窒素酸化物除去触媒、脱硝方法及び脱硝装置
【課題】簡易な構成で脱硝効率が持続することができる窒素酸化物除去触媒、それを用いた脱硝方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る窒素酸化物除去触媒は、二酸化マンガン14と尿素13とを活性炭素繊維11に配置するものであり、特に担持された尿素13に近接状態で置かれていると、MnO2表面において、NOが酸化されて生じたNO2が、近くに存在する尿素13に対してスピルオーバーにより移動でき、直ちに還元して窒素と水とに分解除去される。
【解決手段】本発明に係る窒素酸化物除去触媒は、二酸化マンガン14と尿素13とを活性炭素繊維11に配置するものであり、特に担持された尿素13に近接状態で置かれていると、MnO2表面において、NOが酸化されて生じたNO2が、近くに存在する尿素13に対してスピルオーバーにより移動でき、直ちに還元して窒素と水とに分解除去される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスに含まれる窒素酸化物を効率的に浄化する窒素酸化物除去触媒、それを用いた脱硝方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネル内の換気設備は主として媒塵に起因する明視距離の確保及び一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(以下「NOx」とも記す。)等有害物質の許容値以下への低減を目的に設置されている。現状の換気方式は新鮮な外気をトンネル外から吸気し、必要に応じて媒塵を除去後、トンネル外に強制換気する方式が一般的に用いられている。しかし、この方式は有害物質を含む換気ガスを大気に拡散しているだけであり、根本的な環境改善になっていない。特に自動車排ガスによる大気汚染が深刻になっている都市部では、高度の汚染地域を拡大させることになり、道路計画におけるトンネル化、シェルタ設置に支障を来す場合がある。そこで省エネルギで周辺環境への影響がない新たな換気方式の開発が望まれている。
【0003】
しかし、トンネル換気ガスは常温・大容量でNOx濃度は10ppm以下と希薄であり、交通量によってNOx濃度変動が激しいという特異性があるため、ボイラ燃焼排ガスの処理において既に実用化されているNH3 を還元剤とするNOx浄化方法を、そのまま適用することは不可能である。
【0004】
そこで低濃度のNOx浄化方法として、乾式法及び湿式法が種々提案されているが、湿式法は廃水処理装置が必要とするために実用化が困難である。また、乾式法としては(1)汚染空気に金属酸化物などの吸着剤にNOxを吸着させる吸着法、(2)汚染空気にNH3 を添加して電子線を照射してNOxやSOxを硝酸や硫酸ミストとし、NH3 との反応で硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよびこの両者の複塩などの微粒子を電気集塵機などにより回収する電子線照射法などがある。
ただし、(2)の電子線照射法では大容量汚染空気に10ppm以下と微量に含まれるNOxとの反応に必要となる当量の微量のNH3 を均一に混合することが難しく、未反応のNH3 の外部流出など2次公害のおそれがある(非特許文献1)。
【0005】
一般に、トンネル排気ガス中のNOxではNOが8〜9割、NO2 が1〜2割存在しており、(1)の方法にてNOを効率的に吸着する吸着剤として、本出願人は貴金属(Pt,Pd,Ru,Rh,Ir)を担持した吸着剤を提案している(特許文献1)。
【0006】
ただし、大容量のトンネル排ガス処理に適用するためには大量のNO吸着剤が必要であり、貴金属の適用は吸着剤の高騰及び資源の枯渇をもたらすため、経済的に成立しないと考えられる。
【0007】
このため、低濃度の窒素酸化物を含む汚染空気を常温で吸着剤により吸着除去して清浄ガスを大気中に放出し、窒素酸化物中のNO2をNO2吸着塔で吸着すると共にNOをNO吸着塔で吸着し、その後ガス導入及び排出バルブを閉鎖すると共に、他方のバルブを開放し、上記吸着塔を加熱手段により加熱して窒素酸化物を脱着し、濃縮された窒素酸化物を含む脱着ガスに対し、アンモニアを添加して脱硝触媒により窒素に分解することで、窒素酸化物が除去されることを先に提案した(特許文献2)。
【0008】
また、多孔質担体にモリホリン等のアミン類を担持させた窒素酸化物除去剤の提案がある(特許文献3)。
【0009】
そこで、本発明者等は、尿素と炭素材料とからなる窒素酸化物除去触媒を提案した(特許文献4)。
【0010】
また、本発明者等は、尿素と光触媒とからなる窒素酸化物除去触媒を提案した(特許文献5)。
【0011】
【非特許文献1】産業公害防止協会編:"自動車排ガスの処理技術に関する調査研究"(日本道路公団委託)昭和59年3月、49頁
【特許文献1】特開平5−31357号公報
【特許文献2】特開平8−299756号公報
【特許文献3】特開平9−262430号公報
【特許文献4】特開2004−322004号公報
【特許文献5】特開2006−231171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2のような提案では、窒素酸化物の吸着手段である吸着塔と該吸着塔で吸着された窒素酸化物を脱着するために、高温にする加熱手段が必要であるとともに、その脱着においては、汚染空気の処理を停止する必要があり、連続して窒素酸化物を処理することができない、という問題がある。
【0013】
また、特許文献3のような提案では、モルホリンは爆発限界があるので、危険物に指定されており、交差点等における脱硝処理設備用としては不向きであるという、問題がある。また、特許文献3の提案においては、除去剤の脱硝作用は水分共存下での吸着・吸収作用であり、数時間程度しか脱硝効果が持続しないので、産業用の脱硝設備として長時間連続して脱硝効果を保持することに適していないし、吸収物の処理が必要となる、という問題がある。
【0014】
また、特許文献4のような提案では、脱硝率が80〜90%程度であり、更なる脱硝率の向上が求められている。すなわち、NOの脱硝率が100%とすることは、極めて困難である。また、この提案では、NO濃度が薄くなるに従って、NO除去効率は低下する傾向にあり、さらに高い脱硝率を有する窒素酸化物除去触媒の出現が求められている。
【0015】
また、特許文献5のような提案では、別途光触媒を活性化する光照射設備が必要となり、簡易な構成でしかも高い脱硝率を有する窒素酸化物除去触媒の出現が求められている。
また、光を用いなければならないので、光の使用が困難な場所(例えば、光の使用が禁じられている暗室とか、どうしてもハニカム構造を使用しなければならない場合)などには使用が困難となる。
【0016】
また、近年の環境排ガス規制が高まり、ボイラ等の排煙処理装置等の産業設備からの排ガスにおいては、既存のアンモニア脱硝によって低濃度化された窒素酸化物濃度をさらに浄化することが望まれており、このために、既設の設備に付帯する簡易でしかも効率的な処理装置の出現が切望されている。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑み、簡易な構成で脱硝効率が持続することができる窒素酸化物除去触媒、それを用いた脱硝方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝することを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、二酸化マンガンの下流側に尿素を保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0020】
第3の発明は、第1の発明において、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0021】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、尿素が担体に担持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0022】
第5の発明は、第4の発明において、担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンを5〜30倍添加してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0023】
第6の発明は、第4又は5の発明において、前記担体が、活性炭、活性炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラス及び石英ウールのいずれか、或いはそれらを2つ以上組み合わせた複合体であることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0024】
第7の発明は、第6の発明において、上記活性炭素繊維が不活性ガス雰囲気下高温熱処理してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0025】
第8の発明は、第1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を脱硝することを特徴とする脱硝方法にある。
【0026】
第9の発明は、第1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を有する窒素酸化物浄化部と、上記窒素酸化物浄化部の前流側に煤塵除去手段と、上記窒素酸化物浄化部の前流側又は後流側に脱硫手段とを設けたことを特徴とする脱硝装置にある。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、上記窒素酸化物を含むガスが、道路、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスのいずれかであることを特徴とする脱硝装置にある。
【発明の効果】
【0028】
脱硝効率を持続できるガス中の窒素酸化物除去触媒、脱硝方法及び脱硝装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0030】
[発明の実施形態]
図1は本発明にかかる窒素酸化物除去触媒の模式図である。図1に示すように、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒は、担体として用いた例えば活性炭素繊維(ACF)11に尿素13及び二酸化マンガン(MnO2)を担持させ、ガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝するものである。
【0031】
すなわち、本発明では、尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝するものである。また、好ましくは二酸化マンガンの上流側に尿素を保持することが好ましい。さらに、二酸化マンガンと尿素とを同時に担持することが好ましい。
【0032】
これは、二酸化マンガンを上流に、尿素を下流に配置することで、スピルオーバー効果が期待できないことから、二酸化マンガンの活性は、近接して配置するものと較べて低くなるが脱硝効果を有する。なお、尿素は減少した分は補充する必要がある。
【0033】
さらに、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で配置する場合には、高活性となり好ましいものとなる。なお、NOをNO2に転換するのに十分な二酸化マンガンの量が必要となる。
【0034】
二酸化マンガンの量によって、NOからNO2への酸化を促進することができ、尿素と反応して脱硝される。この際、スピルオーバー効果によって二酸化マンガンの活性が向上することとなる。
【0035】
ここで、前記尿素11は、例えば活性炭素繊維(ACF)等の担体に担持されていることが好ましい。なお、担体としては、前記活性炭素繊維とするのが酸化能力を発揮し、より好ましい。また、前記担体として活性炭素繊維以外には、例えば石英ウール、活性炭、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラスを挙げることができ、これらを組あせたものとしてもよい。
【0036】
前記担体に尿素及び二酸化マンガンを担持させる方法としては、例えば尿素の水溶液中に担体を浸漬させ、その後乾燥し、次いで、二酸化マンガンの粉末を均一に付着させる方法や、尿素を担持した担体を用いて、二酸化マンガンが分散された分散液に浸漬する方法等があるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
また、前述したように、尿素と二酸化マンガンとは近接状態で保持することが好ましい。すなわち、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持する場合には、図2に示すように、二酸化マンガン14が、活性炭素繊維11に担持された尿素13に近接状態で置かれていると、図2の上段に示すように、MnO2表面において、NOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる相手すなわち尿素が緊密状態で存在しているので、図2の下段に示すように、直ちに還元して窒素と水とに分解除去されることとなり、好ましいからである。
【0038】
この尿素と二酸化マンガンとの近接状態における脱硝のメカニズムを以下に詳述する。
NOは先ず、二酸化マンガン(MnO2)の触媒作用で次の式(1)ようにNO2へ酸化される。
NO+1/2O2+(MnO2)→ NO2+(MnO2)…(1)
MnO2表面に生じたNO2は、近接している尿素13の表面(活性)へスピルオーバーして、そこで尿素と、例えば、次の式(2)ように反応(還元)するものと考えられる。
NO2+NO+CO(NH2)2→2N2↑+CO2↑+2H2O↑…(2)
【0039】
一方、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持しない場合、例えば図3に示すように、二酸化マンガン14の層が、尿素13を担持した活性炭素繊維11の層の前に別に置かれている場合には、MnO2表面で、NOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる相手すなわち尿素が存在しないので、そのままNO2がMnO2表面に留まることになり、還元処理されることができなくなるので、近接状態で処理するのが好ましいものとなる。
【0040】
また、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持するためには、後述する実施例に示すように、細孔径を6nm以下、好ましくは、4nm以下、更に好ましくは3nm以下にするのがよい。
【0041】
また、図2に示すように、担体として活性炭素繊維(ACF)11を用いる場合には、活性炭素繊維11の表面のミクロポアが直接開孔しているところに尿素(CO(NH2)2)が担持活性化され、尿素13と活性炭素繊維11との相互作用が生じているところにおいて、窒素酸化物のNOが活性炭素繊維の表面で酸素の存在の下で、尿素と反応してN2に還元される。または、NOはNO2に酸化されて尿素と反応してN2に還元される。一方、ガス中に存在するNO2は、直接尿素と反応してN2に還元されることとなる。
【0042】
ここで、尿素の担体への担持量は、4.5重量%以上、好ましくは10〜40重量%以上とするのがよい。これは、4.5重量%未満では脱硝効果が良好ではないからである。
一方、尿素の担持量の上限は特に限定されるものではなく、担持量が多いほど脱硝持続時間が延びるが、あまり多いと活性炭素繊維の表面を被覆する結果、酸化反応(NO→NO2)を阻害することとなるので、40重量%程度とすればよい。
【0043】
また、二酸化マンガンの配合量としては、前記担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンは約5〜30倍の配合量とすることが好ましい。
これは、5倍未満では脱硝持続時間が短く、好ましくないからである。また、30倍を超える場合には、さらなる効果が発現されないからである。
【0044】
また、上記活性炭素繊維は、その酸化活性機能を向上させるように、当該活性炭素繊維を不活性ガス雰囲気下で高温熱処理することが好ましい。この高温加熱処理により、活性炭素繊維の表面に存在する親水性の酸素官能基の一部ないし全部をCO、CO2として除去し、NOの酸化活性点、尿素活性点が増加し、熱処理前に較べて疎水性の高い表面とするようにしている。この結果、NOの酸化活性点への接近が容易に起こり、NO2への酸化速度と尿素による還元速度とが向上する。
【0045】
ここで、活性炭素繊維の高温処理温度としては、炭素材料により異なるが、例えば600〜1300℃程度とするのが好ましい。これは600℃未満では熱処理効果が発現せず、一方、1300℃を超えて熱処理しても更なる効果が発現しないからである。
【0046】
ここで、本発明の触媒層で用いる活性炭素繊維の一例及びその製造例の一例を下記に示す。
本発明で用いられる活性炭素繊維としては、例えばピッチ系活性炭素繊維、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、フェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記触媒作用を奏する活性炭素繊維であれば何等限定されるものではない。
【0047】
具体的の製造例を下記に示す。
(製造例1)
ピッチ系活性炭素繊維(「OG−15A」,アドール(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で900〜1200℃の温度範囲で1時間焼成する。
(製造例2)
ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維(「FE−300」,東邦リナックス(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度範囲で1時間焼成する。
(製造例3)
フェノール系活性炭素繊維(「クラクティブ−20」,クラレケミカル(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で900〜1200℃の温度範囲で1時間焼成する。
【0048】
ここで、酸化剤として二酸化マンガンを用いるのは以下の理由による。
例えば「オゾン酸化手段」の場合には、大気中のNOの自然酸化がオゾンによることが大きいように、きわめて効率のよい手段と考えられるが、オゾンは人畜に対して有害である、その除去も大変困難であるので好ましくはない。
また、「過酸化水素水酸化手段」の場合には、NO酸化手段としては効率のよい方法であるが、NOガスを水溶液中に導入する必要がある。そのため、加湿することが必須になり、後で除湿しなければならないので、装置構成が煩雑となり好ましくはない。
【0049】
また、酸化剤として例えば「過マンガン酸カリウム酸化手段」を用いる場合には、後述する比較例に示すように、過マンガン酸カリウムを粉砕して、NOと反応させようとしても全く活性が認められず、好ましくはない。また、「重クロム酸カリウム酸化手段」についても、同様に、活性は認められなかった。さらに、過マンガン酸カリウムを(尿素を担持した活性炭素繊維(ACF)と接触させてNOの酸化除去反応を行うことは、爆発の恐れがあり、極めて危険であり、好ましくはない。
ここで、二酸化マンガンは、そのもの自体でも、100%NOを酸化除去することができるが、本発明のように更に尿素を近接状態で配置させることにより、スピルオーバー効果によって100%の完全NO酸化除去の時間時間が大幅に延長されることとなる。
【0050】
次に、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒を用いた脱硝装置の一例を示す。
本実施形態にかかる脱硝装置は、窒素酸化物除去触媒を脱硝容器内に充填してなる窒素酸化物浄化部からなるものであり、導入されるガス中の窒素酸化物を効率良く脱硝するものである。
【0051】
前記窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を還元処理することができる。
さらに、本実施の形態では、脱硝装置の前流側又は後流側に脱硫手段を設け、脱硝と脱硫とを同時に行うようにしてもよい。これにより、ガス中の窒素酸化物(NOx)のみならず硫黄酸化物(SOx)も効率よく浄化することができる。
また、煤塵を除去する煤塵除去装置を設けるようにしてもよい。
【0052】
このような脱硝装置を、例えば道路(一般道路及び高速道路)、交差点などの地面又は地下に設置し、当該交差点近傍を浄化することができる。
【0053】
この排ガス処理設備によれば、交差点付近で浮遊する車両からの排ガス中に含まれる多量の窒素酸化物を効率よくしかも連続して脱硝することができる。また、脱硝は常温で行うことができるので、消費電力は極わずかで済むこととなる。
【0054】
なお、本発明にかかる脱硝装置は、上述した道路、交差点におけるガスの浄化にとどまらず、交差点以外には、例えば、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガス中の窒素酸化物を効率的に脱硝することができる。
【0055】
本発明によれば、尿素と二酸化マンガンとは近接状態で存在させると共に、NOの酸化触媒として二酸化マンガン(MnO2)を用いるので、光を必要としない、簡易な構成となる。
【0056】
また、二酸化マンガン(MnO2)それ自体にNOの酸化触媒能があると共に、二酸化マンガン(MnO2)によってNOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる尿素が緊密状態で存在しているので、直ちに還元して窒素と水とに分解除去され、脱硝効率が100%であると共にその効果が長期間持続することとなり、好ましいものとなる。
【0057】
このようなことは、他の金属塩(Fe2O3α、CoOII、Co3O4II III、CuO、NiO、Ni2O3、ZrO、KMnO4、K2Cr2O7等)では、見出すことはできない。
【0058】
しかも、この二酸化マンガン(MnO2)上では、NOが低濃度になるほどNOが100%除去能は長時間持続することとなり、二酸化マンガン(MnO2)によるNOの酸化反応に、さらに、近接する尿素、及び活性炭素繊維(ACF)等 による還元作用を併用し、NOの100%除去時間延長を可能にしたものである。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の効果を示す実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
<実施例1>
本実施例1においては、活性炭素繊維(ACF:OG−15A−H1100)0.5gに尿素を0.19g担持(尿素/ACF37.6%)したものに対し、粉体状の二酸化マンガンを3gと付着させ、これを円筒管内に設置し、模擬ガスとしてNOを500ppm供給(流速:100ml/分)した。なお、酸素は21%とし窒素をバランスとした。また、温度は30℃、湿度は0%とした。
円筒管の他端から排出されるガス中のNO濃度を測定した。
用いた活性炭素繊維はピッチ系(繊維径:16〜20μm)「OG−15A」(製品名:アドール社製)であり、製造において、高温(1100℃)で熱処理したものである。
なお、本実施例では二酸化マンガンの尿素に対する配合量は、15.8倍(=二酸化マンガン(3g)/尿素(0.19))とした。
【0061】
<実施例2>
本実施例2においては、NOの供給量を250ppmとした。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図4に示す。
【0062】
図4及び5の結果より、実施例1では30時間もの間、実施例2ではその倍の60時間もの間、NOの脱硝率が100%を維持することができた。
【0063】
<実施例3>
本実施例1においては、二酸化マンガンの尿素に対する配合量を6倍(=二酸化マンガン(3g)/尿素(0.5))とした。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図6に示す。
【0064】
図6の結果より、実施例3では40時間もの間、NOの脱硝率が100%を維持することができた。
【0065】
<比較例1〜4>
比較例1として実施例1において尿素を担持しない場合を試験した。
比較例2として二酸化マンガンの尿素に対する配合量を2倍(=二酸化マンガン(1g)/尿素(0.5))とした場合を試験した。
比較例3として、酸化剤として重クロム酸カリウム(2g)のNOとの活性の有無を試験した。
比較例4として、酸化剤として過マンガン酸カリウム(1.5g)のNOとの活性の有無を試験した。
【0066】
これらの結果を図7乃至図10に示す。
比較例1の尿素を担持しない場合には、図7に示すように7時間程度しか100%脱硝を継続することができなかった。
また、比較例2の二酸化マンガンの尿素に対する配合量を2倍の場合には、図8に示すように、7時間しか100%脱硝をすることができなかった。
また、比較例3及び4のように、酸化剤として重クロム酸カリウム(2g)や過マンガン酸カリウムを用いた場合には、図9及び図10に示すように、NO除去活性がほとんどみられなかった。
【0067】
<実施例4>
本実施例4においては、担体としてシリカゲル3gを用い、細孔径2nmのものに尿素を0.25g担持した(実4−1)。同様に、細孔径3nmのものに尿素を0.23g担持した(実4−2)、細孔径4nmのものに尿素を0.29g担持した(実4−3)、細孔径6nm(実4−4)、細孔径15nmのものに尿素を0.32g担持した(比5)。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図11に示す。
【0068】
図12の結果より、細孔径は小さいほど(特に、3nm以下)、100%の完全脱硝時間が持続することが判明した。
【0069】
<実施例5>
本実施例5においては、湿度0%(実5−1)、30%(実5−2)、50%(比6−1)、100%(比6−2)との関係を確認した。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図12に示す。
【0070】
図12の結果より、湿度が低い場合には100%脱硝時間が持続することが判明した。
【0071】
実施例では、供給NO濃度を500ppmを主として用いたが、実施例1と同じ様な条件下[MnO2:3g、尿素(0.25g)/ACF(0.5g)]で、NO濃度だけを、例えば、50ppm、10ppm、1ppmと下げて行くと、NOの100%除去持続時間は、計算上、それぞれ、約4週間、約20週間、約3.9年となることが推定される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒は、ガス中の窒素酸化物を効率よく除去するので、脱硝効率が向上すると共に、常温において反応するので、脱硝設備の消費電力の低減を図ることができ、例えば交差点などのようなところに設置して環境汚染を防止することに用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態にかかる窒素酸化物除去触媒の模式図である。
【図2】本実施形態にかかる他の窒素酸化物除去触媒の模式図である。
【図3】他の窒素酸化物除去触媒の形態の模式図である。
【図4】実施例1の脱硝結果を示すグラフである。
【図5】実施例2の脱硝結果を示すグラフである。
【図6】実施例3の脱硝結果を示すグラフである。
【図7】比較例1の脱硝結果を示すグラフである。
【図8】比較例2の脱硝結果を示すグラフである。
【図9】比較例3の脱硝結果を示すグラフである。
【図10】比較例4の脱硝結果を示すグラフである。
【図11】実施例4の脱硝結果を示すグラフである。
【図12】実施例5の脱硝結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0074】
11 活性炭素繊維
12 細孔
13 光触媒
14 二酸化マンガン
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスに含まれる窒素酸化物を効率的に浄化する窒素酸化物除去触媒、それを用いた脱硝方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネル内の換気設備は主として媒塵に起因する明視距離の確保及び一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(以下「NOx」とも記す。)等有害物質の許容値以下への低減を目的に設置されている。現状の換気方式は新鮮な外気をトンネル外から吸気し、必要に応じて媒塵を除去後、トンネル外に強制換気する方式が一般的に用いられている。しかし、この方式は有害物質を含む換気ガスを大気に拡散しているだけであり、根本的な環境改善になっていない。特に自動車排ガスによる大気汚染が深刻になっている都市部では、高度の汚染地域を拡大させることになり、道路計画におけるトンネル化、シェルタ設置に支障を来す場合がある。そこで省エネルギで周辺環境への影響がない新たな換気方式の開発が望まれている。
【0003】
しかし、トンネル換気ガスは常温・大容量でNOx濃度は10ppm以下と希薄であり、交通量によってNOx濃度変動が激しいという特異性があるため、ボイラ燃焼排ガスの処理において既に実用化されているNH3 を還元剤とするNOx浄化方法を、そのまま適用することは不可能である。
【0004】
そこで低濃度のNOx浄化方法として、乾式法及び湿式法が種々提案されているが、湿式法は廃水処理装置が必要とするために実用化が困難である。また、乾式法としては(1)汚染空気に金属酸化物などの吸着剤にNOxを吸着させる吸着法、(2)汚染空気にNH3 を添加して電子線を照射してNOxやSOxを硝酸や硫酸ミストとし、NH3 との反応で硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよびこの両者の複塩などの微粒子を電気集塵機などにより回収する電子線照射法などがある。
ただし、(2)の電子線照射法では大容量汚染空気に10ppm以下と微量に含まれるNOxとの反応に必要となる当量の微量のNH3 を均一に混合することが難しく、未反応のNH3 の外部流出など2次公害のおそれがある(非特許文献1)。
【0005】
一般に、トンネル排気ガス中のNOxではNOが8〜9割、NO2 が1〜2割存在しており、(1)の方法にてNOを効率的に吸着する吸着剤として、本出願人は貴金属(Pt,Pd,Ru,Rh,Ir)を担持した吸着剤を提案している(特許文献1)。
【0006】
ただし、大容量のトンネル排ガス処理に適用するためには大量のNO吸着剤が必要であり、貴金属の適用は吸着剤の高騰及び資源の枯渇をもたらすため、経済的に成立しないと考えられる。
【0007】
このため、低濃度の窒素酸化物を含む汚染空気を常温で吸着剤により吸着除去して清浄ガスを大気中に放出し、窒素酸化物中のNO2をNO2吸着塔で吸着すると共にNOをNO吸着塔で吸着し、その後ガス導入及び排出バルブを閉鎖すると共に、他方のバルブを開放し、上記吸着塔を加熱手段により加熱して窒素酸化物を脱着し、濃縮された窒素酸化物を含む脱着ガスに対し、アンモニアを添加して脱硝触媒により窒素に分解することで、窒素酸化物が除去されることを先に提案した(特許文献2)。
【0008】
また、多孔質担体にモリホリン等のアミン類を担持させた窒素酸化物除去剤の提案がある(特許文献3)。
【0009】
そこで、本発明者等は、尿素と炭素材料とからなる窒素酸化物除去触媒を提案した(特許文献4)。
【0010】
また、本発明者等は、尿素と光触媒とからなる窒素酸化物除去触媒を提案した(特許文献5)。
【0011】
【非特許文献1】産業公害防止協会編:"自動車排ガスの処理技術に関する調査研究"(日本道路公団委託)昭和59年3月、49頁
【特許文献1】特開平5−31357号公報
【特許文献2】特開平8−299756号公報
【特許文献3】特開平9−262430号公報
【特許文献4】特開2004−322004号公報
【特許文献5】特開2006−231171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2のような提案では、窒素酸化物の吸着手段である吸着塔と該吸着塔で吸着された窒素酸化物を脱着するために、高温にする加熱手段が必要であるとともに、その脱着においては、汚染空気の処理を停止する必要があり、連続して窒素酸化物を処理することができない、という問題がある。
【0013】
また、特許文献3のような提案では、モルホリンは爆発限界があるので、危険物に指定されており、交差点等における脱硝処理設備用としては不向きであるという、問題がある。また、特許文献3の提案においては、除去剤の脱硝作用は水分共存下での吸着・吸収作用であり、数時間程度しか脱硝効果が持続しないので、産業用の脱硝設備として長時間連続して脱硝効果を保持することに適していないし、吸収物の処理が必要となる、という問題がある。
【0014】
また、特許文献4のような提案では、脱硝率が80〜90%程度であり、更なる脱硝率の向上が求められている。すなわち、NOの脱硝率が100%とすることは、極めて困難である。また、この提案では、NO濃度が薄くなるに従って、NO除去効率は低下する傾向にあり、さらに高い脱硝率を有する窒素酸化物除去触媒の出現が求められている。
【0015】
また、特許文献5のような提案では、別途光触媒を活性化する光照射設備が必要となり、簡易な構成でしかも高い脱硝率を有する窒素酸化物除去触媒の出現が求められている。
また、光を用いなければならないので、光の使用が困難な場所(例えば、光の使用が禁じられている暗室とか、どうしてもハニカム構造を使用しなければならない場合)などには使用が困難となる。
【0016】
また、近年の環境排ガス規制が高まり、ボイラ等の排煙処理装置等の産業設備からの排ガスにおいては、既存のアンモニア脱硝によって低濃度化された窒素酸化物濃度をさらに浄化することが望まれており、このために、既設の設備に付帯する簡易でしかも効率的な処理装置の出現が切望されている。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑み、簡易な構成で脱硝効率が持続することができる窒素酸化物除去触媒、それを用いた脱硝方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝することを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、二酸化マンガンの下流側に尿素を保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0020】
第3の発明は、第1の発明において、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0021】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、尿素が担体に担持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0022】
第5の発明は、第4の発明において、担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンを5〜30倍添加してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0023】
第6の発明は、第4又は5の発明において、前記担体が、活性炭、活性炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラス及び石英ウールのいずれか、或いはそれらを2つ以上組み合わせた複合体であることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0024】
第7の発明は、第6の発明において、上記活性炭素繊維が不活性ガス雰囲気下高温熱処理してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒にある。
【0025】
第8の発明は、第1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を脱硝することを特徴とする脱硝方法にある。
【0026】
第9の発明は、第1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を有する窒素酸化物浄化部と、上記窒素酸化物浄化部の前流側に煤塵除去手段と、上記窒素酸化物浄化部の前流側又は後流側に脱硫手段とを設けたことを特徴とする脱硝装置にある。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、上記窒素酸化物を含むガスが、道路、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスのいずれかであることを特徴とする脱硝装置にある。
【発明の効果】
【0028】
脱硝効率を持続できるガス中の窒素酸化物除去触媒、脱硝方法及び脱硝装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0030】
[発明の実施形態]
図1は本発明にかかる窒素酸化物除去触媒の模式図である。図1に示すように、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒は、担体として用いた例えば活性炭素繊維(ACF)11に尿素13及び二酸化マンガン(MnO2)を担持させ、ガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝するものである。
【0031】
すなわち、本発明では、尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝するものである。また、好ましくは二酸化マンガンの上流側に尿素を保持することが好ましい。さらに、二酸化マンガンと尿素とを同時に担持することが好ましい。
【0032】
これは、二酸化マンガンを上流に、尿素を下流に配置することで、スピルオーバー効果が期待できないことから、二酸化マンガンの活性は、近接して配置するものと較べて低くなるが脱硝効果を有する。なお、尿素は減少した分は補充する必要がある。
【0033】
さらに、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で配置する場合には、高活性となり好ましいものとなる。なお、NOをNO2に転換するのに十分な二酸化マンガンの量が必要となる。
【0034】
二酸化マンガンの量によって、NOからNO2への酸化を促進することができ、尿素と反応して脱硝される。この際、スピルオーバー効果によって二酸化マンガンの活性が向上することとなる。
【0035】
ここで、前記尿素11は、例えば活性炭素繊維(ACF)等の担体に担持されていることが好ましい。なお、担体としては、前記活性炭素繊維とするのが酸化能力を発揮し、より好ましい。また、前記担体として活性炭素繊維以外には、例えば石英ウール、活性炭、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラスを挙げることができ、これらを組あせたものとしてもよい。
【0036】
前記担体に尿素及び二酸化マンガンを担持させる方法としては、例えば尿素の水溶液中に担体を浸漬させ、その後乾燥し、次いで、二酸化マンガンの粉末を均一に付着させる方法や、尿素を担持した担体を用いて、二酸化マンガンが分散された分散液に浸漬する方法等があるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
また、前述したように、尿素と二酸化マンガンとは近接状態で保持することが好ましい。すなわち、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持する場合には、図2に示すように、二酸化マンガン14が、活性炭素繊維11に担持された尿素13に近接状態で置かれていると、図2の上段に示すように、MnO2表面において、NOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる相手すなわち尿素が緊密状態で存在しているので、図2の下段に示すように、直ちに還元して窒素と水とに分解除去されることとなり、好ましいからである。
【0038】
この尿素と二酸化マンガンとの近接状態における脱硝のメカニズムを以下に詳述する。
NOは先ず、二酸化マンガン(MnO2)の触媒作用で次の式(1)ようにNO2へ酸化される。
NO+1/2O2+(MnO2)→ NO2+(MnO2)…(1)
MnO2表面に生じたNO2は、近接している尿素13の表面(活性)へスピルオーバーして、そこで尿素と、例えば、次の式(2)ように反応(還元)するものと考えられる。
NO2+NO+CO(NH2)2→2N2↑+CO2↑+2H2O↑…(2)
【0039】
一方、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持しない場合、例えば図3に示すように、二酸化マンガン14の層が、尿素13を担持した活性炭素繊維11の層の前に別に置かれている場合には、MnO2表面で、NOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる相手すなわち尿素が存在しないので、そのままNO2がMnO2表面に留まることになり、還元処理されることができなくなるので、近接状態で処理するのが好ましいものとなる。
【0040】
また、尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持するためには、後述する実施例に示すように、細孔径を6nm以下、好ましくは、4nm以下、更に好ましくは3nm以下にするのがよい。
【0041】
また、図2に示すように、担体として活性炭素繊維(ACF)11を用いる場合には、活性炭素繊維11の表面のミクロポアが直接開孔しているところに尿素(CO(NH2)2)が担持活性化され、尿素13と活性炭素繊維11との相互作用が生じているところにおいて、窒素酸化物のNOが活性炭素繊維の表面で酸素の存在の下で、尿素と反応してN2に還元される。または、NOはNO2に酸化されて尿素と反応してN2に還元される。一方、ガス中に存在するNO2は、直接尿素と反応してN2に還元されることとなる。
【0042】
ここで、尿素の担体への担持量は、4.5重量%以上、好ましくは10〜40重量%以上とするのがよい。これは、4.5重量%未満では脱硝効果が良好ではないからである。
一方、尿素の担持量の上限は特に限定されるものではなく、担持量が多いほど脱硝持続時間が延びるが、あまり多いと活性炭素繊維の表面を被覆する結果、酸化反応(NO→NO2)を阻害することとなるので、40重量%程度とすればよい。
【0043】
また、二酸化マンガンの配合量としては、前記担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンは約5〜30倍の配合量とすることが好ましい。
これは、5倍未満では脱硝持続時間が短く、好ましくないからである。また、30倍を超える場合には、さらなる効果が発現されないからである。
【0044】
また、上記活性炭素繊維は、その酸化活性機能を向上させるように、当該活性炭素繊維を不活性ガス雰囲気下で高温熱処理することが好ましい。この高温加熱処理により、活性炭素繊維の表面に存在する親水性の酸素官能基の一部ないし全部をCO、CO2として除去し、NOの酸化活性点、尿素活性点が増加し、熱処理前に較べて疎水性の高い表面とするようにしている。この結果、NOの酸化活性点への接近が容易に起こり、NO2への酸化速度と尿素による還元速度とが向上する。
【0045】
ここで、活性炭素繊維の高温処理温度としては、炭素材料により異なるが、例えば600〜1300℃程度とするのが好ましい。これは600℃未満では熱処理効果が発現せず、一方、1300℃を超えて熱処理しても更なる効果が発現しないからである。
【0046】
ここで、本発明の触媒層で用いる活性炭素繊維の一例及びその製造例の一例を下記に示す。
本発明で用いられる活性炭素繊維としては、例えばピッチ系活性炭素繊維、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、フェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記触媒作用を奏する活性炭素繊維であれば何等限定されるものではない。
【0047】
具体的の製造例を下記に示す。
(製造例1)
ピッチ系活性炭素繊維(「OG−15A」,アドール(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で900〜1200℃の温度範囲で1時間焼成する。
(製造例2)
ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維(「FE−300」,東邦リナックス(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度範囲で1時間焼成する。
(製造例3)
フェノール系活性炭素繊維(「クラクティブ−20」,クラレケミカル(株)製)を用い,これを窒素雰囲気中で900〜1200℃の温度範囲で1時間焼成する。
【0048】
ここで、酸化剤として二酸化マンガンを用いるのは以下の理由による。
例えば「オゾン酸化手段」の場合には、大気中のNOの自然酸化がオゾンによることが大きいように、きわめて効率のよい手段と考えられるが、オゾンは人畜に対して有害である、その除去も大変困難であるので好ましくはない。
また、「過酸化水素水酸化手段」の場合には、NO酸化手段としては効率のよい方法であるが、NOガスを水溶液中に導入する必要がある。そのため、加湿することが必須になり、後で除湿しなければならないので、装置構成が煩雑となり好ましくはない。
【0049】
また、酸化剤として例えば「過マンガン酸カリウム酸化手段」を用いる場合には、後述する比較例に示すように、過マンガン酸カリウムを粉砕して、NOと反応させようとしても全く活性が認められず、好ましくはない。また、「重クロム酸カリウム酸化手段」についても、同様に、活性は認められなかった。さらに、過マンガン酸カリウムを(尿素を担持した活性炭素繊維(ACF)と接触させてNOの酸化除去反応を行うことは、爆発の恐れがあり、極めて危険であり、好ましくはない。
ここで、二酸化マンガンは、そのもの自体でも、100%NOを酸化除去することができるが、本発明のように更に尿素を近接状態で配置させることにより、スピルオーバー効果によって100%の完全NO酸化除去の時間時間が大幅に延長されることとなる。
【0050】
次に、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒を用いた脱硝装置の一例を示す。
本実施形態にかかる脱硝装置は、窒素酸化物除去触媒を脱硝容器内に充填してなる窒素酸化物浄化部からなるものであり、導入されるガス中の窒素酸化物を効率良く脱硝するものである。
【0051】
前記窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を還元処理することができる。
さらに、本実施の形態では、脱硝装置の前流側又は後流側に脱硫手段を設け、脱硝と脱硫とを同時に行うようにしてもよい。これにより、ガス中の窒素酸化物(NOx)のみならず硫黄酸化物(SOx)も効率よく浄化することができる。
また、煤塵を除去する煤塵除去装置を設けるようにしてもよい。
【0052】
このような脱硝装置を、例えば道路(一般道路及び高速道路)、交差点などの地面又は地下に設置し、当該交差点近傍を浄化することができる。
【0053】
この排ガス処理設備によれば、交差点付近で浮遊する車両からの排ガス中に含まれる多量の窒素酸化物を効率よくしかも連続して脱硝することができる。また、脱硝は常温で行うことができるので、消費電力は極わずかで済むこととなる。
【0054】
なお、本発明にかかる脱硝装置は、上述した道路、交差点におけるガスの浄化にとどまらず、交差点以外には、例えば、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガス中の窒素酸化物を効率的に脱硝することができる。
【0055】
本発明によれば、尿素と二酸化マンガンとは近接状態で存在させると共に、NOの酸化触媒として二酸化マンガン(MnO2)を用いるので、光を必要としない、簡易な構成となる。
【0056】
また、二酸化マンガン(MnO2)それ自体にNOの酸化触媒能があると共に、二酸化マンガン(MnO2)によってNOが酸化されて生じたNO2は、近くにスピルオーバーにより移動できる尿素が緊密状態で存在しているので、直ちに還元して窒素と水とに分解除去され、脱硝効率が100%であると共にその効果が長期間持続することとなり、好ましいものとなる。
【0057】
このようなことは、他の金属塩(Fe2O3α、CoOII、Co3O4II III、CuO、NiO、Ni2O3、ZrO、KMnO4、K2Cr2O7等)では、見出すことはできない。
【0058】
しかも、この二酸化マンガン(MnO2)上では、NOが低濃度になるほどNOが100%除去能は長時間持続することとなり、二酸化マンガン(MnO2)によるNOの酸化反応に、さらに、近接する尿素、及び活性炭素繊維(ACF)等 による還元作用を併用し、NOの100%除去時間延長を可能にしたものである。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の効果を示す実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
<実施例1>
本実施例1においては、活性炭素繊維(ACF:OG−15A−H1100)0.5gに尿素を0.19g担持(尿素/ACF37.6%)したものに対し、粉体状の二酸化マンガンを3gと付着させ、これを円筒管内に設置し、模擬ガスとしてNOを500ppm供給(流速:100ml/分)した。なお、酸素は21%とし窒素をバランスとした。また、温度は30℃、湿度は0%とした。
円筒管の他端から排出されるガス中のNO濃度を測定した。
用いた活性炭素繊維はピッチ系(繊維径:16〜20μm)「OG−15A」(製品名:アドール社製)であり、製造において、高温(1100℃)で熱処理したものである。
なお、本実施例では二酸化マンガンの尿素に対する配合量は、15.8倍(=二酸化マンガン(3g)/尿素(0.19))とした。
【0061】
<実施例2>
本実施例2においては、NOの供給量を250ppmとした。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図4に示す。
【0062】
図4及び5の結果より、実施例1では30時間もの間、実施例2ではその倍の60時間もの間、NOの脱硝率が100%を維持することができた。
【0063】
<実施例3>
本実施例1においては、二酸化マンガンの尿素に対する配合量を6倍(=二酸化マンガン(3g)/尿素(0.5))とした。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図6に示す。
【0064】
図6の結果より、実施例3では40時間もの間、NOの脱硝率が100%を維持することができた。
【0065】
<比較例1〜4>
比較例1として実施例1において尿素を担持しない場合を試験した。
比較例2として二酸化マンガンの尿素に対する配合量を2倍(=二酸化マンガン(1g)/尿素(0.5))とした場合を試験した。
比較例3として、酸化剤として重クロム酸カリウム(2g)のNOとの活性の有無を試験した。
比較例4として、酸化剤として過マンガン酸カリウム(1.5g)のNOとの活性の有無を試験した。
【0066】
これらの結果を図7乃至図10に示す。
比較例1の尿素を担持しない場合には、図7に示すように7時間程度しか100%脱硝を継続することができなかった。
また、比較例2の二酸化マンガンの尿素に対する配合量を2倍の場合には、図8に示すように、7時間しか100%脱硝をすることができなかった。
また、比較例3及び4のように、酸化剤として重クロム酸カリウム(2g)や過マンガン酸カリウムを用いた場合には、図9及び図10に示すように、NO除去活性がほとんどみられなかった。
【0067】
<実施例4>
本実施例4においては、担体としてシリカゲル3gを用い、細孔径2nmのものに尿素を0.25g担持した(実4−1)。同様に、細孔径3nmのものに尿素を0.23g担持した(実4−2)、細孔径4nmのものに尿素を0.29g担持した(実4−3)、細孔径6nm(実4−4)、細孔径15nmのものに尿素を0.32g担持した(比5)。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図11に示す。
【0068】
図12の結果より、細孔径は小さいほど(特に、3nm以下)、100%の完全脱硝時間が持続することが判明した。
【0069】
<実施例5>
本実施例5においては、湿度0%(実5−1)、30%(実5−2)、50%(比6−1)、100%(比6−2)との関係を確認した。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
この結果を図12に示す。
【0070】
図12の結果より、湿度が低い場合には100%脱硝時間が持続することが判明した。
【0071】
実施例では、供給NO濃度を500ppmを主として用いたが、実施例1と同じ様な条件下[MnO2:3g、尿素(0.25g)/ACF(0.5g)]で、NO濃度だけを、例えば、50ppm、10ppm、1ppmと下げて行くと、NOの100%除去持続時間は、計算上、それぞれ、約4週間、約20週間、約3.9年となることが推定される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる窒素酸化物除去触媒は、ガス中の窒素酸化物を効率よく除去するので、脱硝効率が向上すると共に、常温において反応するので、脱硝設備の消費電力の低減を図ることができ、例えば交差点などのようなところに設置して環境汚染を防止することに用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態にかかる窒素酸化物除去触媒の模式図である。
【図2】本実施形態にかかる他の窒素酸化物除去触媒の模式図である。
【図3】他の窒素酸化物除去触媒の形態の模式図である。
【図4】実施例1の脱硝結果を示すグラフである。
【図5】実施例2の脱硝結果を示すグラフである。
【図6】実施例3の脱硝結果を示すグラフである。
【図7】比較例1の脱硝結果を示すグラフである。
【図8】比較例2の脱硝結果を示すグラフである。
【図9】比較例3の脱硝結果を示すグラフである。
【図10】比較例4の脱硝結果を示すグラフである。
【図11】実施例4の脱硝結果を示すグラフである。
【図12】実施例5の脱硝結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0074】
11 活性炭素繊維
12 細孔
13 光触媒
14 二酸化マンガン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝することを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項2】
請求項1において、
二酸化マンガンの下流側に尿素を保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項3】
請求項1において、
尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
尿素が担体に担持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項5】
請求項4において、
担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンを5〜30倍添加してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記担体が、活性炭、活性炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラス及び石英ウールのいずれか、或いはそれらを2つ以上組み合わせた複合体であることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項7】
請求項6において、
上記活性炭素繊維が不活性ガス雰囲気下高温熱処理してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を脱硝することを特徴とする脱硝方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を有する窒素酸化物浄化部と、
上記窒素酸化物浄化部の前流側に煤塵除去手段と、
上記窒素酸化物浄化部の前流側又は後流側に脱硫手段とを設けたことを特徴とする脱硝装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記窒素酸化物を含むガスが、道路、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスのいずれかであることを特徴とする脱硝装置。
【請求項1】
尿素と二酸化マンガンとからなり、酸素を含有するガス中の窒素酸化物(NOx)を脱硝することを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項2】
請求項1において、
二酸化マンガンの下流側に尿素を保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項3】
請求項1において、
尿素と二酸化マンガンとを近接状態で保持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
尿素が担体に担持してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項5】
請求項4において、
担体に担持されている尿素重量に対して、二酸化マンガンを5〜30倍添加してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記担体が、活性炭、活性炭素繊維、酸化チタン、アルミナ、シリカゲル、多孔質セラミック、多孔質ガラス及び石英ウールのいずれか、或いはそれらを2つ以上組み合わせた複合体であることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項7】
請求項6において、
上記活性炭素繊維が不活性ガス雰囲気下高温熱処理してなることを特徴とする窒素酸化物除去触媒。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を用いて、ガス中の窒素酸化物を脱硝することを特徴とする脱硝方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一つの窒素酸化物除去触媒を有する窒素酸化物浄化部と、
上記窒素酸化物浄化部の前流側に煤塵除去手段と、
上記窒素酸化物浄化部の前流側又は後流側に脱硫手段とを設けたことを特徴とする脱硝装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記窒素酸化物を含むガスが、道路、交差点、トンネル又は閉鎖駐車場の雰囲気ガス、内燃機関からの排気ガス、産業設備からの排気ガスのいずれかであることを特徴とする脱硝装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−154043(P2009−154043A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331868(P2007−331868)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000181125)
【出願人】(503155647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000181125)
【出願人】(503155647)
【Fターム(参考)】
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