説明

空気調和機

【課題】機器使用により重量が変化する部品によりバランスが崩れても、機器本体の傾きを少なくし持ち運ぶ際の揺れを少なくして、水漏れ等を防止する空気調和機を提供する。
【解決手段】機器を使用しても重量の変化しない送風機30と、機器の使用に伴って重量が変化する水タンク20と、送風機30と水タンク20とを内部に有する筐体10と、筐体10の上面中央に渡して固定され、筐体10を持ち上げる取っ手部13とを備え、取っ手部13を渡した方向を筐体10の前後方向とし、前後方向と直交する方向を左右方向とし、筐体10の中心線14から前後方向の一方にずれた位置に水タンク20を配置し、中心線14を挟んで水タンク20と反対側に送風機30等を配置し、中心線14を挟んで左右方向には水タンク20の重量が変化しても左右の重量配分が変化しないよう配置すると共に、送風機30等の部品により左右の重量配分が均等となるよう配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の使用に伴って重量が変化する可変重量部品によって機器の重量バランスが変化する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機には、空気の吹出口が筐体の上面に配置されたものがあり、その吹出口から吹出された空気の風向きを変える案内部がその吹出口の上部に配置された空気清浄機が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の他の空気調和機としては、加湿器の中央を挟んで一方側に蒸気を発生させる蒸発槽を設け、他方側に吸水タンクを設けて、取っ手の回動部の中心位置を吸水タンクの重心側に変位させた加湿器が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65572号公報
【特許文献2】特開2000−46381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1にあっては、筐体の上面に空気の吹出口や案内部が設けられているため、機器本体を片手で持ち運ぶための取っ手を設けるスペースが確保し難いという問題があった。特許文献1では、空気清浄機の本体ケースの背面側に把手となる凹部(取っ手部)が形成され、その凹部に手を入れることで、空気清浄機本体を片手で持ち運べるようにしている。しかし、把手となる凹部(取っ手部)は、空気清浄機本体を中心位置で支えることができない(凹部が浅い)ため、持ち運ぶ際に空気清浄機本体が傾いてしまい、水漏れ等が生じるという問題があった。また、筐体の前後あるいは左右の両側の側面に把手となる凹部(取っ手部)を設けた場合は、両方の手で持たなければならないため、可搬性が悪いという問題があった。
【0006】
さらに、上記の特許文献2にあっては、回動可能な取っ手部が設けられているため、その分だけ加湿器が大型化するという問題があった。また、回動可能な取っ手部が設けられた加湿器は、持ち運ぶ際に筐体本体が揺れて、蒸発槽や吸水タンクの水漏れが発生し易くなるという問題があった。特に、蒸発槽や吸水タンクは、機器の使用に伴って重量が変化する(水の量が減少する)ため、機器全体の重量バランスが崩れ易く、機器の傾きが大きくなるに従って、水漏れがより一層発生し易くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機器の使用に伴って重量が変化する部品により重量バランスが変化しても、機器本体の傾きを少なくして、機器本体を持ち運ぶ際の揺れを少なくし、水漏れ等を防止することのできる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の空気調和機は、機器を使用しても重量の変化しない複数の不変重量部品と、前記機器の使用に伴って重量が変化する可変重量部品と、前記不変重量部品と前記可変重量部品とを内部に有する筐体と、前記筐体の上面中央に渡して固定され、前記筐体を持ち上げる取っ手部と、を備え、前記取っ手部を渡した方向を前記筐体の前後方向とし、該前後方向と直交する方向を前記筐体の左右方向とし、前記筐体の中心線から前記前後方向の一方にずれた位置に前記可変重量部品が最大重量の時の重心を配置し、前記中心線を挟んで前記可変重量部品と反対側に前記不変重量部品の重心を少なくとも一つ配置し、前記中心線を挟んで前記左右方向には前記可変重量部品の重量が変化しても左右の重量配分が変化しないように前記可変重量部品を配置すると共に、前記不変重量部品を左右均等に配置することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の空気調和機において、前記可変重量部品が最小重量の時と最大重量の時に、前記筐体の中心線を挟んで前記前後方向の反対側に配置された前記不変重量部品との重量バランスにより、前記筐体の前記前後方向に傾く傾き角の絶対値が当該筐体の傾き角の限度値以下となるように、前記可変重量部品と前記不変重量部品とを前記筐体内に配置することが好ましい。
【0010】
また、本発明の空気調和機において、前記筐体は、空気の吸込口と吹出口とを有し、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路が内部に設けられ、前記不変重量部品は、前記空気通路の空気を循環させる送風機を少なくとも備え、前記可変重量部品は、前記送風機により循環させる空気の除湿あるいは加湿処理の少なくとも一方を行う際に増減する水を貯留する水タンクで構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の空気調和機において、前記取っ手部は、前記筐体を持ち上げる際に、前記筐体の前記中心線付近で握れるように握り可能範囲を制限する制限手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器の使用に伴って重量が変化する部品により重量バランスが変化しても、機器本体の傾きを少なくし、持ち運ぶ際の機器本体の揺れを少なくして、水漏れ等を防止することができる空気調和機が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施例にかかる空気調和機の外観斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3−1】図3−1は、図2の水タンクが空の時に空気調和機の取っ手部を持って持ち上げた時の重心位置と傾き具合を示す模式図である。
【図3−2】図3−2は、図2の水タンクが満水時に空気調和機の取っ手部を持って持ち上げた時の重心位置と傾き具合を示す模式図である。
【図4】図4は、図1の矢印X方向からの矢指図である。
【図5】図5は、図1のW−W線断面図である。
【図6】図6は、図1の矢印Z方向からの矢指図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明による構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【実施例】
【0015】
まず、空気調和機の外観の構成について説明する。図1は、本発明の実施例にかかる空気調和機の外観斜視図であり、図2は、図1のX−X線断面図であり、図3−1は、図2の水タンクが空の時に空気調和機の取っ手部を持って持ち上げた時の重心位置と傾き具合を示す模式図であり、図3−2は、図2の水タンクが満水時に空気調和機の取っ手部を持って持ち上げた時の重心位置と傾き具合を示す模式図であり、図4は、図1の矢印X方向からの矢指図であり、図5は、図1のW−W線断面図であり、図6は、図1の矢印Z方向からの矢指図である。
【0016】
本実施例にかかる空気調和機100は、気化フィルタを用いて空気を加湿する加湿機能と、触媒フィルタを用いて空気の脱臭処理を行う脱臭機能の両方を備えている。この空気調和機100は、図1に示すように、合成樹脂パネルで成形された直方体状の筐体10を有している。筐体10の上面18の中央には、筐体10を持ち上げる取っ手部13が渡されて固定されている。以下の実施例では、取っ手部13を渡す方向を筐体10の前(図中のF:front)後(図中のB:back)方向と定義し、その前後方向と直交する方向を筐体10の左(図中のL:left)右(図中のR:Right)方向と定義する。
【0017】
取っ手部13は、図1に示すように、筐体10を片手で持ち上げる際に、筐体10の前後左右方向の中央の中心線を通る支点13c付近で握れるように、握り可能範囲を制限する制限手段としての制限部13a,13bが形成されている。また、取っ手部13の下方には、送風路を兼ねた溝部12が形成され、その溝部12の片側の上面18を送風板16で覆うことにより、送風路が形成されている。
【0018】
本実施例にかかる空気調和機100の特徴は、図2に示すように、筐体10の内部に配置される部品を、機器の使用中に重量が変化する可変重量部品と、重量が変化しない不変重量部品とに分け、上記定義した筐体10の前後方向と左右方向の重量バランスを考慮しながら筐体10内に配置する点にある。
【0019】
可変重量部品としては、ここでは加湿器の水タンク20がこれに該当する。水タンク20は、後述する気化フィルタを用いて空気を加湿する際に水を気化フィルタに供給するものであるため、加湿運転中に水が供給されると水タンク20の水の残量が減少し、重量が減少する。可変重量部品としての水タンク20は、加湿器の水タンクに限定するものではなく、機器の使用中に重量が変化するあらゆる部品に適用することができる。例えば、除湿機能を備えた空気調和機の場合は、除湿運転によって除湿された水をタンク内に溜めるため、機器の使用に伴ってタンク重量が少しずつ増大するものもある。
【0020】
また、不変重量部品としては、ファンモータやファンで構成されている送風機30などがある。送風機30は、空気調和機100の不変重量部品の中でも重量のある部品の一つである。しかし、水タンク20以外の殆どの部品がこの不変重量部品に該当するため、以下で不変重量部品と称する場合は、送風機30を含む複数の部品を意味している。
【0021】
本実施例にかかる空気調和機100は、図2に示すように、筐体10の中心線14から前(F)方向に一定距離ずれた位置に「g2」ベクトルで示す重量の水タンク20を配置している。また、中心線14を挟んで水タンク20と反対側には、「g1」ベクトルで示す重量の送風機30を配置している。図2には、これら2つの部品の重量を示す「g1」ベクトルと「g2」ベクトルを図示したが、実際には部品毎に重量ベクトル、すなわち重心があり、それらの合成ベクトルによって空気調和機100の重心Gの位置と、ベクトルの大きさと、ベクトルの方向が決まる(図3−1、図3−2参照)。
【0022】
このように、本実施例の空気調和機100は、その上面18の中央に渡した取っ手部13の方向を前後方向とし、筐体10の中心線14から前後方向の一方にずれた位置に可変重量部品である水タンク20の重心が来るように水タンク20を配置し、その中心線14を挟んで水タンク20と反対側に不変重量部品である送風機30等の重心が来るように送風機30を配置することにより、水タンク20内の水が増減しても、前後方向の重量バランスが所定の範囲内に納まるよう、可変重量部品と不変重量部品とが筐体10内の前後方向に配置されている。
【0023】
具体的な前後方向のバランスのとり方については、水タンク20が空の時に「g2」ベクトルが最も小さくなるため、前(F:Front)側が軽く、後(B:Back)側が重くなり、図3−1に示すように、取っ手部13の支点13cで支えた場合の筐体10の傾き角が前上がりで10°以下に納まるように、図2に示す送風機30を含む不変重量部品の「g1」ベクトルと、水タンク20の可変重量部品の「g2」ベクトルとを配置する。ここで、傾き角を10°以下とした理由は、図5に示す加湿ユニット32に水を供給する水トレイ34の形状から、水漏れしない程度の傾き角を求めた結果である。従って、傾き角を何度以下にするかという基準は、個々の空気調和機の構造によって異なってくるため、この値に限定するものではなく、種々の値をとり得る。
【0024】
また、水タンク20が満水の時は、「g2」ベクトルが最も大きくなるため、前(F:Front)側が重く、後(B:Back)側が軽くなり、図3−2に示すように、取っ手部13の支点13cで支えた場合の筐体10の傾き角が前下がりで10°以下に納まるように部品が配置されている。この傾き角を10°以下に抑える理由についても上記と同様である。このように、水タンク20が空の時と水タンク20が満水の時とで傾き角が±10°以下(角度差が合計20°以下)となるように、不変重量部品と可変重量部品とを筐体10の前後方向に配置する。
【0025】
また、本実施例にかかる空気調和機100において、前後方向と直交する左右方向のバランスのとり方については、図2に示す可変重量部品である水タンク20の水が増減し、重量が変化しても、図5に示す左右方向の重量配分が変化しないように可変重量部品を配置する。具体的には、可変重量部品である水タンク20の厚さを均一とし、水タンク20の形状が左右で均等になるようにし、水タンク20の重心と筐体10の中心線14の位置とが左右方向で一致するように配置することで、水タンク20内の水の量が増減したとしても左右方向の重量配分が変化しないようにすることができる。また、筐体10の中心線14を挟んで左右方向の不変重量部品の配置については、図5に示すように、筐体10の中心線14に対して、左(図中のL)側と右(図中のR)側それぞれ配置された不変重量部品(ここでは、主に送風機30と脱臭ユニット40)の重量バランスが左右均等になるように、「g3」ベクトルの脱臭ユニット40と、「g4」ベクトルの送風機30とが配置されている。実際には、加湿ユニット32やオゾンユニット73なども考慮して配置する必要があるが、ここでは、比較的重量のある代表的な部品を用いて説明している。本実施例にかかる空気調和機100は、上記のようにして左右方向の重量バランスをとっている。
【0026】
このように、本実施例にかかる空気調和機100は、取っ手部13が前後方向に渡されて固定されているため、前後方向に傾こうとする筐体10を運搬者の握力等で水平に保つことが可能となり、水トレイ34の水をこぼすことなく筐体10を持ち運ぶことができる。
【0027】
以下では、図5に示す、不変重量部品の各部の概略構成について説明する。空気通路24の途中に設けられている送風機30は、ファンモータ30aとシロッコファンなどのファン30bで構成されており、ファンモータ30aがファン30bを回すことで、吸込口21から外部空気が筐体10内へ導入される。
【0028】
筐体10内へ導入された空気は、既存の脱臭器等で使用されているプレフィルタ70と集塵フィルタ71を通過する間に、除塵される。そして、集塵フィルタ71の風下側には、脱臭ユニット40が配置されている。この脱臭ユニット40は、触媒フィルタ41を用いて脱臭処理を行うと共に、ヒータユニット46により触媒フィルタ41を定期的に加熱することで、触媒に付着した臭い成分の分解を促進し、触媒フィルタ41を繰り返し再生できるようになっている。脱臭ユニット40は、触媒フィルタ41およびヒータユニット46を両側から挟むように、通気性を有する一対の板状断熱材42が配置されて構成されている。
【0029】
脱臭ユニット40のさらに風下側には、水トレイ34に貯留した水を吸水して湿潤した状態で通過する空気に湿度を与える気化フィルタを含む加湿ユニット32が配置されている。加湿ユニット32で加湿された空気は、送風機30のファン30bによって空気通路24の上方に設けられた吹出口22、および低濃度オゾン吹出口78を通って、第2開口部15bから吐出される。
【0030】
また、空気調和機100の空気通路24の途中には、オゾン発生ユニット73が設けられている。送風機30により空気通路24内を流通する空気は、オゾン発生ユニット73にも流入される。オゾン発生ユニット73に取り込まれた空気は、水銀ランプなどのUV(紫外線)ランプ74で照射されると、オゾンを発生する。このオゾンは、オゾン発生ユニット73に取り込んだ空気の除菌や脱臭を行うことができる。オゾン発生ユニット73で発生した残留オゾンは、酸化チタンなどのオゾン分解触媒77により分解され、低濃度オゾン吹出口78から第2開口部15bを介して外へ吹出される。
【0031】
さらに、空気調和機100は、図2に示すように、マイナスイオンを発生するイオナイザ79が空気通路24内に配置されている。イオナイザ79は、針状の電極を備えており、電極に例えば数kVの高電圧を印加すると、電極の先端でコロナ放電が生じ、マイナスイオンとオゾンを発生させる。イオナイザ79から発生したマイナスイオンは、同じくイオナイザ79やオゾン発生ユニット73から発生したオゾンと反応して、強い酸化力を有するOHラジカルを生成する。
【0032】
また、実施例の空気調和機100は、図5に示すように、脱臭ユニット40で脱臭された空気が空気通路24を通って吹出口22から上方へ吹出されると、送風板16に当たり、段差部17で一旦押し下げられた後、溝部12を伝って第2開口部15から吹き出される一連の空気の流れが形成される。この空気は、イオナイザ79が空気通路24内に配置されているため、マイナスイオンを含んだ空気となる。
【0033】
また、上記のオゾン発生ユニット73で発生したオゾンは、低濃度オゾン吹出口78から外へ放出される際に、上記した脱臭された空気の流れに取り込まれ、第2開口部15bから水平方向に吹出される。この低濃度オゾン吹出口78は、図5に示すように、吹出口22の隣接位置から第2開口部15b付近までの幅を持っている。このため、図5の取っ手部13の位置よりも吹出口22に近い低濃度オゾン吹出口78から放出されるオゾンは、吹出口22から吹出される脱臭された空気の流れに取り込まれ、第2開口部15bへ送られる。また、図5の取っ手部13の下から第2開口部15寄りに設けられた低濃度オゾン吹出口78から放出されるオゾンは、第2開口部15bに近いため、そのまま上方へ放出される可能性がある。しかし、この低濃度オゾン吹出口78から放出されたオゾンは、吹出口22から吹出される脱臭された空気の流れがあるため、これに抑えられて取り込まれ、第2開口部15bから水平方向に吹出されるように構成されている。
【0034】
これにより、実施例の空気調和機100は、マイナスイオンおよび低濃度オゾンを含む脱臭された空気を空気調和機の前方側(水平方向)に吹出すことができるので、床面付近のイオン濃度やオゾン濃度を上げることが可能となり、床に沈降するダニ、花粉、ペット由来のアレルゲン等を効果的に不活性化することができる。
【0035】
上記したように、本実施例にかかる空気調和機100は、筐体10の上面中央に筐体10を持ち上げる取っ手部13が渡されて固定されている。そして、機器の使用に伴って重量が変化する水タンク20(可変重量部品)は、筐体10の中心線14から取っ手部13を渡した筐体10の前後方向の一方にずれた位置に水タンク20の重心が来るように配置されている。また、筐体10の中心線14を挟んで水タンク20の反対側には、機器の使用に伴って重量が変化しない送風機30等(不変重量部品)の重心が来るように送風機30等が配置される。さらに、筐体10の中心線14を挟んで前後方向と直交する左右方向には、水タンク20(可変重量部品)の重量が変化しても左右の重量配分が変化しないように水タンク20(可変重量部品)の重心と筐体10の中心線14の位置とが左右方向で一致するように配置すると共に、機器の使用に伴って重量が変化しない不変重量部品の重心を左右均等に配置している。このため、取っ手部13を握った状態で取っ手部13を渡した方向(前後方向)に傾きが生じても、手の握力等により傾きが修正できることから、筐体10の中心線14を挟んで前後方向に可変重量部品の重心と不変重量部品の重心とを配置し、重量バランスを一定の範囲内で保つようにしている。また、取っ手部13を握った状態で取っ手部13を渡す方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に傾きが生じた場合は、手の握力等だけでは傾きを修正することが難しい。このため、筐体10の中心線14を挟んで左右方向には、可変重量部品の重量が変化しても左右の重量配分が変化しないように可変重量部品の重心と筐体10の中心線14の位置とが左右方向で一致するように配置すると共に、不変重量部品の重心を左右均等に配置したため、左右方向に傾きが生じることが無くなり、持ち難さを解消することが可能となる。
【0036】
本実施例にかかる空気調和機100は、筐体10内に配置する水タンク20のような可変重量部品については、予め最小重量と最大重量がわかっており、中心線14を挟んで反対側に配置する不変重量部品の重量と配置位置を選択することによって、前後方向の重量バランス(傾き)を予測することが可能である。このため、本実施例にかかる空気調和機100は、可変重量部品の最小重量時と最大重量時とで、それぞれ当該筐体10の前後方向の傾き角の限度(ここでは、±10°)を超えないように各部の配置を設計することが可能となり、持ち運ぶ際の揺れや傾きを少なくして、水漏れ等を防止することができる。
【0037】
なお、上記実施例では、可変重量部品を水タンク20とし、筐体10の中心線14を挟んで前後方向の反対側に配置する不変重量部品として送風機30を例にあげて説明している。しかし、不変重量部品は送風機30だけでなく、中心線14よりも後(B)側に配置された全ての部品重量の合成ベクトルであれば良いため、送風機30の構造上の制約により中心線14から離して配置することのできない機器であっても、他の不変重量部品(例えば、後述する加湿ユニット32、脱臭ユニット40)の配置を変えることにより、筐体10の前後方向の重量バランスを調整することが可能となる。
【0038】
また、上記実施例においては、一般的な空気調和機100として説明したが、具体的には、加湿器、除湿器、あるいは、加湿機能や除湿機能を備えた空気清浄機や脱臭機等に好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、持ち手部を持って機器を持ち運ぶ際に、片手でも揺れが少なく、安定して持ち運ぶことのできる空気調和機に有用であり、特に、機器の使用に伴って重量が変化する可変重量部品が配置されている空気調和機に適している。
【符号の説明】
【0040】
100 空気調和機
10 筐体
12 溝部
13 取っ手部
13a,13b 制限部
14 中心線
15a 第1開口部
15b 第2開口部
16 送風板
17 段差部
18 上面
19 開口部斜面
21 吸込口
22 吹出口
23 操作パネル
24 空気通路
30 送風機
30a ファンモータ
30b ファン
32 加湿ユニット
34 水トレイ
40 脱臭ユニット
41 触媒フィルタ
42 板状断熱材
46 ヒータユニット
70 プレフィルタ
71 集塵フィルタ
73 オゾン発生ユニット
74 UVランプ
77 オゾン分解触媒
78 低濃度オゾン吹出口
79 イオナイザ





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を使用しても重量の変化しない不変重量部品と、
前記機器の使用に伴って重量が変化する可変重量部品と、
前記不変重量部品と前記可変重量部品とを内部に有する筐体と、
前記筐体の上面中央に渡して固定され、前記筐体を持ち上げる取っ手部と、
を備え、
前記取っ手部を渡した方向を前記筐体の前後方向とし、該前後方向と直交する方向を前記筐体の左右方向とし、前記筐体の中心線から前記前後方向の一方にずれた位置に前記可変重量部品が最大重量の時の重心を配置し、前記中心線を挟んで前記可変重量部品と反対側に前記不変重量部品の重心を少なくとも一つ配置し、前記中心線を挟んで前記左右方向には前記可変重量部品の重量が変化しても左右の重量配分が変化しないように前記可変重量部品を配置すると共に、前記不変重量部品を左右均等に配置することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記可変重量部品が最小重量の時と最大重量の時に、前記筐体の中心線を挟んで前記前後方向の反対側に配置された前記不変重量部品との重量バランスにより、前記筐体の前記前後方向に傾く傾き角の絶対値が当該筐体の傾き角の限度値以下となるように、前記可変重量部品と前記不変重量部品とを前記筐体内に配置することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記筐体は、空気の吸込口と吹出口とを有し、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路が内部に設けられ、
前記不変重量部品は、前記空気通路の空気を循環させる送風機を少なくとも備え、
前記可変重量部品は、前記送風機により循環させる空気の除湿あるいは加湿処理の少なくとも一方を行う際に増減する水を貯留する水タンクで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記取っ手部は、前記筐体を持ち上げる際に、前記筐体の前記中心線付近で握れるように握り可能範囲を制限する制限手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気調和機。




















【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−32856(P2013−32856A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167792(P2011−167792)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】