説明

突起を有する糖衣食品

【課題】 糖衣菓子などの糖衣食品であって、形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品を提供する。
【解決手段】 打錠物、カプセル、丸薬、キャンディ、ガムなどを中心層とし、その周囲を糖衣で覆った糖衣食品であって、表面に複数の突起物が形成され、かつ、水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層を形成することで、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品を提供することを可能とした。更に、該糖衣層が、キシリトールを主成分とすることで、味質及び冷感が極めて優れたものとなる。また、ソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分とする糖衣層を構成することで、前記刺激のマッチングの点で優れているだけでなく、糖衣食品の生産性が良くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖衣菓子などの糖衣食品に関する。更に詳しくは、表面に突起を有する糖衣食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面に突起を有する糖衣食品としては、金平糖がよく知られている。ところが、突起を有することと金平糖の甘さがマッチせず、大きな売上につながっていない。本発明者らは、突起を有することが刺激として感じられれば、マッチングの点で優れた糖衣食品になると考えた。刺激の有力なものは冷感であり、水に対する溶解熱が吸熱である糖アルコールを使って突起を有する糖衣食品にすればよいことになる。ところが、材料として砂糖を用いる金平糖以外の突起を有する糖衣食品の提案は極めて少ない。
【0003】
そのような例として、例えば、表面に微妙な凹凸模様を有する糖衣層をD−ソルビットを含有させて形成した模様入り糖衣食品が特公平6−59167号公報に記載されている。これはD−ソルビットからなる溶液と20〜100メッシュのD−ソルビット粉末を繰り返し掛け乾燥工程を備えることで得られる糖衣食品であるが、D−ソルビット粉末を付着させる糖衣層は一定の湿潤状態を保つ必要があり、乾燥を十分行うことが出来ない。したがって、得られる糖衣食品は耐湿性に問題があった。また、この糖衣層はソルビトール100%からなり、製造条件上、低湿環境下で行わなければ、前記耐湿性の問題は解決できず、量産設備環境面から大きな課題が残る。
【0004】
また、その改善策として、砂糖からなる糖衣層中にD−ソルビット粉末を分散含有された混合層で形成され、更に最外層を砂糖薄膜で被覆された模様入り糖衣品が特公平6−22444号公報に記載されている。これは、糖衣層の主成分が砂糖であり、水に対する溶解熱が吸熱であるソルビトールの含有量が少なく、また、砂糖の溶解熱が約18.8J/gと小さく、この模様入り糖衣品の溶解熱は、実施例3より理論計算すると約79.5J/g(理論溶解熱)であり、本発明の目的である突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品は得られない。溶解熱とは、物質(溶質)が溶媒中へ溶解するときに拡散または吸収する熱量のことを言い、ここでは、物質1gを水に溶解し、そのときの水の量と変化する温度差より、その熱量を計算する。1Jは1gの水を0.239℃上げるのに必要な熱量(1J=約0.239cal)である。また、理論溶解熱とは、できあがった糖衣層の構成成分である糖質の各配合比(重量%)に、該糖質固有の溶解熱値を乗じたものの総和を算出したものを言う。この場合、できあがった糖衣層中の水分は全て乾燥の際に蒸発したものとして計算する。
【0005】
また、糖衣層がぶどう糖、キシリトール、オリゴ糖および麦芽糖からなる群から選ばれた少なくとも1つの糖類と砂糖75〜90重量%からなる外周面突起付糖衣品が特開昭62−118849号公報に記載されている。これは、糖衣層の主成分が砂糖であり、水に対する溶解熱が吸熱であるキシリトールの含有量が少なく、この外周面突起付糖衣品の溶解熱は、実施例2より理論計算すると約41.9J/g(理論溶解熱)であり、本発明の目的である突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品は得られない。
【0006】
また、クエン酸、リンゴ酸、およびフマル酸のうちのいずれか1つの酸とぶどう糖とを含有させて形成した突起付き酸糖衣製品が特開平8−89174に記載されている。これも、糖衣層の主成分がぶどう糖からなり、そのぶどう糖の水に対する溶解熱が約58.6J/gとキシリトール、ソルビトールやエリスリトールと比較して小さく、この突起付き酸糖衣製品の溶解熱は、実施例5より理論計算すると約58.6J/g(理論溶解熱)であり、本発明の目的である突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品は得られない。
【0007】
一方、シュガーレスの要望が高まる中、D−ソルビットやキシリトールなどを利用した冷感を有する糖衣食品が開発されている。例えば、D−ソルビットの濃厚水溶液を噴霧し、同時にケーキング(凝固)の起こり難い安定な結晶状態としたD−ソルビット粉末を散布し、これを繰り返すことによりD−ソルビットの糖衣層を形成するというコーティング方法が特開昭57−107159に記載されている。これは、糖衣層の表面が平滑で緻密な肌合いとなり、突起を有する糖衣層ではないため冷感という刺激を最大限利用できていない。
【特許文献1】特公平6−22444号公報
【特許文献2】特公平6−59167号公報
【特許文献3】特開昭62−118849号公報
【特許文献4】特開平8−89174号公報
【特許文献5】特開昭57−107159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、糖衣食品をつくる上で、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激の、2つの刺激を兼ね備えたものとすることにより、これまでに無かった食感を有する糖衣食品になることを見いだし、本発明を提供するに至った。すなわち、本発明は、表面に複数の突起物が形成され、かつ、水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層を有することを特徴とする糖衣食品を構成したものである。ここで、前記突起物は、通常、金平糖と同程度の大きさ、形状の突起を有している。すなわち、糖衣層の量にもよるが、突起物は通常1mm〜数mm程度の大きさで、先細の形状を有しており、突起物一個一個が、肉眼で十分に確認できる程度に大きいものである。更には、前記糖衣層が、キシリトール、又はソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分とすることが好ましく、これらの糖アルコールの中でも、キシリトールを主成分とすることが、特に好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る突起を有する糖衣食品は、表面に複数の突起物が形成され、かつ、水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層を有することにより、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品を提供することを可能とした。更に、該糖衣層が、水に対する溶解熱が吸熱であるキシリトールを主成分とすることで、味質及び冷感が極めて優れたものとなる。更に、水に対する溶解熱が吸熱であるソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分とする糖衣層を構成することで、前記刺激のマッチングの点で優れているだけでなく、糖衣食品の生産性が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、表面に複数の突起物が形成され、かつ、水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層を有することを特徴とする糖衣食品を構成したものである。
本発明の複数の突起物とは、金平糖とほぼ同程度の大きさ、形状を有するものである。すなわち、例えば微細な糖アルコールの粉末を糖衣層表面に付着させて作製した糖衣層表面の凹凸模様等とは異なり、本発明の複数の突起物は、糖衣層の量にもよるが、通常1mm〜数mm程度の大きさで、先細の形状を有しており、一個一個肉眼で十分に確認できる程度に大きいものである。従って、このような複数の突起物は、口の中に入れた際に、十分な刺激となる。
【0012】
本発明における水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層とは、できあがった糖衣層における理論溶解熱を算出したときに、80J/g以上であることをいう。
【0013】
本発明は水に対する溶解熱が80J/g以上の糖衣層からなることで得られる冷感という刺激を有するために、糖アルコールを糖衣層の主成分とする態様が好ましい。このとき使用できる糖アルコールは、水に対する溶解熱が吸熱になる糖アルコールであり、冷感という刺激を示すことがその選択の要因である。そのうち、キシリトール、又はソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分とすることが、本発明には好ましい。
【0014】
キシリトールは、D−キシロースに対する五価の糖アルコールでD−キシロースの還元によって得られる白色の結晶または粉末状のものであり、甘味度はショ糖と同程度であり、約100である。ここで、甘味度とは、ある化合物の水溶液が甘味を知覚することのできる最小限濃度(閾値)とショ糖水溶液の閾値の比を言い、この場合、ショ糖の閾値を100とした比である。口中では冷涼感があり、水に対する溶解熱は約152.8J/gである。また、水に対する溶解度は、20℃で約62g/100g溶液、50℃で約80g/100g溶液である。自然界にはマッシュルームやいちごなどに微量に存在する糖アルコールであって、工業的には、D−キシロースをNi触媒・加圧水素で還元して得られる。
【0015】
また、ソルビトールは、六価の糖アルコールで甘味度は約60である。溶解時に吸熱作用があり、口中で清涼感を与え、水に対する溶解熱は約108.8J/gである。また、水に対する溶解度は、20℃で約70g/100g溶液、50℃で約82g/100g溶液である。グルコースの末端アルデヒド基を還元した糖アルコールであるため、アミノ酸などによる褐変現象が起こらず、耐酸、耐熱性の甘味料である。工業的には、高圧がま中にグルコース、触媒、水素を入れ、加温、加圧下で反応させることによって、グルコースが水素添加され得られる糖アルコールで、自然界には梨、りんご、プラムなどに、ショ糖、グルコース、フルクトースとともに数%存在する糖アルコールである。
【0016】
また、エリスリトールは、四価の糖アルコールで甘味度は約75であり、ショ糖と同様な結晶で吸湿しにくい。溶解時には吸熱作用があり、水に対する溶解熱は約180.0J/gである。また、水に対する溶解度は、20℃で約32g/100g溶液、50℃で約50g/100g溶液である。ソルビトールと同様に耐酸、耐熱性があり、生理面の特性はきわめて低エネルギー、非う触原性の性質を持つ。工業的には、グルコースを原料として酵母による発酵で製造され、自然界にはきのこ類、地衣類、果実類などに含まれ、ワイン、清酒などの発酵食品などにも含まれることが知られ、哺乳動物では、牛、ヒトの精液中、尿中に含まれる糖アルコールである。
【0017】
また、マンニトールは、マンノースに対する六価の糖アルコールで、天然型のD−マンニトールを単にマンニトールともいう。白色の結晶または粉末で、甘味度は約70である。水に対する溶解熱は約119.3J/gで冷涼感があり、吸湿性は著しく低い。また、水に対する溶解度は、20℃で約16g/100g溶液、50℃で約32g/100g溶液である。D形は海藻、菌類など植物界に広く存在するが、L形は自然界に存在せず、ショ糖の高圧接触還元、海藻からの液体抽出、グルコースのアンモニア電解還元などによって製造される糖アルコールである。
【0018】
以上のような糖アルコールのうち、味質及び冷感が極めて優れたキシリトールを該糖衣層の主成分とすることが好ましい。キシリトールは単独で使用してもよいし、他の糖アルコールの何れか1つ以上と組み合わせて使用してもよい。
【0019】
一方、ソルビトールは、エリスリトール若しくはマンニトールと組み合わせて使用することが好ましい。ソルビトールは乾燥しにくい傾向にあり、ソルビトール単独で使用した場合には、突起を有する糖衣食品を得るために、湿度を低く保った環境下で製造する必要がある。また、ソルビトール単独で使用した場合には、糖衣層を形成する際に結晶化しにくく、生産性が、例えばキシリトール単独で使用した場合と比較して、低下する傾向にある。そこで、水に対する溶解度が低く、糖衣層を形成する際にすぐに結晶化するエリスリトール若しくはマンニトールと組み合わせて使用することで、湿度を低く保った環境下で製造する必要がなく、かつ、生産性も良くなる点で、好ましい。ソルビトールと組み合わせて使用するエリスリトール若しくはマンニトールは、ソルビトール100重量部に対して、1〜20重量部添加することが、好ましい。
【0020】
エリスリトールおよびマンニトールは、前記のように糖衣層を形成する際にすぐに結晶化してしまうので、それぞれ単独で用いる場合は、ハンドリング面において困難となる。
【0021】
糖衣層において、主成分となる糖アルコールが、できあがった糖衣層全体の75重量%以上であるとき、おおよそ溶解熱が80J/g以上の糖衣層を有する糖衣食品が得られ、かつ、糖衣層を形成する際の結晶化が起こりやすいため好ましい。より好ましくは、主成分となる糖アルコールが前記糖衣層全体の80重量%以上である。また、主成分となる糖アルコールができあがった糖衣層全体の75重量%以下のとき、冷感という刺激の面で劣り、形状と刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品は得られず、しかも、糖衣層を形成する際の結晶化が起こりにくくなる傾向にあり、突起を有する糖衣食品を得るためのハンドリングが難しくなる。
【0022】
更に、好ましい態様として、味質及び冷感が極めて優れたキシリトールを糖衣層の主成分とするときであり、できあがった糖衣層全体の75重量%以上であることが好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0023】
また、該糖衣層には、できあがった糖衣層全体の25重量%を越えない範囲で、その他の糖類、澱粉類、果汁類、乳製品類、香料、甘味料、乳化剤など適宜添加できる。使用できるその他の糖類としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、オリゴ糖、酵素糖化水飴、酸糖化水飴などであり、使用できる澱粉類としては、米澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチなどである。また、使用できる果汁類としては、スプレードライやフリーズドライなどで粉末化した粉末果汁や数倍に濃縮した濃縮果汁、ストレート果汁などが挙げられ、りんご、ぶどう、オレンジなどの一般的な果実に限らず、トマト、ほうれん草などの野菜を原料にした物も使用できる。また、使用できる乳製品類としては、粉乳やチーズパウダーなどの粉末処理されたものに限らず、練乳、発酵乳、生クリームなどの液状のものも使用できる。更に使用できる香料としては、どの様なタイプのものでも使用できるが、より好ましくは、冷感という刺激を相乗させる効果のあるミント類で、ペパーミントオイルやスペアミントオイル、さらにl−メントールも非常に効果のある物質である。また、甘味料としては、ソルビトールなどの低甘味度の糖アルコールを使用する際に、アスパルテームやアセスルファムカリウム、ステビア、甘草などを添加することが効果的である。また、乳化剤は、乳化したい物質等によって異なるが、ショ糖エステル、グリセリンエステル、レシチンなど使用できる。
【0024】
本発明の突起を有する糖衣食品は、以下のようにして得られる。まず、食用できる任意の固形物、例えば、打錠物、カプセル、丸薬、キャンディ、ガムなどを中心層(以下、「センター核」という)とし、キシリトール、又はソルビトールにエリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分として溶解し、糖度65重量%〜90重量%に調製し、糖衣液を準備する。より好ましくは、糖度75重量%〜85重量%に調製する。ここで、糖度とは、糖質濃度のことを言う。そして、回転しているコーティングパン内で、前記糖衣液をセンター核に霧状に噴霧し、乾燥するという工程を繰り返し行うことで得られる。このように、糖衣液を掛ける際に霧状に噴霧する手法を採用することで、内容物全体にほぼ均一に糖衣液を行き渡らせることができ、更に、全体がまだ濡れている段階で高温の温風を入れて素早く乾燥させることで、糖衣表面に凹凸を形成させることができる。これは、全体が乾き始めた段階で温風を入れることで、表面が滑らかな凹凸の無い糖衣層を形成させる従来の糖衣手法の考え方を、逆手に利用した手法である。ここで、温風の温度は、40〜85℃、より好ましくは60〜85℃である。さらに、使用する糖アルコールがキシリトール100重量%の場合、温風の温度は、40℃〜80℃、より好ましくは60℃〜75℃である。このような高温の温風を吹き込むのは、突起を有する表面を得るために、急速に結晶化を進めることが重要であるからである。また、このような温風は、糖衣食品全体に対してあたるように吹き込むことが好ましく、最も効率よく突起を有する表面を得ることができる。このときに使用できるコーティングパンは、オニオン型パン、自動糖衣パンなど一般的に使用されるコーティングパンで可能である。また、金平糖を作る際に用いられる平鍋でも同様に可能である。以上のような手法を採用することにより、これまで困難であった糖アルコールを主成分とする糖衣層表面の突起物形成を、迅速かつ容易に行うことを可能とした。
【実施例】
【0025】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例中の「%」は、特に説明のない限り、重量%を意味する。
【0026】
(実施例1)キシリトール75%と溶解水25%を混合し、加熱溶解し、糖度75%のキシリトール糖衣液を得た。一方、センター核としては、皮膜率15%、直径2mm、単質量8mgの球状シームレスカプセルであって、皮膜部にゼラチンを使用し、芯液部を中鎖脂肪酸トリグリセライド70%、L−メントール30%に調整したものを用いた。回転しているオニオン型コーティングパンに、前記シームレスカプセルをセンター核として投入し、温風乾燥機を用いて、60℃〜70℃範囲内に制御した温風を絶えず入れながら、該糖衣液を噴霧し、乾燥を取る工程を繰り返し行い、単質量150mgの糖衣食品を得た。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れ、かつ味質及び冷感が極めて優れた糖衣食品であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約152.8J/gである。
【0027】
(実施例2)センター核として、ソルビトール95%、ミントフレーバーパウダー2%、L−メントール3%を直打して得た直径5mm、厚さ4mm、単質量67mgの平丸型打錠物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で行い、単質量600mgの糖衣食品を得た。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れ、かつ味質及び冷感が極めて優れた糖衣食品であった。糖衣層の理論溶解熱は約152.8J/gである。
【0028】
(実施例3)ソルビトール70%とエリスリトール4%とマンニトール1%を溶解水25%で加熱溶解し、糖度78%の糖衣液を得た以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約112.8J/gである。
【0029】
(実施例4)キシリトール74%と溶解水25%を混合し、加熱溶解し、L−メントール0.9%とショ糖エステル0.1%を攪拌混合し糖衣液を得た以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れ、かつ味質及び冷感が極めて優れた糖衣食品であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約150.8J/gである。
【0030】
(実施例5)ソルビトール70%、エリスリトール5%と溶解水25%を混合し、加熱溶解し、糖度75%のソルビトールとエリスリトールの混合糖衣液を得た以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約113.6J/gである。
【0031】
(実施例6)キシリトール70%、エリスリトール5%と溶解水25%を混合し、加熱溶解し、糖度75%のキシリトールとエリスリトールの混合糖衣液を得た以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約154.6J/gである。
【0032】
(実施例7)キシリトール65%と溶解水25%を混合し、加熱溶解し、更に濃縮レモン果汁パウダー9%とレモンオイル0.9%、ショ糖エステル0.1%を攪拌混合し、糖度74%の糖衣液を得た。一方、回転しているオニオン型コーティングパンに、直径7mm、単質量250mgの球状に成型したレモン味のキャンディをセンター核として投入し、実施例1と同様の方法で、単質量1.5gの糖衣菓子を得た。得られた糖衣菓子は、該糖衣層が突起物を形成し、突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣菓子であった。前記糖衣層の理論溶解熱は約132.4J/gである。
【0033】
(比較例1)キシリトール30%、砂糖45%、を溶解水25%を混合し加熱溶解し、糖度を75%に調製した糖衣液を得た以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた糖衣食品は、該糖衣層が突起物を形成するが、冷感という刺激は少なく目的の糖衣食品は得られなかった。前記糖衣層の理論溶解熱は約72.4J/gである。
【0034】
(比較例2)温風乾燥機による温風の制御を30〜40℃にした以外は実施例1と同様の方法で糖衣食品を得た。得られた糖衣食品は、糖衣層表面が平滑で緻密な肌合いとなり、突起を有する糖衣層でないため、本発明の目的である突起物を有する形状による刺激と、冷感という刺激のマッチングの点で優れた糖衣食品は得られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の突起物が形成され、かつ、水に対する溶解熱(吸熱)が80J/g以上の糖衣層を有することを特徴とする糖衣食品。
【請求項2】
前記糖衣層が、キシリトールを主成分とする請求項1に記載の糖衣食品。
【請求項3】
前記糖衣層が、ソルビトールに、エリスリトール若しくはマンニトールの少なくとも一方を組み合わせた糖アルコールを主成分とする請求項1に記載の糖衣食品。


【公開番号】特開2006−129824(P2006−129824A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324872(P2004−324872)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】