説明

空気調和機群制御装置及び空気調和システム

【課題】部品点数及び施工工数の増大を抑制しつつ、被空調空間全体に亘って空調の快適性を向上することができる空気調和機群制御装置及び空気調和システムを提供する。
【解決手段】総合空調コントローラ30は、単一の被空調空間Sの一部の空調を行うガスヒートポンプ式の空気調和機10にGHP指令を送るGHP指令部32と、被空調空間Sの他部の空調を行う電気式の空気調和機20にEHP指令を送るEHP指令部33と、空調負荷の変動に応じて空気調和機10による空調出力及び空気調和機20による空調出力のバランスを決め、GHP指令及びEHP指令を生成するバランス決定部31と、空気調和機10による空調出力及び空気調和機20による空調出力のバランスに応じて、被空調空間Sに気流を発生する還気システム40のダンパD1〜D3に開度指令を送る外部機器指令部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機群制御装置及び空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和システムとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この空気調和システムは、駆動源に電動モータを用いた電気ヒートポンプ(以下、EHPともいう)式の空気調和機及びガスエンジンを用いたガスヒートポンプ(以下、GHPともいう)式の空気調和機をそれぞれ備えている。そして、総合空調コントローラは、空調負荷の変動に応じてこれらEHP及びGHP式の空気調和機間の空調バランスを決定し、これに基づき各々の空気調和機への制御指令を生成することで、EHP及びGHP式の空気調和機を全体として最適制御する。すなわち、総合空調コントローラは、EHP式の空気調和機に制御指令を送るEHP司令部と、GHP式の空気調和機に制御指令を送るGHP司令部と、負荷変動に応じてEHP及びGHP式の空気調和機のバランスを決定するバランス決定部とを有する。これにより、総合空調コントローラは、単一の被空調空間の空調にEHP及びGHP式の空気調和機の両方が関わるような場合に、これら空気調和機を全体として最適に制御して、例えばガスエンジンの寿命延長化、使用電力の平準化(均一化)などを行うことが可能になる。
【0003】
また、特許文献2に記載された空気調和システムは、EHP式の空気調和機及びGHP式の空気調和機の運転制御にあたり、ガスエンジンのメンテナンス頻度の低減及び寿命延長化を図って、結果としてユーザが負担するトータルコストを低減するものである。すなわち、この空気調和システムの集中コントローラは、目標運転時間算出手段、スケジュール作成手段及び運転制御手段を備える。集中コントローラは、目標運転時間算出手段においてガスエンジンの運転寿命及び目標運転年数に基づきGHP式の空気調和機の目標運転時間を算出し、スケジュール作成手段において目標運転時間及び空調時間帯に基づき運転スケジュールを作成する。そして、集中コントローラは、運転制御手段において運転スケジュールに基づきEHP及びGHP式の空気調和機の運転を制御することで、例えばガスエンジンの運転時間を制限して該ガスエンジンのメンテナンス頻度を低減させる。
【0004】
さらに、特許文献3に記載された空気調和システムは、単一の被空調空間の空調にEHP及びGHP式の空気調和機の両方が関わるような場合に、顧客の要望に合わせてこれら空気調和機を一括で制御するものである。すなわち、この空気調和システムの集中コントローラは、情報記憶手段、空調負荷パターン導出手段、入力手段及び最適制御パターン導出手段を備える。集中コントローラは、空調負荷パターン導出手段において、情報記憶手段の有する該当地域の外気温データと入力手段から入力された該当地域の顧客情報とに基づき空調負荷パターンを導出する。また、集中コントローラは、最適制御パターン導出手段において、空調負荷パターンと、情報記憶手段の有する該当地域の電気/ガス料金データ及びEHP・GHP式の空気調和機の容量データと、入力手段から入力された顧客要望とに基づき最適制御パターンを導出する。そして、集中コントローラは、最適制御パターンに基づきEHP及びGHP式の空気調和機の運転を制御することで、例えば最大デマンド値(次年の基本料金を決定する最大需要電力)を抑制したり、メンテナンスコストを低減したり、エネルギーコストを低減したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187342号公報
【特許文献2】特開2009−14246号公報
【特許文献3】特開2009−41801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3に記載された空気調和システムでは、各々の目的に合わせてEHP及びGHP式の空気調和機の制御が可能であるものの、該当の目的を達成するためにEHP及びGHP式のいずれか一方の空気調和機の空調出力を増加するとともにいずれか他方の空気調和機の空調出力を抑制することで、これらEHP及びGHP式の空気調和機間で空調出力がアンバランスになり空調快適性が損なわれる可能性がある。これは、単一の被空調空間において、空調負荷に応じてEHP及びGHP式の空気調和機全体の空調出力が確保されているとしても、EHP式の空気調和機(室内機)の分担する空調エリアと、GHP式の空気調和機(室内機)の分担する空調エリアとで空調出力が互いに異なることによる。

図8は、空調負荷に対するGHP式の空気調和機による空調出力及びEHP式の空気調和機による空調出力のバランス(分配)の一例を示すグラフである。同図に示すように、空調負荷の小さい状態では、低負荷での高効率を考慮してEHP式の空気調和機のみの空調出力となる。しかしながら、空調負荷の大きい状態では、契約電力を低減すべくEHP式の空気調和機の空調出力が一定レベル(例えば最大デマンド値の目標値)に抑えられて、GHP式の空気調和機の空調出力が増加し始める。そして、空調負荷が所定値K(%)を超えると、EHP式の空気調和機の空調出力よりもGHP式の空気調和機の空調出力の方が大きくなる。つまり、GHP式の空気調和機による空調出力及びEHP式の空気調和機による空調出力は、所定値K(%)の空調負荷を起点に大小関係が逆転する。
【0007】
従って、例えば特許文献1において、図9に示すように、冷房運転時にEHP式の空気調和機80の空調出力がGHP式の空気調和機90の空調出力よりも小さくなると、EHP式の空気調和機80の室内機81の近傍エリアA80では空調負荷に対し空調出力が不足して温度が高くなり、反対にGHP式の空気調和機90の室内機91の近傍エリアA90では空調負荷に対し空調出力が過剰になって温度が低下する。つまり、総合空調コントローラ100にてEHP及びGHP式の空気調和機80,90を統括制御することにより、部屋全体(被空調空間S)での空調負荷に対して空調出力の総和が一致するように制御されるものの、部屋の部分部分では空調出力の過不足が発生し、本来の空調の目的である快適性が損なわれることになる。
【0008】
一方、このような問題を回避するため、小出力の室内機81,91を選定して該室内機81,91を多数設置すること、例えば図10に示すように、室内機81,91を行列状に複数配設するとともに、これら室内機81,91をEHP及びGHP式の空気調和機の室内機81,91として交互に配置(いわゆる市松配置)することが考えられる。この場合、多数の室内機81,91によって、空調出力のアンバランスに伴う被空調空間Sの温度のばらつきを抑えることができる。しかしながら、室内機81,91の台数の増加やこれに伴う機器コストアップ、冷媒配管、制御配線の増加やこれに伴う施工コストアップを余儀なくされるという別の問題が生じることになる。
【0009】
なお、特許文献1では、EHP式の空気調和機80から供給される空調空気と、GHP式の空気調和機90から供給される空調空気とを合流させた後に、共通の吹出口を介して被空調空間Sに送ることも提案されている。これにより、空調快適性の悪化を抑えることができるが、吹出口1つあたりにEHP及びGHP式の空気調和機80,90の両方が必要になるために、上記に準じて機器コストアップや施工コストアップ等を余儀なくされてしまう。
【0010】
本発明の目的は、部品点数及び施工工数の増大を抑制しつつ、被空調空間全体に亘って空調の快適性を向上することができる空気調和機群制御装置及び空気調和システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、単一の被空調空間の一部の空調を行うガスヒートポンプ式の第1空気調和機に第1制御指令を送る第1指令部と、前記被空調空間の他部の空調を行う電気式の第2空気調和機に第2制御指令を送る第2指令部と、空調負荷の変動に応じて前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスを決め、前記第1制御指令及び前記第2制御指令を生成するバランス決定部と、前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスに応じて、前記被空調空間に気流を発生する外部機器に外部機器制御指令を送る外部機器指令部とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、前記外部機器は、前記被空調空間に供給する空気の流路を形成する給気システム、前記被空調空間の還り空気の流路を形成する還気システム、前記被空調空間の空気を攪拌するサーキュレータの少なくとも一つであることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、前記第1空気調和機の室内機は、前記被空調空間に空調した空気を吹き出す第1吹出口を複数備え、前記第2空気調和機の室内機は、前記被空調空間に空調した空気を吹き出す第2吹出口を複数備え、前記外部機器は、前記複数の第1吹出口の吹出位置及び前記複数の第2吹出口の吹出位置をそれぞれ切り替える吹出システムであることを要旨とする。
【0014】
上記各構成によれば、前記バランス決定部により、空調負荷の変動に応じて前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスが決められ、これに基づき前記第1制御指令及び前記第2制御指令が生成される。そして、前記第1指令部により前記第1制御指令が前記第1空気調和機に送られ、前記第2指令部により前記第2制御指令が前記第2空気調和機に送られることで、前記被空調空間の全体として必要な空調出力が得られるように前記第1空気調和機及び前記第2空気調和機が制御(統括制御)される。この際、前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力がアンバランスになることがあるが、前記外部機器指令部により前記外部機器制御指令が前記外部機器に送られることで、前記被空調空間に発生する気流が制御される。従って、前記第1空気調和機が分担する前記被空調空間の一部の空調出力及び前記第2空気調和機が分担する前記被空調空間の他部の空調出力のアンバランスを抑制するように前記被空調空間に発生する気流(外部機器)を制御することができ、空調の快適性を向上することができる。また、基本的に前記被空調空間の空調に必須の既存設備である前記外部機器を利用するため、部品点数及び施工工数の増大を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、前記外部機器指令部は、前記外部機器制御指令として、前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスの状態を表す状態指令及び該バランスの状態量を表す状態量指令の少なくとも一方を送ることを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記外部機器指令部が前記外部機器制御指令として前記状態指令を前記外部機器に送る場合、相対的に空調出力の小さい状態の空気調和機(第1空気調和機又は第2空気調和機)が分担する前記被空調空間の部分における気流が促進されるように前記外部機器を切替制御すればよく、その演算負荷を軽減することができる。一方、前記外部機器指令部が前記外部機器制御指令として前記状態量指令を前記外部機器に送る場合、両空気調和機間の空調出力の偏差に基づいて、相対的に空調出力の小さい状態の空気調和機(第1空気調和機又は第2空気調和機)が分担する前記被空調空間の部分における気流が促進されるように前記外部機器を連続的に制御することができ、前記気流をより緻密に制御することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、単一の被空調空間の一部の空調を行うガスヒートポンプ式の第1空気調和機と、前記被空調空間の他部の空調を行う電気式の第2空気調和機と、前記第1空気調和機及び前記第2空気調和機を統括制御する制御手段と、前記被空調空間に気流を発生する外部機器とを備える空気調和システムにおいて、前記制御手段は、前記第1空気調和機に第1制御指令を送る第1指令部と、前記第2空気調和機に第2制御指令を送る第2指令部と、空調負荷の変動に応じて前記第1空気調和機による空調及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスを決め、前記第1制御指令及び前記第2制御指令を生成するバランス決定部と、前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスに応じて、前記外部機器に外部機器制御指令を送る外部機器指令部とを備えたことを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、部品点数及び施工工数の増大を抑制しつつ、被空調空間全体に亘って空調の快適性を向上することができる空気調和システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、部品点数及び施工工数の増大を抑制しつつ、被空調空間全体に亘って空調の快適性を向上することができる空気調和機群制御装置及び空気調和システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略ブロック図。
【図2】同実施形態を示す概略ブロック図。
【図3】状態指令での制御態様を示すグラフ。
【図4】状態量指令での制御態様を示すグラフ。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す概略ブロック図。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す概略ブロック図。
【図7】本発明の第4の実施形態を示す概略ブロック図。
【図8】空調負荷とGHP、EHPによる出力の関係を示すグラフ。
【図9】従来形態を示す概略ブロック図。
【図10】従来形態を示す概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機群制御装置及び該空気調和機群制御装置が適用される空気調和システムを示す概略構成図である。
【0022】
同図に示すように、単一の被空調空間Sの一部の空調を行う第1空気調和機としてのガスヒートポンプ式の空気調和機10(以下、GHP10ともいう)は、室外に設置される室外機11を備えるとともに、例えば天井等の室内に設置される室内機16を備える。そして、室外機11は、例えば開放型の圧縮機12、室外熱交換器13及び四路切換弁14等を備えて構成されており、室内機16は、室内熱交換器17及び膨張弁18等を備えて構成されている。GHP10は、圧縮機12、室外熱交換器13、四路切換弁14、室内熱交換器17、膨張弁18、室外機11と室内機16とを結ぶ連絡冷媒配管等によって冷媒を循環させる冷凍サイクル10aを構成する。そして、GHP10は、室内熱交換器17を通って冷やされた(あるいは暖められた)空気を、室内機16の下面に形成されている吹出口(送出口)19から被空調空間Sに送って、該被空調空間Sの冷房又は暖房を行う。
【0023】
なお、圧縮機12の駆動源は、圧縮機本体12aに隣接するガスエンジン12bであって、圧縮機本体12aとガスエンジン12bとは、直結、あるいはベルトを介して連結されている。圧縮機12は、外部から燃料ガスの供給されるガスエンジン12bによって作動する。
【0024】
一方、前記被空調空間Sの他部の空調を行う第2空気調和機としての電気ヒートポンプ式の空気調和機20(以下、EHP20ともいう)は、室外に設置される室外機21を備えるとともに、例えば天井等の室内に設置される室内機26を備える。そして、室外機21は、圧縮機22、室外熱交換器23及び四路切換弁24等を備えて構成されており、室内機26は、室内熱交換器27及び膨張弁28等を備えて構成されている。EHP20は、圧縮機22、室外熱交換器23、四路切換弁24、室内熱交換器27、膨張弁28、室外機21と室内機26とを結ぶ連絡冷媒配管等によって冷媒を循環させる冷凍サイクル20aを構成する。そして、EHP20は、室内熱交換器27を通って冷やされた(あるいは暖められた)空気を、室内機26の下面に形成されている吹出口(送出口)29から被空調空間Sに送って、該被空調空間Sの冷房又は暖房を行う。
【0025】
なお、圧縮機22の駆動源は、圧縮機ケーシング内に配置されている電動モータ22aである。圧縮機22は、外部から電力の供給される電動モータ22aによって作動する。従って、本空気調和システムにおいて主たる電力を消費するのは、GHP10に比して電力消費量の著しいEHP20である。消費電力は、電力会社の設置設備が備える取引用計器のパルス信号を検出する使用電力測定器51によって測定される。
【0026】
ここで、GHP10の室内機16及びEHP20の室内機26は、被空調空間Sに交互に配置されている。例えば室内機16,26を行列状に複数配設する場合には、互いに同数となる室内機16,26がいわゆる市松配置される。あるいは、室内機16,26を各1個ずつ配設する場合には、これら室内機16,26が対称配置される。この場合、図2に示すように、被空調空間Sには、主にGHP10により空調される領域(以下、GHP室内機近傍エリアAGという)及びEHP20により空調される領域(以下、EHP室内機近傍エリアAEという)が存在する。以下では、便宜上、室内機16,26が被空調空間Sに対称配置されていると見なして説明する。
【0027】
図2に示すように、空気調和システムは、被空調空間Sの還気(還り空気)RAの流路を形成する外部機器としての還気システム40を備える。この還気システム40の備えるダクト41は、室内機26を挟んでその壁側及び室内機16側に配設され被空調空間Sに連通する吸気口41a,41bを有するとともに、室内機16の壁側に設けられ被空調空間Sに連通する吸気口41cを有する。そして、吸気口41a〜41cには、開度の増減によって各々を流れる還気RAの風量(換気量)を調整する、例えば電動弁からなるダンパD1,D2,D3が配設されている。
【0028】
GHP10及びEHP20を統括制御する制御手段(空気調和機群制御装置)としての総合空調コントローラ30は、例えばマイコンを主体に構成されており、CPUと、RAM及びROM等の各種メモリからなる記憶手段と、外部との通信を行うインタフェース等で構成されている。総合空調コントローラ30は、電気的に接続されたGHP10及びEHP20から各種情報を入力するとともに、同じく電気的に接続された前記使用電力測定器51から使用電力の情報を随時入力する。そして、総合空調コントローラ30は、所定のプログラムに従って、GHP10やEHP20、還気システム40に対して各種制御指令を生成する。これは、空調負荷に応じてGHP10及びEHP20の空調出力を調整することで、GHP10(ガスエンジン12b)の寿命延長化や使用電力の平準化などを行うためである。
【0029】
すなわち、総合空調コントローラ30は、GHP10及びEHP20から室内温度や設定温度、外気温度等の各種情報をそれぞれ受信するとともに、前記使用電力測定器51から使用電力の情報を受信する。そして、総合空調コントローラ30は、受信したこれらの情報に基づいて、現在の空調負荷を演算・取得する。総合空調コントローラ30のバランス決定部31は、空調負荷の変動に応じてGHP10による空調出力及びEHP20による空調出力のバランスを決め、第1制御指令としてのGHP指令及び第2制御指令としてのEHP指令を生成する。また、GHP10の室外機11に設置されたマイコン主体のGHP制御部11aと電気的に接続された総合空調コントローラ30の第1指令部としてのGHP指令部32は、GHP制御部11aに対してGHP指令を送信する。さらに、EHP20の室外機21に設置されたマイコン主体のEHP制御部21aと電気的に接続された総合空調コントローラ30の第2指令部としてのEHP指令部33は、EHP制御部21aに対してEHP指令を送信する。
【0030】
なお、GHP指令及びEHP指令を受信したGHP制御部11a及びEHP制御部21aは、決定されたバランスの空調出力が得られるようにGHP10及びEHP20の運転をそれぞれ制御する。これにより、GHP10(ガスエンジン12b)の寿命延長化や使用電力の平準化などを考慮したGHP10及びEHP20の運転が行われる。このようなGHP10及びEHP20の運転を行う際、これらGHP10及びEHP20の空調出力に偏差(アンバランス)が生じることは既述のとおりである(図8参照)。これにより、例えば冷房運転時において、EHP室内機近傍エリアAEでは空調負荷に対し空調出力が不足して温度が高くなり、反対にGHP室内機近傍エリアAGでは空調負荷に対し空調出力が過剰になって温度が低下する。あるいは、その逆の現象が生じる。
【0031】
このような現象を考慮して、前記還気システム40のダンパD1〜D3と電気的に接続された総合空調コントローラ30の外部機器指令部34は、ダンパD1〜D3に対して外部機器制御指令としての開度指令をそれぞれ送信する。この開度指令は、GHP10及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sに発生する気流(還気RA)を制御すべく、ダンパD1〜D3の開度を制御するものである。
【0032】
すなわち、例えばEHP20の空調出力がGHP10の空調出力よりも小さい状態では、開度指令によりダンパD2,D3の開度を減じ、ダンパD1の開度を増加させる。この場合、吸気口41b,41cの風量が減ぜられるとともに、吸気口41aの風量が増加されることでGHP室内機近傍エリアAG(空調出力過多のエリア)からEHP室内機近傍エリアAE(空調出力不足のエリア)への気流が作られ、これらGHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAEの空調出力のアンバランス(過不足)による空調快適性の低下が抑制される。
【0033】
反対に、GHP10の空調出力がEHP20の空調出力よりも小さい状態では、開度指令によりダンパD1,D2の開度を減じ、ダンパD3の開度を増加させる。この場合、吸気口41a,41bの風量が減ぜられるとともに、吸気口41cの風量が増加されることでEHP室内機近傍エリアAE(空調出力過多のエリア)からGHP室内機近傍エリアAG(空調出力不足のエリア)への気流が作られ、これらGHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAEの空調出力のアンバランスによる空調快適性の低下が抑制される。
【0034】
ここで、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力の偏差(アンバランスの程度)と、開度指令及び対応するダンパD1〜D3の開度との関係について図3に基づき説明する。なお、EHP20の空調出力がGHP10の空調出力よりも小さいときのこれらの偏差をEHP出力抑制量として表すとともに、GHP10の空調出力がEHP20の空調出力よりも小さいときのこれらの偏差をGHP出力抑制量として表している。
【0035】
同図に示すように、EHP出力抑制量及びGHP出力抑制量が共に零のとき、即ちEHP20の空調出力及びGHP10の空調出力が同等のときには、ダンパD1〜D3に対する開度指令は送信されず、これらダンパD1〜D3の開度は還気RAの流れを阻害しない所定開度APに設定される。そして、GHP出力抑制量が存在する状態(GHP出力抑制状態)では、外部機器指令部34は、GHP室内機近傍エリアAGへの気流を発生させるべく、ステップ状の開度指令(以下、「GHP出力抑制状態指令」ともいう)を送信する。これにより、ダンパD1,D2の開度が所定開度APd(<AP)まで減ぜられ、ダンパD3の開度が所定開度APu(>AP)まで増加される。また、EHP出力抑制量が存在する状態(EHP出力抑制状態)では、外部機器指令部34は、EHP室内機近傍エリアAEへの気流を発生させるべく、ステップ状の開度指令(以下、「EHP出力抑制状態指令」ともいう)を送信する。これにより、ダンパD2,D3の開度が所定開度APdまで減ぜられ、ダンパD1の開度が所定開度APuまで増加される。つまり、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力の状態(GHP出力抑制状態又はEHP出力抑制状態)に応じて、外部機器指令部34によりGHP出力抑制状態指令又はEHP出力抑制状態指令が送信されることで、ダンパD1〜D3の開度がステップ状に増減される。以上により、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sの還気RAが制御され、空調の快適性が向上される。
【0036】
なお、図4に示すように、GHP出力抑制量又はEHP出力抑制量が存在する状態(GHP出力抑制状態又はEHP出力抑制状態)において、それらの状態量(GHP出力抑制量又はEHP出力抑制量)に応じダンパD1〜D3の開度を逓増又は逓減させてもよい。すなわち、GHP出力抑制量又はEHP出力抑制量が存在する状態では、外部機器指令部34は、リニア関数的(連続関数的)な開度指令(以下、「出力抑制量指令」ともいう)を送信する。例えば、GHP出力抑制量が存在する状態では、その状態量(GHP出力抑制量)に応じた風量でGHP室内機近傍エリアAGへの気流を発生させるべく、該状態量が大きくなるに従って小さくなる出力抑制量指令が送られる。これにより、状態量が大きくなるに従って、ダンパD1,D2の開度が前記所定開度APからより小さくなるように減ぜられ、ダンパD3の開度が前記所定開度APからより大きくなるように増加される。また、EHP出力抑制量が存在する状態では、その状態量(EHP出力抑制量)に応じた風量でEHP室内機近傍エリアAEへの気流を発生させるべく、該状態量が大きくなるに従って大きくなる出力抑制量指令が送られる。これにより、状態量が大きくなるに従って、ダンパD2,D3の開度が前記所定開度APからより小さくなるように減ぜられ、ダンパD1の開度が前記所定開度APからより大きくなるように増加される。つまり、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力の状態量(GHP出力抑制量又はEHP出力抑制量)に応じて、外部機器指令部34により出力抑制量指令が送信されることで、ダンパD1〜D3の開度がリニア関数的(連続関数的)に増減される。このように変更しても、同様にGHP10の空調出力及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sの還気RAが制御され、空調の快適性が向上される。
【0037】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、バランス決定部31により、空調負荷の変動に応じてGHP10による空調出力及びEHP20による空調出力のバランスが決められ、これに基づきGHP指令及びEHP指令が生成される。そして、GHP指令部32によりGHP指令がGHP10に送られ、EHP指令部33によりEHP指令がEHP20に送られることで、被空調空間Sの全体として必要な空調出力が得られるようにGHP10及びEHP20が制御(統括制御)される。この際、GHP10による空調出力及びEHP20による空調出力がアンバランスになることがあるが、外部機器指令部34により開度指令(GHP出力抑制状態指令若しくはEHP出力抑制状態指令、又はGHP出力抑制量指令若しくはEHP出力抑制量指令)が還気システム40(ダンパD1〜D3)に送られることで、被空調空間Sに発生する還気RAが制御される。従って、GHP10が分担する被空調空間Sの一部(GHP室内機近傍エリアAG)の空調出力及びEHP20が分担する被空調空間Sの他部(EHP室内機近傍エリアAE)の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sに発生する還気RAを制御することができ、空調の快適性を向上することができる。また、基本的に被空調空間Sの空調に必須の既存設備である還気システム40を利用するため、部品点数及び施工工数の増大を抑制することができる。
【0038】
(2)本実施形態では、外部機器指令部34が還気システム40(ダンパD1〜D3)に状態指令(GHP出力抑制状態指令又はEHP出力抑制状態指令)を送る場合、相対的に空調出力の小さい状態の空気調和機(GHP10又はEHP20)が分担する被空調空間Sの部分における気流が促進されるように還気システム40(ダンパD1〜D3)を切替制御すればよく、その演算負荷を軽減することができる。一方、外部機器指令部34が還気システム40(ダンパD1〜D3)に状態量指令(GHP出力抑制量指令又はEHP出力抑制量指令)を送る場合、GHP10及びEHP20間の空調出力の偏差に基づいて、相対的に空調出力の小さい状態の空気調和機(GHP10又はEHP20)が分担する被空調空間Sの部分における気流が促進されるように還気システム40(ダンパD1〜D3)を連続的に制御することができ、前記気流をより緻密に制御することができる。
【0039】
(3)本実施形態では、空調快適性を保ったまま、顧客の要望(ガスエンジン12bの寿命延長化、使用電力の平準化など)に応えることができる。
(4)本実施形態では、従来例のようにGHP10及びEHP20の最適制御と空調快適性との両立のために、小出力の室内機(16,26)を選定してこれらを多数設置(市松配置)したり、GHP10から供給される空調空気とEHP20から供給される空調空気とを共通の吹出口を介して被空調空間Sに送ったりする必要がない。すなわち、総合空調コントローラ30に外部機器指令部34を追加して該外部機器指令部34と還気システム40(ダンパD1〜D3)とを電気的に接続することで同様の効果が得られるため、機器コストアップや施工コストアップ等を最小限に抑えることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の外部機器としての還気システム40を給気システムに変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0041】
図5は、本実施形態に係る空気調和機群制御装置及び該空気調和機群制御装置が適用される空気調和システムを示す概略構成図である。同図に示すように、空気調和システムは、被空調空間Sの給気(供給空気)SAの流路を形成する外部機器としての給気システム60を備える。この給気システム60の備える室外設置の外調機61は、外気OAを取り込むダクト62に接続される。外調機61は、ダクト62から取り込んだ外気OAの温度を一次処理して、外調機61に接続されたダクト63に給気SAとして供給する。
【0042】
ダクト63は、室内機26を挟んでその壁側及び室内機16側に配設され被空調空間Sに連通する給気口63a,63bを有するとともに、室内機16の壁側に設けられ被空調空間Sに連通する給気口63cを有する。そして、給気口63a〜63cには、開度の増減によって各々を流れる給気SAの風量(給気量)を調整する、例えば電動弁からなるダンパD11,D12,D13が配設されている。
【0043】
そして、ダンパD11〜D13と電気的に接続された総合空調コントローラ30の外部機器指令部34は、ダンパD11〜D13に対して外部機器制御指令としての開度指令をそれぞれ送信する。この開度指令は、GHP10及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sに発生する気流(給気SA)を制御すべく、ダンパD11〜D13の開度を制御するものである。
【0044】
すなわち、例えばEHP20の空調出力がGHP10の空調出力よりも小さい状態では、開度指令によりダンパD12,D13の開度を増加させ、ダンパD11の開度を減じる。この場合、給気口63b,63cの風量が増加されるとともに、給気口63aの風量が減ぜられることでGHP室内機近傍エリアAG(空調出力過多のエリア)からEHP室内機近傍エリアAE(空調出力不足のエリア)への気流が作られ、これらGHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAEの空調出力のアンバランス(過不足)による空調快適性の低下が抑制される。

反対に、GHP10の空調出力がEHP20の空調出力よりも小さい状態では、開度指令によりダンパD11,D12の開度を増加させ、ダンパD13の開度を減じる。この場合、給気口63a,63bの風量が増加されるとともに、給気口63cの風量が減ぜられることでEHP室内機近傍エリアAE(空調出力過多のエリア)からGHP室内機近傍エリアAG(空調出力不足のエリア)への気流が作られ、これらGHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAEの空調出力のアンバランスによる空調快適性の低下が抑制される。
【0045】
なお、外部機器指令部34による開度指令は、状態指令であってもよいし状態量指令であってもよい(図3及び図4参照)。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果と同様の効果が得られるようになる。
【0046】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態について図面に従って説明する。なお、第3の実施形態は、外部機器として被空調空間Sの空気を攪拌するサーキュレータを採用したことが第1及び第2の実施形態と異なる構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る空気調和機群制御装置及び該空気調和機群制御装置が適用される空気調和システムを示す概略構成図である。同図に示すように、空気調和システムは、被空調空間Sの空気を攪拌する外部機器としての一対のサーキュレータ66,67を備える。サーキュレータ66,67は、室内機16の壁側及び室内機26の壁側にそれぞれ配置されている。そして、サーキュレータ66,67と電気的に接続された総合空調コントローラ30の外部機器指令部34は、サーキュレータ66,67に対して外部機器制御指令としての出力指令をそれぞれ送信する。この出力指令は、GHP10及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sに発生する気流(給気SA)を制御すべく、サーキュレータ66,67の出力、即ち風量を個別に制御するものである。
【0048】
従って、このような変更を加えても、GHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAE間の気流が作られ、前記第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第4の実施形態について図面に従って説明する。なお、第4の実施形態は、ダクト型の室内機において、外部機器として室内機の吹出システムを採用したことが第1〜第3の実施形態と異なる構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0049】
図7は、本実施形態に係る空気調和機群制御装置及び該空気調和機群制御装置が適用される空気調和システムを示す概略構成図である。同図に示すように、GHP10のダクト型の室内機71は、被空調空間Sの一側(図示左側)の壁側に単独で配置されており、該被空調空間Sに空調した空気を吹き出すダクト72を備える。このダクト72は、複数の第1吹出口としての吹出口72a,72bを有する。そして、吹出口72a,72bには、例えば電動弁からなるダンパD21、D22が配設されている。同様に、EHP20のダクト型の室内機76は、被空調空間Sの他側(図示右側)の壁側に単独で配置されており、該被空調空間Sに空調した空気を吹き出すダクト77を備える。このダクト77は、複数の第2吹出口としての吹出口77a,77bを有する。そして、吹出口77a,77bには、例えば電動弁からなるダンパD23、D24が配設されている。ダンパD21〜D24は、吹出口72a,72b,77a,77bの吹出位置や風量をそれぞれ切り替える外部機器としての吹出システム70を構成する。そして、吹出システム70のダンパD21〜D24と電気的に接続された総合空調コントローラ30の外部機器指令部34は、ダンパD21〜D24に対して外部機器制御指令としての開度指令をそれぞれ送信する。この開度指令は、GHP10及びEHP20の空調出力のアンバランスを抑制するように被空調空間Sに発生する気流(給気SA)を制御すべく、吹出口72a,72b,77a,77bの吹出位置をそれぞれ切り替えるものである。
【0050】
従って、このような変更を加えても、GHP室内機近傍エリアAG及びEHP室内機近傍エリアAE間の気流が作られ、前記第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、ダンパD21〜D24により、吹出口72a,72b,77a,77bの吹出位置だけでなく、吹出の風量も変えることができ、より細やかな制御が可能となる。また、GHP10の一方の吹出口72bを被空調空間Sの右側となるEHP室内機近傍エリアAEまで延ばしたことで、仮にGHP10の単独動作(EHP20停止)となっても吹出口72bから吹き出た空気が部屋全体を流れて室内機71に吸い込まれるため、温度むらの発生を抑制することができる。同様に、EHP20の一方の吹出口77bを被空調空間Sの左側となるGHP室内機近傍エリアAGまで延ばしたことで、仮にEHP20の単独動作(GHP10停止)となっても温度むらの発生を抑制することができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1〜第2の実施形態において、ダンパ(吸気口又は給気口)の個数及びその配置態様は一例である。また、これらダンパの開度は、互いに全てが異なるように制御してもよい。
【0052】
・前記第1〜第3の実施形態において、被空調空間Sにおける室内機16,26の個数及びその配置態様は一例であり、必ずしも互いに同数の室内機16,26を交互に配置する必要はない。また、室内機16,26の出力は、互いに同等であってもよいし、互いに異なっていてもよい。要は、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力がアンバランスになったときに、室内機16,26の配置パターンや出力に応じて外部機器指令部34からの制御指令により被空調空間Sに発生する気流を制御すればよい。
【0053】
・前記第4の実施形態において、被空調空間Sにおける吹出口72a,72b,77a,77bの個数及びその配置態様は一例である。
・前記各実施形態において、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力の分配態様(図2参照)は一例である。例えば、空調負荷が低負荷のときには高効率のEHP20のみで運転し、中間負荷のときには高効率のGHP10のみで運転し、これを超える高負荷のときにはGHP10及びEHP20の協働で運転するようにしてもよい。あるいは、空調負荷が低負荷であってもGHP10及びEHP20の運転を同時に開始してもよい。要は、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力がアンバランスになったときに、外部機器指令部34からの制御指令によってこれを抑制するように被空調空間Sに発生する気流を制御すればよい。
【0054】
・また、GHP10の空調出力及びEHP20の空調出力の分配の目的(運転時間の短縮によるガスエンジンの寿命延長化、使用電力の平準化による基本料金の低減など)は一例である。例えばGHP10(ガスエンジン12b)の高効率化やメンテナンス頻度の低減であってもよいし、GHP10及びEHP20全体でのエネルギーコストの低減であってもよい。あるいは、冬季の休日明けの朝などEHP20による暖房運転では最大デマンド値が大きくなると予想される際、GHP10のみで暖房運転を開始するとともに、空調負荷が一定レベルを下回った後にEHP20のみの暖房運転に切り替えるようにしてもよい。要は、顧客の要望に合わせて必要な情報を総合空調コントローラ30に提供し、目的に合致するようにGHP10の空調出力及びEHP20の空調出力を分配させればよい。
【0055】
・前記各実施形態において、外部機器制御指令として状態指令及び状態量指令を組み合わせたものを外部機器に送ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
D1〜D3,D11〜D13,D21〜D24…ダンパ、S…被空調空間、10…GHP(第1空気調和機)、16,26,71,76…室内機、20…EHP(第2空気調和機)、31…バランス決定部、32…GHP指令部(第1指令部)、33…EHP指令部(第2指令部)、34…外部機器指令部、40…還気システム(外部機器)、60…給気システム(外部機器)、66,67…サーキュレータ(外部機器)、70…吹出システム(外部機器)、72a,72b…吹出口(第1吹出口)、77a,77b…吹出口(第2吹出口)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の被空調空間の一部の空調を行うガスヒートポンプ式の第1空気調和機に第1制御指令を送る第1指令部と、
前記被空調空間の他部の空調を行う電気ヒートポンプ式の第2空気調和機に第2制御指令を送る第2指令部と、
空調負荷の変動に応じて前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスを決め、前記第1制御指令及び前記第2制御指令を生成するバランス決定部と、
前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスに応じて、前記被空調空間に気流を発生する外部機器に外部機器制御指令を送る外部機器指令部とを備えたことを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
前記外部機器は、前記被空調空間に供給する空気の流路を形成する給気システム、前記被空調空間の還り空気の流路を形成する還気システム、前記被空調空間の空気を攪拌するサーキュレータの少なくとも一つであることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
前記第1空気調和機の室内機は、前記被空調空間に空調した空気を吹き出す第1吹出口を複数備え、
前記第2空気調和機の室内機は、前記被空調空間に空調した空気を吹き出す第2吹出口を複数備え、
前記外部機器は、前記複数の第1吹出口の吹出位置及び前記複数の第2吹出口の吹出位置をそれぞれ切り替える吹出システムであることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、
前記外部機器指令部は、前記外部機器制御指令として、前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスの状態を表す状態指令及び該バランスの状態量を表す状態量指令の少なくとも一方を送ることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項5】
単一の被空調空間の一部の空調を行うガスヒートポンプ式の第1空気調和機と、
前記被空調空間の他部の空調を行う電気式の第2空気調和機と、
前記第1空気調和機及び前記第2空気調和機を統括制御する制御手段と、
前記被空調空間に気流を発生する外部機器とを備える空気調和システムにおいて、
前記制御手段は、
前記第1空気調和機に第1制御指令を送る第1指令部と、
前記第2空気調和機に第2制御指令を送る第2指令部と、
空調負荷の変動に応じて前記第1空気調和機による空調及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスを決め、前記第1制御指令及び前記第2制御指令を生成するバランス決定部と、
前記第1空気調和機による空調出力及び前記第2空気調和機による空調出力のバランスに応じて、前記外部機器に外部機器制御指令を送る外部機器指令部とを備えたことを特徴とする空気調和システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−7833(P2012−7833A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145277(P2010−145277)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】