説明

空気調和機

【課題】外気が低温での暖房運転起動時に、電動弁の開度制御によりガス配管での液凝縮状態を解消または低減して、暖房運転を正常に行うことができる空気調和機を提供する。
【解決手段】暖房運転起動時、外気温度センサDOAにより検出された外気温度が所定値よりも低く、かつ、吐出管温度センサDOにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管にガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度に基づいて、判定部10aは、ガス配管内での冷媒の凝縮を判定する。上記判定部10aがガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部10bは、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の空気調和機としては、各室内熱交換器の内部の冷媒温度と冷媒出口側の冷媒の液温度により求めた平均凝縮温度に対する各液温度との偏差を算出し、算出された偏差と目標過冷却温度の差の絶対値が一定値を越える室内機について、対応する室内膨張弁の開度を上記差の絶対値に応じて増減するものがある(例えば、特開平6−159843号公報(特許文献1)参照)。この第1の空気調和機では、運転開始から室内熱交換器の過冷却度を適正な一定値に調整することにより、早期に各室内機の暖房能力を適正に発揮させることができる。
【0003】
また、従来の第2の空気調和機としては、暖房運転時に過冷却冷媒温度を検知して、運転部屋側の過冷却冷媒温度と停止部屋側の過冷却冷媒温度が所定の温度差となるように、各電動弁を制御するものがある。(例えば、特開2003−254588号公報(特許文献2)参照)。この第2の空気調和機では、停止部屋側の室内熱交換器と液側接続配管における冷媒の滞留を防止している。
【0004】
近年、寒冷地の−10℃〜−20℃などの厳しい外気条件でも十分な暖房能力が発揮できる空気調和機が要求されている。このような外気条件において、上記従来の第1,第2の空気調和機では、外気が低温での暖房運転起動時にガス配管で冷媒液が滞留するため、圧縮機に戻ってくる冷媒量が減少して、正常な暖房運転ができないという問題がある。
【特許文献1】特開平6−159843号公報
【特許文献2】特開2003−254588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、外気が低温での暖房運転起動時に、電動弁の開度制御によりガス配管での液凝縮状態を解消または低減して、暖房運転を正常に行うことができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の空気調和機は、
圧縮機と室内熱交換器と電動弁と室外熱交換器が環状に接続された冷媒回路と、
外気温度を検出する外気温度センサと、
上記圧縮機の吐出管温度を検出する吐出管温度センサと、
上記圧縮機と上記室内熱交換器とを接続するガス配管のガス管温度を検出するガス管温度センサと、
暖房運転起動時、上記外気温度センサにより検出された上記外気温度が所定外気温度よりも低く、かつ、上記吐出管温度センサにより検出された上記吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度に基づいて、上記ガス配管内での冷媒の凝縮を判定する判定部と、
上記判定部が上記ガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、上記電動弁の開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成の空気調和機によれば、暖房運転起動時、外気温度センサにより検出された外気温度が所定外気温度よりも低く、かつ、吐出管温度センサにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、判定部は、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度に基づいて、ガス配管内での冷媒の凝縮を判定する。そうして、上記判定部がガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部は、電動弁の開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。これにより、外気が低温での暖房運転起動時に、電動弁の開度制御によりガス配管での液凝縮状態を解消または低減して暖房運転を正常に行うことができる。
【0008】
また、一実施形態の空気調和機では、
上記室内熱交換器を夫々有する複数の室内機を備え、
上記ガス管温度センサは、上記圧縮機と上記複数の室内熱交換器とを接続する上記ガス配管毎にガス管温度を検出すると共に、
上記判定部は、暖房運転起動時、上記外気温度センサにより検出された上記外気温度が上記所定外気温度よりも低く、かつ、上記吐出管温度センサにより検出された上記吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度に基づいて、上記複数の室内熱交換器に接続された上記ガス配管毎に冷媒の凝縮を判定する。
【0009】
上記実施形態によれば、判定部は、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度に基づいて、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎にガス配管内での冷媒の凝縮を判定する。そうして、上記判定部がガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部は、電動弁の開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。これにより、マルチ型の空気調和機において、外気が低温での暖房運転起動時に複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎に電動弁の開度制御を的確に行って、液凝縮状態を解消または低減できる。
【0010】
また、一実施形態の空気調和機では、
上記圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力センサを備え、
上記判定部は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器に接続された上記ガス配管のうち、上記吐出圧力センサにより検出された上記圧縮機の吐出圧力に基づく高圧相当飽和温度と、上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。
【0011】
上記実施形態によれば、暖房運転起動時に、上記判定部は、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、吐出圧力センサにより検出された上記圧縮機の吐出圧力に基づく高圧相当飽和温度とガス管温度センサにより検出されたガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。この高圧相当飽和温度とガス管温度との温度差は、配管凝縮量に相当するので、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎の配管凝縮量に応じた電動弁の開度制御を的確に行うことができる。
【0012】
また、一実施形態の空気調和機では、
上記複数の室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度センサを備え、
上記判定部は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器に接続された上記ガス配管のうち、上記室内熱交換器温度センサにより検出された上記複数の室内熱交換器の温度の最大値と上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。
【0013】
上記実施形態によれば、暖房運転起動時に、上記判定部は、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、室内熱交換器温度センサにより検出された複数の室内熱交換器の温度の最大値とガス管温度センサにより検出されたガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。この複数の室内熱交換器の温度の最大値とガス管温度との温度差は、圧縮機の吐出圧力に基づく高圧相当飽和温度とガス管温度との温度差に相当するので、圧力センサを用いて圧縮機の吐出圧力を検出する必要がなく、コストを低減できる。
【0014】
また、一実施形態の空気調和機では、上記判定部は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器に接続された上記ガス配管のうち、上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度の最大値と、上記ガス管温度が最大値でない他の上記ガス配管の上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。
【0015】
上記実施形態によれば、暖房運転起動時に、上記判定部は、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度の最大値と、ガス管温度が最大値でない他のガス配管のガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。このガス管温度の最大値と、ガス管温度が最大値でない他のガス配管のガス管温度との温度差は、圧縮機の吐出圧力に基づく高圧相当飽和温度とガス管温度との温度差に相当するので、圧力センサを用いて圧縮機の吐出圧力を検出する必要がなく、コストを低減できる。
【0016】
また、一実施形態の空気調和機では、上記判定部は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器に接続された上記ガス配管のうち、上記ガス管温度センサにより検出された上記ガス管温度が所定ガス管温度よりも低い上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。
【0017】
上記実施形態によれば、暖房運転起動時に、上記判定部は、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度が所定ガス管温度よりも低いガス配管で冷媒が凝縮していると判定する。これにより、簡単にガス配管での液冷媒の滞留を判定できる。
【0018】
また、一実施形態の空気調和機では、上記制御部は、上記配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に上記配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行う。
【0019】
上記実施形態によれば、上記制御部により配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことによって、不必要に配管凝縮時制御を行うことがなくなり、快適性を向上できる。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の空気調和機によれば、外気が低温での暖房運転起動時に、電動弁の開度制御によりガス配管での液凝縮状態を解消または低減して暖房運転を正常に行うことができる。
【0021】
また、一実施形態の空気調和機によれば、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎にガス管温度センサにより検出されたガス管温度に基づいて、判定部がガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部は、電動弁の開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行うことにより、マルチ型の空気調和機において、外気が低温での暖房運転起動時に複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎に電動弁の開度制御を的確に行って、液凝縮状態を解消または低減できる。
【0022】
また、一実施形態の空気調和機によれば、暖房運転起動時に、判定部が、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、高圧相当飽和温度とガス管温度センサにより検出されたガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定することによって、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管毎の配管凝縮量に応じた電動弁の開度制御を的確に行うことができる。
【0023】
また、一実施形態の空気調和機によれば、暖房運転起動時に、判定部が、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、室内熱交換器温度センサにより検出された複数の室内熱交換器の温度の最大値とガス管温度センサにより検出されたガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定することによって、圧力センサを用いて圧縮機の吐出圧力を検出する必要がなく、コストを低減できる。
【0024】
また、一実施形態の空気調和機によれば、暖房運転起動時に、判定部が、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度の最大値と、ガス管温度が最大値でない他のガス配管のガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定することによって、圧力センサを用いて圧縮機の吐出圧力を検出する必要がなく、コストを低減できる。
【0025】
また、一実施形態の空気調和機によれば、暖房運転起動時に、判定部が、複数の室内熱交換器に接続されたガス配管のうち、ガス管温度センサにより検出されたガス管温度が所定ガス管温度よりも低いガス配管で冷媒が凝縮していると判定することにより、簡単にガス配管での液冷媒の滞留を判定できる。
【0026】
また、一実施形態の空気調和機によれば、制御部により配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことによって、不必要に配管凝縮時制御を行うことなく通常暖房運転に移行することにより快適性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の空気調和機の回路図を示している。
【0029】
この空気調和機は、図1に示すように、圧縮機1と、上記圧縮機1の吐出側に一端が接続された四路切換弁2と、上記四路切換弁2の他端に一端が夫々接続された室内熱交換器3A,3B,3C,3Dと、上記室内熱交換器3A,3B,3C,3Dの他端に一端が夫々接続された電動弁EVA,EVB,EVC,EVDと、上記電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの他端に一端が接続された室外熱交換器4と、上記室外熱交換器4の他端に四路切換弁2を介して一端が接続され、他端が圧縮機1の吸込側に接続されたアキュムレータ5と、圧縮機1と四路切換弁2および電動弁EVA,EVB,EVC,EVDなどを制御する制御装置10とを備えている。
【0030】
上記四路切換弁2と室内熱交換器3Aを連絡配管L11を介して接続している。また、上記四路切換弁2と室内熱交換器3Bを連絡配管L12を介して接続している。また、上記四路切換弁2と室内熱交換器3Cを連絡配管L13を介して接続している。さらに、上記四路切換弁2と室内熱交換器3Dを連絡配管L14を介して接続している。
【0031】
また、上記室内熱交換器3Aと電動弁EVAを連絡配管L21を介して接続している。また、上記室内熱交換器3Bと電動弁EVBを連絡配管L22を介して接続している。また、上記室内熱交換器3Cと電動弁EVCを連絡配管L23を介して接続している。さらに、上記室内熱交換器3Dと電動弁EVDを連絡配管L24を介して接続している。
【0032】
上記圧縮機1の吐出側に吐出管温度を検出する吐出管温度センサDOを配置している。また、上記圧縮機1の吐出側に吐出圧力を検出する吐出圧力センサ6を配置している。
【0033】
上記連絡配管L11の室内熱交換器3A近傍にガス管温度センサDHAを配置し、連絡配管L12の室内熱交換器3B近傍にガス管温度センサDHBを配置している。また、上記連絡配管L13の室内熱交換器3C近傍にガス管温度センサDHCを配置し、連絡配管L14の室内熱交換器3D近傍にガス管温度センサDHDを配置している。
【0034】
さらに、上記室内熱交換器3Aに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサDCAを配置し、室内熱交換器3Bに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサDCBを配置している。また、上記室内熱交換器3Cに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサDCCを配置し、室内熱交換器3Dに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサDCDを配置している。
【0035】
また、上記室外熱交換器4の近傍に外気温度を検出する外気温度センサDOAを配置している。
【0036】
上記圧縮機1と四路切換弁2と電動弁EVA,EVB,EVC,EVDと室外熱交換器4と四路切換弁2アキュムレータ5と制御装置10と吐出管温度センサDOと吐出圧力センサ6s外気温度センサDOAおよび図示しない室外ファンで室外機を構成している。また、上記室内熱交換器3A,3B,3C,3Dとガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDと室内熱交換器温度センサDCA,DCB,DCC,DCDおよび図示しない室内ファンで室内機を夫々構成している。
【0037】
上記制御装置10は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなり、ガス配管(連絡配管L11〜L14)内での冷媒の凝縮を判定する判定部10aと、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を制御する制御部10bとを有している。そして、上記制御装置10は、吐出管温度センサDOと吐出圧力センサ6とガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDと室内熱交換器温度センサDCA,DCB,DCC,DCDの検出信号に基づいて、圧縮機1と四路切換弁2および電動弁EVA,EVB,EVC,EVDなどを制御する。
【0038】
上記空気調和機の制御装置10の暖房運転起動時の動作を図2に示すフローチャートに従って以下に説明する。
【0039】
まず、暖房運転が起動すると、処理がスタートして、ステップS1において、タイマTOPをスタートする。
【0040】
次に、ステップS2に進み、外気温度センサDOAにより検出された外気温度が所定外気温度DOA1よりも低いと判定すると、ステップS3に進む一方、外気温度が所定外気温度DOA1以上であると判定すると、ステップS11に進む。
【0041】
次に、ステップS3で吐出管温度センサDOにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度DO1よりも低いと判定すると、ステップS4に進む一方、吐出管温度が所定吐出管温度DO1以上であると判定すると、ステップS11に進む。
【0042】
次に、ステップS4で(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)が所定値GSC1より大きいと判定すると、ステップS5に進む一方、(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)が所定値GSC1以下であると判定すると、ステップS11に進む。ここで、高圧相当飽和温度TCは、吐出圧力センサ6により検出された圧縮機1の吐出側に吐出圧力に基づいて算出される。また、ステップS4の判定は、室内機毎に行われ、1台でも条件を満たすと、ステップS5に進む。
【0043】
次に、ステップS5でタイマTOPのカウントが終了していないときは、ステップS6に進む一方、タイマTOPのカウントが終了しているときは、ステップS11に進む。
【0044】
次に、ステップS6で圧縮機1の停止時間が所定時間Tstopを越えるときは、判定部10aがガス配管内で冷媒が凝縮していると判定して、ステップS7に進む一方、圧縮機1の停止時間が所定時間Tstop以下のときは、ステップS11に進む。
【0045】
次に、ステップS7で配管凝縮検知時制御をオン状態とした後、ステップS8に進み、制御部10bにより配管凝縮検知時制御の処理を行う。
【0046】
そして、ステップS9で(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)が所定値GSC1より大きいと判定すると、ステップS10に進む一方、(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)が所定値GSC1以下であると判定すると、ステップS11に進む。
【0047】
次に、ステップS10でタイマTOPのカウントが終了していないときは、ステップS8に戻る一方、タイマTOPのカウントが終了しているときは、ステップS11に進む。
【0048】
また、ステップS11では、配管凝縮検知時制御をオフ状態にした後、ステップS12に進み、通常の膨張弁開度制御の処理を行う。
【0049】
上記ステップS8の配管凝縮検知時制御の処理は、配管凝縮量に相当する(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)に応じて、各電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を一定時間毎に補正する。ここで、(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)で表される配管凝縮量は、室内機毎に算出され、そのときの補正開度は、例えば、
補正開度=A1×(高圧相当飽和温度TC−ガス管温度)+B1
(ただし、A1,B1は定数)
により算出する。
【0050】
また、この配管凝縮検知時制御では、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を補正した後の絶対値は、運転部屋、停止部屋、室内機容量に基づいて算出された上限値を越えないように制限している。
【0051】
上記構成の空気調和機によれば、暖房運転起動時、外気温度センサDOAにより検出された外気温度が所定外気温度DOA1よりも低く、かつ、吐出管温度センサDOにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度DO1よりも低いとき、ガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度に基づいて、判定部10aがガス配管(連絡配管L11〜L14)内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部10bは、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。これにより、マルチ型の空気調和機において、外気が低温での暖房運転起動時に、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)毎に電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度制御を的確に行って、ガス配管(連絡配管L11〜L14)での液凝縮状態を解消または低減して、ガス配管での冷媒の溜まり込みを回避でき、暖房運転を正常に行うことができる。特に、この発明は、配管凝縮量が多くなる長尺配管の液凝縮に対して有効である。
【0052】
また、暖房運転起動時に、判定部10aが、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)のうち、高圧相当飽和温度とガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度との温度差が所定値GSC1よりも大きいガス配管(連絡配管L11〜L14)で冷媒が凝縮していると判定することによって、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管毎の配管凝縮量に応じた電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度制御を的確に行うことができる。
【0053】
なお、暖房運転起動時に、判定部10aが、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管のうち、室内熱交換器温度センサDCA,DCB,DCC,DCDにより検出された複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dの温度の最大値とガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度との温度差が所定値よりも大きいガス配管で冷媒が凝縮していると判定してもよい。この場合、圧力センサ6を用いて圧縮機1の吐出圧力を検出する必要がなく、圧力センサを削減することでコストを低減できる。
【0054】
また、上記制御部10bにより配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことによって、不必要に配管凝縮時制御を行うことなく通常暖房運転に移行することにより快適性を向上できる。
【0055】
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態の空気調和機の制御装置のフローチャートを示している。この第2実施形態の空気調和機は、制御装置の動作を除いて第1実施形態の空気調和機と同一の構成をしており、説明を省略して図1を援用する。
【0056】
以下、上記空気調和機の制御装置10の暖房運転起動時の動作を図3に示すフローチャートに従って第1実施形態の制御装置10の動作と異なる点について説明する。
【0057】
上記第1実施形態の図2に示すステップS4の代わりに、ステップS24で(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1より高いか否かを判定する。
【0058】
そして、ステップS24で(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1よりも高いと判定すると、ステップS5に進む一方、(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1以下と判定すると、ステップS11に進む。
【0059】
さらに、上記第1実施形態の図2に示すステップS8の代わりに、ステップS28で処理の異なる配管凝縮検知時制御の処理を制御部10bにより行う。
【0060】
さらに、上記第1実施形態の図2に示すステップS9の代わりに、ステップS29で(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1以下であるか否かを判定する。
【0061】
そして、ステップS24で(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1以下であると判定すると、ステップS11に進む一方、(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)が所定値Dgas1よりも高いと判定すると、ステップS28に戻る。
【0062】
上記ステップS8の配管凝縮検知時制御の処理は、配管凝縮量に相当する(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)に応じて、各電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を一定時間毎に補正する。ここで、(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)で表される配管凝縮量は、室内機毎に算出され、そのときの補正開度は、例えば、
補正開度=A2×(接続部屋最大ガス管温度−各室ガス管温度)+B2
(ただし、A2,B2は定数)
により算出する。
【0063】
また、この配管凝縮検知時制御では、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を補正した後の絶対値は、運転部屋、停止部屋、室内機容量に基づいて算出された上限値を越えないように制限している。
【0064】
上記構成の空気調和機によれば、暖房運転起動時、外気温度センサDOAにより検出された外気温度が所定外気温度DOA1よりも低く、かつ、吐出管温度センサDOにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度DO1よりも低いとき、ガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度に基づいて、判定部10aがガス配管(連絡配管L11〜L14)内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部10bは、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。これにより、マルチ型の空気調和機において、外気が低温での暖房運転起動時に、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)毎に電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度制御を的確に行って、ガス配管(連絡配管L11〜L14)での液凝縮状態を解消または低減して、ガス配管での冷媒の溜まり込みを回避でき、暖房運転を正常に行うことができる。
【0065】
また、暖房運転起動時に、判定部10aが、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)のうち、ガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度の最大値と、ガス管温度が最大値でない他のガス配管のガス管温度との温度差が所定値Dgas1よりも大きいガス配管(連絡配管L11〜L14)で冷媒が凝縮していると判定することによって、圧力センサ6を用いて圧縮機1の吐出圧力を検出する必要がなく、圧力センサを削減することでコストを低減できる。
【0066】
また、上記制御部10bにより配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことによって、不必要に配管凝縮時制御を行うことなく通常暖房運転に移行することにより快適性を向上できる。
【0067】
〔第3実施形態〕
図4はこの発明の第3実施形態の空気調和機の制御装置のフローチャートを示している。この第3実施形態の空気調和機は、制御装置の動作を除いて第1実施形態の空気調和機と同一の構成をしており、説明を省略して図1を援用する。
【0068】
以下、上記空気調和機の制御装置10の暖房運転起動時の動作を図3に示すフローチャートに従って第1実施形態の制御装置10の動作と異なる点について説明する。
【0069】
上記第1実施形態の図2に示すステップS4の代わりに、ステップS34でガス管温度が所定ガス管温度gasu1より高いか否かを判定する。
【0070】
そして、ステップS34でガス管温度が所定ガス管温度gasu1よりも高いと判定すると、ステップS5に進む一方、ガス管温度が所定ガス管温度gasu1以下と判定すると、ステップS11に進む。
【0071】
さらに、上記第1実施形態の図2に示すステップS8の代わりに、ステップS38で処理の異なる配管凝縮検知時制御の処理を制御部10bにより行う。
【0072】
さらに、上記第1実施形態の図2に示すステップS9の代わりに、ステップS39でガス管温度が所定ガス管温度gasu1以下であるか否かを判定する。
【0073】
そして、ステップS34でガス管温度が所定ガス管温度gasu1以下であると判定すると、ステップS11に進む一方、ガス管温度が所定ガス管温度gasu1よりも高いと判定すると、ステップS38に戻る。
【0074】
上記ステップS38の配管凝縮検知時制御の処理は、ガス管温度に応じて、各電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を一定時間毎に補正する。ここで、室内機毎に算出される補正開度は、例えば、
補正開度=A3×ガス管温度+B3
(ただし、A3,B3は定数)
により算出する。
【0075】
また、この配管凝縮検知時制御では、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を補正した後の絶対値は、運転部屋、停止部屋、室内機容量に基づいて算出された上限値を越えないように制限している。
【0076】
上記構成の空気調和機によれば、暖房運転起動時、外気温度センサDOAにより検出された外気温度が所定外気温度DOA1よりも低く、かつ、吐出管温度センサDOにより検出された吐出管温度が所定吐出管温度DO1よりも低いとき、ガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度に基づいて、判定部10aがガス配管(連絡配管L11〜L14)内で冷媒が凝縮していると判定すると、制御部10bは、電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う。これにより、マルチ型の空気調和機において、外気が低温での暖房運転起動時に、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)毎に電動弁EVA,EVB,EVC,EVDの開度制御を的確に行って、ガス配管(連絡配管L11〜L14)での液凝縮状態を解消または低減して、ガス配管での冷媒の溜まり込みを回避でき、暖房運転を正常に行うことができる。
【0077】
また、暖房運転起動時に、判定部10aが、複数の室内熱交換器3A,3B,3C,3Dに接続されたガス配管(連絡配管L11〜L14)のうち、ガス管温度センサDHA,DHB,DHC,DHDにより検出されたガス管温度が所定ガス管温度gasu1よりも低いガス配管で冷媒が凝縮していると判定することにより、簡単にガス配管(連絡配管L11〜L14)での液冷媒の滞留を判定することができる。
【0078】
また、上記制御部10bにより配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことによって、不必要に配管凝縮時制御を行うことなく通常暖房運転に移行することにより快適性を向上できる。
【0079】
上記第1〜第3実施形態では、ガス配管での冷媒の溜まり込みを回避することにより、圧縮機1の信頼性低下を防止できると共に、暖房運転の吹き出し温度の低下を抑えることができる。また、上記第1〜第3実施形態では、電動弁の開度を必要以上に開けないため、電動弁を開き過ぎたときに発生する冷媒通過音を抑制することができる。
【0080】
また、上記第1〜第3実施形態では、複数の室内機を備えたマルチ型の空気調和機について説明したが、室内機が1台の空気調和機についてこの発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の空気調和機の回路図である。
【図2】図2は上記空気調和機の制御装置のフローチャートである。
【図3】図3はこの発明の第2実施形態の空気調和機の制御装置のフローチャートである。
【図4】図4はこの発明の第3実施形態の空気調和機の制御装置のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1…圧縮機
2…四路切換弁
3A,3B,3C,3D…室内熱交換器
4…室外熱交換器
5…アキュムレータ
6…吐出圧力センサ
10…制御装置
10a…判定部
10b…制御部
EVA,EVB,EVC,EVD…電動弁
DHA,DHB,DHC,DHD…ガス管温度センサ
DCA,DCB,DCC,DCD…室内熱交換器温度センサ
DOA…外気温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(1)と室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)と電動弁(EVA,EVB,EVC,EVD)と室外熱交換器(4)が環状に接続された冷媒回路と、
外気温度を検出する外気温度センサ(DOA)と、
上記圧縮機(1)の吐出管温度を検出する吐出管温度センサ(DO)と、
上記圧縮機(1)と上記室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)とを接続するガス配管のガス管温度を検出するガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)と、
暖房運転起動時、上記外気温度センサ(DOA)により検出された上記外気温度が所定外気温度よりも低く、かつ、上記吐出管温度センサ(DO)により検出された上記吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度に基づいて、上記ガス配管内での冷媒の凝縮を判定する判定部(10a)と、
上記判定部(10a)が上記ガス配管内で冷媒が凝縮していると判定すると、上記電動弁(EVA,EVB,EVC,EVD)の開度を所定開度よりも開く配管凝縮時制御を行う制御部(10b)と
を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
上記室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)を夫々有する複数の室内機を備え、
上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)は、上記圧縮機(1)と上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)とを接続する上記ガス配管毎にガス管温度を検出すると共に、
上記判定部(10a)は、暖房運転起動時、上記外気温度センサ(DOA)により検出された上記外気温度が上記所定外気温度よりも低く、かつ、上記吐出管温度センサ(DO)により検出された上記吐出管温度が所定吐出管温度よりも低いとき、上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度に基づいて、上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)に接続された上記ガス配管毎に冷媒の凝縮を判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気調和機において、
上記圧縮機(1)の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ(6)を備え、
上記判定部(10a)は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)に接続された上記ガス配管のうち、上記吐出圧力センサ(6)により検出された上記圧縮機(1)の吐出圧力に基づく高圧相当飽和温度と、上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項2に記載の空気調和機において、
上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)の温度を検出する室内熱交換器温度センサ(DCA,DCB,DCC,DCD)を備え、
上記判定部(10a)は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)に接続された上記ガス配管のうち、上記室内熱交換器温度センサ(DCA,DCB,DCC,DCD)により検出された上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)の温度の最大値と上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項2に記載の空気調和機において、
上記判定部(10a)は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)に接続された上記ガス配管のうち、上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度の最大値と、上記ガス管温度が最大値でない他の上記ガス配管の上記ガス管温度との温度差が所定値よりも大きい上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項2に記載の空気調和機において、
上記判定部(10a)は、暖房運転起動時に、上記複数の室内熱交換器(3A,3B,3C,3D)に接続された上記ガス配管のうち、上記ガス管温度センサ(DHA,DHB,DHC,DHD)により検出された上記ガス管温度が所定ガス管温度よりも低い上記ガス配管で冷媒が凝縮していると判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の空気調和機において、
上記制御部(10b)は、上記配管凝縮時制御を行うとき、暖房運転起動時から所定時間経過後に上記配管凝縮時制御を停止して、通常の暖房運転を行うことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−168274(P2009−168274A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4333(P2008−4333)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】