説明

空調制御システム及び空調制御方法

【課題】 夫々感覚の違う利用者が室内に居たとしても各々に対して快適な空調環境を提供できるようにすること。
【解決手段】 室温を測定する温度センサ200a,200b,…,200n及び稼動状況が分かる複数のパソコン300a,300b,…,300nを接続する空調制御装置100と、この空調制御装置100に制御され室温調整を行う複数の空調機器400a,400b,…,400nとから構成される。空調制御装置100は、室温とパソコンの稼動状況から最適な空調環境となるよう演算制御し、空調機器400a,400b,…,400nを制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内の空調環境を快適にする為の空調制御に係り、特に図書館やインターネットカフェ等で利用者の座席にパーソナルコンピュータ(パソコン)が設置され、利用者が自由に座席の移動ができるような環境下で快適な空調環境を提供可能とした空調制御システム及び空調制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、パソコンの莫大な普及とともに複数の空調機器や空調口が設置された室内に、利用者の座席毎にパソコンが設置された例えばインターネットカフェや図書館等が出現している。この種の室内では、室内全体を快適だと考えられるある一定の温度にする為に空調機器を稼動させ、室内全体の温度調整を行っているものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した室内の温度管理方式にあっては、暑がりの人や寒がりの人は、衣服を脱いだり或いは着用したりして自らが温度調整する必要があり、利用者にとっては煩わしいものであった。これは、従来の空調制御方式では、皆が快適であるだろうと想定したある一定の空調温度に室内がなったとしても、実際に利用者が感じる温度には、個人差があり、暑がりの人もいれば、寒がりの人もいるといったようにまちまちである為である。又、体調により同じ温度でも感じ方が違う為でもある。しかも、従来の空調制御方式は、室内全体を対象に均一な温度制御を行っている為でもある。
【0004】そこで、本発明は上記事情を考慮して成されたもので、上記不具合を解消し、夫々感覚の違う利用者が室内に居たとしても各々に対して快適な空調環境を提供できる空調制御システム及び空調制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成する為、温度センサより温度を取り込む温度入力手段と、室内に略等間隔で併設されたパソコンから利用されているパソコンを調べ人の分布状況を取り込む人分布入力手段と、温度入力部と人分布入力部から入力されたデータを取り込む為のデータ入力手段と、取り込んだデータから最適な温度を演算して算出する為の演算処理手段と、演算処理部から算出された値を各空調機器に設定する為の温度設定データ出力手段と、温度設定データ出力から温度勾配を付けて空調機器の制御をする手段とから構成されたことを特徴とする。
【0006】上記構成によれば、室内に温度勾配を付けることにより、従来のような室内全体を均一な温度環境とするようなことはなく、夫々感覚の違う利用者が室内に居たとしても各々に対して快適な空調環境となるようにすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
【0008】図1は、本実施形態のシステム全体の概略構成を示す図である。本システムは、空調制御装置100と、この空調制御装置100に接続し室温を測定する複数の温度センサ200a,200b,…,200nと、室内で略等間隔に設置され空調制御装置100に接続する複数のパソコン300a,300b,…,300nと、空調制御装置100に制御され室温の調節を行う複数の空調機器400a,400b,…,400nとから構成される。
【0009】上記空調制御装置100は、温度データ入力部110と、人分布入力部120、データ入力部130、演算処理部140、設定温度データ出力部150とから成るものである。ここで、温度データ入力部110は、空調機器400a,400b,…,400nが設置された室内に所定の規則に従って取り付けられた温度センサ200a,200b,…,200nからの室温に関する測定情報を取り込み、当該情報をデータ入力部130へ送出する機能を有するものである。人分布入力部120は、パソコン300a,300b,…,300nの各電源のオン/オフ状態による稼動状況からパソコンの使用状態として人の分布情報として取り込み、当該情報をデータ入力部130へ送出する機能を有するものである。データ入力部130は、入力された測定情報と人の分布情報とを整えて演算処理部140にデータ送出する機能を有するものである。演算処理部140は、この送出されてきたデータをもとにして室内の最適な温度環境を求める為の演算処理、即ち各空調機器に於ける設定温度の算出処理を行い、当該算出結果のデータを設定温度データ出力部150に送出する機能を有するものである。そして、設定温度データ出力部150は、演算処理部140から送出されてくるデータをもとに、空調機器毎に合致した各データを送出する機能を有するものである。
【0010】上記構成につき、その動作・作用を図2乃至図3のフローチャートを参照して説明する。
【0011】初期設定温度を入力すると(図2のステップS202)、初期設定温度を室内の中心部の温度とし、複数台ある空調機器400a,400b,…,400nの送風温度の調整を行うことにより、室内に暖かい場所と涼しい場所を作り出し、室内全体に温度の勾配を作る(ステップS204)。すると、温度センサ200a,200b,…,200nが室内の温度を測定し、温度データ入力部110にデータを送出することになる(ステップS206)。ここで、室内で利用者が自分の最も快適な席に自由に座りパソコンを利用すると(ステップS208)、パソコンの稼動状況が監視されることになり、即ち室内の人の分布が検出され当該データが人分布入力部120に送出されることになる(ステップS210)。而して、温度データ入力部110と人分布入力部120とから人の分布の偏りとその偏ったところの温度を計測し、演算処理部140にて一定以上の偏りの有無が確認される(ステップS212)。もし、一定以上人の分布に偏りが生じていた場合(ステップS212のYES)、演算処理部140から最も人の密度の高い温度を算出し(図3のステップS302)、その温度を設定温度とし(ステップS304)、温度勾配を変えないよう(ステップS306)に空調機器の制御を行うものである(ステップS214)。又、もし一定以上人の分布に偏りが生じない場合(ステップS212のNO)、室内は最も快適な温度状態であると考えられるので、終了となる。
【0012】上記実施形態では、室内に設置された複数の空調機器400a,400b,…,400nを利用し、室内に温度の勾配を持たせる。その為、一つの部屋でありながら個人の最適だと感じられる場所に移動することにより、最も快適な環境で過ごすことができるものである。又、室内に略等間隔でパソコン300a,300b,…,300nが設置され、利用者は自由にパソコンを利用できるようになっているので、パソコンの電源を入れる(オンする)ことにより、パソコンを使用している場所が特定できる。パソコンの電源が入るということは、人がそのパソコンを使用していることが分かる。要するに、パソコンの電源の入り切り(オン/オフ)により、室内の人の分布が分かる訳である。人の分布に一定以上の偏りが生じたき、人の密度が最も高い温度が温度勾配の真中になるよう温度勾配を保ちつつ全体の温度を上げ下げするよう空調機器の制御を行い、室内全体が最適な温度となるようにする訳である。
【0013】上述について、図4を参照して更に詳述する。
【0014】図4の(a)は初期状態であり、まだパソコンを利用している人はいない。室内の中心温度をXとすると壁A側の温度をX+3、壁B側の温度をX−3となるように空調機器400aと空調機器400bの制御をする。この後、図4の(b)に移行する。ここでは、利用者がパソコンを使い始めた状態である。パソコンの利用者が壁A側の暖側に集まっている。この為、室内に居る人にとっては、室内全体が寒いのではないかと推察される。そこで、空調機器400aと空調機器400bの制御を行い、室内の中心温度がY(=X+3)となるように制御が成される。そして、図4の(c)では、室内の中心温度がYとなり、室内の中心部に人が集まった状態である。温度がYの状態でも寒いと感じる人は壁A側へ座り、暑いと感じる人は壁B側に座ることにより、室内に居る人全員が快適な環境となる。
【0015】尚、上記実施形態では、温度調節により空調管理制御を実現していたが、湿度センサを用いて湿度をも考慮したシステム構成としても良い。又、上記実施形態では複数の空調機器を用いることにより空調制御を実現していたが、例えば空調機器は一台ではあるが室内の空調調節口を複数設けて調節口毎に温度や湿度管理するよう構成しても良い。
【0016】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、夫々感覚の違う利用者が室内に居たとしても各々に対して快適な空調環境が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシステム全体の概略構成を示す図。
【図2】同実施形態に係り、室内の空調制御処理の流れを示すフローチャート。
【図3】同実施形態に係り、室内を最適温度にする為の処理の流れを示すフローチャート。
【図4】同実施形態に係り、室内の空調環境の様子を概略的に示す図。
【符号の説明】
100…空調制御装置、110…温度データ入力部、120…人分布入力部、130…データ入力部、140…演算処理部、150…設定温度データ出力部、200a,200b,…,200n…温度センサ、300a,300b,…,300n…パソコン、400a,400b,…,400n…空調機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 室内の空調状況を測定する複数の空調センサと、上記室内に設置され自身の稼動状況が分かる複数の情報処理機器と、これら情報処理機器及び空調センサを接続し、上記室内に設けられた空調調節口により室内の空調調節を行う空調調節手段の制御を行う空調制御装置とから成るものであって、上記空調制御装置は、上記空調センサから送出されてくる測定情報及び上記情報処理機器から送出されてくる稼動状況情報に基いて上記室内が最適な空調環境となるよう上記空調調節手段を制御する為の演算処理を行う演算処理手段と、この演算処理手段による演算結果に基いて上記空調調節手段を制御する制御情報を出力する手段とを有し、上記空調調節手段は、上記空調制御装置からの制御情報に基いて上記室内の空調調節を行うようにしたことを特徴とする空調制御システム。
【請求項2】 上記空調制御装置からの制御情報は、上記室内で温度勾配を付けるよう上記空調調節手段を制御する為の情報であることを特徴とする請求項1記載の空調制御システム。
【請求項3】 上記室内に設置された複数の情報処理機器は、当該室内に略等間隔で設置され、上記稼動状況を上記室内に於ける人の分布情報として上記空調制御装置に送出するよう構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調制御システム。
【請求項4】 空調センサにより室内の空調状況を測定し、上記室内に設置された複数の情報処理機器の稼動状況により当該室内に於ける人の分布情報を測定し、上記測定され空調状況及び人の分布状況に基いて上記室内が予め設定された空調環境となるよう上記室内の空調調節を行う空調調節手段を制御する為の制御情報を作成するようにしたことを特徴とする空調制御方法。
【請求項5】 上記空調調節は、上記室内で温度勾配を付けるよう上記空調調節するようにしたことを特徴とする請求項4記載の空調制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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