説明

空気調和機

【課題】ユーザーの快適性を維持して暖房運転ができる空気調和機を提供すること。
【解決手段】本発明の空気調和機は、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段とを備え、室内温度が目標温度を上回り圧縮機11の停止条件を満足したときに圧縮機11を停止する空気調和機であって、室内熱交換器5と減圧装置13との間と、四方弁12と圧縮機11の吸入口との間を接続するバイパス回路16と、バイパス回路16に二方弁とをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、圧縮機11の停止条件を満足する前に二方弁を開くことにより、高圧を下げて室内熱交換器5の温度を下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の快適性を向上させる運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機では、室内温度が安定すると圧縮機の運転を停止、すなわちサーモオフを行い、消費電力を落として制御を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−249542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術のように圧縮機の運転を停止させると、室内空調を停止するので快適性が損なわれてしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ユーザーの快適性を維持して暖房運転ができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段とを備え、室内温度が目標温度を上回り圧縮機の停止条件を満足したときに圧縮機を停止する空気調和機であって、室内熱交換器と減圧装置との間と、四方弁と圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、バイパス回路に二方弁とをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、圧縮機の停止条件を満足する前に二方弁を開くことにより、高圧を下げて室内熱交換器の温度を下げることができるため、圧縮機の停止条件を満たしにくくして、快適性を維持することができる。
【0007】
また、前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段と、圧縮機の排熱を冷媒に伝達する蓄熱ユニットとを備え、室内温度が目標温度を上回り圧縮機の停止条件を満足したときに圧縮機を停止する空気調和機であって、室内熱交換器と減圧装置との間と、四方弁と圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、バイパス回路にバイパス用二方弁および蓄熱ユニットをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、圧縮機の停止条件を満足する前にバイパス用二方弁を開くことにより、高圧を下げて室内熱交換器の温度を下げることができるため、圧縮機の停止条件を満たしにくくして、快適性を維持することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ユーザーの快適性を維持して暖房運転ができる空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の冷凍サイクル構成図
【図2】同実施の形態1におけるサーモオフ運転遅延制御への移行フローチャート
【図3】同実施の形態1におけるサーモオフ運転遅延制御のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における空気調和機の冷凍サイクル構成図
【図5】同実施の形態2におけるサーモオフ運転遅延制御への移行フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段とを備え、室内温度が目標温度を上回り圧縮機の停止条件を満足したときに圧縮機を停止する空気調和機であって、室内熱交換器と減圧装置との間と、四方弁と圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、バイパス回路にバイパス用二方弁とをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、圧縮機の停止条件を満足する前にバイパス用二方弁を開くことにより、高圧を下げて室内熱交換器の温度を下げることができるため、圧縮機の停止条件を満たしにくくして、快適性を維持することができる。
【0011】
第2の発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段と、圧縮機の排熱を冷媒に伝達する蓄熱ユニットとを備え、室内温度が目標温度を上回り圧縮機の停止条件を満足したときに圧縮機を停止する空気調和機であって、室内熱交換器と減圧装置との間と、四方弁と圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、バイパス回路にバイパス用二方弁および蓄熱ユニットをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、圧縮機の停止条件を満足する前にバイパス用二方弁を開くことにより、高圧を下げて室内熱交換器の温度を下げることができるため、圧縮機の停止条件を満たしにくくして、快適性を維持することができる。
【0012】
第3の発明の空気調和機は、特に第2の発明において、圧縮機の吐出側から減圧装置と室外熱交換器との間に冷媒を合流させる除霜用バイパス回路と、除霜用バイパス回路に除霜用二方弁とを備え、室外熱交換器の除霜運転時には暖房運転を継続させながら、除霜用二方弁およびバイパス用二方弁を開くことにより、除霜運転時であっても暖房運転を継続させることができる。
【0013】
第4の発明の空気調和機は、特に第2または第3の発明において、蓄熱ユニットは、圧縮機の排熱を蓄える蓄熱材と、蓄熱材の熱を冷媒に伝える蓄熱熱交換器とを有し、蓄熱材の温度を検出する蓄熱材温度検出手段を備え、蓄熱材の温度が所定の温度未満のときは、バイパス用二方弁を開かないことにより、室内熱交換器の温度の下がり幅を抑え、極端に高温を下げてしまわないようにすることができる。
【0014】
第5の発明の空気調和機は、特に第2から第4の発明において、除霜運転から所定の時間の間は、バイパス用二方弁を開かないことにより、再度、除霜運転に入る可能性が高く、圧縮機を停止しないためにバイパス用二方弁を開いてしまうと、蓄熱材の温度を下げてしまいかねず、実際の除霜運転に入るときに蓄熱材の温度が低く、暖房運転を継続しながら除霜運転を行う制御ができなくなってしまうため、これを回避するものである。
【0015】
第6の発明の空気調和機は、特に第2から第5の発明において、外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、外気温度検出手段が所定の外気温度未満のときはバイパス用二方弁の開閉を行わないことにより、除霜運転が入りそうな状況時にはバイパス用二方弁を開けることを避けて、蓄熱材の温度低下を防ぐことができる。
【0016】
第7の発明の空気調和機は、特に第2から第6の発明において、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検出手段を備え、室外熱交換器の温度が所定の室外熱交換器温度未満のときはバイパス用二方弁の開閉を行わないことにより、除霜運転が入りそうな状況時にはバイパス用二方弁を開けることを避けて、蓄熱材の温度低下を防ぐことができる。
【0017】
第8の発明の空気調和機は、特に第1から第7の発明において、バイパス用二方弁を開いてから所定の開弁時間経過すると、バイパス用二方弁を閉じることにより、高低圧差がなくなってしまい暖房運転ができなくなってしまうということを避けることができる。
【0018】
第9の発明の空気調和機は、特に第8の発明において、バイパス用二方弁の開閉を複数回繰り返すことにより、圧縮機の停止条件を満たしにくくすることができる。
【0019】
第10の発明の空気調和機は、特に第9の発明において、バイパス用二方弁の開閉の回数に上限を設けたことにより、室内熱交換器の温度の下がり幅を抑え、極端に高温を下げてしまわないようにすることができる。
【0020】
第11の発明の空気調和機は、特に第1から第10の発明において、室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度検出手段を備え、室内熱交換器の温度が所定の温度未満のときは、バイパス用二方弁を開かないことにより、室内空調を一定の温度以上で行うことができるので、快適性を損なわない。
【0021】
第12の発明の空気調和機は、特に第1から第11の発明において、バイパス用二方弁の開閉を行ってから所定の時間は、バイパス用二方弁の開閉を行わないことにより、過度な二方弁の駆動を行わず、耐久性を向上させることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1における空気調和機の冷凍サイクルの構成概略図である。
【0024】
本実施の形態における空気調和機は、室内に設置される室内機1と、室外に設置される室外機2とを冷媒配管3で接続することによって構成されている。
【0025】
室内機1には、室内空気と冷媒とが熱交換を行う室内熱交換器5と、室内熱交換器5での熱交換を促進し室内へ送風するための室内送風ファン6を備える。また、室内温度を検出する室内温度検出手段である温度センサ7と、室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度検出手段である温度センサ8とを備える。
【0026】
室外機2には、室外空気と冷媒とが熱交換を行う室外熱交換器9と、室外熱交換器9での熱交換を促進し送風する室外ファン10と、冷媒を圧縮し高温冷媒を吐出する圧縮機11と、冷媒の流路の順逆を切り換える四方弁12と、冷媒を減圧する減圧装置13と、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検出手段である温度センサ14と、外気の温度を検出する外気温度検出手段である温度センサ15とを備える。
【0027】
そして、冷房運転時には、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器9、減圧装置13、室内熱交換器5、四方弁12、圧縮機11の順に冷媒が流れ、暖房運転時には、圧縮機11、四方弁12、室内熱交換器5、減圧装置13、室外熱交換器9、四方弁12、圧縮機11の順に冷媒が流れるように冷凍サイクルが構成されている。
【0028】
さらに、減圧装置13と室内熱交換器5との間と、圧縮機11の吸入側の冷媒管との間を接続するようなバイパス回路16を設ける。そしてバイパス回路16には冷媒流路を開放するバイパス用二方弁17を設けている。
【0029】
また、室内機1へ運転指示を行うリモコン装置(図示せず)を備え、リモコン装置では、冷房運転や暖房運転の指示、室内設定温度を設定することができ、通常の空調運転では、室内設定温度となるように空調運転が実施される。
【0030】
以上のように構成された空気調和機において、暖房運転時に、温度センサ7で検出する室内温度が、リモコン装置で設定した室内設定温度を上回り、圧縮機11の運転停止条件を満足した場合は、圧縮機11の運転を停止させている(以下、サーモオフ運転という)。
【0031】
しかしながら、サーモオフ運転をした場合には、再度、圧縮機11の運転を開始した際には、冷凍サイクルが安定するまでは圧縮機11の運転周波数をあげて運転するため、サーモオフ運転で消費電力を落としたとしても、再起動時の圧縮機11の運転による消費電力が上回り、結果的に消費電力が増えてしまうということがおきてしまう。
【0032】
そこで、本実施の形態ではサーモオフ運転における圧縮機11の運転停止条件を満たす前に、バイパス回路に冷媒を流すことによって、高圧側の圧力をさげて、室内熱交換器5の温度を下げて、サーモオフ運転に入りにくくするサーモオフ運転遅延制御を行っている。
【0033】
ここでサーモオフ運転における圧縮機11の運転停止条件について説明する。本実施の形態では、暖房運転時であれば室内温度が室内設定温度を所定の温度(例えば、3℃)を上回った状態を、所定の時間(例えば、3分)という条件が満足した場合に、圧縮機11の運転を停止している。なお、圧縮機11の運転停止条件は、室内温度の安定時に圧縮機11を停止させるための条件であれば、上述した条件に限定されることはなく、また、所定の温度や所定の時間のほかに、運転開始からの時間などその他の条件を入れることも可能である。
【0034】
次に、サーモオフ運転遅延制御への移行について説明する。図2はサーモオフ運転遅延制御に移行する際のフローチャートである。
【0035】
まず、ステップ21において、圧縮機11が運転しているかどうかを判断し、圧縮機11が運転している場合はステップ22へ進み、圧縮機11が運転停止している場合は、終了する。
【0036】
次に、ステップ22では圧縮機11のサーモオフ運転遅延制御に入る条件を満足しているかどうかを判断する。サーモオフ運転遅延制御に入る条件とは、サーモオフ運転に入る条件よりも緩和された条件のことであり、サーモオフ運転にはいる条件を満たす前に必ず満たす条件のことである。本実施の形態では、暖房運転時においてサーモオフ運転に入る圧縮機11の運転停止条件が、室内温度が室内設定温度よりも第一の所定温度(例えば、3℃)高い状態が、第一の所定時間(例えば、3分)継続した場合に、圧縮機11の運転停止を行うとし、サーモオフ運転遅延制御に入る条件を、室内温度が室内設定温度よりも第二の所定温度(例えば、2℃)高い状態が、第二の所定時間(例えば、2分)継続した場合に、サーモオフ運転遅延制御の条件を満足したとしている。なお、第一の所定温度>第二の所定温度とし、第一の所定時間>第二の所定時間としているが、いずれか一方の条件だけ異ならせるようにしてもよい。すなわち、サーモオフ運転に入る前に必ず成立する
条件をサーモオフ運転遅延制御に入る条件とすればよい。
【0037】
ステップ22でサーモオフ運転遅延制御を満足する場合は、ステップ23へ進み、サーモオフ運転遅延制御を満足しない場合は、ステップ21へ戻る。
【0038】
次に、ステップ23では室内熱交換器5の温度が所定の室内熱交換器温度以上かどうかを判断する。これは室内熱交換器5の温度が低い状態でバイパス回路16に冷媒を流してしまうと、温度が極端に下がってしまう場合があり、その場合にはユーザーの快適性を損ないかねないため、ステップ23の判断を設けている。
【0039】
ステップ23で室内熱交換器5の温度が所定の室内熱交換器温度以上かどうかを判断し、所定の室内熱交換器温度以上であればステップ24へ進み、所定の室内熱交換器温度未満であればステップ21へ戻る。
【0040】
次に、ステップ24では、前回、バイパス用二方弁17を開いてから所定の閉塞時間が経過したかどうかを判断する。これはあまりに頻繁にバイパス用二方弁17の開閉を繰り返すことによって、バイパス用二方弁17の耐久性能を上回る回数駆動させてしまことを避けることができる。
【0041】
ステップ24で、前回、バイパス用二方弁17を開いてから所定の閉塞時間(例えば、20分)が経過したかどうかを判断し、経過していればステップ25へ進みサーモオフ運転遅延制御を行い、経過していなければステップ21へ戻る。
【0042】
以上のように判断されて、サーモオフ運転遅延制御に移行する。次にサーモオフ運転遅延制御について説明する。図3はサーモオフ運転遅延制御のフローチャートである。
【0043】
まず、ステップ31において、バイパス用二方弁17を開く。これによってバイパス回路16に冷媒が流れ、高圧側の圧力が下がり、室内熱交換器5における温度が下がる。そのため、室内温度と室内設定温度との温度差が取れない方向となり、サーモオフ運転に入る条件に満足しにくくなる。そのため、サーモオフ運転に入る可能性を低減させ、室内の快適性を維持しつつ、圧縮機11の再起動に掛かる消費電力増加も避けることができる。
【0044】
しかしながら、バイパス用二方弁17を開いたままにしておくと、高低圧差がなくなってしまい暖房運転が継続できなくなってしまう。そこでステップ32において、所定の開弁時間(例えば、5秒)が経過したかどうかを判断する。所定の開弁時間が経過している場合、ステップ33へ進み、所定の開弁時間が経過していない場合はステップ31へ戻る。
【0045】
次に、ステップ33では、バイパス用二方弁17を閉じる制御を行う。そしてステップ34で所定の閉弁時間(例えば、20秒)が経過したかどうかを判断し、所定の閉弁時間が経過した場合にはステップ35へ進み、所定の閉弁時間が経過してない場合はステップ33へ戻る。このとき所定の開弁時間<所定の閉弁時間とすることによって、室内熱交換器5の極端な温度低下を下げることができ、室内の快適性を維持させることができる。
【0046】
次に、ステップ35ではバイパス用二方弁17の開閉回数が上限値に達したかどうかを判断する。バイパス用二方弁17を開いて閉じるまでを一つのサイクルとし、このサイクルに上限値を設けておくことで、過度な開閉を繰り返さないことによってバイパス用二方弁17の信頼性を確保し、さらに、室内熱交換器5の温度低下を防ぐために室内の快適性も維持することができる。
【0047】
ステップ35で上限値に達した場合は、サーモオフ運転遅延制御を終了し、上限値に達していない場合はステップ36へ進む。
【0048】
ステップ36では室内熱交換器5の温度が所定の室内熱交換器温度以上かどうかを判断する。これは室内熱交換器5の温度が低い状態でバイパス回路16に冷媒を流してしまうと、温度が極端に下がってしまう場合があり、その場合にはユーザーの快適性を損ないかねないためであり、ステップ23と同一の条件である。
【0049】
なお、この所定の室内熱交換器温度はリモコン装置で設定される室内設定温度に応じて設定されるものであり、本実施の形態では一義的に決定されているものではないが、冷凍サイクルのシステムによっては全ての場合において同一条件としておいてもよい。
【0050】
ステップ36において所定の室内熱交換器温度以上である場合は、ステップ31へ戻ってサーモオフ運転遅延制御を継続し、所定の室内熱交換器温度未満である場合は、サーモオフ運転遅延制御を終了する。
【0051】
以上のように、本実施の形態では、暖房運転時においてバイパス回路16に冷媒を流すことによって室内熱交換器5の温度を下げて、サーモオフ運転に入ることを抑制することができ、ひいては室内の快適性を維持しつつ、余分な消費電力を使用することを防止することができる。
【0052】
(実施の形態2)
図4は実施の形態2における空気調和機の冷凍サイクルの構成図である。実施の形態1と同一の箇所については図1と同じ符号を付して説明を省略する。本実施の形態が実施の形態1と異なる箇所は、蓄熱ユニット18と、除霜用バイパス回路21を備えたことがことなる。
【0053】
蓄熱ユニット18は、圧縮機11の周囲に巻かれ、樹脂で形成された蓄熱容器の内部に圧縮機11から放熱される熱を蓄える蓄熱材19が収容されている。蓄熱材はエチレングリコール水溶液などの化学物質が混入された溶液や、単純な水、さらにはアルミニウムや銅などの金属部材などを使用することが考えられる。すなわち圧縮機11から放熱される熱量を蓄えることができるような物質であれば何を用いても問題は無い。
【0054】
また、蓄熱材19には冷媒と蓄熱材19に蓄えられた熱量とが熱交換を行う蓄熱熱交換器20が設けられており、蓄熱熱交換器の内部に設けられた冷媒管に流れる冷媒と、蓄熱材19とが熱交換を行う。また、蓄熱材19の温度を検出する蓄熱材温度検出手段である温度センサ23が設けられている。
【0055】
また、圧縮機11の吐出管と、減圧装置13と室外熱交換器9との間とを接続する除霜用バイパス回路21を設け、除霜用バイパス回路21には除霜用二方弁22を設けている。そして除霜用二方弁22を開閉することによって除霜用バイパス回路21に冷媒を流している。
【0056】
以上のように構成された空気調和機において、除霜運転について説明する。実施の形態2における冷凍サイクルの構成は、暖房運転を継続しながら除霜運転を実施することができる。
【0057】
まず、温度センサ14で検出される室外熱交換器の温度が除霜運転開始条件である温度を検出すると、除霜運転が開始される。なお、除霜運転開始の条件はこれに限定されることはなく、例えば、外気温度や、除霜運転開始条件の温度を下回る時間が所定時間継続し
た場合などの条件を追加することも考えられる。また、室外熱交換器9の温度検出は、室外熱交換器9の冷媒管の温度を検出することによって代用されてもよい。
【0058】
そして、除霜運転が開始されると、除霜用二方弁22およびバイパス用二方弁17を開弁して、減圧装置13を適切な開度に制御することによって、暖房運転を継続しながら除霜運転を実施することができる。
【0059】
このような暖房運転を継続しながらの除霜運転は、除霜用二方弁22とバイパス用二方弁17の両方が開状態で初めて行われることになるが、バイパス用二方弁17を除霜用二方弁22より先に開制御すると、蓄熱材19に蓄積された熱量が無駄に使用されることになり、除霜用二方弁22とバイパス用二方弁17の両方を同時に開制御すると、室外熱交換器9からの冷媒と室内熱交換器5からの冷媒が同時に圧縮機11に吸入されることになり、圧力変動を惹起するおそれがあることから、除霜用二方弁22の開制御とバイパス用二方弁17の開制御に適切な時間差を設定することで、圧力変動を極力抑えることができるとともに、圧縮機11への液冷媒の流入を阻止して圧縮機11の信頼性を向上させることができる。そのため本実施の形態では、除霜用二方弁22をバイパス用二方弁17よりも先に開弁するようにしている。
【0060】
次に本実施の形態におけるサーモオフ運転遅延制御への移行について説明する。図5はサーモオフ運転遅延制御に移行する際のフローチャートである。
【0061】
まず、ステップ51からステップ54については、図2におけるステップ21からステップ24と同一であるため、実施の形態1におけるステップ21からステップ24の説明と同一である。ただし本実施の形態ではステップ54で所定時間経過していたら、ステップ55へ進む。
【0062】
次に、ステップ55では、蓄熱材19の温度が所定の温度以上(例えば、80℃)かどうかを判断している。このとき、蓄熱材19の温度が高ければ高いほど、室内熱交換器5の温度低下幅が小さくなるため、快適性が損なわれ難いが、蓄熱材19の温度が低ければ室内熱交換器5の温度低下が大きくなってしまい快適性を損なう可能性がある。
【0063】
そして、ステップ55において蓄熱材19の温度が所定の温度以上である場合は、ステップ56へ進み、所定の温度未満である場合はステップ51へ戻る。
【0064】
次に、ステップ56では、前回除霜運転が終了してから所定の除霜不実施期間が経過したかどうかを判断している。これは一度除霜運転に入ると、繰り返し除霜運転に入ってしまう可能性が高くなり、次回の除霜運転が実施される前にバイパス用二方弁17を開けて蓄熱材19の温度を低下させてしまう可能性があり、暖房運転を行いながら除霜運転を行うことができなくなってしまい、室内の快適性を損なってしまう。
【0065】
よって、ステップ56では前回除霜運転が終了してから所定の除霜不実施期間(例えば、1時間)が経過したかどうかを判断し、所定の除霜不実施期間の間に除霜運転が無ければステップ57へ進み、所定の除霜不実施期間が経過していなければステップ51へ戻る。
【0066】
次に、ステップ57では、室外熱交換器9の温度が所定の温度以上かどうかを判断している。これは除霜運転に入りそうな室外熱交換器9の温度の場合は、蓄熱材19に冷媒を通過させて蓄熱材19の温度低下を避け、暖房運転をしながら除霜運転をすることができるように備えるためである。よって、ステップ57で室外熱交換器9の温度が所定の温度以上のときはステップ58へ進み、所定の温度未満のときはステップ51へ戻る。
【0067】
次に、ステップ58では外気温度が所定の温度(例えば、−1℃)以上かどうかを判断している。これは外気温度が低い場合には除霜運転に入る可能性が高いため、ステップ58で外気温度を判断している。これによって除霜運転に入りそうな外気温度の場合は、暖房運転をしながら除霜運転ができるようにバイパス用二方弁17を開いて蓄熱材19の温度を低下させてしまうことを避ける。
【0068】
ステップ58において外気温度が所定の外気温度以上の場合はステップ59へ進んでサーモオフ運転遅延制御を開始し、ステップ58において外気温度が所定の外気温度未満の場合はステップ51へ戻る。
【0069】
また、サーモオフ運転遅延制御へ移行した際のフローチャートは、実施の形態1における図3と同一であり、説明を省略する。
【0070】
以上のように判断することによって、確実に除霜運転を行いながら暖房運転を継続することができるとともに、除霜運転の可能性が低い場合にはサーモオフ運転遅延制御を行うことによって室内の快適性を維持することができる。
【0071】
なお、上記で説明する際に例としてあげた温度や時間の値は、これに限定されることはなく、適宜変更は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように本発明は、通常の四方弁除霜を行う空気調和機だけではなく、暖房運転を継続しながら除霜運転を行う空気調和機であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 室内機
2 室外機
5 室内熱交換器
9 室外熱交換器
11 圧縮機
13 減圧装置
16 バイパス回路
17 バイパス用二方弁
18 蓄熱ユニット
19 蓄熱材
20 蓄熱熱交換器
21 除霜用バイパス回路
22 除霜用二方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、前記四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段とを備え、室内温度が目標温度を上回り前記圧縮機の停止条件を満足したときに前記圧縮機を停止する空気調和機であって、前記室内熱交換器と前記減圧装置との間と、前記四方弁と前記圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、前記バイパス回路に二方弁とをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、前記圧縮機の停止条件を満足する前に前記二方弁を開くことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置、室外熱交換器、前記四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、室内温度を検出する室内温度検出手段と、目標温度を設定する目標温度設定手段と、前記圧縮機の排熱を冷媒に伝達する蓄熱ユニットとを備え、室内温度が目標温度を上回り前記圧縮機の停止条件を満足したときに前記圧縮機を停止する空気調和機であって、前記室内熱交換器と前記減圧装置との間と、前記四方弁と前記圧縮機の吸入口との間を接続するバイパス回路と、前記バイパス回路にバイパス用二方弁および前記蓄熱ユニットをさらに備え、室内温度が目標温度を上回ったとき、前記圧縮機の停止条件を満足する前に前記バイパス用二方弁を開くことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記圧縮機の吐出側から前記減圧装置と前記室外熱交換器との間に冷媒を合流させる除霜用バイパス回路と、前記除霜用バイパス回路に除霜用二方弁とを備え、前記室外熱交換器の除霜運転時には暖房運転を継続させながら、前記除霜用二方弁および前記バイパス用二方弁を開くことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記蓄熱ユニットは、前記圧縮機の排熱を蓄える蓄熱材と、前記蓄熱材の熱を冷媒に伝える蓄熱熱交換器とを有し、前記蓄熱材の温度を検出する蓄熱材温度検出手段を備え、前記蓄熱材の温度が所定の温度未満のときは、前記バイパス用二方弁を開かないことを特徴とする請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
除霜運転から所定の時間の間は、前記バイパス用二方弁を開かないことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、前記外気温度検出手段が所定の外気温度未満のときは前記バイパス用二方弁の開閉を行わないことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検出手段を備え、前記室外熱交換器の温度が所定の室外熱交換器温度未満のときは前記バイパス用二方弁の開閉を行わないことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記バイパス用二方弁を開いてから所定の開弁時間経過すると、前記バイパス用二方弁を閉じることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記バイパス用二方弁の開閉を複数回繰り返すことを特徴とする請求項8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記バイパス用二方弁の開閉の回数に上限を設けたことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記室内熱交換器の温度を検出する室内熱交換器温度検出手段を備え、前記室内熱交換器の温度が所定の温度未満のときは、前記バイパス用二方弁を開かないことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記バイパス用二方弁の開閉を行ってから所定の時間は、前記バイパス用二方弁の開閉を行わないことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−53818(P2013−53818A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192671(P2011−192671)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】