穿孔装置と画像形成装置
【課題】簡単な構造で、シートに精度良く、かつ生産性が良く孔をあけることができるようにする。
【解決手段】穿孔装置200は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ210とダイ211を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔ユニット201と、穿孔ユニットをシート搬送方向に往動させながらパンチに孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニットを復動させる作動ユニット220と、を備え、作動ユニットは、穿孔ユニットに接触して穿孔ユニットを往復移動させる円筒カム230と、パンチに孔あけ動作をさせる膨出カム232とを有し、円筒カムと膨出カムは、共通の回転軸224により、一体に回転駆動されるようになっている。
【解決手段】穿孔装置200は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ210とダイ211を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔ユニット201と、穿孔ユニットをシート搬送方向に往動させながらパンチに孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニットを復動させる作動ユニット220と、を備え、作動ユニットは、穿孔ユニットに接触して穿孔ユニットを往復移動させる円筒カム230と、パンチに孔あけ動作をさせる膨出カム232とを有し、円筒カムと膨出カムは、共通の回転軸224により、一体に回転駆動されるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートの搬送速度に合わせてパンチとダイを移動させながらシートに孔をあける穿孔装置と、この穿孔装置を装置本体に備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置には、画像を形成されたシートに孔をあける穿孔装置を備えている場合がある。
【0003】
従来の穿孔装置には、パンチをダイに垂直に進入させてシートに孔をあけるプレスパンチ方式と、パンチとダイスとを回転させながらシートに孔をあけるロータリーパンチ方式とがある。
【0004】
プレスパンチ方式の穿孔装置は、パンチがシートに対して垂直な状態でダイに進入してシートに孔をあけるため、孔を所定の位置に真円にあけることができて、穿孔精度を高めることができるという特徴があった。しかし、プレスパンチ方式の穿孔装置は、搬送されてきたシートを一旦止めなければ孔をあけることができないため、シートを一旦止める分、シートの孔あけの生産性が低いという問題があった。
【0005】
また、ロータリーパンチ方式の穿孔装置は、パンチとダイスとをシート搬送速度に合わせて回転させながらシートに孔をあけるため、シートを止める必要がなく、シートの孔あけの生産性が優れているという特徴があった。しかし、ロータリーパンチ方式の穿孔装置はパンチとダイを回転させながらシートに孔をあけるため、本来、インボリュート曲線でなければカジリを生じるためストレートのパンチとダイではクリアランスを大きくとらざるをえない。よって、パンチとダイの干渉を回避するため、パンチのダイへの進入量、パンチとダイのクリアランス、パンチとダイの位相合わせ等、高精度を求められる。さらに、穿孔した孔が楕円となり、バリも出やすく、シートの所定の位置に真円に孔をあけることが困難で、穿孔精度が低いという問題があった。
【0006】
これらの問題に対処した穿孔装置として、特許文献1に記載のものがある。この穿孔装置は、プレスパンチ方式であるが、パンチとダイとを、シート搬送速度に合わせて移動させながらシートに孔をあけるようになっている。このため、特許文献1に記載の穿孔装置は、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とが優れているという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−28867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の従来の穿孔装置は、パンチをダイに進入させる動作と、パンチとダイをシート搬送方向に移動させる動作とを別々のクランク機構で行っている。このため、従来の穿孔装置は、構造が複雑であるという問題があった。
【0009】
また、前述の穿孔装置は、クランク機構によって穿孔装置を移動させているため穿孔装置自体がSinカーブの速度変化の下で移動する。このため、前述の穿孔装置は、クランク機構のモータの回転速度を変えて、穿孔装置を、等速で移動するシートの移動に合わせるという複雑な制御を行う必要があった。
【0010】
本発明は、簡単な構造で、かつ複雑な制御を行うことなく、シートに精度良く、かつ生産性が良く孔をあける穿孔装置と、この穿孔装置を備えた画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の穿孔装置は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチとダイを有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部と、前記穿孔部を前記シート搬送方向に往動させながら前記パンチに孔あけ動作をさせた後、前記穿孔部を復動させる作動部と、を備え、前記作動部は、前記穿孔部に接触して前記穿孔部を往復移動させる作動カムと、前記パンチに孔あけ動作をさせる穿孔カムとを有し、前記作動カムと前記穿孔カムは、共通の回転軸により、一体に回転駆動される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の穿孔装置は、パンチとダイをシート搬送方向に往動させながらプレスパンチ方式によってシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0013】
また、本発明の穿孔装置は、作動カムと穿孔カムとを共通の回転軸により一体に回転駆動させるようになっているので構造を簡単にすることができる。しかも、作動カムと穿孔カムとを共通の回転軸により回転させるようになっていることにより、共通の駆動源により、パンチ及びダイの移動とパンチの孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0014】
さらに、本発明の穿孔装置は、作動カムでパンチとダイとを移動させ、穿孔カムでパンチに孔あけ動作をさせるようになっているので、作動カムと穿孔カムの形状を、パンチとダイとが所望の移動速度で移動して、シートに孔をあけるようにすることができる。このため本発明の穿孔装置は、回転軸の回転駆動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0015】
また、本発明の穿孔装置は、作動カムによってパンチとダイとを移動させるため、作動カムの形状によってパンチとダイとがシートの移動に合わせて移動させることができるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置のシート搬送方向に沿った概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。
【図3】図2の穿孔装置の制御ブロック図である。
【図4】図2の穿孔装置の動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、(A)のパンチ周辺の右側面図である。(C)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながらパンチでシートに孔をあけている図である。(D)は、(C)のパンチ周辺の右側面図である。
【図5】図4に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットが、シートに孔あけを終了してシート搬送方向の最も下流に移動した図である。(B)は、(A)のパンチ周辺の右側面図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻る途中の図である。(D)は、(C)のパンチ周辺の右側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の穿孔装置において、図2とカムの形状が異なる場合の図2に相当する図である。
【図7】本発明の第2実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながら梃によって作動するパンチがシートに1つ目の孔をあけている図である。(C)は、パンチが1つ目の孔あけを終わった図である。
【図8】図7に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った図である。(B)は、穿孔ユニットがホームポジションから再びシート搬送方向の下流に移動しながら同じシートに2つ目の孔をあけている図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った以後、三度、シート搬送方向の下流側に移動しながら、同じシートに3つ目の孔をあけている図である。
【図9】図7(A)の梃を説明するための断面概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、斜め上方から見た図であり、パンチが不図示のシートに孔をあけている状態の図である。(B)は、下から見上げた図である。
【図11】図10の穿孔装置における、パンチをシート搬送方向に移動させるカージオイド型(ハート型)カムに関する図である。(A)は、カージオイド型(ハート型)カムの下面図である。(B)は、カージオイド型(ハート型)カムの回転角とパンチのシート搬送方向の速度との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の画像形成装置と穿孔装置とを図を参照して説明する。
【0018】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置のシート搬送方向に沿った概略断面図である。
【0019】
画像形成装置100は、装置本体100Aの上部に画像読取装置600と原稿給送装置500とが重ねて装備されている。原稿給送装置500は、画像読取装置600の原稿読取部の上部に原稿を自動的に搬送した後、自動的に排出するようになっている。画像読取装置600は、原稿給送装置500によって自動的に送り込まれてくる原稿を光学的に順次読み取り、その画像情報をデジタル信号として画像形成部103へ送信するようになっている。装置本体100Aは、画像読取装置600からの画像情報に基づいて、普通紙やOHPシート等のシートに原稿を複写するようになっている。
【0020】
なお、画像読取装置600は、ユーザによってプラテンガラス601に載置された原稿を読み取ることもできるようになっている。このため、原稿給送装置500は、必ずしも設ける必要がない。また、装置本体100Aは、外部のファクシミリやパソコン等から送られてくる画像情報をシートに形成することができるようになっている。このため、画像読取装置600も、必ずしも設ける必要がない。
【0021】
画像形成装置100の装置本体100Aの下部には、各種サイズのシートPを収納した複数のシートカセット104(図には1つだけ示して他は省略)が装着されている。シートカセット104から搬送ローラ105によって搬送されたシートは、画像形成手段である画像形成部103において電子写真方式によってトナー画像を形成され、定着器106によって、シートに定着される。
【0022】
シートの片面に画像を形成する場合、シートは、排出ローラ対109によって、穿孔装置200へと送り込まれる。穿孔装置200は、定着器106を通過して、排出ローラ対109から排出されたシートをそのまま搬送しながら、シートに孔をあける。
【0023】
シートの両面に画像を形成する場合、シートは、排出ローラ対109によって、スイッチバック搬送されて、再送パス107に送り込まれる。シートは、スイッチバック搬送される間に、表裏反転されて、再度、画像形成部103へ送り込まれる。シートは、画像形成部103で他方の面にトナー画像を形成され、そのトナー画像を定着器106で定着されて、排出ローラ対109から穿孔装置200へと送り込まれる。
【0024】
なお、画像形成装置100は、符号200で示す穿孔装置の代わりに、符号300(図7)、400(図10)で示す穿孔装置も装備できるようになっている。
【0025】
さらに、装置本体100Aは、シートをシートカセット104からだけでなく、マルチトレイ108から、ユーザの手差しによって給送されるようになっている。
【0026】
(第1実施形態の穿孔装置)
図2は、本発明の第1実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。図3は、図2の穿孔装置の制御ブロック図である。図4、図5は、図2の穿孔装置の動作説明用の図である。
【0027】
穿孔装置200の構成を説明する。
【0028】
穿孔装置200は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ210とダイ211を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット201を備えている。また、穿孔装置200は、穿孔ユニット201をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ210に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット201を復動(矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット220も備えている。
【0029】
作動ユニット220は、U字状の固定フレーム223と、固定フレーム223に回転自在に支持された回転軸224と、回転軸224と一体に回転する作動カムとしての円筒カム230及び穿孔カムとしての膨出カム232等を備えている。回転軸224は、シート搬送方向と平行に配置されて、穿孔モータ270によって矢印H方向に回転するようになっている。なお、円筒カム230の「円筒」の意味については、第2実施形態の説明の最後に記載してある。
【0030】
円筒カム230は、回転軸224と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝231によって、回転軸224の回転により穿孔ユニット201をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。カム溝231には、後述する穿孔ユニット201の駆動軸215が係合している。カム溝231において、回転軸224が0度の位置から180度の位置へ半回転する間に駆動軸215に接触する部分231Aは、図4(A)、(C)に示すように、回転軸224の回転にともなって、シート搬送方向の下流に傾斜している。このため、回転軸224が0度の位置から180度の位置へ半回転する間に、カム溝231の符号231Aで示す部分が穿孔ユニット201を下流に往動させることができる。
【0031】
そして、回転軸224が180度の位置から360度の位置へ半回転する間に駆動軸215に接触する部分231Bは、図5(A)、(C)に示すように、回転軸224の回転にともなって、シート搬送方向の上流に傾斜している。このため、回転軸224が180度の位置から360度の位置へ半回転する間に、カム溝231の符号231Bで示す部分が穿孔ユニット201を上流に復動させることができる。したがって、カム溝231は、無端状に形成されている。
【0032】
パンチ210と駆動軸215は、回転軸224の真下にシート搬送方向に沿って配列されている。
【0033】
膨出カム232は、回転軸224に対して軸状部材225から径方向に膨出し、回転軸224の回転方向(矢印H方向)に延びて山状に形成されている。膨出カム232は、回転軸224の回転により、山状の頂面であるカム面232Aでパンチ210をシート搬送方向に対して交差する方向に下降させて、シートに孔あけ動作をさせるようになっている。膨出カム232は、回転軸224が穿孔ユニット201の駆動軸215に対して0度の位置から180度の位置へ半回転して、穿孔ユニット201を往動させている間に、パンチ210に孔あけ動作をさせて完了しなければならない。このため、膨出カム232は、図4(C)、(D)に示すように、回転軸224が90度の位置に(1/4)回転したとき、パンチ210を押し下げて、シートに孔があくように、90度の位置で最も膨出するように形成されている。また、膨出カム232は、回転しながら、シート搬送方向の下流に移動するパンチ210を押し下げるため、回転軸224が駆動軸215に対して0度の位置から180度の位置へ半回転する間の領域に、シート搬送方向の下流に斜めに形成されている。
【0034】
穿孔ユニット201は、パンチ210と、ダイ211と、スライドフレーム216と、駆動軸215等を備えている。スライドフレーム216は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材であり、ガイド軸217(図4(B))が作動ユニット220のガイド長孔221(図2)に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。
【0035】
スライドフレーム216の天板216Aの下面には、上パスガイド213が設けられている。上パスガイド213は、スライドフレーム216の底板である下パスガイド214側に突出している。下パスガイド214と上パスガイド213は、シートをパンチ210とダイ211との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド214には、パンチ210とでシートに孔をあけるダイ211が形成されている。ダイ211は、下パスガイド214から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0036】
パンチ210は、スライドフレーム216の天板216Aと上パスガイド213とに貫通支持されている。パンチ210は、膨出カム232が回転して当接するため、作動ユニット220の固定フレーム223の底板223A(図1)に形成された貫通長孔226と、底板223aに設けたパンチガイド222の貫通長孔227とを貫通して、作動ユニットに進入している。貫通長孔226,227は、シート搬送方向に沿って、穿孔ユニット201が往復移動する距離より多少長く形成されている。パンチガイド222は、穿孔ユニット201の移動にともなって、パンチ210の頭部に設けられた頭部止め輪218を乗り上がらせて、パンチ210を上方にすくい上げてダイ211とシートからパンチ210が抜け出るようにする部材である。
【0037】
パンチ210の中間部分には、中間部止め輪219(図4(C))が設けられている。中間部止め輪219と上パスガイド213との間には、パンチ210に遊嵌した保持ばね212が設けられている。保持ばね212は、中間部止め輪219を介して、パンチ210を膨出カム232側へ付勢して、ダイ211から抜け出た状態に保持するばねである。中間部止め輪219は、パンチ210が保持ばね212に付勢されて作動ユニット220側へ突出し過ぎないように、上パスガイド213に受け止められている。
【0038】
穿孔装置200の上流には、搬送されてきたシートの先端を検知する先端検知センサ250が設けられている。穿孔装置200は、制御装置260(図3)によって制御されるようになっている。
【0039】
穿孔装置200の動作を説明する。
【0040】
図4(A)、(B)において、穿孔ユニット201はホームポジションにいる。また、円筒カム230は駆動軸215に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ210は、図2の保持ばね212に押し上げられて、ダイ211から抜けたホームポジションにいる。この状態において、不図示のシートが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートに孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に等速移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。
【0041】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸224が回転し、円筒カム230と膨出カム232とが一体に回転する。円筒カム230のカム溝231に穿孔ユニット201の駆動軸215が係合している。このため、円筒カム230が回転すると、カム溝231の下流に傾斜した部分231Aのカム面231cが駆動軸215をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット201をシート搬送方向の下流へシート搬送速度と同じ速度で矢印E方向に往動させる。穿孔ユニット201は、ガイド軸217とガイド長孔221(図2)とを案内にして往動する。一方、円筒カム230が回転すると、膨出カム232も円筒カム230と一体に回転する。
【0042】
そして、膨出カム232のカム面232aがパンチ210の頭部を押して、パンチ210を押し下げる。この結果、パンチ210は、シートと同じ速度で矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ211に進入しながらシートに孔をあける。
【0043】
図4(C)、(D)に示すように、回転軸224が駆動軸215に対して90度の位置に(1/4)回転したとき、膨出カム232はパンチ210を最も押し下げて、シートに孔をあけて、シートとダイ211とを貫通した状態にする。
【0044】
図5(A)、(B)に示すように、回転軸224は回転を継続して駆動軸215に対し180度の位置に回転する。この間に膨出カム232はパンチ210から離れて、パンチ210の押圧を終了する。パンチ210は、保持ばね212によって押し上げられ、かつ頭部止め輪218がパンチガイド222にすくい上げられることによって、シートとダイ211から抜け出て、中間部止め輪219が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。パンチガイド222は、パンチ210が下降してシートの通過を邪魔するのを防止して、シート詰まりの発生を防止している。回転軸224が180度の位置に回転したとき、円筒カム230のカム溝231が穿孔ユニット201を最も下流に移動させる。
【0045】
図5(A)〜(D)に示すように、その後、回転軸224が駆動軸215に対して、180度の位置から270度の位置に回転する。この間、円筒カム230は、カム溝231の上流に傾斜した部分231Bのカム面231dで駆動軸215を上流へ押して、穿孔ユニット201を矢印F方向へ復動させる。円筒カム230と一体に回転する膨出カム232は、パンチ210に接触しない位置を回転している。このため、パンチ210は、シートに接触しない位置に保持されている。シートは、下流に搬送を継続されている。
【0046】
図5(C)(D)乃至図4(A)、(B)に示すように、回転軸224は、270度の位置から360度の位置に回転する。この間、円筒カム230は、カム溝231の上流に傾斜した部分231Bのカム面231dで駆動軸215を上流へ押し続けて、穿孔ユニット201を矢印F方向へ復動を継続させる。円筒カム230と一体に回転する膨出カム232は、パンチ210に接触しない位置を回転している。このため、パンチ210は、シートに接触しない位置に保持され続けている。シートは、下流に搬送を継続されている。回転軸224が360度の位置に回転すると、穿孔ユニット201は、最も上流のホームポジションの位置に戻る。
【0047】
以上説明した穿孔装置200の円筒カム230は、回転軸224と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝231のカム面231c,231dの回転により作動ユニット220をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、図6に示す作動カムとしての円筒カム240のように、回転軸224と同軸の軸状部材245に対して斜めに形成されたカム面241によって、回転軸224の回転により穿孔ユニット201をシート搬送方向に往復移動させるようにしてもよい。
【0048】
カム面241において、駆動軸215が0度の位置から180度の位置まで半回転するまでの部分241Aは下流に傾斜し、180度の位置から360度の位置に半回転するまでの部分241Bは上流に傾斜している。したがって、カム面241は、無端状に形成されている。駆動軸215は、固定フレーム223との間に設けた引張ばね246の引張力によってカム面241に、常時、圧接されている。
【0049】
以上のように、穿孔装置200は、パンチ210とダイ211をシート搬送方向に往動させながらパンチ210の孔あけ動作によってシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0050】
また、穿孔装置200は、円筒カム230,240と膨出カム232とを共通の回転軸224により一体に回転駆動させるようになっているので構造を簡単にすることができる。しかも、円筒カム230,240と膨出カム232とを共通の回転軸224により回転させるようになっているので、共通の穿孔モータ270により、パンチ210とダイ211の移動及び孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0051】
さらに、穿孔装置は、円筒カム230,240によってパンチ210とダイ211とを移動させるため、円筒カム230,240のカム面230c,230d,241の形状によってパンチ210とダイ211とがシートの移動に合わせて移動させることができる。このため穿孔装置200は、制御装置260による作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0052】
また、穿孔ユニット201の移動速度はシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット201の移動速度は、穿孔ユニット201が往動しているときのみ、或いは、パンチ210がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。このことによって、孔をシートの所定の位置に所定の形状にあけることができる。
【0053】
しかし、穿孔ユニット201をシート搬送速度と同じ速度で移動させるのには、穿孔モータ270の回転速度や、シートを穿孔装置200に送り込む排出ローラ対109(図1)の回転速度の制御が困難である。このため、パンチ210がシートに孔をあけている間、穿孔ユニット201がシート搬送速度より速く移動するようなことがあると、シートを引き裂くおそれがある。
【0054】
そこで、円筒カム230,240が穿孔ユニット201を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、パンチ210が孔をあけたシートに係合している間、穿孔ユニット201がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じる。そこで、穿孔装置200は、シートにループを受け入れる空間G1,G2(図2、図4)を上パスガイド213と下パスガイド214との間に備えている。
【0055】
(第2実施形態の穿孔装置)
図7は、本発明の第2実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながら梃によって作動するパンチがシートに1つ目の孔をあけている図である。(C)は、パンチが1つ目の孔あけを終わった図である。
【0056】
図8は、図7に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った図である。(B)は、穿孔ユニットがホームポジションから再びシート搬送方向の下流に移動しながら同じシートに2つ目の孔をあけている図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った以後、三度、シート搬送方向の下流側に移動しながら、同じシートに3つ目の孔をあけている図である。
【0057】
図9は、図7(A)の梃を説明するための断面概略図である。
【0058】
穿孔装置300の構成を説明する。
【0059】
第2実施形態の穿孔装置300は、梃303でパンチ310を作動させるようになっている。このため、回転軸324、円筒カム330及び膨出カム332等は、パンチ310の横に配置されている。
【0060】
穿孔装置300は、パンチ310とダイ311(図9)を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット301を備えている。また、穿孔装置300は、穿孔ユニット301をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ310に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット301を復動(図8(A)の矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット320も備えている。
【0061】
作動ユニット320は、U字状の固定フレーム323と、固定フレーム323に回転自在に支持された回転軸324と、回転軸324と一体に回転する作動カムとしての円筒カム330及び穿孔カムとしての膨出カム332等を備えている。回転軸324は、シート搬送方向と平行に配置されて、穿孔モータ370によって矢印J方向に回転するようになっている。矢印Jと図2の矢印Hは互いに反対方向である。
【0062】
穿孔ユニット301(図9)は、パンチ310と、ダイ311と、スライドフレーム316と、駆動軸315と、梃303等を備えている。スライドフレーム316は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材であり、ガイド軸317が作動ユニット320のガイド長孔321(図7(A))に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。スライドフレーム316の天板316Aの下面には、上パスガイド313が設けられている。上パスガイド313は、スライドフレーム316の底板に設けられた下パスガイド314側に突出している。下パスガイド314と上パスガイド313は、シートをパンチ310とダイ311との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド314には、パンチ310とでシートに孔をあけるダイ311が形成されている。ダイ311は、下パスガイド314から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0063】
パンチ310(図9)は、スライドフレーム316の天板316Aと上パスガイド313とに貫通支持されている。固定フレーム323(図8(A))には、パンチ310が貫通する貫通長孔326が形成されている。
【0064】
パンチ310(図9)の中間部分には、中間部止め輪319が設けられている。中間部止め輪319と上パスガイド313との間には、パンチ310に遊嵌した保持ばね312が設けられている。保持ばね312は、中間部止め輪319を介して、パンチ310をダイ311から抜け出る方向へ付勢している。中間部止め輪319は、パンチ310が保持ばね312に付勢されて作動ユニット320側へ突出し過ぎないように、上パスガイド313に受け止められている。
【0065】
穿孔部としての穿孔ユニット301は、スライドフレーム316に突設された支点支持板304に支点である支点軸302を有し、その支点軸302に梃303が設けられている。梃303の一端303aは、力点であり、穿孔カムとしての膨出カム332に接触している。梃303の他端303bは、作用点であり、パンチ310の頭部に位置し、連結ピン333を介してパンチ310に連結している。なお、梃303が連結ピン333に連結する部分には、シート搬送方向に対して交差する長孔334(図9)が形成されている。
【0066】
作動ユニット320に設けられた膨出カム332(図7(B))は、回転軸324と平行に延びて突条に形成されている。この膨出カム332は、回転軸324の回転角度が0度の位置に形成されている。膨出カム332は、図2に示す形状の膨出カム232であってもよい。
【0067】
パンチガイド322は、作動ユニット320の固定フレーム323(図7)に設けられた板状の部材であり、第1実施形態のパンチガイド222と同様にパンチ310をすくい上げる役目をしている。すなわち、パンチガイド322(図7(C))は、穿孔ユニット301がシートPとともに矢印E方向に移動したとき、梃303の支点と作用点との間を乗り上がらせて、パンチを上方へすくい上げてダイ311とシートからパンチが抜け出るようにする部材である。
【0068】
なお、本穿孔装置300の場合、梃303の一端303aを膨出カム332によって押し上げるため、回転軸324は矢印J方向に回転しなければならない。このため、図7(B)に見えている円筒カム330のカム溝331の部分331Aは、回転軸324が0度の位置から180度の位置に回転する間に駆動軸315と接触する部分であり、円筒カム330が回転するのに従ってシート搬送方向の下流に傾いている。したがって、回転軸324が0度の位置から180度の位置に半回転する間に、カム溝331の符号331Aで示す部分が駆動軸315を介して、穿孔ユニット301を下流に往動させることができる。
【0069】
また、図7(A)に見えている円筒カム330のカム溝331の部分331Bは、回転軸324が180度の位置から360度の位置に回転する間に駆動軸315と接触する部分であり、円筒カム330が回転するのに従ってシート搬送方向の上流に傾いている。したがって、回転軸324が180度の位置から360度の位置に半回転する間に、カム溝331の符号331Aで示す部分が穿孔ユニット301を上流に復動させることができる。カム溝331は、無端状に形成されている。
【0070】
穿孔装置300の動作を説明する。
【0071】
図7(A)において、穿孔ユニット301はホームポジションにいる。また、円筒カム330は駆動軸315に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ310は、図9の保持ばね312に押し上げられて、ダイ311から抜けたホームポジションにいる。穿孔ユニット201はホームポジションにいる。また、円筒カム230は駆動軸215に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ210は、図2の保持ばね212に押し上げられて、ダイ211から抜けたホームポジションにいる。
【0072】
この状態において、シートPが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートの孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。第2実施形態の場合、回転軸324が第1実施形態とは反対方向の矢印J方向に回転するため、制御装置260は、穿孔モータ270を第1実施形態とは反対方向に回転始動させる。
【0073】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸324が矢印J方向に回転し、円筒カム330と膨出カム332とが一体に矢印J方向に回転する。円筒カム330のカム溝331に穿孔ユニット301の駆動軸315が係合している。このため、円筒カム330が回転すると、カム溝331のカム面331cが駆動軸315をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット301をシート搬送方向の下流(矢印E方向)へシート搬送速度と同じ速度で往動させる。穿孔ユニット301は、図9のガイド軸317と図7(B)のガイド長孔321とを案内にして、矢印E方向へ往動する。一方、円筒カム330が回転すると、膨出カム332も円筒カム330と一体に回転する。そして、膨出カム332の頂部332aが梃303の一端(力点)303aを押し上げる。
【0074】
すると、図7(A)、(B)に示すように、回転軸324が駆動軸315に対して0度の位置から90度の位置に(1/4)回転する間に、膨出カム332は頂部332aで梃303の力点である一端303aを押し上げる。梃303は、支点軸(支点)302を中心に回転して作用点である他端303bが下がり、長孔334と連結ピン333とを介して、パンチ310を押し下げる。この結果、パンチ310は、シートと同じ速度で、矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ311に進入しながらシートPに孔をあける。
【0075】
図7(B)に示すように、回転軸324が駆動軸315に対して90度の位置に回転したとき、膨出カム332は梃303を介してパンチ310を最も押し下げて、シートに孔をあけて、シートとダイ311とを貫通した状態にする。
【0076】
図7(C)に示すように、回転軸324は回転を継続して駆動軸315に対し180度の位置に回転する。この間に膨出カム332は梃303から離れる。パンチ310は、保持ばね312によって押し上げられ、かつ梃303がパンチガイド322にすくい上げられることによって、シートとダイ311から抜け出て、中間部止め輪319(図9)が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。パンチガイド322は、パンチ310が下降してシートの通過を遮蔽するのを防止して、シート詰まりの発生を防止する。回転軸324が180度の位置に回転したとき、円筒カム330のカム溝331が穿孔ユニット301を最も下流に移動させる。
【0077】
図8(A)に示すように、その後、回転軸324が駆動軸315に対して、180度の位置から360度の位置に半回転する。この間、円筒カム330は、カム溝331の上流に傾斜した部分331Bのカム面331dで駆動軸315を上流へ押して、穿孔ユニット301を矢印F方向へ復動させる。円筒カム330と一体に回転する膨出カム332は、パンチ310に接触しない位置を回転している。このため、パンチ310は、シートに接触しない位置に保持されている。
【0078】
回転軸324が360度の位置に回転すると、穿孔ユニット301は、ホームポジションである最も上流に位置に戻る。一方、シートは、下流に搬送を継続されている。
【0079】
以上説明した穿孔装置の円筒カム330は、回転軸324と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝331のカム面331c、331dによって、回転軸324の回転により穿孔ユニット301をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、図6に示す作動カムとしての円筒カム240のように、回転軸224と同軸の軸状部材245に対して斜めに形成されたカム面241によって、回転軸224の回転により作動ユニットをシート搬送方向に往復移動させるようにしてもよい。駆動軸215は、固定フレーム223との間に設けた引張ばね246の引張力によってカム面241に、常時、圧接されている。
【0080】
また、穿孔ユニット301の移動速度は、穿孔ユニット301が往復移動しているときシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット301の移動速度は、穿孔ユニット301が往動しているときのみ、或いは、パンチ310がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。
【0081】
また、作動ユニット320が穿孔ユニット301を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、穿孔ユニット301がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じても、シートにループを受け入れることのできる、空間G1,G2(図2、図4)を上パスガイド313と下パスガイド314との間に備えている。
【0082】
以上の穿孔装置300は、第1実施形態の穿孔装置200と同様に次の効果を奏する。
【0083】
パンチ310とダイ311をシート搬送方向に往動させてシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0084】
円筒カム330と膨出カム332とを共通の回転軸324により、共通の駆動源としての穿孔モータ270により、パンチ310とダイ311の移動とパンチ310の孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0085】
円筒カム330のカム面330c、330dによってパンチ310とダイ311とをシートの移動に合わせて移動させるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0086】
さらに、穿孔装置は、円筒カム330によってパンチ310とダイ311とを移動させるため、円筒カム330のカム面330c,330dの形状によってパンチ210とダイ211とがシートの移動に合わせて移動させることができる。このため穿孔装置200は、制御装置260による作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0087】
また、穿孔装置300は、支点である支点軸302と梃303の力点である一端303aとの距離を、支点軸302と作用点である他端303bとの距離よりも長くすると、梃の原理により、駆動力の小さい穿孔モータ270でシートに孔をあけることができる。このため、穿孔装置300を小型にすることができる。
【0088】
なお、以上の穿孔装置200,300において、円筒カム230,240,330の「円筒」の意味は、カム溝231、カム面241、カム溝331が軸状部材225,325に形成されている部分だけに着目すると円筒状であるからである。したがって、円筒カム230,240,330は、回転軸224,324と同軸の円筒状の部材にカム溝231、カム面241,カム溝331が形成された形状であってもよい。このため、特許請求の範囲において、作動カムは、「円筒状部材」に「カム面」が形成された円筒カムになっているが、実施の形態のように、軸状部材225,325にカム面が形成されているものも含むものとする。
【0089】
また、円筒カム230,240,330と膨出カム232,332は、一体に形成されて回転軸224,324に設けられているが、別々に形成されて回転軸224,324に設けられていてもよい。このように、円筒カム230,240,330と膨出カム232,332は、共通の回転軸224,324により、一体に回転駆動されるようになっている。
【0090】
(第3実施形態の穿孔装置)
図10は、本発明の第3実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、斜め上方から見た図であり、パンチが不図示のシートに孔をあけている状態の図である。(B)は、下から見上げた図である。
【0091】
図11は、図10の穿孔装置における、パンチをシート搬送方向に移動させるカージオイド型(ハート型)カムに関する図である。(A)は、カージオイド型(ハート型)カムの平面図である。(B)は、カージオイド型(ハート型)カムの回転角とパンチのシート搬送方向の速度との関係を示した図である。
【0092】
穿孔装置400の構成を説明する。
【0093】
穿孔装置400は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ410とダイ411を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット401を備えている。また、穿孔装置400は、穿孔ユニット401をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ410に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット401を復動(矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット420も備えている。
【0094】
作動ユニット420は、断面L字状の固定フレーム423と、回転軸424と、この回転軸424と一体に回転する作動カムとしての板状カム430及び穿孔カムとしての膨出カム432等を備えている。回転軸424は、シート搬送方向に対して交差して固定フレーム423に回転自在に設けられており、板状カム430と一体に、穿孔モータ270によって矢印K方向に回転するようになっている。
【0095】
板状カム430は、回転軸424を中心にして板状カム430に無端状に形成されたカム溝431によって、回転軸424の回転により穿孔ユニット401をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。カム溝431には、後述する駆動軸415が係合している。板状カム430は、回転軸424と直角な円板状部材425にカム溝431が刻設されたものである。
【0096】
カム溝431は、カージオイド型(ハート型)に形成されている。このため板状カム430は、偏芯回転カムである。カム溝431は、駆動軸415に対して、図11(A)においてAポイントの0度の位置から、90度のBポイントを経て、180度のCポイントまで回転する間、穿孔ユニット401をシート搬送方向の下流に一定速度で搬送するようになっている。また、カム溝431は、駆動軸415に対して、図11(A)においてCポイントの180度の位置から、270度のDポイントを経て、360度のAポイントまで回転する間、穿孔ユニット401をシート搬送方向の上流に一定速度で搬送するようになっている。
【0097】
このため、板状カム430は、穿孔ユニット401をシート搬送速度と同じ速度でシート搬送方向に沿って、往復移動させることができる。
【0098】
膨出カム432は、板状カム430に、回転軸424と平行に膨出して回転軸424の回転方向に延びて山状に形成されている。膨出カム432は、頂面であるカム面432Aでパンチ410をシート搬送方向に対して交差する方向に下降させて、シートに孔あけ動作をさせるようになっている。
【0099】
膨出カム432は、回転軸424が穿孔ユニット401の駆動軸415に対して0度の位置から180度の位置に半回転して、穿孔ユニット201を往動させている間に、パンチ210に孔あけ動作をさせて完了しなければならない。このため、膨出カム432は、図11(A)において、回転軸424が90度の位置に回転したとき、パンチ210を押し下げて、シートに孔があくように、90度の位置432aで最も膨出するように形成されている。また、膨出カム432は、回転しながら、シート搬送方向の下流に移動するパンチ410を押し下げなければならない。このため、膨出カム432は、回転軸424の45度の回転位置から膨出し始めて90度の位置で最も膨出する傾斜面432bに形成されて、その後、105度の位置で膨出が終わる傾斜面432cに形成されている。
【0100】
穿孔ユニット401は、パンチ410と、ダイ411と、スライドフレーム416と、駆動軸415等を備えている。スライドフレーム416は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材である。そして、スライドフレーム416は、不図示のガイド軸(図4(B)のガイド軸217に相当する軸)が作動ユニット420のガイド長孔421に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。スライドフレーム416の天板416Aの下面には、上パスガイド413が設けられている。上パスガイド413は、スライドフレーム416の底板である下パスガイド414側に突出している。下パスガイド414と上パスガイド413は、シートをパンチ410とダイ411との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド414には、パンチ410とでシートに孔をあけるダイ411が形成されている。ダイ411は、下パスガイド414から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0101】
パンチ410は、スライドフレーム416の天板416Aと上パスガイド413とに貫通支持されている。パンチ410は、膨出カム432が回転して当接するため、作動ユニット420の固定フレーム423に形成された貫通長孔426を貫通して、作動ユニット220に進入している。貫通長孔426は、シート搬送方向に沿って、穿孔ユニット401が往復移動する距離より多少長く形成されている。
【0102】
パンチ410の中間部分には、中間部止め輪419)が設けられている。中間部止め輪419と上パスガイド413との間には、パンチ410に遊嵌した保持ばね412が設けられている。保持ばね412は、中間部止め輪219を介して、パンチ410を膨出カム432側へ付勢して、ダイ411から抜け出た状態に保持するばねである。中間部止め輪419は、パンチ410が保持ばね412に付勢されて作動ユニット420側へ突出し過ぎないように、上パスガイド413に受け止められている。
【0103】
穿孔装置400の上流には、搬送されてきたシートの先端を検知する先端検知センサ250が設けられている。穿孔装置200は、制御装置260(図3)によって制御されるようになっている。
【0104】
穿孔装置400の動作を説明する。
【0105】
最初、穿孔ユニット301はホームポジションにいる。また、板状カム430は駆動軸415に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ410は、保持ばね412に押し上げられて、ダイ411から抜けたホームポジションにいる。この状態において、不図示のシートが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートに孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に等速移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。
【0106】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸424が回転し、板状カム430と膨出カム432とが一体に矢印K方向に回転する。板状カム430のカム溝431に穿孔ユニット401の駆動軸415が係合している。このため、板状カム430が回転すると、カム溝431の0度から180度までの部分431Aのカム面431cが駆動軸415をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット401をシート搬送方向の下流へシート搬送速度と同じ速度で往動させる。穿孔ユニット401は、ガイド軸とガイド長孔421とを案内にして、矢印E方向へ往動する。一方、板状カム430が回転すると、膨出カム432も板状カム430と一体に回転する。そして、膨出カム432のカム面432Aがパンチ410の頭部を押して、パンチ410を押し下げる。この結果、パンチ410は、図10に示すように、シートと同じ速度で、矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ411に進入し、シートに孔をあける。
【0107】
回転軸424は回転を継続して駆動軸415に対し90度の位置から180度の位置に回転する。この間に膨出カム432はパンチ410から離れて、パンチ410の押圧を終了する。パンチ410は、保持ばね412によって押し上げられて、シートとダイ411から抜け出て、中間部止め輪219が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。回転軸424が180度の位置まで回転したとき、板状カム430のカム溝431が穿孔ユニット401を最も下流に移動させる。
【0108】
その後、回転軸424が駆動軸415に対して、180度の位置からから360度の位置に回転する。この間、板状カム430は、カム溝431の180度の位置からから360度の位置までの部分431Bのカム面431dで駆動軸415を上流へ押して、穿孔ユニット401を矢印F方向へ復動させる。板状カム430と一体に回転する膨出カム432は、パンチ410に接触しない位置を回転している。このため、パンチ410は、シートに接触しない位置に保持されている。シートは、下流に搬送を継続されている。
【0109】
図4(A)、(B)に示すように、回転軸424は、270度から360度回転する。この間、板状カム430は、カム溝431の上流に傾斜した部分431Bのカム面431dで駆動軸415を上流へ押し続けて、穿孔ユニット401を矢印F方向へ復動を継続させる。板状カム430と一体に回転する膨出カム432は、パンチ410に接触しない位置を回転している。このため、パンチ410は、シートに接触しない位置に保持され続けいている。シートは、下流に搬送を継続されている。回転軸424が360度回転すると、穿孔ユニット401は、ホームポジションの最も上流に位置に戻る。
【0110】
以上説明した穿孔装置400の板状カム430は、カム溝431のカム面431c、431dによって、回転軸424の回転により作動ユニット220をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、固定フレーム423と駆動軸415との間に引張スプリングを設け、引張スプリングによって、駆動軸415がカム溝431のカム面431c、431dに接触するようにしてもよい。この場合、カム溝431のカム面431c、431dに対向するカム面を省略することができる。したがって、板状カムは、溝カムに限定されない。
【0111】
また、穿孔ユニット401の移動速度は、穿孔ユニット401が往復移動しているときシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット401の移動速度は、穿孔ユニット401が往動しているときのみ、或いは、パンチ410がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。
【0112】
また、作動ユニット420が穿孔ユニット401を移動させる速度をシート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、穿孔ユニット401がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じても、シートにループを受け入れることのできる、空間G1,G2(図10)を上パスガイド413と下パスガイド414との間に備えている。
【0113】
また、板状カム430に膨出カム432が突設されているが、膨出カム432は別の板状の部材に形成され、その板状の部材と板状カム430とが回転軸424に取り付けられていてもよい。
【0114】
以上の穿孔装置400は、第1実施形態の穿孔装置200と同様に次の効果を奏する。
【0115】
パンチ410とダイ411をシート搬送方向に往動させてシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0116】
板状カム430と膨出カム432とを共通の回転軸424により、共通の駆動源としての穿孔モータ270により、パンチ410とダイ411の移動とパンチ410の孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0117】
板状カム430のカム面430c、430dによってパンチ410とダイ411とをシートの移動に合わせて移動させるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0118】
また、板状カム430を使用しているため、穿孔装置400を薄型にすることができる。
【符号の説明】
【0119】
P:シート、E:下流方向、F:上流方向、J.K:回転軸の回転方向、100:画像形成装置、100A:装置本体、103:画像形成部(画像形成手段)、500:原稿給送装置、600:画像読取装置、
200:第1実施形態の穿孔装置、201:穿孔ユニット(穿孔部)、210:パンチ、211:ダイ、215:駆動軸、220:作動ユニット(作動部)、224:回転軸、224:軸状部材、230:円筒カム(作動カム)、231:カム溝、231A:カム溝が0度の位置から180度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、231B:カム溝が180度の位置から360度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、231c:カム面、231d:カム面、232:膨出カム(穿孔カム)、232A:カム面、240:円筒カム(作動カム)、241:カム溝、241A:カム溝が0度の位置から180度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、241B:カム溝が180度の位置から360度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、246:引張ばね、250:先端検知センサ、260:制御装置、270:穿孔モータ、
300:第2実施形態の穿孔装置、301:穿孔ユニット(穿孔部)、302:支点軸(支点)、303:梃、303a:一端(力点)、303b:他端(作用点)、310:パンチ、311:ダイ、315:駆動軸、320:作動ユニット(作動部)、324:回転軸、325:軸状部材、330:円筒カム(作動カム)、331:カム溝、331A:カム溝が0度の位置から180度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、331B:カム溝が180度の位置から360度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、331c:カム面、331d:カム面、332:膨出カム(穿孔カム)、332a:頂部、
400:第3実施形態の穿孔装置、401:穿孔ユニット(穿孔部)、410:パンチ、411:ダイ、415:駆動軸、420:作動ユニット(作動部)、424:回転軸、425:円板状部材、430:板状カム(作動カム)、431:カム溝、431A:カム溝が0度の位置から180度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、431B:カム溝が180度から360度回転するとき作動軸に接触する部分、431c:カム面、431d:カム面、432:膨出カム(穿孔カム)、432A:カム面、
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートの搬送速度に合わせてパンチとダイを移動させながらシートに孔をあける穿孔装置と、この穿孔装置を装置本体に備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置には、画像を形成されたシートに孔をあける穿孔装置を備えている場合がある。
【0003】
従来の穿孔装置には、パンチをダイに垂直に進入させてシートに孔をあけるプレスパンチ方式と、パンチとダイスとを回転させながらシートに孔をあけるロータリーパンチ方式とがある。
【0004】
プレスパンチ方式の穿孔装置は、パンチがシートに対して垂直な状態でダイに進入してシートに孔をあけるため、孔を所定の位置に真円にあけることができて、穿孔精度を高めることができるという特徴があった。しかし、プレスパンチ方式の穿孔装置は、搬送されてきたシートを一旦止めなければ孔をあけることができないため、シートを一旦止める分、シートの孔あけの生産性が低いという問題があった。
【0005】
また、ロータリーパンチ方式の穿孔装置は、パンチとダイスとをシート搬送速度に合わせて回転させながらシートに孔をあけるため、シートを止める必要がなく、シートの孔あけの生産性が優れているという特徴があった。しかし、ロータリーパンチ方式の穿孔装置はパンチとダイを回転させながらシートに孔をあけるため、本来、インボリュート曲線でなければカジリを生じるためストレートのパンチとダイではクリアランスを大きくとらざるをえない。よって、パンチとダイの干渉を回避するため、パンチのダイへの進入量、パンチとダイのクリアランス、パンチとダイの位相合わせ等、高精度を求められる。さらに、穿孔した孔が楕円となり、バリも出やすく、シートの所定の位置に真円に孔をあけることが困難で、穿孔精度が低いという問題があった。
【0006】
これらの問題に対処した穿孔装置として、特許文献1に記載のものがある。この穿孔装置は、プレスパンチ方式であるが、パンチとダイとを、シート搬送速度に合わせて移動させながらシートに孔をあけるようになっている。このため、特許文献1に記載の穿孔装置は、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とが優れているという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−28867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の従来の穿孔装置は、パンチをダイに進入させる動作と、パンチとダイをシート搬送方向に移動させる動作とを別々のクランク機構で行っている。このため、従来の穿孔装置は、構造が複雑であるという問題があった。
【0009】
また、前述の穿孔装置は、クランク機構によって穿孔装置を移動させているため穿孔装置自体がSinカーブの速度変化の下で移動する。このため、前述の穿孔装置は、クランク機構のモータの回転速度を変えて、穿孔装置を、等速で移動するシートの移動に合わせるという複雑な制御を行う必要があった。
【0010】
本発明は、簡単な構造で、かつ複雑な制御を行うことなく、シートに精度良く、かつ生産性が良く孔をあける穿孔装置と、この穿孔装置を備えた画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の穿孔装置は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチとダイを有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部と、前記穿孔部を前記シート搬送方向に往動させながら前記パンチに孔あけ動作をさせた後、前記穿孔部を復動させる作動部と、を備え、前記作動部は、前記穿孔部に接触して前記穿孔部を往復移動させる作動カムと、前記パンチに孔あけ動作をさせる穿孔カムとを有し、前記作動カムと前記穿孔カムは、共通の回転軸により、一体に回転駆動される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の穿孔装置は、パンチとダイをシート搬送方向に往動させながらプレスパンチ方式によってシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0013】
また、本発明の穿孔装置は、作動カムと穿孔カムとを共通の回転軸により一体に回転駆動させるようになっているので構造を簡単にすることができる。しかも、作動カムと穿孔カムとを共通の回転軸により回転させるようになっていることにより、共通の駆動源により、パンチ及びダイの移動とパンチの孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0014】
さらに、本発明の穿孔装置は、作動カムでパンチとダイとを移動させ、穿孔カムでパンチに孔あけ動作をさせるようになっているので、作動カムと穿孔カムの形状を、パンチとダイとが所望の移動速度で移動して、シートに孔をあけるようにすることができる。このため本発明の穿孔装置は、回転軸の回転駆動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0015】
また、本発明の穿孔装置は、作動カムによってパンチとダイとを移動させるため、作動カムの形状によってパンチとダイとがシートの移動に合わせて移動させることができるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置のシート搬送方向に沿った概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。
【図3】図2の穿孔装置の制御ブロック図である。
【図4】図2の穿孔装置の動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、(A)のパンチ周辺の右側面図である。(C)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながらパンチでシートに孔をあけている図である。(D)は、(C)のパンチ周辺の右側面図である。
【図5】図4に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットが、シートに孔あけを終了してシート搬送方向の最も下流に移動した図である。(B)は、(A)のパンチ周辺の右側面図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻る途中の図である。(D)は、(C)のパンチ周辺の右側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の穿孔装置において、図2とカムの形状が異なる場合の図2に相当する図である。
【図7】本発明の第2実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながら梃によって作動するパンチがシートに1つ目の孔をあけている図である。(C)は、パンチが1つ目の孔あけを終わった図である。
【図8】図7に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った図である。(B)は、穿孔ユニットがホームポジションから再びシート搬送方向の下流に移動しながら同じシートに2つ目の孔をあけている図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った以後、三度、シート搬送方向の下流側に移動しながら、同じシートに3つ目の孔をあけている図である。
【図9】図7(A)の梃を説明するための断面概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、斜め上方から見た図であり、パンチが不図示のシートに孔をあけている状態の図である。(B)は、下から見上げた図である。
【図11】図10の穿孔装置における、パンチをシート搬送方向に移動させるカージオイド型(ハート型)カムに関する図である。(A)は、カージオイド型(ハート型)カムの下面図である。(B)は、カージオイド型(ハート型)カムの回転角とパンチのシート搬送方向の速度との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の画像形成装置と穿孔装置とを図を参照して説明する。
【0018】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置のシート搬送方向に沿った概略断面図である。
【0019】
画像形成装置100は、装置本体100Aの上部に画像読取装置600と原稿給送装置500とが重ねて装備されている。原稿給送装置500は、画像読取装置600の原稿読取部の上部に原稿を自動的に搬送した後、自動的に排出するようになっている。画像読取装置600は、原稿給送装置500によって自動的に送り込まれてくる原稿を光学的に順次読み取り、その画像情報をデジタル信号として画像形成部103へ送信するようになっている。装置本体100Aは、画像読取装置600からの画像情報に基づいて、普通紙やOHPシート等のシートに原稿を複写するようになっている。
【0020】
なお、画像読取装置600は、ユーザによってプラテンガラス601に載置された原稿を読み取ることもできるようになっている。このため、原稿給送装置500は、必ずしも設ける必要がない。また、装置本体100Aは、外部のファクシミリやパソコン等から送られてくる画像情報をシートに形成することができるようになっている。このため、画像読取装置600も、必ずしも設ける必要がない。
【0021】
画像形成装置100の装置本体100Aの下部には、各種サイズのシートPを収納した複数のシートカセット104(図には1つだけ示して他は省略)が装着されている。シートカセット104から搬送ローラ105によって搬送されたシートは、画像形成手段である画像形成部103において電子写真方式によってトナー画像を形成され、定着器106によって、シートに定着される。
【0022】
シートの片面に画像を形成する場合、シートは、排出ローラ対109によって、穿孔装置200へと送り込まれる。穿孔装置200は、定着器106を通過して、排出ローラ対109から排出されたシートをそのまま搬送しながら、シートに孔をあける。
【0023】
シートの両面に画像を形成する場合、シートは、排出ローラ対109によって、スイッチバック搬送されて、再送パス107に送り込まれる。シートは、スイッチバック搬送される間に、表裏反転されて、再度、画像形成部103へ送り込まれる。シートは、画像形成部103で他方の面にトナー画像を形成され、そのトナー画像を定着器106で定着されて、排出ローラ対109から穿孔装置200へと送り込まれる。
【0024】
なお、画像形成装置100は、符号200で示す穿孔装置の代わりに、符号300(図7)、400(図10)で示す穿孔装置も装備できるようになっている。
【0025】
さらに、装置本体100Aは、シートをシートカセット104からだけでなく、マルチトレイ108から、ユーザの手差しによって給送されるようになっている。
【0026】
(第1実施形態の穿孔装置)
図2は、本発明の第1実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。図3は、図2の穿孔装置の制御ブロック図である。図4、図5は、図2の穿孔装置の動作説明用の図である。
【0027】
穿孔装置200の構成を説明する。
【0028】
穿孔装置200は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ210とダイ211を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット201を備えている。また、穿孔装置200は、穿孔ユニット201をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ210に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット201を復動(矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット220も備えている。
【0029】
作動ユニット220は、U字状の固定フレーム223と、固定フレーム223に回転自在に支持された回転軸224と、回転軸224と一体に回転する作動カムとしての円筒カム230及び穿孔カムとしての膨出カム232等を備えている。回転軸224は、シート搬送方向と平行に配置されて、穿孔モータ270によって矢印H方向に回転するようになっている。なお、円筒カム230の「円筒」の意味については、第2実施形態の説明の最後に記載してある。
【0030】
円筒カム230は、回転軸224と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝231によって、回転軸224の回転により穿孔ユニット201をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。カム溝231には、後述する穿孔ユニット201の駆動軸215が係合している。カム溝231において、回転軸224が0度の位置から180度の位置へ半回転する間に駆動軸215に接触する部分231Aは、図4(A)、(C)に示すように、回転軸224の回転にともなって、シート搬送方向の下流に傾斜している。このため、回転軸224が0度の位置から180度の位置へ半回転する間に、カム溝231の符号231Aで示す部分が穿孔ユニット201を下流に往動させることができる。
【0031】
そして、回転軸224が180度の位置から360度の位置へ半回転する間に駆動軸215に接触する部分231Bは、図5(A)、(C)に示すように、回転軸224の回転にともなって、シート搬送方向の上流に傾斜している。このため、回転軸224が180度の位置から360度の位置へ半回転する間に、カム溝231の符号231Bで示す部分が穿孔ユニット201を上流に復動させることができる。したがって、カム溝231は、無端状に形成されている。
【0032】
パンチ210と駆動軸215は、回転軸224の真下にシート搬送方向に沿って配列されている。
【0033】
膨出カム232は、回転軸224に対して軸状部材225から径方向に膨出し、回転軸224の回転方向(矢印H方向)に延びて山状に形成されている。膨出カム232は、回転軸224の回転により、山状の頂面であるカム面232Aでパンチ210をシート搬送方向に対して交差する方向に下降させて、シートに孔あけ動作をさせるようになっている。膨出カム232は、回転軸224が穿孔ユニット201の駆動軸215に対して0度の位置から180度の位置へ半回転して、穿孔ユニット201を往動させている間に、パンチ210に孔あけ動作をさせて完了しなければならない。このため、膨出カム232は、図4(C)、(D)に示すように、回転軸224が90度の位置に(1/4)回転したとき、パンチ210を押し下げて、シートに孔があくように、90度の位置で最も膨出するように形成されている。また、膨出カム232は、回転しながら、シート搬送方向の下流に移動するパンチ210を押し下げるため、回転軸224が駆動軸215に対して0度の位置から180度の位置へ半回転する間の領域に、シート搬送方向の下流に斜めに形成されている。
【0034】
穿孔ユニット201は、パンチ210と、ダイ211と、スライドフレーム216と、駆動軸215等を備えている。スライドフレーム216は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材であり、ガイド軸217(図4(B))が作動ユニット220のガイド長孔221(図2)に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。
【0035】
スライドフレーム216の天板216Aの下面には、上パスガイド213が設けられている。上パスガイド213は、スライドフレーム216の底板である下パスガイド214側に突出している。下パスガイド214と上パスガイド213は、シートをパンチ210とダイ211との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド214には、パンチ210とでシートに孔をあけるダイ211が形成されている。ダイ211は、下パスガイド214から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0036】
パンチ210は、スライドフレーム216の天板216Aと上パスガイド213とに貫通支持されている。パンチ210は、膨出カム232が回転して当接するため、作動ユニット220の固定フレーム223の底板223A(図1)に形成された貫通長孔226と、底板223aに設けたパンチガイド222の貫通長孔227とを貫通して、作動ユニットに進入している。貫通長孔226,227は、シート搬送方向に沿って、穿孔ユニット201が往復移動する距離より多少長く形成されている。パンチガイド222は、穿孔ユニット201の移動にともなって、パンチ210の頭部に設けられた頭部止め輪218を乗り上がらせて、パンチ210を上方にすくい上げてダイ211とシートからパンチ210が抜け出るようにする部材である。
【0037】
パンチ210の中間部分には、中間部止め輪219(図4(C))が設けられている。中間部止め輪219と上パスガイド213との間には、パンチ210に遊嵌した保持ばね212が設けられている。保持ばね212は、中間部止め輪219を介して、パンチ210を膨出カム232側へ付勢して、ダイ211から抜け出た状態に保持するばねである。中間部止め輪219は、パンチ210が保持ばね212に付勢されて作動ユニット220側へ突出し過ぎないように、上パスガイド213に受け止められている。
【0038】
穿孔装置200の上流には、搬送されてきたシートの先端を検知する先端検知センサ250が設けられている。穿孔装置200は、制御装置260(図3)によって制御されるようになっている。
【0039】
穿孔装置200の動作を説明する。
【0040】
図4(A)、(B)において、穿孔ユニット201はホームポジションにいる。また、円筒カム230は駆動軸215に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ210は、図2の保持ばね212に押し上げられて、ダイ211から抜けたホームポジションにいる。この状態において、不図示のシートが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートに孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に等速移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。
【0041】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸224が回転し、円筒カム230と膨出カム232とが一体に回転する。円筒カム230のカム溝231に穿孔ユニット201の駆動軸215が係合している。このため、円筒カム230が回転すると、カム溝231の下流に傾斜した部分231Aのカム面231cが駆動軸215をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット201をシート搬送方向の下流へシート搬送速度と同じ速度で矢印E方向に往動させる。穿孔ユニット201は、ガイド軸217とガイド長孔221(図2)とを案内にして往動する。一方、円筒カム230が回転すると、膨出カム232も円筒カム230と一体に回転する。
【0042】
そして、膨出カム232のカム面232aがパンチ210の頭部を押して、パンチ210を押し下げる。この結果、パンチ210は、シートと同じ速度で矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ211に進入しながらシートに孔をあける。
【0043】
図4(C)、(D)に示すように、回転軸224が駆動軸215に対して90度の位置に(1/4)回転したとき、膨出カム232はパンチ210を最も押し下げて、シートに孔をあけて、シートとダイ211とを貫通した状態にする。
【0044】
図5(A)、(B)に示すように、回転軸224は回転を継続して駆動軸215に対し180度の位置に回転する。この間に膨出カム232はパンチ210から離れて、パンチ210の押圧を終了する。パンチ210は、保持ばね212によって押し上げられ、かつ頭部止め輪218がパンチガイド222にすくい上げられることによって、シートとダイ211から抜け出て、中間部止め輪219が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。パンチガイド222は、パンチ210が下降してシートの通過を邪魔するのを防止して、シート詰まりの発生を防止している。回転軸224が180度の位置に回転したとき、円筒カム230のカム溝231が穿孔ユニット201を最も下流に移動させる。
【0045】
図5(A)〜(D)に示すように、その後、回転軸224が駆動軸215に対して、180度の位置から270度の位置に回転する。この間、円筒カム230は、カム溝231の上流に傾斜した部分231Bのカム面231dで駆動軸215を上流へ押して、穿孔ユニット201を矢印F方向へ復動させる。円筒カム230と一体に回転する膨出カム232は、パンチ210に接触しない位置を回転している。このため、パンチ210は、シートに接触しない位置に保持されている。シートは、下流に搬送を継続されている。
【0046】
図5(C)(D)乃至図4(A)、(B)に示すように、回転軸224は、270度の位置から360度の位置に回転する。この間、円筒カム230は、カム溝231の上流に傾斜した部分231Bのカム面231dで駆動軸215を上流へ押し続けて、穿孔ユニット201を矢印F方向へ復動を継続させる。円筒カム230と一体に回転する膨出カム232は、パンチ210に接触しない位置を回転している。このため、パンチ210は、シートに接触しない位置に保持され続けている。シートは、下流に搬送を継続されている。回転軸224が360度の位置に回転すると、穿孔ユニット201は、最も上流のホームポジションの位置に戻る。
【0047】
以上説明した穿孔装置200の円筒カム230は、回転軸224と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝231のカム面231c,231dの回転により作動ユニット220をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、図6に示す作動カムとしての円筒カム240のように、回転軸224と同軸の軸状部材245に対して斜めに形成されたカム面241によって、回転軸224の回転により穿孔ユニット201をシート搬送方向に往復移動させるようにしてもよい。
【0048】
カム面241において、駆動軸215が0度の位置から180度の位置まで半回転するまでの部分241Aは下流に傾斜し、180度の位置から360度の位置に半回転するまでの部分241Bは上流に傾斜している。したがって、カム面241は、無端状に形成されている。駆動軸215は、固定フレーム223との間に設けた引張ばね246の引張力によってカム面241に、常時、圧接されている。
【0049】
以上のように、穿孔装置200は、パンチ210とダイ211をシート搬送方向に往動させながらパンチ210の孔あけ動作によってシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0050】
また、穿孔装置200は、円筒カム230,240と膨出カム232とを共通の回転軸224により一体に回転駆動させるようになっているので構造を簡単にすることができる。しかも、円筒カム230,240と膨出カム232とを共通の回転軸224により回転させるようになっているので、共通の穿孔モータ270により、パンチ210とダイ211の移動及び孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0051】
さらに、穿孔装置は、円筒カム230,240によってパンチ210とダイ211とを移動させるため、円筒カム230,240のカム面230c,230d,241の形状によってパンチ210とダイ211とがシートの移動に合わせて移動させることができる。このため穿孔装置200は、制御装置260による作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0052】
また、穿孔ユニット201の移動速度はシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット201の移動速度は、穿孔ユニット201が往動しているときのみ、或いは、パンチ210がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。このことによって、孔をシートの所定の位置に所定の形状にあけることができる。
【0053】
しかし、穿孔ユニット201をシート搬送速度と同じ速度で移動させるのには、穿孔モータ270の回転速度や、シートを穿孔装置200に送り込む排出ローラ対109(図1)の回転速度の制御が困難である。このため、パンチ210がシートに孔をあけている間、穿孔ユニット201がシート搬送速度より速く移動するようなことがあると、シートを引き裂くおそれがある。
【0054】
そこで、円筒カム230,240が穿孔ユニット201を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、パンチ210が孔をあけたシートに係合している間、穿孔ユニット201がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じる。そこで、穿孔装置200は、シートにループを受け入れる空間G1,G2(図2、図4)を上パスガイド213と下パスガイド214との間に備えている。
【0055】
(第2実施形態の穿孔装置)
図7は、本発明の第2実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションにいる図である。(B)は、穿孔ユニットがシート搬送方向の下流に移動しながら梃によって作動するパンチがシートに1つ目の孔をあけている図である。(C)は、パンチが1つ目の孔あけを終わった図である。
【0056】
図8は、図7に続く動作説明用の図である。(A)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った図である。(B)は、穿孔ユニットがホームポジションから再びシート搬送方向の下流に移動しながら同じシートに2つ目の孔をあけている図である。(C)は、穿孔ユニットがホームポジションに戻った以後、三度、シート搬送方向の下流側に移動しながら、同じシートに3つ目の孔をあけている図である。
【0057】
図9は、図7(A)の梃を説明するための断面概略図である。
【0058】
穿孔装置300の構成を説明する。
【0059】
第2実施形態の穿孔装置300は、梃303でパンチ310を作動させるようになっている。このため、回転軸324、円筒カム330及び膨出カム332等は、パンチ310の横に配置されている。
【0060】
穿孔装置300は、パンチ310とダイ311(図9)を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット301を備えている。また、穿孔装置300は、穿孔ユニット301をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ310に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット301を復動(図8(A)の矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット320も備えている。
【0061】
作動ユニット320は、U字状の固定フレーム323と、固定フレーム323に回転自在に支持された回転軸324と、回転軸324と一体に回転する作動カムとしての円筒カム330及び穿孔カムとしての膨出カム332等を備えている。回転軸324は、シート搬送方向と平行に配置されて、穿孔モータ370によって矢印J方向に回転するようになっている。矢印Jと図2の矢印Hは互いに反対方向である。
【0062】
穿孔ユニット301(図9)は、パンチ310と、ダイ311と、スライドフレーム316と、駆動軸315と、梃303等を備えている。スライドフレーム316は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材であり、ガイド軸317が作動ユニット320のガイド長孔321(図7(A))に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。スライドフレーム316の天板316Aの下面には、上パスガイド313が設けられている。上パスガイド313は、スライドフレーム316の底板に設けられた下パスガイド314側に突出している。下パスガイド314と上パスガイド313は、シートをパンチ310とダイ311との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド314には、パンチ310とでシートに孔をあけるダイ311が形成されている。ダイ311は、下パスガイド314から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0063】
パンチ310(図9)は、スライドフレーム316の天板316Aと上パスガイド313とに貫通支持されている。固定フレーム323(図8(A))には、パンチ310が貫通する貫通長孔326が形成されている。
【0064】
パンチ310(図9)の中間部分には、中間部止め輪319が設けられている。中間部止め輪319と上パスガイド313との間には、パンチ310に遊嵌した保持ばね312が設けられている。保持ばね312は、中間部止め輪319を介して、パンチ310をダイ311から抜け出る方向へ付勢している。中間部止め輪319は、パンチ310が保持ばね312に付勢されて作動ユニット320側へ突出し過ぎないように、上パスガイド313に受け止められている。
【0065】
穿孔部としての穿孔ユニット301は、スライドフレーム316に突設された支点支持板304に支点である支点軸302を有し、その支点軸302に梃303が設けられている。梃303の一端303aは、力点であり、穿孔カムとしての膨出カム332に接触している。梃303の他端303bは、作用点であり、パンチ310の頭部に位置し、連結ピン333を介してパンチ310に連結している。なお、梃303が連結ピン333に連結する部分には、シート搬送方向に対して交差する長孔334(図9)が形成されている。
【0066】
作動ユニット320に設けられた膨出カム332(図7(B))は、回転軸324と平行に延びて突条に形成されている。この膨出カム332は、回転軸324の回転角度が0度の位置に形成されている。膨出カム332は、図2に示す形状の膨出カム232であってもよい。
【0067】
パンチガイド322は、作動ユニット320の固定フレーム323(図7)に設けられた板状の部材であり、第1実施形態のパンチガイド222と同様にパンチ310をすくい上げる役目をしている。すなわち、パンチガイド322(図7(C))は、穿孔ユニット301がシートPとともに矢印E方向に移動したとき、梃303の支点と作用点との間を乗り上がらせて、パンチを上方へすくい上げてダイ311とシートからパンチが抜け出るようにする部材である。
【0068】
なお、本穿孔装置300の場合、梃303の一端303aを膨出カム332によって押し上げるため、回転軸324は矢印J方向に回転しなければならない。このため、図7(B)に見えている円筒カム330のカム溝331の部分331Aは、回転軸324が0度の位置から180度の位置に回転する間に駆動軸315と接触する部分であり、円筒カム330が回転するのに従ってシート搬送方向の下流に傾いている。したがって、回転軸324が0度の位置から180度の位置に半回転する間に、カム溝331の符号331Aで示す部分が駆動軸315を介して、穿孔ユニット301を下流に往動させることができる。
【0069】
また、図7(A)に見えている円筒カム330のカム溝331の部分331Bは、回転軸324が180度の位置から360度の位置に回転する間に駆動軸315と接触する部分であり、円筒カム330が回転するのに従ってシート搬送方向の上流に傾いている。したがって、回転軸324が180度の位置から360度の位置に半回転する間に、カム溝331の符号331Aで示す部分が穿孔ユニット301を上流に復動させることができる。カム溝331は、無端状に形成されている。
【0070】
穿孔装置300の動作を説明する。
【0071】
図7(A)において、穿孔ユニット301はホームポジションにいる。また、円筒カム330は駆動軸315に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ310は、図9の保持ばね312に押し上げられて、ダイ311から抜けたホームポジションにいる。穿孔ユニット201はホームポジションにいる。また、円筒カム230は駆動軸215に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ210は、図2の保持ばね212に押し上げられて、ダイ211から抜けたホームポジションにいる。
【0072】
この状態において、シートPが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートの孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。第2実施形態の場合、回転軸324が第1実施形態とは反対方向の矢印J方向に回転するため、制御装置260は、穿孔モータ270を第1実施形態とは反対方向に回転始動させる。
【0073】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸324が矢印J方向に回転し、円筒カム330と膨出カム332とが一体に矢印J方向に回転する。円筒カム330のカム溝331に穿孔ユニット301の駆動軸315が係合している。このため、円筒カム330が回転すると、カム溝331のカム面331cが駆動軸315をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット301をシート搬送方向の下流(矢印E方向)へシート搬送速度と同じ速度で往動させる。穿孔ユニット301は、図9のガイド軸317と図7(B)のガイド長孔321とを案内にして、矢印E方向へ往動する。一方、円筒カム330が回転すると、膨出カム332も円筒カム330と一体に回転する。そして、膨出カム332の頂部332aが梃303の一端(力点)303aを押し上げる。
【0074】
すると、図7(A)、(B)に示すように、回転軸324が駆動軸315に対して0度の位置から90度の位置に(1/4)回転する間に、膨出カム332は頂部332aで梃303の力点である一端303aを押し上げる。梃303は、支点軸(支点)302を中心に回転して作用点である他端303bが下がり、長孔334と連結ピン333とを介して、パンチ310を押し下げる。この結果、パンチ310は、シートと同じ速度で、矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ311に進入しながらシートPに孔をあける。
【0075】
図7(B)に示すように、回転軸324が駆動軸315に対して90度の位置に回転したとき、膨出カム332は梃303を介してパンチ310を最も押し下げて、シートに孔をあけて、シートとダイ311とを貫通した状態にする。
【0076】
図7(C)に示すように、回転軸324は回転を継続して駆動軸315に対し180度の位置に回転する。この間に膨出カム332は梃303から離れる。パンチ310は、保持ばね312によって押し上げられ、かつ梃303がパンチガイド322にすくい上げられることによって、シートとダイ311から抜け出て、中間部止め輪319(図9)が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。パンチガイド322は、パンチ310が下降してシートの通過を遮蔽するのを防止して、シート詰まりの発生を防止する。回転軸324が180度の位置に回転したとき、円筒カム330のカム溝331が穿孔ユニット301を最も下流に移動させる。
【0077】
図8(A)に示すように、その後、回転軸324が駆動軸315に対して、180度の位置から360度の位置に半回転する。この間、円筒カム330は、カム溝331の上流に傾斜した部分331Bのカム面331dで駆動軸315を上流へ押して、穿孔ユニット301を矢印F方向へ復動させる。円筒カム330と一体に回転する膨出カム332は、パンチ310に接触しない位置を回転している。このため、パンチ310は、シートに接触しない位置に保持されている。
【0078】
回転軸324が360度の位置に回転すると、穿孔ユニット301は、ホームポジションである最も上流に位置に戻る。一方、シートは、下流に搬送を継続されている。
【0079】
以上説明した穿孔装置の円筒カム330は、回転軸324と同軸の軸状部材225に対して斜めに形成されたカム溝331のカム面331c、331dによって、回転軸324の回転により穿孔ユニット301をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、図6に示す作動カムとしての円筒カム240のように、回転軸224と同軸の軸状部材245に対して斜めに形成されたカム面241によって、回転軸224の回転により作動ユニットをシート搬送方向に往復移動させるようにしてもよい。駆動軸215は、固定フレーム223との間に設けた引張ばね246の引張力によってカム面241に、常時、圧接されている。
【0080】
また、穿孔ユニット301の移動速度は、穿孔ユニット301が往復移動しているときシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット301の移動速度は、穿孔ユニット301が往動しているときのみ、或いは、パンチ310がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。
【0081】
また、作動ユニット320が穿孔ユニット301を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、穿孔ユニット301がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じても、シートにループを受け入れることのできる、空間G1,G2(図2、図4)を上パスガイド313と下パスガイド314との間に備えている。
【0082】
以上の穿孔装置300は、第1実施形態の穿孔装置200と同様に次の効果を奏する。
【0083】
パンチ310とダイ311をシート搬送方向に往動させてシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0084】
円筒カム330と膨出カム332とを共通の回転軸324により、共通の駆動源としての穿孔モータ270により、パンチ310とダイ311の移動とパンチ310の孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0085】
円筒カム330のカム面330c、330dによってパンチ310とダイ311とをシートの移動に合わせて移動させるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0086】
さらに、穿孔装置は、円筒カム330によってパンチ310とダイ311とを移動させるため、円筒カム330のカム面330c,330dの形状によってパンチ210とダイ211とがシートの移動に合わせて移動させることができる。このため穿孔装置200は、制御装置260による作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0087】
また、穿孔装置300は、支点である支点軸302と梃303の力点である一端303aとの距離を、支点軸302と作用点である他端303bとの距離よりも長くすると、梃の原理により、駆動力の小さい穿孔モータ270でシートに孔をあけることができる。このため、穿孔装置300を小型にすることができる。
【0088】
なお、以上の穿孔装置200,300において、円筒カム230,240,330の「円筒」の意味は、カム溝231、カム面241、カム溝331が軸状部材225,325に形成されている部分だけに着目すると円筒状であるからである。したがって、円筒カム230,240,330は、回転軸224,324と同軸の円筒状の部材にカム溝231、カム面241,カム溝331が形成された形状であってもよい。このため、特許請求の範囲において、作動カムは、「円筒状部材」に「カム面」が形成された円筒カムになっているが、実施の形態のように、軸状部材225,325にカム面が形成されているものも含むものとする。
【0089】
また、円筒カム230,240,330と膨出カム232,332は、一体に形成されて回転軸224,324に設けられているが、別々に形成されて回転軸224,324に設けられていてもよい。このように、円筒カム230,240,330と膨出カム232,332は、共通の回転軸224,324により、一体に回転駆動されるようになっている。
【0090】
(第3実施形態の穿孔装置)
図10は、本発明の第3実施形態の穿孔装置の外観斜視図である。(A)は、斜め上方から見た図であり、パンチが不図示のシートに孔をあけている状態の図である。(B)は、下から見上げた図である。
【0091】
図11は、図10の穿孔装置における、パンチをシート搬送方向に移動させるカージオイド型(ハート型)カムに関する図である。(A)は、カージオイド型(ハート型)カムの平面図である。(B)は、カージオイド型(ハート型)カムの回転角とパンチのシート搬送方向の速度との関係を示した図である。
【0092】
穿孔装置400の構成を説明する。
【0093】
穿孔装置400は、搬送されてくるシートに孔をあけるパンチ410とダイ411を有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部としての穿孔ユニット401を備えている。また、穿孔装置400は、穿孔ユニット401をシート搬送方向に往動(矢印E方向)させながらパンチ410に孔あけ動作をさせた後、穿孔ユニット401を復動(矢印F方向)させる作動部としての作動ユニット420も備えている。
【0094】
作動ユニット420は、断面L字状の固定フレーム423と、回転軸424と、この回転軸424と一体に回転する作動カムとしての板状カム430及び穿孔カムとしての膨出カム432等を備えている。回転軸424は、シート搬送方向に対して交差して固定フレーム423に回転自在に設けられており、板状カム430と一体に、穿孔モータ270によって矢印K方向に回転するようになっている。
【0095】
板状カム430は、回転軸424を中心にして板状カム430に無端状に形成されたカム溝431によって、回転軸424の回転により穿孔ユニット401をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。カム溝431には、後述する駆動軸415が係合している。板状カム430は、回転軸424と直角な円板状部材425にカム溝431が刻設されたものである。
【0096】
カム溝431は、カージオイド型(ハート型)に形成されている。このため板状カム430は、偏芯回転カムである。カム溝431は、駆動軸415に対して、図11(A)においてAポイントの0度の位置から、90度のBポイントを経て、180度のCポイントまで回転する間、穿孔ユニット401をシート搬送方向の下流に一定速度で搬送するようになっている。また、カム溝431は、駆動軸415に対して、図11(A)においてCポイントの180度の位置から、270度のDポイントを経て、360度のAポイントまで回転する間、穿孔ユニット401をシート搬送方向の上流に一定速度で搬送するようになっている。
【0097】
このため、板状カム430は、穿孔ユニット401をシート搬送速度と同じ速度でシート搬送方向に沿って、往復移動させることができる。
【0098】
膨出カム432は、板状カム430に、回転軸424と平行に膨出して回転軸424の回転方向に延びて山状に形成されている。膨出カム432は、頂面であるカム面432Aでパンチ410をシート搬送方向に対して交差する方向に下降させて、シートに孔あけ動作をさせるようになっている。
【0099】
膨出カム432は、回転軸424が穿孔ユニット401の駆動軸415に対して0度の位置から180度の位置に半回転して、穿孔ユニット201を往動させている間に、パンチ210に孔あけ動作をさせて完了しなければならない。このため、膨出カム432は、図11(A)において、回転軸424が90度の位置に回転したとき、パンチ210を押し下げて、シートに孔があくように、90度の位置432aで最も膨出するように形成されている。また、膨出カム432は、回転しながら、シート搬送方向の下流に移動するパンチ410を押し下げなければならない。このため、膨出カム432は、回転軸424の45度の回転位置から膨出し始めて90度の位置で最も膨出する傾斜面432bに形成されて、その後、105度の位置で膨出が終わる傾斜面432cに形成されている。
【0100】
穿孔ユニット401は、パンチ410と、ダイ411と、スライドフレーム416と、駆動軸415等を備えている。スライドフレーム416は、シート搬送方向に対して交差する断面形状が横向きU字の樋形状の部材である。そして、スライドフレーム416は、不図示のガイド軸(図4(B)のガイド軸217に相当する軸)が作動ユニット420のガイド長孔421に案内されて、シート搬送方向に往復移動できるようになっている。スライドフレーム416の天板416Aの下面には、上パスガイド413が設けられている。上パスガイド413は、スライドフレーム416の底板である下パスガイド414側に突出している。下パスガイド414と上パスガイド413は、シートをパンチ410とダイ411との間に案内するシート搬送ガイドを形成している。下パスガイド414には、パンチ410とでシートに孔をあけるダイ411が形成されている。ダイ411は、下パスガイド414から円錐状に多少盛り上がった絞り形状に形成されて、シートの先端が引っかかるのを防止されている。
【0101】
パンチ410は、スライドフレーム416の天板416Aと上パスガイド413とに貫通支持されている。パンチ410は、膨出カム432が回転して当接するため、作動ユニット420の固定フレーム423に形成された貫通長孔426を貫通して、作動ユニット220に進入している。貫通長孔426は、シート搬送方向に沿って、穿孔ユニット401が往復移動する距離より多少長く形成されている。
【0102】
パンチ410の中間部分には、中間部止め輪419)が設けられている。中間部止め輪419と上パスガイド413との間には、パンチ410に遊嵌した保持ばね412が設けられている。保持ばね412は、中間部止め輪219を介して、パンチ410を膨出カム432側へ付勢して、ダイ411から抜け出た状態に保持するばねである。中間部止め輪419は、パンチ410が保持ばね412に付勢されて作動ユニット420側へ突出し過ぎないように、上パスガイド413に受け止められている。
【0103】
穿孔装置400の上流には、搬送されてきたシートの先端を検知する先端検知センサ250が設けられている。穿孔装置200は、制御装置260(図3)によって制御されるようになっている。
【0104】
穿孔装置400の動作を説明する。
【0105】
最初、穿孔ユニット301はホームポジションにいる。また、板状カム430は駆動軸415に対して0度の位置にいる。さらに、パンチ410は、保持ばね412に押し上げられて、ダイ411から抜けたホームポジションにいる。この状態において、不図示のシートが図の左側(上流)から右側(下流)に搬送されてくると、先端検知センサ250がシートの先端を検知する。制御装置260は、先端検知センサがシートの先端を検知してから、シートに孔をあけられる部分がパンチの真下に到達したとき、穿孔ユニットがシートの搬送速度と同じ速度で下流に等速移動しているように、タイミングを計って、穿孔モータ270を始動させる。すなわち、制御装置260は、先端検知センサ250がシートを検知してから所定時間経過した時点で、穿孔モータ270を始動させる。
【0106】
穿孔モータ270が始動すると、回転軸424が回転し、板状カム430と膨出カム432とが一体に矢印K方向に回転する。板状カム430のカム溝431に穿孔ユニット401の駆動軸415が係合している。このため、板状カム430が回転すると、カム溝431の0度から180度までの部分431Aのカム面431cが駆動軸415をシート搬送方向の下流に押して、穿孔ユニット401をシート搬送方向の下流へシート搬送速度と同じ速度で往動させる。穿孔ユニット401は、ガイド軸とガイド長孔421とを案内にして、矢印E方向へ往動する。一方、板状カム430が回転すると、膨出カム432も板状カム430と一体に回転する。そして、膨出カム432のカム面432Aがパンチ410の頭部を押して、パンチ410を押し下げる。この結果、パンチ410は、図10に示すように、シートと同じ速度で、矢印E方向に移動しながら押し下げられて、ダイ411に進入し、シートに孔をあける。
【0107】
回転軸424は回転を継続して駆動軸415に対し90度の位置から180度の位置に回転する。この間に膨出カム432はパンチ410から離れて、パンチ410の押圧を終了する。パンチ410は、保持ばね412によって押し上げられて、シートとダイ411から抜け出て、中間部止め輪219が天板216Aに受け止められて、上昇を停止する。回転軸424が180度の位置まで回転したとき、板状カム430のカム溝431が穿孔ユニット401を最も下流に移動させる。
【0108】
その後、回転軸424が駆動軸415に対して、180度の位置からから360度の位置に回転する。この間、板状カム430は、カム溝431の180度の位置からから360度の位置までの部分431Bのカム面431dで駆動軸415を上流へ押して、穿孔ユニット401を矢印F方向へ復動させる。板状カム430と一体に回転する膨出カム432は、パンチ410に接触しない位置を回転している。このため、パンチ410は、シートに接触しない位置に保持されている。シートは、下流に搬送を継続されている。
【0109】
図4(A)、(B)に示すように、回転軸424は、270度から360度回転する。この間、板状カム430は、カム溝431の上流に傾斜した部分431Bのカム面431dで駆動軸415を上流へ押し続けて、穿孔ユニット401を矢印F方向へ復動を継続させる。板状カム430と一体に回転する膨出カム432は、パンチ410に接触しない位置を回転している。このため、パンチ410は、シートに接触しない位置に保持され続けいている。シートは、下流に搬送を継続されている。回転軸424が360度回転すると、穿孔ユニット401は、ホームポジションの最も上流に位置に戻る。
【0110】
以上説明した穿孔装置400の板状カム430は、カム溝431のカム面431c、431dによって、回転軸424の回転により作動ユニット220をシート搬送方向に往復移動させるようになっている。しかし、固定フレーム423と駆動軸415との間に引張スプリングを設け、引張スプリングによって、駆動軸415がカム溝431のカム面431c、431dに接触するようにしてもよい。この場合、カム溝431のカム面431c、431dに対向するカム面を省略することができる。したがって、板状カムは、溝カムに限定されない。
【0111】
また、穿孔ユニット401の移動速度は、穿孔ユニット401が往復移動しているときシート搬送速度と同じに設定されている。しかし、穿孔ユニット401の移動速度は、穿孔ユニット401が往動しているときのみ、或いは、パンチ410がシートに孔をあける直前からシートに孔をあけ終わってシートから抜け出た直後の間の短時間のみ、同じ速度に設定されていてもよい。
【0112】
また、作動ユニット420が穿孔ユニット401を移動させる速度をシート搬送速度より遅く設定されていてもよい。このようにすると、シートを引き裂くおそれが少なくなる。また、穿孔モータ270や、排出ローラ対109(図1)の回転速度をシート搬送速度に正確に合わせる必要がなく、速度制御が容易になる。この場合、穿孔ユニット401がシート搬送速度より遅い分だけ、シートにループ(撓み)が生じても、シートにループを受け入れることのできる、空間G1,G2(図10)を上パスガイド413と下パスガイド414との間に備えている。
【0113】
また、板状カム430に膨出カム432が突設されているが、膨出カム432は別の板状の部材に形成され、その板状の部材と板状カム430とが回転軸424に取り付けられていてもよい。
【0114】
以上の穿孔装置400は、第1実施形態の穿孔装置200と同様に次の効果を奏する。
【0115】
パンチ410とダイ411をシート搬送方向に往動させてシートに孔をあけるため、穿孔精度と、シートの孔あけの生産性とを高めることができる。
【0116】
板状カム430と膨出カム432とを共通の回転軸424により、共通の駆動源としての穿孔モータ270により、パンチ410とダイ411の移動とパンチ410の孔あけ動作とをさせることができて、構造を簡単にすることができる。
【0117】
板状カム430のカム面430c、430dによってパンチ410とダイ411とをシートの移動に合わせて移動させるので、作動制御を従来よりも簡単にすることができる。
【0118】
また、板状カム430を使用しているため、穿孔装置400を薄型にすることができる。
【符号の説明】
【0119】
P:シート、E:下流方向、F:上流方向、J.K:回転軸の回転方向、100:画像形成装置、100A:装置本体、103:画像形成部(画像形成手段)、500:原稿給送装置、600:画像読取装置、
200:第1実施形態の穿孔装置、201:穿孔ユニット(穿孔部)、210:パンチ、211:ダイ、215:駆動軸、220:作動ユニット(作動部)、224:回転軸、224:軸状部材、230:円筒カム(作動カム)、231:カム溝、231A:カム溝が0度の位置から180度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、231B:カム溝が180度の位置から360度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、231c:カム面、231d:カム面、232:膨出カム(穿孔カム)、232A:カム面、240:円筒カム(作動カム)、241:カム溝、241A:カム溝が0度の位置から180度の位置に半回転するとき作動軸に接触する部分、241B:カム溝が180度の位置から360度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、246:引張ばね、250:先端検知センサ、260:制御装置、270:穿孔モータ、
300:第2実施形態の穿孔装置、301:穿孔ユニット(穿孔部)、302:支点軸(支点)、303:梃、303a:一端(力点)、303b:他端(作用点)、310:パンチ、311:ダイ、315:駆動軸、320:作動ユニット(作動部)、324:回転軸、325:軸状部材、330:円筒カム(作動カム)、331:カム溝、331A:カム溝が0度の位置から180度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、331B:カム溝が180度の位置から360度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、331c:カム面、331d:カム面、332:膨出カム(穿孔カム)、332a:頂部、
400:第3実施形態の穿孔装置、401:穿孔ユニット(穿孔部)、410:パンチ、411:ダイ、415:駆動軸、420:作動ユニット(作動部)、424:回転軸、425:円板状部材、430:板状カム(作動カム)、431:カム溝、431A:カム溝が0度の位置から180度の位置へ半回転するとき作動軸に接触する部分、431B:カム溝が180度から360度回転するとき作動軸に接触する部分、431c:カム面、431d:カム面、432:膨出カム(穿孔カム)、432A:カム面、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるシートに孔をあけるパンチとダイを有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部と、
前記穿孔部を前記シート搬送方向に往動させながら前記パンチに孔あけ動作をさせた後、前記穿孔部を復動させる作動部と、を備え、
前記作動部は、前記穿孔部に接して前記穿孔部を往復移動させる作動カムと、前記パンチに孔あけ動作をさせる穿孔カムとを有し、
前記作動カムと前記穿孔カムは、共通の回転軸により、一体に回転駆動される、
ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記回転軸は、前記シート搬送方向と平行に配置され、
前記作動カムは、当該回転軸と同軸の円筒状部材に当該回転軸に対して斜めに形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記穿孔部を前記シート搬送方向に等速移動させる円筒カムであり、
前記穿孔カムは、当該回転軸に対して径方向に膨出し、当該回転軸の回転方向に延びて山状に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記パンチを前記シート搬送方向に対して交差する方向に作動させる膨出カムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記シート搬送方向に対して交差する向きに配置され、
前記作動カムは、当該回転軸の回転方向に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記穿孔部を前記シート搬送方向に等速移動させる板状カムであり、
前記穿孔カムは、当該回転軸と平行に膨出して当該回転軸の回転方向に延びて山状に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転によって前記パンチを前記シート搬送方向に対して交差する方向に作動させる膨出カムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記作動カムが前記穿孔部を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されており、
前記穿孔部は、前記パンチが孔をあけたシートに係合している状態でシートに生じるループを受け入れる空間を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記穿孔部は、前記穿孔部に支点を設けられた梃を有し、
前記梃は、力点が前記穿孔カムに位置し、作用点が前記パンチに位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像を形成されたシートに孔をあける請求項1乃至5のいずれか1項に記載の穿孔装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
搬送されてくるシートに孔をあけるパンチとダイを有してシート搬送方向に往復移動可能な穿孔部と、
前記穿孔部を前記シート搬送方向に往動させながら前記パンチに孔あけ動作をさせた後、前記穿孔部を復動させる作動部と、を備え、
前記作動部は、前記穿孔部に接して前記穿孔部を往復移動させる作動カムと、前記パンチに孔あけ動作をさせる穿孔カムとを有し、
前記作動カムと前記穿孔カムは、共通の回転軸により、一体に回転駆動される、
ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記回転軸は、前記シート搬送方向と平行に配置され、
前記作動カムは、当該回転軸と同軸の円筒状部材に当該回転軸に対して斜めに形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記穿孔部を前記シート搬送方向に等速移動させる円筒カムであり、
前記穿孔カムは、当該回転軸に対して径方向に膨出し、当該回転軸の回転方向に延びて山状に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記パンチを前記シート搬送方向に対して交差する方向に作動させる膨出カムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記シート搬送方向に対して交差する向きに配置され、
前記作動カムは、当該回転軸の回転方向に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転により前記穿孔部を前記シート搬送方向に等速移動させる板状カムであり、
前記穿孔カムは、当該回転軸と平行に膨出して当該回転軸の回転方向に延びて山状に形成されたカム面によって、当該回転軸の回転によって前記パンチを前記シート搬送方向に対して交差する方向に作動させる膨出カムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記作動カムが前記穿孔部を移動させる速度は、シート搬送速度より遅く設定されており、
前記穿孔部は、前記パンチが孔をあけたシートに係合している状態でシートに生じるループを受け入れる空間を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記穿孔部は、前記穿孔部に支点を設けられた梃を有し、
前記梃は、力点が前記穿孔カムに位置し、作用点が前記パンチに位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像を形成されたシートに孔をあける請求項1乃至5のいずれか1項に記載の穿孔装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−43224(P2013−43224A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180632(P2011−180632)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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