説明

空気調和装置付きテント装置

【課題】 居住空間を冷房するための最適な構造を備えた空気調和装置付きのテント装置に関する。
【解決手段】 居住空間Aを作る内壁部材1の外側に外壁部材2を配置して、内壁部材1と外壁部材2との間に空間3を有する二重構造のテント装置Bを構成し、テント装置Bには居住空間Aを冷却するエアコン装置Cを配置する。エアコン装置Cは、圧縮機6と室外熱交換器7と室外送風機8とを備えた室外機4と、室内送風機9と室内空気流路10と室内熱交換器11とを備えた室内機5とで構成され、室内機5は居住空間A内の空気を吸入して冷気に変えて居住空間Aに吹き出す。テント装置Bの外壁部材2の上部には空間3と外気とを連絡する開口12を設け、室外機4の吸気口13を空間3内に開口し、室外送風機8はテント装置Bの外壁部材2に設けた開口12から空間3内を経由した空気を室外熱交換器7に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、居住空間を冷房するための最適な構造を備えた空気調和装置付きのテント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
居住空間を作る内壁部材の外側に外壁部材を配置し、内壁部材と外壁部材との間に空間を有する二重構造のテント装置があり、この二重構造のテント装置の居住空間を冷房するエアコン装置として、外部もしくは空間に冷房機を配置し、室外空気を取り込んで冷却して冷風を作り出し、内壁部材に設けた吹込み口から居住空間に吹き込んで冷房を行う方式が一般的であった。
【0003】
この方式は、室外空気をそのまま使って、冷風となるように冷却して空間を経由して居住空間に吹き込むため、居住空間の空気は吹き込まれた空気によって外部に追い出されており、非常に効率が悪いものであった。また、二重構造のテント装置では外壁部材が直射日光を受けて温度が高くなると空間内の温度が低下しにくくなるため、居住空間に吹き込む冷風の温度が高くなって冷房効率が悪化し、快適な空調空間を得ることができなかった。
【0004】
また、出願人はテント装置に適したエアコン装置を特許文献1に示すように提案しており、このエアコン装置の基本構成は一つのベース上に室内機と室外機を取り付けて、室内機を仮設設備の居住空間に位置させることで、通常の室内と同様に室内空気を取り込んで冷却して冷風を作り出している。
【特許文献1】特開2003−139383号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方式では、室内機が居住空間の空気を取り込んで冷却した空気を吹き出すので、ほぼ密閉された居住空間を作り出すことができ、このエアコン装置を二重構造のテント装置に設置すれば、居住空間を効率よく冷房することができる可能性がある。
しかし、外壁部材が直射日光を受けて空間内の温度が高くなると、内壁部材の表面温度が上昇して熱気が居住空間に伝わり、居住空間の温度低下を妨げるため、結局、十分な冷房効果を得ることができないものであり、二重構造のテント装置において最適な居住空間を作る出だすためには更なる工夫が必要であることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、居住空間Aを作る内壁部材1と、その内壁部材1の外側に位置した外壁部材2と、前記内壁部材1と前記外壁部材2との間に形成した空間3とを有する、二重構造のシートによって構成されるテント装置Bであって、そのテント装置Bには前記居住空間A内を冷却するエアコン装置Cが配置されており、そのエアコン装置Cは、室外機4と室内機5とで構成され、前記室外機4は、冷媒を圧縮する圧縮機6と、高圧の冷媒を液化する室外熱交換器7と、その室外熱交換器7に空気を供給する室外送風機8とを備え、前記室内機5は、前記居住空間A内の空気を吸入して冷気に変えて居住空間Aに吹き出す室内送風機9と、その室内送風機9の空気流が通過する室内空気流路10と、その室内空気流路10内に配置して前記室外熱交換器13で液化した冷媒を気化する室内熱交換器11とを備えると共に、前記テント装置Bの前記外壁部材2の上部には、前記空間3と外気とを連絡する開口12を設け、前記室外機8には、外気を前記室外送風機8へ供給する吸気口13と、前記室外熱交換器7を通過した空気が吹き出す吹出口14とを設け、前記吸気口13は前記空間3内に開口しており、前記室外送風機8は前記テント装置Bの前記外壁部材2に設けた開口12から前記空間3内を経由した空気を、前記室外熱交換器7に供給することを特徴とするものである。
【0007】
前記エアコン装置Cの室外機4は、吸気口13が前記空間3内に開口すると共に吹出口14が外気に開口して前記空間3と外気とを連絡しており、前記室外送風機8は前記室外熱交換器7に供給した前記空間3内の空気をテント装置Bの外へ吹き出すことによって、空間3の空気がテント装置Bの外に排出されると共に開口12から空間3に新鮮な空気が送られるので、空間3内は空気の入れ換えが行われて低い温度を維持できるものである。
【0008】
前記室外機4と室内機5は、共通のベース15に設置されて一体化したエアコン装置Cを構成し、室外機4と室内機5との間に内壁部材1が位置して、室外機4がテント装置Cの空間3内に配置されると共に室内機5が居住空間A内に配置されることによって、エアコン装置Cが容易にテント装置Bに設置できるものとなる。
【0009】
前記外壁部材2には、室外機4の吹出口14と対向する空気流出口16を設け、該空気流出口16の内縁には、前記室外機4の吹出口14の外周と接続する空気案内部材17を設けたことによって、室外熱交換器7を通過して吹出口14から吹き出す高温空気は空間3内に漏れ出すことなく、直接テント装置Bの外へ吹き出すことができる。
【0010】
前記室外機4の吸気口13と間隔を介してベース15から固定部材18を立ち上げ、その固定部材18の上部に室外機4と反対側に向けて室内機5を取り付け、前記テント装置Bの内壁部材1には室内機5と対向する位置に開口部19を設け、開口部19には密着手段20によって開口部19の周縁に接続する閉止部材21を設け、室内機5は開口部19から居住空間A内に差込まれ、閉止部材21が密着手段20によって開口部19の周縁に接続して開口部19を閉止することによって、ベース15によって一体化したエアコン装置Cを設置したときでも、空気調和される居住空間Aが確実に密閉空間を構成することができる。
【0011】
前記外壁部材2には空間3内の空気をテント装置Bの外へ吹き出す排気ファン22を配置したことによって、開口12から流入する空気が空間3内の全体に届きやすくなり、空間3の全体を低い温度に維持することができる。
【0012】
前記テント装置Bの外壁部材2の上部の開口12には網状体23を設けたことによって、空間3内へのゴミや埃の侵入を防止して室外機4を保護することができる。
【0013】
前記テント装置Bの上部には外壁部材2と間隔をあけて日よけ部材24を配置したことによって、外壁部材2の直射日光が遮られて空間3の温度上昇を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、居住空間Aを作る内壁部材1と、その内壁部材1の外側に位置した外壁部材2と、前記内壁部材1と前記外壁部材2との間に形成した空間3とを有する、二重構造のシートによってテント装置Bを構成し、テント装置Bには前記居住空間A内を冷却するエアコン装置Cが配置されており、エアコン装置Cの室内機5は居住空間A内の空気を吸入して冷気に変えて居住空間Aに吹き出す構成としたから、居住空間A内を効率良く冷房することができる。
また、テント装置Bの外壁部材2の上部には空間3と外気とを連絡する開口12を設け、エアコン装置Cの室外機4は吸気口13を空間3内に開口して、室外送風機8がテント装置Bの外壁部材2に設けた開口12から空間3内を経由した空気を、室外熱交換器7に供給する構成としたから、空間3内には開口12から新鮮な空気が送られて空間3内を低い温度に維持することができ、居住空間Aの冷房効率が向上して快適な居住空間を得ることができるものとなった。
【0015】
また、前記室外機4の吹出口14をテント装置Bの外に開口して、室外熱交換器7に供給する空間3の空気をテント装置Bの外に吹き出す構成としたから、室外熱交換器7を通過して高温となった空気はテント装置Bの外へ吹き出し、空間3には開口12から新鮮な空気が送られ、空間3内の空気の入れ換えが行われるので、空間3を低い温度に維持することができる。
【0016】
また、前記室外機4と室内機5は、共通のベース15に設置して一体化したエアコン装置Cを構成したから、エアコン装置Cはベース15ごと移動して、テント装置Bの内壁部材1が室外機4と室内機5との間に位置するように設置することで、室内機5がテント装置Cの空間3内に位置し、室外機4が居住空間A内に位置し、エアコン装置Cは電源を接続すればすぐに使用できるものであり、取り扱いやすいエアコン装置Cが構成できたものである。空間3内に位置する室外機4は、外壁部材2によって直射日光が遮られて直接加熱されることがなくなるから、室外機4を低い温度に維持することができ、室外機4の性能を維持することができる。
【0017】
また、エアコン装置Cの室外機4をテント装置Bの空間3内に配置したときにおいて、前記外壁部材2の空気流出口16の内縁に空気案内部材17を取り付けて、その空気案内部材17の先端を前記室外機4の吹出口14の外周と接続したから、室外熱交換器7を通過して吹出口14から吹き出す高温の空気は空気案内部材17に誘導されて空気流出口16に向かい、空間3に漏れ出すことなく確実にテント装置Bの外へ吹き出すので、空間3内は開口12から入った新鮮な空気で満たされ、空間3と室外機4は低い温度を維持することができ、冷房効率を低下させることがない。
【0018】
また、室外機4の吸気口13と間隔を介してベース15から固定部材18を立ち上げ、その固定部材18の上部に室外機4と反対側に向けて室内機5を取り付け、室内機5はテント装置Bの内壁部材1に設けた開口部19から居住空間A内に差込んで設置し、開口部19に設けた閉止部材21を密着手段20によって開口部19の周縁に接続して開口部19を閉止するものである。このため、一体化したエアコン装置Cを設置したときでも、空気調和される居住空間Aを確実に密閉空間にすることができ、居住空間Aを効率よく冷房できるものである。
【0019】
また、外壁部材2には空間3の空気をテント装置Bの外に吹き出すための排気ファン22を取り付けたから、空間3内には開口12から室外機4と排気ファン22に向かう空気流が形成され、空間3の全体に均一に空気の流れを発生させるので、大型のテント装置Bや外気温が高いときでも空間3全体を低い温度に維持することができる。
【0020】
また、外壁部材2の開口12に網状体23を設ければ、開口12を通過する空気中のゴミや埃を網状体23で遮って空間3内への侵入を阻止するので、空間3内の空気や室外機4の汚れを防ぐことができる。
【0021】
また、テント装置Bの上部に外壁部材2と間隔をあけて日よけ部材24を配置すれば、日よけ部材24が直射日光を遮って外壁部材2が直接加熱されることがなくなるので、外壁部材2の温度上昇を抑えて空間3内を低い温度に維持することができ、居住空間Aの冷房効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、Bはテント装置、Aはテント装置Bの居住空間、Cはテント装置Bに設置して居住空間Aの冷房を行うためのエアコン装置であり、この種のテント装置Bは安価な石油ストーブなどでも暖房できるから、テント装置Bの利用者からは冷房需要を望まれ、エアコン装置Cは冷暖房タイプではなく冷房専用であってもよい。
【0023】
1はシートで作られたテント装置Bの内壁部材、2は同じくシートで作られた内壁部材1の外側に位置する外壁部材、3は内壁部材1と外壁部材2との間に形成される空間であり、内壁部材1と外壁部材2は支柱やロープなどを使って地面から立ち上げられており、内壁部材1は側壁の下端から連続して居住空間Aの底面を構成する底シートを形成して、閉ざされた居住空間Aを作り出している。また、外壁部材2は側壁の下端を地面に埋め込む方法などで地面から連続するように設置されており、内壁部材1と外壁部材2との間に閉ざされた空間3が形成され、二重構造のテント装置Bを構成している。
【0024】
4はエアコン装置Cの室外機、6は冷媒を圧縮する圧縮機、7は圧縮機6で加圧された高温高圧の冷媒を液化する室外熱交換器、8は室外熱交換器7に空気を供給する室外送風機であり、圧縮機6・室外熱交換器7・室外送風機8は室外機4に収納している。13は室外機4の室外送風機8の入口側に設けた吸気口、14は室外送風機8の出口側に設けた吹出口であり、吸気口13から入った空気は室外熱交換器7を冷却して高温高圧の冷媒を液化し、室外熱交換器7を通過して高温となった空気は吹出口14から熱風となって吹き出す。
【0025】
5はエアコン装置Cの室内機、11は前記室外熱交換器7からキャピラリを介して液化冷媒が送られる室内熱交換器、10は室内熱交換器11が配置された室内空気流路、9は室内空気流路10内の室内熱交換器11に空気を通過させる室内送風機、9aは室内機5の室内送風機9の吸入側の室内空気流路10に設けた吸入口、9bは室内機5の室内空気流路10の出口に設けた吐出口であり、室内熱交換器11に送られた液化冷媒は室内熱交換器11で気化し、吸入口9aから入った空気は室内熱交換器11で冷媒の気化熱を奪って冷風となり、吐出口9bから吹き出している。
【0026】
そしてこの発明では、室内送風機9によって居住空間Aの空気が吸入口9aから吸込まれて室内熱交換器11に供給されて冷却され、冷風となって吐出口9bから居住空間Aに吹き出し、一方、室外送風機8によって空間3の空気が吸気口13から吸込まれて室外熱交換器7に供給され、室外熱交換器7を通過した高温空気が吹出口14から吹き出し、テント装置Bの外に排出するように構成したものである。
【0027】
12はテント装置Bの外壁部材2の上部に設けた開口であり、該開口12によってテント装置Bの空間3と外気とが連絡しており、室外送風機8によって空間3の空気が室外熱交換器7に供給されると空間3内が負圧になるから、外壁部材2の上部に設けた開口12から室外空気が空間3内に流入し、この空気が空間3内を経由して吸気口13に向かうものであり、空間3内には空気の流れが発生している。
【0028】
二重構造のテント装置Bでは、外壁部材2が直射日光を受けて加熱されると空間3内の温度が上昇し、空間3の熱気が内壁部材1を通過して居住空間Aに伝わって、居住空間Aの冷房効率を低下させる原因となっていたが、この発明のテント装置Bは、開口12から空間3内に常に新鮮な空気が送られ、空間3内で暖められた空気は室外送風機8によって室外熱交換器7に供給し、室外熱交換器7を通過して吹出口14から吹き出す高温空気をテント装置Bの外へ排出するから、空間3は常に開口12から送られる新鮮な空気で満たされて低い温度に維持することができ、冷房効率を低下させることなく居住空間Aを冷房することができるものとなった。
【0029】
図2は前記エアコン装置Cをセパレートタイプのエアコン装置で構成したもので、15は室外機4と室内機5を設置する共通のベース、25は室外機4と室内機5とを連結する冷媒配管や電気配線などの連結配管であり、ベース15の一方の端に室外機4を取り付け、他方の端に室内機5を取り付け、室外機4と室内機5とを連結配管25で接続しており、室外機4と室内機5とが一体化されたエアコン装置Cを構成している。
26は室内機5に接続したドレン配管であり、ドレン配管26はテント装置Bの居住空間A内の空気を冷却したときに除湿された水分が排出されるように室内機5に接続されており、このドレン配管26の他端は室外機4付近まで伸ばされて、テント装置Bの外へ排水することができるようになっている。
【0030】
このようにエアコン装置Cはベース15によって一体化された状態で、室外機4と室内機5とを連結する連結配管25が取り付けられているから、電源さえ供給すれば直ちに使用可能な状態になっており、エアコン装置の設置のための業者による工事は不要であり、誰でも直ちに使用することができる。
【0031】
19はテント装置Bの内壁部材1に設けた開口部であり、エアコン装置Cをテント装置Bに設置するときは、室内機5を内壁部材1の開口部19から居住空間A内に差込んで、室外機4と室内機5との間に内壁部材1の側壁が位置するようにエアコン装置Cを設置すれば、室内機5が居住空間A内に位置し、室外機4が内壁部材1と外壁部材2との空間3内に位置することができる。
【0032】
そして、エアコン装置Cを運転すると、室内機5は居住空間Aの空気を吸入口9aから吸込んで室内熱交換器11で冷却して吐出口9bから居住空間Aに冷風を吹き出し、一方、室外機4は空間3の空気を吸気口13から吸込んで室外熱交換器7に供給し、室外熱交換器7を通過した高温空気を吹出口14から吹き出すものである。
この構成では、室内機5が居住空間A内に配置されるから、居住空間Aは閉ざされた空間を作り出すことができ、エアコン装置Cはこの居住空間Aの空気を冷却して冷房を行うので、居住空間Aを効率よく冷房することができるものとなった。
【0033】
16は室外機4の吹出口14と対向する外壁部材2に設けた空気流出口、17は空気流出口16の内縁に取り付けられて、その先端が室外機4の吹出口14の外周に接続する空気案内部材であり、室外熱交換器7を通過して吹出口14から吹き出す高温空気は、空気案内部材17によって誘導されて空気流出口16からテント装置Bの外に吹き出すものであり、高温空気が空間3に漏れ出して逆流することがないから、空間3は開口12から流入する新鮮な空気で満たされ、空間3の温度を低く維持することができるものである。
【0034】
このように、エアコン装置Cが使用可能な状態で保管ができ、テント装置Bへの設置が容易にできるので、取り扱い性に優れたものとなり、また、家庭用のエアコンに使われる各種部品をそのまま流用して構成できるから、テント装置Bのための専用エアコン装置Cでも安価に製造できるものとなった。
また、室外機4が空間3内に配置されるから外壁部材2によって直射日光が遮られて直接加熱されることがなくなり、室外機4の周囲には空気の流れが発生しているから、室外機4を低温度に維持することができ、エアコン装置Cの冷房能力を維持できるものとなった。
【0035】
18は室外機4の吸気口13と間隔をあけてベース15から立ち上げた固定部材であり、固定部材18はベース15から立ち上げられた縦枠とその縦枠の上端部を連結する横枠及び連結枠で構成されており、この横枠及び連結枠に室外機4とは反対側に向けて室内機5が取り付けられている。
内壁部材1にはベース15の固定部材18に取り付けた室内機5と同じ高さとなるように開口部19が設けてあり、エアコン装置Cをテント装置Bに設置するときは、固定部材18を内壁部材1に接近させて室内機5を開口部19から居住空間Aに差込むことで、室内機5が居住空間Aに配置され、室外機4が空間3内に配置される。
【0036】
空間3内に室外機4が配置されると、室外送風機8が吸気口13と内壁部材1との間の空気を吸込むが、この構成では、室外機4の吸気口13と内壁部材1との間に固定部材18が位置しており、固定部材18によって内壁部材1が吸気口13に吸い寄せられることがないから、内壁部材1が室外機4の室外熱交換器7に向かう空気流の妨げになることはない。
【0037】
21は開口部19を封鎖する為の閉止部材、20は閉止部材22を開口部19の周縁の内壁部材1に接続する密着手段であり、室内機5を開口部19に差込んだ後、閉止部材21を開口部19の周縁の密着手段20と密着させることで開口部19が封鎖でき、エアコン装置Cを設置したときでも居住空間Aと空間3をほぼ密閉することができる。
【0038】
具体的な構成として、図3の実施例では閉止部材21が開口部19の上部で縫い合わされており、20aは開口部19の周縁の側方と下部に取り付けた密着手段20を構成する面ファスナーであり、エアコン装置Cを設置しないときは、閉止部材21を開口部19の周縁の面ファスナー20aに密着させて開口部19を封鎖しており、居住空間Aと空間3とを密閉することができる。
一方、エアコン装置Cを設置したときは、室内機5を開口部20に差込んで居住空間A内に位置させた後、閉止部材21を開口部19の周縁の面ファスナー20aに密着させると、閉止部材21が固定部材18を挟み込む形で開口部19を封鎖するので、居住空間Aと空間3とをほぼ密閉することができる。
【0039】
このように、ベース15によって一体化されたエアコン装置Cを設置するときでも、閉止部材21で開口部19を封鎖して居住空間Aと空間3とを密閉することができるので、居住空間Aの冷気を開口部19から空間3に逃がすことなく、また逆に空間3の空気が開口部19から居住空間Aに入ることを防止でき、居住空間Aの冷房効率を低下させることがないものである。
【0040】
22は空間3内の空気をテント装置Bの外へ吹き出すための排気ファン22であり、排気ファン22は外壁部材2の下端部に設置して、テント装置Bの空間3内と外気とを連絡しており、排気ファン22を運転すると空間3の空気が吸込まれてテント装置Bの外に排出される。
大型のテント装置Bを使用するときや外気温が高いときには、室外機4の室外送風機8の能力だけでは空間3全体の温度が低下しないことがあるが、このような場合にはエアコン装置Cと対角位置に排気ファン22を設置して、エアコン装置Cと排気ファン22を同時に運転すれば、空間3全体に空気の流れを発生させることができるので、確実に空間3の温度上昇を防ぐことができるものとなる。
【0041】
23は外壁部材2の上部の開口12に設けた網状体23であり、開口12を通過して空間3に向かう空気に含まれる埃やゴミを網状体23で遮って、空間3内へのゴミや埃の侵入を防ぐことができる。このため、テント装置Bが使用環境の悪い場所に設置されたときでも、空間3内や室外機4の汚れが発生しにくくなるので、室外機4はゴミや埃の詰まりが原因となる性能低下の発生が格段に少なくなる。
【0042】
24はテント装置Bの上部に外壁部材2と間隔をあけて配置した日よけ部材であり、日よけ部材24はテント装置Bの上方全体を覆うように設けている。テント装置Bの上部に日よけ部材24を設置することで、日よけ部材24によって直射日光が遮られて外壁部材2が加熱されにくくなるので、空間3を低温度に維持しやすくなり、居住空間Aの冷房効率を向上させることができる。また、雨天時には外壁部材2の開口12から空間3への雨水の浸水を防ぐので、湿気や水によるトラブルを防ぐことができる。
【0043】
12a・16aは外壁部材2の開口12と空気流出口16をそれぞれ閉止するための開閉手段であり、エアコン装置Cを使用しないときには開閉手段12a・16aによって開口12・空気流出口16を閉止して空間3を密閉することができる。このため、石油ストーブなどで居住空間Aの暖房を行うときは、密閉された空間3による断熱効果を得ることができ、優れた暖房効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施例を示すエアコン装置を備えたテント装置の断面図である。
【図2】この発明の実施例のエアコン装置の設置状態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施例のエアコン装置をテント装置に設置する前の状態を示す要部斜視図である。
【図4】この発明の実施例を示すテント装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
A 居住空間
B テント装置
C エアコン装置
1 内壁部材
2 外壁部材
3 空間
4 室外機
5 室内機
6 圧縮機
7 室外熱交換器
8 室外送風機
9 室内送風機
10 室内空気流路
11 室内熱交換器
12 開口
13 吸気口
14 吹出口
15 ベース
16 空気流出口
17 空気案内部材
18 固定部材
19 開口部
20 密着手段
21 閉止部材
22 排気ファン
23 網状体
24 日よけ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間Aを作る内壁部材1と、その内壁部材1の外側に位置した外壁部材2と、前記内壁部材1と前記外壁部材2との間に形成した空間3とを有する、二重構造のシートによって構成されるテント装置Bであって、
そのテント装置Bには前記居住空間A内を冷却するエアコン装置Cが配置されており、
そのエアコン装置Cは、室外機4と室内機5とで構成され、
前記室外機4は、冷媒を圧縮する圧縮機6と、高圧の冷媒を液化する室外熱交換器7と、その室外熱交換器7に空気を供給する室外送風機8とを備え、
前記室内機5は、前記居住空間A内の空気を吸入して冷気に変えて居住空間Aに吹き出す室内送風機9と、その室内送風機9の空気流が通過する室内空気流路10と、その室内空気流路10内に配置して前記室外熱交換器13で液化した冷媒を気化する室内熱交換器11とを備えると共に、
前記テント装置Bの前記外壁部材2の上部には、前記空間3と外気とを連絡する開口12を設け、
前記室外機4には、外気を前記室外送風機8へ供給する吸気口13と、前記室外熱交換器7を通過した空気が吹き出す吹出口14とを設け、
前記吸気口13は前記空間3内に開口しており、前記室外送風機8は前記テント装置Bの前記外壁部材2に設けた開口12から前記空間3内を経由した空気を、前記室外熱交換器7に供給することを特徴とする空気調和装置付きテント装置。
【請求項2】
前記エアコン装置Cの室外機4は、吸気口13が前記空間3内に開口すると共に吹出口14が外気に開口して前記空間3と外気とを連絡しており、
前記室外送風機8は前記室外熱交換器7に供給した前記空間3内の空気をテント装置Bの外へ吹き出すことを特徴とする請求項1に記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項3】
前記室外機4と室内機5は、共通のベース15に設置されて一体化したエアコン装置Cを構成し、
室外機4と室内機5との間に内壁部材1が位置して、室外機4がテント装置Cの空間3内に配置されると共に室内機5が居住空間A内に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項4】
前記外壁部材2には、室外機4の吹出口14と対向する空気流出口16を設け、該空気流出口16の内縁には、前記室外機4の吹出口14の外周と接続する空気案内部材17を設けたことを特徴とする請求項3に記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項5】
前記室外機4の吸気口13と間隔を介してベース15から固定部材18を立ち上げ、その固定部材18の上部に室外機4と反対側に向けて室内機5を取り付け、
前記テント装置Bの内壁部材1には室内機5と対向する位置に開口部19を設け、
開口部19には密着手段20によって開口部19の周縁に接続する閉止部材21を設け、
室内機5は開口部19から居住空間A内に差込まれ、閉止部材21が密着手段20によって開口部19の周縁に接続して開口部19を閉止することを特徴とする請求項3または4に記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項6】
前記外壁部材2には空間3内の空気をテント装置Bの外へ吹き出す排気ファン22を配置したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項7】
前記テント装置Bの外壁部材2の上部の開口12には網状体23を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載した空気調和装置付きテント装置。
【請求項8】
前記テント装置Bの上部には外壁部材2と間隔をあけて日よけ部材24を配置したことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載した空気調和装置付きテント装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−54167(P2010−54167A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222263(P2008−222263)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】