部分は、前記上下風向調整板において、互いに離れた2箇所に配置されており、
前記第1移動機構は、前記上下風向調整板の前記2箇所の第1部分とそれぞれ連結している、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
前記2箇所の第1部分は、前記上下風向調整板の両端部近傍にそれぞれ配置されており、前記上下風向調整板の回転軸(57,67)を支持するための軸支部(32a)を含む、
請求項8に記載の空気調和機の室内機。
【請求項10】
前記第1移動機構および前記第2移動機構の駆動を制御する制御部(85)を更に備え、
前記制御部は、前記第1移動機構および前記第2移動機構を任意のタイミングで駆動させる、
請求項1から9のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1移動機構のみを駆動させる第1駆動モードを実行可能である、
請求項10に記載の空気調和機の室内機。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2移動機構のみを駆動させる第2駆動モードを実行可能である、
請求項10または11に記載の空気調和機の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−21762(P2011−21762A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164397(P2009−164397)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】