説明

空袋供給方法及び空袋供給装置

【課題】コンベアマガジン3に袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態で積層した空袋群から最上位の空袋を分離して1枚づつ袋底基準で位置決めし、これを袋詰め包装機のグリッパー1に供給する場合に、空袋の高さが常に適正となり、グリッパー1による袋口の把持位置が袋毎にばらつかないようにする。
【解決手段】袋底がストッパー18に当接して袋底基準で位置決めされた空袋2を、第1吸着部材31で持ち上げ、チャック35で挟持して上方に移送し袋底を上に向けた垂直姿勢に変更し、続いて第2吸着部材41で空袋2の袋口寄りの位置を吸着して、袋口を前方に向けて下方の位置決めコンベア46上に移送し、袋口を第2ストッパ49に当接させて袋口基準で位置決めし、その空袋2を第3吸着部材56で持ち上げ、チャック62で挟持して上方に移送し袋口を上に向けた垂直姿勢に変更し、グリッパー1に引き渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアマガジン内に積層した空袋群のうち最上位の袋を順次コンベアマガジンから取り出し、所定の移送経路に沿って移送して、袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すための空袋供給方法及び空袋供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、コンベアマガジンは、袋口を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態で積層した空袋群を搬送するベルトコンベア、前記ベルトコンベア上で前記空袋群の中から最上位の空袋を分離して前方に送り出す早送りベルト、前記ベルトコンベア上で前記早送りベルトの前方側に配置され前記早送りベルトで分離された空袋を前方に送り出す爪車、及び前記爪車により送り出された空袋の袋口先端が当接する位置決め用のストッパからなる。コンベアマガジンにおいて前記ストッパで位置決めされた空袋は、略水平状態から袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更され、隣接する袋詰め包装機に供給される。
【0003】
このようなコンベアマガジン式給袋装置において、チャック付き袋やスパウト付き袋のように、袋口近傍に厚みを有する部材(チャック部やスパウト部等)を備えた空袋を供給する場合、最上位の空袋の下の空袋(次位以下の空袋)が早送りベルトにより早送りされる一方で、前記次位以下の空袋の爪車より先への送り込みが妨げられることがある。これは爪車が下降して最上位の空袋に当接したとき、次位以下の空袋にも最上位の空袋を介して圧力が掛かり、前記次位以下の空袋のチャック部やスパウト部等が前記爪車に引っ掛かって前方への移動が止められるためである。その結果、前記次位以下の空袋は上方に撓み、爪車が上昇して爪車の圧力から開放されたとき平らな形状に復元するが、この撓み−復元の現象により最上位の空袋の取り出し不良や位置決め不良が生じる場合がある。
【0004】
一方、下記特許文献2,3では、コンベアマガジンにおいて袋底を送り方向に向けて搬送し、袋底先端をストッパに当接させて空袋の位置決め(袋底基準で位置決め)を行っている。これにより特許文献1のように袋口基準で位置決めを行う場合の上記問題点(次位以下の空袋の撓み−復元に伴う最上位の空袋の取り出し不良や位置決め不良)は解消されるが、このように袋底を送り方向に向ける場合でも、最終的には袋詰め包装機のグリッパーに対して袋口を上に向けて空袋を供給しなければならない関係で、次のような問題が新たに生じる。
【0005】
(1)袋底基準で位置決めをしているため、空袋の袋面が長さ方向に〜状に歪んでいると、当該空袋の袋口の位置が一定せず、そのため特許文献2では真空カップ17の吸着位置、特許文献3では挟持爪41の挟持位置が空袋の長さ方向にずれ、空袋を袋詰め包装機のグリッパーに引き渡しすときの空袋の高さ(袋口の高さ位置)が適正とならない。その結果、グリッパーの把持位置が空袋毎に袋の長さ方向にばらつくという問題がある。
(2)袋詰め包装機に供給する空袋を長さ寸法が異なるものに変更する場合、特許文献1のように袋口基準で位置決めする場合はストッパの調整は不要であるが、特許文献2ではストッパ12の位置、特許文献3ではストッパ32の位置を変更する必要がある。そして、その調整精度がそのままグリッパーに対する空袋の供給位置の精度に影響するため、調整作業は極めて慎重に行わざるを得ず、オペレータの負担が大きい。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2603966号公報
【特許文献2】特開2006−123910号公報
【特許文献3】特開2006−143264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、コンベアマガジン内に空袋群を積層し袋底を送り方向に向けて搬送し、積層した空袋群のうち最上位の空袋を順次コンベアマガジンから取り出し、所定の移送経路に沿って移送して、袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す場合における上記問題点に鑑みてなされたもので、空袋を前記グリッパーに引き渡すときの空袋の高さが常に適正となり、グリッパーによる袋口の把持位置が袋毎にばらつかないようにすることを主たる目的とする。また、長さ寸法が異なる空袋に変更する場合に、ストッパの調整作業が容易に行えるようにすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空袋供給方法は、袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態でコンベア上に積層した空袋群のうち最上位の空袋を分離して前方に送り出し第1ストッパに当接させて前記空袋を袋底基準で位置決めした後、所定の移送経路に沿って前記空袋を移送して袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す空袋供給方法に関し、袋底基準で位置決めされた前記空袋を袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更し、続いて袋口を前方に向けて移送し前記袋口を第2ストッパに当接させて前記空袋を袋口基準で位置決めし、袋口基準で位置決めされた前記空袋を袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更し、前記袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すことを特徴とする。
【0009】
この場合、より具体的には、袋底基準で位置決めされた前記空袋の上面を第1吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第1吸着部材により第1受渡し位置まで持ち上げ、前記第1受渡し位置にきた前記空袋を第1移送部材により保持し、前記空袋を前記第1移送部材により第2受渡し位置に移送して袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更し、略垂直姿勢の前記空袋の前面を第2吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第2吸着部材により袋口を前方に向けて位置決めコンベア又は位置決めシュート上の第3受渡し位置に移送し、前記位置決めコンベア又は位置決めシュート上で前記空袋の袋口を第2ストッパに当接させて前記空袋を袋口基準で位置決めし、袋口基準で位置決めされた前記空袋の上面を第3吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第3吸着部材により第4受渡し位置まで持ち上げ、前記第4受渡し位置にきた前記空袋を第2移送部材により保持し、前記空袋を前記第2移送部材により第5受渡し位置に移送して袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更し、袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す。
【0010】
本発明に係る空袋供給装置は、袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態で積層した空袋群を搬送するベルトコンベア、前記ベルトコンベア上で前記空袋群の中から最上位の空袋を分離して前方に送り出す早送りベルト、前記ベルトコンベア上で前記早送りベルトの前方側に配置され前記早送りベルトで分離された空袋を前方に送り出す爪車、及び前記爪車により送り出された空袋の袋底先端が当接する位置決め用の第1ストッパを有するコンベアマガジンを含み、前記第1ストッパに当接して位置決めされた空袋を所定の移送経路に沿って移送して袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す空袋供給装置に関し、前記第1ストッパにより位置決めされた空袋の上面を吸着し、第1受渡し位置まで持ち上げる第1吸着部材と、前記第1受渡し位置にきた空袋を前記第1吸着部材から受け取って保持し、第2受渡し位置に移送して袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更する第1移送部材と、略垂直姿勢の前記空袋の前面を吸着し、袋口を前方に向けて第3受渡し位置に移送する第2吸着部材と、前記第3受渡し位置において前記第2吸着部材が吸着した空袋を受け取り前方に移送するとともに、前記空袋の袋口先端が当接する位置決め用の第2ストッパを有する位置決めコンベア又は位置決めシュートと、前記第2ストッパに当接して位置決めされた空袋の上面を吸着し、第4受渡し位置まで持ち上げる第3吸着部材と、前記第4受渡し位置にきた空袋を前記第3吸着部材から受け取って保持し、第5受渡し位置に移送して袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更する第2移送部材を備え、前記第5受渡し位置で袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すことを特徴とする。
【0011】
上記空袋供給装置は、次のような特定の実施の形態を有することができる。
(1)前記位置決めコンベア又は位置決めシュートに、前記第2ストッパに当接した空袋の底部側を持ち上げ、前記位置決めコンベア又は位置決めシュートの支持面との間に次の空袋が進入するスペースを作る持上部材が設置されている。これにより、位置決めコンベア又は位置決めシュート上に前の空袋がある間に、次の空袋を送り込むことができ、処理能力の向上が図れる。
(2)前記位置決めコンベア又は位置決めシュートに、搬送面の下方から上方に突出可能とされ、搬送面の上方に突出したとき前記第2ストッパに当接した袋の底部側を持ち上げ、前記搬送面と前記袋の間に次の袋が進入するスペースを作る持ち上げ部材が設置されている。この場合、送り込まれた次の空袋が持ち上げ部材に止められ、第2ストッパまで移送されないため、第3吸着部材による2枚取りが防止される。
【0012】
(3)前記第2吸着部材による袋の吸着を補助する吸着補助プレートが、前記第2受渡し位置の近傍に配置され、前記第2受渡し位置に移送される袋との干渉を避ける退避位置と、前記第2受渡し位置で略垂直姿勢となった袋の前面を吸着する第2吸着部材の吸着面に対向する吸着補助位置の間を進退する。吸着補助プレートは、前記吸着補助位置において第1移送部材に保持され略鉛直姿勢となった空袋の後面側を支持する。
(4)前記第1移送部材は、袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部材からなる。これにより第1吸着部材との干渉が防止しやすくなる。
(5)前記第1ストッパは、前記ベルトコンベアの搬送方向に沿って位置調整可能とされている。これにより、長さ寸法が異なる空袋を供給できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンベアマガジンでは空袋は袋底を前方に向けて移送されるが、空袋の移送の向きを途中で反転(袋底を前方に向けた搬送から袋口を前方に向けた搬送へ変更)させ、第2ストッパーにより袋口基準で空袋の位置決めを行うようにしたので、仮に空袋の袋面が〜状に歪んでいたとしても、袋詰め包装機のグリッパーに引き渡すときの空袋の高さを常に適正とすることができ、グリッパーによる袋口の把持位置が袋毎にばらつかない。このため、グリッパーへの空袋の受渡しが安定するほか、グリッパーに把持された袋口の高さが袋毎にばらつかないので、例えば充填後に袋口に形成されるシール部(溶着部)の位置又は幅を一定にすることができる。
【0014】
また、本発明でも、袋詰め包装機に供給する空袋を長さ寸法が異なるものに変更する場合に、必要に応じてコンベアマガジンの第1ストッパの位置調整(搬送方向に沿って移動させる)を行うが、コンベアマガジンを出た空袋に対し袋口基準でもう一度位置決めを行うようにしているので、前記位置調整の精度は高くなくてもよく、調整作業は容易に短時間で行うことができる。なお、袋口基準の位置決めを行う第2ストッパは、空袋の長さ寸法が変更されても位置調整する必要はない。
さらに、本発明のコンベアマガジンでは空袋は袋底を前方に向けて搬送されるので、袋口を前方に向けて搬送するタイプのコンベアマガジンにおいて生じる問題点(空袋の取り出し不良や位置決め不良)は生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図6を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1,2に本発明に係る空袋供給装置の全体図、図3〜6にその部分拡大図を示す。この空袋供給装置は、例えば周知の間欠回転テーブル式袋詰め包装機(テーブルの周囲に設置されたグリッパー1のみ示す)に隣接して設置され、そのグリッパー1に空袋2を袋口を上に向けた略垂直姿勢で供給する。空袋供給装置は、コンベアマガジン3と、第1吸着装置4と、第1移送装置5と、第2吸着装置6と、吸着補助装置7と、位置決め装置8と、第3吸着装置9と、第2移送装置11からなる。
【0016】
コンベアマガジン3はそれ自体公知(特許文献1等参照)で、機台12上に設置されたフレーム13と、フレーム13の中央部に設置されたベルトコンベア14と、フレーム13の上部面板13a上においてベルトコンベア14の左右に設置されたガイドプレート15と、ベルトコンベア14の上部に配置された早送り装置16と、早送り装置16の前方位置においてベルトコンベア14の上部に配置された送り出し装置(爪車17のみ示す)と、フレーム13の上部面板13a上に突出して設置された位置決め用の第1ストッパ18と、ベルトコンベア14上の空袋2が第1ストッパ18に当接したかどうかを検知する第1センサ19を備える。
【0017】
ベルトコンベア14は、フレーム13に回転自在に支持されたプーリ21,22と、このプーリ21,22に掛け渡された4本のベルト23を有する。プーリ21が駆動源に連結されて回転する。
早送り装置16は、フレーム13に設置され内部に駆動源を含む駆動機構が収容された駆動ボックス24と、駆動ボックス24の駆動機構に接続されて回転するプーリ25と、駆動ボックス24にプーリ25と同一軸心で揺動自在に取り付けられたフリーアーム26と、フリーアーム26に取り付けられたプーリ27,28と、プーリ25,27,28に巻き掛けられた早送りベルト29を備える。また、この早送り装置16にはフリーアーム26の揺動(プーリ27の下を空袋2が通ると上方へ揺動する)角度を検知する図示しないセンサが設置され、フリーアーム26の揺動角度が所定値以下のときベルトコンベア14のプーリ21が連続回転(ベルト23が回転)し、所定角度を越えたときプーリ21の回転が停止する。一方、プーリ25の回転は第1センサ19の検知信号により制御され、第1センサ19による非検知信号(第1ストッパ18への空袋2の当接を検知しない)が所定時間継続したとき、プーリ25が回転(早送りベルト29が回転)を開始し、検知信号が出るまで回転を継続する。早送りベルト29の回転速度はベルトコンベア14の搬送速度より大きい。
【0018】
前記送り出し装置の主要部である爪車17は昇降可能(この例では揺動による昇降)とされ、周囲に柔軟な多数の突起(爪)を有する(特開平2003−137219号公報参照)。第1センサ19による前記非検知信号が所定時間継続したとき、爪車17が下降及び回転し、第1センサ19による検知信号が出るまで回転を継続する。爪車17の外周部の回転速度はベルトコンベア14の回転速度より大きい。
第1ストッパ18はベルトコンベア14の搬送方向に沿って位置調整可能とされている(図3に位置調整後の第1ストッパ18を仮想線で示す)。
【0019】
このコンベアマガジン3のベルトコンベア14上に、袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態で積層した空袋群2Aが置かれ、前方に搬送される。空袋群2Aの最上位の空袋2が早送りベルト29に接触すると、空袋群2Aから分離されて前方に早送りされ、さらに爪車17により前方に早送りされ、第1ストッパ18に当接して停止、位置決めされる。このとき第1ストッパ18に当接するのは空袋2の袋底先端であり、第1ストッパ18により袋底基準の位置決めが行われる。
【0020】
第1吸着装置4として4個の第1吸着部材31のみが示されている。第1吸着部材31は真空配管により図示しない切換弁及び真空源に連通し、昇降可能(この例では揺動による昇降)とされ、第1ストッパ18に当接し位置決めされた空袋2の上面を吸着し、図3に仮想線で示す第1受渡し位置A(第1吸着部材31から後述する第1移送部材(チャック35)への受渡しが行われる位置)まで持ち上げる。第1センサ19による検知信号が出されると、第1吸着部材31の真空吸引が開始され、同時に第1吸着部材31は下降して、位置決めされた空袋2の上面の袋底寄りの箇所を吸着し、続いて上昇して空袋2の主として袋底側をコンベアマガジン3の搬送面(上部面板13a)から持ち上げる。なお、第1吸着部材31が上昇するとき、 爪車17も同時に上昇する(特開平2003−137219号公報参照)。
【0021】
第1移送装置5は第1吸着装置4の上方に位置し、機台12上に設置され内部に駆動機構が収容された駆動ボックス32と、駆動ボックス32に接続されて所定範囲内で回動する回動軸33と、回動軸33に固定されて所定範囲内で揺動する一対の揺動アーム34と、各揺動アーム34の先端に設置されたチャック35(本発明でいう第1移送部材に相当)と、各揺動アーム34に設置されチャック35を開閉作動させるエアシリンダ36を備える。揺動アーム34は図3に示す実線位置と仮想線位置の間で揺動し、この揺動に伴い、チャック35は、第1吸着部材31に吸着されて第1受渡し位置Aにきた空袋2を第1吸着部材31から受取り、上方の第2受渡し位置B(第1移送部材(チャック35)から後述する第2吸着部材41への受渡しが行われる位置)に移送して袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更する。第1吸着部材31からチャック35への空袋2の受渡しは、チャック35が第1受渡し位置Aにきた空袋2の袋底寄りの両側縁部を把持し、続いて第1吸着部材31の真空吸引が停止することで完了する。
【0022】
第2吸着装置6は第1移送装置5の前方に位置し、機台12上に設置され内部に駆動機構が収容された駆動ボックス37と、駆動ボックス37に接続されて所定範囲内で回動する回動軸38と、回動軸38に固定されて所定範囲内で揺動する揺動アーム39と、揺動アーム39の先端に設置された2個の第2吸着部材41を備える。揺動アーム39は図5に示す実線と仮想線の間で揺動し、この揺動に伴い、第2吸着部材41は、チャック35に把持されて受渡し位置Bで略垂直姿勢となっている空袋2をチャック35から受取り、下方の第3受渡し位置C(第2吸着部材41から後述する位置決め装置8への受渡しが行われる位置)に移送する。チャック35から第2吸着部材41への空袋2の受渡しは、第2吸着部材41が第2受渡し位置Bにきた空袋2の袋口寄りの前面を吸着し、続いてエアシリンダ36が作動してチャック35が開くことで完了する。
第2吸着装置6は空袋2の移送の向きを反転(袋底を前方に向けた搬送から袋口を前方に向けた搬送へと変更)させるためのもので、第2吸着部材41に吸着された空袋2は、袋口を前方に向けて第3受渡し位置Cに移送される。
【0023】
吸着補助装置7は第2吸着装置6の後方の第2受渡し位置Bの近傍に位置し、内部に駆動機構が収容された前記駆動ボックス32と、駆動ボックス32に接続されて所定範囲内で回動する回動軸42と、回動軸42に固定されて所定範囲内で揺動する揺動アーム43と、揺動アーム43の先端に設置された吸着補助プレート44を備える。揺動アーム43は図5に示す仮想線と実線の間で揺動し、これに伴い、吸着補助プレート44が仮想線で示す退避位置と実線で示す吸着補助位置の間で進退する。前記退避位置では、吸着補助プレート44と第2受渡し位置Bに移送される空袋2との干渉が避けられ、前記吸着補助位置では、吸着補助プレート44は第2受渡し位置Bで略垂直姿勢となった空袋2の前面を吸着する第2吸着部材41の吸着面に対向して、空袋2の背面を支持する。吸着補助プレート44は空袋2を第2吸着部材41に押し付ける。
【0024】
なお、仮にコンベアマガジン3において複数枚の空袋が静電気等により密着しており、第1吸着部材31により空袋2の2枚取り(2枚以上一度に取り上げること)が行われた場合、2枚以上の空袋2がチャック35により第2受渡し位置Bに移送され、第2受渡し位置Bで第2吸着部材41に受け渡される。しかし、チャック35による移送中に空袋の間に空気が流入して空袋同士が分離するので、吸着補助プレート44が退避位置に後退すると、第2吸着部材41に直接吸着されている空袋以外の空袋は落下し、ここで2枚取りが解消される。
【0025】
位置決め装置8(本発明でいう位置決めコンベアに相当)は、第2吸着装置6の下方に位置し、全体として前方に向かって下に傾斜している。機台12上に設置されたフレーム45と、フレーム45の中央部に設置されたベルトコンベア46と、フレーム45の上部面板45a上においてベルトコンベア46の左右に設置されたガイドプレート47と、ベルトコンベア46の前端位置においてベルトコンベア46の上部に配置された爪車48と、フレーム45の上部面板45a上に突出して固定された位置決め用の第2ストッパ49と、ベルトコンベア46上の空袋2が第2ストッパ49に当接したかどうかと検知する第2センサ51と、搬送面の下方から上方に突出可能とされた一対の持ち上げ部材52を備える。
【0026】
ベルトコンベア46は、フレーム45に回転自在に支持されたプーリ53,54と、このプーリ53,54に掛け渡された4本のベルト55を有する。プーリ53が駆動源に連結されて回転し、ベルト55が回転する。
爪車48は、コンベアマガジン3の爪車17と同じであり、第2センサ51による非検知信号が所定時間継続したとき、爪車48が下降及び回転し、第2センサ51による検知信号が出るまで回転を継続する。爪車48の外周部の回転速度はベルトコンベア46の搬送速度より大きい。
持ち上げ部材52は、第2センサ51による検知信号が出るまでベルトコンベア46の搬送面より下方位置にあり、検知信号が出たとき搬送面から突出する。
【0027】
第2吸着部材41が空袋2を下方の第3受渡し位置Cに移送し、続いて第2吸着部材41の真空吸引が停止すると、空袋2は位置決め装置8のベルトコンベア46上に落下し、これで第2吸着部材41から位置決め装置8への空袋2の受渡しが完了する。ベルトコンベア46上に落下した空袋2は、自重及びベルトコンベア46により前方に移送され、爪車48によりさらに前方に送られ、第2ストッパ49に当接して停止し、搬送面上に寝た状態で位置決めされる。この点はコンベアマガジン3における位置決めと同じである。しかし、このとき第2ストッパ49に当接するのは空袋2の袋口先端であり、第2ストッパ49により袋口基準の位置決めが行われる。
空袋2が第2ストッパ49に当接して第2センサ51の検知信号が出されると、持ち上げ部材52が上方に突出し、図5の仮想線に示すように、空袋2の袋底側を上に持ち上げ、ベルトコンベア46の搬送面と空袋2の間に次の空袋が進入できるようにするとともに、進入してきた次の空袋の袋口先端を当接させてこれを堰き止める。これにより、位置決め装置8の処理能力が高められる。
【0028】
第3吸着装置9として4個の第3吸着部材56のみが示されている。第3吸着部材56は真空配管により図示しない切換弁及び真空源に連通し、昇降可能(この例では揺動による昇降)とされ、第2ストッパ49に当接し位置決めされた空袋2の上面を吸着し、図5に実線で示す第4受渡し位置D(第3吸着部材56から後述する第2移送部材(チャック62)への受渡しが行われる位置)まで持ち上げる。第2センサ51による検知信号が出されると、第3吸着部材56の真空吸引が開始し、同時に第3吸着部材56は下降して、位置決めされた空袋2の上面の袋口寄りの箇所を吸着し、続いて上昇して空袋2の袋口側が若干高くなるように持ち上げる。なお、第3吸着部材56が上昇するとき、 爪車48も同時に上昇する(特開平2003−137219号公報参照)。
【0029】
第2移送装置11は第3吸着装置9の上方前方に位置し、袋詰め包装機(グリッパー1のみ示す)の機台57上に設置され内部に駆動機構が収容された駆動ボックス58と、駆動ボックス58に接続されて所定範囲内で回動する回動軸59と、回動軸59に固定されて所定範囲内で揺動する揺動アーム61と、一方の端にチャック62(本発明でいう第2移送部材に相当)が設置され、他方の端がリンク63を介して駆動ボックス58に連結され、中間部に前記揺動アーム61の揺動端が回転自在に連結したレバー64と、レバー64に設置されチャック62を開閉作動させるエアシリンダ65を備える。なお、このような第2移送装置11の構造自体は、特公平7−5125号公報により公知である。
【0030】
揺動アーム61の揺動に伴い、レバー64が図5に示す仮想線位置と実線位置の間で大きく旋回し、この旋回に伴い、チャック62は、第3吸着部材56に吸着されて第4受渡し位置Dにきた空袋2を第3吸着部材56から受取り、上方の第5受渡し位置E(第2移送部材(チャック62)から袋詰め包装機のグリッパー1への受渡しが行われる位置)に移送して袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更する。第3吸着部材56からチャック62への空袋2の受渡しは、チャック62が第4受渡し位置Dにきた空袋2の袋口全幅にわたって両面から把持し、続いて第3吸着部材56の真空吸引が停止することで完了する。
第5受渡し位置Eに来た空袋2は、袋口近傍の両側縁部をグリッパー1により把持され、以後、袋詰め包装機において各種包装操作を受ける。
【0031】
なお、上記の例では、位置決め装置8は傾斜したベルトコンベア46を有していたが、ベルトコンベア46及び上部面板45aは傾斜せず水平でもよい。また、ベルトコンベア46なしで単なる傾斜したシュート(位置決めシュート)を用いることもできる。この場合、空袋2を自重で滑落させるためシュートは当然傾斜している必要がある。
また、位置決め装置8は搬送面の下方から上方に突出可能とされた一対の持ち上げ部材52を有していたが、位置決めされた空袋2の袋底側を上に持ち上げるため、ベルトコンベア46の上方に昇降可能な吸着部材を設置し、空袋2の袋面を吸着して持ち上げるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る空袋供給装置の側面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】図1の主として左側半部の拡大側面図である。
【図4】図2の主として左側半部の拡大平面図である。
【図5】図1の主として右側半部の拡大側面図である。
【図6】図2の主として右側半部の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 グリッパー
3 コンベアマガジン
4 第1吸着装置
5 第1移送装置
6 第2吸着装置
7 吸着補助装置
8 位置決め装置(位置決めコンベア)
9 第3吸着装置
11 第2移送装置
18 第1ストッパ
31 第1吸着部材
35 チャック(第1移送部材)
41 第2吸着部材
44 吸着補助プレート
46 ベルトコンベア
49 第2ストッパ
52 持ち上げ部材
56 第3吸着部材
62 チャック(第2移送部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態でコンベア上に積層した空袋群のうち最上位の空袋を分離して前方に送り出し第1ストッパに当接させて前記空袋を袋底基準で位置決めした後、所定の移送経路に沿って前記空袋を移送して袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す空袋供給方法において、袋底基準で位置決めされた前記空袋を袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更し、続いて袋口を前方に向けて移送し前記袋口を第2ストッパに当接させて前記空袋を袋口基準で位置決めし、袋口基準で位置決めされた前記空袋を袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更し、前記袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すことを特徴とする空袋供給方法。
【請求項2】
袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態でコンベア上に積層した空袋群のうち最上位の空袋を分離して前方に送り出し第1ストッパに当接させて前記空袋を袋底基準で位置決めした後、所定の移送経路に沿って移送して袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す空袋供給方法において、袋底基準で位置決めされた前記空袋の上面を第1吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第1吸着部材により第1受渡し位置まで持ち上げ、前記第1受渡し位置にきた前記空袋を第1移送部材により保持し、前記空袋を前記第1移送部材により第2受渡し位置に移送して袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更し、略垂直姿勢の前記空袋の前面を第2吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第2吸着部材により袋口を前方に向けて位置決めコンベア又は位置決めシュート上の第3受渡し位置に移送し、前記位置決めコンベア又は位置決めシュート上で前記空袋の袋口を第2ストッパに当接させて前記空袋を袋口基準で位置決めし、袋口基準で位置決めされた前記空袋の上面を第3吸着部材で吸着し、前記空袋を前記第3吸着部材により第4受渡し位置まで持ち上げ、前記第4受渡し位置にきた前記空袋を第2移送部材により保持し、前記空袋を前記第2移送部材により第5受渡し位置に移送して袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更し、袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すことを特徴とする空袋供給方法。
【請求項3】
袋底を前方に向け上位の袋が前方にずれるような形態で積層した空袋群を搬送するベルトコンベア、前記ベルトコンベア上で前記空袋群の中から最上位の空袋を分離して前方に送り出す早送りベルト、前記ベルトコンベア上で前記早送りベルトの前方側に配置され前記早送りベルトで分離された空袋を前方に送り出す爪車、及び前記爪車により送り出された空袋の袋底先端が当接する位置決め用の第1ストッパを有するコンベアマガジンを含み、前記第1ストッパに当接して位置決めされた空袋を所定の移送経路に沿って移送して袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡す空袋供給装置において、前記第1ストッパにより位置決めされた空袋の上面を吸着し、第1受渡し位置まで持ち上げる第1吸着部材と、前記第1受渡し位置にきた空袋を前記第1吸着部材から受け取って保持し、第2受渡し位置に移送して袋底を上に向けた略垂直姿勢に変更する第1移送部材と、略垂直姿勢の前記空袋の前面を吸着し、袋口を前方に向けて第3受渡し位置に移送する第2吸着部材と、前記第3受渡し位置において前記第2吸着部材が吸着した空袋を受け取り前方に移送するとともに、前記空袋の袋口先端が当接する位置決め用の第2ストッパを有する位置決めコンベア又は位置決めシュートと、前記第2ストッパに当接して位置決めされた空袋の上面を吸着し、第4受渡し位置まで持ち上げる第3吸着部材と、前記第4受渡し位置にきた空袋を前記第3吸着部材から受け取って保持し、第5受渡し位置に移送して袋口を上に向けた略垂直姿勢に変更する第2移送部材を備え、前記第5受渡し位置で袋詰め包装機のグリッパーへ引き渡すことを特徴とする空袋供給装置。
【請求項4】
前記位置決めコンベア又は位置決めシュートに、前記第2ストッパに当接した空袋の底部側を持ち上げ、前記位置決めコンベア又は位置決めシュートの支持面との間に次の空袋が進入するスペースを作る持上部材が設置されていることを特徴とする請求項3に記載された空袋供給装置。
【請求項5】
前記位置決めコンベア又は位置決めシュートに、搬送面の下方から上方に突出可能とされ、搬送面の上方に突出したとき前記第2ストッパに当接した空袋の底部側を持ち上げ、前記搬送面と前記空袋の間に次の空袋が進入するスペースを作る持ち上げ部材が設置されていることを特徴とする請求項3に記載された空袋供給装置。
【請求項6】
前記第2受渡し位置の近傍に配置され、前記第2受渡し位置に移送される空袋との干渉を避ける退避位置と、前記第2受渡し位置で略垂直姿勢となった空袋の前面を吸着する第2吸着部材の吸着面に対向する吸着補助位置の間を進退する吸着補助プレートを備え、前記吸着補助プレートは、前記吸着補助位置において前記空袋の後面側を支持し前記第2吸着部材による空袋の吸着を補助することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載された空袋供給装置。
【請求項7】
前記第1移送部材は、空袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部材からなることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載された空袋供給装置。
【請求項8】
前記第1ストッパは、前記ベルトコンベアの搬送方向に沿って位置調整可能とされていることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載された空袋供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−36913(P2010−36913A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198866(P2008−198866)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】