説明

立位練習器

【課題】脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手術後の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行う時の立位練習中における各種データを記録して、練習状況を定量的に把握することができる立位練習器を提供すること。
【解決手段】立位でつかまる支持棒3a、3bを支柱4により支持せしめた立位練習器2において、支柱4に加えられた力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、床に加えられた力を検知する床反力検知装置5a、5bと、支柱力検知装置4a、4b及び床反力検知装置5a、5bの出力をそれぞれ演算する演算装置10とを備え、演算装置10が、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置12と、同期演算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置13と、同期演算結果を記憶するデータ記憶装置14と、同期演算結果に応じて音声を出力する音出力装置15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や足腰の不自由な人等のリハビリに適した立位練習器に関し、特に、ベッドや車椅子などからの立ち上がり時や、立ち上がった後の各種データを記録して、練習状況を定量的に把握することができる立位練習器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立位練習は、高齢者や足腰の不自由な人、脳卒中や糖尿病などを患った人、膝関節の手術後の患者等に対して、日常動作をする上において、また社会復帰を果たすために大変重要である。
この立位練習のリハビリの過程において、立位練習器でベッドや車椅子などからの立ち上がり練習を行い、次に他の歩行練習器で歩行練習を行い、やがて杖歩行に移行する過程を経る。
【0003】
従来の立位(歩行)練習器は、一対の支持棒を支柱により手摺り状に略水平に配設したものからなり、支持棒につかまって立位又は歩行のための足踏みなどを行うことにより、足腰の訓練を行うようになっている。
このような立位練習器としては、例えば、下記特許文献1では、上肢による力の信号を記録し、表示することができる平行棒歩行練習器が開示されており、また、下記特許文献2では、下肢に関する力を記録し、表示することができる床反力計が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記従来の立位練習器には、立ち上がり練習や立位練習を実施しても、どのように力を入れて立ち上がっているか、また、下肢の回復度や左右の体のバランス、あるいは手摺りである支持棒にどれだけ依存しているか、さらに、立位の姿勢中にどれだけの荷重が下肢にかかっているか、健足から患足への体重の移動など、上肢や下肢を同時に解析する手段がなく、医者や理学療法士において、練習状況の総合的かつ定量的な把握ができない点で問題があった。
また、特に視力の弱い患者の場合、上肢、下肢にかかっている荷重の大きさをパソコンなどの画面に表示しても理解しにくい、十分には見えないなどの課題があった。
【特許文献1】特開2001−079114号公報
【特許文献2】特開平7−241281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の立位練習器が有する問題点に鑑み、脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手術後の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行う時の、特に、視力が弱い患者に対して立位練習中における各種データを記録して、練習状況を定量的に把握することができる立位練習器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の立位練習器は、立位でつかまる支持棒を支柱により支持せしめた立位練習器において、支柱に加えられた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置と床反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、前記演算装置が、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置と、該同期演算結果に応じて予め設定した音声を出力する音声出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、演算装置が、同期演算処理装置の同期演算結果とデータ記憶装置のデータとを、表示装置に同時又は別々に選択的に表示することができる。
【0008】
また、支柱力検知装置又は床反力検知装置の検知結果が予め設定した設定値を越えた場合、設定値を越えない場合、又は設定範囲に入った場合にそれぞれ音声出力装置が選択的に音声を出力することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の立位練習器によれば、立位でつかまる支持棒を支柱により支持せしめた立位練習器において、支柱に加えられた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置と床反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、前記演算装置が、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置と、該同期演算結果に応じて予め設定した音声を出力する音声出力装置とを備えることから、立位練習中に上肢により支持棒にかけられた力と下肢により床に加えられた力とを、同期させた状態で表示装置に表示し記録するとともに、結果に応じて音声で出力することができ、これにより、過去のデータとの比較等により立位練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握するとともに、これらのデータを活用することにより、医者や理学療法士は患者の立位練習を有効に進めて短期間の立位練習を実現することができる。
そして、立位練習者は音声で荷重のかかり具合を知ることができるので、よそ見をしながらでも荷重をかける訓練が可能となり、また、目の不自由な練習者であっても音声により荷重のかかり具合を知ることができる。
【0010】
この場合、演算装置が、同期演算処理装置の同期演算結果とデータ記憶装置のデータとを、表示装置に同時又は別々に選択的に表示することにより、医者や理学療法士は、患者に応じて特に注目したい立位パラメータのみを抽出したり、拡大して見ることができるとともに、過去のデータと比較して再現したり、重ねて比較することができ、その結果、回復度の定量的な把握や支持棒歩行練習から杖歩行への練習の移行時期の正確な把握等を行うことが可能となる。
また、表示装置のデータを活用することにより、練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握することが可能となるとともに、立位練習者は、この表示装置を見ながら自らの立位姿勢や現在の立位状態、又は回復度合いなどを確認し、その結果を自らの立位姿勢にフィードバックすることにより、より高い練習の効果を得ることができる。
【0011】
また、支柱力検知装置又は床反力検知装置の検知結果が予め設定した設定値を越えた場合、設定値を越えない場合、又は設定範囲に入った場合にそれぞれ音声出力装置が選択的に音声を出力することにより、立位練習者の立位挙動の解析結果を視覚的に理解するだけでなく、視力の弱い患者であっても、また画面に必ずしも集中していなくても、荷重のかかり具合を音声で聞くことができるので、立位挙動状況を視覚的又は感覚的に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の立位練習器の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1に、本発明の立位練習器の一実施例を示す。
図において、1は立位練習者、2は立位練習器を示す。
立位練習器2は、立位でつかまる一対の支持棒3a、3bと、この支持棒3a、3bを略水平に支持する2本の支柱4とを備えるとともに、支柱4に加えられた力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、下肢7、8から床部6に加えられた力を検知する床反力検知装置5a、5bと、立位練習者の姿勢や挙動を撮影するテレビカメラ9と、支柱力検知装置4a、4b、床反力検知装置5a、5b及びテレビカメラ9の出力をそれぞれ演算する演算装置10とを備えている。
そして、この立位練習器2は、演算装置10に、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置12と、該同期演算処理装置12の同期演算結果を表示する表示装置13と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置14と、同期演算結果を音で出力する音出力装置15とを備えている。
【0014】
支柱4は、その上部に支持棒3a、3bを略平行に固定し、また、支持棒3の地上からの高さを立位練習者1の体格に合わせて調節できるように構成されている。
【0015】
支柱力検知装置4a、4bは、2本の支柱4の一部にそれぞれ配設されたロードセル等からなり、各支柱4にかかった上下や前後の押し、引きの力を電気信号に変換し、その信号を演算装置10に送出する。
【0016】
床反力検知装置5a、5bは、床部6の一部に配設された左右一対の床反力計からなり、この床反力計には、その上面にかかった力を電気信号に変換するロードセル等がそれぞれ配設されるとともに、ロードセルの信号は演算装置10に導かれている。
床反力検知装置5a、5bと床部6とは、通常時は略同一平面を形成しており、これにより、立位練習者1は、違和感なく支持棒3a、3bに頼りながら左右の足7、8を床反力検知装置5a、5bの上に立位することができる。なお、7は立位練習者の左足、8は右足を示している。
【0017】
演算装置10は、支柱力検知装置4a、4b、床反力検知装置5a、5b及びテレビカメラ9の各出力信号を演算するものであり、本実施例では、各検知装置4、5の演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置12と、表示装置13及びデータ記憶装置14等とを備えた、例えば、パソコン等により構成されている。
【0018】
同期演算処理装置12は、支柱にかかる上肢荷重や、床反力検知装置5a、5bによる下肢荷重による杖荷重などのアナログ信号を取り込むことができる。これらの取り込んだ信号は、A/D又はD/A変換ボードを介して演算/記録装置に送られ、力の信号などに変換処理が行われる。
また、この同期演算処理装置12は、各信号、又は信号間のデータの演算により、力の統計処理も実施することができる。
【0019】
表示装置13には、同期演算処理装置12による演算結果が送られ、必要な情報がオペレータの操作によって選択的に表示される。
この表示装置13では、演算結果の時間的な変動値の表示だけではなく、フレキシブルディスク等の記録媒体から読み出した過去の練習データとの比較表示なども行うことができる。
また、表示装置13が内蔵するスピーカ等からなる音出力装置15により、必要に応じて警告音や音声を発生することができる。
【0020】
データ記憶装置14は、パソコン等を用いて得られた練習データを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録することができる。
また、このデータ記憶装置14は、過去の練習結果との比較や再生などを行うことも可能であり、その結果は表示装置13に送られ表示される。
立位練習者1は、この表示装置13を見ながら、自らの立位バランスや現在の回復度合い等を確認し、その結果を自らの立位姿勢にフィードバックすることにより、より高い練習の効果を得ることができる。
【0021】
音出力装置15からは、支柱力検知装置4a、4bや床反力検知装置5a、5bに加えられた力の大きさや、左右の上肢にかかっている力のバランス具合等を音声出力することが可能であり、これにより、練習者は、自分の欠点や練習状況を目で確認する以外に、耳で聞きながら練習に励むことができる。
【0022】
次に、本実施例の立位練習器の使用方法を説明する。
立位練習者1は、車椅子18に座った状態で立位練習器2の入り口に位置した後、左上肢1aで支持棒3a(又は右上肢1bで支持棒3b)をつかんで立ち上がり動作を行う。このとき、左足7は床反力検知装置5aの上に、右足8は床反力検知装置5bの上に位置するようにし、体重の一部を支持棒3a、3bに預けながら立位動作を行う。
【0023】
この場合、左手(右手)でつかんだ支持棒3a(3b)の力及び床反力計5a、5bに加えられた力を、演算装置10により演算する。
また、立位練習者1の左足7が床反力検知装置5a上に、右足8が床反力検知装置5b上に位置するように立位した時に、それぞれの下肢にかかった力や位置などを演算装置10により演算する。
【0024】
また、同期演算処理装置12により、左足7や右足8の位置及びその時間変化から、立位時の力のバランスや、重心の移動状況などを同期するように演算することができる。
これらの同期演算結果は、表示装置13に表示され、また、音出力装置15などにより音声出力される。
【0025】
図3に、演算装置10の表示装置13における表示結果の一例を示す。
ここで、ボタン20をクリックすれば、表示は棒グラフモードとなる。
図において、21は支持棒3からの前後方向の上肢荷重を示す棒グラフで、21aは左上肢、21bは右上肢に関するデータを示している。また、22は支持棒3からの上下方向の上肢荷重を示す棒グラフで、22aは左上肢に関するデータを示している。また、23は床反力検知装置5a、5bの荷重を示す棒グラフで、23aは左下肢、23bは右下肢に関するデータを示している。
この場合、縦軸は表示部26に黒マークが付されているので体重比%を示しており、最大値はボタン27をクリックすることにより変更することができる。ボタン28をクリックすれば荷重の大きさをキログラム単位で示すことも可能であり、その場合の最大値はボタン29をクリックすることにより変更することができる。
ここで、24aは左上肢、24bは右上肢の荷重の設定値をそれぞれ示している。25aは左下肢、25bは右下肢の荷重の設定値をそれぞれ示している。
【0026】
図4は、ボタン30をクリックして、表示を波形グラフモードとした場合であり、車椅子18からの立ち上がり動作時の例を示している。
図示しないスタートキーをクリックすることにより、このように測定データの時間変化を波形で表示することができる。
図において、31は支持棒3からの前後方向の上肢荷重を示す棒グラフであり、31aは左上肢に関するデータを示している。また、32は支持棒3からの上下方向の上肢荷重を示す棒グラフで、32aは左上肢に関するデータを示している。また、33は床反力検知装置5a、5bの荷重を示す棒グラフで、33aは左下肢、33bは右下肢に関するデータを示している。
【0027】
時間の経過に伴い、上肢荷重31、32、床反力33は、それぞれ右方向に波形が進行し、規定の時間経過によりデータの採取が完了すると、この波形などは自動停止する。なお、測定の途中で停止する場合は、図示しない停止キーをクリックする。
【0028】
例えば、手術直後で体重の100%を手術後の下肢にかけられない場合、立位の練習をサポートする理学療法士の指示により、仮に10%、30%などと徐々に体重をかけながら立位練習を行うか、又は、仮に20%などの規定値以上体重をかけないような立位練習を行う。
この場合、表示装置13を見ることによりその瞬間の下肢荷重の値をモニターすることができる。
手術側の下肢の体重感覚が麻痺しているような場合で、立位練習者の自覚が不十分な場合でも、この表示装置13の画面を見ながら立位すれば、体重のかけ方が目で見て確認でき、また、理学療法士においても常時モニターできる効果がある。
【0029】
また、目の不自由な立位練習者のために、下肢荷重が予め10%、30%などの設定値を越えた場合、スピーカ15よりピーと音声を発したり、下肢荷重が設定値を越えた旨の音声を出力することができる。
あるいは、20%などの規定値を越えない場合に警告音を発し、規定値以上の十分な体重をかけるように指導を行ったり、体重のかけ方が不足している旨の音声を出力することができる。
この場合の、かかった荷重と音声出力の設定に関して、図5及び図6により説明する。
図5は、ボタン41をクリックして、体重比%により音声出力の設定を行う場合の画面であり、右上肢上下荷重に関しては最大荷重が17%(全体重の1/6)を越えれば音声出力する。同様に左上肢上下荷重に関しても最大荷重が17%(全体重の1/6)を越えれば音声出力する。また、右下肢荷重に関しては32から35%(全体重の1/3)の範囲に入った時に音声出力する。同様に左下肢荷重に関しては32から35%(全体重の1/3)の範囲に入った時に音声出力する。
本実施例では、左右それぞれの上肢、下肢毎にチェックマークを入れることにより音声出力をする条件設定を行うことができる。また、音声出力条件としては、最大荷重すなわち設定荷重を越えた時、最小荷重すなわち設定荷重に満たない時、又は範囲指定すなわちその設定範囲荷重になった時にそれぞれ音声出力を行うよう、いずれもチェックマークを入れ、合わせて設定範囲の数字を記入することで設定することができる。
股関節手術などの後のリハビリの過程では通常、一挙に体重の100%の荷重をかけることはできず、体重の1/6、1/5、1/3、1/2、2/3、3/4などと徐々に荷重をかける部分荷重練習を行う。この場合、これらの設定を行うことにより音声と映像により、所望の荷重を正しくかけることができる。
【0030】
図6は、ボタン42をクリックして、荷重Kgにより音声出力の設定を行う場合の画面であり、右上肢上下荷重に関しては最大荷重が10Kgを越えれば音声出力する。同様に左上肢上下荷重に関しても最大荷重が10Kgを越えれば音声出力する。また、右下肢荷重に関しては19から21Kgの範囲に入った時に音声出力する。同様に左下肢荷重に関しては19から21Kgの範囲に入った時に音声出力する。
本実施例では、左右それぞれの上肢、下肢毎にチェックマークを入れることにより音声出力をする条件設定を行うことができる。また、音声出力条件としては、最大荷重すなわち設定荷重を越えた時、又は最小荷重すなわち設定荷重に満たない時、又は範囲指定すなわちその設定範囲荷重になった時にそれぞれ音声出力を行うよう、いずれもチェックマークを入れ、合わせて設定範囲の数字を記入することで設定することができる。
これにより、目の不自由な立位練習者であっても、耳で音声などを聞きながら、正しい立位練習に取り組むことが可能となる。また、目が不自由でない患者の場合でも、耳で音声を聞きながら、よそ見をしながら正しい所望の荷重を連続してかけることが可能となり、効率の良いリハビリを行うことができる効果がある。
【0031】
また、車椅子などからの立ち上がり動作の場合の波形や棒グラフから、立ち上がり時の力のかけ方を定量的に把握することができる。
正しい立ち上がり動作は、できるだけ支持棒3を引かないように、なおかつできるだけ支持棒3や杖に頼らないで立つ動作が要求される。
すなわち、できるだけ棒グラフ21、22や、波形31、32が小さくなることが望まれる。
【0032】
このように、この立位練習器2では、立位練習者1の支持棒3a、3bに対して及ぼす上肢の力や、床反力検知装置5a、5bに及ぼす下肢の力を演算するとともに、棒グラフ表示、波形表示することができる。
そして、これらを記憶するとともに、過去のデータとの比較により、練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握することができる。
また、左右の下肢荷重バランスの違いなども同様に、演算、表示、記憶することができ、これらのデータを有効に活用することにより、医者や理学療法士が患者の立位練習を有効に進めることができ、その結果、短期間に練習を実施することが可能となる。
【0033】
さらに、同期演算処理装置の同期演算結果を音にて出力する音出力装置を設けることにより、練習結果を視認するだけでなく、耳で聞きながら練習を行えるため、例えば、目の不自由な人でも、練習の結果を確認しながら練習に励むことが可能となる。また目が不自由でなくても、音声により荷重が把握できるので、よそ見をしながら繰り返し荷重をかける練習も可能となる。
また、本実施例の立位練習器は、その平面面積が大変小さいので、ベッド回りに移動しての立ち上がり練習にも適し、さらに、面積の少ないリハビリ施設などでも適用することが可能である。
【0034】
以上、本発明の立位練習器について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の立位練習器は、歩行障害を有する患者がリハビリを行う時の、立位練習中における各種データを記録するとともに、練習状況を音声によっても定量的に把握できるという特性を有していることから、例えば、視力が弱い患者の立位練習の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の立位練習器の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同実施例の各力検知センサや画像検知センサの接続と演算装置の構成を示す 図である。
【図3】同実施例の表示装置の表示例を示す図である。
【図4】表示装置の他の表示例を示す図である。
【図5】本発明の荷重の設定例を示す図である。
【図6】本発明の他の荷重の設定例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 立位練習者
1a、1b 上肢(左手、右手)
2 立位練習器
3a、3b 支持棒
4 支柱
4a、4b 支柱力検知装置
5a、5b 床反力検知装置
6 床部
7a、7b 下肢(左足、右足)
9 テレビカメラ
10 演算装置
12 同期演算処理装置
13 表示装置
14 データ記憶装置
15 音出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位でつかまる支持棒を支柱により支持せしめた立位練習器において、支柱に加えられた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置と床反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、前記演算装置が、各演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置と、該同期演算結果に応じて予め設定した音声を出力する音声出力装置とを備えたことを特徴とする立位練習器。
【請求項2】
演算装置が、同期演算処理装置の同期演算結果とデータ記憶装置のデータとを、表示装置に同時又は別々に選択的に表示することを特徴とする請求項1記載の立位練習器。
【請求項3】
支柱力検知装置又は床反力検知装置の検知結果が予め設定した設定値を越えた場合、設定値を越えない場合、又は設定範囲に入った場合にそれぞれ音声出力装置が選択的に音声を出力することを特徴とする請求項1又は2記載の立位練習器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−296713(P2006−296713A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122150(P2005−122150)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】