説明

窒化チタンスパッタリングターゲットおよびその製造方法

【課題】大面積フィルム上へ連続的に均一な窒化チタン膜を工業的に成膜することを可能とする。
【解決手段】平均粒径が0.4〜1.2μmの窒化チタン粉末を用い、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物およびアクリル酸系共重合物アミン塩から選択される分散剤を、窒化チタン粉末100質量部に対して0.5〜2.0質量部添加して、湿式粉砕し、噴霧乾燥し、98〜294MPaの圧力で成形し、大気圧窒素雰囲気中、1800〜2000℃の温度で焼成し、加工し、組成比が、一般式:TiNxにおいて0.8≦x≦1.0であり、かつ、理論密度比が93%から100%の範囲にある。窒化チタンスパッタリングターゲットを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質を含む広い分野に適用されている窒化チタン膜を形成するためのスパッタリングターゲット、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化チタン膜は、耐久性を要求される工具などの表面に形成される硬質膜として使用されているほか、その導電性からIC・半導体用途における導電膜としても使用されている。近年、樹脂フィルムの表面改質を目的として、樹脂フィルム上への窒化チタン膜の形成も要望されている。このような用途およびそれに伴う需要の拡大に応じて、窒化チタン膜には、大きな面積に均質な膜を形成することが要求されている。
【0003】
従来、窒化チタン膜の成膜には、チタンターゲットを用いた窒素雰囲気下での反応性スパッタリング技術が一般的に用いられている。しかしながら、反応性スパッタリングを行う場合には、窒素分圧や投入電力によって、得られる膜の比抵抗や結晶性、成膜速度などが変化しやすいうえに、膜の特性が装置内に残存する酸素によっても大きく変化してしまうという技術的問題がある。特に、樹脂フィルム上に窒化チタンを反応性スパッタリングにより成膜する場合には、樹脂フィルムから発生する水分や酸素によって、得られる窒化チタン膜に酸素が取り込まれ、膜の特性が変化することで、均一な膜特性を有する窒化チタン膜が得られないという問題がある。また、反応性スパッタリングにおいては、ターゲット表面にも窒化チタン膜が形成されることに起因して、成膜速度が急激に低下するという問題もある。
【0004】
このような状況から、チタンターゲットによる反応性スパッタリングの問題を解消するために、チタンターゲットに代替する成膜材料として、窒化チタンスパッタリングターゲットが強く要望されている。
【0005】
窒化チタンスパッタリングターゲットは、窒化チタン粉末を出発原料として粉末焼結法により得ることも可能であり、粉末焼結法としては、通常、ホットプレスやHIP(熱間静水圧プレス)などが用いられている。
【0006】
しかしながら、窒化チタンは難焼結性の材料であり、上記の粉末焼結法で窒化チタンスパッタリングターゲットを作製しても、焼結後の粒子間に多くの粗大空孔が存在するため、ターゲットが低密度となってしまう。この多数の空孔の存在により、スパッタリング成膜時に、ターゲットの表面に突起状異物(ノジュール)が発生し、これが著しく成膜レートを低下させる要因となる。また、樹脂フィルム上への成膜時には、樹脂フィルムから発生する異物に起因して、ターゲット表面に突起状異物が発生しやすくなるという問題もある。したがって、このような問題を解決するため、窒化チタンスパッタリングターゲットの高密度化を可能とすることが急務となっている。
【0007】
窒化チタンスパッタリングターゲットの高密度化を図るために、原料粉末として水素化チタンを混合添加した窒化チタン粉末を用い、この粉末をホットプレスする際に、原料粉末のN/Tiモル比を調整することが開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、窒化チタンスパッタリングターゲットの高密度を実現するためには、ターゲット組成のN/Tiモル比を大幅に下げる必要があり、その結果として、窒化チタン膜の窒素品位を補うために、スパッタ成膜時に導入するガス中の窒素量を大量に増加させる必要がある。窒素ガスの導入は成膜速度の著しい低下を招くことになるため、このようなターゲットを工業的な窒化チタン膜の成膜に用いることは困難である。
【0008】
また、パーティクルの発生が少ない窒化チタンスパッタリングターゲットを、チタン粉末を焼結させて、その後窒化させる方法によって、得ることが開示されている(特許文献2、3参照)。しかしながら、この方法で製造される窒化チタンスパッタリングターゲットでは、平均空孔サイズが大きくなってしまうため、前述のように、フィルム成膜に際して樹脂フィルムから発生する異物に起因する、ノジュールの発生頻度が高くなり、成膜速度の向上を図ることはできない。
【0009】
さらには、ターゲットの高密度化を図るために採用されているホットプレス法やHIPでは、大量生産が困難でありコスト高となるため、これらの製造方法を工業的な手段として採用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭63−259075号公報
【特許文献2】特開平6−212417号公報
【特許文献3】特開平6−212418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、大面積フィルム上へ連続的に均一な窒化チタン膜を成膜することに適した、高密度の窒化チタンスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。また、この高密度の窒化チタンスパッタリングターゲットを、工業的な手段によって、安定的に、かつ、低コストに供給できるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フィルム成膜用の窒化チタンスパッタリングターゲットに関する。特に、本発明の窒化チタンスパッタリグターゲットは、その構成成分が、チタンおよび窒素と、酸素および炭素を含む不可避成分とからなり、その組成比が、一般式:TiNxにおいて0.8≦x≦1.0であり、かつ、理論密度比が93%から100%の範囲にあることを特徴とする。なお、酸素および炭素の含有量は、それぞれ最大で10原子%まで許容できる。
【0013】
なお、窒化チタンスパッタリングターゲットを構成する窒化チタン粒の平均粒径は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、
(1)出発原料として、平均粒径が0.4μm〜1.2μmの範囲内にある窒化チタン粉末を用いて、
(2)水溶媒中に、該窒化チタン粉末を、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物およびアクリル酸系共重合物アミン塩から選択される分散剤とともに、該窒化チタン粉末100質量部に対して、該分散剤が0.5質量部〜2.0質量部となるように、投入して、湿式粉砕し、
(3)得られた粉砕物を噴霧乾燥し、
(4)得られた造粒粉を、98MPa〜294MPaの圧力で成形し、
(5)得られた成形体を、大気圧窒素雰囲気中で、かつ、1800℃〜2000℃の温度で、焼成し、
(6)得られた焼結体を加工する、
という工程からなる製造方法により得ることができる。
【0015】
前記湿式粉砕工程において、バインダとして、前記窒化チタン粉末100質量部に対して1.0質量部〜2.0質量部のポリビニルアルコールを、さらに添加することが好ましい。
【0016】
また、前記噴霧乾燥工程において、スプレードライヤを用いて球状の造粒粉を得ることが好ましい。
【0017】
さらに、前記焼成工程において、カーボンヒータ炉を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットを用いることにより、成膜時に、ターゲット表面へのノジュール発生が抑制され、また、成膜レートの著しい低下も抑制される。さらに、フィルム上への連続成膜時にも、膜厚の変動が少なくなるという利点もある。
【0019】
また、窒化チタン粒の平均粒径が所定範囲に調整されていることから、焼結体の強度が向上しており、高スパッタ電力を投入しても、成膜時にターゲットが割れることがなく、効率よく使用することができる。さらに、従来の反応性スパッタリング成膜法よりも成膜速度を上げることができる。
【0020】
一方、フィルムへのダメージが少ない低電力による成膜時にも、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットを用いることにより、結晶性の高い、低抵抗の窒化チタン膜が得られるという効果もある。
【0021】
以上のように、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、大面積フィルム上への均一な窒化チタン膜の連続的な成膜に適した、高密度の窒化チタンスパッタリングターゲットであり、その価値は非常に高いということができる。
【0022】
また、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法により、焼成工程において、1回の処理量が制限されるホットプレスなどとは異なり、焼成炉内で多段に成形体を配置して、大気圧雰囲気中で焼成することが可能となるため、処理量を多くでき、大量生産が可能となる。よって、本発明により、窒化チタン膜の成膜材料であるスパッタリングターゲット、ひいては窒化チタン膜を、安定的に、かつ、低コストに提供できるため、本発明の工業的意義は大きいということができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例で得られた窒化チタン焼結体のXRD(X線回折)の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットを構成する成分は、チタン、窒素、および、不可避成分、特に、酸素と炭素である。また、そのチタンと窒素の組成比は、一般式:TiNxにおいて0.8≦x≦1.0である。また、同時に、その理論密度比が93%から100%の範囲である。
【0025】
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、出発原料として窒化チタン粉末を用いるが、原料の窒化チタン粉末に不可避的に含有される成分が、チタンおよび窒素以外に含まれている。また、スパッタリングターゲットの製造工程において、酸素や炭素が不可避的に混入する。よって、その成分として、チタンおよび窒素のほかに、酸素、炭素、その他の成分を含む不可避成分が含まれることになる。
【0026】
なお、酸素および炭素の含有量は、それぞれ最大で10原子%まで許容できる。これ以上となると、窒化チタン膜の導電性が不十分となり、導電膜の用途に使用できなくなる。
【0027】
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットの焼結体密度(相対密度)は、理論密度比の93%〜100%の範囲にあるが、このように高密度とすることにより、ターゲット内の空孔がきわめて少なくなり、さらに、スパッタリングする際に、ターゲット表面にノジュールが発生することを抑制できるので、フィルム上への連続成膜が可能となる。なお、長尺安定成膜の観点から、理論密度比は95%〜100%の範囲にあるのがより好ましい。このように、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットを用いることにより、成膜レートの著しい低下が抑制され、フィルム上への連続成膜時にも膜厚変動の少ない、均一な成膜が可能となる。よって、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、大面積フィルム上への窒化チタン膜形成にきわめて適しているということができる。なお、ここでいう焼結体密度とは、得られた焼結体の試験片について体積と質量を測定し、求められた密度の、理論密度に対する理論密度比を算出したものである。
【0028】
また、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットにおけるチタンと窒素の組成比は、一般式:TiNxにおいて、0.8≦x≦1.0であることから、スパッタリング時の成膜ガス雰囲気が、Arのみの雰囲気を用いる成膜条件でも、窒素品位の高い窒化チタン膜が得られる。よって、スパッタリングの効率性を阻害する窒素ガスを導入することなく、耐食性および導電性に優れる窒化チタン膜を得ることが可能となる。窒素品位を示す、一般式:TiNxのxが、0.8より小さくなると、成膜時に、窒化チタン膜中の窒素成分を補うために窒素ガスを添加する必要が生じ、これに伴い成膜速度を著しく低下させてしまうため、本発明のように窒素品位を0.8≦x≦1.0とすることはきわめて重要である。このように、本発明は窒素品位の高い窒化チタンスパッタリングターゲットを実現した点において、きわめて有用であるということができる。
【0029】
また、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットの結晶粒は、焼結体強度や残存する空孔サイズの観点から、平均粒径が5μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒径が5μmより小さいと、粒同士の結合が乏しくなり、ターゲットが低強度となることから好ましくない。一方、平均粒径20μmより大きくなると、粒子の大きさにバラつきが大きくなり、粗大粒子が多く存在するようになって、粒界割れが進みやすく、やはり低強度となってしまう。このようにターゲットが低強度となると、成膜時における熱負荷により、ターゲットが割れやすくなってしまうため、好ましくない。さらに、結晶粒が大きくなると、空孔サイズも大きくなって、ノジュールが発生しやすくなる点からも、好ましくない。
【0030】
次に、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
【0031】
(1)出発原料
まず、出発原料として窒化チタン粉末を使用する。窒化チタン粉末は、平均粒径が0.4μm〜1.2μmの範囲内にある粉末を用いる。一般に、スパッタリングターゲットの原料粉末を微細化することにより、ターゲットの焼結性の向上が期待されるが、平均粒径を0.4μmより微細化すると粉末が凝集しやすくなり、また、粉末の酸化が進んでしまうことから、かえって焼結性が阻害されてしまう。一方、平均粒径を1.2μmより大きくすると、粗大粒子が多くなり、著しく粉末の焼結性が阻害されてしまう。
【0032】
粉体の焼結性およびターゲット量産時の取扱い性の観点から、0.7μm〜1.1μmの範囲内にある粉末を用いることがより好ましい。溶媒中における粉末の粉砕を検討する場合であっても、上記範囲とすることが必要となる。
【0033】
なお、一次粒子径の指標となるBET値は、1m2/g〜15m2/gであることが望ましい。BET値が1m2/g未満の場合には、著しく焼結性が悪化し、ターゲット密度の向上を図ることが困難となり、一方、15m2/gより大きい場合には、凝集が強くなることで、取扱いが困難となる上に、酸素を取り込みやすくなるため、焼結性が阻害されてしまう。
【0034】
(2)湿式粉砕工程
次に、原料の窒化チタン粉末を湿式粉砕して微粒化する。窒化チタン粉末の湿式粉砕は、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物、あるいは、アクリル酸系共重合物アミン塩を、分散剤として、水溶媒中で行うことが必要である。単に水を溶媒とした湿式粉砕は、工程として量産化しやすいが、粉末の酸化および窒化チタン粉末の水溶媒への分散が悪いという問題がある。
【0035】
そこで、本発明では、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物、あるいは、アクリル酸系共重合物アミン塩を、分散剤として使用することで、撥水性に近い窒化チタン粉末を水溶媒中で高分散させることを可能ならしめている。すなわち、窒化チタン粉末の水溶媒中のスラリー濃度を50%以上、より具体的には70%程度まで高めることができるため、生産効率を高めることが可能となる。また、スラリー濃度が50%以上となった場合でも、スラリー粘度を100cps未満とすることができる。
【0036】
なお、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物は、次の式で表される組成を有する。
【0037】
【化1】

【0038】
また、アクリル酸系共重合物アミン塩としては、たとえば、次の式で表される組成を有するものを挙げることができる。
【0039】
【化2】

【0040】
このアクリル酸系共重合物アミン塩の具体例としては、ポリアクリル酸アミン塩を挙げることができる。
【0041】
分散剤の添加量は、原料の窒化チタン粉末100質量部に対して、0.5質量部〜2.0質量部の範囲で添加することが必要であるが、0.5質量部〜1.0質量部のより微量の添加で処理することが望ましい。0.5質量部未満では添加効果が得られず、一方、2.0質量部を超えると、焼結脱バインダ工程時に割れが発生しやすくなるため好ましくない。
【0042】
なお、この湿式処理である粉砕工程において、窒化チタン粉末は表面酸化するが、この窒化チタン粉末の酸化の問題は、原料粉末の平均粒径が0.5μm〜1.2μmの範囲の粉末を選定することで、その後の焼成工程において、焼成温度と雰囲気を調整することにより、酸化から生じる問題を解消することが可能である。
【0043】
また、添加剤とは別に、有機バインダとして、ポリビニルアルコール(PVA:−[CH2CH(OH)]n−)を添加することが望ましい。PVAの添加により、成形時に高強度の成形体が得られ、かつ、PVAは、焼結時に容易に揮発させることが可能である。PVAとしては、ケン化度が90mol%〜100mol%の範囲内にあり、重合度が500〜1000の範囲内にあるものを用いることが好ましい。PVAの添加量としては、原料の窒化チタン粉末100質量部に対して1.0質量部〜2.0質量部の範囲とすることが望ましく、1.0質量部〜1.5質量部のより微量の添加で処理することが望ましい。1.0質量部未満では添加効果が得られず、2.0質量部を超えると、焼成工程における脱バインダ時に成形体に割れが発生しやすくなる。なお、有機バインダは、湿式粉砕工程の前に、分散剤と同時に添加してもよく、また、湿式粉砕後に粉砕物のスラリーに有機バインダを添加して、噴霧乾燥工程に供してもよい。
【0044】
なお、湿式粉砕は、ボールミル、ビーズミルなどの混合手段を用いることができる。容器にはポリビン、ウレタンライニング製ステンレス容器などを、また、メディアには、安定性、耐摩耗性などの観点からジルコニアボールなどを用いることが好ましい。また、粉砕混合時間は、ボールミル粉砕であれば5時間〜20時間程度行うことが好ましい。ボールミル条件は、処理粉末質量に対して3倍程度のメディアを用いて、周速を3m/分〜4m/分で行うことが望ましい。一方、ビーズミルの場合、φ0.5mmのビーズを用いて、1000rpm〜1500rpm程度で粉砕を行うことが望ましい。
【0045】
(3)噴霧乾燥工程
得られた粉砕物を含むスラリーについて、噴霧乾燥を行い、造粒粉を得る。特に、スプレードライヤを用いることにより、球状の造粒粉を得ることが好ましい。上述の通り、本発明においては、分散剤として、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物、あるいは、アクリル酸系共重合物アミン塩を使用し、より好ましくは、有機バインダとして、PVAを用いることにより、窒化チタン粉末の凝集が阻止され、また、得られる造粒粉における空孔の発生も阻止される。
【0046】
なお、噴霧乾燥時の乾燥温度は、140℃〜200℃の範囲とすることが好ましい。噴霧乾燥には、量産性に優れたディスクを用いたスプレードライヤを用いることが好ましく、ディスク回転数:10000rpm〜15000rpm、スラリー濃度50%以上とすることで、球状の成形性に優れる造粒粉が得られる。乾燥温度を低くすることで、バインダが硬くならず、成形時に近接する粒同士が変形および密着することで、高強度の成形体が得られる。
【0047】
(4)成形工程
噴霧乾燥工程を経て得られた造粒粉をゴム型に充填し、冷間静水圧プレス(CIP)を用いて、98MPa〜294MPaの圧力、より好ましくは196MPa〜294MPaの圧力で、造粒粉を成形する。この際、一軸プレスによる予備成形を実施した後に、CIPを行ってもよい。98MPa〜294MPaの範囲の高圧力でのCIPを行うことで、ホットプレスやHIPの場合と異なり、造粒粉同士が密着されて空孔がなくなり、焼結での密度向上が図ることが可能となる。また、CIPは、生産の安定性に優れ、かつ、形状安定性にも優れる点に利点を有する。成形時における最高圧力の保持時間は、1分〜10分とすることが好ましい。
【0048】
前記条件で成形することで、高強度の成形体が得られ、成形体密度(相対密度)を50%以上とすることができる。ここでいう成形体密度とは、得られた成形体の試験片について体積と質量を測定し、求められた密度の、理論密度に対する理論密度比をいう。成形体密度が、50%より低い場合には、成形体の取扱いが困難になる上、焼結時に成形体の収縮が大きくなり、焼結割れを引き起こす可能性が高くなってしまう。
【0049】
なお、成形工程において、294MPaよりも高い成形圧力で成形することも可能であるが、装置の耐久性を考えると、量産には適しているとはいえない。
【0050】
(5)焼成工程
焼成工程は、加熱炉を用いて行う。焼成工程は、具体的には、有機分の除去工程と粒成長をさせる工程とを含むものであり、大気圧窒素雰囲気中で、1800℃〜2000℃の温度範囲、より好ましくは1900℃〜2000℃の温度範囲で焼成を行う。
【0051】
加熱炉としては、上記の温度域まで加熱できる炉であれば使用できるが、還元雰囲気を実現できるカーボンヒータ炉が望ましい。有機成分を除去する工程は、成形体を500℃〜1000℃の範囲の温度で、1時簡以上、保持することが望ましい。一方、粒成長を十分に行わせるためには、1800℃以上の温度が必要である。また、2000℃を超えても、粒成長は生じ、相対密度の高い焼結体が得られるものの、窒化チタンが分解しやすくなるため、粗大空孔の生成は抑制できず、成膜時にノジュールを発生させる原因となるため、2000℃以下の温度で焼成する必要がある。
【0052】
なお、粒成長を行わせるためには、上記の焼結温度での保持時間を5時間以上とすることが望ましい。粒成長を均一に行わせるためには、昇温速度を20℃/分以下とすることが必要であり、望ましくは3℃/分以上10℃/分以下の昇温速度とする。
【0053】
焼結雰囲気については、窒化チタンの分解が生じにくいように窒素ガス中で加熱することが必要である。湿式処理工程における酸化は、この加熱処理により除くことができる。焼結時の雰囲気は、加圧窒素ガス雰囲気中あるいは大気圧窒素ガス雰囲気中でも粒成長を進められ、焼結を行うことができる。ただし、量産性の観点からは、大気圧窒素ガス雰囲気を採用することが好ましい。
【0054】
(6)加工工程
得られた焼結体を、6inch(152mm)径や、150×150mm角などの適切な大きさに加工し、研磨した後、バッキングプレートにボンディングを行い、スパッタリングターゲットとする。なお、かかる加工は、ダイヤモンド砥粒を用いたホイールおよびミルによる平面研削および端面加工により構成されるが、これらの各工程には公知の加工手段を用いることができる。
【0055】
(7)成膜工程
本発明のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法は制限されることなく、公知のいずれの手段をも用いることができるが、量産性の観点から直流スパッタリング装置を用いた手段を採ることが好ましい。本発明のスパッタリングターゲットは、理論密度比による成形体密度が93%以上と高く、空孔も問題とならない程度であることから、直流スパッタリングを用いても、ノジュールの発生は抑制される。
【0056】
なお、本発明のスパッタリングターゲットを用いて通常のスパッタリング条件でスパッタリングを行った場合、成膜後の膜の組成はスパッタリングターゲットの組成とほぼ一致し、膜中における窒素分析を行うと、TiNxにおいて0.8≦x≦1.0となる。
【0057】
フィルム成膜に対しては、連続成膜が可能なロールコータを用いる。Arガスを用いて、ガス圧0.2Pa〜0.3Paとすることで、投入電力3W/cm2〜22W/cm2で成膜ができる。フィルムへの影響を考慮に入れると、12W/cm2以下であれば、熱負荷が少なく良好である。また、膜へのダメージを少なくしつつ、低抵抗な膜を成膜するためには、7W/cm2〜12W/cm2の範囲とすることが望ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的な説明を行うが、本発明は、実施例に限定されることはない。
【0059】
(実施例1)
平均粒径が1.1μmの窒化チタン粉末(日本新金属株式会社製)を100質量部、分散剤として、アクリル酸メタアクリル酸共重合体アンモニウム中和物(中部サイデン株式会社製)を1.5質量部、有機バインダとして、ポリビニルアルコール(PVA:日本酢ビ・ボパール株式会社製)を1.5質量部、溶媒として水(純水)を100質量部(スラリー濃度:50%)となるようにそれぞれ秤量後、これらすべてを、φ5mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製)とともに、10Lのポリビンに投入し、60rpmの回転数で、ボールミル粉砕を5時間以上行った。得られたスラリーの粘度をB型粘度計(東京計器株式会社製)により測定したところ、50cpsであった。
【0060】
その後、得られたスラリーを、スプレードライヤ(大川原化工機株式会社製)を用いて、150℃の熱風温度で、噴霧乾燥を行い、造粒粉を得た。この造粒粉の形状を光学顕微鏡により確認すると球状であり、その平均粒径は75μmであった。
【0061】
得られた造粒粉を、ゴム型に充填し、静水圧成形装置(株式会社神戸製鋼所製)を用いて、294MPaの成形圧力で、6分のCIP成形を行った。
【0062】
さらに、得られた成形体を、カーボン炉(株式会社ノリタケ・エンジニアリング製)に設置して、真空引き後に窒素ガスを0.1MPaの条件で導入しつつ、昇温速度5℃/分で焼成温度である1800℃まで昇温し、その温度で10時間保持し、その後、冷却速度6℃/分で室温まで冷却して、焼結体を得た。
【0063】
得られた焼結体を、150×150×6mmの大きさに加工した。そのうちの1つをサンプルとして、アルキメデス法により焼結体密度を測定したところ、5.05g/cm3であり、窒化チタンの理論密度(5.43g/cm3)との比である相対密度は93%であった。また、X線光電子分光(XPS)装置により、焼結体の窒素分析を行ったところ、TiNxにおいてx=0.92であった。また、焼結体について、X線回折(XRD)装置により測定を行ったところ、図1に示すとおり、窒化チタン(TiNx)のピークのみが現れ、酸化チタン(TiO2)の発生は見られなかった。さらに、窒化チタン粒の平均粒径を電子顕微鏡を用いて確認したところ、その平均粒径は、10μmであった。
【0064】
その後、表面の研磨を行った加工後の焼結体をバッキングプレートに、ホットプレートを用いてボンディングを行い、スパッタリングターゲットを得た。
【0065】
次に、直流スパッタリング装置(連続式フィルムロールコータ)により、得られたスパッタリングターゲットを用いて、10W/cm2の投入電力、Arガスを導入し、0.3Paの圧力の雰囲気で、直流スパッタリングを施したところ、ノジュール発生による異常放電は、放電開始後10時間までは発生しなかった。また、得られた膜についても、窒素分析を行ったところ、TiNxにおいてx=0.92であった。
【0066】
(実施例2)
焼成工程における焼成温度を1900℃とした以外は、実施例1と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は94%、TiNxにおいてx=0.94、窒化チタン粒の粒径は12μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0067】
(実施例3)
焼成工程における焼成温度を2000℃とした以外は、実施例1と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は95%、TiNxにおいてx=0.93、窒化チタン粒の粒径は15μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0068】
(実施例4)
成形工程における成形圧力を98MPaとした以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は94%、TiNxにおいてx=0.93、窒化チタン粒の粒径は14μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0069】
(実施例5)
原料粉末である窒化チタン粉末をあらかじめ粉砕および分級して、平均粒径を0.6μmとした粉末を用いたこと以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は97%、TiNxにおいてx=0.93、窒化チタン粒の粒径は13μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0070】
(実施例6)
分散剤として、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物の代わりに、アクリル酸系共重合物アミン塩(楠本化成株式会社製、HIPLAAD) を用いたこと以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は96%、TiNxにおいてx=0.92、窒化チタン粒の粒径は15μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0071】
(実施例7)
成形工程における成形圧力を98MPaとした以外は、実施例6と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は94%、TiNxにおいてx=0.94、窒化チタン粒の粒径は14μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生はなく、良好な結果が得られた。
【0072】
(比較例1)
焼成工程における焼成温度を1750℃とした以外は、実施例1と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は92%、TiNxにおいてx=0.93、窒化チタン粒の粒径は3μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。ただし、焼結体中に、粗大空孔が多く存在していることが、焼結体破断面の電子顕微鏡観察を行うことにより確認された。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。
【0073】
(比較例2)
原料粉末である窒化チタン粉末をあらかじめ粉砕および分級して、平均粒径を0.35μmとした粉末を用いたこと以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は92%、TiNxにおいてx=0.90、窒化チタン粒の粒径は16μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。ただし、焼結体中に、粗大空孔が多く存在していることが確認された。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。
【0074】
(比較例3)
原料粉末である窒化チタン粉末をあらかじめ分級して、平均粒径を1.3μmとした粉末を用いたこと以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は91%、TiNxにおいてx=0.93、窒化チタン粒の粒径は12μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。ただし、焼結体中に、粗大空孔が多く存在していることが確認された。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。
【0075】
(比較例4)
成形工程における成形圧力を90MPaとした以外は、実施例3と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は92%、TiNxにおいてx=0.92、窒化チタン粒の粒径は12μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。結晶粒は十分に成長していたものの、焼結体中に、粗大空孔が多く存在していることが確認された。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。
【0076】
(比較例5)
焼成工程における焼成温度を2150℃とした以外は、実施例1と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は92%、TiNxにおいてx=0.89、窒化チタン粒の粒径は25μmであった。また、X線回折測定では酸化チタンの発生は見られなかった。結晶粒は十分に成長していたものの、焼結体中に、粗大空孔が多く存在していることが確認された。同様にスパッタリング成膜を行って、ターゲットを評価したところ、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。
【0077】
(比較例6)
出発原料として、TiH2粉末(平均粒径3μm)とTiN粉末(平均粒径1.2μm)を混合したものを用いたこと、焼結温度1650℃で焼結を5時間行ったこと以外は、実施例1と同じ条件として、スパッタリングターゲットを製造した。得られた焼結体の焼結体密度は95%で、TiNxにおいてx=0.75、窒化チタン粒の粒径は3μmであった。フィルム上へのスパッタリング成膜によるターゲット評価を行った結果、ノジュールの発生が多く、長時間の成膜には適しないことがわかった。また、得られた膜についても、窒素分析を行ったところ、TiNxにおいてx=0.74ときわめて窒素品位が低かった。そこで、スパッタ導入ガス中への窒素ガスを添加するようにしたが、それに伴って、著しく成膜速度が低下した。

【0078】
(実施例8)
分散剤の添加量を0.5質量部としたこと以外は、実施例3と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。成形体密度が低くなる傾向を示したものの、成形工程での割れは発生せず、得られた焼結体の焼結体密度は94%であった。
【0079】
(実施例9)
分散剤の添加量を1.8質量部としたこと以外は、実施例3と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。焼成工程での割れは発生せず、得られた焼結体の焼結体密度は93%であった。
【0080】
(比較例7)
分散剤の添加量を0.4質量部としたこと以外は、成形工程まで実施例1と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。造粒工程においてスラリー粘度の上昇(>100cps)が見られ、球状の造粒粉が得られず、成形工程において成形体に割れが発生した。
【0081】
(比較例8)
分散剤の添加量を2.2質量部としたこと以外は、焼成工程まで実施例1と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。焼成工程における脱バインダの過程で、焼結体に割れが発生した。
【0082】
(実施例10)
ポリビニルアルコール(PVA)の添加量を1.1質量部としたこと以外は、実施例3と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。成形体強度の低下が見られ、欠けがやや発生しやすい傾向が見られたものの、成形工程における成形体の割れは発生せず、得られた焼結体の焼結体密度は95%であった。
【0083】
(実施例11)
ポリビニルアルコール(PVA)の添加量を1.8質量部としたこと以外は、実施例3と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。焼成工程における焼結体の割れは発生せず、得られた焼結体の焼結体密度は93%であった。
【0084】
(比較例9)
ポリビニルアルコール(PVA)の添加量を0.8質量部としたこと以外は、成形工程まで実施例1と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。成形体強度の低下が見られ、成形工程において成形体に割れが発生した。
【0085】
(比較例10)
ポリビニルアルコール(PVA)の添加量を2.2質量部としたこと以外は、焼成工程まで実施例1と同じ条件で、スパッタリングターゲットを製造した。焼成工程における脱バインダの過程で、焼結体に割れが発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム成膜用の窒化チタンスパッタリングターゲットであって、その構成成分は、チタン、窒素、および不可避成分とからなり、その組成比は、一般式:TiNxにおいて0.8≦x≦1.0であり、かつ、理論密度比が93%〜100%の範囲であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
【請求項2】
窒化チタン粒の平均粒径は、5μm以上20μm以下である、請求項1の窒化チタンスパッタリングターゲット。
【請求項3】
(1)出発原料として、平均粒径が0.4μm〜1.2μmの範囲内にある窒化チタン粉末を用いて、
(2)水溶媒中に、該窒化チタン粉末を、アクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物およびアクリル酸系共重合物アミン塩から選択される分散剤とともに、該窒化チタン粉末100質量部に対して、該分散剤が0.5質量部〜2.0質量部となるように、投入して、湿式粉砕し、
(3)得られた粉砕物を噴霧乾燥し、
(4)得られた造粒粉を、98MPa〜294MPaの圧力で成形し、
(5)得られた成形体を、大気圧窒素雰囲気中で、かつ、1800℃〜2000℃の温度で、焼成し、
(6)得られた焼結体を加工する、
という工程を備える、窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項4】
前記湿式粉砕工程において、バインダとして、前記窒化チタン粉末100質量部に対して1.0質量部〜2.0質量部のポリビニルアルコールを、さらに添加する、請求項3に記載の窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項5】
前記噴霧乾燥工程において、スプレードライヤを用いて球状の造粒粉を得る、請求項3に記載の窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項6】
前記焼成工程において、カーボンヒータ炉を用いる、請求項3に記載の窒化チタンスパッタリングターゲットの製造方法。

【図1】
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