空気通路接続用継手
【課題】空気通路部材どうしの接続をワンタッチで行うことが可能な空気通路接続用継手を提供する。
【解決手段】互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体(第1の円筒体11、第2の円筒体12)を備える。これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体(第2の円筒体12)の内部に他方の円筒体(第1の円筒体11)が出し入れ自在に嵌合する形状に形成されている。両円筒体の嵌合部分31には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部33と凸部34とからなる係合部35が設けられている。
【解決手段】互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体(第1の円筒体11、第2の円筒体12)を備える。これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体(第2の円筒体12)の内部に他方の円筒体(第1の円筒体11)が出し入れ自在に嵌合する形状に形成されている。両円筒体の嵌合部分31には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部33と凸部34とからなる係合部35が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば空調設備の機器と空気通路形成用のフレキシブルダクトとを接続したり、フレキシブルダクトどうしを接続するために用いる空気通路接続用継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調設備のチャンバーにフレキシブルダクトを接続するための接続構造としては、たとえば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示されたフレキシブルダクトは、先端部に短管状の部材が設けられており、この部材を介して分岐ボックスに(チャンバー)接続されている。前記短管状の部材には、径方向の外側に突出する抜け防止金具が設けられている。
【0003】
前記分岐ボックスには、前記短管状の部材が挿入される穴と、前記抜け防止金具を通すための切り欠きとが形成されている。前記フレキシブルダクトは、前記短管状の部材を前記穴に挿入するとともに抜け防止金具を前記切り欠きに通した状態で所定角度回され、この状態で設置される。また、分岐ボックスの前記穴と前記短管状の部材との間には、パッキンが挟まれている。
【0004】
一方、フレキシブルダクトどうしを接続するためには、一般に、ニップルと呼称される短管を使用して行っている。前記ニップルは、フレキシブルダクトより小径に形成されており、フレキシブルダクトの先端部内に挿入されて接続される。フレキシブルダクトどうしを接続するためには、先ず、前記ニップルを一方のフレキシブルダクトから他方のフレキシブルダクトに延びるように装着する。次に、フレキシブルダクトの内周部の管状部材と前記ニップルとの接続部に空気が漏洩することがないように粘着テープを巻き付けるとともに、この接続部に結束バンドを締め付ける。その後、フレキシブルダクトのグラスウール断熱材と外皮とを前記ニップルに被せ、これらの先端部を粘着テープで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−201551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すフレキシブルダクトの接続構造では、フレキシブルダクトをいわゆるワンタッチで分岐ボックスに接続することはできないという問題があった。
一方、フレキシブルダクトどうしを接続するにあたっては、作業内容が複雑で作業者の熟練度が異なると施工品質にむらが生じてしまう。さらに、作業者の熟練度が低いと施工時間が必要以上に長くなってコストアップになるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、空調設備の機器とフレキシブルダクトとの接続やフレキシブルダクトどうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る空気通路接続用継手は、互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体を備え、これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成され、前記両円筒体の嵌合部分には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部と凸部とからなる係合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、前記凹部と前記凸部とは、前記両円筒体の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触していることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記円筒体どうしの嵌合部分と協働して二重管を構成する外筒を備え、前記外筒と前記嵌合部分との間には閉空間からなる中空部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記一対の円筒体のうち、一方の円筒体は、他方の円筒体に嵌合可能な嵌合部が両端部に設けられた先端側円筒体と、この先端側円筒体に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体とによって構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記円筒体どうしの嵌合部分の径方向の外側には、前記円筒体どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた穴と、この穴に係止されるように他方の円筒体に設けられた係止片とによって構成され、前記係止片は、両円筒体が嵌合する方向に移動することにより前記穴に係入することを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた突起と、他方の円筒体に設けられた突起とによって構成され、これらの突起は、両円筒体が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うことを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記両突起が噛み合う位置で前記円筒体の回転を規制するストッパーと、両突起が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体の外周面にそれぞれ形成された表示部とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、一対の円筒体のうち、一方の円筒体をたとえばフレキシブルダクトに取付け、他方の円筒体をたとえば空調設備の機器(分岐チャンバー、給気ボックス、吹出グリル等)に取付けた状態で、これら両円筒体を互いに嵌合させることによって、前記二つの空気通路部材(フレキシブルダクトと、分岐チャンバー、給気ボックス、吹出グリル等)どうしが接続される。したがって、本発明によれば、二つの空気通路部材どうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手を提供することができる。この継手を使用することによって、たとえばフレキシブルダクトを空調設備の機器に取付けたり、フレキシブルダクトどうしを接続するにあたって、作業者の技量とは無関係に一定の施工品質が得られ、施工時間も短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る空気通路接続用継手を用いて構成された空調設備を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る空気通路接続用継手を示す斜視図である。
【図3】第1の円筒体を示す図で、同図(A)は先端部の正面図、同図(B)は図(A)におけるB−B線断面図である。
【図4】第2の円筒体を示す図で、同図(A)は先端部の正面図、同図(B)は図(A)におけるB−B線断面図である。
【図5】フレキシブルダクトどうしを接続する継手の一例を示す断面図で、同図は接続前の状態を示している。同図の破断位置は図3(B)および図4(B)と同じ位置である。
【図6】フレキシブルダクトどうしを接続する継手の一例を示す断面図で、同図は接続後の状態を示している。同図の破断位置は図3(B)および図4(B)と同じ位置である。
【図7】図6におけるA部を拡大して示す断面図である。
【図8】図6におけるB部を拡大して示す断面図である。
【図9】係止部の構成を示す斜視図である。
【図10】第2の実施の形態による空気通路接続用継手を用いて構成された空調設備を示す斜視図である。
【図11】第2の実施の形態による空気通路接続用継手の分解斜視図である。
【図12】第2の円筒体の分解斜視図である。
【図13】第2の円筒体の組立状態を示す斜視図である。
【図14】第2の実施の形態による空気通路接続用継手の断面図である。
【図15】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の分解斜視図である。
【図16】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の接続状態を示す斜視図である。
【図17】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る空気通路接続用継手の一実施の形態を図1〜図9によって詳細に説明する。
図1に示す空調設備1は、図示していない空気調和装置から一つの分岐チャンバー2に供給された空気を複数の給気ボックス3にフレキシブルダクト4を介して分配するものである。分岐チャンバー2および給気ボックス3は、内部に空気通路を有する箱状に形成されている。これらの分岐チャンバー2と給気ボックス3の筐体は、断熱性を有する材料を用いて形成されている。
【0015】
分岐チャンバー2は、空気を分配したり合流させたりするものであり、給気ボックス3は、空気出口を構成するものである。フレキシブルダクト4は、柔軟性を有する断面形状が円形の管状に形成されている。詳述すると、このフレキシブルダクト4は、図5に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒状の芯材4aと、この芯材4aの周囲に断熱層を形成するためのグラスウール4bと、このグラスウール4bを覆う外皮4cとによって構成されている。
【0016】
図1に示す実施の形態においては、前記分岐チャンバー2と、前記給気ボックス3と、フレキシブルダクト4とによって、本発明でいう空気通路部材が構成されている。これらの空気通路部材は、この実施の形態による空気通路接続用継手6によって互いに接続されている。すなわち、この空気通路接続用継手6は、互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成している。
【0017】
この実施の形態による空気通路接続用継手6は、図2に示すように、一対の円筒体11,12によって構成されている。この実施の形態においては、これらの円筒体11,122のうち、図2において右側に位置する一方の円筒体を第1の円筒体11といい、他方の円筒体を第2の円筒体12という。以下においては、第1、第2の円筒体11,12における空気通路部材に接続される端部を基端部といい、反対側の端部、すなわち他方の円筒体に接続される端部を先端部という。
【0018】
これらの第1、第2の円筒体11,12は、図3〜図6に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒からなる円筒部13,14と、この円筒部13,14の一端側(第1、第2の円筒体11,12の先端部側)の外周部分に設けられたフランジ部15,16とによって構成されている。第1、第2の円筒体11,12は、図5および図6においてはフレキシブルダクト4に取付けられているが、図1に示すように、分岐チャンバー2や給気ボックス3等の他の空気通路部材にも取付けられる。
【0019】
前記円筒部13,14とフランジ部15,16とは、プラスチック材料によって一体に形成されている。前記円筒部13,14における第1、第2の円筒体11,12の基端部側の外径は、前記空気通路部材の円形穴に嵌合可能な大きさに形成されている。この円形穴は、フレキシブルダクト4においては芯材4aの開口部分であり、分岐チャンバー2や給気ボックス3においては、これらの部材の外壁に形成されている。
【0020】
前記円筒部13,14をフレキシブルダクト4に取付けるためには、先ず、グラスウール4bと外皮4cとを長手方向に縮めるようにして芯材4aを露出させ、この芯材4aに前記円筒部13,14を挿入する。そして、芯材4aを図示していない結束バンドや粘着テープなどで縛り、円筒部13,14に密着させる。その後、グラスウール4bと外皮4cとを初期の位置に戻し、外皮4cの先端部分を粘着テープによって後述するフランジ部15,16に接続する。このように外皮4cの端末処理が終了することによって、第1、第2の円筒体11,12がフレキシブルダクト4の先端部に取付けられることになる。
【0021】
前記円筒部13,14の外周部分には、上述したように縛り付けられた芯材4aが係合するように環状溝17(図3〜図6参照)が形成されている。この環状溝17に芯材4aが係合することによって、第1、第2の円筒体11,12にフレキシブルダクト4から引き抜くような力が加えられたとしても、第1、第2の円筒体11,12がフレキシブルダクト4から容易に外れることはない。
【0022】
前記フランジ部15,16は、図7および図8に示すように、前記円筒部13,14から径方向の外側に延びる円板部21,22と、この円板部21,22の外周縁部から第1、第2の円筒体11,12の先端部側へ延びる外筒部23,24とによって断面L字状に形成されている。前記円板部21,22の外径は、図5に示すように、フレキシブルダクト4や他の空気通路部材に設けられている断熱層と同等の大きさに形成されている。
前記外筒部23,24は、前記円筒部13,14と同一軸線上に位置する円筒によって形成されている。この実施の形態による外筒部23,24の外周部分には、図2に示すように、周方向に延びる凹溝25と、第1、第2の円筒体11,12の軸線方向に延びる複数の凹溝26とが形成されている。これらの凹溝25,26は、作業者が手で把持したときに滑り難くするためのものである。
【0023】
第1の円筒体11の先端部と第2の円筒体12の先端部、すなわちこれらの円筒体11,12の互いに対向する開口部(円筒部13,14)は、図6〜図8に示すように、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成されている。詳述すると、両円筒体11,12どうしの嵌合部分31(図7,8参照)は、第2の円筒体12の円筒部14に突設された筒状壁32の内側に第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する構造が採られている。
【0024】
前記筒状壁32は、前記円筒部14の外周側に位置し、円筒部14と同一軸線上に位置するように形成されている。この筒状壁32の内周部には、凹部33が形成されている。一方、第1の円筒体11の円筒部13には、前記凹部33に係合する凸部34が形成されている。すなわち、第1の円筒体11と第2の円筒体12の嵌合部分31には、これら両円筒体11,12どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部33と凸部34とからなる係合部35が設けられている。前記凹部33と凸部34とは、それぞれ円筒部13,14の周方向の全域に途切れることなく一連に延びるように形成されている。また、これらの凹部33と凸部34とは、前記周方向の全域において互いに接触するように形成されている。
【0025】
第1の円筒体11の前記フランジ部15と、第2の円筒体12の前記フランジ部16とは、図7および図8に示すように、前記円筒部13,14どうしが嵌合する状態で互いに接続されるように形成されている。フランジ部15,16どうしの接続部分は、図8に示すように、第2の円筒体12の前記外筒部24に突設された筒状壁36が第1の円筒体11の外筒部23内に挿入される構造が採られている。前記筒状壁36は、前記外筒部24の内周側に位置し、この外筒部24と同一軸線上に位置するように形成されている。
【0026】
第1の円筒体11の外筒部23と第2の円筒体12の外筒部24どうしが接続することによって、前記両円筒体どうしの嵌合部分31と協働して二重管を構成する外筒37が形成される。また、この外筒37と前記嵌合部分31との間には、閉空間からなる中空部38が形成される。この中空部38は、嵌合部分31の全域を外周側から囲むように形成されている。
【0027】
第1の円筒体11と第2の円筒体12の嵌合部分31の径方向の外側には、図7に示すように、両円筒体が引き離される方向への移動を規制するために係止部41が設けられている。前記両円筒体が引き離される方向とは、両円筒体が嵌合する方向とは逆の方向をいう。この実施の形態による係止部41は、第1の円筒体11の外筒部23に設けられた第1の突起42と、第2の円筒体12の外筒部24に設けられた第2の突起43とによって構成されている。
【0028】
前記第1の突起42は、図3(B)および図7に示すように、前記外筒部23の内周部分に径方向の内側に向けて突出するように形成されている。また、この第1の突起42は、図3(A)に示すように、前記外筒部23を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられ、かつ所定の長さで周方向に延びるように形成されている。
前記第2の突起43は、図4(B)および図7に示すように、前記筒状壁36の外周部分に径方向の外側に向けて突出するように形成されている。また、この第2の突起43は、図4(A)に示すように、前記外筒部24を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられ、かつ所定の長さで周方向に延びるように形成されている。
【0029】
また、これらの第1の突起42と第2の突起43は、第1の円筒体11と第2の円筒体12とが嵌合した状態で前記周方向の同一位置に位置付けられることによって、図7に示すように、第1、第2の円筒体11,12の軸線方向(図7においては左右方向)に互いに接触する状態で並ぶように形成されている。第1の突起42は、図7に示すように、第2の突起43と、この第2の突起43を有するフランジ部16の円板部22との間に位置している。また、第2の突起43は、第1の突起42と、この第1の突起42を有するフランジ部15の円板部21との間に位置している。
【0030】
すなわち、第1の突起42と第2の突起43とが上述したように前記軸線方向に並ぶ状態においては、これら両突起42,43が互いに噛み合うことになり、一方の円筒体を他方の円筒体から引いて離すことはできなくなる。これら両突起42,43を噛み合わせるためには、先ず、両突起42,43の周方向の位置が異なる状態で第1、第2の円筒体11,12どうしを嵌合させ、次いで、一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって行う。
【0031】
この実施の形態においては、前記両突起42,43が噛み合う位置で前記一方の円筒体の回転を規制するストッパー44(図9参照)を備えている。このストッパー44は、図9に示すように、第2の突起43の端部に第1の突起42の移動経路を横切るように一体に形成されている。すなわち、第1の突起42が第2の突起43と噛み合う位置を越えて移動するような場合は、第1の突起42がストッパー44に当接し、それ以上の移動が規制される。
【0032】
また、前記両外筒部23,24は、図2に示すように、前記両突起42,43と対応する表示部45,46を備えている。この表示部45,46は、外筒部23,24の外周部に形成された平坦面45a,46aと、この平坦面に形成された刻印45b,46bとによって構成されている。第1の円筒体11の外筒部23に設けられた表示部45と、第2の円筒体12の外筒部24に設けられた表示部46とは、前記両突起42,43が噛み合う状態で両円筒体11,12の軸線方向に一列に並ぶように形成されている。
【0033】
このように構成された空気通路接続用継手6は、第1の円筒体11の円筒部13に第2の円筒体12の円筒部14を嵌合させることによって、嵌合部分31に設けられている凹部33と凸部34とが係合し、両円筒体11,12が一体に結合された状態になる。すなわち、たとえばフレキシブルダクト4に取付けられている第1の円筒体11と、他のフレキシブルダクト4に取付けられている第2の円筒体12とを上述したように結合させることによって、これら2本のフレキシブルダクト4どうしを接続することができる。
【0034】
第1、第2の円筒体11,12は、フレキシブルダクト4の他に上述した分岐チャンバー2や給気ボックス3等の他の空気通路部材にも取付けることができる。このため、この空気通路接続用継手6を用いてフレキシブルダクト4と分岐チャンバー2とを接続したり、フレキシブルダクト4と給気ボックス3とを接続することができる。
第1の円筒体11と第2の円筒体12との接続は、一方の円筒体に他方の円筒体を嵌合させることによって行われ、いわゆるワンタッチで行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、二つの空気通路部材どうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。この継手6を使用することによって、たとえばフレキシブルダクト4を空調設備の機器に取付けたり、フレキシブルダクト4どうしを接続するにあたって、作業者の技量とは無関係に一定の施工品質が得られ、施工時間も短縮することができる。
【0035】
この実施の形態による第1の円筒体11と第2の円筒体12に設けられている前記凹部33と前記凸部34とは、前記両円筒体11,12の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触している。
このため、一対の円筒体11,12を結合させるための凹部33と凸部34とが実質的にシール部材として機能する。したがって、この実施の形態によれば、ワンタッチで接続が可能になるばかりでなく、接続時に同時にシールも行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0036】
この実施の形態による空気通路接続用継手6は、前記両円筒体11,12どうしの嵌合部分31と協働して二重管を構成する外筒37を備えている。前記外筒37と前記嵌合部分31との間には閉空間からなる中空部38が形成されている。
このため、前記中空部38が実質的に断熱空気層として機能するから、前記嵌合部分31を外側から覆う断熱材は不要になる。
したがって、この実施の形態によれば、ワンタッチで接続を行うことができるばかりでなく、接続時に同時に接続部分の断熱施工をも行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0037】
この実施の形態において、前記両円筒体11,12どうしの嵌合部分31の径方向の外側には、前記両円筒体11,12どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体11,12が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部41が設けられている。
このため、この実施の形態によれば、前記係止部41が噛み合っている状態では、互いに嵌合する二つの円筒体11,12のうち一方が他方に対して嵌合する方向とは逆方向に移動することはできない。この結果、互いに嵌合する一対の円筒体11,12からなる接続部が施工後に外れることを防ぐことができるから、空気通路接続の信頼性が高い空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0038】
この実施の形態による前記係止部41は、第1の円筒体11に設けられた第1の突起42と、第2の円筒体12に設けられた第2の突起43とによって構成されている。これらの第1、第2の突起42,43は、両円筒体11,12が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うものである。
このため、この実施の形態によれば、たとえば第1の円筒体11を第2の円筒体12に対して回すことによって、前記係止部41により係止される状態と、前記係止部41による係止が解除される状態とを切替えることができる。
【0039】
したがって、この実施の形態によれば、一方の円筒体を他方の円筒体に対して回すことによって係止状態を解除することができるから、一対の円筒体11,12からなる接続部を外す作業を簡単に行うことができる。このため、フレキシブルダクト4を交換したり、空気通路5のレイアウトを変える作業を容易に行うことができる。
【0040】
この実施の形態においては、前記両突起42,43が噛み合う位置で前記他方の円筒体の回転を規制するストッパー44と、前記両突起42,43が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体11,12の外周面にそれぞれ形成された表示部45,46とを備えている。
このため、この実施の形態によれば、前記ストッパー44によって回転が規制されるまで一方の円筒体に対して他方の円筒体を回すことにより、前記両突起42,43が互いに噛み合うようになる。このため、係止部41を確実に係止状態にすることができる。
【0041】
さらに、係止部41が係止状態であるときは両円筒体11,12の表示部45,46が一列に並ぶから、係止部41が係止状態であるか否かを目視で確認することができる。このため、この実施の形態によれば、表示部45,46を見ながら円筒体を回転させることによっても係止状態への移行が完了したか否かを確認することができる。また、施工後(継手6によって二つの空気通路部材を接続した後)に前記表示部45,46を見ることによって係止状態への移行の有無、言い換えれば接続の完了の有無を確認することができるから、施工後の検査作業を簡素化することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本発明に係る空気通路接続用継手は図10〜図14に示すように構成することができる。これらの図において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10〜図14に示す空気通路接続用継手6の第2の円筒体12は、第1の円筒体11に嵌合可能な嵌合部が両端部に設られた先端側円筒体51と、この先端側円筒体51に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体52とによって構成されている。この実施の形態においては、前記第2の円筒体12によって、請求項4記載の発明でいう「一方の円筒体」が構成されている。
【0043】
前記先端側円筒体51の両端部の前記嵌合部は、図1〜図9に示した第2の円筒体12の先端部と同一の構造となるように形成されている。この実施の形態による先端側円筒体51は、軸線方向の中央を中心として対称となるように形成されている。すなわち、この先端側円筒体51は、図14に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒からなる円筒部14と、この円筒部14の軸線方向の中央部から径方向の外側に延びる環状の円板部22と、この円板部22の外周部から軸線方向の一方と他方とに突出する円筒からなる外筒部24とによって構成されている。
【0044】
前記円筒部14の両端部には、第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する筒状壁32がそれぞれ設けられている。これらの筒状壁32には、それぞれ凹部33と凸部34とが周方向に延びるように形成されている。
前記外筒部24の両端部には、第1の円筒体11の外筒部23内に挿入される筒状壁36がそれぞれ形成されている。これらの筒状壁36には、第2の突起43とストッパー44とがそれぞれ形成されている。また、外筒部24の外周部には、表示部46が設けられている。
【0045】
前記空気通路部材側円筒体52は、この実施の形態においては前記第1の円筒体11と同一の構造のものが用いられている。この空気通路部材側円筒体52と前記第1の円筒体11の外筒部23には、図14に示すように、円板部21より両円筒体11,52の基端部側(空気通路部材側)に延びる延長部53が一体に形成されている。この延長部53と、両円筒体11,52の円筒部13との間には、環状の空間54が形成されている。この環状の空間54は、円筒部13にフレキシブルダクト4や他の空気通路部材が接続されることにより閉空間となり、実質的に断熱空気層として機能するようになる。
【0046】
このように構成された空気通路接続用継手6において、前記先端側円筒体51の嵌合部(円筒部14の先端部)は、その内部に第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する構造であるから、いわゆる雌型になる。この場合、第1の円筒体11の嵌合部は、いわゆる雄型になる。
このため、この実施の形態による第2の円筒体12の嵌合部は、先端側円筒体51が空気通路部材側円筒体52に取付けられている状態においては雌型になる。一方、先端側円筒体51が空気通路部材側円筒体52から取り外されている状態においては、第2の円筒体12の嵌合部は雄型になる。
【0047】
したがって、この実施の形態による第2の円筒体12は、先端側円筒体51の有無に応じて嵌合部の雄、雌の形式が変わるものとなる。すなわち、この第2の円筒体12は、雄型の嵌合部を有する円筒体のみならず、雌型の嵌合部を有する円筒体にも接続することが可能になる。この結果、この実施の形態によれば、嵌合部の雄型、雌型の制約を受けることがなくなる。
【0048】
このように雄型、雌型の制約がなくなると、空気通路部材に第1または第2の円筒体11,12を取付けるときにこれらの円筒体の雄、雌を予めておく必要がなくなり、作業性が向上する。また、空調設備の機器やフレキシブルダクト4に予め取付けられている円筒体に他の円筒体を接続するときにこれら両者の雄、雌が同一である場合であっても、一方の円筒体を雄、雌が異なるものに交換する作業は不要である。このため、この作業を行う場合に較べて施工時間を短縮することができる。
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明に係る空気通路接続用継手は、図15〜図17に示すように形成することができる。図15において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
この実施の形態による第1の円筒体11は、円筒からなる円筒部13と、この円筒部13の外周部に設けられた突条61と、前記円筒部13の先端部分に設けられた係止片62とによって構成されている。
【0050】
一方、第2の円筒体12は、円筒からなる円筒部14と、この円筒部14の先端部分に設けられた筒状壁32と、この筒状壁32に形成された穴63とから構成されている。この実施の形態においては、前記係止片62によって本発明でいう凸部が構成され、前記穴63によって本発明でいう凹部が構成されている。すなわち、この実施の形態においては、前記係止片62と前記穴63とによって本発明でいう係合部35が構成されている。
【0051】
第1の円筒体11の円筒部13と、第2の円筒体12の筒状壁32とは、この筒状壁32の内部に前記円筒部13が嵌合するように形成されている。第1の円筒体11の前記突条61は、嵌合方向の位置を規制するためのもので、図17に示すように、前記筒状壁32の先端面が当接するように形成されている。
前記係止片62は、図17に示すように、両円筒体11,12が嵌合する方向に移動することにより前記穴63内に係入するように構成されている。
【0052】
前記係止片63は、前記穴63に係入している状態で穴63を通して露出する。このため、前記係合部35が係合状態であるか否かを目視で確認することができる。
したがって、この実施の形態によれば、前記穴63を見ながら両円筒体11,12どうしを嵌合させることによって、接続が完了したか否かを確認することができるから、空気通路部材どうしを確実に接続することができる。また、施工後に前記穴63を見ることによって接続の完了の有無を確認することができるから、施工後の検査作業を簡素化することができる。
【0053】
さらに、この実施の形態によれば、前記穴63に露出している係止片62を外から押圧することによって係合状態を簡単に解除することができるから、一対の円筒体11,12からなる接続部を外す作業を簡単に行うことができる。このため、フレキシブルダクト4を交換したり、空気通路5のレイアウトを変える作業を容易に行うことができる。
なお、図16と図17に示した実施の形態に示す係合部35は、上述した第1の実施の形態と第2の実施の形態を採るときの外筒37に設けることもできる。この場合、外筒の係止部41は不要になる。
【符号の説明】
【0054】
1…空調設備、2…分岐チャンバー、3…給気ボックス、4…フレキシブルダクト、6…空気通路接続用継手、11…第1の円筒体、12…第2の円筒体、13,14…円筒部、15,16…フランジ部、23,24…外筒部、33…凹部、34…凸部、35…係合部、37…外筒、38…中空部、41…係止部、42…第1の突起、43…第2の突起、44…ストッパー、45,46…表示部、51…先端側円筒体、52…空気通路部材側円筒体、62…係止片、63…穴。
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば空調設備の機器と空気通路形成用のフレキシブルダクトとを接続したり、フレキシブルダクトどうしを接続するために用いる空気通路接続用継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調設備のチャンバーにフレキシブルダクトを接続するための接続構造としては、たとえば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示されたフレキシブルダクトは、先端部に短管状の部材が設けられており、この部材を介して分岐ボックスに(チャンバー)接続されている。前記短管状の部材には、径方向の外側に突出する抜け防止金具が設けられている。
【0003】
前記分岐ボックスには、前記短管状の部材が挿入される穴と、前記抜け防止金具を通すための切り欠きとが形成されている。前記フレキシブルダクトは、前記短管状の部材を前記穴に挿入するとともに抜け防止金具を前記切り欠きに通した状態で所定角度回され、この状態で設置される。また、分岐ボックスの前記穴と前記短管状の部材との間には、パッキンが挟まれている。
【0004】
一方、フレキシブルダクトどうしを接続するためには、一般に、ニップルと呼称される短管を使用して行っている。前記ニップルは、フレキシブルダクトより小径に形成されており、フレキシブルダクトの先端部内に挿入されて接続される。フレキシブルダクトどうしを接続するためには、先ず、前記ニップルを一方のフレキシブルダクトから他方のフレキシブルダクトに延びるように装着する。次に、フレキシブルダクトの内周部の管状部材と前記ニップルとの接続部に空気が漏洩することがないように粘着テープを巻き付けるとともに、この接続部に結束バンドを締め付ける。その後、フレキシブルダクトのグラスウール断熱材と外皮とを前記ニップルに被せ、これらの先端部を粘着テープで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−201551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すフレキシブルダクトの接続構造では、フレキシブルダクトをいわゆるワンタッチで分岐ボックスに接続することはできないという問題があった。
一方、フレキシブルダクトどうしを接続するにあたっては、作業内容が複雑で作業者の熟練度が異なると施工品質にむらが生じてしまう。さらに、作業者の熟練度が低いと施工時間が必要以上に長くなってコストアップになるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、空調設備の機器とフレキシブルダクトとの接続やフレキシブルダクトどうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る空気通路接続用継手は、互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体を備え、これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成され、前記両円筒体の嵌合部分には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部と凸部とからなる係合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、前記凹部と前記凸部とは、前記両円筒体の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触していることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記円筒体どうしの嵌合部分と協働して二重管を構成する外筒を備え、前記外筒と前記嵌合部分との間には閉空間からなる中空部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記一対の円筒体のうち、一方の円筒体は、他方の円筒体に嵌合可能な嵌合部が両端部に設けられた先端側円筒体と、この先端側円筒体に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体とによって構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記円筒体どうしの嵌合部分の径方向の外側には、前記円筒体どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた穴と、この穴に係止されるように他方の円筒体に設けられた係止片とによって構成され、前記係止片は、両円筒体が嵌合する方向に移動することにより前記穴に係入することを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた突起と、他方の円筒体に設けられた突起とによって構成され、これらの突起は、両円筒体が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うことを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記両突起が噛み合う位置で前記円筒体の回転を規制するストッパーと、両突起が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体の外周面にそれぞれ形成された表示部とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、一対の円筒体のうち、一方の円筒体をたとえばフレキシブルダクトに取付け、他方の円筒体をたとえば空調設備の機器(分岐チャンバー、給気ボックス、吹出グリル等)に取付けた状態で、これら両円筒体を互いに嵌合させることによって、前記二つの空気通路部材(フレキシブルダクトと、分岐チャンバー、給気ボックス、吹出グリル等)どうしが接続される。したがって、本発明によれば、二つの空気通路部材どうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手を提供することができる。この継手を使用することによって、たとえばフレキシブルダクトを空調設備の機器に取付けたり、フレキシブルダクトどうしを接続するにあたって、作業者の技量とは無関係に一定の施工品質が得られ、施工時間も短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る空気通路接続用継手を用いて構成された空調設備を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る空気通路接続用継手を示す斜視図である。
【図3】第1の円筒体を示す図で、同図(A)は先端部の正面図、同図(B)は図(A)におけるB−B線断面図である。
【図4】第2の円筒体を示す図で、同図(A)は先端部の正面図、同図(B)は図(A)におけるB−B線断面図である。
【図5】フレキシブルダクトどうしを接続する継手の一例を示す断面図で、同図は接続前の状態を示している。同図の破断位置は図3(B)および図4(B)と同じ位置である。
【図6】フレキシブルダクトどうしを接続する継手の一例を示す断面図で、同図は接続後の状態を示している。同図の破断位置は図3(B)および図4(B)と同じ位置である。
【図7】図6におけるA部を拡大して示す断面図である。
【図8】図6におけるB部を拡大して示す断面図である。
【図9】係止部の構成を示す斜視図である。
【図10】第2の実施の形態による空気通路接続用継手を用いて構成された空調設備を示す斜視図である。
【図11】第2の実施の形態による空気通路接続用継手の分解斜視図である。
【図12】第2の円筒体の分解斜視図である。
【図13】第2の円筒体の組立状態を示す斜視図である。
【図14】第2の実施の形態による空気通路接続用継手の断面図である。
【図15】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の分解斜視図である。
【図16】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の接続状態を示す斜視図である。
【図17】第3の実施の形態による空気通路接続用継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る空気通路接続用継手の一実施の形態を図1〜図9によって詳細に説明する。
図1に示す空調設備1は、図示していない空気調和装置から一つの分岐チャンバー2に供給された空気を複数の給気ボックス3にフレキシブルダクト4を介して分配するものである。分岐チャンバー2および給気ボックス3は、内部に空気通路を有する箱状に形成されている。これらの分岐チャンバー2と給気ボックス3の筐体は、断熱性を有する材料を用いて形成されている。
【0015】
分岐チャンバー2は、空気を分配したり合流させたりするものであり、給気ボックス3は、空気出口を構成するものである。フレキシブルダクト4は、柔軟性を有する断面形状が円形の管状に形成されている。詳述すると、このフレキシブルダクト4は、図5に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒状の芯材4aと、この芯材4aの周囲に断熱層を形成するためのグラスウール4bと、このグラスウール4bを覆う外皮4cとによって構成されている。
【0016】
図1に示す実施の形態においては、前記分岐チャンバー2と、前記給気ボックス3と、フレキシブルダクト4とによって、本発明でいう空気通路部材が構成されている。これらの空気通路部材は、この実施の形態による空気通路接続用継手6によって互いに接続されている。すなわち、この空気通路接続用継手6は、互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成している。
【0017】
この実施の形態による空気通路接続用継手6は、図2に示すように、一対の円筒体11,12によって構成されている。この実施の形態においては、これらの円筒体11,122のうち、図2において右側に位置する一方の円筒体を第1の円筒体11といい、他方の円筒体を第2の円筒体12という。以下においては、第1、第2の円筒体11,12における空気通路部材に接続される端部を基端部といい、反対側の端部、すなわち他方の円筒体に接続される端部を先端部という。
【0018】
これらの第1、第2の円筒体11,12は、図3〜図6に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒からなる円筒部13,14と、この円筒部13,14の一端側(第1、第2の円筒体11,12の先端部側)の外周部分に設けられたフランジ部15,16とによって構成されている。第1、第2の円筒体11,12は、図5および図6においてはフレキシブルダクト4に取付けられているが、図1に示すように、分岐チャンバー2や給気ボックス3等の他の空気通路部材にも取付けられる。
【0019】
前記円筒部13,14とフランジ部15,16とは、プラスチック材料によって一体に形成されている。前記円筒部13,14における第1、第2の円筒体11,12の基端部側の外径は、前記空気通路部材の円形穴に嵌合可能な大きさに形成されている。この円形穴は、フレキシブルダクト4においては芯材4aの開口部分であり、分岐チャンバー2や給気ボックス3においては、これらの部材の外壁に形成されている。
【0020】
前記円筒部13,14をフレキシブルダクト4に取付けるためには、先ず、グラスウール4bと外皮4cとを長手方向に縮めるようにして芯材4aを露出させ、この芯材4aに前記円筒部13,14を挿入する。そして、芯材4aを図示していない結束バンドや粘着テープなどで縛り、円筒部13,14に密着させる。その後、グラスウール4bと外皮4cとを初期の位置に戻し、外皮4cの先端部分を粘着テープによって後述するフランジ部15,16に接続する。このように外皮4cの端末処理が終了することによって、第1、第2の円筒体11,12がフレキシブルダクト4の先端部に取付けられることになる。
【0021】
前記円筒部13,14の外周部分には、上述したように縛り付けられた芯材4aが係合するように環状溝17(図3〜図6参照)が形成されている。この環状溝17に芯材4aが係合することによって、第1、第2の円筒体11,12にフレキシブルダクト4から引き抜くような力が加えられたとしても、第1、第2の円筒体11,12がフレキシブルダクト4から容易に外れることはない。
【0022】
前記フランジ部15,16は、図7および図8に示すように、前記円筒部13,14から径方向の外側に延びる円板部21,22と、この円板部21,22の外周縁部から第1、第2の円筒体11,12の先端部側へ延びる外筒部23,24とによって断面L字状に形成されている。前記円板部21,22の外径は、図5に示すように、フレキシブルダクト4や他の空気通路部材に設けられている断熱層と同等の大きさに形成されている。
前記外筒部23,24は、前記円筒部13,14と同一軸線上に位置する円筒によって形成されている。この実施の形態による外筒部23,24の外周部分には、図2に示すように、周方向に延びる凹溝25と、第1、第2の円筒体11,12の軸線方向に延びる複数の凹溝26とが形成されている。これらの凹溝25,26は、作業者が手で把持したときに滑り難くするためのものである。
【0023】
第1の円筒体11の先端部と第2の円筒体12の先端部、すなわちこれらの円筒体11,12の互いに対向する開口部(円筒部13,14)は、図6〜図8に示すように、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成されている。詳述すると、両円筒体11,12どうしの嵌合部分31(図7,8参照)は、第2の円筒体12の円筒部14に突設された筒状壁32の内側に第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する構造が採られている。
【0024】
前記筒状壁32は、前記円筒部14の外周側に位置し、円筒部14と同一軸線上に位置するように形成されている。この筒状壁32の内周部には、凹部33が形成されている。一方、第1の円筒体11の円筒部13には、前記凹部33に係合する凸部34が形成されている。すなわち、第1の円筒体11と第2の円筒体12の嵌合部分31には、これら両円筒体11,12どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部33と凸部34とからなる係合部35が設けられている。前記凹部33と凸部34とは、それぞれ円筒部13,14の周方向の全域に途切れることなく一連に延びるように形成されている。また、これらの凹部33と凸部34とは、前記周方向の全域において互いに接触するように形成されている。
【0025】
第1の円筒体11の前記フランジ部15と、第2の円筒体12の前記フランジ部16とは、図7および図8に示すように、前記円筒部13,14どうしが嵌合する状態で互いに接続されるように形成されている。フランジ部15,16どうしの接続部分は、図8に示すように、第2の円筒体12の前記外筒部24に突設された筒状壁36が第1の円筒体11の外筒部23内に挿入される構造が採られている。前記筒状壁36は、前記外筒部24の内周側に位置し、この外筒部24と同一軸線上に位置するように形成されている。
【0026】
第1の円筒体11の外筒部23と第2の円筒体12の外筒部24どうしが接続することによって、前記両円筒体どうしの嵌合部分31と協働して二重管を構成する外筒37が形成される。また、この外筒37と前記嵌合部分31との間には、閉空間からなる中空部38が形成される。この中空部38は、嵌合部分31の全域を外周側から囲むように形成されている。
【0027】
第1の円筒体11と第2の円筒体12の嵌合部分31の径方向の外側には、図7に示すように、両円筒体が引き離される方向への移動を規制するために係止部41が設けられている。前記両円筒体が引き離される方向とは、両円筒体が嵌合する方向とは逆の方向をいう。この実施の形態による係止部41は、第1の円筒体11の外筒部23に設けられた第1の突起42と、第2の円筒体12の外筒部24に設けられた第2の突起43とによって構成されている。
【0028】
前記第1の突起42は、図3(B)および図7に示すように、前記外筒部23の内周部分に径方向の内側に向けて突出するように形成されている。また、この第1の突起42は、図3(A)に示すように、前記外筒部23を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられ、かつ所定の長さで周方向に延びるように形成されている。
前記第2の突起43は、図4(B)および図7に示すように、前記筒状壁36の外周部分に径方向の外側に向けて突出するように形成されている。また、この第2の突起43は、図4(A)に示すように、前記外筒部24を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられ、かつ所定の長さで周方向に延びるように形成されている。
【0029】
また、これらの第1の突起42と第2の突起43は、第1の円筒体11と第2の円筒体12とが嵌合した状態で前記周方向の同一位置に位置付けられることによって、図7に示すように、第1、第2の円筒体11,12の軸線方向(図7においては左右方向)に互いに接触する状態で並ぶように形成されている。第1の突起42は、図7に示すように、第2の突起43と、この第2の突起43を有するフランジ部16の円板部22との間に位置している。また、第2の突起43は、第1の突起42と、この第1の突起42を有するフランジ部15の円板部21との間に位置している。
【0030】
すなわち、第1の突起42と第2の突起43とが上述したように前記軸線方向に並ぶ状態においては、これら両突起42,43が互いに噛み合うことになり、一方の円筒体を他方の円筒体から引いて離すことはできなくなる。これら両突起42,43を噛み合わせるためには、先ず、両突起42,43の周方向の位置が異なる状態で第1、第2の円筒体11,12どうしを嵌合させ、次いで、一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって行う。
【0031】
この実施の形態においては、前記両突起42,43が噛み合う位置で前記一方の円筒体の回転を規制するストッパー44(図9参照)を備えている。このストッパー44は、図9に示すように、第2の突起43の端部に第1の突起42の移動経路を横切るように一体に形成されている。すなわち、第1の突起42が第2の突起43と噛み合う位置を越えて移動するような場合は、第1の突起42がストッパー44に当接し、それ以上の移動が規制される。
【0032】
また、前記両外筒部23,24は、図2に示すように、前記両突起42,43と対応する表示部45,46を備えている。この表示部45,46は、外筒部23,24の外周部に形成された平坦面45a,46aと、この平坦面に形成された刻印45b,46bとによって構成されている。第1の円筒体11の外筒部23に設けられた表示部45と、第2の円筒体12の外筒部24に設けられた表示部46とは、前記両突起42,43が噛み合う状態で両円筒体11,12の軸線方向に一列に並ぶように形成されている。
【0033】
このように構成された空気通路接続用継手6は、第1の円筒体11の円筒部13に第2の円筒体12の円筒部14を嵌合させることによって、嵌合部分31に設けられている凹部33と凸部34とが係合し、両円筒体11,12が一体に結合された状態になる。すなわち、たとえばフレキシブルダクト4に取付けられている第1の円筒体11と、他のフレキシブルダクト4に取付けられている第2の円筒体12とを上述したように結合させることによって、これら2本のフレキシブルダクト4どうしを接続することができる。
【0034】
第1、第2の円筒体11,12は、フレキシブルダクト4の他に上述した分岐チャンバー2や給気ボックス3等の他の空気通路部材にも取付けることができる。このため、この空気通路接続用継手6を用いてフレキシブルダクト4と分岐チャンバー2とを接続したり、フレキシブルダクト4と給気ボックス3とを接続することができる。
第1の円筒体11と第2の円筒体12との接続は、一方の円筒体に他方の円筒体を嵌合させることによって行われ、いわゆるワンタッチで行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、二つの空気通路部材どうしの接続をワンタッチで簡単に行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。この継手6を使用することによって、たとえばフレキシブルダクト4を空調設備の機器に取付けたり、フレキシブルダクト4どうしを接続するにあたって、作業者の技量とは無関係に一定の施工品質が得られ、施工時間も短縮することができる。
【0035】
この実施の形態による第1の円筒体11と第2の円筒体12に設けられている前記凹部33と前記凸部34とは、前記両円筒体11,12の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触している。
このため、一対の円筒体11,12を結合させるための凹部33と凸部34とが実質的にシール部材として機能する。したがって、この実施の形態によれば、ワンタッチで接続が可能になるばかりでなく、接続時に同時にシールも行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0036】
この実施の形態による空気通路接続用継手6は、前記両円筒体11,12どうしの嵌合部分31と協働して二重管を構成する外筒37を備えている。前記外筒37と前記嵌合部分31との間には閉空間からなる中空部38が形成されている。
このため、前記中空部38が実質的に断熱空気層として機能するから、前記嵌合部分31を外側から覆う断熱材は不要になる。
したがって、この実施の形態によれば、ワンタッチで接続を行うことができるばかりでなく、接続時に同時に接続部分の断熱施工をも行うことが可能な空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0037】
この実施の形態において、前記両円筒体11,12どうしの嵌合部分31の径方向の外側には、前記両円筒体11,12どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体11,12が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部41が設けられている。
このため、この実施の形態によれば、前記係止部41が噛み合っている状態では、互いに嵌合する二つの円筒体11,12のうち一方が他方に対して嵌合する方向とは逆方向に移動することはできない。この結果、互いに嵌合する一対の円筒体11,12からなる接続部が施工後に外れることを防ぐことができるから、空気通路接続の信頼性が高い空気通路接続用継手6を提供することができる。
【0038】
この実施の形態による前記係止部41は、第1の円筒体11に設けられた第1の突起42と、第2の円筒体12に設けられた第2の突起43とによって構成されている。これらの第1、第2の突起42,43は、両円筒体11,12が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うものである。
このため、この実施の形態によれば、たとえば第1の円筒体11を第2の円筒体12に対して回すことによって、前記係止部41により係止される状態と、前記係止部41による係止が解除される状態とを切替えることができる。
【0039】
したがって、この実施の形態によれば、一方の円筒体を他方の円筒体に対して回すことによって係止状態を解除することができるから、一対の円筒体11,12からなる接続部を外す作業を簡単に行うことができる。このため、フレキシブルダクト4を交換したり、空気通路5のレイアウトを変える作業を容易に行うことができる。
【0040】
この実施の形態においては、前記両突起42,43が噛み合う位置で前記他方の円筒体の回転を規制するストッパー44と、前記両突起42,43が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体11,12の外周面にそれぞれ形成された表示部45,46とを備えている。
このため、この実施の形態によれば、前記ストッパー44によって回転が規制されるまで一方の円筒体に対して他方の円筒体を回すことにより、前記両突起42,43が互いに噛み合うようになる。このため、係止部41を確実に係止状態にすることができる。
【0041】
さらに、係止部41が係止状態であるときは両円筒体11,12の表示部45,46が一列に並ぶから、係止部41が係止状態であるか否かを目視で確認することができる。このため、この実施の形態によれば、表示部45,46を見ながら円筒体を回転させることによっても係止状態への移行が完了したか否かを確認することができる。また、施工後(継手6によって二つの空気通路部材を接続した後)に前記表示部45,46を見ることによって係止状態への移行の有無、言い換えれば接続の完了の有無を確認することができるから、施工後の検査作業を簡素化することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本発明に係る空気通路接続用継手は図10〜図14に示すように構成することができる。これらの図において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10〜図14に示す空気通路接続用継手6の第2の円筒体12は、第1の円筒体11に嵌合可能な嵌合部が両端部に設られた先端側円筒体51と、この先端側円筒体51に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体52とによって構成されている。この実施の形態においては、前記第2の円筒体12によって、請求項4記載の発明でいう「一方の円筒体」が構成されている。
【0043】
前記先端側円筒体51の両端部の前記嵌合部は、図1〜図9に示した第2の円筒体12の先端部と同一の構造となるように形成されている。この実施の形態による先端側円筒体51は、軸線方向の中央を中心として対称となるように形成されている。すなわち、この先端側円筒体51は、図14に示すように、空気通路5の壁を構成する円筒からなる円筒部14と、この円筒部14の軸線方向の中央部から径方向の外側に延びる環状の円板部22と、この円板部22の外周部から軸線方向の一方と他方とに突出する円筒からなる外筒部24とによって構成されている。
【0044】
前記円筒部14の両端部には、第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する筒状壁32がそれぞれ設けられている。これらの筒状壁32には、それぞれ凹部33と凸部34とが周方向に延びるように形成されている。
前記外筒部24の両端部には、第1の円筒体11の外筒部23内に挿入される筒状壁36がそれぞれ形成されている。これらの筒状壁36には、第2の突起43とストッパー44とがそれぞれ形成されている。また、外筒部24の外周部には、表示部46が設けられている。
【0045】
前記空気通路部材側円筒体52は、この実施の形態においては前記第1の円筒体11と同一の構造のものが用いられている。この空気通路部材側円筒体52と前記第1の円筒体11の外筒部23には、図14に示すように、円板部21より両円筒体11,52の基端部側(空気通路部材側)に延びる延長部53が一体に形成されている。この延長部53と、両円筒体11,52の円筒部13との間には、環状の空間54が形成されている。この環状の空間54は、円筒部13にフレキシブルダクト4や他の空気通路部材が接続されることにより閉空間となり、実質的に断熱空気層として機能するようになる。
【0046】
このように構成された空気通路接続用継手6において、前記先端側円筒体51の嵌合部(円筒部14の先端部)は、その内部に第1の円筒体11の円筒部13が嵌合する構造であるから、いわゆる雌型になる。この場合、第1の円筒体11の嵌合部は、いわゆる雄型になる。
このため、この実施の形態による第2の円筒体12の嵌合部は、先端側円筒体51が空気通路部材側円筒体52に取付けられている状態においては雌型になる。一方、先端側円筒体51が空気通路部材側円筒体52から取り外されている状態においては、第2の円筒体12の嵌合部は雄型になる。
【0047】
したがって、この実施の形態による第2の円筒体12は、先端側円筒体51の有無に応じて嵌合部の雄、雌の形式が変わるものとなる。すなわち、この第2の円筒体12は、雄型の嵌合部を有する円筒体のみならず、雌型の嵌合部を有する円筒体にも接続することが可能になる。この結果、この実施の形態によれば、嵌合部の雄型、雌型の制約を受けることがなくなる。
【0048】
このように雄型、雌型の制約がなくなると、空気通路部材に第1または第2の円筒体11,12を取付けるときにこれらの円筒体の雄、雌を予めておく必要がなくなり、作業性が向上する。また、空調設備の機器やフレキシブルダクト4に予め取付けられている円筒体に他の円筒体を接続するときにこれら両者の雄、雌が同一である場合であっても、一方の円筒体を雄、雌が異なるものに交換する作業は不要である。このため、この作業を行う場合に較べて施工時間を短縮することができる。
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明に係る空気通路接続用継手は、図15〜図17に示すように形成することができる。図15において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
この実施の形態による第1の円筒体11は、円筒からなる円筒部13と、この円筒部13の外周部に設けられた突条61と、前記円筒部13の先端部分に設けられた係止片62とによって構成されている。
【0050】
一方、第2の円筒体12は、円筒からなる円筒部14と、この円筒部14の先端部分に設けられた筒状壁32と、この筒状壁32に形成された穴63とから構成されている。この実施の形態においては、前記係止片62によって本発明でいう凸部が構成され、前記穴63によって本発明でいう凹部が構成されている。すなわち、この実施の形態においては、前記係止片62と前記穴63とによって本発明でいう係合部35が構成されている。
【0051】
第1の円筒体11の円筒部13と、第2の円筒体12の筒状壁32とは、この筒状壁32の内部に前記円筒部13が嵌合するように形成されている。第1の円筒体11の前記突条61は、嵌合方向の位置を規制するためのもので、図17に示すように、前記筒状壁32の先端面が当接するように形成されている。
前記係止片62は、図17に示すように、両円筒体11,12が嵌合する方向に移動することにより前記穴63内に係入するように構成されている。
【0052】
前記係止片63は、前記穴63に係入している状態で穴63を通して露出する。このため、前記係合部35が係合状態であるか否かを目視で確認することができる。
したがって、この実施の形態によれば、前記穴63を見ながら両円筒体11,12どうしを嵌合させることによって、接続が完了したか否かを確認することができるから、空気通路部材どうしを確実に接続することができる。また、施工後に前記穴63を見ることによって接続の完了の有無を確認することができるから、施工後の検査作業を簡素化することができる。
【0053】
さらに、この実施の形態によれば、前記穴63に露出している係止片62を外から押圧することによって係合状態を簡単に解除することができるから、一対の円筒体11,12からなる接続部を外す作業を簡単に行うことができる。このため、フレキシブルダクト4を交換したり、空気通路5のレイアウトを変える作業を容易に行うことができる。
なお、図16と図17に示した実施の形態に示す係合部35は、上述した第1の実施の形態と第2の実施の形態を採るときの外筒37に設けることもできる。この場合、外筒の係止部41は不要になる。
【符号の説明】
【0054】
1…空調設備、2…分岐チャンバー、3…給気ボックス、4…フレキシブルダクト、6…空気通路接続用継手、11…第1の円筒体、12…第2の円筒体、13,14…円筒部、15,16…フランジ部、23,24…外筒部、33…凹部、34…凸部、35…係合部、37…外筒、38…中空部、41…係止部、42…第1の突起、43…第2の突起、44…ストッパー、45,46…表示部、51…先端側円筒体、52…空気通路部材側円筒体、62…係止片、63…穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体を備え、
これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成され、
前記両円筒体の嵌合部分には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部と凸部とからなる係合部が設けられていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項2】
請求項1記載の空気通路接続用継手において、前記凹部と前記凸部とは、前記両円筒体の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触していることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気通路接続用継手において、前記円筒体どうしの嵌合部分と協働して二重管を構成する外筒を備え、
前記外筒と前記嵌合部分との間には閉空間からなる中空部が形成されていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の空気通路接続用継手において、前記一対の円筒体のうち、一方の円筒体は、他方の円筒体に嵌合可能な嵌合部が両端部に設けられた先端側円筒体と、
この先端側円筒体に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体とによって構成されていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の空気通路接続用継手において、前記円筒体どうしの嵌合部分の径方向の外側には、前記円筒体どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部が設けられていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項6】
請求項5記載の空気通路接続用継手において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた穴と、この穴に係止されるように他方の円筒体に設けられた係止片とによって構成され、
前記係止片は、両円筒体が嵌合する方向に移動することにより前記穴に係入するものであることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項7】
請求項5記載の空気通路接続用継手において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた突起と、他方の円筒体に設けられた突起とによって構成され、
これらの突起は、両円筒体が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うものであることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項8】
請求項7記載の空気通路接続用継手において、前記両突起が噛み合う位置で前記円筒体の回転を規制するストッパーと、両突起が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体の外周面にそれぞれ形成された表示部とを備えていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項1】
互いに接続される二つの空気通路部材の接続端を構成する一対の円筒体を備え、
これらの円筒体の互いに対向する開口部は、一方の円筒体の内部に他方の円筒体が出し入れ自在に嵌合する形状に形成され、
前記両円筒体の嵌合部分には、これら両円筒体どうしが嵌合することによって互いに係合する凹部と凸部とからなる係合部が設けられていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項2】
請求項1記載の空気通路接続用継手において、前記凹部と前記凸部とは、前記両円筒体の周方向の全域に途切れることなく延び、かつ前記周方向の全域において互いに接触していることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気通路接続用継手において、前記円筒体どうしの嵌合部分と協働して二重管を構成する外筒を備え、
前記外筒と前記嵌合部分との間には閉空間からなる中空部が形成されていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の空気通路接続用継手において、前記一対の円筒体のうち、一方の円筒体は、他方の円筒体に嵌合可能な嵌合部が両端部に設けられた先端側円筒体と、
この先端側円筒体に着脱可能に嵌合する空気通路部材側円筒体とによって構成されていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の空気通路接続用継手において、前記円筒体どうしの嵌合部分の径方向の外側には、前記円筒体どうしが嵌合した状態で互いに噛み合い、両円筒体が嵌合する方向とは逆方向へ移動することを規制する係止部が設けられていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項6】
請求項5記載の空気通路接続用継手において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた穴と、この穴に係止されるように他方の円筒体に設けられた係止片とによって構成され、
前記係止片は、両円筒体が嵌合する方向に移動することにより前記穴に係入するものであることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項7】
請求項5記載の空気通路接続用継手において、前記係止部は、一方の円筒体に設けられた突起と、他方の円筒体に設けられた突起とによって構成され、
これらの突起は、両円筒体が嵌合した状態で一方の円筒体を他方の円筒体に対して周方向に回すことによって噛み合うものであることを特徴とする空気通路接続用継手。
【請求項8】
請求項7記載の空気通路接続用継手において、前記両突起が噛み合う位置で前記円筒体の回転を規制するストッパーと、両突起が噛み合う状態で一列に並ぶように両円筒体の外周面にそれぞれ形成された表示部とを備えていることを特徴とする空気通路接続用継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−72845(P2012−72845A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218522(P2010−218522)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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