説明

穿孔装置

【課題】管に挿入されて管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔する穿孔装置において、穿孔刃の位置決めを容易に正確に行え、更に穿孔刃の管内周面への衝突を防止できるようにする。
【解決手段】ストッパ18上に重り部材17を装着した穿孔装置本体を枝管13内に挿入し、本管12と合流する枝管13の端部開口を塞いでいる管ライニング材14に対して保護カバー3ないしホルソー1のドリル1aがほぼ当接する位置まで挿入する。そして高圧エアーの供給でエアーバッグ8を膨張させる。これによりバッグ8と支持板10が枝管内周面13aに押し付けられて軸受部材5が固定され、回転軸2と共にホルソー1が枝管13の管長方向に直交する方向に位置決めされる。その後、ホルソー1を重り部材17の荷重で管ライニング材14に強く押し付けた状態でモータの駆動により回転させて穿孔する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管に挿入されて管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔する穿孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中に埋設された下水道管などの既設管が老朽化した場合に、既設管を掘り出すことなく更生するために、既設管を管ライニング材でライニングするライニング工法が知られている(特許文献1参照)。管ライニング材は、既設管の形状に対応した管状の柔軟な不織布からなる樹脂吸収材に未硬化の液状硬化性樹脂(一般的には熱硬化性樹脂)を含浸させたものである。樹脂吸収材の外周面には気密性の高いプラスチックフィルムが貼り付けられている。ライニング工事では、管ライニング材を流体圧により既設管内に表裏を反転させて挿入し、既設管の内周面に押し付けた状態で、管ライニング材に含浸された液状硬化性樹脂を加熱などの方法で硬化させることにより、ライニングを行っている。
【0003】
ところで、下水管などの本管には枝管が合流している。このため、管ライニング材で本管をライニングした場合には、管ライニング材が枝管の合流部分の端部の開口を塞いでしまう。このため、穿孔機とTVカメラを搭載した管内作業ロボットを本管に入れて地上から遠隔操作し、穿孔機のカッター(回転刃)を回転駆動して枝管の端部を塞いでいる管ライニング材の部分を本管側から穿孔して除去する作業を行っている(特許文献2の図5〜図8参照)。
【0004】
しかし、この作業では、穿孔前に、穿孔機のカッターの位置決めを本管の管長方向と周方向及び上下方向のそれぞれについて行う必要がある。これはTVカメラで本管内をモニタしながら行うが、本管内が暗くて見え難いので、位置決めを誤る、すなわち穿孔位置を誤る場合がある。
【0005】
これに対して、上記の穿孔前に、モータの回転動力を伝達するフレキシブルシャフトに連結されたホルソーを枝管に挿入して、枝管の端部の開口を塞いでいる管ライニング材の部分に枝管側から小径の仮孔を空ける方法が採用されている。仮孔を形成した後、枝管にTVカメラを挿入し、枝管内をモニタしながら、上記の本管側からの穿孔を行う(特許文献2の図10及び図11参照)。
【特許文献1】特開平6−114939号公報
【特許文献2】特開2000−15509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、枝管側から仮孔を形成する方法では、ホルソーは、フレキシブルシャフトにより枝管の管長方向に直交する方向に可動に支持されている。このため、ホルソーを枝管内でその方向に所望の穿孔位置(例えば枝管端部の開口の中心位置など)に位置決めすることが困難であり、穿孔位置が所望の位置からずれてしまう場合がある。
【0007】
また、特に枝管端部を塞いでいる管ライニング材の表面が固い場合、ホルソーが滑って回転の反動で枝管の管長方向に直交する方向に動いて枝管の内周面に衝突してしまう場合がある。この場合、ホルソーを破損してしまう、或いは枝管がライニングされている場合は、その管ライニング材を傷付けてしまうというような問題が発生する。
【0008】
そこで本発明の課題は、管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔するときに穿孔刃の位置決めを容易に正確に行え、さらに、穿孔刃が管内周面に衝突することを防止できる穿孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の穿孔装置は、管に挿入されて管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔するための穿孔刃を備えた穿孔装置であって、管ライニング材を穿孔するとき穿孔刃を管長方向に直交する方向に位置決めする位置決め手段を設けると共に、自重によって前記穿孔刃に荷重をかける重り部材を穿孔装置本体に装着可能としたことを特徴とする。さらに、前記穿孔刃を収容して保護する保護カバーを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の穿孔装置によれば、管ライニング材を穿孔するとき、位置決め手段によって穿孔刃の管長方向に直交する方向への位置決めを容易に正確に行うことができ、穿孔を位置ずれなく正確に行うことができる。また、穿孔時に位置決めによって穿孔刃が管長方向に直交する方向に定位置に保持される上に、重り部材の荷重により穿孔刃が管ライニング材に強く押し付けられ、穿孔装置本体の慣性も大きくなるので、穿孔刃が管ライニング材上で滑りにくく、たとえ滑っても管長方向に直交する方向に動きにくくなり、穿孔刃の管内周面への衝突を防止することができる。さらに、保護カバーを設けることにより前記衝突を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付した図を参照して本発明の実施の形態を説明する。ここでは、図2及び図4に示した下水道の本管12を管ライニング材14でライニングしたときに本管12に合流する枝管13の合流部分の端部の開口を塞ぐ管ライニング材14の部分を枝管13側から穿孔するために用いられる穿孔装置の実施例を示す。なお、実施例の穿孔装置による穿孔動作は、穿孔時に枝管13がライニングされていない場合の動作を説明するが、穿孔時に枝管13が既にライニングされている場合も全く同様の動作で穿孔することができる。
【実施例1】
【0012】
図1及び図2は、本発明の実施例1による穿孔装置の本体の構造を示す斜視図及び枝管13に挿入した状態の断面図である。図1では、図示を簡単に分かり易くするため、図2に示した保護カバー3及びエアーバッグ8を破線で輪郭だけ示してあり、また、バネ4を省いてある。
【0013】
1は、管ライニング材14を穿孔するための穿孔刃であって回転刃であるホルソーであり、円筒形で先端の全周に鋸歯が形成され、中央にドリル1aが突出して設けられている。ホルソー1は、これを回転可能に支持する回転軸2の先端に対して不図示のネジ構造などにより着脱可能、すなわち交換可能に連結される。
【0014】
3は、ホルソー1を収容して保護する保護カバーであり、内径がホルソー1の外径より所定寸法だけ大きな円筒形に形成され、回転軸2の先端部に対して相対的に回転可能かつ回転軸2の長さ方向に摺動可能に設けられている。保護カバー3は、プラスチックや硬質ゴムなどで、硬化した管ライニング材に衝突してもこれを傷付けないような材質からなるものとする。また、保護カバー3は、バネ(コイルバネ)4の押圧により回転軸2の先端側方向に付勢されており、さらに、バネ4により回転軸2と共に回転しないように規制されている。なお、不図示のストッパなどの手段により、保護カバー3がホルソー1に接触しないように、回転軸2の先端側方向への保護カバー3の移動限界の位置が規制されている。また、保護カバー3が前記の移動限界の位置にある状態で保護カバー3とドリル1aの先端が同一平面上の位置にある、ないしはドリル1aの先端が保護カバー3より少し引っ込んだ位置にあり、ドリル1aを含むホルソー1の全体が保護カバー3に収容されて保護される。
【0015】
5は、軸受部材であり、円筒形に形成され、回転軸2の中間部に嵌合され、回転軸2を回転可能かつ回転軸2の長さ方向に摺動可能に軸受けしている。軸受部材5の先端には、中心に孔が形成された円板状のストッパ6が固定されている。このストッパ6と保護カバー3の間にバネ4が回転軸2に巻回されて設けられている。
【0016】
軸受部材5の外周の片側(図1中で上側、図3(図2中のA−A線に沿った断面図)中で左側)には、2枚の長方形のバッグ取付板7が立設されている。バッグ取付板7は、互いに所定角度(例えば150°程度)の鈍角をなすようにして軸受部材5の外周から張り出している。
【0017】
バッグ取付板7上には、エアーバッグ8が不図示のネジなどの取り付け手段を介して着脱可能、すなわち交換可能に取り付けられている。エアーバッグ8はゴムなどの柔軟で弾性的な材料からなる袋状のものであり、これにエアーホース9の一端が連結されている。図4に示すように、エアーホース9の他端はエアーポンプ15に連結される。エアーポンプ15からエアーホース9を介して高圧のエアーがエアーバッグ8に供給されることにより、エアーバッグ8が図2〜図4に示す大きさ以上まで膨張できるようになっている。
【0018】
また、軸受部材5の外周でエアーバッグ8と反対側(図1中で下側、図3中で右側)には、2枚のほぼ長方形のプラスチック等からなる支持板10が立設されている。支持板10は互いに所定角度(例えば120°程度)の鈍角をなすようにして回転軸2の径方向に沿って軸受部材5の外周から張り出している。この支持板10とエアーバッグ8を位置決め手段として、ホルソー1を枝管13の管長方向に直交する方向(以下「管直交方向」という)に位置決めするようになっている。
【0019】
なお、回転軸2の先端に対して着脱可能なホルソー1を取り外せば、保護カバー3とバネ4を回転軸2から取り外すことができ、さらに、ストッパ6、バッグ取付板7及び支持板10を設けた軸受部材5を回転軸2から引き抜いて取り外すことができるものとする。すなわち、支持板10は軸受部材5ごと回転軸2に対して着脱可能、つまり交換可能なものとする。なお、支持板10がネジなどの取り付け手段を介して軸受部材5に対して着脱可能、すなわち単体で交換可能に取り付けられるものとしてもよい。
【0020】
また、回転軸2の後端には、可撓性のフレキシブルシャフト11の一端がそれぞれのジョイント2a,11aを介して着脱可能に連結されている。フレキシブルシャフト11の他端は図4に示すモータ16に連結される。モータ16の回転動力がフレキシブルシャフト11を介して回転軸2に伝達されて回転軸2が回転し、ホルソー1が回転するようになっている。なお、枝管13の屈折角度が大きい場合、ジョイント2a,11aはユニバーサルジョイントとする。
【0021】
以上の構成からなる穿孔装置により、図2及び図4に示した本管12をライニングしたライニング材14が枝管13の合流部分の端部の開口を塞いでいる部分を枝管13側から穿孔する。そのとき、まずエアーホース9とフレキシブルシャフト11を連結した穿孔装置本体を枝管13に挿入する。そして、エアーホース9とフレキシブルシャフト11を繰り出して穿孔装置本体を押し込み、大体図2に示す位置、すなわち保護カバー3ないしドリル1aの先端が枝管13の端部開口を塞いでいる管ライニング材14に当接する位置まで挿入する。このとき、保護カバー3が管ライニング材14に衝突しても、バネ4を圧縮させて後退し、衝突の衝撃が緩衝される。
【0022】
なお、この挿入の間は、エアーバック8に高圧エアーを供給せず、エアーバッグ8を図2〜図4に示した大きさよりも著しく小さい本来の大きさに収縮させておく。これにより、図3に示す枝管内周面13aに対する穿孔装置本体の位置関係を一点鎖線で示す枝管内周面13aに対するような位置関係にすることができる。すなわち、支持板10が枝管内周面13aに当たらず、つかえないようにすることができ、穿孔装置本体をスムーズに挿入することができる。また、フレキシブルシャフト11は曲げられるので、枝管13が屈折している部分でも、穿孔装置本体の向きを変えさせてつかえずに通過させることができる。
【0023】
穿孔装置本体を大体図2に示す位置まで挿入したら、地上のエアーポンプ15を駆動し、エアーホース9を介して高圧のエアーをエアーバッグ8に供給し、エアーバッグ8を図2〜図4に示す大きさに膨張させる。すなわち、図3に示すように、エアーバッグ8が支持板10のそれぞれを枝管内周面13aに押し付け、自らも枝管内周面13aに押し付けられる大きさまで膨張させる。このエアー圧力によるエアーバッグ8と支持板10の押し付けにより、軸受部材5が図3に示した位置に固定される。そして、枝管13の管直交方向において、回転軸2が図示の位置に位置決めされ、ホルソー1がその位置に位置決めされる。ここで、回転軸2の中心からその径方向に沿って張り出している支持板10のそれぞれの外側の端までの寸法(以下、支持板10の張り出し寸法という)を例えば枝管13の内径の半径と同寸法とする。これにより、回転軸2は枝管13の中心位置に位置決めされ、ホルソー1は枝管13の端部開口の中心位置に位置決めされる。
【0024】
次に、フレキシブルシャフト11を穿孔装置本体側へ押圧し、回転軸2を本管12側へスライドさせてホルソー1のドリル1aを管ライニング材14に押し付ける。そして、地上のモータ16を駆動してホルソー1を回転させる。これにより、まずドリル1aにより小さな孔が穿孔される。そして、さらにホルソー1の本体を管ライニング材14に押し付けることにより、図4に示すように、ホルソー1の本体により管ライニング材14が穿孔される。この間、回転軸2は、エアーバッグ8と支持板10で固定されている軸受部材5と、管ライニング材14に当接して止められている保護カバー3に対して本管12内側へスライドさせられる。このようにして、枝管13の本管12との合流部分の端部開口の中心位置において管ライニング材14が穿孔される。
【0025】
なお、枝管13の端部開口の中心位置に穿孔するのは、仮孔を穿孔する場合である。この場合、仮孔を穿孔した後、穿孔装置本体を枝管13から地上に引き出して、枝管13に不図示のTVカメラを挿入し、枝管13内をモニタしながら、本管12側から、不図示の穿孔機を搭載した管内作業ロボットにより、径が枝管13の端部開口に対応した本孔の穿孔を行う。
【0026】
また、本実施例の穿孔装置により枝管13側から本孔を穿孔することもできる。その際は、枝管13の端部開口の円周と同心で枝管13の内径の半径R1より小さな所定半径R2の円周上で連続的に複数箇所に穿孔を行ない、複数の小さな孔を周方向に連続させて1つの大きな本孔を形成する。なお、この場合、支持板10は張り出し寸法が枝管13の内径の半径R1より前記所定半径R2だけ小さな寸法(R1−R2)のものに交換する。また、エアーバッグ8も、膨張できる大きさが位置決めのために不足する場合は、より大きく膨張できるものと交換する。
【0027】
以上のような実施例1の穿孔装置によれば、枝管13の端部を塞いでいる管ライニング材14を穿孔するとき、エアーバッグ8と支持板10により、ホルソー1を枝管13の管直交方向に容易に正確に位置決めすることができる。さらに、支持板10を張り出し寸法が異なるものに交換すること、ないしは必要に応じてエアーバッグ8も膨張できる大きさが異なるものに交換することにより、枝管13の内径の相違に対応して、枝管13の管直交方向に所望の位置にホルソー1を位置決めすることができる。すなわち、穿孔を所望の位置に対して位置ずれなく正確に行うことができる。
【0028】
また、穿孔時に、ホルソー1が枝管13の管直交方向に動かないようにエアーバッグ8のエアー圧力により定位置に保持されるので、ホルソー1が管ライニング材14上で滑って回転の反動で管直交方向に動いて枝管13の内周面13aに衝突することを防止できる。さらに、たとえホルソー1が前記エアー圧力による保持力に打ち勝って管直交方向に動いたとしても、ホルソー1は保護カバー3に収容されているので、枝管内周面13aに直接衝突することはない。また、穿孔装置本体を枝管13に対して挿入するときも引き抜くときもホルソー1が枝管内周面13aに直接衝突することはない。したがって、前記衝突によるホルソー1の破損、或いは枝管13が既に管ライニング材でライニングされている場合の管ライニング材の損傷などの問題を確実に防止することができる。
【実施例2】
【0029】
図5は、本発明の実施例2の穿孔装置の構成を説明するもので、実施例1の図2と同様に、穿孔装置本体を枝管13内で位置決めした状態を示している。図5において図2中と共通する部分には共通の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0030】
実施例2の穿孔装置では、図5に示す重り部材17を穿孔装置本体に装着できるようにしている。図5では重り部材17を3個装着した状態を示してあるが、任意の個数を装着できる。
【0031】
重り部材17は、自重によってホルソー1に荷重をかけるためのもので、金属などから、中心に孔が貫通して形成された肉厚の円筒形に形成される。そして、回転軸2の後端部(図5中で上端部)からフレキシブルシャフト11の先端部(図5中で下端部)にかけて装着される。
【0032】
このために、回転軸2の上部には、重り部材17を受け止める円板状の重りストッパ18が固定されている。また、重り部材17の中心の孔の内径は、重りストッパ18の径より小さくなっており、さらに、回転軸2とフレキシブルシャフト11のそれぞれの本体より径が大きいジョイント2a及び11aの径より少し大きくなっている。これにより、ジョイント2a及び11aの部分を含めて回転軸2の上端部とフレキシブルシャフト11の下端部を重り部材17の孔に挿通させて、所望の個数の重り部材17を重りストッパ18上に積み上げるようにして、穿孔装置本体に装着することができる。
【0033】
なお、なるたけ重り部材17が摩擦で回転軸2とフレキシブルシャフト11の回転を妨げないようにするため、各重り部材17の下面と孔の内周面にグリースないし潤滑油を塗布しておく。これ以外の構成は実施例1と共通とする。
【0034】
このような実施例2の穿孔装置により、実施例1の装置と同様にして、本管12のライニング材14が枝管13の端部の開口を塞いでいる部分を枝管13側から穿孔する。そのとき、まず穿孔装置本体を枝管13に挿入する前で、ジョイント2a,11aどうしを連結する際に、所望の個数の重り部材17を上記のようにして重りストッパ18上に積み上げるように装着する。
【0035】
そして、エアーホース9とフレキシブルシャフト11を連結した穿孔装置本体を枝管13に挿入し、エアーホース9とフレキシブルシャフト11を繰り出して穿孔装置本体を送り込み、大体図5に示す位置、すなわち保護カバー3ないしドリル1aの先端が枝管13の端部開口を塞いでいる管ライニング材14に当接する位置まで送り込む。この送り込みは、重り部材17を装着した穿孔装置本体の重量が大きくなっているので、フレキシブルシャフト11を特に押さなくてもフレキシブルシャフト11とエアーホース9を繰り出すだけでスムーズに行うことができる。
【0036】
次に、実施例1と同様に、エアーバッグ8に高圧エアーを供給してホルソー1を管直交方向に位置決めする。その後、フレキシブルシャフト11を少し繰り出す。ここで、ホルソー1には重り部材17の自重による荷重が回転軸2を介してかけられているので、ホルソー1のドリル1aがその荷重によって管ライニング材14に強く押し付けられる。
【0037】
次に、モータの駆動によりホルソー1を回転させることにより、まずドリル1aにより管ライニング材14に小さな孔が穿孔され、続いてホルソー1の本体により大きな孔が穿孔される。ここで、実施例1と同様に、ホルソー1がエアーバッグ8のエアー圧力により管直交方向に位置決めされた定位置に保持される上に、重り部材17の荷重によりホルソー1のドリル1aないし本体が管ライニング材14に強く押し付けられる。さらに重り部材17の荷重により穿孔装置本体の全体の慣性も大きくなる。したがって、実施例1の場合より更にホルソー1が管ライニング材14上で滑り難くなり、たとえ滑っても管直交方向に動き難くなる。したがって、穿孔時のホルソー1の枝管内周面13aに対する衝突(保護カバー3を介した間接的な衝突ではあるが)を実施例1の場合より更に確実に防止することができ、穿孔をより安定して正確に行うことができる。
【0038】
以上説明した実施例1,2の構成において、エアーバッグ8の代わりに、水ないし油などの液体の圧力で膨張するバッグを用いるようにしてもよい。また、ホルソー1以外の穿孔刃(回転刃)により穿孔を行うものとしてもよい。また、下水道以外の管路の管ライニング材を穿孔する穿孔装置にも本発明の位置決めに関わる技術を適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1の穿孔装置本体の構造を示す斜視図である。
【図2】実施例1の穿孔装置本体を枝管内で位置決めした状態を示す断面図である。
【図3】図2中のA−A線に沿った断面図である。
【図4】実施例1の穿孔装置で枝管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔する様子を示す断面図である。
【図5】実施例2の穿孔装置本体を枝管内で位置決めした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ホルソー
2 回転軸
3 保護カバー
4 バネ
5 軸受部材
6 ストッパ
7 バッグ取付板
8 エアーバッグ
9 エアーホース
10 支持板
11 フレキシブルシャフト
12 本管
13 枝管
14 管ライニング材
15 エアーポンプ
16 モータ
17 重り部材
18 重りストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管に挿入されて管端部を塞いでいる管ライニング材を穿孔するための穿孔刃を備えた穿孔装置であって、
管ライニング材を穿孔するとき穿孔刃を管長方向に直交する方向に位置決めする位置決め手段を設けると共に、
自重によって前記穿孔刃に荷重をかける重り部材を穿孔装置本体に装着可能としたことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記穿孔刃を収容して保護する保護カバーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記位置決め手段が着脱可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記穿孔刃が先端に連結される回転軸を回転可能に軸受けする軸受部材を有し、
前記位置決め手段は、前記軸受部材の外周の片側に取り付けられたエアーバッグと、軸受部材の外周の反対側に張り出すように設けられた支持部材からなり、
穿孔装置本体を管に挿入して前記エアーバッグを高圧エアーの供給で膨張させることにより、エアーバッグと前記支持部材が管内周面に押し付けられて前記軸受部材が固定され、前記穿孔刃が管長方向に直交する方向に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記穿孔刃は、モータの回転動力を伝達するフレキシブルシャフトを介して回転駆動されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−320971(P2006−320971A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143381(P2005−143381)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】