説明

空調制御装置

【課題】空調機器の実質的な動作状態や空調機器の操作目的を考慮し、ユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを精度良く判定すること。
【解決手段】ユーザが設定入力部21に入力した設定温度と車室温とが一致するよう空調動作設定部11がコンプレッサ31、送風機32、エアミックスアクチュエータ33の動作内容を決定する空調制御装置10において、エコ評価部12はユーザが入力した設定温度と理想状態算出部13が算出した理想的な設定温度とを比較して、ユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを判定する。その際、空調機器の実質的な動作の比較、乗車直後やくもり除去中など特定状態でのエコ評価の閾値変更や評価対象からの除外を行なうことで評価精度を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空調機器の動作を制御する空調制御装置に関し、空調動作のユーザ設定が環境に配慮したものであるか否かを判定する空調制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室効果ガスの排出量削減への取り組みが重要視されている。具体的には、冷房は28度、暖房は20度にそれぞれ設定して使用することを推奨したり、車両が排出する排気ガスを技術的に削減する、などである。同様に、空調機自体の挙動についても特許文献1が開示するように周辺環境に基づいた最適制御を実施することが考案されている。
【0003】
なお、車両の空調機器は、車室温の制御の他、窓のくもり(結露)を除去する目的で使用される場合がある。省エネモードなど抑制された動作では、窓のくもりを効果的に除去することが出来ないので、特許文献2は、車載空調装置のコンプレッサモードが省エネモードを選択している場合においても、窓のくもりを検出しているときには冷房優先とする技術を開示している。
【0004】
このような車両側での動作制御に加え、近年ではユーザに対する情報提供やユーザ行動の評価によって環境に配慮した行動を取るように促す技術も考案されている。例えば、特許文献3は、ユーザが環境に配慮して使用したか否かをユーザの努力に基づいて評価する技術を開示しており、特許文献4は、温度設定ボタンを操作するたびに省エネ温度範囲の閾値をリモコン表示部に表示してユーザに省エネ運転を促す技術を開示している。
【0005】
さらに、特許文献5は、特定の電気量や節電関連情報を表示することでユーザに通知する技術を開示している。同様に特許文献6は、設定温度を変更した場合に燃費がどのように変化するかを車両ユーザが容易に認識できるようにする技術を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平5−310028号公報
【特許文献2】特開昭62−227809号公報
【特許文献3】特開2006−16443号公報
【特許文献4】特開2006−125668号公報
【特許文献5】特開2003−220907号公報
【特許文献6】特開2003−166868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ユーザの操作入力を評価する際、例えばユーザが入力した設定室温(空調機の目標室温)と環境への負荷の小さい理想的な設定温度とを単純に比較して評価すると、評価の精度が低くなる。
【0008】
具体的には、車両の乗車時点で車室温が非常に高温となっている場合、ユーザがどのような設定温度を入力したとしても、車室温がある程度低下するまでは最大限の冷却を行なって車室温を低下させる。したがって、ユーザが理想的な設定温度である28度を入力しても18度を入力しても、しばらくの間は空調機器の動作状態は同一となる。
【0009】
このように空調機器の動作自体が同一となる状況であるにも関わらず、設定温度のみによってユーザの操作を評価するのは不適切である。
【0010】
また、車両の空調機器においては空調機器を窓のくもり(結露)除去を目的として使用する場合がある。このような状況では、運転者の視界を確保し、走行の安全性を確保する上ために速やかなくもり除去が求められるので、空調機器の能力を最大限に行使すべきであり、空調機器の動作のみからユーザの操作を評価することは不適切である。
【0011】
しかしながら、従来の技術では、このような空調機器の実質的な動作状態や空調機器の操作目的を考慮していなかったため、ユーザ操作を精度よく評価することができないという問題点があった。評価の精度が低いと評価結果に対するユーザの信頼性が低下し、ユーザに環境に配慮した行動を取るように促すことができない。
【0012】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、空調機器の実質的な動作状態や空調機器の操作目的を考慮し、ユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かの判定精度を向上した空調制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる空調制御装置は、ユーザ入力に基づいて空調機器の動作内容を決定するとともに、ユーザ入力もしくは動作内容と、理想的な入力内容もしくは理想的な動作内容とを比較し、ユーザ入力に基づく空調操作を評価する空調制御装置であって、空調制御対象空間の内部温度に基づいて前記評価手段による評価基準を変更する、もしくは前記評価手段による評価を停止する。
【0014】
また、本発明に係る空調制御装置は、空調制御対象空間の目標気度をユーザ入力として受け付けるとともに外気温に基づいて理想的な目標温度を算出し、ユーザ入力による目標温度から求められた空調機器の動作内容と理想的な目標温度から求められた空調機器の動作内容とを比較してユーザ入力を評価する。
【0015】
また、本発明にかかる空調制御装置は、ユーザ入力もしくは該ユーザ入力に基づく空調機器の動作内容を評価する場合に、ユーザが乗車してから所定期間内、もしくはガラス曇りを除去するデフロスタの動作中を評価対象から除外する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば空調制御装置は、ユーザ入力もしくは動作内容と、理想的な入力内容もしくは理想的な動作内容とを比較してユーザ入力に基づく空調操作を評価の際に、空調制御対象空間の内部温度に基づいて前記評価手段による評価基準を変更する、もしくは前記評価手段による評価を停止するので、空調機器の実質的な動作状態を考慮して、ユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを高精度に判定する空調制御装置を得ることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によれば空調制御装置は、空調制御対象空間の目標温度をユーザ入力として受け付けるとともに外気温に基づいて理想的な目標温度を算出し、ユーザ入力による目標温度から求められた空調機器の動作内容と理想的な目標温度から求められた空調機器の動作内容とを比較してユーザ入力を評価するので、空調機器の実質的な動作状態に基づいてユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを高精度に判定する空調制御装置を得ることができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば空調制御装置は、ユーザ入力もしくは該ユーザ入力に基づく空調機器の動作内容を評価する場合に、ユーザが乗車してから所定期間内、もしくはガラス曇りを除去するデフロスタの動作中を評価対象から除外するので、空調機器の実質的な動作状態や空調機器の操作目的に基づいてユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを高精度に判定する空調制御装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる空調制御装置の好適な実施の携帯を詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施例である車載用の空調制御装置10の概要構成を示す概要構成図である。同図に示したように空調制御装置10は、設定入力部21、外気温センサ22、車室温センサ23、エンジン水温センサ24、デフロスタ25、コンプレッサ31、送風機32、エアミックスアクチュエータ33、ディスプレイ41、スピーカ42と接続している。
【0021】
設定入力部21は、ユーザ(車両の運転者など)から空調動作のオンオフ、目標車室温などの操作入力を受け付ける入力受け付け手段であり、スイッチやタッチパネルなどによって実現される。外気温センサ22は車両外部の気温を測定するセンサであり、車室温センサ23は空調対象空間である車室内の気温を測定するセンサである。また、エンジン水温センサ24は、エンジンの冷却水の温度を測定するセンサであり、デフロスタ25は車両のガラス(主にリアウインドウ)のくもりや結露を除去する機構である。
【0022】
また、コンプレッサ31、送風機32およびエアミックスアクチュエータ33は、車載空調機器であり、コンプレッサ31によって冷媒を循環させて冷却した空気とエンジン冷却水によって温められた空気とをエアミックスアクチュエータ33によって所定比率で混合し、送風機32によって車室内への吹き出しを行なっている。
【0023】
ディスプレイ41およびスピーカ42は、ユーザに対してそれぞれ表示出力および音声出力による情報提供を行なう出力手段である。なお、ディスプレイ41,スピーカ42や設定入力部21は、ナビケーションシステムやカーオーディオシステムなど、他の車載装置と共用することが出来る。
【0024】
空調制御装置10は、コンプレッサ31、送風機32およびエアミックスアクチュエータ33などの車載空調機器の動作を制御する装置であり、その内部に空調動作設定部11、エコ評価部12、理想状態算出部13、乗車判断部14、デフロスタ動作検知部15を有する。
【0025】
空調動作設定部11は、ユーザ入力や車室気温などに基づいて車載空調機器(コンプレッサ31、送風機32およびエアミックスアクチュエータ33)の動作内容を決定し、決定した動作内容に従って各車載空調機器の動作を制御する処理を行なう。
【0026】
例えば、目標室温20度で冷房するようにユーザ入力が行なわれた場合、空調動作設定部11は、車室温センサ23の測定結果を監視しながら車載空調機器を動作制御することで、車室温が20度となるよう冷房動作を実行する。
【0027】
エコ評価部12は、ユーザ入力に基づく空調操作が環境に配慮したものであるか否かを評価する処理部である。具体的には、エコ評価部12は、ユーザが入力した設定室温(車室の目標温度)と環境への負荷の小さい理想的な設定温度とを比較し、ユーザが入力した設定室温が目標室温から所定範囲内の値であれば、環境に配慮した好適な設定であると判定し、所定範囲外であれば不適切な設定であると判定する。
【0028】
理想的な設定温度は理想状態算出部13が外気温に基づいて設定する。例えば、冷房時で外気温が38度以下なら理想設定温度は28度、39度を超える場合は25度など対応関係をマップとして保持しても良いし、任意の算出式で外気温から理想設定温度を導出するようにしてもよい。また理想状態算出部13は、設定温度に限らず、理想的な車載空調機器の動作状態を求めるようにしてもよい。
【0029】
このユーザ操作に対するエコ評価は、例えば車載空調機器の動作中に所定時間間隔で繰り返し実行する。そして得られた判定結果を総合し、ディスプレイ41やスピーカ42によって出力することで、ユーザに対して環境に配慮した設定を行なうよう促す。なお、ここではエコ評価の結果をユーザに対して通知する場合を例に説明を行なっているが、エコ評価の結果はこれに限らず任意の方法で汎用的に使用できるものである。
【0030】
ところで、ユーザの操作入力を評価する際、例えばユーザが入力した設定室温(空調機の目標温度)と環境への負荷の小さい理想的な設定温度とを単純に比較して評価すると、評価の精度が低くなる場合がある。
【0031】
例えば、図2に示すように車両の乗車時点で車室温が非常に高温(同図では36度)となっている場合、ユーザがどのような設定温度を入力したとしても、車室温がある程度低下するまでは最大限の冷却を行なって車室温を低下させる。
【0032】
したがって、室温推移A1および室温推移A2に示すように、空調動作開始時点(時刻t1)においてユーザが理想的な設定温度である28度を入力しても18度を入力しても、しばらくの間(同図では時刻t1まで)は空調機器の動作状態は同一となる。
【0033】
このため、空調開始から十分な時間が経過した後(例えば時刻tn)には、ユーザが入力した設定温度を比較することで車載空調機器の環境への負荷を評価することが出来るが、乗車直後の状態は精度良く評価することが困難である。
【0034】
そこで空調制御装置10では、空調機器の実質的な動作の比較、乗車直後など特定状態でのエコ評価の閾値変更、もしくは特定状態期間の評価対象からの除外を行なうことで評価精度を向上している。
【0035】
制御同一性判断部12aは、図3に示すように空調動作設定部11がユーザ入力による設定温度に基づいて求めた車載空調機器の動作内容(たとえば送風機32の風向きや風量、エアミックスアクチュエータ33のエアミックス設定、内規循環と外気導入の設定状態、など)と、理想状態算出部13が算出した理想的な設定温度に基づいて求めた車載空調機器の動作内容とを比較する処理を行なう。
【0036】
このように、ユーザによる設定内容を直接比較するのではなく、実質的な空調動作を空調動作設定部11により比較することで、ユーザの設定内容を精度良く評価することが可能となる。
【0037】
この場合の空調制御装置10の処理動作を図4に示す。同図に示すフローチャートは、車載空調機器の動作中に繰り返し実行される処理動作である。
【0038】
同図に示すように、まず理想状態算出部13が外気温から理想的な設定温度を算出し(ステップS101)、空調動作設定部11が理想的な設定温度から理想的な空調動作を求める(ステップS102)。
【0039】
続いて空調動作設定部11は、ユーザが入力した設定温度から実際の空調動作を求め(ステップS103)、エコ評価部12が理想的な空調動作と(ユーザ入力に基づく)実際の空調動作を比較する(ステップS104)。
【0040】
その結果、空調動作の差が許容範囲内であるならば(ステップS105,Yes)、エコ評価部12は好適な設定であると判定し(ステップS106)、許容範囲内でなければ(ステップS105,No)、不適切な設定であると判定して(ステップS107)、処理を終了する。
【0041】
つづいて、乗車直後など特定状態でのエコ評価の閾値変更、もしくは特定状態期間の評価対象からの除外を行なう場合の空調制御装置10の処理動作について説明する。
【0042】
図5は、車室温が所定範囲外である場合は、エコ評価部12による評価対象から除外する場合の空調制御装置10の処理動作である。この処理では、夏場に車室内が非常に高温になっている場合や、冬場に車室内が非常に低温になっている場合は、ユーザが乗車直後で車室内の気温が十分に制御されていない状態であると推定してエコ評価対象から除外し、車室温が所定の範囲内になってからエコ判定を行なう。
【0043】
具体的には、まず、車室温センサ23が測定した車室温を乗車判断部14が取得し(ステップS201)、車室温が所定範囲内でなければ(ステップS202,No)、乗車判断部14は乗車直後の状態であると判断し、評価除外処理部12cが評価を中断して処理を終了させる。
【0044】
一方、車室温が所定範囲内であれば(ステップS202,Yes)、理想状態算出部13が外気温から理想的な設定温度を算出し(ステップS203)、エコ評価部12はユーザが入力した設定温度と理想状態算出部13が算出した理想的な設定温度とを比較する(ステップS204)。
【0045】
その結果、設定温度の差が閾値以下であれば(ステップS205,Yes)エコ評価部12は好適な設定であると判定し(ステップS206)、許容範囲内でなければ(ステップS205,No)、不適切な設定であると判定して(ステップS207)、処理を終了する。
【0046】
また、図6に示した処理動作は、車室温が所定範囲外である場合にエコ評価部12による評価の閾値を変更する場合の空調制御装置10の処理動作である。この処理では、夏場に車室内が非常に高温になっている場合や、冬場に車室内が非常に低温になっている場合は、ユーザが乗車直後で車室内の気温が十分に制御されていない状態であると推定してエコ評価の閾値を一時的に変更してエコ判定を行なう。
【0047】
具体的には、まず、車室温センサ23が測定した車室温を乗車判断部14が取得し(ステップS301)、車室温が所定範囲内でなければ(ステップS302,No)、乗車判断部14は乗車直後の状態であると判断し、閾値変更部12bが評価の閾値を変更する(ステップS303)。
【0048】
車室温が所定範囲内である場合(ステップS302,Yes)、もしくは設定温度比較の閾値変更(ステップS303)の後、理想状態算出部13が外気温から理想的な設定温度を算出し(ステップS304)、エコ評価部12はユーザが入力した設定温度と理想状態算出部13が算出した理想的な設定温度とを比較する(ステップS305)。
【0049】
そして、設定温度の差が閾値以下であれば(ステップS306,Yes)エコ評価部12は好適な設定であると判定し(ステップS307)、許容範囲内でなければ(ステップS306,No)、不適切な設定であると判定して(ステップS308)、処理を終了する。
【0050】
なお、図5および図6では乗車判断部12は車室温に基づいて乗車直後の状態であるか否かを判定していたが、乗車の判断には任意の手法を用いることができる。例えばエンジンの冷却水の水温から乗車直後の状態であるか否かを判断しても良いし、シート座面に加わる圧力の変化を検知したり、画像認識を用いることもできる。
【0051】
また、乗車直後以外にも、窓のくもり(結露)除去を目的として空調機器を動作させる場合も、運転者の視界を確保し、走行の安全性を確保する上ために速やかなくもり除去が求められるので、空調機器の能力を最大限に行使すべきである。
【0052】
そこで、空調制御装置10は、乗車から所定時間内に加え、デフロスタ25が動作中である場合、すなわち、ユーザが窓のくもりを除去するための操作を実行中である場合もエコ評価部12による評価対象から除外する。この場合の空調制御装置10の処理動作を図7に示す。
【0053】
同図に示したフローチャートでは、まず、乗車判断部14が車室温やエンジン水温などからユーザの乗車状態を判断し、乗車から所定時間内であるならば(ステップS401,Yes)、評価除外処理部12cが評価を中断して処理を終了させる。
【0054】
同様に、デフロスタ動作検知部15は、デフロスタ25の動作状態を監視しており、デフロスタ25が動作中であるならば(ステップS402,Yes)、評価除外処理部12cが評価を中断して処理を終了させる。
【0055】
一方、デフロスタが動作中でなければ(ステップS402,No)、理想状態算出部13が外気温から理想的な設定温度を算出し(ステップS403)、エコ評価部12はユーザが入力した設定温度と理想状態算出部13が算出した理想的な設定温度とを比較する(ステップS404)。
【0056】
その結果、設定温度の差が閾値以下であれば(ステップS405,Yes)エコ評価部12は好適な設定であると判定し(ステップS406)、閾値以下でなければ(ステップS405,No)、不適切な設定であると判定して(ステップS407)、処理を終了する。
【0057】
以上説明してきたように、本実施例にかかる空調制御装置10は、空調機器の実質的な動作の比較、乗車直後やくもり除去中など特定状態でのエコ評価の閾値変更や評価対象からの除外を行なうことで、ユーザの空調機器操作が環境に配慮したものであるか否かを精度よく評価してユーザに通知する。そのため、評価結果に対するユーザの信頼性を向上し、ユーザに環境に配慮した行動を取るように効果的に促すことができる。
【0058】
なお、本実施例においては冷房操作においてユーザが目標室温を設定する場合を例に説明を行なったが、本発明はこれに限定されるものではなく、暖房操作時にも適用可能であり、またユーザが風向や風量、エアミックス設定、内規循環と外気導入の切替などを個別に指定して入力する場合にも適用可能である。
【0059】
また、エンジンを動力とする車両用の空調機器では、エンジンの冷却水で温めた空気と、コンプレッサで循環させた冷媒で冷却した空気とを混合して車室内に送風するという機構上、本発明で評価するユーザの環境への配慮度と実際の環境への影響度は必ずしも一致するものではない。すなわち、本発明では、ユーザの操作が実際にどれだけ環境に影響を与えるかよりも、ユーザ自身が環境に配慮した行動を取るか否か自体を定性的に評価することで、ユーザの行動指針を提示するものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる空調制御装置は、空調による環境への負荷軽減に有用であり、ユーザ設定の高精度な評価に適している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例である空調制御装置の概要構成を説明する概要構成図である。
【図2】設定温度と空調機器の動作について説明する説明図である。
【図3】空調機器の動作の比較について説明する説明図である。
【図4】空調機器の動作を比較する場合の空調制御装置の動作について説明するフローチャートである。
【図5】車室温が所定範囲外である状態を評価対象から除外する場合の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】車室温が所定範囲外である場合に評価閾値を変更する処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】乗車直後とデフロスタ動作中を評価対象から除外する場合の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 空調制御装置
11 空調動作設定部
12 エコ評価部
12a 制御同一性判定部
12b 閾値変更部
12c 評価除外処理部
13 理想状態算出部
14 乗車判断部
15 デフロスタ動作検知部
21 設定入力部
22 外気温センサ
23 車室温センサ
24 エンジン水温センサ
25 デフロスタ
31 コンプレッサ
32 送風機
33 エアミックスアクチュエータ
41 ディスプレイ
42 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ入力に基づいて空調機器の動作内容を決定する空調動作設定手段と、
空調制御対象空間の内部温度を取得する取得部と、
前記ユーザ入力もしくは前記動作内容と、理想的な入力内容もしくは理想的な動作内容とを比較し、前記ユーザ入力に基づく空調操作を評価する評価手段と、
を備え、前記評価手段は、前記内部温度に基づいて評価基準を変更する、もしくは評価を停止することを特徴とする空調制御装置。
【請求項2】
前記ユーザ入力は、前記空調制御対象空間の目標温度であることを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
外気温に基づいて理想的な目標温度を算出する理想状態算出手段と、
空調制御対象空間の目標温度をユーザ入力として受け付ける入力手段から空調制御対象空間の目標温度を取得し、かつ目標温度に基づいて空調機器の動作内容を決定する空調動作設定手段と、
前記ユーザ入力による目標温度から求められた空調機器の動作内容と前記理想的な目標温度から求められた空調機器の動作内容とを比較して前記ユーザ入力を評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする空調制御装置。
【請求項4】
ユーザ入力に基づいて車載用の空調機器の動作内容を決定する空調動作設定手段と、
前記ユーザ入力もしくは該ユーザ入力に基づく空調機器の動作内容を評価する評価手段と、
ユーザが乗車してから所定期間内、もしくはガラス曇りを除去するデフロスタの動作中を前記評価手段による評価対象から除外する除外処理手段と、
を備えたことを特徴とする空調制御装置。
【請求項5】
エンジン水温、車室内の気温のうち少なくともいずれかを用いて前記乗車してからの所定期間を定めることを特徴とする請求項4に記載の空調制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273332(P2008−273332A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117610(P2007−117610)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】