説明

突起付きボタン及びその製造方法

【課題】各種電気機器の動作を切り替える押しボタンスイッチに係り、ボタンに突起を設けるための形成方法を構築し、突起付きボタンを形成することを目的とする。
【解決手段】成形金型によって製造されたボタンにプレス型を用いて後工程でボタン天面に突起を付ける。プレス型の温度は130℃から145℃、プレス圧は3トン前後、プレス時間は通常のプレスより長い5秒から7秒とした。これにより突起の付いたボタンと付いていないボタンの2種類を形成する際に、突起加工が施された成形金型が必要でなくなる。また、大きさの異なる突起付きボタンを作る際でも、オス形プレス型は1種類で済ませることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電気機器の動作を切り替える押しボタンスイッチに係り、ボタン天面に突起を設けることに特徴をもたせた突起付きボタンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子機器の動作を切り替える押しボタンスイッチには、外観上はほぼ同じでもスイッチ操作部を見ないで指先の感覚でスイッチの機能を特定できるように、ボタン天面に突起も形成されるように成形金型によって形成されていた。一方で、溶かした樹脂材料をボタン天面に塗布し、突起をつけて形成する方法もあった。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の成形金型に突起をつけて形成を行った場合、突起の付いたボタンと付いていないボタンの2種類を形成する際に、それに応じた成形金型も2種類必要であり、多大な金型投資額が必要であった。また、溶かした樹脂材料をボタン天面に塗布し突起をつける方法を用いた場合は、突起がボタンと一体化されず、取れやすい欠点があった。そこで、本発明は上記問題を解決する目的で、成形金型1種類で突起の付いたボタンと付いていないボタンの2種類のボタンを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、あらかじめ成形金型で形成しておいた突起なしボタンを、プレス型で後工程で熱を加えながら肉厚の天面に突起を形成し、突起付きボタンを形成した。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば次のような効果を奏することができる。
(1)成形されたボタンに後工程でプレス型によって突起を付けることができるので、突起の付いたボタンと付いていないボタンの2種類を形成する際に、成形金型が2種類必要であったが、突起のない成形金型のみで済み、金型投資額を抑えることができる。
(2)大きさの異なる突起付きボタンを作る際でも、オス形プレス型は1種類で済み、金型投資額を抑えることができる。
(3)プレス型の型温を130℃から145℃に設定し、プレス時間を5秒から7秒と長くしたことにより、突起の高さを確保しながらも従来のプレスに比べクラック等の不良が生じにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の突起付きボタンの製造方法は、成形金型によって形成されたボタンにプレス型を用いて後工程でボタン天面に突起を付ける。これにより突起の付いたボタンと付いていないボタンの2種類を形成する際に、突起加工が施された成形金型を追加で作成する必要がなくなる。これにより金型投資額を押さえることができる。同様に大きさの異なる突起付きボタンを作る際でも、オス形プレス型は1種類で済み、金型投資額を押さえることができる。
【実施例1】
【0007】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1には本発明で用いるボタンのプレス型の外形図を示し、図2にはメス形プレス型、突起なしボタン、オス形プレス型の断面図をそれぞれ簡略化した図を示す。図1、図2に示すように、3トン前後のオス形プレス型101とメス形プレス型102をあらかじめ130℃から145℃にそれぞれ温めておき、メス形プレス型102に突起なしボタン103を配置する。その後、突起なしボタン103がプレス型温により柔軟になったところに、上方からオス形プレス型101により、5秒から7秒かけてプレスを行う。これにより肉厚のボタン天面に突起をつけることができる。
【0009】
また図3に示すようにメス形プレス型102は製造したいボタンの大きさにより相応のプレス型が必要となるが、オス形プレス型101は1種類で済ませることができる。これにより使用するオス形プレス型101が減ることにより金型投資額を減らすことができる。
【0010】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の方法の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の突起付きボタンの製造方法は、成形されたボタンに後工程でプレス型によって突起を付けることが容易にできるので、突起を形成するための成形金型が不要となり、またボタンの大きさに関わらずオス形プレス型も1種類で済むので、金型投資額の抑制が容易に行うことができる。また、プレス時間も通常のプレス時間よりも長くしたので、突起の高さを確保しながらもクラック等の不良を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明で用いるボタンのプレス型の外形図である。
【図2】本発明のメス形プレス型、オス形プレス型により突起なしボタンにプレスを行った断面図である。
【図3】本発明のプレス型を削減する方法を示した図である。
【符号の説明】
【0013】
101 オス形プレス型
102 メス形プレス型
103 突起なしボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンスイッチの上部に取付けられる熱可塑性樹脂で形成したボタンにおいて、あらかじめ成形金型で天面を肉厚で形成したボタンを加熱したプレス金型を用いて前記ボタンの上面に突起を形成したことを特徴とした突起付きボタン。
【請求項2】
前記プレス金型を130℃から145℃とし、3トン前後のプレス圧で前記ボタンの天面を突き出して形成したことを特徴とした突起付きボタン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−147504(P2006−147504A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339704(P2004−339704)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】