突発浸水リスク回避システムおよび方法
【課題】道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知し、浸水被害を未然に回避できるようにする。
【解決手段】車両が通行する道路に設置された浸水検知装置10で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置20で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置30で、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、浸水発生状況の表示を指示する。
【解決手段】車両が通行する道路に設置された浸水検知装置10で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置20で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置30で、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、浸水発生状況の表示を指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通管理技術に関し、特に車両が道路交差点等において、突発的な集中豪雨による浸水被害のリスクを未然に回避するための突発浸水リスク回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異常気象の現れとして局所的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)がしばしば発生し、都市部の住宅地や道路上においても、深刻な水害をもたらしている。局所的な集中豪雨による水害は、その土地の低い地形条件が基本的な要因ではあるが、その他に下水道の排水能力の不十分さも要因の1つとされ、気象現象という不確実性はもとより、土地の排水能力の不可視性などにより、予め水害事象を予測することは非常に難しい。集中豪雨による局所水害は、いわば街中路上のどこにでも起こりうる災害の1つである。
【0003】
道路上の通行車両に関しては、交差点にて集中豪雨に見舞われ、避難しようとしても水圧によって身動きが取れなくなり水没するという痛ましい事故が発生している。道路や車両利用者のためのこのような浸水害に対する対策として、水位検知器を車両の底板等に取り付け、浸水時には警報を車主に自動通報してくれる浸水警報装置が開示されている(例えは、特許文献1など参照)。また、駐車場においては、排水槽に取り付けられた水位センサーによって浸水を検知し、各車両の個別の所有者に直接通報するシステムが開示されている(例えば、特許文献2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3676320号公報
【特許文献2】特許第3636994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、現場にいる所有者や車から離れている所有者等に対して、ただ単に通報するだけなので、突発的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)のような場合には、危険を認識した時には既に手遅れになる可能性が高いという問題点があった。また、前述したように、車主が乗車中にも被害を免れないことがあるので、現場の水位情報をただ単に知らせるだけでは、課題を解決できないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知し、浸水被害を未然に回避できる突発浸水リスク回避技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる突発浸水リスク回避システムは、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知装置と、道路または車両内に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示装置と、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続されて、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理装置とを備えている。
【0008】
この際、浸水道路管理装置で、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置に対して浸水発生状況の表示を指示するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかる突発浸水リスク回避方法は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置が、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知ステップと、道路または車両内に設置された道路情報表示装置が、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示ステップと、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置が、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理ステップとを備えている。
【0010】
この際、浸水道路管理ステップに、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置に対して浸水発生状況の表示を指示するステップを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知して、浸水発生地点の周辺に存在する車両に対して、浸水発生状況を通知することができる。したがって、浸水発生地点へ車両が進入するというような浸水被害を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【図2】水位検知方法の説明図である。
【図3】浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(斜視図)である。
【図4】浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(平面図)である。
【図5】第1の実施の形態にかかる浸水検知装置での浸水検知処理を示すフローチャートである。
【図6】集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す説明図である。
【図7】集中豪雨終了時における水位の変化を示す説明図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる浸水道路管理装置での警報表示指示処理を示すフローチャートである。
【図9】道路情報表示装置の選択例である。
【図10】浸水警報の表示例である。
【図11】第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【図12】浸水状況グラフの画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムについて説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
この突発浸水リスク回避システム1は、車両が道路交差点等において、突発的な集中豪雨による浸水被害のリスクを未然に回避するための浸水発生状況を表示する機能を有している。
【0014】
本実施の形態は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置で、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示するようにしたものである。
【0015】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムを構成する、浸水検知装置10、道路情報表示装置20、および浸水道路管理装置30について、それぞれ詳細に説明する。
【0016】
[浸水検知装置]
浸水検知装置10は、全体として通信機能を有する水位検知端末からなり、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する機能を有している。
浸水検知装置10には、主な機能部として、水位検知部11、データ記憶部12、およびデータ処理部13が設けられている。
【0017】
水位検知部11は、超音波などを用いた一般的な水位センサーを有し、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測する機能を有している。
図2は、水位検知方法の説明図である。ここでは水位センサーとして超音波式水位計が用いられており、水位センサーの送受信器11Aから送信された超音波が道路60あるいは水面61に反射して送受信器11Aで受信され、その送受信の所要時間により道路60までの距離L0と、水面61までの距離L1が算出される。これにより、距離L0と距離L1との差から水位LWを算出することができる。
【0018】
通常、車両が通行する道路には、交通量センサーとして超音波式車両感知器が設置されている。これは、超音波の往復時間差から車両の存在を検知するセンサーであり、現在最も多く利用されている。この超音波式車両感知器の原理を水位センサーとして応用してもよい。豪雨等によって水位が(数cm単位で)上昇すれば、超音波の往復時間差から水位が計測できる。もしこの車両感知器を水位センサーとしても共通利用すれば、既存の車両感知器が有効利用でき、導入コストが大幅に節約できる。勿論、水位センサーはこれに限らず、本システムにおいては任意の方式の水位センサーを利用してもよい。
【0019】
水位検知部11の設置場所についても、上記タイプの水位センサーを架空に設置する方法の他に、別の種類の水位センサーを地上あるいは地下構造物に設置してもよい。例えば、地下下水道に浸水式水位センサーを設置することにより、下水位の急激な上昇を検知することができる。あるいは、電力ケーブルや通信ケーブルが敷設されている地下洞道やマンホールに水位センサーを設置してもよい。
【0020】
データ記憶部12は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、水位検知部11で計測された水位データを、当該計測時刻とともに逐次蓄積する機能を有している。
データ処理部13は、CPUなどの演算処理回路からなり、データ記憶部12に蓄積されている水位データの時間変化に基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出する機能と、得られた水位増加率をデータ記憶部12に予め設定されている危険増加率と比較することにより、集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する機能と、浸水危険状態を示す検知結果に当該検知時点における水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介したデータ通信により浸水道路管理装置30へ通知する機能とを有している。
【0021】
[道路情報表示装置]
道路情報表示装置20は、全体として、交通情報などの各種情報を文字・図柄で表示する一般的な道路情報表示装置からなり、道路に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する機能を有している。
【0022】
道路情報表示装置20には、主な機能部として、データ受信部21と情報表示部22が設けられている。
データ受信部21は、通信網50を介して浸水道路管理装置30とデータ通信を行うことにより、浸水道路管理装置30から浸水発生状況の表示を指示を受信する機能を有している。
情報表示部22は、LEDマトリクスなどの電光表示装置からなり、データ受信部21で受信した浸水道路管理装置30からの浸水発生状況の表示指示に応じて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する機能を有している。
【0023】
道路情報表示装置20については、高速道路や幹線道路の場合、既存の電光表示板を利用してもよい。なお、道路情報表示装置20は、これら据付の電光表示板のみに限らない。エリアを限定して情報を配信/受信できる仕組を備えれば車載情報端末でもよい。例えば、高速道路において、路肩または中央線上に設置してあるアンテナから一定区間で放送を行っている路側放送(周波数1620kHz)がある。然るべき位置の路側放送アンテナから当該リスク情報を発信し、近隣の車載ラジオでそれを受信してもよい。
【0024】
また、近年は、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System、略称VICS)が普及し、道路上に設置されている(光および電波)ビーコンによって渋滞情報等の道路交通情報を送信し、対応したカーナビゲーションなどの車載装置に(文字や図形)情報を表示させるシステムがある。このシステムを利用して、然るべき位置のビーコンから当該リスク情報を発信し、そこを通過する対応車載情報端末でそれを受信してもよい。
【0025】
図3は、浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(斜視図)である。図4は、浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(平面図)である。浸水検知装置10および道路情報表示装置20は、例えば図4のように、交差点等の道路上に適当な間隔を置いて網目状に設置する。浸水検知装置10と道路情報表示装置20は必ずしも同一地点にある必要はないが、設置の都合上、同一地点に設置すると効率がよい。また、浸水検知装置10は同一エリア(交差点)に少なくとも1つ設置しておけばよいが、道路情報表示装置20は方向性があるため、車線ごとに向きを考慮して設置する。
【0026】
[浸水道路管理装置]
浸水道路管理装置30は、全体としてデータ通信機能を有するサーバ装置やパソコンなどの情報処理装置からなり、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続されて、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況の表示を指示する機能を有している。
浸水道路管理装置30には、主な機能部として、データ収集部31、データ記憶部32、および警報表示指示部33が設けられている。
【0027】
データ収集部31は、通信網50を介して浸水検知装置10とデータ通信を行うことにより、浸水検知装置10から浸水状況を受信する機能を有している。
データ記憶部32は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、データ収集部31で受信した浸水状況を逐次蓄積する機能と、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置20との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶する機能とを有している。
【0028】
道路情報表示装置20で浸水発生状況を表示する場合、突発浸水リスクを回避するために、浸水発生地点へ向かう車両の運転者に対して浸水発生状況を表示する必要がある。したがって、浸水発生地点の周囲に設置された道路情報表示装置20のうち、浸水発生地点へ向かう車両が通行する道路に設置されている道路情報表示装置20を選択して、浸水発生状況を表示することが、突発浸水リスクを回避するために最も重要となる。
【0029】
本実施の形態では、このような浸水発生地点と道路情報表示装置20との対応関係を表示対象選択情報に予め登録しておき、浸水検知装置10から通知された浸水危険状態を示す浸水状況に基づき特定された浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択している。なお、浸水発生地点の特定方法は、例えば浸水状況に含まれる、当該浸水状況の通知元である浸水検知装置10の識別IDと、その設置場所、すなわち浸水発生地点との対応関係を示す設備情報をデータ記憶部32に予め登録しておけばよい。なお、道路情報表示装置20が車載情報端末である場合、浸水発生地点へ続く道路に設置された路側放送アンテナやビーコンとの対応関係を設備情報に登録しておけばよい。
【0030】
警報表示指示部33は、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、データ記憶部32の表示対象選択情報を参照することにより、当該浸水が発生した浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択する機能と、通信網50を介して選択した道路情報表示装置20とデータ通信を行うことにより、これら道路情報表示装置20に対して、道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況の表示を指示する機能とを有している。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1の動作について説明する。
まず、図5を参照して、浸水検知装置での浸水検知動作について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる浸水検知装置での浸水検知処理を示すフローチャートである。
浸水検知装置10のデータ処理部13は、図5に示す浸水検知処理を実行する。なお、浸水検知装置10の水位検知部11は、定期的に水位を計測しているものとするが、データ処理部13からの指示に応じて水位を計測してもよい。
【0032】
水位検知部11は、水位を計測してデータ記憶部12へ蓄積する(ステップ100)。データ処理部13は、最新の水位データをデータ記憶部12から取得し、前回計測の水位データと比較することにより水位上昇の有無を確認する(ステップ101)。ここで、水位変動が前回計測した水位から上昇していない場合(ステップ101:NO)、ステップ100へ戻る。
【0033】
一方、水位変動が前回計測した水位から上昇している場合(ステップ101:YES)、水位検知部11で新たに水位を計測した後(ステップ102)、データ処理部13は、得られた最新の水位データと前回あるいはそれより過去に計測した水位データとに基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出し(ステップ103)、得られた水位増加率をデータ記憶部12に予め設定されている危険増加率と比較することにより、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する(ステップ104)。
【0034】
図6は、集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す説明図であり、横軸が時間を示し、左縦軸が水位増加率を示し、右縦軸が水位を示している。ここでは、集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す特性F11と、水位の変化を示す特性F12とが示されている。
【0035】
突発的な集中豪雨は、急激な水位の上昇の後に、結果として水位が著しい高さまで上昇する特徴を持っている。この際、水位に対して危険水位を設定した場合、特性F12の水位が危険水位に達した時刻T2になって初めて浸水発生が検知される。一方、本実施の形態では、水位増加率に対して危険増加率を設定しておき、特性F11の水位増加率と危険増加率との比較結果に応じて浸水発生有無を検知している。これにより、時刻T2より早い時刻T1において浸水発生を検知することができる。したがって、絶対水位を観測するよりも水位の増加率を検出するほうが、事象としてはより早く検知できる。危険を早く検知できれば、それだけリスクを回避することができ、あるいは被害を少なく抑えることができる。
【0036】
したがって、水位増加率が危険増加率を下回る場合(ステップ104:NO)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態ではないと判定して、ステップ102へ戻る。
一方、水位増加率が危険増加率に達している場合(ステップ104:YES)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態であると判定し、浸水危険状態を示す検知結果に水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ通知する(ステップ110)。
【0037】
この後、水位検知部11で新たに水位を計測した後(ステップ111)、データ処理部13は、得られた最新の水位データと前回あるいはそれより過去に計測した水位データとに基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出し(ステップ112)、得られた水位増加率をゼロと比較することにより、道路での水位の低下を確認する(ステップ113)。
【0038】
ここで、水位の低下が確認されない場合(ステップ113:NO)、データ処理部13は、ステップ110へ戻って、浸水危険状態を示す検知結果に水位および水位増加率を付加して、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ再び通知する。
一方、水位の低下が確認された場合(ステップ113:YES)、データ処理部13は、最新の水位を危険水位と比較することにより、集中豪雨による道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する(ステップ114)。
【0039】
図7は、集中豪雨終了時における水位の変化を示す説明図であり、横軸が時間を示し、左縦軸が水位増加率を示し、右縦軸が水位を示している。ここでは、集中豪雨終了時における水位増加率の変化を示す特性F21と、水位の変化を示す特性F22とが示されている。
【0040】
集中豪雨の終了時には、水位が徐々に低下し、水位増加率は負の値を示すことになるが、水位の低下速度は地形などの状況に応じて変化することから、集中豪雨の開始時のように、水位増加率の顕著な変化が現れない場合がある。したがって、本実施の形態では、水位が絶対的な水位を示す特性F22が危険水位を下回ったかどうかを確認することにより、集中豪雨により道路で浸水しておらず、道路が車両により通行可能な浸水安全状況であるか否かを検知している。
【0041】
したがって、時刻T3に示すように、水位が危険水位を下回った場合(ステップ114:YES)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水しておらず道路が車両により通行可能である浸水安全状態であると判定して、浸水安全状態を示す検知結果に、当該検知時点の水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ通知し(ステップ115)、ステップ100へ戻る。これにより、初期状態に戻って水位上昇の有無の確認が再開される。
【0042】
次に、図8を参照して、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1における浸水道路管理装置30での警報表示指示動作について説明する。図8は、第1の実施の形態にかかる浸水道路管理装置での警報表示指示処理を示すフローチャートである。
浸水道路管理装置30の警報表示指示部33は、浸水検知装置10からの浸水状況の通知に応じて図8に示す警報表示指示処理を実行する。
【0043】
警報表示指示部33は、データ記憶部32からデータ収集部31で浸水検知装置10から受信した最新の浸水状況を取得し、例えばデータ記憶部32に予め登録されている設備情報を参照して、当該浸水状況の通知元である浸水検知装置10と対応する浸水発生地点を特定する(ステップ200)。
【0044】
続いて、警報表示指示部33は、例えばデータ記憶部32に予め登録されている対象選択情報を参照して、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択する(ステップ201)。
図9は、道路情報表示装置の選択例である。ここでは、浸水検知装置10が当該浸水状況の通知元であることから、例えば最寄りの交差点Pから所定半径の円A内に位置する道路情報表示装置20が対象選択情報に基づいて選択されている。これにより、交差点Pの1ブロック隣の交差点P1〜P3に設置されている道路情報表示装置20で、交差点Pでの浸水発生が表示されるため、交差点Pの手前で運転者に浸水発生が通知されることになる。
【0045】
この後、警報表示指示部33は、当該浸水状況の検知結果が浸水危険状態を示すものか否か確認する(ステップ202)。ここで、当該浸水状況の検知結果が浸水危険状態を示す場合(ステップ202:YES)、警報表示指示部33は、選択した道路情報表示装置20に対して、道路での浸水発生を通知するための浸水警報の表示を、通信網50を介して指示し(ステップ203)、一連の警報表示指示処理を終了する。
【0046】
図10は、浸水警報の表示例である。ここでは、突発的な集中豪雨により、この先の道路での浸水発生のため、進入禁止である旨が、道路情報表示装置20において、文字や図柄で表示されている。これにより、浸水発生地点への車両進入を未然に防ぐことができ、突発浸水リスクを回避することができる。
【0047】
一方、当該浸水状況の検知結果が浸水安全状態を示す場合(ステップ202:NO)、警報表示指示部33は、選択した道路情報表示装置20に対して、浸水警報の表示解除を、通信網50を介して指示し(ステップ210)、一連の警報表示指示処理を終了する。
これにより、道路情報表示装置20での浸水警報の表示が終了し、あるいは道路情報表示装置20において、浸水警報が解除された旨が文字や図柄で表示される。
【0048】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置10で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置20で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置30で、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、浸水発生状況の表示を指示するようにしたものである。
【0049】
これにより、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知して、浸水発生地点の周辺に存在する車両に対して、浸水発生状況を通知することができる。したがって、浸水発生地点へ車両が進入するというような浸水被害を回避することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態では、浸水道路管理装置30では、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置20との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶しておき、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置20に対して浸水発生状況の表示を指示するようにしてもよい。
これにより、浸水発生地点の周辺に存在する車両だけでなく、浸水発生地点へ向かう道路を走行している車両に対しても浸水発生状況を的確に通知することができ、浸水被害を未然に回避することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1について説明する。図11は、第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【0052】
第1の実施の形態では、道路情報表示装置20で浸水発生状況を表示する場合について説明した。本実施の形態では、浸水道路管理装置30で浸水発生状況を画面表示する場合について説明する。
本実施の形態において、浸水道路管理装置30に、浸水状況生成部34と画面表示部35が設けられている。
【0053】
浸水状況生成部34は、データ記憶部32から、データ収集部31により各浸水検知装置10から受信した状況通知を取得する機能と、これら状況通知に含まれる水位増加率を取得する機能と、当該状況通知で通知された水位増加率の浸水発生地点を特定する機能と、これら浸水発生地点ごとに水位増加率をプロットした浸水状況グラフを生成する機能を有している。
【0054】
画面表示部35は、LCDなどの画面表示装置からなり、浸水状況生成部34で生成された浸水状況グラフを画面表示する機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1のうち、浸水道路管理装置30以外の浸水検知装置10や道路情報表示装置20の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0055】
図12は、浸水状況グラフの画面表示例である。ここでは、X,Y,Zの3次元棒グラフのうち、X方向およびY方向に、管理エリア内にある通り(道路)が割り当てられており、これら通りが交差する位置に、各浸水発生地点が配置されている。そして、Z方向に各浸水発生地点での水位増加率が表示されている。
これにより、管理エリア内の浸水状況あるいは豪雨状況(増加率)が俯瞰でき、浸水発生状況を容易に確認することが可能となる。
【0056】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…突発浸水リスク回避システム、10…浸水検知装置、11…水位検知部、12…データ記憶部、13…データ処理部、20…道路情報表示装置、21…データ受信部、22…情報表示部、30…浸水道路管理装置、31…データ収集部、32…データ記憶部、33…警報表示指示部、34…浸水状況生成部、35…画面表示部、50…通信網。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通管理技術に関し、特に車両が道路交差点等において、突発的な集中豪雨による浸水被害のリスクを未然に回避するための突発浸水リスク回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異常気象の現れとして局所的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)がしばしば発生し、都市部の住宅地や道路上においても、深刻な水害をもたらしている。局所的な集中豪雨による水害は、その土地の低い地形条件が基本的な要因ではあるが、その他に下水道の排水能力の不十分さも要因の1つとされ、気象現象という不確実性はもとより、土地の排水能力の不可視性などにより、予め水害事象を予測することは非常に難しい。集中豪雨による局所水害は、いわば街中路上のどこにでも起こりうる災害の1つである。
【0003】
道路上の通行車両に関しては、交差点にて集中豪雨に見舞われ、避難しようとしても水圧によって身動きが取れなくなり水没するという痛ましい事故が発生している。道路や車両利用者のためのこのような浸水害に対する対策として、水位検知器を車両の底板等に取り付け、浸水時には警報を車主に自動通報してくれる浸水警報装置が開示されている(例えは、特許文献1など参照)。また、駐車場においては、排水槽に取り付けられた水位センサーによって浸水を検知し、各車両の個別の所有者に直接通報するシステムが開示されている(例えば、特許文献2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3676320号公報
【特許文献2】特許第3636994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、現場にいる所有者や車から離れている所有者等に対して、ただ単に通報するだけなので、突発的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)のような場合には、危険を認識した時には既に手遅れになる可能性が高いという問題点があった。また、前述したように、車主が乗車中にも被害を免れないことがあるので、現場の水位情報をただ単に知らせるだけでは、課題を解決できないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知し、浸水被害を未然に回避できる突発浸水リスク回避技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる突発浸水リスク回避システムは、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知装置と、道路または車両内に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示装置と、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続されて、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理装置とを備えている。
【0008】
この際、浸水道路管理装置で、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置に対して浸水発生状況の表示を指示するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかる突発浸水リスク回避方法は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置が、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知ステップと、道路または車両内に設置された道路情報表示装置が、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示ステップと、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置が、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理ステップとを備えている。
【0010】
この際、浸水道路管理ステップに、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置に対して浸水発生状況の表示を指示するステップを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知して、浸水発生地点の周辺に存在する車両に対して、浸水発生状況を通知することができる。したがって、浸水発生地点へ車両が進入するというような浸水被害を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【図2】水位検知方法の説明図である。
【図3】浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(斜視図)である。
【図4】浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(平面図)である。
【図5】第1の実施の形態にかかる浸水検知装置での浸水検知処理を示すフローチャートである。
【図6】集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す説明図である。
【図7】集中豪雨終了時における水位の変化を示す説明図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる浸水道路管理装置での警報表示指示処理を示すフローチャートである。
【図9】道路情報表示装置の選択例である。
【図10】浸水警報の表示例である。
【図11】第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【図12】浸水状況グラフの画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムについて説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
この突発浸水リスク回避システム1は、車両が道路交差点等において、突発的な集中豪雨による浸水被害のリスクを未然に回避するための浸水発生状況を表示する機能を有している。
【0014】
本実施の形態は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置および道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置で、浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置に対して、浸水発生状況の表示を指示するようにしたものである。
【0015】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムを構成する、浸水検知装置10、道路情報表示装置20、および浸水道路管理装置30について、それぞれ詳細に説明する。
【0016】
[浸水検知装置]
浸水検知装置10は、全体として通信機能を有する水位検知端末からなり、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する機能を有している。
浸水検知装置10には、主な機能部として、水位検知部11、データ記憶部12、およびデータ処理部13が設けられている。
【0017】
水位検知部11は、超音波などを用いた一般的な水位センサーを有し、車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測する機能を有している。
図2は、水位検知方法の説明図である。ここでは水位センサーとして超音波式水位計が用いられており、水位センサーの送受信器11Aから送信された超音波が道路60あるいは水面61に反射して送受信器11Aで受信され、その送受信の所要時間により道路60までの距離L0と、水面61までの距離L1が算出される。これにより、距離L0と距離L1との差から水位LWを算出することができる。
【0018】
通常、車両が通行する道路には、交通量センサーとして超音波式車両感知器が設置されている。これは、超音波の往復時間差から車両の存在を検知するセンサーであり、現在最も多く利用されている。この超音波式車両感知器の原理を水位センサーとして応用してもよい。豪雨等によって水位が(数cm単位で)上昇すれば、超音波の往復時間差から水位が計測できる。もしこの車両感知器を水位センサーとしても共通利用すれば、既存の車両感知器が有効利用でき、導入コストが大幅に節約できる。勿論、水位センサーはこれに限らず、本システムにおいては任意の方式の水位センサーを利用してもよい。
【0019】
水位検知部11の設置場所についても、上記タイプの水位センサーを架空に設置する方法の他に、別の種類の水位センサーを地上あるいは地下構造物に設置してもよい。例えば、地下下水道に浸水式水位センサーを設置することにより、下水位の急激な上昇を検知することができる。あるいは、電力ケーブルや通信ケーブルが敷設されている地下洞道やマンホールに水位センサーを設置してもよい。
【0020】
データ記憶部12は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、水位検知部11で計測された水位データを、当該計測時刻とともに逐次蓄積する機能を有している。
データ処理部13は、CPUなどの演算処理回路からなり、データ記憶部12に蓄積されている水位データの時間変化に基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出する機能と、得られた水位増加率をデータ記憶部12に予め設定されている危険増加率と比較することにより、集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する機能と、浸水危険状態を示す検知結果に当該検知時点における水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介したデータ通信により浸水道路管理装置30へ通知する機能とを有している。
【0021】
[道路情報表示装置]
道路情報表示装置20は、全体として、交通情報などの各種情報を文字・図柄で表示する一般的な道路情報表示装置からなり、道路に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する機能を有している。
【0022】
道路情報表示装置20には、主な機能部として、データ受信部21と情報表示部22が設けられている。
データ受信部21は、通信網50を介して浸水道路管理装置30とデータ通信を行うことにより、浸水道路管理装置30から浸水発生状況の表示を指示を受信する機能を有している。
情報表示部22は、LEDマトリクスなどの電光表示装置からなり、データ受信部21で受信した浸水道路管理装置30からの浸水発生状況の表示指示に応じて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する機能を有している。
【0023】
道路情報表示装置20については、高速道路や幹線道路の場合、既存の電光表示板を利用してもよい。なお、道路情報表示装置20は、これら据付の電光表示板のみに限らない。エリアを限定して情報を配信/受信できる仕組を備えれば車載情報端末でもよい。例えば、高速道路において、路肩または中央線上に設置してあるアンテナから一定区間で放送を行っている路側放送(周波数1620kHz)がある。然るべき位置の路側放送アンテナから当該リスク情報を発信し、近隣の車載ラジオでそれを受信してもよい。
【0024】
また、近年は、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System、略称VICS)が普及し、道路上に設置されている(光および電波)ビーコンによって渋滞情報等の道路交通情報を送信し、対応したカーナビゲーションなどの車載装置に(文字や図形)情報を表示させるシステムがある。このシステムを利用して、然るべき位置のビーコンから当該リスク情報を発信し、そこを通過する対応車載情報端末でそれを受信してもよい。
【0025】
図3は、浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(斜視図)である。図4は、浸水検知装置および道路情報表示装置の設置例(平面図)である。浸水検知装置10および道路情報表示装置20は、例えば図4のように、交差点等の道路上に適当な間隔を置いて網目状に設置する。浸水検知装置10と道路情報表示装置20は必ずしも同一地点にある必要はないが、設置の都合上、同一地点に設置すると効率がよい。また、浸水検知装置10は同一エリア(交差点)に少なくとも1つ設置しておけばよいが、道路情報表示装置20は方向性があるため、車線ごとに向きを考慮して設置する。
【0026】
[浸水道路管理装置]
浸水道路管理装置30は、全体としてデータ通信機能を有するサーバ装置やパソコンなどの情報処理装置からなり、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続されて、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況の表示を指示する機能を有している。
浸水道路管理装置30には、主な機能部として、データ収集部31、データ記憶部32、および警報表示指示部33が設けられている。
【0027】
データ収集部31は、通信網50を介して浸水検知装置10とデータ通信を行うことにより、浸水検知装置10から浸水状況を受信する機能を有している。
データ記憶部32は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、データ収集部31で受信した浸水状況を逐次蓄積する機能と、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置20との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶する機能とを有している。
【0028】
道路情報表示装置20で浸水発生状況を表示する場合、突発浸水リスクを回避するために、浸水発生地点へ向かう車両の運転者に対して浸水発生状況を表示する必要がある。したがって、浸水発生地点の周囲に設置された道路情報表示装置20のうち、浸水発生地点へ向かう車両が通行する道路に設置されている道路情報表示装置20を選択して、浸水発生状況を表示することが、突発浸水リスクを回避するために最も重要となる。
【0029】
本実施の形態では、このような浸水発生地点と道路情報表示装置20との対応関係を表示対象選択情報に予め登録しておき、浸水検知装置10から通知された浸水危険状態を示す浸水状況に基づき特定された浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択している。なお、浸水発生地点の特定方法は、例えば浸水状況に含まれる、当該浸水状況の通知元である浸水検知装置10の識別IDと、その設置場所、すなわち浸水発生地点との対応関係を示す設備情報をデータ記憶部32に予め登録しておけばよい。なお、道路情報表示装置20が車載情報端末である場合、浸水発生地点へ続く道路に設置された路側放送アンテナやビーコンとの対応関係を設備情報に登録しておけばよい。
【0030】
警報表示指示部33は、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、データ記憶部32の表示対象選択情報を参照することにより、当該浸水が発生した浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択する機能と、通信網50を介して選択した道路情報表示装置20とデータ通信を行うことにより、これら道路情報表示装置20に対して、道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況の表示を指示する機能とを有している。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1の動作について説明する。
まず、図5を参照して、浸水検知装置での浸水検知動作について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる浸水検知装置での浸水検知処理を示すフローチャートである。
浸水検知装置10のデータ処理部13は、図5に示す浸水検知処理を実行する。なお、浸水検知装置10の水位検知部11は、定期的に水位を計測しているものとするが、データ処理部13からの指示に応じて水位を計測してもよい。
【0032】
水位検知部11は、水位を計測してデータ記憶部12へ蓄積する(ステップ100)。データ処理部13は、最新の水位データをデータ記憶部12から取得し、前回計測の水位データと比較することにより水位上昇の有無を確認する(ステップ101)。ここで、水位変動が前回計測した水位から上昇していない場合(ステップ101:NO)、ステップ100へ戻る。
【0033】
一方、水位変動が前回計測した水位から上昇している場合(ステップ101:YES)、水位検知部11で新たに水位を計測した後(ステップ102)、データ処理部13は、得られた最新の水位データと前回あるいはそれより過去に計測した水位データとに基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出し(ステップ103)、得られた水位増加率をデータ記憶部12に予め設定されている危険増加率と比較することにより、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する(ステップ104)。
【0034】
図6は、集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す説明図であり、横軸が時間を示し、左縦軸が水位増加率を示し、右縦軸が水位を示している。ここでは、集中豪雨発生時における水位増加率の変化を示す特性F11と、水位の変化を示す特性F12とが示されている。
【0035】
突発的な集中豪雨は、急激な水位の上昇の後に、結果として水位が著しい高さまで上昇する特徴を持っている。この際、水位に対して危険水位を設定した場合、特性F12の水位が危険水位に達した時刻T2になって初めて浸水発生が検知される。一方、本実施の形態では、水位増加率に対して危険増加率を設定しておき、特性F11の水位増加率と危険増加率との比較結果に応じて浸水発生有無を検知している。これにより、時刻T2より早い時刻T1において浸水発生を検知することができる。したがって、絶対水位を観測するよりも水位の増加率を検出するほうが、事象としてはより早く検知できる。危険を早く検知できれば、それだけリスクを回避することができ、あるいは被害を少なく抑えることができる。
【0036】
したがって、水位増加率が危険増加率を下回る場合(ステップ104:NO)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態ではないと判定して、ステップ102へ戻る。
一方、水位増加率が危険増加率に達している場合(ステップ104:YES)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水が発生しうる浸水危険状態であると判定し、浸水危険状態を示す検知結果に水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ通知する(ステップ110)。
【0037】
この後、水位検知部11で新たに水位を計測した後(ステップ111)、データ処理部13は、得られた最新の水位データと前回あるいはそれより過去に計測した水位データとに基づいて、単位時間当たりの水位変化を示す水位増加率を算出し(ステップ112)、得られた水位増加率をゼロと比較することにより、道路での水位の低下を確認する(ステップ113)。
【0038】
ここで、水位の低下が確認されない場合(ステップ113:NO)、データ処理部13は、ステップ110へ戻って、浸水危険状態を示す検知結果に水位および水位増加率を付加して、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ再び通知する。
一方、水位の低下が確認された場合(ステップ113:YES)、データ処理部13は、最新の水位を危険水位と比較することにより、集中豪雨による道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する(ステップ114)。
【0039】
図7は、集中豪雨終了時における水位の変化を示す説明図であり、横軸が時間を示し、左縦軸が水位増加率を示し、右縦軸が水位を示している。ここでは、集中豪雨終了時における水位増加率の変化を示す特性F21と、水位の変化を示す特性F22とが示されている。
【0040】
集中豪雨の終了時には、水位が徐々に低下し、水位増加率は負の値を示すことになるが、水位の低下速度は地形などの状況に応じて変化することから、集中豪雨の開始時のように、水位増加率の顕著な変化が現れない場合がある。したがって、本実施の形態では、水位が絶対的な水位を示す特性F22が危険水位を下回ったかどうかを確認することにより、集中豪雨により道路で浸水しておらず、道路が車両により通行可能な浸水安全状況であるか否かを検知している。
【0041】
したがって、時刻T3に示すように、水位が危険水位を下回った場合(ステップ114:YES)、データ処理部13は、集中豪雨により道路で浸水しておらず道路が車両により通行可能である浸水安全状態であると判定して、浸水安全状態を示す検知結果に、当該検知時点の水位および水位増加率を付加した浸水状況を、通信網50を介して浸水道路管理装置30へ通知し(ステップ115)、ステップ100へ戻る。これにより、初期状態に戻って水位上昇の有無の確認が再開される。
【0042】
次に、図8を参照して、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1における浸水道路管理装置30での警報表示指示動作について説明する。図8は、第1の実施の形態にかかる浸水道路管理装置での警報表示指示処理を示すフローチャートである。
浸水道路管理装置30の警報表示指示部33は、浸水検知装置10からの浸水状況の通知に応じて図8に示す警報表示指示処理を実行する。
【0043】
警報表示指示部33は、データ記憶部32からデータ収集部31で浸水検知装置10から受信した最新の浸水状況を取得し、例えばデータ記憶部32に予め登録されている設備情報を参照して、当該浸水状況の通知元である浸水検知装置10と対応する浸水発生地点を特定する(ステップ200)。
【0044】
続いて、警報表示指示部33は、例えばデータ記憶部32に予め登録されている対象選択情報を参照して、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を選択する(ステップ201)。
図9は、道路情報表示装置の選択例である。ここでは、浸水検知装置10が当該浸水状況の通知元であることから、例えば最寄りの交差点Pから所定半径の円A内に位置する道路情報表示装置20が対象選択情報に基づいて選択されている。これにより、交差点Pの1ブロック隣の交差点P1〜P3に設置されている道路情報表示装置20で、交差点Pでの浸水発生が表示されるため、交差点Pの手前で運転者に浸水発生が通知されることになる。
【0045】
この後、警報表示指示部33は、当該浸水状況の検知結果が浸水危険状態を示すものか否か確認する(ステップ202)。ここで、当該浸水状況の検知結果が浸水危険状態を示す場合(ステップ202:YES)、警報表示指示部33は、選択した道路情報表示装置20に対して、道路での浸水発生を通知するための浸水警報の表示を、通信網50を介して指示し(ステップ203)、一連の警報表示指示処理を終了する。
【0046】
図10は、浸水警報の表示例である。ここでは、突発的な集中豪雨により、この先の道路での浸水発生のため、進入禁止である旨が、道路情報表示装置20において、文字や図柄で表示されている。これにより、浸水発生地点への車両進入を未然に防ぐことができ、突発浸水リスクを回避することができる。
【0047】
一方、当該浸水状況の検知結果が浸水安全状態を示す場合(ステップ202:NO)、警報表示指示部33は、選択した道路情報表示装置20に対して、浸水警報の表示解除を、通信網50を介して指示し(ステップ210)、一連の警報表示指示処理を終了する。
これにより、道路情報表示装置20での浸水警報の表示が終了し、あるいは道路情報表示装置20において、浸水警報が解除された旨が文字や図柄で表示される。
【0048】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、車両が通行する道路に設置された浸水検知装置10で、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知し、道路に設置された道路情報表示装置20で、当該道路を通行する車両の運転者に対して当該道路での浸水発生状況を文字・図柄で表示し、浸水検知装置10および道路情報表示装置20と通信網50を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置30で、浸水検知装置10からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された道路情報表示装置20に対して、浸水発生状況の表示を指示するようにしたものである。
【0049】
これにより、道路上における局所的な集中豪雨を速やかに検知して、浸水発生地点の周辺に存在する車両に対して、浸水発生状況を通知することができる。したがって、浸水発生地点へ車両が進入するというような浸水被害を回避することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態では、浸水道路管理装置30では、浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された道路情報表示装置20との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶しておき、浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する道路情報表示装置20を表示対象選択情報に基づき選択し、選択した道路情報表示装置20に対して浸水発生状況の表示を指示するようにしてもよい。
これにより、浸水発生地点の周辺に存在する車両だけでなく、浸水発生地点へ向かう道路を走行している車両に対しても浸水発生状況を的確に通知することができ、浸水被害を未然に回避することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1について説明する。図11は、第2の実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システムの構成を示すブロック図である。
【0052】
第1の実施の形態では、道路情報表示装置20で浸水発生状況を表示する場合について説明した。本実施の形態では、浸水道路管理装置30で浸水発生状況を画面表示する場合について説明する。
本実施の形態において、浸水道路管理装置30に、浸水状況生成部34と画面表示部35が設けられている。
【0053】
浸水状況生成部34は、データ記憶部32から、データ収集部31により各浸水検知装置10から受信した状況通知を取得する機能と、これら状況通知に含まれる水位増加率を取得する機能と、当該状況通知で通知された水位増加率の浸水発生地点を特定する機能と、これら浸水発生地点ごとに水位増加率をプロットした浸水状況グラフを生成する機能を有している。
【0054】
画面表示部35は、LCDなどの画面表示装置からなり、浸水状況生成部34で生成された浸水状況グラフを画面表示する機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる突発浸水リスク回避システム1のうち、浸水道路管理装置30以外の浸水検知装置10や道路情報表示装置20の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0055】
図12は、浸水状況グラフの画面表示例である。ここでは、X,Y,Zの3次元棒グラフのうち、X方向およびY方向に、管理エリア内にある通り(道路)が割り当てられており、これら通りが交差する位置に、各浸水発生地点が配置されている。そして、Z方向に各浸水発生地点での水位増加率が表示されている。
これにより、管理エリア内の浸水状況あるいは豪雨状況(増加率)が俯瞰でき、浸水発生状況を容易に確認することが可能となる。
【0056】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…突発浸水リスク回避システム、10…浸水検知装置、11…水位検知部、12…データ記憶部、13…データ処理部、20…道路情報表示装置、21…データ受信部、22…情報表示部、30…浸水道路管理装置、31…データ収集部、32…データ記憶部、33…警報表示指示部、34…浸水状況生成部、35…画面表示部、50…通信網。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知装置と、
前記道路または車両内に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示装置と、
前記浸水検知装置および前記道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続されて、前記浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された前記道路情報表示装置に対して、前記浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理装置と
を備えることを特徴とする突発浸水リスク回避システム。
【請求項2】
請求項1に記載の突発浸水リスク回避システムにおいて、
前記浸水道路管理装置は、前記浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された前記道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、前記浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する前記道路情報表示装置を前記表示対象選択情報に基づき選択し、選択した前記道路情報表示装置に対して前記浸水発生状況の表示を指示する
ことを特徴とする突発浸水リスク回避システム。
【請求項3】
車両が通行する道路に設置された浸水検知装置が、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知ステップと、
前記道路または車両内に設置された道路情報表示装置が、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示ステップと、
前記浸水検知装置および前記道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置が、前記浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された前記道路情報表示装置に対して、前記浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理ステップと
を備えることを特徴とする突発浸水リスク回避方法。
【請求項4】
請求項3に記載の突発浸水リスク回避方法において、
前記浸水道路管理ステップは、前記浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された前記道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、前記浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する前記道路情報表示装置を前記表示対象選択情報に基づき選択し、選択した前記道路情報表示装置に対して前記浸水発生状況の表示を指示するステップを含む
ことを特徴とする突発浸水リスク回避方法。
【請求項1】
車両が通行する道路に設置されて、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知装置と、
前記道路または車両内に設置されて、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示装置と、
前記浸水検知装置および前記道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続されて、前記浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された前記道路情報表示装置に対して、前記浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理装置と
を備えることを特徴とする突発浸水リスク回避システム。
【請求項2】
請求項1に記載の突発浸水リスク回避システムにおいて、
前記浸水道路管理装置は、前記浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された前記道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、前記浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する前記道路情報表示装置を前記表示対象選択情報に基づき選択し、選択した前記道路情報表示装置に対して前記浸水発生状況の表示を指示する
ことを特徴とする突発浸水リスク回避システム。
【請求項3】
車両が通行する道路に設置された浸水検知装置が、当該道路上に冠水した水位を計測して、当該水位の増加率と予め設定された危険増加率とを比較し、その比較結果に応じて集中豪雨により当該道路で浸水が発生しうる浸水危険状態か否かを検知する浸水検知ステップと、
前記道路または車両内に設置された道路情報表示装置が、当該道路を通行する車両の運転者に対して、当該道路での浸水発生を通知するための浸水発生状況を文字・図柄で表示する道路情報表示ステップと、
前記浸水検知装置および前記道路情報表示装置と通信網を介してそれぞれ接続された浸水道路管理装置が、前記浸水検知装置からの浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点に設置された前記道路情報表示装置に対して、前記浸水発生状況の表示を指示する浸水道路管理ステップと
を備えることを特徴とする突発浸水リスク回避方法。
【請求項4】
請求項3に記載の突発浸水リスク回避方法において、
前記浸水道路管理ステップは、前記浸水発生地点と当該浸水発生地点へ続く道路に設置された前記道路情報表示装置との対応関係を示す表示対象選択情報を予め記憶し、前記浸水危険状態を示す状況通知に応じて、当該浸水発生地点と対応する前記道路情報表示装置を前記表示対象選択情報に基づき選択し、選択した前記道路情報表示装置に対して前記浸水発生状況の表示を指示するステップを含む
ことを特徴とする突発浸水リスク回避方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図3】
【図10】
【図12】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図3】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2012−141840(P2012−141840A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113(P2011−113)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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