説明

窓付き容器

【課題】 不透明な容器の胴部に窓部を設けるとともに、窓部を必要に応じて確実に開閉できるようにし、内容物の感光による変質を防止するとともに、容器内の内容物の状況を視認できる窓付き容器を提供する。
【解決手段】 窓付き容器として、内容物を収容する内容器と、内容器の口筒部に取着される取付キャップと、取付キャップに廻動可能に取着され、内容器を覆う外容器とからなる容器であって、内容器および外容器の外周壁に、内部を視認できる窓部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓付き容器、とくに容器の胴部に窓部を設けた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不透明な外容器(5)の胴部(2)の一部に透明な窓部(16)を形成し、容器の外部より容器内を視認できるようにした容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−30577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の容器では、不透明な外容器(5)の胴部(2)の一部に透明な窓部(16)が形成されているため、内容物が長時間の感光により変質するものでは、窓部(16)から光が入り、内容物が変質するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決することを課題として、不透明な容器の胴部に窓部を設けるとともに、窓部を必要に応じて確実に開閉できるようにし、内容物の感光による変質を防止するとともに、容器内の内容物の状況を視認できる窓付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、窓付き容器として、内容物を収容する内容器と、内容器の口筒部に取着される取付キャップと、取付キャップに廻動可能に取着され、内容器を覆う外容器とからなる容器であって、内容器および外容器の外周壁に、内部を視認できる窓部が設けられていることを特徴とする構成を採用する。
【0006】
内容器として、内容器が、透明または半透明の合成樹脂により形成され、外周壁面に、一部に窓部が配設された不透明の装飾面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
外容器として、外容器が、不透明の合成樹脂により形成され、側周壁の一部に内部を視認できる窓孔部が穿設されていることを特徴とする構成、または、外容器が、透明または半透明の合成樹脂により形成され、外面に側周の一部に窓部が配設された不透明の装飾面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
内容器と外容器の位置合わせのために、取付キャップと外容器に、内容器の窓部と外容器の窓部との重なり位置を表示する位置合せマークが配設されていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の窓付き容器は、内容物を収容する内容器と、内容器の口筒部に取着される取付キャップと、取付キャップに廻動可能に取着され、内容器を覆う外容器とからなる容器であって、内容器および外容器の側周壁に、内部を視認できる窓部が設けられているので、外容器の回転により、容器外から容器内の内容物を確認できるようになった。
また、内容器の窓部を装飾面の形成時に配設する場合には、一般的なダイレクトブローで容器を形成できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の容器の実施形態について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の第1実施例について説明する。
図1において、Aは内容器、Bは外容器、Cは内容器Aの口部にポンプを取着するとともに、外容器Bを廻動可能に装着する取付キャップ、nは内容器A内に収容された内容物である。
【0012】
図1、2に示すように、内容器Aは、不透明の合成樹脂と、透明または半透明の合成樹脂とを同時に押し出して形成したパリソンをブロー成形することにより形成され、不透明部1と、不透明部1の一部に形成される透明または半透明の窓部2とを具えた、口筒部3と肩部4、胴部5、底部6とを形成している。
口筒部3外周には、取付キャップCを取着するねじ7が螺設されている。
【0013】
図1、3に示すように、外容器Bは、不透明の合成樹脂により形成され、外筒壁10と底壁11とからなっており、外筒壁10の内周上端には、取付キャップCと係合する係合部12が設けられている。
外筒壁10の下方の所定の位置には、外部から内部を視認できる窓孔部13が穿設され、外筒壁10の外周上端には、位置合せマーク14が配設されている。
【0014】
図1に示すように、取付キャップCは、内筒部15と肩部16、該肩部16より垂設された外筒部17を備えており、内筒部15の内周には、内容器Aの口筒部3のねじ7に螺合するねじ18が設けられている。
肩部16の外周縁には、位置合せマーク19が配設されている。
外筒部17の外周には、外容器Bの係合部12と廻動可能に係合する係合部20が設けられている。
【0015】
実施例では、外容器Bの係合部12と取付キャップCの係合部20を全周にわたって設けているが、係合部20を短い凸条とし、係合部12を長い凹溝として、外容器Bの廻動範囲を規制するようにしてもよく、また、係合部20を長い凹溝、係合部12を短い凸条と、凹溝、凸条を逆にしてもよい。
【0016】
取付キャップCは、内筒部15によりポンプを内容器Aの口筒部に取着するようになっており、取付キャップCの上部には、ポンプに連結される吐出ノズル21が取着されている。
ポンプは、内容器A内より内容物nを吸い上げ、吐出ノズル21から吐出するものであればよい。
【0017】
次に、本実施例容器の使用態様と作用効果について説明する。
容器の組立方法は、まず、内容物nを充填した内容器Aの口筒部3に、ポンプを取着した取付キャップCを取着する。
次に、取付キャップCの外筒部17の係合部20と、外容器Bの外筒壁10の係合部12とを係合させることにより、外容器Bは取付キャップCに廻動可能に取着される。
【0018】
本実施例の容器の使用にあたって、吐出ノズル21を押下げ操作すると、ポンプによって内容器A内から内容物nが吸上げられ、吐出ノズル21から吐出することができる。
【0019】
本実施例の容器は、取付キャップCを把持し、外容器Bのみを回転させ、図4に示すように、取付キャップCの位置合せマーク19と外容器B外周上端の位置合せマーク14とを合わせることで、外容器Bの外筒壁10の窓孔部13は、内容器Aの窓部2に合わされる。
このことにより、容器外から、外容器Bの窓孔部13を通し、内容器Aの窓部2より内容器A内の内容物nを視認することができ、内容物nの残量や状態が容器外より確認することができる。
【0020】
内容物nの視認の必要がなくなったときには、再び、取付キャップCを把持し、外容器Bのみを回転させ、取付キャップCの位置合せマーク19と外容器B外周上端の位置合せマーク14とをずらすことで、図1に示すように、外容器Bの窓孔部13がずれ、外容器Bの窓孔部13は、内容器Aの不透明部1に合わされる。
このことにより、容器外から内容器A内の視認ができなくなる。
【0021】
外容器Bと取付キャップCとの所定の位置に、位置合せマーク14および位置合せマーク19を設け、互いに整合することで、外容器Bの窓孔部13と内容器Aの窓部2とを一致させることができる。
また、位置合せマーク14および位置合せマーク19をずらし、外容器Bの窓孔部13を内容器Aの不透明部1に合わせて保管することにより、窓付き容器の遮光性が高まるため、内容物nが長い時間の感光により変質するようなものであっても、容器内に収納して利用することができ、内容物nを最後まで安全に使用することができる。
【0022】
また、内容器Aの不透明部1の外容器Bの窓孔部13から見える位置に、商品表示や模様などを施すことで、外容器Bを廻動させた際に、容器外から、施された商品表示等を外容器Bの窓孔部13を通して見ることができる。
【0023】
上記実施例では、内容器Aが、不透明の合成樹脂と、透明または半透明の合成樹脂とを同時に押し出して形成したパリソンをブロー成形することにより、不透明部1と窓部2とで形成していたが、
内容器A全体を、透明または半透明の合成樹脂で形成し、内容器Aの外周面に、転写、塗装、蒸着などで、一部に窓部2を設けた、遮光性のある不透明の装飾を施した不透明部1を形成しても、上記実施例と同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0024】
次に、内容器と外容器の構成を変えた第2実施例について説明する。
図5において、Dは内容器、Eは外容器、Caは内容器Dの口部にポンプとともに取着し、外容器Eを廻動可能に取着する取付キャップ、nは内容器D内に収容された内容物である。
【0025】
図5、6に示すように、内容器Dは、口筒部25と肩部26、底部が開放された円筒状の胴筒壁27とからなる透明または半透明の合成樹脂により形成された容器部Daと、内容物nと色の異なる半透明または不透明の合成樹脂により形成され、胴筒部27の内周に摺動自在に嵌挿される弾性周壁28を外周に設けた底板部Dbとからなっている。
口筒部25外周には、取付キャップCaを取着するねじ29が螺設されている。
【0026】
容器部Daの外周面には、転写、塗装、蒸着などで、遮光性のある不透明の装飾を施した装飾面30が形成され、装飾面30の胴筒部27上部の一部には、透明または半透明の窓部31が配設されている。
【0027】
図5に示すように、外容器Eは、不透明の合成樹脂により形成され、外筒壁35と底壁36とからなっており、外筒壁35の内周上端には、取付キャップCaと係合する係合部37が設けられている。
外筒壁35の上方の所定の位置には、外部から内部を覗ける窓孔部38が穿設され、外筒壁35の外周上端には、位置合せマーク39が配設されている。
【0028】
取付キャップCaの構成は、実施例1と同様であるので、添字aを付して図示し、詳しい説明は省略する。
取付キャップCaの上部には、ポンプに連結される吐出ノズル21aが取着される。
ポンプは、内容器D内より内容物nを吸い上げるとともに、内容器D内が負圧になり、容器部Da内で底板部Dbを上昇させ、吐出ノズル21aから内容物nを吐出するものであればよい。
【0029】
次に、本実施例容器の使用態様と作用効果について説明する。
容器の組立方法は、まず、容器部Da内に底板部Dbを嵌挿させた内容器Dに内容物nを充填し、内容器Dの口筒部25に、ポンプを取着した取付キャップCaを取着する。
次に、取付キャップCaの外筒部17aの係合部20aと、外容器Eの外筒壁35の係合部37とを係合させることにより、外容器Eは取付キャップCaに廻動可能に取着される。
【0030】
本実施例の容器の使用にあたって、吐出ノズル21aを押下げ操作すると、ポンプによって内容器D内から内容物nが吸上げられ、吐出ノズル21aから吐出される。
【0031】
内容器Dは、内容物nが吸上げられ、内容器D内が負圧になることにより、容器部Da内の底板部Dbが上方に摺動される。
底板部Dbが上方に摺動することにより、内容器D内の負圧が解かれ、底板部Dbの摺動が止まり、底板部Dbは容器部Da内の上昇した位置で停止し、内容器D内は常圧に維持される。
【0032】
本実施例の容器は、取付キャップCaを把持し、外容器Eのみを回転させ、図7に示すように、取付キャップCaの位置合せマーク19aと外容器E外周上端の位置合せマーク39とを合わせることで、外容器Eの外筒壁35の窓孔部38は、内容器Dの装飾面30の窓部31に合わされる。
このことにより、容器外から、外容器Eの窓孔部38を通し、内容器Dの窓部31より内容器D内の内容物nを視認することができ、内容物nの状態が容器外より確認することができる。
【0033】
また、内容器Dが、内容物nを吸い上げるごとに、容器部Da内の内容物nと色の異なる底板部Dbが上昇する容器であるので、内容物nがなくなると内容器Dの窓部31より見えるのが底板部Dbの弾性周壁28だけとなるようにすれば、図7(b)に示すように、容器外から外容器Eの外筒壁35の窓孔部38を通して、内容物nの残量を確認することができる。
【0034】
内容物nの視認の必要がなくなったら、再び、取付キャップCaを把持し、外容器Eのみを回転させ、取付キャップCaの位置合せマーク19aと外容器E外周上端の位置合せマーク39とをずらすことで、図5に示すように、外容器の窓孔部38がずれ、外容器Bの窓孔部38は、内容器Eの装飾面30に合わされる。
このことにより、容器外から内容器D内の視認ができなくなる。
【0035】
本実施例も実施例1同様、外容器Eの廻動により内容器Dの窓部31を開閉できるので、内容器D内の内容物nが長い時間の感光により変質するようなものであっても、最後まで安全に使用することができる。
【0036】
上記各実施例では、外容器の側周の下方または上方の一部に窓孔部を穿設したが、内容器の側周壁に設けた窓部を上部から下方に設けることにより、窓孔部を外容器の側周の上方から下方まで設けてもよい。
また、窓孔部の横幅も、外容器を回転させ、窓孔部から内容器の窓部を開閉できればよく、外容器の窓孔部、および、内容器の窓部の形状は、上記各実施例に限定されない。
【0037】
上記各実施例では、外容器を不透明の合成樹脂により形成し、外周面の一部に窓孔部を穿設したが、外容器を前記内容器と同様に透明または半透明の合成樹脂により形成し、外周面に、転写、塗装、蒸着などで、一部に窓部を配設した遮光性のある不透明の装飾面とすることにより、上記各実施例の外容器と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、内容器の一部に内部を視認できる窓部を設け、取付キャップに廻動可能に取着される外容器に窓孔部を設けたことにより、内容器の窓部を開閉することができるので、内容物の状態を外部より視認できるとともに、内容物の長い時間の感光による変質を防止することができ、化粧品、薬品、その他の容器として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明第1実施例の容器の説明図である。
【図2】第1実施例の内容器の断面図である。
【図3】第1実施例の外容器の断面図である。
【図4】第1実施例の外容器と取付キャップの位置合せマークを合わせたときの説明図である。
【図5】本発明第2実施例の容器の説明図である
【図6】第2実施例の内容器の断面図である。
【図7】第2実施例の外容器と取付キャップの位置合せマークを合わせたときの説明図で、(a)は内容器の窓部から内容物のみが視認されたときの図、(b)は内容器の窓部から内容器の底板部が視認されたときの図である。
【符号の説明】
【0040】
A、D 内容器
B、E 外容器
C、Ca 取付キャップ
Da 容器部
Db 底板部
n 内容物
1 不透明部
2、31 窓部
3、25 口筒部
4、26 肩部
5 胴部
6 底部
7、18、18a、29 ねじ
10、35 外筒壁
11、36 底壁
12、20、20a、37 係合部
13、38 窓孔部
14、19、19a、39 位置合せマーク
15、15a 内筒部
16、16a 肩部
17、17a 外筒部
21、21a 吐出ノズル
27 胴筒壁
28 弾性周壁
30 装飾面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内容器と、内容器の口筒部に取着される取付キャップと、取付キャップに廻動可能に取着され、内容器を覆う外容器とからなる容器であって、
内容器および外容器の外周壁に、内部を視認できる窓部が設けられていることを特徴とする窓付き容器。
【請求項2】
内容器が、透明または半透明の合成樹脂により形成され、外周壁面に、一部に窓部が配設された不透明の装飾面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の窓付き容器。
【請求項3】
外容器が、不透明の合成樹脂により形成され、側周壁の一部に内部を視認できる窓孔部が穿設されていることを特徴とする請求項1、2記載の窓付き容器。
【請求項4】
外容器が、透明または半透明の合成樹脂により形成され、外面に側周の一部に窓部が配設された不透明の装飾面が形成されていることを特徴とする請求項1、2記載の窓付き容器。
【請求項5】
取付キャップと外容器に、内容器の窓部と外容器の窓部との重なり位置を表示する位置合せマークが配設されていることを特徴とする請求項1〜4記載の窓付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−273336(P2006−273336A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90627(P2005−90627)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】