説明

空気調和機

【課題】音情報を検知し、空調空間における使用者の活動状態をより正確に認識することで、操作性や快適性に配慮しながら省エネ運転を行う。
【解決手段】空調空間内の音を収音するマイクロフォン408を備える空気調和機であって、記マイクロフォン408で検知した音信号を増幅する増幅器と、増幅された音信号の中から特定の周波数帯域を抽出する帯域抽出部とを有する。そして、帯域抽出部を複数設け、それぞれ異なる周波数帯域を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、特に、空調空間内の音を検出する音センサを備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、室内空気を熱交換器に循環させて、加熱、冷却、除湿機能などにより調整し、調整された空調空気を室内に吹き出すことにより室内を空気調和する。近年、地球温暖化防止の観点から、空気調和機には更なる省エネ運転が求められている。また、昨今のセンサ技術の進歩を取り込み、種々のセンサを搭載したものが現れている。その一つとして、空気調和機に音センサを備え、操作性を改善して、快適性に配慮しながら省エネ運転する方法が種々提案されている。
【0003】
この種の音センサを備える機器の従来技術として、音センサで検出された信号に基づいて制御される機器として、特許文献1から特許文献3の機器が開示されている。
特許文献1(特開平11−239310号公報)には、テレビ受像機のチャンネル切替・音量調整・ステレオ切替・音声ミュート等の機能を離れた場所からリモートコントロールするリモートコントロール装置において、リモートコントロール装置に1個あるいは複数個のマイクロホン(音センサ)を有し、マイクロホンからの音を予めメモリに記憶された各種データと比較し、テレビ受像機の音量レベルを最適にする制御信号を出力するためのCPUを有するリモートコントロール装置が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開平6−19492号公報)には、入力された雑音を含む認識すべき音声の音声信号の特徴抽出を行う特徴抽出手段と、該音声信号の入力に応じて変化する入力レベルの雑音パラメータを基にして閾値を設定する閾値設定手段と、該閾値設定手段にて設定された閾値に基づいて認識すべき音声パターンの有効な音声区間を決定する入力音声区間決定手段と、認識すべき音声の有効な音声区間の音声パターンを作成する入力音声パターン作成手段と、標準音声パターンを記憶する第1標準音声パターン記憶手段と、上記閾値設定手段にて設定された閾値に基づいて、上記第1標準音声パターン記憶手段に記憶された標準音声パターンの音声区間を決定する標準音声区間決定手段と、該標準音声区間決定手段にて音声区間が決定された標準音声パターンのパターン作成を行う標準音声パターン作成手段と、上記入力音声パターン作成手段にて作成された認識すべき音声の音声パターンと上記標準音声パターン作成手段にて作成された標準音声パターンとを比較識別する識別手段と、を具備した音声認識装置が開示されている。
【0005】
特許文献3(特開2000−267690号公報)には、入力された音声の周波数を検知し、設定された検知音声周波数範囲内の周波数であるか否かを識別して、その識別結果を出力する音声周波数検知部と、入力された音声のエネルギレベルを検知し、設定された検知音声エネルギレベル閾値を超えているか否かの比較を行い、その比較結果を出力する入力信号レベル検知部と、前記音声周波数検知部の識別結果及び前記入力信号レベル検知部の比較結果に基づき、音声検知条件に適合する音声が入力されたか否かを判断し、その判断結果に応じて第一のステイタス信号を出力する音声入力判断部と、前記第一のステイタス信号の継続時間を測定し、設定された継続時間閾値を超えているか否かの比較を行い、その比較結果に応じて第二のステイタス信号を出力する音声継続時間測定部と、を備えた音声検知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−239310号公報
【特許文献2】特開平6−19492号公報
【特許文献3】特開2000−267690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、空気調和機には、焦電型赤外線センサをはじめ、各種の赤外線センサを備えることで、空調空間内に存在する使用者の活動状態を認識し、快適性の向上や省エネ運転を行うといった技術が提案されてきた。
しかし、周囲環境や人の動作によっては、赤外線センサのみでは十分に検出できない場合がある。例えば、節電のために不在を検知した場合に、運転を停止する空気調和機においては、着座してテレビ受像機を視聴し、一定時間動作しない場合に、不在と誤認識するといった問題が挙げられる。
そこで、より室内環境や使用者の動作状態を正確に認識するために、空調空間の音を認識することが非常に有意義となる。音を認識することで、前述の問題を解決することができ、さらには掃除機を掛けていることを認識し、空気清浄運転を開始することで、掃除機の排気で舞い散る塵埃を清浄するといったことも可能となり、より利便性や快適性を向上させることが可能となる。
【0008】
しかしながら、特許文献1で開示されたリモートコントロール装置は、音量レベルを検知し、メモリに記憶されたデータと比較し、テレビ受信機の音量レベルを環境条件に合わせて自動調整するものであり、周波数帯域を抽出し、音源を特定することに関しての記載はない。
また、特許文献2は、人の音声を認識する音声認識装置に関するものであり、入力された雑音を含む認識すべき音声の音声信号を、雑音レベルに応じて有効とする判定閾値を変えて判定を行う手段について記載しており、特定周波数帯域毎に分離された音信号の連続時間や断続時間、規則性、不規則性、検知される割合から音源を特定することに関しての記載はない。
また、特許文献3は、人の音声信号を簡易な構成で認識可能とする手段に関して記載しており、特定周波数帯域毎に分離された音信号の連続時間や断続時間、規則性、不規則性、検知される割合から音源を特定することに関しての記載はない。
【0009】
そこで、本発明は、音情報を検知し、空調空間における使用者の活動状態をより正確に認識することで、操作性や快適性に配慮しながら省エネ運転を行うことが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、請求項1に係る発明は、空調空間内の音を収音するマイクロフォンを備える空気調和機であって、前記マイクロフォンで検知した音信号を増幅する増幅器と、前記増幅された音信号の中から特定の周波数帯域を抽出する帯域抽出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、音情報を検知し、空調空間における使用者の活動状態をより正確に認識することで、操作性や快適性に配慮しながら省エネ運転を行うことが可能な空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る空気調和機の構成図である。
【図2】室内機の運転停止時の側面断面図である。
【図3】室内機の運転停止時の正面図である。
【図4】室内機の暖房運転時の側面断面図である。
【図5】室内機の冷房運転時の側面断面図である。
【図6】室内機の運転時の正面図である。
【図7】室内機の運転時の下面図である。
【図8】センサモジュールの斜視図である。
【図9】音センサの取り付け部で切断した斜視図である。
【図10】輻射センサの取り付け部で切断した斜視図である。
【図11】焦電型赤外線センサの取り付け部で切断した斜視図である。
【図12】前部上下風向板の詳細図である。
【図13】前部上下風向板を閉じた時の音センサ取付部の側面断面図である。
【図14】前部上下風向板を閉じた時のセンサ取付部の正面図である。
【図15】前部上下風向板を開けた時のセンサ取付部の正面図である。
【図16】フィルタ清掃機構を室内機の上面側から見た図である。
【図17】(a)はフィルタ清掃機構の斜視図であり、(b)は刷毛のみを表した斜視図である。
【図18】フィルタ清掃機構の動作説明図である。
【図19】制御部のブロック図である。
【図20】活動内容と活動量の関係を示す表である。
【図21】室内音の周波数分析例であり、(a)は空気調和機の音の周波数分析例、(b)は掃除機の音の周波数分析例である。
【図22】室内音の周波数分析例であり、(a)は肉声の周波数分析例、図22(b)はテレビジョンの音の周波数分析例である。
【図23】音源判定ブロック図である。
【図24】活動量判定部が実行する音源判定フローである。
【図25】周囲音による判定閾値の補正を説明する図である。
【図26】組み合せ活動量判定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0014】
≪空気調和機≫
まず、本実施形態に係る空気調和機1の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和機1の構成図である。
室内を空気調和する空気調和機1は、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機6と、空気調和機1を遠隔操作するリモコン5と、室内機2と室外機6とを繋ぐ接続配管8とで構成される。
【0015】
室外機6は、圧縮機51(図19参照)、室外送風機53(図19参照)、室外熱交換器(図示せず)等を備える。室外機6の圧縮機51と室外熱交換器は、接続配管8の2本の冷媒配管(図示せず)により、後述する室内機2の室内熱交換器33(図2参照)と接続され、冷媒を循環させることにより熱ポンプとして機能する。
【0016】
<室内機>
次に、本実施形態に係る空気調和機1を構成する室内機2について図2から図7を用いて説明する。図2は、室内機2の運転停止時の側面断面図である。図3は、室内機2の運転停止時の正面図である。図4は、室内機2の暖房運転時の側面断面図である。図5は、室内機2の冷房運転時の側面断面図である。図6は、室内機2の運転時の正面図である。図7は、室内機2の運転時の下面図である。
【0017】
図2に示すように、室内機2は、筐体ベース21の中央部に室内熱交換器33と、室内熱交換器33の下流側に室内熱交換器33の幅と略等しい長さの横流ファン方式の室内送風機52(図19参照)の室内送風ファン311と、室内熱交換器33で結露した凝縮水を受ける露受皿35とを備える。
また、室内機2の筐体ベース21には、フィルタ231,231'、上下風向板291,292、左右風向板295等の基本的な内部構造体が取り付けられる。これらを化粧枠23で覆い、化粧枠23の前面に前面パネル25を取り付けることにより、筐体ベース21、化粧枠23、前面パネル25からなる筐体20(図1参照)に内包され室内機2を構成する。
この化粧枠23には、室内空気を吸い込む空気吸込み口27と、温度・湿度が調和された空気を吹き出す空気吹出し口29とが上下に設けられている。
【0018】
空気吸込み口27は、室内機2の上部に設けられた上側空気吸込み部270と、室内機2の前面に設けられた前側空気吸込み部270'とで構成される。
ここで、前面パネル25に設けられた可動パネル251は、下端部に設けた回動軸を支点として駆動モータ(図示せず)により回動され、空気調和機1の運転時に前側空気吸込み部270'を開くように構成されている(図4,図5参照)。これによって、室内空気は、空気調和機1の運転時に前側空気吸込み部270'からも室内機2内に吸引される。
また、空気調和機1の運転停止時には、可動パネル251を回動し、前側空気吸込み部270'を閉じるように制御される(図2参照)。
フィルタ231,231'は、空気吸込み口27(上側空気吸込み部270、前側空気吸込み部270')から吸い込まれた室内空気中に含まれる塵埃を取り除くためのものであり、室内熱交換器33の吸込側を覆うように配置されている。
【0019】
空気調和機1の運転時において、図4および図5に示すように、室内送風ファン311が回転すると、室内空気が室内機2に設けられた空気吸込み口27から室内熱交換器33へ流れる。そして、室内熱交換器33にて温度調整、湿度調整された空調空気は、室内送風ファン311を通って室内送風ファン311の長さに略等しい幅を持つ吹出し風路290に流れる。その後、空調空気は、吹出し風路290途中に配した左右風向板295で左右方向を偏向され、加えて、空気吹出し口29に配した上下風向板291,292で上下方向を偏向されて室内に吹き出す。
【0020】
化粧枠23の下面に形成される空気吹出し口29は、前面パネル25と化粧枠23との分割部に隣接して配置され、室内機2の内部の吹出し風路290に連通し、上下風向板291,292、左右風向板295が配置されている。
2枚の上下風向板291,292(前部上下風向板291,後部上下風向板292)は、両端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5(図1参照)からの指示に応じて、駆動モータ(図示せず)により空気調和機1の運転時に所要の角度まで回動され、空気吹出し口29を開き、その状態に保持される(図4,図5参照)。
また、空気調和機1の運転停止時には、上下風向板291,292を回動し、空気吹出し口29を閉じるように制御される(図2参照)。なお、上下風向板291,292は、閉じた状態で、吹出し風路290をほぼ隠蔽して室内機2の底面に連続するように構成されている(図2,図3参照)。
そして、前部上下風向板291を閉じた状態において、前側空気吸込み部270'と、空気吹出し口29との間に形成される内部化粧面24を隠すように、前部上下風向板291を内部化粧面24の前方に配置してある。
【0021】
なお、図2に示すように、吹出し風路290の下流に補助風向板収納部290bが設けられており、運転停止時など、上下風向板291を閉じた時に補助風向板291dを収納している。
吹出し風路290の下流に吹出し風路上壁290aから連なって、補助風向板収納部290bを設けたことで、極弱い冷房または暖房運転を行う時に、前部上下風向板291をやや上向きにし、後部上下風向板292をほぼ閉じる姿勢にするなど適切に回動させ、室内送風機52(図19参照)の室内送風ファン311を適切な回転速度で運転して、極弱い風を流すことで、吹き出した空気を極弱い風として補助風向板収納部290bを通し、ふんわりと室内に拡散させ、微弱な冷房または暖房を行うこともできる。
更に、補助風向板収納部290bを利用して、吹き出した空気(極弱い風)をすぐさま、前側空気吸込み部270'から吸い込ませるショートサーキット運転を行うことで、室内熱交換器33の乾燥運転や室内機2内部の脱臭運転などの空気調和機1のメンテナンス動作を行わせることも可能となる。
また、空気調和機1を運転停止時に、図2に示すように、補助風向板291dやアーム291e(図12参照)が吹出し風路290の補助風向板収納部290bに収納されることにより、図3に示すように、空気調和機1を余分な凹凸の無いすっきりした意匠とすることができ、インテリアの雰囲気を乱すことが無い。
【0022】
左右風向板295は、下端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5(図1参照)からの指示に応じて、駆動モータ(図示せず)により所要の角度まで回動され、その状態に保持される。
このように、空気調和機1の室内機2は、リモコン5からの指示に応じて、上下風向板291,292、左右風向板295を所要の角度まで回動して、空調空気を空気吹出し口29から上下左右に偏向し所望の方向に吹き出す(図4、図5参照)。
なお、リモコン5から指示することにより、空気調和機1の運転中に上下風向板291,292、左右風向板295を周期的に揺動させ、室内の広範囲に周期的に空調空気を吹き出すことも可能である。
【0023】
図2に示すように、露受皿35は、室内熱交換器33の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器33に発生する凝縮水を受けるために設けられている。露受皿35にて集められた凝縮水は、接続配管8の内部に設けられたドレン配管37(図1参照)を通して室外に排出される。
【0024】
図6および図7に示すように、室内機2は、焦電型赤外線センサ17と、輻射センサ18と、音センサ19とを備えており、何れも、空気吹出し口29の上方の前部上下風向板291の奥の内部化粧面24(図4,図5参照)の背部に搭載されている。なお、本実施形態では、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19は、センサモジュール16(図8参照)に搭載され、センサモジュール16が空気吹出し口29の上方の前部上下風向板291の奥の内部化粧面24(図4,図5参照)の背部に搭載されている。なお、センサモジュール16ついての詳細は後述する。
【0025】
図3に示すように、前面パネル25の下方には、空気調和機1の運転状況を表示する表示部397が配置されている(図3参照)。なお、図6に示すように、前部上下風向板291を開いた状態においては、内部表示部22が露出する。なお、本実施形態では、内部表示部22は、センサモジュール16(図8参照)に搭載されている。なお、センサモジュール16ついての詳細は後述する。
また、後部上下風向板292の側方に、別体のリモコン5(図1参照)との赤外線信号を授受する送受信部396が配置されている。
【0026】
室内機2は、内部に空気調和機1を制御する制御部10(図19参照)を備え、この制御部10にマイコンが設けられている。このマイコンは、室温センサ11(図19参照)、湿度センサ12(図19参照)、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19等の各種のセンサからの信号を受けると共に、リモコン5(図1参照)との赤外線信号を送受信部396を介して授受する。このマイコンは、これらの信号に基づいて、室内送風機52(図19参照)、可動パネル251の駆動モータ(図示せず)、上下風向板291,292の駆動モータ(図示せず)、左右風向板295の駆動モータ(図示せず)等を制御すると共に、室外機6との通信を司り、室内機2を統括して制御する。
【0027】
<センサモジュール>
次に、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18、音センサ19および内部表示部22が配置されるセンサモジュール16について説明する。図8は、センサモジュール16の斜視図である。
図8に示すように、センサモジュール16は、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18、音センサ19および内部表示部22(表示窓22b)が設けられている。また、図2、図4および図5に示すように、センサモジュール16は、内部化粧面24の背部に配置されている。
焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18、音センサ19および内部表示部22を一つのケースにコンパクトに纏めて、コストの低減と機能のアップを図る。即ち、印刷配線を施した共通の基板(図示せず)に各センサ等を搭載し、電源の引き回しなどの配線を簡略化し、また、取扱いを容易にして、製造コストを低減する。加えて、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19を狭い範囲に纏めたので、各センサの検知領域がほぼ等しくなり、検知領域の状況を、性質の違ったセンサでほぼ同時に、多面的に検出して分析することが可能となり、検知領域の状況をより正確に把握することができる。これにより、空気調和機1の省エネ運転、快適運転、自動運転の精度を向上させることができる。
【0028】
<音センサ>
音センサ19は、室内機2の設置された室内(空調空間)の音を収音する。
図7に示すように、音センサ19は、室内機2の左右方向において、空気吹出し口29の内側に配置され、好ましくは空気吹出し口29のほぼ中心部に配置される。
また、図4および図5に示すように、音センサ19は、室内機2の上下方向において、前側空気吸込み部270'と空気吹出し口29との間に配置され、好ましくは吹出し風路上壁290aの最下端290cより下流から前側空気吸込み部270'にかけて配置され、更に好ましくは補助風向板収納部290bから前側空気吸込み部270'にかけての内部化粧面24の背部に配置される。
【0029】
図9は、音センサ19の取り付け部で切断した斜視図である。
このように配置した音センサ19に対向する内部化粧面24に連通孔24bを設け、室内の音を効率よく音センサ19に伝える。このため、音センサ19は、内部化粧面24に隠され、室内から見えることはない。室内から見えるのは内部化粧面24に開けられた小さな連通孔24bだけになり、室内の雰囲気を乱すことはない。
【0030】
ここで、音センサ19には室内の音の他に、空気調和機1(室内機2)自身の運転音が収音される。空気調和機1(室内機2)自身の運転音は、室内の状況を音で把握しようとする時にはノイズとして作用する。このため、できるだけ音センサ19に運転音が収音されないようにする必要がある。ここで、空気調和機1(室内機2)自身の運転音は、室内送風ファン311による気流音が大半であり、室内送風ファン311、吸込み気流、吹出し気流からできるだけ離すことでその影響を小さくできる。
【0031】
本実施形態では、音センサ19に到達する空気調和機1(室内機2)自身の運転音をできるだけ小さくするために室内送風ファン311からできるだけ離し、吹出し気流の乱れの影響を小さくするため、流速の遅くなる吹出し風路上壁290aの最下端290cより下流の位置に、音センサ19に室内の音を伝える連通孔24bを孔設されている。
また、吹出し気流から離れて、かつ、在室者の居る領域の音を収音しやすい音センサ19から俯角30度〜40度の範囲に連通孔24bが来るように、補助風向板収納部290bから前側空気吸込み部270'にかけての内部化粧面24に、音センサ19に室内の音を伝える連通孔24bを孔設されている(図4,図5参照)。
【0032】
更に、室内機2の左右方向において、音センサ19を空気吹出し口29のほぼ中心部に配置することで(図7参照)、室内機2を運転する時の、開いた可動パネル251の両端から吸込まれる吸込み気流から最も遠い位置に連通孔24bが位置し、吸込み気流の影響を小さくすることができる。
【0033】
また、フィルタ231,231'に埃が溜まる等により、気流の通風抵抗が大きくなると、室内送風ファン311のサージング現象が発生しやすくなる。この場合、サージング現象は室内送風ファン311の翼端で起きることが多く、音センサ19を空気吹出し口29のほぼ中心部に配置することで(図7参照)、サージング現象による音センサ19への影響を小さくすることができる。
【0034】
また、室内機2(図1参照)を室内の壁が交わる隅部に据え付けた場合、隣の壁で反射する音の影響で音センサ19の検出精度が劣化することが考えられるが、隣の壁から音センサ19までの距離を、少なくとも室内機2の空気吹出し口29の長辺寸法の約半分以上の距離は確保できるので、音センサ19の検出精度の劣化を抑制することができ、室内のコーナー部に室内機2を透据え付けた時の反響などによる悪影響を少なくできる。
【0035】
また、連通孔24bは内部化粧面24に設けられた凹部24aの底面に孔設されている。凹部24aは底面から前面の開口端に向かって前広がりに広くなっている。このため、広い開口端に到達した室内の音は、狭い底面に向かって進む間に、増幅され、連通孔24bに到達し、音センサ19に収音される。これにより、室内の小さな音も捕らえることができ収音性が向上する。
【0036】
<輻射センサ>
図10は、輻射センサの取り付け部で切断した斜視図である。
赤外線センサの一種である輻射センサ18は、室内の床面、または、壁面の温度を検出する。
輻射センサ18は、音センサ19と同様に、室内機2の左右方向において、空気吹出し口29の内側に配置され、好ましくは空気吹出し口29のほぼ中心部に配置される(図7参照)。また、輻射センサ18は、音センサ19と同様に、室内機2の上下方向において、前側空気吸込み部270'と空気吹出し口29との間に配置され、好ましくは吹出し風路上壁290aの最下端290cより下流から前側空気吸込み部270'にかけて配置され、更に好ましくは補助風向板収納部290bから前側空気吸込み部270'にかけての内部化粧面24の背部に配置される(図4,図5参照)。
【0037】
図10に示すように、内部化粧面24の輻射センサ18に対向する部分には、音センサ19と同様に、前広がりの凹部24aを設け、その底部に小さな輻射開口24dを輻射センサ18の形状に応じて孔設し、室内の床面、または、壁面の温度を検出する。
【0038】
<焦電型赤外線センサ>
図11は、焦電型赤外線センサの取り付け部で切断した斜視図である。
赤外線センサの一種である焦電型赤外線センサ17は、在室者の熱量から在室者の活動量を検出する。即ち、焦電型赤外線センサ17は、誘電率の大きな結晶体や樹脂が温度変化によって電荷を生じる焦電効果を利用したものであり、人から発する赤外線を非接触で検知可能としている。この焦電型赤外線センサ17の前にフレネルレンズ17aを設置し、赤外線を断続させて焦電型赤外線センサ17に入力することで、人の動きを検出することが可能である。
焦電型赤外線センサ17は、音センサ19と同様に、室内機2の左右方向において、空気吹出し口29の内側に配置され、好ましくは空気吹出し口29のほぼ中心部に配置される(図7参照)。また、焦電型赤外線センサ17は、音センサ19と同様に、室内機2の上下方向において、前側空気吸込み部270'と空気吹出し口29との間に配置され、好ましくは吹出し風路上壁290aの最下端290cより下流から前側空気吸込み部270'にかけて配置され、更に好ましくは補助風向板収納部290bから前側空気吸込み部270'にかけての内部化粧面24の背部に配置される(図4,図5参照)。
【0039】
図11に示すように、焦電型赤外線センサ17にはフレネルレンズ17aが必須であり、サイズが大きくなる。このため、センサモジュール16は、焦電型赤外線センサ17の前に赤外線透過材料で作った焦電カバー17bが取り付けられている。また、内部化粧面24の該当部分に焦電開口24cを設けて、内部化粧面24にセンサモジュール16を取り付けた際、室内側から見て一体となるように、内部化粧面24および焦電カバー17bの形状を形成し、また、色彩も合わせて形成することにより、室内から目立たなくしている。
【0040】
<内部表示部>
内部表示部22は、空気調和機1の運転状況を表示する機能を有している。
図9および図10に示すように、内部表示部22は、表示窓22bで覆われたセンサモジュール16の表示開口22a内に設けられた表示灯397aを点灯させることにより、運転状況を表示する。
【0041】
<前部上下風向板>
次に、前部上下風向板291の構成について説明する。図12は、前部上下風向板291の詳細図である。
本実施形態の前部上下風向板291は、透明な素材で形成される透明部材291aと、この透明部材291aの投影面積内に収まる大きさを備えた不透明部材291bとを含んで構成されている。そして、前部上下風向板291の先端部側に透明部材291aを大きく張り出して形成されている。
【0042】
即ち、本実施形態の不透明部材291bは、奥行き寸法d3を備えた薄い板状のベース部291cの両側と中央に、奥行き方向の一方の端部側に傾斜しながら伸びるアーム291eを形成し、そのアーム291eの端部に前部上下風向板回転軸291fを形成している。また、各アーム291eの間にはベース部291cと並べて配置される補助風向板291dが設けられている。
【0043】
一方、透明部材291aは、奥行き寸法d1を備えた透明な薄い部材である。この透明部材291aは、アーム291e側の端部をほぼ揃えて、他の端部側へ奥行き寸法d5だけ不透明部材291bの端部より張り出して形成される。そして、透明部材291aは、不透明部材291bと接触する裏面の範囲に裏面印刷を施している。
【0044】
つまり、透明部材291aは、裏面側を奥行き方向に対して2分割して、回転軸側となるアーム291e側に裏面印刷を施し、前部上下風向板回転軸291fに対して先端側となる他端側を透明に形成している。これにより、意匠的に不要な不透明部材291bを見えなくする一方、前部上下風向板291の先端部を透明にすることができるので、意匠性を向上しつつ、前部上下風向板291の動作に伴う圧迫感を軽減することができる。例えば、透明部材291aの不透明処理部(不透明部材291bと接触する部分)が、前部上下風向板291を支持する軸部(前部上下風向板回転軸291f)等を見えないように覆うことができる。また、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18、音センサ19等の付加機能部をみえなくすることができる。
【0045】
図13は、前部上下風向板291を閉じた時の音センサ19の取付部の側面断面図である。図13に示すように、空気調和機1の停止状態において、前側空気吸込み部270'の前部を覆う可動パネル251の下端部に隣接して前部上下風向板291を収納することができる。したがって、この前部上下風向板291の収納状態では、前部上下風向板291の先端部が透明に形成されているために、この透明部を介して、内部化粧面24の一部を利用者に視認させることができる。本実施形態では、運転状態でも運転停止状態でも利用者から視認できる内部化粧面24に運転状態を表示する内部表示部22を帯状に形成している。そして、運転時に動作させる焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19は、前部上下風向板291で隠蔽される内部化粧面24の裏側に配置している。
【0046】
図14は前部上下風向板291を閉じた時の正面図であり、図15は前部上下風向板291を開けた時の正面図である。
図14に示すように、前部上下風向板291を閉じた時において、前部上下風向板291の透明部材291aの上部(図12参照)、表示窓22b(図9参照)、表示開口22a(図9参照)を通してセンサモジュール16(図9参照)の表示灯397a(図9参照)の点灯/消灯を視認できるので、表示部397の表示機能が維持され、使用者に適切な情報を伝えることができる。なお、前部上下風向板291を閉じた時とは、空気調和機1の運転停止時に限られず、例えば、暖房運転の開始直後において室内熱交換器33の温度が低く室内送風ファン311の運転を見合わせて室内熱交換器33の余熱運転を行っている場合もある。この場合には、表示部397に余熱運転である旨が表示される(例えば、点灯する表示灯397aの位置や、色によって使用者が識別可能なように表示する)。なお、前部上下風向板291を閉じた時には、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19の開口部(焦電開口24c、輻射開口24d、連通孔24b)が室内から見えなくなり、すっきりした外観になる。
【0047】
図15に示すように、前部上下風向板291を開いた時において、内部表示部22の表示窓22bが露出され、センサモジュール16(図9参照)の表示灯397a(図9参照)の点灯/消灯を視認することができる。また、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19の開口部(焦電開口24c、輻射開口24d、連通孔24b)と室内の居住空間を遮っていた前部上下風向板291を開いて、各センサの機能を発揮させることができる。
【0048】
このように、本実施形態に係る空気調和機1は、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19の開口部(焦電開口24c、輻射開口24d、連通孔24b)を室内から見えにくくする遮蔽部材(前部上下風向板291の不透明部材291b)を備えている。
これにより、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19を使用しない時(空気調和機1を停止した時)に、図3に示すように、遮蔽部材(不透明部材291b)で焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18および音センサ19を隠して、余分な凹凸の無いすっきりした意匠とすることができ、インテリアの雰囲気を乱すことが無い。
また、前部上下風向板291の一部を遮蔽部材(不透明部材291b)として用いるため、専用の遮蔽部材、および遮蔽部材駆動部が不要となる。
【0049】
また、内部表示部22は透明部材291aで覆われるが、運転停止時には前部上下風向板291が筐体20に馴染むように垂直に近い角度まで立ち上がるため、壁掛型の空気調和機1のように下から見上げたときには、センサモジュール16の表示灯397aが点灯していない限り、透明部材291aの表面での反射が強く影響し、その背部の内部表示部22が見えなくなり、すっきりした意匠とすることができ、インテリアの雰囲気を乱すことが無い。
【0050】
また、前部上下風向板291を閉じた状態でも、センサモジュール16の表示灯397aが点灯すれば、運転表示を確認できるので、暖房の運転開始時など冷風を防止するため、室内熱交換器33の温度が上がるまでは前部上下風向板291を閉じたまま、室内送風ファン311も運転しない予熱運転中のようなときにも運転状態を正しく確認できる。
【0051】
<フィルタ清掃機構>
次に、フィルタ231,231'の清掃機構について図16、図17を用いて説明する。図16はフィルタ清掃機構230を室内機2の上面側から見た図であり、図17は(a)はフィルタ清掃機構230の斜視図であり、(b)は刷毛のみを表した斜視図である。
【0052】
フィルタ清掃機構230は、フィルタ231,231'上を刷毛267,267'で掃く掃引機構232と掃き寄せられた塵埃を収納する集塵部280,280'から構成される。
【0053】
室内熱交換器33(図2参照)の上流の上側空気吸込み部270(図2参照)と前側空気吸込み部270'(図2参照)に面した直行する二面に、平面状のフィルタ231,231'が設けられている。フィルタ231,231'は案内枠234に係着され、案内枠234は、上側後部と前側下部にレール235,235'を、フィルタ231,231'の交叉部に推進軸243を備えている。
推進軸243は多角形断面を有し、案内枠234に設けた軸受245に軸支され、片側の軸受245を貫通した一端に取付けた歯車を介して、案内枠234に固定した移動用モータ242に連結される。推進軸243にはスクリュウ244、キャリッジ261が緩装され、スクリュウ244は案内枠234に設けられた、推進軸243と平行ラック237に噛合している。
キャリッジ261とレール235,235'との間には刷毛支持枠262,262'が各々フィルタ231,231'を跨いで懸架され、刷毛支持枠262,262'にはフィルタ231,231'を掃いて掃除する刷毛267,267'が取付けられている。
【0054】
移動用モータ242を回転させることで、推進軸243、スクリュウ244が回転し、ラック237に沿って、スクリュウ244が移動用モータ242の回転方向に応じて左右方向に動き、キャリッジ261を移動させる。これにより、刷毛267,267'がフィルタ231,231'に摺接しながら掃くように移動し、フィルタ231,231'上の塵埃を刷毛267,267'に掃き取り、案内枠234の左部の集塵部280,280'に移動させる。
【0055】
集塵部280,280'は刷毛267,267'に付着した塵埃を除去して収納する。また、刷毛267,267'を綺麗にして、次の清掃に備えるための刷毛267,267'の清掃部でもある。
【0056】
次に、フィルタ清掃機構230の構成及び動作について図18を用いて説明する。図18はフィルタ清掃機構230の動作説明図である。
フィルタ231の右方には清掃動作が行われていない時に刷毛267が待機する待機部がある。
【0057】
清掃動作する時には、掃引機構232(図17参照)を動作して、待機部で待機していた刷毛267(図18のA)がフィルタ231を掃引するように右から左へと移動させる(図18のC参照)。ここで、刷毛267の毛先は待機部では開放状態であるのに対し(図18のA参照)、待機部からフィルタ231の上へと移動する際に、傾斜を通ってフィルタ231面に徐々に毛先を曲げ変形させながら乗り上げ、フィルタ231としっかり摺接する。なお、Bについては後で説明する。
【0058】
刷毛267は、集塵部280の方向に移動しながらフィルタ231を掃引し、塵埃236を掃き取る(図18のC参照)。フィルタ231の掃引を終了した刷毛267は、掃き取った塵埃236と共に、図18のD部を通って、集塵部280に至り、塵埃236を除去され、除去された塵埃236は集塵部280内に収納され、刷毛267は綺麗になる。
そして、刷毛267は、刷毛267の毛先がフィルタ231と摺接しないようにして左の集塵部280から右の待機部へと移動させる(図18のB参照)。
なお、フィルタ231を刷毛267で掃引し除去された塵埃を集塵部280に収納する動作について説明したが、フィルタ231'を刷毛267'で掃引し除去された塵埃を集塵部280'に収納する場合も同様であり説明を省略する。
【0059】
このようなフィルタ231,231'のフィルタ清掃機構230を搭載することで、例えば、空気調和機1の累計運転時間に応じてフィルタ清掃機構230を自動運転しフィルタ231,231'を清掃して、フィルタ231,231'に埃がたまり過ぎないようにすることができ、フィルタ231,231'に埃が溜まりすぎた時に起きる室内送風ファン311のサージングの現象を未然に防止することができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る空気調和機1は、フィルタ清掃機構230を搭載することで、室内送風ファン311のサージングの現象を防止し、室内(空調空間内)の音を検知する音センサ19が室内の音を正しく検出することができるので、在室者の活動を室内の音によって推定して運転制御を行う用途に好適な構成となる。
【0061】
≪空気調和機の制御≫
次に、本実施形態に係る空気調和機1の制御の概要について図19を用いて説明する。図19は制御部10のブロック図である。
空気調和機1の室内機2は、内部に制御部10を備え、各種センサからの情報や、リモコン5からの指示に応じて、室内機2や室外機6を制御する。室内900からの情報は室温センサ11、湿度センサ12、リモコン周囲温度センサ13、リモコン位置センサ14、焦電型赤外線センサ17、輻射センサ18、音センサ19などにより制御部10の内部のマイコン(図示せず)に取込まれ、各種の演算結果に沿って、空気調和機1を制御する。
【0062】
室温センサ11は、前側空気吸込み部270'(図2参照)の近くに設けられており、空気吸込み口27から室内機2へ吸い込まれる室内空気の温度(以下、「吸込み空気温度」と称す)を検出する。
湿度センサ12は、前側空気吸込み部270'(図2参照)の近くに設けられており、空気吸込み口27から室内機2へ吸い込まれる室内空気の湿度を検出する。
リモコン周囲温度センサ13は、リモコン5(図1参照)に設けられており、検出した温度は送受信部396(図1参照)を介して制御部10に入力される。
リモコン位置センサ14は、送受信部396(図1参照)であり、赤外線信号の到達方向からリモコン5(図1参照)の位置を検出する。
【0063】
制御部10は、活動量判定部41と、温度シフト値設定部42と、目標温度設定部44と、空調能力制御部45とを備えている。
【0064】
活動量判定部41は、焦電型赤外線センサ17および音センサ19の情報から在室者の活動量を後述する図20の右側に例示したように多段階に区分して判定し、温度シフト値設定部42に伝える機能を有する。
【0065】
温度シフト値設定部42は、活動量判定部41からの活動量情報の他、上述の各種センサ(室温センサ11、湿度センサ12、リモコン周囲温度センサ13、リモコン位置センサ14、輻射センサ18)や制御部10の内部に備えられたカレンダ設定機能を有するカレンダ情報15からの情報に基いて温度シフト値を演算し、目標温度設定部44に伝える。
【0066】
室温設定部43は、リモコン5(図1参照)に設けられており、在室者によって設定された温度(設定室温)を送受信部396(図1参照)を介して制御部10の目標温度設定部44に入力する。
【0067】
目標温度設定部44は、温度シフト値設定部42からの温度シフト値情報と室温設定部43からの設定室温情報に基き目標温度を演算し、空調能力制御部45に伝える。
空調能力制御部45は、目標温度設定部44からの目標温度や室温センサ11からの吸込み空気温度情報などから圧縮機回転速度設定部46、室内送風機回転速度設定部47、室外送風機回転速度設定部48で圧縮機回転速度、室内送風機回転速度、室外送風機回転速度を設定し、圧縮機51、室内送風機52、室外送風機53を制御する。
【0068】
一般に、空気調和機1における温度調節は空気調和機1の吹出し空気が室内を循環して戻って来て、空気調和機1に吸い込まれる吸込み空気の温度(吸込み空気温度)を室温センサ11で検出し、吸込み空気温度が目標温度設定部44で設定した目標温度になるように、圧縮機51、室内送風機52、室外送風機53の回転速度を変えて、冷房、暖房能力を変化させ、空気調和機1の吹出し空気の温度を変えることで行われる。
【0069】
この時、空気調和機1の暖房能力、冷房能力の制御は、室温センサ11で検出した吸込み空気温度と、リモコン5(室温設定部43)で設定された設定室温に応じて制御されるが、室内の高所に据え付けられた空気調和機1(室内機2)の吸込み空気温度は在室者が居る室内の床から顔の高さ位までの居住空間の温度より高目になることが知られており、この温度差を補正するため、設定室温に温度シフト値設定部42で演算した所定の値(温度シフト値)を上乗せした上乗せ設定温度を目標温度にして、吸込み空気温度が、目標温度に近づくように空気調和機1を制御している。
なお、所定の値としては、空気調和機1の構造や暖房、冷房と言った運転モードにより相違するが−1〜5度程度の値が用いられている。
【0070】
≪在室者の活動量判定方法≫
次に、活動量判定部41が判定する、焦電型赤外線センサ17と音センサ19とを組み合わせて在室者の活動量を細分化して判定する方法について説明する。図20は活動内容と活動量の関係を示す表である。
【0071】
人の温熱感覚は温度、湿度、気流、輻射、着衣量および活動量の影響を受けることが知られている。空気調和機1は室内の温度(および湿度)を制御して快適性を保持するようにしているが在室者の行動(活動量)が変わると他の条件が同じでもその人の温熱感覚は変わり、快適性を維持するためには、温度(および湿度)等をその人の行動に応じて変化させることが要求される。これに応えるため、本実施形態に係る空気調和機1は、焦電型赤外線センサ17と音センサ19を組み合わせて、在室者の活動状態を細分化して捉え、在室者の快適性に配慮しながら、きめ細かに制御し、省エネ運転を行うものである。
【0072】
従来から、焦電型赤外線センサ17を使用して在室者の活動量を検出し、活動量が大きい時は室温を低めに調節し、活動量が小さい時には室温を高めに調節することは実用化されてきた。しかし、焦電型赤外線センサ17のみを使用して在室者の活動量を多段階に分けるのは、検出誤差やセンサに向かう方向の動きに対してセンサの感度が鈍くなることなどから、焦電型赤外線センサの数を増加させることをしないと困難であり、空気調和機1のコストアップになる。
【0073】
また、焦電型赤外線センサ17で人検知を行った場合は、在室者に動きが生じるとセンサの出力が変化し在室者が動いたことを検知可能であり、在室者に動きが無い場合センサの出力が変化しない為在室者に動きが無いことを検知可能であるが、在室者の動きの有無だけでは、在室者がどの程度の活動量であるかは細分化して判定することができない。
【0074】
また、在室者の活動量を細分化して判定するために、焦電型赤外線センサを複数個設け、在室者が大きく動いた時は、複数の焦電型赤外線センサが反応し、在室者の動きが小さい時は、一つのセンサのみが反応することで、在室者の活動量の大、小を判別するという方法がある。
しかし、この方法では、焦電型赤外線センサが複数個必要であり、コストアップの要因となる。また、複数の焦電型赤外線センサがあっても在室者の動きがセンサの検知可能な動きよりも小さい場合や、同じ様な動作の場合は、活動量の判定ができないという問題があった。
【0075】
人の活動量を表す単位としてMET(Metabolic Equivalent)が用いられ、活動の内容とそのおおよその数値は図20に示したようになる。
図20の左側に、比較例として、焦電型赤外線センサ17だけを使用した時の活動量の区分を例として記載してある。このように、焦電型赤外線センサ17を1個だけ使用した場合、活動量の区分はせいぜい大、中、小の3区分でこれ以上細分化しようとしても、前述のような理由で精度が乏しくなっていた。
【0076】
図20の右側には、本実施形態の焦電型赤外線センサ17と音センサ19とを組み合わせて使用して活動量を区分した場合の例を記載してある。本実施形態によれば、活動量を細分して区分できるので、在室者の活動量に適した空調で快適性に配慮し、省エネ運転することが可能となる。
【0077】
<音センサおよび焦電型赤外線センサを用いた活動量の判定>
在室者が何かの動きをすると、一般にはそれに伴った音が発生する。これを、空気調和機1(室内機2)が据え付けられた室内の種々の情景を予測しておくことで焦電型赤外線センサ17の検出結果と音センサ19の検出結果から、在室者の活動量をより正確に把握することが可能となる。
【0078】
空気調和機1を運転している室内で発生する音には種々のものが有るが、空気調和機自身の音、在室者同士が会話している音、在室者がデスクワークや裁縫、軽い片付けなどで動くことに伴なう音、在室者が掃除機、調理器、理美容器などの機器を操作することで発生する音、在室者がテレビジョン、ラジオ、オーディオ機器を楽しんでいる時の音声、音楽、効果音などや時計、鑑賞魚水槽のポンプの音など無人の場合でもしている音などが有る。
【0079】
これらの音は、「在室者の活動に伴なう音」と「在室者の活動に関係の無い音」とに分けることができる。「在室者の活動に関係の無い音」には、空気調和機自身の音、テレビジョン、ラジオ、オーディオ機器の音声、音楽、効果音、時計、鑑賞魚水槽のポンプの音などが有る。「在室者の活動に伴なう音」には、会話、デスクワーク、裁縫、軽い片付け、掃除機、調理器、理美容器などの音が有る。
【0080】
「在室者の活動に関係の無い音」として取上げられた音の中で、時計、鑑賞魚水槽のポンプの音など無人の場合でもしている音は空気調和機1を据え付けた部屋の環境音とも言うべき音で、これに空気調和機自身の運転音と加えたものを他の音と区別する必要がある。
同じく、「在室者の活動に関係の無い音」として取上げられたテレビジョン、ラジオ、オーディオ機器の音声、音楽、効果音も空気調和機自身の音とは別の在室者の活動に関係の無い音として他の音と区別する必要がある。以下において、テレビジョン等を放送受信機器群と称する。
【0081】
また、「在室者の活動に伴なう音」のなかの掃除機などを使う場合は、在室者も活発に動いているので、適正な空気調和をする必要上から他の音と区別する必要がある。以下において、掃除機などのように、使用時に在室者も活発に動いている機器を重家事用機器群と称する。
【0082】
同じく、「在室者の活動に伴なう音」のなかの会話は、音センサ19を使用して在室者の活動量をきめ細かく区分する要となるものである。会話の声が小さければ静かに休養している状態と判断でき、会話の声が大きく、途切れなく続くようになれば、その人の活動量も増えると言う一般的な傾向を活用できるので、他の音と区別して把握する必要が有る。
同じく、「在室者の活動に伴なう音」のなかの調理機器、理美容機器、デスクワーク用機器などを使う場合は、在室者も軽く動きながらの使用しているので、重家事用機器群を使う場合や、静かな声で会話しながら休養している時とは区別する必要がある。以下において、調理機器、理美容機器、デスクワーク用機器などのように、使用時に在室者も軽く動いている機器を軽家事用機器群と称する。
【0083】
以上のことから、判別すべき音源の種類は「空気調和機自身」、テレビジョン等の「放送受信機器群」、掃除機などの「重家事用機器群」、調理機器などの「軽家事用機器群」および在室者同士の「会話」となる。これらに判別できない音源は中間的な動きと音を有しているので「軽家事用機器群」に区分することとする。
【0084】
これらの音源の種類と図19の活動量(METの値)との関係を見ると、テレビ・音楽鑑賞…1.0MET、屋内の掃除…3.0METs、調理…2.0METs、会話・電話については図19に記載はないが1.0〜1.8METsとなり、空気調和機自身は在室者の活動量に変化を与えない。
このように、音源の種類による在室者の活動量の大小は、
重家事用機器群≧軽家事用機器群≧会話≧放送受信機器群≧空気調和機自身
の順になる。
【0085】
一般家庭の室内での在室者の行動様式は千差万別で、これらを逐一予測することは困難である。そこで、在室者の行動とその時の室内の音を次の2パターンに分ける。
第1に、在室者が活動していて、活動に伴う音が発生している場合は、活動することにより在室者の体内発熱の変化が大きくなる。以下、この活動に伴う音を発する音源の種類を「温感変動大音源」と称する。
第2に、在室者の活動はあるが、活動に伴う音がほとんど発生していない場合は、体内発熱は変化が小さい。以下、この活動に伴わない音を発する音源の種類を「温感変動小音源」と称する。
【0086】
室内の音が温感変動小音源によるものである場合は、焦電型赤外線センサ17の検出結果を複数の段階に区分し、段階に応じて在室者の活動量を判定して空気調和機1を制御する。
また、室内の音が温感変動大音源によるものである場合は、音の量が大きければ、活動が活発になっていると判断し、温感変動小音源の場合に、焦電型赤外線センサ17の検出結果から判定した在室者の活動量より、大きい活動量であると判定して空気調和機1を制御する。
【0087】
このように、音センサ19の検出結果に基づいて、室内の音源を温感変動小音源の集団と温感変動大音源の集団に分けることで、在室者の活動量をより多くの区分に細分化でき、よりきめ細かな制御で、快適性に考慮しながら節電の効果を挙げることができる。
なお、温感変動小音源としては、上述のように、空気調和機自身やテレビジョン、ラジオ等の放送受信機器群の集団が考えられ、在室者の動きを伴う温感変動大音源としては、在室者自身が相互に交わす会話の他、家事を支援する掃除機、健康促進機器やジューサ、ミキサなどの調理器具、ドライヤ、シェーバ等の理容機器などの集団が考えられる。
この場合、空気調和機自身や会話は単独の音源であるが、説明の便宜上、空気調和機自身や会話も群と表現することとする。
【0088】
これらの温感変動大音源の集団は総じて内部に電動機を擁し、使用者の力、速さ等を支援する。これらの中でも、使用者の力を必要とする掃除機、健康促進機器などの重家事用機器群は、使用者自体も大きな活動を強いられ、持続時間も比較的長い。
重家事用機器群以外の、使用者に大きな活動を強いない機器群と前述した音源の群以外のものを便宜上、軽家事用機器群と言うこととする。
【0089】
このように、空気調和機自身と放送受信機器群を温感変動小音源の集団とし、会話、重家事用機器群や軽家事用機器群を温感変動大音源の集団とすることで、音センサ19の検出結果に基づいて、室内の音源の群を判定し、判定した音源の群に応じて、音源を温感変動小音源の集団と温感変動大音源の集団に分けることができ、在室者の活動量をより多くの区分に細分化し、よりきめ細かな制御で、快適性に考慮しながら節電の効果を挙げることができる。
【0090】
このことから、音センサ19で収音した音信号を複数の周波数帯に区分して、各周波数帯域における音の大きさ、連続性、不規則性、規則性、断続の間隔などを適切な指標で評価することで、比較的安価に、簡単な方法で音源の種類を推定できることが判った。
図21および図22を用いて簡単に説明する。図21および図22は室内音の周波数分析例であり、図21(a)は空気調和機の音の周波数分析例、図21(b)は掃除機の音の周波数分析例、図22(a)は肉声の周波数分析例、図22(b)はテレビジョンの音の周波数分析例である。
在室者の活動に伴なう音の例として、図21(b)に示す掃除機の音(重家事用機器群)は、低い周波数の音から高い周波数の音まで満遍なく含んでいることが判る。
在室者の活動に伴なう音の例として、図22(a)に示す人の声(会話)は、高い周波数の音が少なく、1kHz付近の低い周波数の音が他の部分より優れて多いことが判る。
また、掃除機の音(重家事用機器群)は連続して聞こえ、人の声(会話)は不規則な断続があることも判った。
【0091】
在室者の活動に関係の無い音の例として、図21(a)に示す空気調和機自身の音は、低い周波数の音も高い周波数の音も総じて小さいことが判る。
在室者の活動に関係の無い音の例として、図22(b)に示すテレビジョンの音(放送受信機器群)は、人の声の帯域(1kHzから4kHz)に相当する低い周波数の音のほかに、高い周波数の音も含み、4kHz以上の高い周波数の音が人の声(図22(a)参照)より格別に多いことが判る。
【0092】
ここで、各音源群の特徴を比較し、判別を試みる。在室者の活動に伴う音が無い状態では、無人の室内でも発生している音(例えば、柱時計の音、観賞魚水槽の循環ポンプの音、空気調和機自身の音等)が検知されていて、室内の音の大きさは最小となる。
この場合、低い周波数の音も、高い周波数の音も低いレベルで連続して検出され、しかも、規則的な結果となる。
これにより、室内の音を音センサ19で検出した結果が所定のレベル未満で、規則的に連続する場合は音源の群を「空気調和機自身」と判定する。
【0093】
続いて、在室者が掃除機を使用して室内を清掃等している場合、室内の音は会話の声もテレビジョンの音も聞こえず掃除機だけの音が聞こえるようになる。
この場合、低い周波数の音も、高い周波数の音も高いレベルで連続して検出され、しかも、規則的でレベルの変化がほとんど無い結果となる。
これにより、室内の音を音センサ19で検出した結果が所定のレベル以上で、ほぼ同じレベルで規則的に連続する場合は音源の群を「重家事用機器群」と判定する。
【0094】
次に、在室者がテレビジョンやラジオ等を視聴している場合や在室者同士で会話をしている場合、人の会話には不規則性が有り、また、低い周波数の音が多く、更に、長い中断があるのが一般的である。このことから、上述の「空気調和機自身」や「重家事用機器群」の音と区別することが可能となる。
ここで、音源がテレビジョンやラジオ等の「放送受信機器群」のものか、在室者同士の現実の「会話」であるかの判別は、低い周波数帯域に注目しても判別は付きにくい。しかし、放送では現実の会話と違って長い間、沈黙が続くことは少なく、また、途中に入るコマーシャルや効果音楽などで現実の「会話」には登場しない高い周波数の音が入る。
これらの特徴を組み合わせることにより、「放送受信機器群」と「会話」を判別することができる。
【0095】
以上の判別手順で「空気調和機自身」、「重家事用機器群」、「放送受信機器群」または「会話」と判別されなかった音は「軽家事用機器群」と判別する。
【0096】
<音センサの構成>
このように、音センサ19で検知した信号は、周波数帯域ごとに分離して抽出され、判定に用いられる。音センサ19の構成について図23を用いて説明する。図23は音源判定ブロック図である。
【0097】
室内の音信号は、音センサ19であるマイクロフォン408で捉えられ、電気信号へと変換される。
検知された音信号は、微小な信号であるため、増幅する必要があるが、空気調和機1のように、大きな電力を必要とし、さらにインバータ回路やスイッチング電源回路などの高周波で駆動する回路を持つ製品においては、電源ノイズやスイッチングノイズも比較的大きいため、音信号にノイズが重畳しやすく、そのまま増幅するとノイズを重畳したまま増幅してしまうといった問題が生じる。
そのため、本実施形態においては、マイクロフォン408の実装位置を増幅器と同一の基板上に実装し、かつ、マイクロフォン408の直近に商用電源の周波数より高い、電源ノイズ除去用のハイパスフィルタ(HPF)400(例えば、商用電源の周波数50kHzの2倍周期の100kHz以上を通過)と、音源を判定する際には必要としない高域の周波数帯を遮断する、高周波除去用のローパスフィルタ(LPF)401(例えば、15kHz以上の周波数を遮断)を設け、ノイズを抑制する構成としている。
また、LPF401はオペアンプで構成され、マイクロフォン408で検知された音信号を増幅器としても機能する。
【0098】
HPF400およびLPF401を通過した音信号は、オペアンプによる微分回路または積分回路で構成された複数のフィルタ回路に入力される。なお、オペアンプを使用することで、音信号をフィルタリングすると同時に増幅することが可能となるため、部品数を少なくすることができ、安価かつ省スペース化が図れる。また、LPF401を含め、複数のオペアンプにて段階的に増幅する構成としているため、ノイズ性能の向上やオフセット電圧の分散が図れる。
【0099】
なお、本実施形態では、オペアンプによる微分回路または積分回路でフィルタ回路と増幅器を兼ねることにより安価に構成することとしているが、フィルタ回路と増幅器を別々にもうけ、増幅器をトランジスタと能動素子を組み合わせてディスクリートする構成や、増幅器に汎用のオーディオアンプを使用してもよい。また、フィルタ回路に関してもデジタルフィルタや、抵抗とコンデンサによるRC積分器、インダクタンスとコンデンサと抵抗を組み合わせたRCLパッシブフィルタおよび汎用のデジタルフィルタIC、更には、演算処理部のA/Dコンバータに取り込み、フーリエ変換を行うなど、コストや周辺部品等の事情に合わせ、フィルタ回路を構成すればよく、増幅器とフィルタ回路の手段を限定するものでは無い。
【0100】
本実施形態においては、音信号を2つの周波数帯域に分ける構成としている。
一つは、微分回路402および積分回路403から構成され、人の声の周波数帯に近い、低域を通すバンドパスフィルタ(BPF)404(例えば、1kHz〜4kHzを通過)である。
もう一つは、微分回路405から構成され、掃除機などの機械音といった人の声では出せない高域を通すハイパスフィルタ(HPF)406(例えば5kHz以上を通過)としている。
【0101】
そして、これら各フィルタ回路(BPF404、HPF406)における出力は、後段に備えたコンパレータ407にて、デジタル信号に変換される。このように、マイクロフォン408、フィルタ回路(HPF400、LPF401、BPF404、HPF406)、増幅器(オペアンプ)、コンパレータ407までを同一基板上に実装し、コンパレータ407で変換された2系統のデジタル信号を制御部10に出力することにより、ノイズを抑制する構成としている。
また、オペアンプで増幅する際に、オペアンプの電源ラインにノイズが発生すると、増幅率が変化し、音信号にノイズとして現れる。このため、同一基板上に電源ノイズを抑制するための電解コンデンサ(図示せず)を設けて、フィルタ回路のオペアンプに供給される電源を安定化させるとよい。
なお、コンパレータ407にてデジタル信号に変換される閾値を、空気調和機1のみの運転音では超えないように設定することで、空気調和機自身の運転音で誤動作するといったことを防止でき、外部音源からの音信号が入力された時のみ制御部10へ入力される構成としている。
【0102】
なお、本実施形態では、前述の通り、音信号を2つの周波数帯域に分ける構成としているが、検知する対象や検知する対象の数、基板実装スペース、コストに合わせて、周波数帯域の変更や複数のフィルタ回路を設けてもよく、その構成を限定するものでは無い。
【0103】
また、本実施形態において、検知された音信号に合わせ、表示灯397(図1参照)を点灯させる構成としてもよい。これにより、使用者に対し、視覚的にマイクロフォン408が音信号を検知していることを認識させることができる。また、万が一、マイクロフォン408やフィルタ回路等の周辺回路が故障した際に、修理作業者が容易に故障を確認することができるといった利点もある。また、前記マイクロフォン408や増幅回路等の故障により、制御部10(活動量判定部41)に取り込む音信号が非常に小さい、または、少ない場合に、空気調和機1に備えたブザー(図示しない)を吹鳴させ、そのブザー音を検知した結果により、マイクロフォン408や増幅器等の周辺回路の異常を検知することが可能となり、修理作業者が容易に確認することができる。
【0104】
<音源判定方法>
次に、図24を用いて、活動量判定部41が実行する音源判定方法について説明する。
ステップS101において、活動量判定部41は、音サンプリングを実行する。
具体的には、音センサ19で、室内の音を低い周波数帯域の音(例えば、1kHz〜4kHz)と、高い周波数帯域の音(例えば、5kHz以上)とに分離して抽出する。
そして、周波数帯域毎に、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングを行い、低い周波数帯域での音の検出回数の割合(BP)と、高い周波数帯域での音の検出回数の割合(HP)とを算出し、1回のサンプリング結果とする。このサンプリングを複数回(m回)行い、サンプリング結果BP〜BP、HP〜HPを得る。
【0105】
なお、以下の判定において、音のレベルは、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の大きさで判断する。
また、音の連続性は、全てのサンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)が音源の群毎に定めた所定の閾値の片側にあるか否かで判断する。
また、音の規則性は、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の上限、下限とサンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の平均値との差が、音源の群毎に定めた判定幅以内であるか否かで判断する。
また、音の不規則性は、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)が音源の群毎に定めた所定の判定閾値以上である回数が、音源の群毎に定めた所定の下限回数閾値以上、且つ、上限回数閾値以下で、更に、判定閾値以上である回の連続が途中で中断するか否かとで判断する。
また、音の長い中断が有るか否かは、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)が音源の群毎に定めた所定の閾値以上である回数が音源の群毎に定めた所定の上限回数閾値以下で且つ、閾値以上である回の連続が途中で中断するか否かと、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の上限・下限と、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の平均値との差が音源の群毎に定めた所定の判定幅閾値を超えるか否かと、で判断する。
【0106】
また、以下の説明において、低い周波数帯域でのサンプリング結果(BP〜BP)の平均値をBPmeanとし、低い周波数帯域でのサンプリング結果(BP〜BP)の最大値をBPmaxとし、低い周波数帯域でのサンプリング結果(BP〜BP)の最小値をBPminとし、高い周波数帯域でのサンプリング結果(HP〜HP)の平均値をHPmeanとし、低い周波数帯域でのサンプリング結果(HP〜HP)の最大値をHPmaxとし、低い周波数帯域でのサンプリング結果(HP〜HP)の最小値をHPminとする。
【0107】
ステップS102において、活動量判定部41は、音源が「空気調和機自身」であるか否かを判定する。具体的には、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の大きさが、全てのサンプリング期間において、空気調和機判定閾値(BP、HP)未満である場合には、音源の種類を「空気調和機自身」であると判定する。
ステップS102において前記判定要件を満たした場合には、ステップS103に進み、活動量判定部41は、音源が「空気調和機自身」として判定する。一方、前記判定要件を満たしていない場合には、ステップS104に進む。
【0108】
ステップS104において、活動量判定部41は、音源が「重家事用機器群」であるか否かを判定する。具体的には、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)の大きさが、全てのサンプリング期間において、家事用機器群判定閾値(BP、HP)以上であり、サンプリング結果の平均値(BPmean、HPmean)とサンプリング結果の最小値(BPmin、HPmin)との差が重家事用機器群判定幅(BW、HW)以内であり、サンプリング結果の最大値(BPmax、HPmax)とサンプリング結果の平均値(BPmean、HPmean)との差が重家事用機器群判定幅(BW、HW)以内である場合は、音源の種類を「重家事用機器群」であると判定する。
ステップS104において前記判定要件を満たした場合には、ステップS105に進み、活動量判定部41は、音源が「重家事用機器群」として判定する。一方、前記判定要件を満たしていない場合には、ステップS106に進む。
【0109】
ステップS106において、活動量判定部41は、音源が「放送受信機器群」であるか否かを判定する。具体的には、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)が放送受信機器判定閾値(BP、HP)以上である回数が放送受信機器群の下限回数閾値(BL、HL)以上でかつ上限回数閾値(BH、HH)以下で、更に、放送受信機器判定閾値(BP、HP)以上である回の連続が途中で中断している場合は、音源の種類を「放送受信機器群」であると判定する。
ステップS106おいて前記判定要件を満たした場合には、ステップS107に進み、活動量判定部41は、音源が「放送受信機器群」として判定する。一方、前記判定要件を満たしていない場合には、ステップS108に進む。
【0110】
ステップS108において、活動量判定部41は、音源が「会話」であるか否かを判定する。具体的には、サンプリング結果(BP〜BP、HP〜HP)が会話判定閾値(BP、HP)以上である回数が会話の下限回数閾値(BL、HL)以上でかつ上限回数閾値(BH、HH)以下で、更に、会話判定閾値(BP、HP)以上である回の連続が途中で中断している場合は、音源の種類を「会話」であると判定する。
ステップS108おいて前記判定要件を満たした場合には、ステップS109に進み、活動量判定部41は、音源が「会話」として判定する。
【0111】
一方、前記判定要件を満たしていない場合には、ステップS110に進み、活動量判定部41は、音源が「軽家事用機器群」として判定する。なお、会話の声が大きくなり、また、話し声が途切れなく続くと、会話と判定されなくなるが、このような場合、会話している人の活動量も増えていて、調理機器、理美容機器、デスクワーク用機器などの軽家事用機器群を使う場合と同程度の活動量となるので、空気調和機1の制御上は軽家事用機器群の使用と見なせるためである。
【0112】
次に、サンプリング結果から音源を判定する上で重要な役割を果たす判定閾値(S102,S104,S106,S108で用いた各閾値)の補正について図25を用いて説明する。図25は周囲音による判定閾値の補正を説明する図である。
室内には、在室者が静かにしている時でも時計、鑑賞魚水槽のポンプの音など色々な音が有り、音センサ19によって空気調和機1を制御しようとする時には、在室者が静かにしている時の音と空気調和機自身の音を合わせた音の影響を考慮する必要が有る。このため、本実施形態の空気調和機1では、運転開始の時に、在室者が静かにしている時の音を図24に示すフローに従って判定する。
【0113】
空気調和機1を据え付けて最初の運転の時に、今回の運転が初めての運転であれば、静粛な状態で運転または停止して音センサ19で基準環境音を測定する基準環境音測定期間(例えば、静粛な状態で運転開始して1分間)に測定し、空気調和機1の記憶装置(図示せず)に時間帯毎に記憶されている当初値を基準値に代入する。
【0114】
このときのサンプリング結果の平均を初期値と名付けて、空気調和機自身に定めてある基準値(同様な環境で運転したときのサンプリング結果の平均値に略一致する)と比較する。
比較した結果、基準値が初期値未満の場合で、音源の判定結果が空気調和機自身の場合(ステップS103参照)は、室内を静かにしていても、空気調和機自身の音以外の室内の環境音が結果に影響していると考え、各音源の判定閾値を補正する。
【0115】
音源の判定結果が空気調和機自身以外の音源群の場合は、空気調和機自身や環境音とは言えないような有意な音がしていると判断し、各音源の判定閾値の補正は行わない。初期値と基準値を比較した結果、基準値が初期値以上の場合は、現在の判定閾値で、十分各音源を識別して判定できるので、各音源の判定閾値の補正は行わない。
【0116】
このように、本実施形態の空気調和機1は、音センサ19の検出結果に基づいて、音源の種類を判定する音源の種類の判定閾値を設け、空気調和機1(室内機2)を据え付けた室内で、静粛な状態で運転または停止して音センサ19で基準環境音を測定する基準環境音測定期間での音センサ19の検出結果(初期値)に応じて、判定閾値を補正する閾値補正部(図示せず)を有し、活動量判定部41は閾値補正部(図示せず)で補正された判定閾値に応じて音源の種類を判定し、判定された音源の種類と焦電型赤外線センサ17の検出結果に応じて在室者の活動量を判定する。
【0117】
次に、焦電型赤外線センサ17の働きについて説明する。
焦電型赤外線センサ17はフレネルレンズ17aと共に、室内からの赤外線の量の変化を捕らえる。室内で活発な動きがあるときは、その反応量は大きく、静かな動きの時には反応量は小さい。これを利用し、焦電型赤外線センサ17からの信号は人の動きを抽出するバンドパスフィルタ(図示せず)を通して増幅され、コンパレータ(図示せず)でデジタル化されて制御部10(活動量判定部41)に伝達される。
【0118】
活動量判定部41は、この焦電型赤外線センサ17からのデジタル信号を所定のサンプリング周期(例えば、10ms)でサンプリング区間(例えば、60秒間)の間、サンプリングし、サンプリングしたデータ中の反応検出データの割合を演算し、反応検出割合Pxを得る。
この反応検出割合Pxが、室内の動きの量が小さいかどうかを判別する静判定閾値Pb未満の場合は、反応の検出区分を「反応:静」に区分する。
次に、反応検出割合Pxが室内の動きの量が大きいかどうかを判別する動判定閾値Pv以上の場合は、反応の検出区分を「反応:強」に区分する。
反応検出割合Pxが静判定閾値Pb以上で、動判定閾値Pv未満の場合は、反応の検出区分を「反応:中」に区分する。
【0119】
次に、焦電型赤外線センサ17と音センサ19との組み合せで、活動量を細分化して判定する方法について図26を用いて説明する。図26は組み合せ活動量判定を説明する図である。
【0120】
活動量判定部41は、焦電型赤外線センサ17の検出信号に基づく反応の検出区分(静,強,中)と、音センサ19の検出信号に基づく音源判定(空気調和機自身,重家事用機器群,放送受信機器群,会話,軽家事用機器群)の結果を組み合わせて、図26に示すように、在室者の活動量を細分化する。
なお、図26においては、空気調和機自身、放送受信機器群(TV)の場合を温感変動小音源集団とし、重家事用機器群(掃除機)、会話、軽家事用機器群(その他)の場合を温感変動大音源集団としている。
このように、焦電型赤外線センサ17の検出信号に基づく反応の検出区分が同じでも、音源が在室者の活動を伴う温感変動大音源集団の場合、音源が在室者の活動に関係のない温感変動小音源集団の場合よりも活動量を大きく判定する。
これにより、活動量の区分は従来の3段階から5〜6段階になるので、従来より格段にきめ細かい制御とすることができる。
【0121】
図26の例では、焦電型赤外線センサ17による反応の検出区分が「反応:強」で音源の種類が重家事用機器群、会話及び軽家事用機器群からなる温感変動大音源集団の場合の活動量を最大としている。また、最小の活動量を焦電型赤外線センサ17による反応の検出区分が「反応:静」で音源が空気調和機自身及び放送受信機器群からなる温感変動小音源集団の場合の活動量を最小としている。
また、活動量について、焦電型赤外線センサ17による反応の検出区分が同じ場合、
温感変動小音源集団の活動量が温感変動大音源集団の活動量以上となるように活動量が定められる。また、音センサ19による音源集団が同じ場合、「反応:静」<「反応:中」<「反応:強」の関係となるように活動量が定められている。
【0122】
空気調和機1の冷房運転時において、在室者の活動量が小さい場合、在室者が静かにしていて、代謝が不活発な状態なので、体内発熱が少なくなり、在室者の温熱感覚も寒い側に変化する。このため、室温を若干上げても、快適性は許容の範囲に留まり、室温を若干上げた分、省エネ運転とすることができる。
また、空気調和機1の暖房運転時において、在室者の活動量が大きい場合は、在室者が活発に動いていて、代謝が活発な状態なので、体内発熱が多くなり、在室者の温熱感覚も暑い側に変化するので、室温を若干下げても、快適性は許容の範囲に留まり、室温を若干下げた分、省エネ運転とすることができる。
【0123】
活動量判定部41が判定した活動量は温度シフト値設定部42に送信され、温度シフト値設定部42は活動量判定部41が判定した活動量に基づいて温度シフト値を設定する。そして、目標温度設定部44で、温度シフト値に基づいて目標温度が設定される。そして、空調能力制御部45で吸い込み空気温度(室温センサ11で検出される温度)が目標温度に近づくように、圧縮機51、室内送風機52、室外送風機53が制御される。
このように、本実施形態では、焦電型赤外線センサ17に加えて音センサ19を用いて活動量をより詳細に判定し、判定された活動量に基づいて目標温度が設定されているため、より在室者の状態(活動状態)にあわせて、快適性を考慮しつつ、節電をはかる空気調和機1を提供することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 空気調和機
2 室内機
10 制御部
16 センサモジュール
17 焦電型赤外線センサ
17a フレネルレンズ
17b 焦電カバー
18 輻射センサ
19 音センサ
397 表示部
400 HPF(帯域抽出部,フィルタ回路,ハイパスフィルタ回路)
401 LPF(帯域抽出部,フィルタ回路)
402 微分回路(帯域抽出部,フィルタ回路)
403 積分回路(帯域抽出部,フィルタ回路)
404 BPF(帯域抽出部,フィルタ回路)
405 微分回路(帯域抽出部,フィルタ回路)
406 HPF(帯域抽出部,フィルタ回路)
407 コンパレータ(アナログ−デジタル変換回路)
408 マイクロフォン
41 活動量判定部(判定部)
42 温度シフト値設定部
43 室温設定部
44 目標温度設定部
45 空調能力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空間内の音を収音するマイクロフォンを備える空気調和機であって、
前記マイクロフォンで検知した音信号を増幅する増幅器と、
前記増幅された音信号の中から特定の周波数帯域を抽出する帯域抽出部と、を有する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記帯域抽出部を複数設け、それぞれ異なる周波数帯域を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記帯域抽出部は、
前記音信号の中から特定の周波数帯域を抽出するフィルタ回路を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、オペアンプによる微分回路または積分回路により構成し、前記帯域抽出部と前記増幅器とを兼ねる
ことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記フィルタ回路は、直列に接続された複数の微分回路または積分回路により構成され、複数段階に分けて増幅する
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記帯域抽出部によって抽出する特定の周波数帯域は、
1kHzから4kHzの範囲内に前記抽出する特定の周波数帯域が設定される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記フィルタ回路において、
増幅と高周波ノイズの抑制を兼ねた積分回路を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記マイクロフォンの出力の後段に、商用電源の周波数を遮断し、それ以上の周波数を通過させるハイパスフィルタ回路を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項9】
特定の周波数帯域に分離された音信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記アナログ−デジタル変換回路において、
入力された前記音信号を前記デジタル信号に変換して出力するか否かを判定する変換閾値を前記空気調和機単体の運転音では超えない値に設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記帯域抽出部が抽出した特定の周波数帯域に分離された音信号の出力の連続時間、断続時間、規則性、不規則性、検知される割合を、予め記憶された閾値と比較して、音源を判定する判定部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記マイクロフォンと前記帯域抽出部を同一基板上に実装する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項13】
前記マイクロフォンと前記増幅器を同一基板上に実装する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項14】
前記マイクロフォンと前記増幅器の電源ラインに電源ノイズ抑制用の電解コンデンサ有する
ことを特徴とする請求項13に記載の空気調和機。
【請求項15】
前記帯域抽出部が前記音信号の中から特定の周波数帯域を抽出すると、
前記抽出された信号に応じて、その旨を表示する表示部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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