説明

空気調和機の配管接続構造

【課題】安全性を保ちながら施工の自由度が高い空気調和機の配管接続構造を提供する。
【解決手段】可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、冷媒配管3の少なくとも貫通穴20から室内冷媒管継手15の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材6と、前記室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続後に、前記室内冷媒管継手15近傍の気密性を保ちながら前記室内側管継手13から前記配管被覆材6までを覆う配管カバー8を備え、前記配管カバー8と前記配管被覆材6を気密性のある気密フィルム18で密着固定したもので、室内冷媒管継手15が室内あるいは屋内などに設置しなければならない場合でも、室内冷媒管継手15からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、漏洩冷媒を配管被覆材6と冷媒配管3の隙間を通って屋外に排出され、空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の配管接続構造に関するもので、特に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の配管接続構造として、図6、7に示すようなものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、上記特許文献1に記載された従来の空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図である。
【0004】
図6において、従来の空気調和機の配管接続構造は、建屋壁部12を隔てて屋内側に室内機1が配置され、屋外側に室外機2が配置されており、建屋壁部12を貫通して配置された冷媒配管3によって接続されている。冷媒配管3は、室内機1側に接続された室内機側配管4と、室外機2側に接続された室外機側配管5と、室内機側配管4と室外機側配管5を相互に接続する様に構成されている。
【0005】
そして、室内機側配管4と室外機側配管5は、工場生産時に、予め室内機1あるいは室外機2に接続しておき、冷媒配管3は、現場設置時に、室内機側配管4及び室外機側配管5に対して、室内冷媒管継手15及び室外冷媒管継手16を使用して接続する。
【0006】
さらに、室内機側配管4と冷媒配管3との室内側管継手13は、室内機1に近い場所に、室外機側配管5と冷媒配管3との室外側管継手14は、室外機2に近い場所に配置する。このとき、建屋壁部12の貫通穴20は、スリーブ9を設置し、壁内部への冷媒漏洩などを防止している。
【0007】
スリーブ9の筒部10を、室内側より、建屋壁部12に設けた貫通穴20に差し込んで封止板11を建屋壁部12に接触させると共に、室内機側配管4と冷媒配管3を接続する室内冷媒管継手15を、スリーブ9の筒部10内部に配置して、スリーブ9と建屋壁部12を密着させて、スリーブ9の室内機1側に設けた貫通穴20は、冷媒配管3が貫通した後は封止され、スリーブ9の筒部10の室外機2側開口部は外気と連通するように構成されている。
【0008】
また、一般的に室内冷媒管継手15、室外冷媒管継手16としては、相互に噛合される雄型部材と雌型部材とにより配管端部をラッパ状に拡開してこれを圧縮密着することでシール性を確保するようにしたフレア継手を用いている。
【0009】
図7は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いた空気調和機の一般的な冷媒回路図を示しており、図6と同一部位には、同一符号を付している。このうち、配管3a、4a、5aは液側配管、配管3b、4b、5bはガス側配管をそれぞれ示している。そして、冷媒回路には、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、液接の配管3a、室内熱交換器、ガス側の配管3bが順次接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3783208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記従来の空気調和機の配管接続構造の構成では、室内冷媒管継手15をスリーブ9の筒部10内部に配置して室内冷媒管継手15からの漏洩冷媒を室内に流れない様にしているため、室内あるいは屋内に設置しなければならい施工ケースの場合や、室内冷媒管接続を建屋壁部12の内部に設置しなければならない場合には適用できない。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、可燃性冷媒を使用した空気調和機において、室内冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させた空気調和機の配管接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機の配管接続構造は、屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内冷媒管継手近傍の気密性を保ちながら前記室内側管継手から前記配管被覆材までを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーと前記配管被覆材を気密性のある気密フィルムで密着固定したもので、室内側冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、漏洩冷媒を配管被覆材と冷媒配管の隙間を通って屋外に排出され空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0014】
また、本発明の空気調和機の配管接続構造は、屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内側管継手と前記室内冷媒管継手と前記配管被覆材を覆う気密カバーとを備えたもので、室内側冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、漏洩冷媒を配管被覆材と冷媒配管の隙間を通って屋外に排出され空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可燃性冷媒を使用した空気調和機において、室内冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合において、室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図
【図2】図1のA部の拡大断面図
【図3】同空気調和機の配管接続構造の組立て図
【図4】本発明の第2の実施の形態における空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図
【図5】図4のB部の拡大断面図
【図6】従来の空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図
【図7】同空気調和機の一般的な冷媒回路図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内冷媒管継手近傍の気密性を保ちながら前記室内側管継手から前記配管被覆材までを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーと前記配管被覆材を気密性のある気密フィルムで密着固定したもので、室内側冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、漏洩冷媒を配管被覆材と冷媒配管の隙間を通って屋外に排出され空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明の配管カバーは、少なくとも室内側管継手から貫通穴の屋外近傍までの長さを有するもので、配管被覆材に破れや穴があった場合も漏洩冷媒は室内に漏れることなく屋外に排出でき、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0019】
第3の発明は、屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内側管継手と前記室内冷媒管継手と前記配管被覆材を覆う気密カバーとを備えたもので、室内側冷媒管継手を、室内あるいは屋内または建屋壁部の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、漏洩冷媒を配管被覆材と冷媒配管の隙間を通って屋外に排出され空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0020】
第4の発明は、特に、第3の発明の気密カバーを熱収縮チューブで構成したもので、熱収縮チューブを設置後ヘアドライアなどで加熱するだけで気密性が保たれるので施工工数の低減を図りながら、また安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0021】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の室内冷媒管継手、室内側管継手はフレア継手としたもので、施工性が向上すると共に、漏洩冷媒は室内に漏れることなく屋外に排出されるので、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0022】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の配管被覆材を断熱材で形成したもので、冷媒配管からの放熱あるいは吸熱量が低減でき空気調和機のエネルギー効率を高めると共に、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0023】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の室内冷媒管継手近傍で、配管被
覆材と冷媒配管の間に挿入設置され、漏洩冷媒の流路を確保する円筒形スペーサーを設置したもので、室内側管継手近傍の配管被覆材の開口を確実に確保できるので、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0024】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明の室内冷媒管継手に配管長手方向に溝を設けたもので、漏洩冷媒が溝を通って屋外に排出されるので、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における空気調和機の配管接続構造について、図1〜3を用いて説明する。図1は、本実施の形態における空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図である。なお、上記従来の空気調和機の配管接続構造と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
本実施の形態における空気調和機の配管接続構造を用いる空気調和機は、可燃性冷媒を用いたものであり、可燃性冷媒としてはプロパン、イソブタン、アンモニアなど自然冷媒でも良いし、HFO1234yf、R32やその混合冷媒など弱燃性、微燃性の冷媒でも良い。
【0028】
図1に示す様に、本実施の形態における空気調和機の配管接続構造では、建屋壁部12の屋内側に、室内機1が、屋外側に室外機2がそれぞれ設置されており、室内機1と室外機2とは、貫通穴20を通る冷媒配管3を介して相互に接続されている。そして、この冷媒配管3は、ガス管、液管(2 本の場合を例示する)からなり、室内機側配管4、室外機側配管5及び冷媒配管3の三つの部分から構成されている。
【0029】
室内機側配管4、室外機側配管5及び後述の配管カバー8は、工場生産時に予め室内機1あるいは室外機2に接続しておき、冷媒配管3は、これを現場設置時に、室内機側配管4及び室外機側配管5に対して室内冷媒管継手15と室外冷媒管継手16を使用して接続する。
【0030】
さらに、室内機側配管4と冷媒配管3を接続する室内側管継手13は室内機1に近い場所に、室外機側配管5と冷媒配管3を接続する室外側管継手14は室外機2に近い場所にそれぞれ配置してある。
【0031】
室内側管継手13、室外側管継手14 には、相互に噛合される雄型部材と雌型部材とにより配管端部をラッパ状に拡開してこれを圧縮密着することでシール性を確保するようにしたフレア継手を用いても良い。
【0032】
また冷媒配管3は、両端が開口しており一端が、室内冷媒管継手15の近傍にあり、反対側の一端が室外冷媒管継手16の近傍にある円筒の配管被覆材6で覆われている。本実施の形態では、この配管被覆材6は、冷媒配管3から外気への放熱や吸熱を低減するため断熱性の高い断熱材で形成されている。
【0033】
但し、冷媒配管3と配管被覆材6は完全に密着しておらず、冷媒配管3と配管被覆材6の間には隙間があり、冷媒配管3の施工時の曲げによっても完全に密着することは無い。
【0034】
室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続後に、室内冷媒管継手15近傍の気密性を保ちながら室内側管継手13から前記配管被覆材6までを覆うことが可能な配管カバー8を備えている。
【0035】
配管カバー8は、少なくとも室内側管継手13から貫通穴20の建屋の外部近傍までの長さがあり、さらに、配管カバー8と配管被覆材6を気密性のある気密フィルム18で密着固定して漏洩冷媒の外部への拡散を防止している。
【0036】
全ての配管に関連する施工終了の後には、貫通穴20は、例えばパテ21などで封止される。
【0037】
図2は、図1のA部の拡大断面図である。
【0038】
図2において、円筒形スペーサー24を、室内冷媒管継手15近傍に、配管被覆材6と冷媒配管3の間に挿入して冷媒配管3との間に漏洩冷媒の流路を確保する様に設置し、さらに、室内冷媒管継手15などからの漏洩冷媒が配管被覆材6に流れやすいよう、室内冷媒管継手15には配管長手方向に溝23を設けている。
【0039】
また、配管カバー8と室内側管継手13の間にはOリング22を設置して漏洩冷媒が屋内に漏れ出すのを防止している。
【0040】
図3は、本実施の形態における空気調和機の配管接続構造の組立て図である。
【0041】
配管カバー8、Oリング22は、工場生産時に予め設置している。施工現場では、室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続した後、配管カバー8を室内側管継手13にねじ込むことによって、Oリング22と密着固定でき気密性が確保できる。
【0042】
従って、室内冷媒管継手15近傍より冷媒漏れが発生した場合、漏洩冷媒は、配管カバー8との隙間または室内冷媒管継手15の溝23を通り、円筒形スペーサー24に入り、配管被覆材6と冷媒配管3の間を通って室外冷媒管継手16近傍から屋外に排出されるため、可燃性冷媒の屋内への侵入を防止できる。
【0043】
以上のように、本実施の形態における空気調和機の配管接続構造によれば、可燃性冷媒を使用した空気調和機の設置に当たり、室内冷媒管継手15を、室内あるいは屋内または建屋壁部12の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手15からの漏洩冷媒を室内に漏らすことがないので、空気調和機の安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0044】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における空気調和機の配管接続構造を示す縦断面図、図5は、図4のB部の拡大断面図である。なお、上記実施の形態1における空気調和機の配管接続構造と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図4、5において、本実施の形態における空気調和機の配管接続構造は、室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続後に、前記室内冷媒管継手15と前記室内側管継手13と前記配管被覆材6を覆うことのできる気密カバー28で密着固定して、漏洩冷媒の外部への拡散を防止するようにしたものである。
【0046】
全ての配管に関連する施工終了の後には、貫通穴20は、例えばパテ21などで封止される。
【0047】
円筒形スペーサー24を室内冷媒管継手15の近傍に、かつ配管被覆材6と冷媒配管3の間に挿入して、冷媒配管3との間に漏洩冷媒の流路を確保する様に設置し、さらに、室内冷媒管継手15などからの漏洩冷媒が配管被覆材6に流れやすいよう、室内冷媒管継手15には配管長手方向に溝23を設けている。
【0048】
また、気密カバー28は、熱収縮チューブ等で形成され、室内機側配管4の一部又は全部と、室内側管継手13と、室内冷媒管継手15と、配管被覆材6を密着して覆い、その間で気密とし、保護管25で、気密カバー28の破れ防止を行なっている。
【0049】
施工方法としては、室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続する前に、収縮させる前の気密カバー28と保護管25を、配管被覆材6の外側に挿入した後、室内冷媒管継手15と室内側管継手13を接続し、気密カバー28を適切な位置まで移動して、特に、室内機側配管4と配管被覆材6との気密性に重点を置きながら、ドライアーなどで加熱して収縮させる。その後、保護管25で、気密カバー28を覆う。
【0050】
これによって、室内冷媒管継手15の近傍より冷媒漏れが発生した場合、漏洩冷媒は、気密カバー28と室内冷媒管継手15の隙間または、室内冷媒管継手15の溝23を通り、円筒形スペーサー24に入り、配管被覆材6と冷媒配管3の間を通って、室外冷媒管継手16近傍から屋外に排出されるため、可燃性冷媒の屋内への侵入を防止できる。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、可燃性冷媒を使用した空気調和機の設置に当たり、室内冷媒管継手15を、室内あるいは屋内に、または、室内冷媒管継手15を建屋壁部12の内部に設置しなければならない施工ケースなどの場合においても、室内冷媒管継手15からの漏洩冷媒を室内に漏らすことなく、空気調和機の安全性を保ちながら、施工の自由度を向上させることができる空気調和機の配管接続構造を提供できる。
【0052】
尚、上記実施の形態では、図7に示すような冷媒回路図の空気調和機を例に説明したが、四方弁を有しない例えば、加熱専用の給湯機等や、冷却専用のクーラーや、冷凍庫等としても応用できる。また、室外機と室内機が複数台存在するマルチタイプの空気調和機にも勿論適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明に係る空気調和機の配管接続構造は、可燃性冷媒、例えば、プロパンガス、イソブタン、アンモニアなど自然冷媒やHFO1234yf、R32やその混合冷媒など弱燃性、微燃性の冷媒を冷媒回路に封入する空気調和機の設置の際、安全性を保ちながら施工の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 室内機
2 室外機
3 冷媒配管
3a、3b、4a、4b、5a、5b 配管
6 配管被覆材
8 配管カバー
12 建屋壁部
13 室内側管継手
15 室内冷媒管継手
18 気密フィルム
20 貫通穴
23 溝
24 円筒形スペーサー
25 保護管
28 気密カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内冷媒管継手近傍の気密性を保ちながら前記室内側管継手から前記配管被覆材までを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーと前記配管被覆材を気密性のある気密フィルムで密着固定したことを特徴とする空気調和機の配管接続構造。
【請求項2】
配管カバーは、少なくとも室内側管継手から貫通穴の屋外近傍までの長さを有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の配管接続構造。
【請求項3】
屋外に室外機、屋内に室内機が設置され、建屋壁部の貫通穴を通して冷媒配管により接続されてなると共に、可燃性冷媒を用いた空気調和機の配管接続構造であって、前記冷媒配管の少なくとも前記貫通穴から前記室内機側の室内冷媒管継手の近傍まで被覆し両端が開口している筒状の配管被覆材と、前記室内冷媒管継手と室内側管継手を接続後に、前記室内側管継手と前記室内冷媒管継手と前記配管被覆材を覆う気密カバーとを備えたことを特徴とする空気調和機の配管接続構造。
【請求項4】
気密カバーを熱収縮チューブで構成したことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の配管接続構造。
【請求項5】
室内冷媒管継手、室内側管継手はフレア継手であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和機の配管接続構造。
【請求項6】
配管被覆材を断熱材で形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気調和機の配管接続構造。
【請求項7】
室内冷媒管継手近傍で、配管被覆材と冷媒配管の間に挿入設置され、漏洩冷媒の流路を確保する円筒形スペーサーを設置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気調和機の配管接続構造。
【請求項8】
室内冷媒管継手に配管長手方向に溝を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機の配管接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−64525(P2013−64525A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202628(P2011−202628)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】