説明

立体ジグソー

立体ジグソーは、いくつかの球面、好ましくは異なる直径の4つの球面から構成される玩具であり、これら球面は、ある球面が他の球面の内部にある状態にあると共に個々の要素から構成され、これら要素は、個々の球面を形成するように相互に接続される。この玩具の最終形状は、ハウジング3、要素2、及びそのハウジング内に配置される移動可能な要素を接続することによって達成される。要素2は、球の上半分についての2つの隣接する球状部分4と、球の下半分についての2つの隣接する部分4とから構成される球状部分であり、これら球状部分は、45°、即ち球の1つの部分の幅だけ相互にずらされている。ハウジング3の内部には、より小さい直径の球5、球6、及び球7があり、隙間がそれらの間にあり、それによって個々の各球が他の球内において考えられるすべての方向に回転することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、いくつかの相互に接続された本質的に同様な個々の要素から作り出され、これら要素が球面を形成するようになっている玩具に関する。特に、本発明は、より大きい完全体の構成要素として働く一連の球状要素からなる立体ジグソーとして考えられるものであり、この玩具は組立及び分解が可能である。国際特許分類によれば、本発明は、A63H33/00〜A63H33/10に分類することができる。
【0002】
[本発明によって解決される技術的課題]
この立体ジグソーは、いくつかの球面、好ましくは4つの球面から構成される玩具であり、これら球面はある球面が別の球面の内部に配置され、これら球面は、寸法の異なる本質的に幾何学的に同じ個々の要素からなり、これら要素は、球面を形成するように容易に相互に接続できる。この玩具は、玩具の組立/分解中に、未就学児の微細運動能力を発達させ、複雑さを考えるのに役立つものであり、この玩具は、子供の年齢に応じて、数種類のモデル、即ち、要素を球状要素に組立てることに関してより簡単及びより複雑なバリエーションで製造できる。玩具の軽量化を達成するために、玩具を製造するために推奨される材料は、ポリウレタンベースの発泡状材料である。また、立体ジグソーは、硬いものであり、平滑面及び良好な摺動特性を有する。
【0003】
[技術の状況]
知られているように、要素の組立能力を発達させることを目的としていくつかのタイプの玩具が市販されている。一般に、玩具の大部分は、子供の年齢によっては変更できないある程度の複雑さを保有する。ジグソー玩具は、本質的に同様な個々の要素から構成され、これら要素は、特別のジョイント又は締結具によってそれら要素自体の間で接続される。
【0004】
文献、欧州特許出願公開第63816号明細書は、互いから分離できない、互いに対して移動できる、ある要素が他の要素の内部に配置されるいくつかの立体要素からなる空間的なジグソー(パズル)を示す。外側球状要素及び内側球状要素は、移動できるシンボルを有する。この空間的なジグソーは、忍耐及び立体の見方を発達させるために使用される。
【0005】
文献、国際公開第9420186号パンフレットは、多角形形状のいくつかの要素(12)から構成される球形(10)であって、それら要素(12)がそれら要素の側壁と相互に重なり合う、球形(10)を示す。多角形部材のそれぞれは、予め定められた形状の外面、及び外面から広がると共に外面を定める周側縁部を有する。多角形部品の合致する縁部を接続する手段も与えられており、それにより球形が形成可能である。
【0006】
文献、米国特許第5100359号明細書は、球形を形成するように相互に接続されるある一定数の異なる要素から作製される玩具を示す。要素の第1の部品は、6角形の断面を備えるピラミッド状形状を有し、要素の他の部品、そのそれぞれは、5角形の断面を備えるピラミッド状形状を有する。対応する要素は、球形を形成するように特別なやり方で接続され、相互に重ね合わせる突出部及びソケットを有する。
【0007】
上記文献のどれも、難易度を変えられる立体ジグソー、即ち、球形に組立てる際により複雑な技能レベル又はより簡単な技能レベルを必要とする構造のバリエーションを有する立体ジグソーであって、子供の年齢に関して調整できる立体ジグソーを示していない。さらに、すべての文献は、要素の形状により相互に重なり合っているいくつかの要素で構成される本質的に1つの球面を示しているが、一方、本発明は、組立てられなければならない要素から構成される、ある球面が他の球面の内部に配置されるより多くの球面を有すると共に、すべてのこれら球面はすべての方向に自由に回転し、これにより、組立又は分解の過程中に球の幾何学的形状及び球の特性に関する子供の知識を発達させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、組立能力及び立体の見方を発達させるだけでなく、立体ジグソーが基づいている概念を変化させることなく操作の難易度を変える可能性ももたらす、組立てできる個々の要素からなる新しいタイプの玩具を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ある球形が他の球形の内部にある状態にある様々な寸法のいくつかの球形で構成される。これら球のそれぞれは、球面の中に相互に接続できるいくつかの要素からなると共に、球は、すべての方向に自由に回転できる。
【0010】
本発明を実現する方法の1つに従えば、各球面は、4つの幾何学的に同一の要素からなり、一方、最小の直径を有する球面は、2つの等しい要素からなる。
【0011】
本発明を実現する別の方法に従えば、球面は、2つの幾何学的に異なる要素からなることもでき、最小の直径を有する球形は、2つの等しい要素からなる。
【0012】
本発明を実現する方法に従えば、ある要素の側壁は、同じ角度を有し、この角度は、すべての要素について同一である。球形は、異なる直径を有することができるが、要素の側部の角度は、結果として生じる球の中心点に対して同じままである。外側球面の望ましい寸法は、100ミリメートル〜120ミリメートルであり、一方、完全に組立てられた玩具の目標にされる重さは、150グラム〜200グラムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】完全に組立てられた玩具1の最終形状を示す図である。
【図2】本発明を実現する方法の1つに従う、4つの構成要素の要素4に分解された球の立体図である。
【図3】様々な位置における球2の要素の立体図である。
【図4】2つの要素から構成される外側球の立体図である。
【図5】球の組立の一段階における玩具の立体図である。
【図6】球の組立の一段階における玩具の立体図である。
【図7】球の組立の一段階における玩具の立体図である。
【図8】球の組立の一段階における玩具の立体図である。
【図9】球7の要素8のレイアウト及び立体図である。
【図10】球7の要素8のレイアウト及び立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を参照すると、立体ジグソーは、いくつかの球面、好ましくは異なる直径の4つの球面で作られる玩具であり、これら球面はある球面が他の球面の内部に位置し、これら球面は個々の要素から組立てられ、これら要素は、これら要素が個々の球面を形成するように容易に接続できる。この立体ジグソーは、異なる直径の球面、好ましくは4つの球面(1)、(5)、(6)、及び(7)から構成され、これら球面はある球面が他の球面の内部に位置すると共に個々の要素から組立てられ、それら要素が単一の球面を形成するようになっており、ここで外側球面(1)は、ハウジング(3)及び要素(2)から構成され、ハウジング(3)及び要素(2)の内部にはより小さい直径の球(5)があり、球(5)の内部にはさらにより小さい直径の球(6)があり、球(5)及び球(6)は4つの要素(2)から構成され、最小の直径を有する球が2つの要素(8、8’)から構成される球体(7)を基本的に構成する。
【0015】
参照符号1は、ハウジング3、要素2、及びハウジングの内部に位置する10個の移動可能な要素、即ち、より簡単なモデルの場合にはハウジング内の6つの移動可能な要素を組立てることによって達成される玩具の最終形状を示す。個々の要素は、プラスチック又は同様の材料又はポリウレタンベース泡状材料から構成される小さい要素の形態で表わされる。ハウジング3及び要素2が組立てられるとき、ハウジング3及び要素2は、最も大きい直径を有する外側球1を構成する。これら球は、外観上、深さ0.5〜1ミリメートルのソケット又は溝によって半分に分割され、球の各半分は、8つの同一の球状部分4に分割され、それにより1つの球状部分の角度は45°である。本発明を実現する一方法に従えば、要素2は、球の上半分についての2つの隣接する球状部分4と、球の下半分についての2つの隣接する部分4とから構成される球状部分であり、これら球状部分は、球状部分自体の間で45°、即ち1つの球部分の幅だけずらされる(図3参照)。
【0016】
ハウジング3内には、より小さい直径の球5、球6、及び球7がある。最も大きい直径を有する外側球(ハウジング3及び要素2)と球5の間の隙間は、この隙間によりすべての方向に球5が妨げられずに回転することを可能にするようになっている。また、球5と球6の間の隙間、及び球6と球7の間の隙間は、各個々の球が、別の球内においてあり得るすべての方向に回転可能にされるようにする。回転は、所定のポリウレタンベース泡状材料製の要素の平滑面によって可能にされる。製造に必要とされる材料を選ぶときには、ジグソーを構成する要素が、硬さ、平滑面、及び良好な摺動特性、並びに摩滅及び大気の影響に対する耐久性を保有しなければならないことに留意されたい。
【0017】
球5及び球6は、本発明を実現する方法に応じて、4つの要素又は2つの要素から構成される。図2から分かるように、本発明を実現する一方法によって、球5及び球6は、4つの同一の要素から構成され、これら要素の各要素は、外側球についてすでに定められている要素2の形状と同一である幾何学的形状を有する。
【0018】
本発明を実現する他の方法に従えば、球5及び球6は、2つの要素から構成され、それら要素の一方はハウジング3の形状を有し、他方は外側球についてすでに幾何学的に定められている要素2の形状を有する。
【0019】
最小の直径の球は、その球が規則正しく2つの完全な要素8及び8’からなることを考えると、球体7を本質的に構成する。本発明を実現する方法の1つに従えば、図8により、一方の完全な要素8が示されており、この要素8は、3つの等しい対称的に配置された球体部分(ホーン)を有し、他方の幾何学的に同一の要素8’と相互に連結し、要素8及び8’が球を構成するようになっている。本発明を実現する他の方法に従えば、球は、幾何学的に同じでない2つの部片に分割することができ、完全な要素、即ち球7を形成するように、2つの球体部品の間の表面が一方を他方の上部に幾何学的に重ね合わせるようになっている。
【0020】
立体ジグソーの組立の複雑さは、組立てられなければならない部品の個数、即ちハウジング内に配置される移動可能な要素の個数に応じて増大する。加えて、相互に球の中にまとまる要素の幾何学的形状は、それら要素の形状が要素の抽出又は組立を可能にするようなものであれば、上記幾何学的形状と異なっていてもよい。また、球を形成するようにハウジング内に配置される個々の移動可能な要素は、異なる幾何学的形状であってもよく、これら異なる幾何学的形状も玩具の組立の複雑さの一因となる。個々の要素の個数が多くなればなるほど、それにより玩具の最終形状を組立てるために特有の位置決めが必要となり、組立は、より複雑になる。
【0021】
ハウジング内の開口を増やし、目の錯覚を引き起こすソケットを省くことによって、対象のジグソーを解く難しさのレベルを下げることが可能である。それとは反対に、よりギザギザした、あまり規則的でない形状のソケットを用いることによって、玩具の操作の難しさをかなり増大させることが可能である。示した発明は、3つのレベルを有するが、それらの数は、個々のレベルの壁の幅の減少、及びハウジングの直径の変更によって増加させることができる。玩具の組立又は分解の複雑さの決定においては、色も一定の役割を有する。述べたバリエーションを通じて、玩具の組立/分解の難しさに関して様々な年齢に適している玩具を作り出すことが可能である。
【0022】
本発明を実現するある所望の方法を求めることによって本発明を表現及び説明したので、当業者は、本発明の目的及び全体を見失うことなく本発明の形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが示唆されている。したがって、本発明の保護の目的は、本発明の実現方法によって限定されるべきではなく、添付されている特許請求の範囲によって画定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる直径の球面、好ましくは4つの球面(1)、(5)、(6)及び(7)からなる立体ジグソーであって、
前記球面は、その一つの球面が他の球面の内部に配置され、前記球面が、個々の球面を形成するように個々の要素から構成され、外側の前記球面(1)が、ハウジング(3)及び要素(2)からなり、前記ハウジング(3)及び前記要素(2)の内部には、より小さい直径の球(5)が配置され、前記球(5)の内部には、よりいっそう小さい直径の球(6)が配置され、球(5)及び(6)が4つの要素(2)からなり、最小の直径の球が、2つの要素(8、8’)からなる球体(7)を本質的に構成する、立体ジグソー。
【請求項2】
前記球面(1)、(5)、(6)、及び(7)が、ソケットによって半分に分割され、前記球の各半分が、8つの同一の球状部分(4)に分割され、それにより個々の球状部分の角度が45°であり、溝の好ましい深さ及び幅が0.5〜1ミリメートルである、請求項1に記載の立体ジグソー。
【請求項3】
最も大きい直径を有する前記外側球(1)と、球(5)の間の隙間、並びに球(5)と球(6)の間、及び球(6)と球(7)の間の隙間は、前記隙間が、個々の各球が他の球内において考えられるすべての方向に妨げられずに回転することを可能にするようになっていること、請求項1に記載の立体ジグソー。
【請求項4】
前記要素(2)が、前記球の上半分についての2つの隣接する球状部分(4)と、前記球の下半分についての2つの隣接する球状部分(4)とから構成される形状を有し、前記球の前記上半分についての前記隣接する球状部分と、前記球の前記下半分についての前記隣接する球状部分とが、45°、即ち前記球の1つの部分の幅だけ相互にずらされている、請求項1に記載の立体ジグソー。
【請求項5】
球(5)及び球(6)が、4つの等しい要素からなり、前記4つの等しい要素の各要素が、要素(2)の形状と同一である幾何学的形状を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体ジグソー。
【請求項6】
前記球体(7)が、2つの幾何学的に等しい完全な要素(8、8’)からなり、要素(8、8’)が、3つの等しい対称的に配置された球体部分を有し、それらが球体を形成するように、それらが相互に連結している、請求項1に記載の立体ジグソー。
【請求項7】
前記球体(7)が、幾何学的に同じでない2つの部品に分割され、前記2つの要素(8、8’)の間のその表面が、球体(7)を形成するように互いに幾何学的に重なり合う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の立体ジグソー。
【請求項8】
前記球(5)及び球(6)のそれぞれが、前記ハウジング(3)及び要素(2)の形状に対応する形状を有する2つの幾何学的に異なる要素、或いは前記要素(2)の前記形状に対応する形状を有する4つの幾何学的に同一の要素、又は4つの相互に幾何学的に異なる要素からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の立体ジグソー。
【請求項9】
球を相互に形成する前記要素の幾何学的形状が、前記要素(2)の幾何学的形状と異なる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の立体ジグソー。
【請求項10】
球面を備えるすべての前記要素(2)が平滑面を有し、前記要素(2)がポリウレタンベース泡状材料製である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の立体ジグソー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−535050(P2010−535050A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518754(P2010−518754)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/HR2008/000026
【国際公開番号】WO2009/016421
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510026334)
【Fターム(参考)】